(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイパス流路は、前記燃焼室に沿って設けられて、前記バイパス流路を流れる前記空気が前記燃焼室の壁面を冷却する請求項1から4のいずれか1項に記載の燃焼器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のような構造では、燃焼器の長さの増加に伴う重量やコストの増加、180°ターニング部Cの複雑化という問題があり、燃焼器のコンパクト化に有効ではなかった。これに対して、コストダウンや重量軽減を図るため、180°ターニング部Cから燃料混合部Dまでの整流距離Lを短くすることが有効であるが、単純にこの距離を短くすると、排反事象として空気分布の偏りが悪化し、NOx発生量が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンパクト化を図ると共に、燃料分布の均一化を図ることが可能な燃焼器およびガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の燃焼器およびガスタービンは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る燃焼器は、燃料と空気が混合され燃料が燃焼される燃焼室と、燃焼室へ燃料を噴射するノズルと、空気の流れ方向が反対に変化する折り返し領域を有しつつ燃焼室へ空気を供給する空気流路と、折り返し領域のうち空気の流れ方向が反対に変化した
直後の領域に設けられて
空気の流れ方向が反対に変化した直後の空気流路の表面に流れる空気の一部を吸い込む吸込口と、吸込口よりも空気流路の下流側
に設けられて吸い込んだ空気を排出する排出口とを有し、吸込口と排出口を結ぶバイパス流路とを備える。
【0008】
この発明によれば、燃料がノズルから燃焼室へ噴射され、空気が空気流路から燃焼室へ供給され、燃料と空気が混合されて燃焼室にて燃料が燃焼される。ここで、空気流路は、空気の流れ方向が反対に変化する折り返し領域を有するため、折り返し領域のうち空気の流れ方向が反対になる領域にて、壁面近傍の境界層剥離が発生し、低速域が生じる。一方、本発明によれば、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域に吸込口が設けられている。境界層剥離部分の流体速度は低速であるため、吸込口内部の領域に比べて静圧が高い。そのため、空気流路の表面に流れる空気の一部が、吸込口へ吸い込まれる。その結果、壁面付近の低速流体が減少し、壁面から離れたところを流れていた運動エネルギーを失っていない流れが壁面付近を流れることになるため、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域における境界層剥離を防止できる。
本発明に係る燃焼器は、燃料と空気が混合され燃料が燃焼される燃焼室と、燃焼室へ燃料を噴射するノズルと、空気の流れ方向が反対に変化する折り返し領域を有しつつ燃焼室へ空気を供給する空気流路と、折り返し領域のうち空気の流れ方向が反対に変化した後の領域であって、内筒の端部に形成されるターン内周部及び内筒を形成する周壁の半径方向内側に位置する中空円筒状の中間リングのうちいずれか一方に設けられて空気流路の表面に流れる空気の一部を吸い込む吸込口と、吸込口よりも空気流路の下流側に設けられて吸い込んだ空気を排出する排出口とを有し、吸込口と排出口を結ぶバイパス流路とを備える。
【0009】
上記発明において、吸込口は、空気流路のうち折り返し領域の内周に設けられてもよい。
折り返し領域のうち空気の流れ方向が反対になる領域では、折り返し領域の内周が低速になりやすいところ、この発明によれば、空気流路の表面に流れる空気の一部が、折り返し領域の内周に設けられた吸込口へ吸い込まれる。その結果、折り返し領域の内周における境界層剥離を防止できる。
【0010】
上記発明において、排出口は、燃焼室に設けられて、吸い込んだ空気を燃焼室の表面へ排出してもよい。
この発明によれば、吸込口から吸い込まれてバイパス流路を流れた空気が排出口から燃焼室の表面へ排出される。このとき、比較的低温の空気が燃焼室の表面を流れるため、燃焼室表面が冷却され、燃焼室の焼損を防止できる。
【0011】
上記発明において、バイパス流路は、燃焼室に沿って設けられて、バイパス流路を流れる空気が燃焼室の壁面を冷却してもよい。
