【文献】
銀行業界は「指」と「手のひら」に二分化? 三井住友に続き、郵貯・みずほも指静脈採用を正式発表 日本郵政公社/みずほ銀行/三井住友銀行,CardWave,日本,(株)シーメディア,2005年 3月18日,第18巻 第4号,p53
【文献】
進化するカード周辺技術〜2001年最新カードテクノロジー一挙紹介,CardWave,日本,株式会社シーメディア,2001年 3月10日,第14巻 第4号,p31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記認証サーバは、前記撮像された顧客の画像と、予め記憶された背景、人物、動物、キャラクタの画像のうちから少なくとも一つの画像とを合成する合成画像出力部を備え、前記特典サービスにおいて表示または配信するデータに、前記合成された画像を付加することを特徴とする、請求項1に記載の銀行システム。
前記特典サービス提示手段は、前記判定された笑顔度に加え、撮像された顧客の顔画像に対する他人の評価データを収集する手段を有し、前記評価データから求めた笑顔ランキングを、前記特典サービスの提示条件に加えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の銀行システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献に示された「笑顔」に関する技術は、デジタルカメラやゲーム機の要素技術として開発されたものであるが、この「笑顔」に関する技術を、顧客満足度向上のために利用するようなシステムとして提供されたものはまだ少ない。顧客満足度の向上は、銀行にとっても例外ではなく、特に、銀行店舗においてしばしば見られるような、ATMの前の長蛇の列や窓口で長時間することがなく待たされることは顧客にとっては時間の浪費であり、顧客満足度の低下の一因ともなっている。また、最近の若者は、お金を引き出すのに銀行ではなくコンビンニエンス・ストアで行う、ということもしばしば聞かれる。このように若者にとっては、銀行の店舗に行く機会が減ってきている。
【0006】
欧米では、カスタマー・エクスペリエンス(顧客理解)戦略に基づき、例えば、銀行の店舗をホテルのロビーのような空間にしたり、大画面タッチパネルで情報提供したり、地元歌手のミニコンサートを開くなどして、顧客が居心地のよい店舗で長時間滞在し、行員と多くの会話をしてもらうようにすることで、預かり資産の増加を達成している銀行も存在する。このように、顧客との接点の最前線である銀行店舗をいかに顧客満足度の向上につなげるかが一つの課題となっている。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑み、なされたものであり、「笑顔」に関する技術を銀行店舗の環境に応用し、銀行のイメージアップや顧客満足度の向上に役立つシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するため、本発明の銀行システム(笑顔を銀行店舗にもたらすシステムの意味で、以降、「スマイルバンキング・システム」と呼ぶことにする)は、以下のような特徴を備える。
【0009】
顧客の金銭取引に関する要求を受付けるATMと、
前記顧客の認証を行う認証サーバが接続された銀行システムにおいて、前記ATMは、顧客の画像を撮像する画像撮像部と、前記撮像された画像から前記顧客の顔画像を検出する顔画像検出部と、前記顔画像の笑顔度を判定して前記笑顔度に応じた
特典サービスを提示するスマイル処理部を備えており、前記スマイル処理部は、前記顧客に対して、笑顔を誘導するための予め記憶されたテキスト、画像、音声のうち、少なくとも一つを選択して出力する笑顔誘導手段と、前記撮像された顔画像の笑顔度を数値化して判定する笑顔度判定手段と、前記判定された笑顔度に応じ
て予め定められた特典サービスを顧客に選択させる特典サービス提示手段と
、を有し、前記認証サーバは、前記ATMから要求された顧客の認証に加え、前記特典サービスを実行する特典サービス実行部を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、銀行店舗に設置されたATMが、顧客の笑顔を誘う笑顔誘導手段を有しており、これによって自然に誘導された顧客の笑顔を撮像する。さらにATMは、撮像された顧客の画像(主に上半身の画像)から顔画像の部分を抽出して、その顔画像の「笑顔度」を判定する。そして、判定された笑顔度に応じて予め定められた特典サービスを顧客に提示し選択させる。認証サーバは、顧客の認証に加えて、選択された特典サービスを実行する。すなわち、顧客は、ATMの操作を行う際に、自分の笑顔の画像を撮影することで、その笑顔度に応じて銀行からの特典サービスを受けることができる。ここで、特典サービスとは、例えば、住宅ローンやカードローン等の金利優遇が考えられるが、銀行サービスとは直接関係がないものであってもよい。
【0011】
このようにすることで、顧客にとっては、ATM操作のついでに自分の写真をとるだけで特典サービスが受けられる上に、ATMを操作する楽しみができ、銀行の店舗が親しみのわく場となる。銀行にとっては、店舗を訪れる顧客が多くなることが期待でき、また、笑顔のあふれた銀行との印象を得ることができるので企業イメージが高まる。ここで、顧客が特段大笑いしなくとも、「くすっ」と笑うだけでも周囲を和ませる効果がある。
【0012】
また、上記の銀行システムは、さらに以下の特徴を備えることができる。
