【実施例1】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明の固定脚構造を採用する電気接続箱の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。また、
図2は
図1の電気接続箱の図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。さらに、
図3は
図1及び
図2の固定脚に係る図であり、(a)は背面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0022】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0023】
図1及び
図2において、引用符号21は電気接続箱を示している。電気接続箱21は、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロックや電子制御ユニットボックス等を総称するものであって、自動車等の車両に搭載されている。電気接続箱21は、車両のパネル部材やボディ等の固定相手先22に対しボルト23により締め付け固定されるようになっている。固定部分は、本発明の固定脚構造が採用されている。
【0024】
電気接続箱21は、樹脂製の筐体24(樹脂筐体)を備えて構成されている。筐体24は、電気・電子部品やコネクタ接続部や回路等からなる機能部分(図示省略)を収容するための部材として備えられている。筐体24は、本実施例において、本体フレーム25と、この本体フレーム25の上側に重なるアッパーカバー26と、本体フレーム25の下側に重なるロアカバー27とを備えて構成されている。本体フレーム25、アッパーカバー26、及びロアカバー27は、重ね合わせる樹脂部品として備えられている。矢印Pは重ね合わせ方向(重なり合う方向、及び上下方向)を示している。
【0025】
筐体24は、公知のロック構造により本体フレーム25及びアッパーカバー26が嵌合し合うようになっている。また、本体フレーム25及びロアカバー27も公知のロック構造により嵌合し合うようになっている。嵌合部分は、公知の防水構造により水密な状態が形成されるようになっている。
【0026】
本体フレーム25は、本発明の固定脚構造を採用してなるフレーム側固定脚28(固定脚)を有している。また、ロアカバー27も本発明の固定脚構造を採用してなるカバー側固定脚29(固定脚)を有している。フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29は、少なくとも一部が上下に重なり合うような形状を有している(全部重なり合うのは実施例2を参照)。フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29は、略脚状となる形状の固定部分として形成されている。
【0027】
尚、本実施例においては、固定相手先22に対する固定箇所として、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29による一箇所を挙げているが、固定箇所はこの一箇所に限らないものとする。例えば複数の固定箇所を設ける場合には、固定箇所毎にフレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29を採用するものとする。
【0028】
先ず、フレーム側固定脚28について説明をする。
図1ないし
図3において、フレーム側固定脚28は、本体フレーム25の側部30に設けられている。フレーム側固定脚28の基端部分は、側部30において例えば位置Q(
図1参照)に配置されている。また、フレーム側固定脚28の先端部分は、固定相手先22の所定固定位置R(
図1参照)に対応する位置に配置されている。このようなフレーム側固定脚28は、上記基端部分を含む固定脚本体部31と、上記先端部分となるボルト固定部32とを有している。
【0029】
固定脚本体部31は、上記基端部分となる一端が側部30に連成されている。また、他端には、ボルト固定部32が連成されている。固定脚本体部31は、固定相手先22の所定固定位置R(
図1参照)に向けて伸びるように形成されている。固定脚本体部31は、上記基端部分の近傍から斜め下方向にのびる形状に形成されている(一例であるものとする)。
【0030】
固定脚本体部31は、上壁33と、この上壁33の両側から下方に伸びる側壁34とを有している。上壁33の裏面には、固定脚本体部31の伸びる方向に沿う縦リブ35が形成されている。この縦リブ35は、側壁34、34間の中央位置に形成されている。また、上壁33の裏面には、側壁34、34及び縦リブ35を繋ぐ横リブ(図示省略。
図5の横リブ55が参考になる)が形成されている。上壁33、側壁34、縦リブ35、及び横リブは、同じ厚みとなる薄肉の板状に形成されている。
【0031】
固定脚本体部31は、樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、固定脚本体部31は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。固定脚本体部31は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0032】
固定脚本体部31とボルト固定部32との連続部分には、ボルト23の締め付け作業に配慮して逃がし部36が形成されている。
【0033】
ボルト固定部32は、略円形の上壁37と、この上壁37の周縁から下方に伸びる周側壁38とを有している。上壁37の中央には、固定用のボルト23を挿通するための貫通孔39が形成されている。上壁37の裏面には、貫通孔39を深くするような部分として円形リブ40が形成されている。また、上壁37の裏面には、90度ピッチで円形リブ40から放射状に伸びて周側壁38に連続する放射リブ41が形成されている。上壁37、周側壁38、円形リブ40、及び放射リブ41は、同じ厚みとなる薄肉に形成されている。
【0034】