この発明によれば、燃焼室に沿って設けられたバイパス流路を流れる比較的低温の空気によって、燃焼室表面が冷却されるため、燃焼室の焼損を防止できる。
【0012】
上記発明において、排出口は、燃焼室に設けられて、バイパス流路を流れた空気が燃料の燃焼に用いられてもよい。
この発明によれば、バイパス流路を流れた空気が燃焼室に設けられた排出口から排出されて燃料の燃焼に用いられるため、空気流路から吸い込まれた空気は無駄にされることなく燃焼用空気として活用される。
【0013】
また、本発明
の参考例に係る燃焼器は、燃料と空気が混合され燃料が燃焼する燃焼室と、燃焼室へ燃料を噴射するノズルと、空気の流れ方向が反対に変化する折り返し領域を有しつつ燃焼室へ空気を供給する空気流路と、空気流路に設けられて空気の一部を吸い込む吸込口と、折り返し領域のうち空気の流れ方向が反対に変化した後の領域に設けられて、吸込口よりも空気流路の下流側で吸い込んだ空気を、空気流路の表面へ排出する排出口とを有し、吸込口と排出口を結ぶバイパス流路とを備える。
【0014】
この
参考例によれば、燃料がノズルから燃焼室へ噴射され、空気が空気流路から燃焼室へ供給され、燃焼室にて燃料と空気が混合されて燃料が燃焼される。ここで、空気流路は、空気の流れ方向が反対に変化する折り返し領域を有するため、折り返し領域のうち空気の流れ方向が反対になる領域にて、壁面近傍の境界層剥離が発生し、低速域が生じる。一方、本発明によれば、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域に排出口が設けられ、排出口から空気流路の表面へ空気が排出される。その結果、壁面付近の低速流体に運動エネルギーを供給できるため、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域における境界層剥離を防止できる。
【0015】
さらに、本発明に係るガスタービンは、空気を導入して圧縮する圧縮機と、圧縮機ら供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する上記の燃焼器と、燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンとを備える。
【0016】
この発明によれば、ガスタービンの燃焼器において、空気流路には、空気の流れ方向が反対に変化する折り返し領域が設けられており、空気の流れ方向が反対になる領域にて低速域が生ずるが、上記吸込口と排出口を有するバイパス流路が設けられることによって、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域における境界層剥離を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンパクト化を図ると共に、燃料分布の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るバイパス流路11を有する燃焼器の構成を説明する。本実施形態の燃焼器は、
図1の燃焼器1に対して、
図2に示すようにバイパス流路11を追加したものである。そこで、まず、本実施形態を適用可能な燃焼器1について、
図1を用いて説明する。
燃焼器1は、
図1に示すように、パイロットノズル21と、メインノズル22と、パイロットコーン23と、メインバーナ24と、パイロットスワラ25と、メインスワラ26を備える。
【0020】
パイロットノズル21は、燃焼器1の軸心に沿って設置され、燃料を噴射し、拡散燃焼を行う。メインノズル22は、パイロットノズル21の外周側の周方向に等間隔となるように複数配置され、燃料Bを噴射する。そして、燃料混合部Dにて、燃料と空気流入口3から供給された圧縮空気が混合され、予混合燃焼が行われる。なお、燃焼は、燃焼室10にて行われる。パイロットコーン23は、パイロットノズル21の先端側を覆うように設置される。メインバーナ24は、メインノズル22の先端側を覆うように設置される。パイロットスワラ25は、パイロットノズル21の外壁とパイロットコーン23の内壁との間に設置される。メインスワラ26は、メインノズル22の外壁とメインバーナ24の内壁との間に設置される。
【0021】
そして、この
図1に示す燃焼器1は、内筒2aと、尾筒2bと、外筒2cと、背面壁2dをさらに備える。
【0022】