前記認証サーバは、前記撮像された顧客の画像と、予め記憶された背景、人物、動物、キャラクタの画像のうちから少なくとも一つの画像とを合成する合成画像出力部を備え、前記特典サービスにおいて表示または配信するデータに、前記合成された画像を付加することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、認証サーバが特典サービスを実行する一つの手段として、撮像された顧客の画像と、予め記憶された画像(背景、人物、動物、キャラクタ等)とを合成し、顧客が好む合成画像(例えば、好みの俳優やかわいい動物とのツーショト画像等)を作成する。作成された合成画像は、特典サービスとして、表示または配信されるデータに付加され、顧客は、合成された自分の画像をいろいろな場面で楽しむことができる。また、プリクラ(登録商標)風に印刷できるような合成画像を作成できるようにすれば若者にも親しまれる。
【0014】
また、上記の銀行システムは、さらに以下の特徴を備えることができる。すなわち、前記特典サービスにおいて表示
又は配信するデータは、時刻、天気、ニュース、広告のうち少なくとも一つの文字情報または画像情報を
、前記顧客の顔画像に合成した画像を含むこと特徴とする。
【0015】
また、上記の銀行システムは、さらに以下の特徴を備えることができる。すなわち、前記特典サービスにおいて配信するデータは、ダイレクトメールであることを特徴とする。
このようにすることで、銀行から顧客に送付されるダイレクトメール等に自分写真の合成画像が印刷されるので、顧客にとってはダイレクトメールへの関心が高まり、銀行にとってもダイレクトメールが読まれずに破棄されることを少なくすることができる。なお、ダイレクトメールは、電子メールのみならず印刷物であってもよい。
【0016】
また、上記の銀行システムは、さらに以下の特徴を備えることができる。すなわち、前記特典サービス提示手段は、前記判定された笑顔度に加え、撮像された顧客の顔画像に対する他人の評価データを収集する手段を有し、前記評価データから求めた笑顔ランキングを、前記特典サービスの提示条件に加えることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、自己の笑顔に対して、ATMによって機械的に判断された「笑顔度」に加え、他人の投票による「笑顔ランキング」も特典サービスの提示条件に加えることができるので、顧客にとって、より価値の高い特典サービスの提供を受けることができる可能性が高まる。
【0018】
顧客の金銭取引に関する要求を受付けるATMと、前記顧客の認証を行う認証サーバが接続された銀行システムにおいて、前記ATMは、前記顧客の画像を撮像する画像撮像手段と、前記撮像された画像から前記顧客の顔画像を検出する顔画像検出手段と、笑顔撮影を行うか否かを前記顧客に選択させる選択手段と、前記笑顔撮影が選択された場合において、前記顧客に対して、笑顔を誘導するための予め記憶されたテキスト、画像、音声のうち、少なくとも一つを選択して出力する笑顔誘導手段と、を備え、前記認証サーバは、前記検出された顔画像を前記ATMから受信し、前記顔画像の笑顔度を判定する笑顔度判定手段と、前記判定された笑顔度が所定の値より低い場合には前記ATMからの特定の操作を不可とする笑顔認証手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、本発明の銀行システムでは、顧客の顔画像を抵抗なく撮像することができる利点を生かして、撮像した顔画像を用いて顔認証を同時に行うことができる
。このようにすることで、銀行で自分の顔の写真を撮ることに抵抗感が少なくなり、暗証番号だけでなく、より安全性が高い認証手段として、顔認証を利用する顧客が増えることが期待される。また、無理やりに、「お金を下ろせ」、と命令されたような状況下では笑顔はできないので、引き出し、振込みを実施する場合は、犯罪防止のために、笑顔度が○○%で以上でないと操作不可とするような制限をかけることも可能である。
【0020】
以上の解決手段で示した本発明の銀行システムは、店舗に設置されたATMと認証サーバとで構成するようにしたが、ネットバンキングを主に利用する顧客のために、ネットバンキング・サーバと認証サーバを以下のような構成にしても実現できる。
【0021】
顧客端末と、前記顧客端末からネットワークを介して取引要求を受付けるネットバンキング・サーバと、
前記顧客の認証を行う認証サーバとが接続された銀行システムにおいて、前記顧客端末は、顧客の画像を撮像する画像撮像部を備え、前記ネットバンキング・サーバは、前記顧客端末から前記撮像された画像を受信し、前記顧客の顔画像を検出する顔画像検出部と、前記顔画像の笑顔度を判定して前記笑顔度に応じた
特典サービスを提示するスマイル処理部と
、を備えており、前記スマイル処理部は、前記顧客に対して笑顔を誘導するための予め記憶されたテキスト、画像、音声のうち、少なくとも一つを選択して出力する笑顔誘導手段と、前記撮像された顔画像の笑顔度を数値化して判定する笑顔度判定手段と、前記判定された笑顔度に応じて予め定められた特典サービスを顧客に選択させる特典サービス提示手段と、を有し、前記認証サーバは、前記ネットバンキング・サーバを介して、前記顧客端末から要求された顧客の認証に加え、前記特典サービスを実行する特典サービス実行部を備えることを特徴とする
【0022】
また、本発明は、以下のように、ATMまたはネットバンキング・サーバが、認証サーバに接続された銀行システムにおける顧客サービス提供方法と捉えることも可能である。
【0023】
顧客の金銭取引に関する要求を受付けるATMと、顧客端末と、前記顧客端末からネットワークを介して取引要求を受付けるネットバンキング・サーバと、
前記顧客の認証を行う認証サーバとが接続された銀行システムにおける
特典サービス提供方法であって、前記ATMまたは前記顧客端末が顧客の画像を撮像し送信する段階と、前記ネットバンキング・サーバまたは前記認証サーバが、前記撮像された画像を受信し、前記顧客の顔画像の部分を検出する段階と、前記顧客に対して笑顔を誘導するため
