(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判別手段は、前記輝度分布情報取得手段により得られた前記輝度分布情報における予め設定された輝度の閾値よりも輝度が高い画素の数及び/又は半値幅の大きさに基づいて該反射光が鏡面反射か乱反射かを判別することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【背景技術】
【0002】
眼の検査のために利用される眼科装置では、被検眼に対して装置本体を所定の位置関係にアライメントすることが必要である。アライメントは、被検眼の角膜に対してアライメント光束を投影して、その角膜反射像(虚像)の位置を受光素子により検出し、その検出情報に基づいてジョイスティック等の操作手段を操作して装置本体を移動させ、装置本体と被検眼の位置合わせを行なっている。近年では、自動でアライメント調整する装置が主流となっている。
【0003】
ジョイスティック等の操作手段によって装置本体と被検眼との位置合わせを行なう場合、被検眼に装置本体が接触しないように慎重に操作する必要があり、その作業には微妙な調整が必要とされるため、熟練を要する。
【0004】
そこで、被検眼への装置本体の接触を回避するために、特許文献1(特開2001−275973号公報)においては、角膜の反射光を検出し、Z方向のずれ情報を得て、被検眼に対して測定部が所定の接近距離以上に近づいたことを検出した場合には、測定部を後方へ移動させる眼科装置が提案されている。
【0005】
しかしながら、かかる特許文献1に記載の従来構造においては、角膜反射を検出することができない位置(例えば、まぶたや頬等)に装置本体がある場合、装置本体と被検眼との距離を特定することができないため、装置本体が被検眼に接触する恐れがある。
【0006】
また、特許文献2(特開平11−19037号公報)においては、角膜頂点、まぶた等の反射位置によって反射光の光量が異なる点に着目して、アライメント検出手段により検出された光量を相対的に比較し、角膜反射が検出されない場合には、自動アライメント調整を中止する眼科装置が提案されている。
【0007】
しかしながら、かかる特許文献2に記載の従来構造においては、どの測定部位の反射光なのか判別可能となるため、角膜反射が検出されない場合には、装置のアライメントを中止させることができ、被検眼への装置本体の接触を回避することができるが、装置本体と被検眼との距離を特定することはできないため、アライメントの再度やり直しが必要となり、検者及び被検者に負担がかかるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、角膜反射を検出することができない場合においても、装置本体と被検眼との距離を特定し装置本体の位置の制御を行なうことから、装置本体が被検眼に接触することなくスムーズにアライメントすることができる眼科装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、装置本体と、被検眼に向けてZアライメント用の指標光を照射するZアライメント指標光源と、該Zアライメント指標光源による該指標光の該被検眼による反射光を
2次元受光素子により撮像するZアライメント検出手段と、該Zアライメント検出手段からの検出結果に基づいて該装置本体をZ方向に移動させて、位置合わせするZ方向駆動手段とを備えた眼科装置において、該被検眼による該反射光の光束径が前記
2次元受光素子の受光面におさまるように構成し、該
2次元受光素子により受光された
前記受光面上の垂直又は水平方向のライン上の画素の輝度を積算することを全ラインに対して行なうことで該受光面全体の輝度分布情報を取得する輝度分布情報取得手段と、該輝度分布情報取得手段により取得された該輝度分布情報から該反射光が鏡面反射か乱反射かを判別する判別手段と、該判別手段により乱反射と判別したときは、該被検眼と該装置本体との距離を特定し、該装置本体のZ方向の位置の制御を行なうZ方向位置制御手段とを設けたことを、特徴とする。
【0011】
本態様に従う構造とされた眼科装置においては、被検眼による反射光の光束径が受光素子の受光面におさまるように構成することから、角膜の鏡面反射だけでなくまぶたや頬等の乱反射の場合においても受光素子による検出が可能となり、装置本体と被検眼との距離を特定することができる。