内筒2aは、パイロットノズル21と略同軸であり、パイロットノズル21及びメインノズル22を全体的に覆うように形成される。尾筒2bは、内面が内筒2aの外周に嵌合され、パイロットノズル21及びメインノズル22によって発生した燃焼ガスを不図示のタービン側に誘導する。外筒2cは、内筒2aと略同軸であって、内筒2aから離隔しつつ内筒2aを外側から取り囲む。背面壁2dは、外筒2cの下流側かつ内筒2aの上流側を閉鎖する。
【0023】
圧縮空気流路6は、内筒2aの外周面と外筒2cの内周面の間に形成される。
また、内筒2aの端部には、ターン内周部8が形成される。ターン内周部8は、180°ターニング部Cの内周面となる。180°ターニング部Cは、空気流入口3から供給された圧縮空気が内筒2aの外側から内側に回り込むように、圧縮空気の流れ方向を略反転させる。主流空気の流れは、
図1中の矢印Aのようになる。ターン内周部8の径方向外側壁部は、径方向外側に膨出していると共に、内筒2aの端縁に相当する部位が、
図1に示すように軸心を含む平面における断面において内筒2aの外周面と内周面とをつなぐ滑らかな曲線となっている。
【0024】
このように、ターン内周部8が構成されることにより、ターン内周部8の外壁が下流側に向かって外筒2cの内周面に近づくように構成されるため、外筒2cの内周面とターン内周部8の外周面の間に構成される圧縮空気の流路断面積が下流に向かって、緩やかに狭められる。これにより、圧縮空気の流れが絞られ、ターン内周部8の下流側での流れに対して燃焼器1の周方向の均一性を与えることとなる。
【0025】
また、背面壁2dは、
図1の断面図に示すように、ターン内周部8よりも径方向外周側が曲面で構成される円弧形状部分とされ、ターン内周部8よりも径方向内周側が平坦となる平坦部分とされることで、その内壁面がすり鉢形状の凹曲面とされる。
【0026】
圧縮空気流路6の空気流入口3の近傍内部には、整流板51が設けられている。整流板51は圧縮空気流路6内において外筒2cの上流側を覆うリング状の部材であって、整流板51を挟んで圧縮空気流路6の上流側と下流側とを連通する孔が多数形成された多孔板である。
【0027】
整流板51の下流側に隣接して、整流板51を固定する複数のリブ52が周方向に等間隔に設置されている。このリブ52が、内筒2aの外壁面と外筒2cの内壁面とに接続されることで、外筒2cの内側に内筒2aが固定される。
【0028】
リブ52は、内筒2aの外壁と外筒2cの内壁とに両端が接するように、燃焼器1の軸に対して放射状に設けられる。また、リブ52は複数設けられ、この複数のリブ52が燃焼器1の周方向に対して等間隔となるように配置されるとともに外筒2cに接続されることで、内筒2aを支持する。
【0029】
このように、外筒2cに固定されたリブ52を放射状に設けることによって、内筒2aをリブ52によって、周方向に抑えて固定することができる。これにより、メインノズル22の下流側先端を、内筒2aに接続されたメインバーナ24におけるメインスワラ26によって支持することができる。
【0030】
よって、上述の背面壁2d、ターン内周部8、及び、後述のターニングベーン54の構成によって、内筒2aを流れる圧縮空気を均一化させることができる。その結果、パイロットノズル21及びメインノズル22の軸方向の長さを短くできることから、メインノズル22の下流側を支持するためパイロットノズル21に接続される支柱が不要となる。更に、圧縮空気が均一な流れとされるため、従来と比べて、整流板51による抵抗を小さくすることができ、整流板51における圧損を抑制することができる。
【0031】
ターニングベーン54は、リング状であって、隣接するメインノズル22同士の間において、メインノズル22を覆うように内筒2aの上流側端部近傍に設けられる。ターニングベーン54は、内筒2aの内部であってターン内周部8近傍に位置して配置され、上流側から下流側に向かって、メインノズル22よりも径方向外側からメインノズル22の軸位置まで屈曲した一枚の板で形成される。
【0032】
このターニングベーン54は、メインノズル22側面と接続する円弧状の板とされる。このように構成されるターニングベーン54によって、ターン内周部8及び背面壁2dに沿って180度転回された圧縮空気が、パイロットコーン23及びメインバーナ24に誘導される。
【0033】
この背面壁2d、ターン内周部8、及びターニングベーン54それぞれが、上述のように構成されることによって、外筒2cとターン内周部8との間に流れ込む圧縮空気が、整流板51より後であってターン内周部8端部の手前で整流された後、180°ターニング部Cで180度転回される。そして、ターニングベーン54によって整流されて、パイロットコーン23及びメインバーナ24に誘導される。