の予め記憶されたテキスト、画像、音声のうち、少なくとも一つを選択して出力する笑顔度誘導段階と、前記撮像された顔画像の笑顔度を数値化して判定する笑顔度判定段階と、前記判定された笑顔度に応じて予め定められた特典サービスを顧客に選択させる特典サービス選択段階と
、を実行し、前記認証サーバが、前記顧客端末から要求された顧客の認証に加え、前記特典サービスを実行する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、顧客の笑顔を銀行店舗に呼び込むための様々な工夫を盛り込んだ新しいATMや店舗端末を提供でき、銀行に対するイメージアップや顧客満足度を向上させるシステムを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号(符号)を付している。
【0027】
図1は、本発明のスマイルバンキング・システムの第一の実施形態に係るスマイルATMの概略の外観を示す図である。「スマイルATM」とは、本発明のスマイルバンキング・システムを構成する、顧客の笑顔(スマイル)を誘導する手段、および顧客の笑顔を撮像する手段、顧客の笑顔度を判定する手段等、を備えた新しい概念のATM(Automated Teller Machine;現金自動預払機または自動取引装置)の呼称である。
【0028】
図示するように、スマイルATM10は、外観上は通常のATMと大差はなく、顧客の入力操作キー(操作ボタン)および操作ガイドや操作内容を表示するタッチパネル15(「ATMサービス表示/操作部」とも呼ぶ),預金通帳を読み込み印字する通帳記入部17A,キャッシュカードや振込カードを読み込むカード読取部17B(利用明細票の印字部と一体になっていることもある),硬貨の出し入れを取り扱う硬貨入出金部17C,紙幣の出し入れを取り扱う紙幣入出金部17Dを備える。さらに、顧客の笑顔(スマイル)を取得する手段として、ATM10は、画像表示部11、画像撮像部12,音声出力部13を備える。また、特に図示していないが、指紋認証や手のひら認証などの生体認証機構を備えていてもよい。なお、本ATMは、顧客が座った状態でも操作できるように、イスおよび操作部および表示部の高さが適切に設計されていることが望ましい。
【0029】
画像表示部11は、タッチパネル15(ATMサービス表示/操作部)で代用することもできるが、図のようにタッチパネル15とは別に、顧客と対面するように配置された表示装置で構成することが望ましい。もちろん、画像表示部11は、表示だけでなく入力を受付けるように別のタッチパネルで構成してもよい。画像撮像部12は、ATMの操作に来た顧客の画像を撮像するために設けられたデジタルカメラである。詳しくは後述するが、顧客がATMの前に座ると、顧客を笑顔に誘導するための様々な画像やテキストが画像表示部11とタッチパネル15に表示され、それに伴う音声(音楽、効果音等を含む)が音声出力部13から出力されるようになっている。
【0030】
画像表示部11には、上記の笑顔誘導画像やテキストの他、被写体となる顧客の画像も表示される。顧客は、自分の顔を確認しながら、所定の操作(例えば、タッチパネル15または画像表示部11に表示されたシャッターボタンを押下する)をすると、画像撮像部12のカメラのシャッターが下り、顧客のその瞬間の画像が記録される。記録された画像は、確認のため画像表示部11に直ちに表示される。音声出力部13は、典型的には、スピーカと音声出力回路で構成されるが、他にヘッドフォンなどを追加してもよい。また、音声出力部13は、タッチパネル15の操作を音声でガイドするための音声ガイド出力部(図示せず)と兼用してもよい。スマイルATM10は、このように通常のATMにはない画像の撮像、表示機能、音響出力機能を備えるが、通常のATMとしても機能することはいうまでもない。
【0031】
図2は、スマイルATM設置店舗のイメージを示す図である。本発明のスマイルバンキング・システムを導入する銀行の店舗は、顧客が店内に心地よく滞在できる空間を提供することが好ましい。例えば、図示するように、顧客に有用な情報を常時表示する大型ディスプレイ30A、顧客がデスクに座って店内で直接操作できる顧客端末30B、BGMが流れ、ゆったりと座れるソファーやイスを装備する。上述のスマイルATM10は、専用端末として、通常のATMコーナとは別に、このような店舗内に設置され、他の顧客の視線を気にせずに操作できる環境にあることが望ましい。
【0032】
図3は、本発明のスマイルバンキング・システムの第一の実施形態に係るスマイルATMの機能ブロックを示す図である。このスマイルATM10は、外部機能ブロックとして、
図1で説明したように、画像表示部11,画像撮像部12,音声出力部13,タッチパネル15(ATMサービス表示/操作部),通帳記入部17A,カード読取部17B,硬貨入出金部17C,紙幣入出金部17Dを備える。さらに、内部機能ブロックとして、顔画像検出部14,スマイル処理部16,認証要求部18を備えている。外部機能ブロックについては、
図1で既に説明したので再度の説明は省略する。
【0033】
顔画像検出部14は、画像撮像部12で撮像された顧客の画像から顔の部分を検出して抽出する。顔の部分の検出は、一般に、「顔認識システム」(Facial Recognition System)とよばれる技術を利用する。顔認識システムは、ライブ画像内の顔と思われる部分を抜き出し、顔面画像データベース(図示せず)と比較することで本人の顔かどうかの識別を行う技術である。すなわち、顔画像から目立つ特徴を抽出することで識別を行う。例えば、顔のパーツの相対位置や大きさ、目や鼻やほお骨やあごの形を特徴として利用する。そのような特徴を使い、一致する特徴のある画像を検索する。顔認識システムについては、デジタルカメラ等で広く利用されている公知の技術なので詳しい説明は省略する。
【0034】