【0012】
そして、本態様においては、受光素子により撮像された撮影画像における輝度分布情報を取得し、反射光が乱反射と判別したときは、被検眼と装置本体との距離を特定し装置本体のZ方向の位置の制御を行なうことから、装置本体が被検眼に接触することなくスムーズにアライメントすることができる。
【0014】
さらに、本態様に従う構造とされた眼科装置においては、受光素子を2次元受光素子とし、受光面上の垂直又は水平方向のライン上の画素の輝度を積算することを全ラインに対して行なうことから、受光面全体の輝度分布情報を取得するための処理時間をより有効に抑えることができ、処理の高速化を図ることができる。すなわち、2次元位置検出素子の仕様によってはライン数が数百本になるため、それぞれの直線における輝度分布を評価していき、受光面全体の輝度分布を取得することは、非常に処理時間を要する。本態様においては、受光面上の垂直又は水平方向のライン上の画素の輝度を積算することを全ラインに対して行なった後に、受光面全体の輝度分布を評価するため、処理時間をより有効に抑えることができ、処理の高速化を図ることが可能となる。さらに、2次元受光素子を用いて受光面上の画素の輝度を積算することにより、被検眼による反射光の一部が受光面から外れていても、より精度の高い輝度分布情報を取得することができる。すなわち、1次元受光素子の場合、反射光の一部が受光面から外れると、輝度分布情報におけるピーク(中心位置)を算出することが困難になる。本態様においては、反射光の一部が受光面から外れていても、2次元受光素子を用いて受光面上の画素の輝度を積算するため輝度分布情報におけるピークを特定することが可能となるため、より精度の高い輝度分布情報となる。
【0015】
また、本発明の
第二の態様は、
前記第一の態様に係る眼科装置において、前記判別手段は、前記輝度分布情報取得手段により得られた前記輝度分布情報における予め設定された輝度の閾値よりも輝度が高い画素の数及び/又は半値幅の大きさに基づいて該反射光が鏡面反射か乱反射かを判別することを、特徴とする。
【0016】
本態様に従う構造とされた眼科装置においては、輝度分布情報における予め設定された輝度の閾値よりも輝度が高い画素の数及び/又は半値幅の大きさに基づき反射光が鏡面反射か乱反射かを判別することから、簡単な処理で判別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、眼屈折力を測定する装置を例として説明する。
【0019】
先ず、
図1に、本発明における眼屈折力測定装置の装置光学系10を示す。装置光学系10は、被検眼Eの前眼部を観察する観察光学系(20,22,24,26,28,30,32)、被検眼Eを注視させる視標を提示する視標光学系(34,36,38,40,22)、装置光学系10を被検眼Eに対して上下左右方向(X・Y方向)で位置決めするためのXY方向位置検出手段としてのXYアライメント検出光学系(42,44,46,48,38,40,22,24,26,28,50,52,54)、装置光学系10を被検眼Eに対して前後方向(Z方向)で位置決めするためのZ方向位置検出手段としてのZアライメント検出光学系(42,44,46,48,38,40,22,56,58,60)、眼の屈折力を測定するための眼屈折力測定光学系(42,44,46,48,38,40,22,56,58,60)を備えている。
【0020】
観察光学系は、赤外光を照射する照明光源20,20、波長選択ミラー22、レンズ24、波長選択ミラー26、ハーフミラー28、レンズ30、CCD32が設けられて構成されている。ここで、波長選択ミラー22は照明光源20,20及び後述するアライメント光源42及び測定光源62から照射される赤外光がハーフミラーで、後述する視標光源32の可視光を反射する特性となっている。また、波長選択ミラー26は照明光源20,20及び後述するアライメント光源42から照射される赤外光を透過し、後述する測定光源54から照射される赤外光を反射する特性となっている。照明光源20,20から発せられて被検眼Eの前眼部で反射された光束が、波長選択ミラー22を透過し、レンズ24を介して波長選択ミラー26を透過した後、レンズ28を介してCCD30上に導かれる。