【0034】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る燃焼器のバイパス流路11について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る燃焼器を示す部分拡大横断面図であり、バイパス流路11を示している。
図2は、燃焼器の軸に沿った面で切断した図である。
【0035】
バイパス流路11は、内筒2aに沿って設けられた管であり、吸込口12と排出口13,14を有する。吸込口12は、180°ターニング部Cのうち圧縮空気の流れ方向が反対に変化した後の領域であって、ターン内周部8に設けられる。吸込口12は、内筒2aの内周側に開口が形成されており、圧縮空気流路6を流れる空気の一部を吸い込む。
【0036】
180°ターニング部Cのうち空気の流れ方向が反対になる領域では、180°ターニング部Cの内周が低速になりやすいところ、本実施形態によれば、圧縮空気流路6の表面に流れる空気の一部が、180°ターニング部Cの内周に設けられた吸込口12へ吸い込まれる。吸込口12から空気が吸い込まれることによって、180°ターニング部Cの内周における境界層剥離を防止できる。
【0037】
排出口13は、メインノズル22に沿って燃焼室10へ空気を供給する圧縮空気流路6において、吸込口12よりも下流側に設けられる。排出口13は、内筒2aの内周側に開口が形成されている。吸込口12と排出口13とは、管によって結ばれており、吸込口12にて吸い込まれた空気は管内を流れて、排出口13から排出される。排出口13から排出された空気は、内筒2aの内周側壁面に沿って薄い空気層を形成し、フィルム冷却として、出口外側リング27の根元を冷却し、壁面の焼損を防止できる。
【0038】
排出口14は、排出口13よりも下流側に設けられ、内筒2aの外周側に開口が形成されている。排出口14は、吸込口12にて吸い込まれた空気のうち、排出口13から排出された空気以外の空気を排出する。排出口14から排出された空気は、出口外側リング27の外周側かつ外筒2cの内周側を通り、空気供給口15から排出される。そして、空気供給口15から排出された空気は、尾筒2bの内周壁面に沿って薄い空気層を形成し、フィルム冷却として、尾筒2bを冷却し、壁面の焼損を防止できる。
【0039】
図1に、本実施形態に係るバイパス流路を設けない場合の燃焼器内における主流空気の流れを示した。このような状態では、180°ターニング部Cの流れは、ターニングベーン54によって向きを変え、ターン内周部8近傍を通過するが、大きな転回であるため、ターニング内周部8近傍には、
図1の符号Eで示したように、境界層剥離によって低速領域が形成され、180°ターニング部Cの内周側の流量が低下傾向を示す。その結果、速度分布を保った状態でメイン燃料との混合がなされることで、燃料濃度の濃淡が生じ、局所的な高温によってNOxが増加する傾向にある。
【0040】
一方、本実施形態では、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域に、バイパス流路11と接続した吸込口12が設けられている。境界層剥離部分の流体速度は低速であるため、吸込口12内部の領域に比べて静圧が高い。そのため、圧縮空気流路6の表面に流れる空気の一部が、吸込口12へ吸い込まれる。その結果、壁面付近の低速流体が減少し、壁面から離れたところを流れていた運動エネルギーを失っていない流れが壁面付近を流れることになるため、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域における境界層剥離を防止できる。
図5に、境界層吸込みによる境界層剥離防止のモデルを示す。
【0041】
したがって、本実施形態のバイパス流路11が設けられていることで、180°ターニング部Cの下流側、かつメインノズル22の上流側における半径方向への主流空気のAの速度の均一化を図ることができる。その結果、濃度分布が均一化し、発生するNOxを低減できる。
【0042】
なお、本実施形態におけるターン内周部8に設けられた吸込口12は、1箇所に複数の孔が設けられてもよいし、吸込口12の形状は、円形状、スリット形状等、いくつかの形状が考えられる。また、吸込口12の配置や大きさは、周方向へ均一としてもよいし、必ずしも周方向へ均一である必要はない。例えば、