スマイル処理部16は、さらに、スマイルATM10の前に座った顧客に対して、自然と笑顔を誘導するためのテキスト、画像、音声などを選択して出力する笑顔誘導手段16A,顔画像検出部14によって検出された顔画像の「笑顔度」を判定する笑顔度判定手段16B,判定された笑顔度に応じて予め定められた特典サービスを表示し顧客に提示し選択させる特典サービス提示手段16Cから構成される。
【0035】
笑顔誘導手段16Aは、顧客がATMの前に座ったことを検知すると、自動または半自動で起動され、笑顔を誘導するようなテキスト、画像、音声等を出力する。笑顔誘導手段16Aが起動するタイミングは、ATM取引操作の開始前、取引操作途中、取引操作終了後のいずれであってもよい。例えば、取引開始前であれば、タッチパネル15のATMメニュー画面に、思わず笑いたくなるような、言葉,画像(動画、アニメーションを含む)を表示する。さらに、画像表示部11にも笑顔誘導効果を高めるための別の言葉や画像が表示され、それに伴って、音声や音響効果を音声出力部13から流すようにしてもよい。
【0036】
笑顔誘導のための画像、テキスト、音声等は、予めスマイルATM10または外部のサーバ(後述のスマイル認証サーバ20)に記憶されるが、取り出される画像等はランダムであってもよいし、季節や時事ニュース等の情報を加味して選択するようにしてもよい。また、顧客がキャッシュカードや通帳をATMに挿入した後であれば、顧客のプロファイル(年齢、性別等)や取引内容にあった内容を出力するようにしてもよい。このようにすることで、笑顔誘導手段16Aによって出力された画像等を見た顧客は、カメラの前で無理に作り笑いすることなく自然と笑顔がこぼれ、そのままシャッターを押すことができる。また、顧客は、カメラのシャッターを押さずとも、単にATMを操作するだけで楽しい気分になることができる。なお、笑顔誘導手段の具体例については後述する。
【0037】
認証要求部18は、キャッシュカードを挿入した後、暗証番号の入力を求め、銀行のホストコンピュータまたは認証サーバに本人確認を要求する働きを行う。ATMが対応していれば、暗証番号の代わりに、指紋認証や手のひら認証等の手段を用いてもよい。なお、詳しくは第二の実施形態として説明するが、スマイルATM10では、顧客の顔画像の撮像手段を有しているので、ここで撮像された顔画像を認証に用いてもよい。このようにすることで、顔画像の撮影が自然に行われ、より認証の安全性の高い顔認証システムの普及にも役立つことが期待できる。
【0038】
スマイル認証サーバ20は、スマイルATM10と銀行内のネットワークで接続され、顧客の本人認証を行う他、スマイルATM10のスマイル処理部16の主に後処理を行うサーバである。また、スマイルATM10と接続するだけでなく、銀行のホストコンピュータとも専用ネットワークで接続し、振込や引き出し等の通常の取引処理要求をスマイルATM10から受け付けて、取引の前処理である本人認証やホストコンピュータとの中継処理を行うようにしてもよい。このような構成では、スマイル認証サーバ20の認証部27は、スマイルATM10の認証要求部18から認証要求データやその他のデータを受付けて、ホストコンピュータにデータを送受信する中継の役割をはたす。また、スマイル認証サーバ20は、後述するような特典サービスの実行処理を行うため、銀行内端末30やDM配信サーバ40と、スマイルATM10やホストコンピュータとは別のネットワーク(典型的にはインターネット)で接続される。
【0039】
笑顔画像登録部21は、ATM10の笑顔度判定手段16Bが判定した笑顔度としての数値データを付与された顔画像を笑顔画像DB25に格納し、笑顔ランキング取得部22に処理を渡す。笑顔ランキング取得部22は、笑顔画像DB25に登録された他の顧客の顔画像と今回撮像された顔画像の笑顔度を比較し、笑顔度(笑顔ランキング)の順位を決定する。また、銀行内端末30(例えば、
図2の大型ディスプレイ30Aや顧客端末30B)に笑顔投票画面を表示し、他の顧客からの顔画像に対する人気投票を受け付けることもできる。そして、集められた投票データから笑顔ランキングを決定するようにしてもよい。笑顔画像の投票受付手段は、任意のタイミングで銀行内の端末に表示する。また、銀行内端末30以外にも、銀行から配信するダイレクトメール(DM)等に投票受付手段(笑顔投票画面へのリンク等の情報)を付加して、DM配信サーバ40から顧客の自宅PCや携帯電話に送信するようにしてもよい。なお、ダイレクトメールが印刷物の場合は、DM配信サーバ40から同様なダイレクトメールの原稿がDM作成センター等に送られるようにしてもよい。
もちろん、笑顔投票にエントリするか否かについては、その顧客の判断を求める手段を有するものとする。なお、笑顔投票期間終了後は、笑顔画像に笑顔ランキング値を付加して笑顔画像DB25に格納しておく。
【0040】
特典サービス実行部23は、今回撮像された顔画像の笑顔度と笑顔ランキング取得部22から得られた笑顔ランキングとを用いて、後述の笑顔度特典サービス関連付テーブル100に基づいて、顧客に提供できる特典サービスのリストを生成する。得られた特典サービスのリストは、スマイルATM10の特典サービス提示手段16Cに送信され、特典サービス提示手段16Cがそれをメニュー形式で表示し、顧客が望む特典サービスを選択させる。選択された特典サービスが合成画像を作成するものであれば、処理を合成画像出力部24に処理を渡す。選択された特典サービスが合成画像の作成を伴わないものであれば、サービスの内容によって必要な処理を実行する適切なシステムに処理を渡す。例えば、選択された特典サービスがローンの優遇金利を設定するものであれば、それぞれのローンの金利を管理・設定するシステム(図示せず)に処理を渡す。また、特典サービス実行部23は、後述する「笑顔ポイント」の付与や特典サービスとの交換も管理する。
【0041】