【0021】
視標光学系は、可視光を照射する視標光源34、光軸方向に移動可能な視標36、波長選択ミラー38、レンズ40、波長選択ミラー22が設けられて構成されている。ここで、波長選択ミラー38は可視光を透過し、後述するアライメント光源42の赤外光を反射する特性となっている。視標光源34から発せられた光束は、視標36を介して、波長選択ミラー38を透過した後、レンズ40を介して波長選択ミラー22で反射されて被検眼Eに照射される。
【0022】
XYアライメント検出光学系は、赤外光を照射するアライメント光源42、レンズ44、絞り46、レンズ48、波長選択ミラー38、レンズ40、波長選択ミラー22、レンズ24、波長選択ミラー26、ハーフミラー28、フィルター50、レンズ52、XYアライメント2次元検出センサ54が設けられて構成されている。ここで、ハーフミラー28は、照明光源20,20及びアライメント光源42からの光の一部を透過すると共に残りを反射する。また、フィルター50は、アライメント光源42からの光を透過する一方で、照明光源20からの光を遮断する。このため、照明光源20,20からの光がXYアライメント2次元検出センサ54で検出されることはない。また、絞り46は、被検眼Eの角膜Cと共役な位置に配設されており、絞り46によりアライメント光源42による被検眼Eの位置での光束の像の直径を調節している。アライメント光源42から発せられた光束は、レンズ44、絞り46、レンズ48を介して波長選択ミラー38で反射され、レンズ38を介して波長選択ミラー22で反射されて被検眼Eに照射される。被検眼Eの角膜Cで鏡面反射された光束が、波長選択ミラー22を透過し、レンズ24を介して波長選択ミラー26を透過した後、ハーフミラー28で光束の一部が反射され、フィルター50、レンズ52を介してXYアライメント2次元検出センサ54に導かれるようになっている。
【0023】
Zアライメント検出光学系は、赤外光を照射するアライメント光源42、レンズ44、絞り46、レンズ48、波長選択ミラー38、レンズ40、波長選択ミラー22、フィルター56、レンズ58、Zアライメント2次元検出センサ60が設けられて構成されている。ここで、フィルター56は、アライメント光源42からの光を透過する一方で、照明光源20からの光を遮断する。このため、照明光源20,20からの光がZアライメント2次元検出センサ60で検出されることはない。アライメント光源42から発せられた光束は、レンズ44、絞り46、レンズ48を介して波長選択ミラー38で反射され、レンズ38を介して波長選択ミラー22で反射されて被検眼Eに照射される。被検眼Eの角膜Cで鏡面反射された光束が、フィルター56、レンズ58を介してZアライメント2次元検出センサ60に導かれるようになっている。
【0024】
特に本実施形態においては、まぶたや頬等で乱反射された光束も、Zアライメント2次元検出センサ60の受光面におさまるように、絞り46にて調節されている。従来技術では、まぶたや頬等で乱反射された光束は、大きく広がってZアライメント2次元検出センサ60に入射するため(
図2参照)、Zアライメント2次元検出センサ60により乱反射を特定することは困難であった。しかしながら、本実施形態において、より具体的には、例えば、被検眼Eで乱反射された光束の直径が、Zアライメント2次元検出センサ60の受光面の横寸法に対して80%になるように絞り46の径や倍率が設計され、Zアライメント2次元検出センサ60の受光面におさまるように構成されている。これにより、角膜の鏡面反射だけでなくまぶたや頬等の乱反射の場合においてもZアライメント2次元検出センサ60による検出が可能とされている。
【0025】
眼屈折力測定光学系は、赤外光を照射する測定光源62、レンズ64、絞り66、ハーフミラー68、レンズ70、波長選択ミラー26、レンズ24、波長選択ミラー22、絞り72、レンズ74、光軸方向に移動可能なCCD76が設けられて構成されている。ここで、ハーフミラー68は、測定光源62からの光の一部を透過すると共に残りを反射する。測定光源62から発せられた光束は、レンズ64、絞り66を介してハーフミラー68で光束の一部が透過され、レンズ70を介して波長選択ミラー26で反射し、レンズ24を介して波長選択ミラー22を透過されて被検眼Eの眼底に照射される。被検Eの眼底で反射された光束が、波長選択ミラー22を透過し、レンズ24を介して波長選択ミラー26で反射され、レンズ70を介してハーフミラー68で光束の一部が反射され、絞り72、レンズ74を介してCCD76に導かれるようになっている。