図1に示した燃焼器1は、複数のメインノズル22を有していることから、空気の流れは周方向へ不均一となる。したがって、メインノズル22の配置に合わせて、吸込口12の配置や大きさを調整してもよい。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る燃焼器を示す部分拡大横断面図であり、バイパス流路31を示している。
図3は、燃焼器の軸に沿った面で切断した図である。
図3に示す燃焼器は、
図1で示したマルチタイプの燃焼器1と異なり、アニュラータイプである。すなわち、本実施形態の燃焼器は、上流側から流れてきた空気または空気と燃料との混合気に、燃料噴出孔から燃料を噴射すると共に、旋回力を付与して旋回混合気流を作り出すスワラーベーン(旋回翼)を有する。
【0044】
燃焼器の中心部には、燃焼バーナ43が挿通されている。また、半径方向において最も外側に位置する圧縮空気流路40と、半径方向において最も内側に位置する第1の流路41と、圧縮空気流路40と第1の流路41との間に位置する第2の流路42とを備えている。
【0045】
圧縮空気流路40と第2の流路42とは、内筒44aを形成する周壁によって仕切られて(区画されて)おり、第1の流路41と第2の流路42とは、周壁の半径方向内側に位置する中空円筒状の中間リング30によって仕切られて(区画されて)いる。中間リング30は、筒形状であり、中心軸が燃焼バーナ43の中心軸と共通である。中間リング30内には、バイパス流路31が設けられる。
【0046】
圧縮空気流路40内には、この圧縮空気流路40内に予混合用燃料を噴出する予混合用噴出孔33aを備えたノズル33が突出している。予混合用噴出孔33aから噴射された予混合用燃料は、空気流入口39から流入してきた空気と混合され、空気流入口39から流入してきた空気とともに、下流側に位置する第1の流路41内および第2の流路42内に流入する。
【0047】
燃焼バーナ43の先端部(下流側の端部)には、第1の流路41内に向かって突出する内環スワラーベーン(旋回翼)34が設けられている。内環スワラーベーン34は、燃焼バーナ43の外周面から放射状に、かつ、燃焼バーナ43の軸方向に沿うように複数枚(例えば、16枚)配置されており、その腹面および背面には、燃料(内側燃料)を噴出する内側燃料噴出孔34aが設けられている。内側燃料噴出孔34aから噴射された内側燃料は、第1の流路41を通過してきた混合気(空気流入口39から流入してきた空気と予混合用噴出孔33aから噴射された予混合用燃料との混合気)と混合され、第1の流路41を通過してきた混合気とともに、下流側に位置する燃焼室45に送出(供給)される。なお、内環スワラーベーン34は、第1の流路41を通過してきた混合気に旋回力を付与して、この混合気を旋回混合気流にする。
【0048】
中間リング30の先端部(下流側の端部)には、第2の流路42内に向かって突出する外環スワラーベーン(旋回翼)36が設けられている。外環スワラーベーン36は、中間リング30の外周面から放射状に、かつ、中間リング30の軸方向に沿うように複数枚(例えば、16枚)配置されており、その腹面および背面には、燃料(外側燃料)を噴出する外側燃料噴出孔36aが設けられている。外側燃料噴出孔36aから噴射された外側燃料は、第2の流路42を通過してきた混合気(空気流入口39から流入してきた空気と予混合用噴出孔25aから噴射された予混合用燃料との混合気)と混合され、第2の流路42を通過してきた混合気とともに、下流側に位置する燃焼室45に送出(供給)される。なお、外環スワラーベーン36は、第2の流路42を通過してきた混合気に旋回力を付与して、この混合気を旋回混合気流にするものである。
【0049】
バイパス流路31は、中間リング30の長さ方向に沿って設けられた管であり、吸込口32と排出口33を有する。吸込口32は、180°ターニング部Cのうち圧縮空気の流れ方向が反対に変化した後の領域であって、中間リング30に設けられる。吸込口32は、中間リング30の第1の流路41側に開口が形成されており、圧縮空気流路40を流れる空気の一部を吸い込む。
【0050】
180°ターニング部Cのうち空気の流れ方向が反対になる領域では、180°ターニング部Cの内周が低速になりやすいところ、本実施形態によれば、第1の流路41の表面に流れる空気の一部が、180°ターニング部Cの内周に設けられた吸込口12へ吸い込まれる。吸込口12から空気が吸い込まれることによって、180°ターニング部Cの内周における境界層剥離を防止できる。
【0051】