合成画像出力部24は、顧客が選択した特典サービスの一つとして、笑顔画像DB25から笑顔画像を読み出し、他の画像と合成画像を作成する機能を有する。また、画像編集機能を有してもよい。他の画像とは、合成用画像DB26に格納され、背景、人物、動物、キャラクタ等の様々な画像であり、顧客の笑顔画像と合成することで、より楽しい画像を得られるような素材集である。どの画像と合成するかは、顧客がスマイルATM10や顧客端末30B等から選択できるものとするが、顔画像の笑顔度や笑顔ポイントに応じて、合成できる画像の種類に差をつけるようにしてもよい。また、合成された画像自体も笑顔投票の対象としてもよい。また、合成画像出力部24は、合成された笑顔画像をスマイルATM10の画像表示部11や銀行内端末30に表示させたり、DM配信サーバ40に出力する役割も果たす。この場合、表示先である銀行内端末30は、店舗内の端末だけでなく他の支店の端末や顧客の自宅PCや携帯電話であってもよい。また、DMの配信先についても、同様に、顧客の自宅PCや携帯電話であってよい。
【0042】
なお、
図3に示した機能ブロックは、あくまでも一例であり、一つの機能部を分割したり、複数の機能部をまとめて一つの機能部として構成してもよい。サーバ装置も一台とは限らず、複数台であってもよい。各機能部は、サーバ装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only
Memory)またはハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されるコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わない。
【0043】
図4は、笑顔度についてのイメージを示す図である。既に説明したように、笑顔度は、スマイルATM10の笑顔度判定手段16Bによって判定された顔画像に対する笑顔評価の数値である。例えば、笑顔度を0〜100%の数値で表すとすると、100%近辺が満面の笑顔、50%程度が普通のスマイル程度の笑顔であり、0%に近づくほど笑顔でないと判定される(0%近くは、悲しそうな顔や怒った顔となる場合もある)。笑顔度の数値化には、特許文献1〜3に記載されたような公知の技術を用いてよい。例えば、特許文献3の技術では、数千人の顔画像を元に作成した3次元顔形状モデルを2次元の顔画像に高速に適合させる3Dモデルフィッティング技術を用いて、顔の形状を高速に測定し目や口の形状をリアルタイムにとらえ、さらに目や口の周辺については、笑顔に特徴的な顔のしわなどの変化を詳細にとらえ、これらの変化を統計的手法によって解析している。
【0044】
図5は、笑顔度特典サービス関連付テーブルの一例を示す図である。笑顔度特典サービス関連付テーブル100は、笑顔度判定手段16Bによって判定された笑顔度と、笑顔ランキング取得部22によって得られた笑顔ランキングと、顧客に提供する特典サービスの関連付けを定めたテーブルである。例えば、この図の例では、笑顔度100%の場合は、笑顔ランキングに応じた「笑顔ポイント」が付与されるようになっている。笑顔ランキングは、顧客の顔画像の笑顔度と、笑顔画像DB25に登録保存された他の顧客の笑顔度とを比較することで相対的に求めてもよいし、あるいは、前述の「笑顔投票」を銀行内で行い、他の顧客等からの投票によって求めてもよい。また、「笑顔ポイント」とは、銀行内の所定の特典サービスと交換できるポイントのことである。笑顔ポイントが多いほどより価値の高い特典サービスを受けられる。この例のテーブルにおいては、笑顔度90〜99%では、住宅ロンーンの金利優遇サービス、笑顔度80〜89%では、後述する「笑顔時計」などに登録できるサービス、笑顔度70〜79%では、好きな俳優等とのツーショット合成画像を作成できるサービスが、それぞれ笑顔ランキングに応じて定められている。例えば、この例では、笑顔度100%であっても、獲得できる笑顔ポイントの数が笑顔ランキングによって変化するようになっている。もちろん、笑顔度と特典サービス、あるいは笑顔ランキングと特典サービスをそれぞれ独立に関連付けるようにしてもよい。
【0045】
図5のテーブルは、あくまでも一例であり、一つの笑顔度、笑顔ランキングの組み合わせに対して、複数の特典サービスを定め、その中から顧客が望む特典サービスを選択できるようにテーブルを構成してもよい。特典サービス提示手段16Cは、この笑顔度特典サービス関連付テーブル100を用いて、顧客の笑顔画像に対する笑顔度、笑顔ランキングに基づいて、顧客に提供する特典サービスの内容を、タッチパネル15(ATMサービス表示/操作部)に表示する(
図3参照)。タッチパネル15に表示された特典サービスに対して、例えば、俳優との合成画像作成サービスを選択すると、複数の俳優の画像が表示され、顧客は、その中から希望の俳優を選択することができる。顧客に選択された合成画像の情報は、スマイル認証サーバ20の合成画像出力部24に送信され、合成画像の作成や、合成された画像の出力先の制御に用いられる。
【0046】
図6は、本発明の第一の実施形態に係るスマイルATMとスマイル認証サーバの処理フローを示す図である。この図では、スマイルATM10を単にATM、スマイル認証サーバ20を単に認証サーバと呼ぶことにする。
【0047】
まず、ATMは、ATMに装備したセンサーによって、ATMの前の顧客の存在を検出すると(ステップS10;Yes)、笑顔誘導画像を表示する(ステップS11)。画像だけでなくテキストや音声もある場合は、ここで同時に出力する。次に、顧客によってカメラのシャッターボタンが押されると(ステップS12;Yes)、顧客の画像を撮像し記憶する。
【0048】