【0026】
次に、
図3に、本発明における眼屈折力測定装置の外観図を示す。装置光学系10は、
図3に示す眼屈折力測定装置100に収容されている。眼屈折力測定装置100は、ベース102の上に本体部104が設けられており、かかる本体部104の上にケース106が前後左右および上下動可能に設けられて構成されている。ベース102には、電源装置が内蔵されていると共に、操作スティック108が設けられており、かかる操作スティック108を操作してケース106を駆動せしめることができるようにされている。また、本体部104には、後述する各制御回路などが収容されていると共に、例えば液晶モニタなどからなる表示画面110が設けられている。
【0027】
さらに、
図4に、本発明における眼屈折力測定装置の概略ブロック構成回路図を示す。眼屈折力測定装置には、装置光学系10の駆動手段としての駆動回路112が設けられている。X軸駆動機構114、Y軸駆動機構116、Z軸駆動機構118は、それぞれ駆動回路112に接続されて、駆動回路112からの駆動信号に基づいて駆動せしめられるようにされている。また、XYアライメント2次元検出センサ54は、XYアライメント信号処理回路120に接続されており、かかるXYアライメント信号処理回路120は、駆動回路112に接続されている。また、Zアライメント2次元検出センサ60は、Zアライメント信号処理回路122に接続されており、かかるZアライメント信号処理回路122は、反射光が鏡面反射か乱反射かを判別する判別手段としての反射光判別回路124を介して駆動回路112に接続されている。これにより、XYアライメント2次元検出センサ54及びZアライメント2次元検出センサ60の検出情報が駆動回路112に入力されるようになっている。そして、装置光学系10のZ方向の位置の制御を行なうZ方向位置制御手段としてのZ方向位置制御回路126が駆動回路112に接続されている。さらに、眼屈折力測定装置には、駆動回路112に眼屈折力を測定するための測定系128が接続されている。
【0028】
次に、このような構造とされた眼屈折力測定装置において、駆動回路112が実行する眼屈折力の測定手順の概略を
図5に示し、以降、順に説明する。
【0029】
まず、S1において、被検眼Eに対して、手動によって装置光学系10のX方向及びY方向の位置合わせ(XYアライメント)を行なう。かかるXYアライメント時には、視標光源34から照射された視標光が被検眼Eに導かれる。そして、被検者にかかる視標光を固視させることによって、被検眼Eの光軸方向を、観察光学系の光軸O
1の方向と一致させることができる。かかる状態下で、照明光源20,20から照射されて、被検眼Eの前眼部で反射された光束がCCD32上に導かれる。これにより、
図6に示すように、表示画面110上に、被検眼Eの前眼部が表示される。
【0030】
さらに、表示画面110上には、XYアライメント2次元検出センサ54によりX方向の位置とY方向の位置を検出可能な領域を示す矩形枠形状のXYアライメント検出可能領域130が、被検眼Eに重ねて表示される。それと共に、アライメント光源42から被検眼Eに向けて照射された光束が、被検眼Eの角膜Cで反射されてCCD32に導かれることによって、表示画面110に、点状の角膜輝点R
XYとして表示されるようになっている。そして、操作者は操作スティック108を操作することによって、装置光学系10を駆動せしめて、角膜輝点R
XYがXYアライメント検出可能領域130の枠内に入るように、装置光学系10の位置を調節する。
【0031】
また、アライメント光源42が照射されて、被検眼Eの前眼部で反射された光束の一部は、ハーフミラー28で反射されて、XYアライメント2次元検出センサ54に導かれるようになっている。
【0032】
次に、S2において、XYアライメント2次元検出センサ54は、角膜輝点R
XYがXYアライメント検出可能領域130の枠内に入り、角膜輝点R