上壁37の裏面は、周側壁38、円形リブ40、及び放射リブ41により凹凸するような形状に形成されている。すなわち、係合凹凸部42となる形状に形成されている。係合凹凸部42は、重ね合わせ方向Pに凹凸となる形状に形成されている。
【0035】
ボルト固定部32は、固定脚本体部31と同様に樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、ボルト固定部32は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。ボルト固定部32は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0036】
次に、ロアカバー27のカバー側固定脚29について説明をする。カバー側固定脚29は、ロアカバー27の側部43に設けられている。カバー側固定脚29の基端部分は、側部43において例えば位置S(
図1参照)に配置されている。また、カバー側固定脚29の先端部分は、固定相手先22の所定固定位置R(
図1参照)に対応する位置に配置されている。このようなカバー側固定脚29は、上記基端部分を含む固定脚本体部44と、上記先端部分となるボルト固定部45とを有している。
【0037】
固定脚本体部44は、上記基端部分となる一端が側部43に連成されている。また、他端には、ボルト固定部45が連成されている。固定脚本体部44は、固定相手先22の所定固定位置R(
図1参照)に向けて伸びるように形成されている。固定脚本体部44は、上記基端部分の近傍から斜め下方向にのびる形状に形成されている。
【0038】
固定脚本体部44は、上壁46と、この上壁46の両側から下方に伸びる側壁47とを有している。上壁46の裏面には、固定脚本体部44の伸びる方向に沿う縦リブ48が形成されている。この縦リブ48は、側壁47、47間の中央位置に形成されている。また、上壁46の裏面には、側壁47、47及び縦リブ48を繋ぐ横リブ(図示省略。
図5の横リブ56が参考になる)が形成されている。上壁46、側壁47、縦リブ48、及び横リブは、同じ厚みとなる薄肉の板状に形成されている。
【0039】
固定脚本体部44は、樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、固定脚本体部44は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。固定脚本体部44は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0040】
固定脚本体部44とボルト固定部45との連続部分には、ボルト固定部32に対する段部49が形成されている。
【0041】
ボルト固定部45は、略円形の下壁50を有している。この下壁50の中央には、固定用のボルト23を挿通するための貫通孔51が形成されている。下壁50の表面には、ボルト固定部32の周側壁38、円形リブ40、及び放射リブ41に係合する部分、すなわち係合凹凸部42に係合する部分として係合凹凸部52が形成されている。係合凹凸部52は、下壁50の表面側が凸となり且つ裏面側が凹となる係合リブ53と、隣り合う係合リブ53との間に凹状に形成される係合溝54とを有している。下壁50及び係合凹凸部52は、同じ厚みとなる薄肉に形成されている。
【0042】
係合凹凸部52は、重ね合わせ方向Pに凹凸となる形状に形成されている。ボルト固定部45は、固定脚本体部44と同様に樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、ボルト固定部45は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。ボルト固定部45は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0043】
上記構成及び構造において、本発明の固定脚構造は、本体フレーム25の下側からロアカバー27を重ね合わせると、本体フレーム25のフレーム側固定脚28におけるボルト固定部32と、ロアカバー27のカバー側固定脚29におけるボルト固定部45とが重なり合う。この時、ボルト固定部32の係合凹凸部42と、ボルト固定部45の係合凹凸部52とが係合する。係合凹凸部42と係合凹凸部52とが係合すると、この係合部分は、
図3(b)に示す如くの厚肉部分になることから、仮に過剰な締め付け固定を行ったとしても座屈するようなことはない。本発明の固定脚構造は、従来に比べ肉厚を増やす構造であることから、強度を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の固定脚構造は、本体フレーム25のフレーム側固定脚28とロアカバー27のカバー側固定脚29とにそれぞれ剛性を持たせていることから、さらにはフレーム側固定脚28とカバー側固定脚29との二つで固定をすることから、一つの固定脚の場合と比べて格段に強度を向上させることができる。
【0045】
この他、本発明の固定脚構造は、フレーム側固定脚28とカバー側固定脚29との二つで固定をすることから、重ね合わせる本体フレーム25とロアカバー27とのガタ付きを抑えることができる。また、本発明の固定脚構造は、重ね合わせ方向Pで見て別位置となる位置Q、Sにフレーム側固定脚28とカバー側固定脚29とを設けていることから、これらを同じ位置で一体化しなくても強度を向上させることができる。
【0046】
尚、上記実施例においては、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29の二つを挙げていたが、アッパーカバー26に三つ目の固定脚を設け、更なる強度向上を図ってもよいものとする。また、上記実施例においては、係合凹凸部42及び係合凹凸部52を、ボルト固定部32及びボルト固定部45に設けていたが、同様の凹凸係合部を固定脚本体部31及び固定脚本体部44に設けてもよいものとする。さらに、上記実施例においては、ロアカバー27のカバー側固定脚29が側部43に連成されていたが、ロアカバー27の底部(下部)等であってもよいものとする。
【0047】
本発明の固定脚構造は、上記電気接続箱21に限らず、例えばワイヤハーネスの配索に用いられる樹脂製のプロテクタにも適用可能であるものとする。