ステップS13では、シャッターが押された時点で記憶した画像の分析を行い、顔部分を検出して抽出する顔画像抽出処理を行う。次に、ステップS14において、笑顔度判定処理が行われる。ステップS13,ステップS14の処理は、公知の技術であるため、ここでは説明を省略する。次に、ATMは、ステップS15において、顧客にキャッシュカード等のカードの挿入を求め、読み込んだカードデータを認証サーバに送信する。また同時に、ステップS14で笑顔度が判定された顔画像を認証サーバに送信する(ステップS15)。なお、図のフローチャートに示す点線はデータの流れを示している(以下同じ)。ATMは、ステップS15と同時に、顧客に笑顔投票に参加(エントリ)するかどうかの判断を求め、参加する旨の顧客の所定の操作があった場合は(ステップS16;Yes)、その要求を認証サーバに送信する(ステップS17)。ただし、参加しない旨の顧客の所定の操作があった場合にも(ステップS16;No)、その旨を認証サーバに送信する。
【0049】
認証サーバ側では、ATMからデータを受信し、なんらかのリクエストがあったことを検知すると(ステップS20;Yes)、受信したカードデータから顧客を特定し、撮影された顔画像を笑顔画像DB25に登録する(ステップS21)。そして、笑顔投票に参加の意思表示がある場合には(ステップS22;Yes)、笑顔投票受付処理を開始する(ステップS23)。
【0050】
笑顔投票受付処理とは、具体的には、受信した顔画像を後述の投票画面に追加し、店舗内の大型ディスプレイ30Aや顧客端末30Bに表示して、投票を受付けることである。店舗にいる顧客等は、表示された投票画面から好感度の高い笑顔の画像に対して投票することができる。認証サーバは、この投票結果のデータを集計し、笑顔画像DB25に記録する。そして、記録された投票結果データからそれぞれの画像の笑顔度ランキングを更新する。ランキング状況や上位の笑顔度ランキングの画像は大型ディスプレイ30Aに表示するようにしてもよい。なお、笑顔投票受付処理自体は、スマイルATM10からの操作要求と同期している必要はないので、認証サーバとは別のサーバで行ってもよい。
【0051】
図6のフローチャートに戻り、顧客が笑顔投票に参加の意思表示がない場合には(ステップS22;No)、受信した画像の笑顔度を、笑顔画像DB25に保管された他の顧客の笑顔度のデータと比較し、当該画像の笑顔度ランキングを求める。そして、求めた笑顔ランキングをATM側に送信する(ステップS24)。ATM側では、判定された笑顔度と、受信した笑顔ランキングに基づいて、笑顔度特典サービス関連付テーブル100から、該当する特典サービスを読み出し、利用可能な特典サービスメニューを表示する(ステップS18)。顧客がこのメニューから希望する特典サービスを選択すると、その選択された特典サービスの情報が認証サーバに送信される(ステップS19)。認証サーバ側では、選択された情報に従って、特典サービス実行部23が、別途、特典サービスの実行を行う。
【0052】
図7は、スマイルATMメニュー画面の一例を示す図である。スマイルATM10は、顧客がATMの前に存在することを検知すると、メニュー画面を、「いらっしゃいませ」の音声と共に表示する。ここまでは通常のATMと同じであるが、ここで表示されるスマイルATMメニュー画面200には、図示するような、顧客が思わず笑ってしまうような文章や画像が付加されている。例えば、アニメーション画像201を表示したり、操作ボタン領域202では、各ボタンの横に、図で示すようなウィットのきいた文章が表示される。この文章はランダムに表示されてよいが、この例では、操作ボタンの機能となんらかの関係を有するようにしている。文章だけでなく画像が表示されるようにしてもよい。
【0053】
また、顧客が、取引ボタンのいずれかを押すと、振込や引き出し等の画面に遷移するが、その遷移先の画面にも、各画面に対応した文章や画像が表示されるようにしてもよい。例えば、顧客がキャッシュカードを挿入した後には、カードデータから顧客のプロファイルに応じたメッセージを出力するようにもできる。なお、ここで表示される文章や画像は、ATMの操作に支障がでないように、さりげなく表示するものとし、顧客がうっとうしく感じたり、飽きたりしないように常に新鮮さを感じさせることが大切である。このメニュー画面には笑顔撮影の機能も備えており、顧客が笑顔撮影を行う気になった場合にはいつでも、振込などの取引操作の前または後に、「笑顔撮影を行う」ボタン203を押せるようになっている。
【0054】
図8は、スマイル撮影画面の一例を示す図である。顧客が、スマイルATMメニュー画面200の、「笑顔撮影を行う」ボタン203を押すと、図示するような、スマイル撮影画面300が表示され、スマイル誘導テキスト・画像301が表示される。今回は笑えない、忙しい、普段は楽しみたいけれど今回はスキップというような場合は、「笑顔撮影をスキップ」というようなボタン(図示せず)があってもよい。同時に音声が出力されてもよい。スマイル誘導テキスト・画像301は、タッチパネル15に表示してもよいが、画像表示部11に表示されることが好ましい。スマイル誘導テキスト・画像301も、ランダムに連続的に入れ替わるようにしてもよい。顧客は、このようなテキストや画像をATMの目の前で見ることにより、笑顔を無理に作る必要がなく、同じ画面に移った自分の顔のライブ画像302を見ながら、適当なタイミングでシャッターボタン303を押すことにより、自然に笑顔の顔画像を撮影することができる。
【0055】
図9は、スマイル登録画面の一例を示す図である。スマイル登録画面400は、顧客がシャッターボタン303を押した後に表示される画面であり、撮影した顔画像401がこの画面に表示される。顧客は、この顔画像を見て、「保存する」、「保存して笑顔投票にエントリする」、「顔認証を行う」、「撮りなおす」、のいずれかを選択することができる。「保存する」402を選択すると、撮影した画像がデータベースに登録され、後の合成画像作成時に利用することができる。「保存して笑顔投票にエントリする」403を選択すると、今回撮影した画像を銀行内で開催される笑顔投票(笑顔コンテスト)にエントリさせることができる。笑顔投票の結果は笑顔ポイントに反映されるようにしてもよいし、特典サービスの中身に反映させるようにしてもよい。「顔認証を行う」404を選択すると、今回撮影した顔画像を使用して予め登録した顧客の顔画像と比較することで顔認証を行うことができる。「撮りなおす」405を選択すると、スマイル撮影画面300に戻る。