XYが検出されると、XYアライメント信号処理回路120に入力される。XYアライメント信号処理回路120は、XY輝度分布情報を取得する。より具体的には、
図7に示すように、XYアライメント2次元検出センサ54は、水平方向にm列、垂直方向にn行の画素から構成されており、列及び行の番号は0から始まるものとする。
図8に示すように、受光面上の垂直方向のラインl
Xi(i=0〜m)、水平方向のラインl
Yj(j=0〜n)上の画素の輝度を積算することで、受光面全体のXY輝度分布情報を取得する。そして、XY輝度分布情報から得られたX方向及びY方向位置を駆動回路112に出力する。
【0033】
次に、S3において、駆動回路112は、X方向の位置情報に基づいて観察光学系の光軸O
1が被検眼Eの光軸に近づくようにX軸駆動機構114を駆動すると共に、Y方向の位置情報に基づいて観察光学系の光軸O
1が被検眼Eの光軸に近づくようにY軸駆動機構116を駆動せしめる。これにより、装置光学系10の被検眼Eに対するXY方向の位置合わせが行われる。
【0034】
次に、S4において、被検眼Eに対して、手動によって装置光学系10のZ方向の位置合わせ(Zアライメント)を行なう。かかるZアライメント時には、アライメント光源42を発光せしめて、アライメント光源42から照射された赤外光束を、被検眼Eの前眼部に対して正面から照射すると共に、前眼部から反射された光束が、Zアライメント2次元検出センサ60に導かれるようになっている。
【0035】
そこにおいて、
図9にモデル的に示すように、被検眼EがZアライメント検出光学系に対してZ方向で相対的に前後すると、被検眼Eからの反射される反射光束:O
Z1,O
Z2がZアライメント2次元検出センサ60に入射する位置は、目的とする基準位置に位置せしめられた被検眼Eから反射される反射光束:O
Z0の入射位置から偏移する。その結果、
図10にモデル的に示すように、目的とする位置から外れた反射光束:O
Z1,O
Z2のZアライメント2次元検出センサ60によって検出される受光面での反射像:R
Z1,R
Z2の位置は、目的とするZ方向位置における反射光束O
Z0によって検出される反射像:R
Z0の位置(基準位置。オフセット量=0)から偏移する。これにより、Zアライメント2次元検出センサ60によって検出された反射像の基準位置からのオフセット量に基づいて、装置光学系10と被検眼Eとの距離を特定することが可能となる。
【0036】
次に、S5において、Zアライメント2次元検出センサ60は、受光面にて反射像R
Zが検出されると、Zアライメント信号処理回路122に入力される。Zアライメント信号処理回路122は、Z輝度分布情報を取得する。より具体的には、Zアライメント2次元検出センサ60は、XYアライメント2次元検出センサ54と同様に、水平方向にm列、垂直方向にn行の画素から構成されており、列及び行の番号は0から始まるものとする。
図11に示すように、受光面上の垂直方向のラインl
Zi(i=0〜m)上の画素の輝度を積算することで、受光面全体のZ輝度分布情報を取得する。なお、
図12に、(a)角膜の鏡面反射を検出したとき,(b)まぶたや頬等の乱反射を検出したときに取得したZ輝度分布情報を示す。
【0037】
次に、S6において、Zアライメント信号処理回路122で取得されたZ輝度分布情報を反射光判別回路124で処理して、反射光が角膜の鏡面反射かまぶたや頬等の乱反射かを判別する。反射光判別回路124における第一の判別として、本実施形態では、Zアライメント信号処理回路122によって取得されたZ輝度分布情報を用いて、予め設定された輝度値の第一閾値よりも高い輝度値を有する画素が存在するか否かを判定するようになっている。なお、予め設定される輝度値の第一閾値は、より具体的には、例えば、輝度値が0〜255で表されている場合、輝度値128と設定されている。
【0038】
ここで、反射光判別回路124における第一の判別において、第一閾値よりも高い輝度の画素が検出されなかった場合には、反射光がまぶたや頬等の乱反射であると推測され、次にS7の処理が行なわれる。
【0039】
一方、反射光判別回路124における第一の判別において、第一閾値よりも高い輝度の画素が検出された場合には、反射光が角膜の鏡面反射であると判断される。この場合には、S9の処理が行なわれる。