排出口33は、燃料と混合気を供給する第1の流路41または第2の流路42において、吸込口32よりも下流側に設けられる。排出口33は、中間リング30の端部かつ燃焼室45側に開口が形成されている。吸込口32と排出口33とは、管によって結ばれており、吸込口32にて吸い込まれた空気は管内を流れて、排出口33から排出される。
【0052】
吸込口32から吸い込まれた空気がバイパス流路31を通過することによって、吸込口32から吸い込まれた空気は、燃焼ガスによって加熱された中間リング30の壁面を冷却する。また、排出口33から排出された空気は、第1の流路41と第2の流路42の間から噴出され、最終的には燃料を燃焼する燃焼空気として利用される。したがって、空気流入口39から流入した空気は、バイパス流路31を通過しても、燃焼空気として無駄になることはない。
【0053】
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、180°ターニング部Cにおいて空気の流れ方向が反対に変化した後の領域に、バイパス流路31と接続した吸込口32が設けられている。境界層剥離部分の流体速度は低速であるため、吸込口32内部の領域に比べて静圧が高い。そのため、第1の流路41の表面に流れる空気の一部が、吸込口12へ吸い込まれる。その結果、壁面付近の低速流体が減少し、壁面から離れたところを流れていた運動エネルギーを失っていない流れが壁面付近を流れることになるため、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域における境界層剥離を防止できる。
【0054】
したがって、本実施形態のバイパス流路31が設けられていることで、180°ターニング部Cの下流側における半径方向への主流空気のAの速度の均一化を図ることができる。その結果、濃度分布が均一化し、発生するNOxを低減できる。
【0055】
[
参考例]
次に、本発明の
参考例について、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の
参考例に係る燃焼器を示す部分拡大横断面図であり、バイパス流路61を示している。
図4は、燃焼器の軸に沿った面で切断した図である。
本
参考例の燃焼器は、
図1で説明したマルチタイプの燃焼器である。本
参考例は、第1実施形態と異なり、バイパス流路61がターン内周部8に設けられる。その他の点は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0056】
以下、
図4を参照して、本
参考例に係るバイパス流路61について説明する。
バイパス流路61は、ターン内周部8内に圧縮空気流路6に沿って設けられる。バイパス流路61は、例えば管状であり、吸込口62と排出口63を有する。吸込口62は、180°ターニング部Cよりも上流の圧縮空気流路6に設けられる。吸込口62は、内筒2aの外周側に開口が形成されており、圧縮空気流路6を流れる空気の一部を吸い込む。
【0057】
排出口63は、180°ターニング部Cのうち圧縮空気の流れ方向が反対に変化した後の領域であって、ターン内周部8に設けられる。排出口63は、内筒2aの内周側に開口が形成されている。吸込口62と排出口63とは、管によって結ばれており、吸込口62にて吸い込まれた空気は管内を流れて、排出口63から排出される。
【0058】
180°ターニング部Cのうち空気の流れ方向が反対になる領域では、180°ターニング部Cの内周が低速になりやすいところ、本
参考例によれば、吸込口62から排出された空気が、180°ターニング部Cの内周に設けられた排出口63から圧縮空気流路6の表面へ排出される。排出口63から空気が排出されることによって、180°ターニング部Cの内周における境界層剥離を防止できる。
【0059】
すなわち、本実施形態では、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域に、バイパス流路61と接続した排出口63が設けられ、排出口63から圧縮空気流路6の表面へ空気が排出される。その結果、壁面付近の低速流体に運動エネルギーを供給できるため、空気の流れ方向が反対に変化した後の領域における境界層剥離を防止できる。
図6に、境界層吹出しによる境界層剥離防止のモデルを示す。
【0060】
したがって、本実施形態のバイパス流路61が設けられていることで、180°ターニング部Cの下流側、かつメインノズル22の上流側における半径方向への主流空気のAの速度の均一化を図ることができる。その結果、濃度分布が均一化し、発生するNOxを低減できる。