【0056】
撮影した顔画像401に対して、笑顔度,笑顔度ランキング,今回獲得した笑顔ポイント,累計笑顔ポイントが、領域406に表示される。ここで表示されている笑顔度ランキングは、今回の顔画像401の笑顔度が全体の中で何位あたるかを示したものである。笑顔ポイントは、笑顔度と笑顔ランキングによって予め定めたルールに従って付与される。また、貯めた笑顔ポイントを使って特典サービスと交換する場合は、図のように、領域407から好みの特典サービスを選択する。ここでは、風景・動物との合成画像作成、俳優との合成画像作成、「笑顔時計」に登録、カードローン金利1%優遇、が獲得した笑顔ポイントと交換できる特典サービスとして表示されている。なお、この画面からでも、領域408から通常のATM操作に直接戻ることもできる。
【0057】
図10は、撮像された顧客の顔画像から作成した合成画像の一例を示す図である。撮像された顧客の画像は、スマイル認証サーバ20に送信され、そこで他の画像やテキストブロックと組み合わせ、合成画像を作成・編集することができる。この図は、その合成画像の一例である。例えば、合成画像500は、街中の背景画像と現在の時刻情報と連動したテキストブロックとを合成して、「笑顔時計」と呼ぶ画像を生成している。背景だけでなく、テキストブロックを持つ手や下半身の画像も合成することができる。合成画像501は、天気予報やニュースの情報のテキストブロックと合成して、「笑顔天気予報」、「笑顔ニュース」と呼ぶ合成画像を作成している。広告の画像を合成したり、広告のキャッチフレーズをテキストブロックに含ませるようにしてもよい。また、合成画像502は、顧客の画像と俳優等の写真とを合成し、プリクラ(登録商標)風に作成したものである。合成用の画像は、合成用画像DB26に格納され、人物、動物、植物、図形等任意に選択できるものとするが、作成できる合成画像は、俳優等の対象物を選択できる範囲、合成画像の画質・サイズ等に対して、使用する笑顔ポイントに応じて差をもたせるようにしてもよい。また、作成された合成画像自体も笑顔投票の対象としてもよい。
【0058】
このようにして作成された合成画像は、店舗内の大型ディスプレイ30Aや顧客端末30Bに表示される他、銀行のホームページ等に掲載してもよい。このようにすることで、銀行内に笑顔の画像があふれた「笑顔銀行」のようなイメージができ、企業イメージのアップに繋がる。また、若者にも銀行に対する親近感をもたせることができる。
【0059】
図11は、合成画像をダイレクトメール(DM)に利用した図である。この図で示すように、ダイレクトメール600には、銀行からのお知らせ情報に加え、顧客が作成した合成画像502がDMのヘッダ部分に付加されて、顧客のもとへ送信される。ダイレクトメールは、迷惑メールとして目をとおさずに破棄されてしまうことが多いが、このように自分の画像が、好みの俳優等とツーショトで合成された画像と共に送られてくると、顧客が直ちに破棄することは少なくなると期待される。また、このダイレクトメールからは、リンク601から、笑顔投票を行う画面(次図)に入ったり、リンク602から、現在の獲得済みの笑顔ポイントを確認できる画面に遷移できるようにすることが望ましい。なお、ダイレクトメールが印刷物の場合であっても、リンク情報をDM上に印刷することで同様なことは可能である。
【0060】
図12は、笑顔投票画面の一例を示す図である。笑顔投票画面700は、銀行内の大型ディスプレイ30Aや顧客端末30Bに表示され、銀行を訪れた顧客等に、笑顔投票にエントリされた画像に対して人気投票を行うための画面である。図示するように、投票者は、銀行内の端末から、表示された画像の一覧を見て気に入った画像を選択し、投票ボタン701を押すことにより投票を完了する。大型ディスプレイ30Aから投票する場合は、リモコンを使用する。投票の対象となる画像は、本人の画像と合成画像が共にある場合は、図のように本人画像と合成画像とセットにしてもよいし、別々の画像としてそれぞれ投票を受付けるようにしてもよい。なお、笑顔投票画面700は、銀行内の端末だけでなく、銀行のホームページ等に掲載し、顧客の自宅のPC等からでも投票できるようにしてもよい。
【0061】
図13は、顔画像を利用した預金通帳の一例を示す図である。笑顔度の判定された顔画像は、前述したように、銀行業務の様々の場面で利用できる。この例では、預金通帳や利用明細票に、顧客が「笑顔」を撮像した際に行った取引に対応して、そのときの笑顔度と笑顔写真のサムネイル画像を印字するようにしたものである。通帳は紙の通帳のみならず、Web利用明細のようなデジタル情報であってもよい。このようにすることで、通常は、無味乾燥な預金通帳や利用明細票にも笑顔が表示されるので、銀行サービスの愛称として、例えば、「笑顔銀行」(「スマイル銀行」)、「笑顔預金」(「スマイル預金」)、「笑顔通帳」(「スマイル通帳」)、のような、宣伝にも利用可能なキャッチフレーズを持つことができるので、銀行のイメージアップにさらに貢献することができる。
【0062】
図14は、本発明のスマイルバンキング・システムの第二の実施形態に係るスマイルATMとスマイル認証サーバの機能ブロックを示す図である。
図3で説明した第一の実施形態では、スマイル認証サーバ20の認証部27は、通常の暗証番号や生体認証を用いて本人確認を行うものとした。本スマイルバンキング・システムの第二実施形態のスマイル認証サーバ20は、認証部27を顔認証部27Aに置き換え、顔認証部27Aは、スマイルATM10の顔認証要求部18Aの要求に基づいて、画像撮像部12が笑顔登録のために撮像した顧客の画像を、「顔認証」に用いる。ただし、後述するように、本人認証のため予め登録しておく画像は複数とすることが望ましい。顧客がATM前でどのような表情の顔を撮影しても認証できるようにするためである。なお、