【0040】
次に、S7において、反射光判別回路124における第二の判別として、本実施形態では、Zアライメント信号処理回路122によって取得されたZ輝度分布情報を用いて、予め設定された第二閾値を超える半値幅の大きさか否かを判定するようになっている。なお、予め設定される第二閾値は、より具体的には、例えば、角膜輝点R
XYの直径の5倍の大きさで設定されている。
【0041】
ここで、反射光判別回路124における第二の判別において、予め設定された第二閾値を超える半値幅の大きさであった場合には、反射光がまぶたや頬等の乱反射であると判断され、次にS8の処理が行なわれる。
【0042】
一方、反射光判別回路124における第二の判別において、予め設定された第二閾値を超える半値幅の大きさでなかった場合には、反射光が角膜の鏡面反射であると判断され、S9の処理が行なわれる。
【0043】
S8において、駆動回路112は、Z方向の位置を制御するようZ方向位置制御回路126に入力する。Z方向位置制御回路126は、被検眼Eに対して装置光学系10が予め設定された接近距離以上に近づかないようにZ方向の位置を制御する。そして、再びS4の処理が行なわれる。
【0044】
S9において、反射光判別回路124により反射光が角膜の鏡面反射であると判断された場合には、駆動回路112は、Zアライメント信号処理回路122が検出したZ方向の位置情報に基づいてZ軸駆動機構118をZ方向の前方又は後方に駆動せしめることによって、装置光学系10の被検眼Eに対するZ方向の位置合わせが行われる。
【0045】
このようにして、XY方向とZ方向のアライメントが行なわれた後、S10において、駆動回路112は、眼屈折力の測定をするよう測定系128に入力する。眼屈折力測定は、被検眼Eの眼底に測定光を投影し、被検眼Eの眼底からの反射光を受光し、得られた反射光の情報を用いて演算することにより被検眼Eの屈折力を測定するものであるが、この測定機構自体の説明は本発明とは関係が薄いので、これを省略する。測定機構の詳細については、本出願人による特開2003−102687号を参照されたい。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0047】
例えば、本実施形態では、被検眼EがZアライメント検出光学系に対してZ方向で相対的に前後すると、Zアライメント2次元検出センサ60で検出される受光面での反射像R
Zが水平方向に偏移する光学配置となっているため、垂直方向のラインl
Zi(i=0〜m)上の画素の輝度を積算する構成を開示しているが、反射像R
Zが垂直方向に偏移する光学配置とした場合には、水平方向のライン上の画素の輝度を積算することになる。
【0048】
また、本実施形態では、反射光判別回路124において、予め設定された輝度値の第一閾値よりも高い輝度値を有する画素が存在するか否かを判定する第一の判別及び予め設定された第二閾値を超える半値幅の大きさか否かを判定する第二の判別を行なっているが、これに限定されず、予め設定された輝度値の第一閾値よりも高い輝度値を有する画素が存在するか否かを判定する第一の判別のみの構成にしてもよい。なお、第一の判別及び第二の判別の両方を行なうことで、より精度よく反射光が鏡面反射か乱反射かを判別することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、Zアライメント2次元検出センサ60を用いて行なっているが、これに限定されず、1次元検出センサを用いる構成にしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、Zアライメント検出光学系において、アライメント光源42からの光束を被検眼に対して正面から投影して、斜めからZアライメント2次元検出センサ60によって受光しているが、これに限定されず、被検眼に対して斜めから光束を投影して斜めから受光する構成や、被検眼に対して斜めから光束を投影して正面から受光する構成にしてもよい。
【0051】
また、本実施形態に示した眼屈折力測定装置における採用はあくまで例示であって、被検眼Eに対してZ方向のアライメント駆動を行なう装置、例えば、眼圧計や角膜形状測定装置等において採用可能であることは言うまでもない。