図14のその他の機能ブロックについては、
図3の場合と同様なので説明は省略する。
【0063】
図15は、本発明のスマイルバンキング・システムの第二の実施形態に係るスマイルATMとスマイル認証サーバの処理フローを示す図である。本フローチャートの基本的な流れは、
図6のフローチャートと同様であるので、以下、異なる部分のみを説明する。
【0064】
ATM側では、顧客の画像を撮影して笑顔度を判定した後、ステップS15Aにおいて、カードデータおよび顔認証要求を認証サーバに対して送信する。このときカードの暗証番号の入力も求め、暗証番号も同時に送信するようにしてもよい。認証サーバ側では、ステップS20Bにおいて、受信した顔画像を用いて顔認証処理を行う。このとき暗証番号も合わせて認証するようにしてもよい。
【0065】
ステップS20Bの顔認証処理においては、顔画像が笑顔画像になるだけなので公知の顔認識システムの技術を用いることができる。ただし、ATMで撮像される顔画像は、さまざまな表情をもった顔画像である可能性があるので、認証用に予め登録しておくリファレンス顔画像も、複数の異なる笑顔度をもった顔画像を登録しておく。そして、複数のリファレンス顔画像から、撮影された顔画像と笑顔度の近いものを使用するようにする。一つの撮影された顔画像と、笑顔度の近い複数のリファレンス顔画像とを比較して、顔認証を二重、三重に行うようにしてもよい。
【0066】
顔認証の結果がOKであれば(ステップS20c;Yes)、ステップS21に進み顔画像を登録する。顔認証の結果がNGの場合は、ステップS20Cからの点線で示すように、ATM側に顔認証NGのメッセージを伝え、認証サーバ側では、以後の処理は行わないようにする。この場合、ATM側では、顔認証結果がNGであることが表示され、顧客の次の判断を待つ(図示せず)。以降の処理(ステップS16〜S19)は、
図6の場合と同様である。
【0067】
図16は、本発明のスマイルバンキング・システムの第三の実施形態に係るネットバンキング・サーバとスマイル認証サーバの機能ブロックを示す図である。
図3で説明した第一の実施形態、および
図14で説明した第二の実施形態は、いずれもスマイルATM10が顧客と対面し、スマイル関連の処理を行なっていたが、第三の実施形態では、ATMでなく、顧客が銀行内の顧客端末30Bあるいは顧客の自宅等のPC等から、いわゆるネットバンキングのように、本システムにアクセスする形態を示す。
【0068】
第三の実施形態では、スマイルATM10の代わりに、ネットバンキング・サーバ60(以後、NBサーバと呼ぶ)が、顧客端末50(銀行内の顧客端末30Bと自宅PC等の端末の両方を表す)からの要求を受信し、スマイルATM10と同様の働きを行う。そのため、NBサーバの基本的な機能ブロックは、スマイルATM10と同様であるが、スマイルATM10に備えられた画像撮像部12はサーバ側には存在せず、顧客端末50からの画像を受信する画像受信部62がその働きをする。顧客端末50には、デジタルカメラが装着されているものとする。また、タッチパネル15(ATMサービス表示/操作部)の代わりに制御部69がその役割をはたす。ここで、NBサーバは、顧客端末50やスマイル認証サーバ20との通信はすべて制御部69を介して行うものとする。また、特に図示していないが、笑顔誘導手段として顧客端末50に送信するテキスト、画像、音声データを格納した記憶部(またはデータベース)がNBサーバ内に存在する。なお、NBサーバは、顧客端末50から、振込、残高照会、利用明細の発行、顧客の登録情報の確認・変更を受け付けるが、当然のことながら、紙幣や硬貨を取り扱うことはできない。
【0069】
スマイル認証サーバ20側の機能ブロックは、通信相手がスマイルATM10からNBサーバに代わったことを除いて、
図14の場合と同様である。ただし、スマイルATM10からのリクエストも平行して受信可能とするため、スマイルATM10やNBサーバとの交信は、すべて制御部29を介して行うように各機能ブロック間の矢印の記載を変更している。
【0070】
図17は、本発明のスマイルバンキング・システムの第三の実施形態に係るネットバンキング・サーバとスマイル認証サーバの処理フローを示す図である。本図の基本的な流れは、
図15のフローチャートと同様であるので、以下異なる部分のみを説明する。
【0071】
NBサーバ(ネットバンキング・サーバ)は、ステップS30において、顧客端末50からの要求を待つ。顧客端末50からの要求があると(ステップS30;Yes)、ステップS31において、笑顔誘導データ(テキスト、画像、音声等)を顧客端末50に送信する。そして、顧客端末50から顔画像が送信されるのを待つ(ステップS32)。顔画像を受信すると(ステップS32;Yes)、顔画像抽出処理を行う。ステップS33以降の処理は、
図15の(ステップS13〜S19)に対応する。また、認証サーバ側でも、ステップS20Aにおいて、ATMの代わりにNBサーバからの要求を待つ点を除いて、
図15の場合と同様である。
【0072】
以上、第一、第二、第三の実施形態では、すべて銀行システムを具体例にして説明したが、同様のシステムは、証券会社や個人ローン会社などの他の金融機関や、その他様々なサービス提供会社の店舗等においても応用することが可能である。サービスを提供する会社にとっては、経費のかかる店舗を、企業イメージや顧客満足度の向上にいかに繋げることができるかが共通の課題であるからである。
【0073】
なお、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。