【実施例】
【0052】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0053】
(1)熱伝導性
<複合粒子の製造>
次のようにして、二種類の複合粒子を製造した。まず、熱伝導性粒子としての天然黒鉛粉末(日本黒鉛工業(株)製「F♯2」、薄片状、平均粒子径130μm、熱伝導率250W/m・K)と、磁性粒子としてのステンレス鋼粉末(大同特殊鋼(株)製「DAP410L」、SUS410、球状、平均粒子径10μm)と、バインダーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製「TC−5」)と、を準備した。次に、天然黒鉛粉末、ステンレス鋼粉末、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを、高速攪拌型混合造粒機((株)奈良機械製作所製「NMG−1L」)の容器内へ投入して、約3分間混合した。天然黒鉛粉末とステンレス鋼粉末との配合割合は、体積比で6:4とした。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合割合は、天然黒鉛粉末およびステンレス鋼粉末の合計質量を100質量%とした場合の、2質量%とした。その後、水を添加して、さらに20分間混合した。得られた粉末を乾燥した後、目開き500μmの篩いにより篩い分けして、最大長さが500μm以下の粒子を回収した。このようにして、実施例1の複合粒子を製造した。
【0054】
また、磁性粒子としての上記ステンレス鋼粉末を、次のようにして扁平化した粉末(薄片状、平均粒子径20μm)に変更した以外は、上記同様にして、実施例2の複合粒子を製造した。すなわち、ステンレス鋼粉末(同上)を、遊星ボールミル(Gokin Planetaring社製「Planet−M」)に、直径5mmのジルコニア製ボールと共に充填して、300rpmで1時間、処理を行った。
【0055】
製造した実施例1、2の複合粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。
図1に、実施例1の複合粒子のSEM写真を示す(倍率200倍)。
図2に、実施例2の複合粒子のSEM写真を示す(倍率200倍)。
図1、2に示すように、いずれの複合粒子においても、天然黒鉛粒子の表面に、ステンレス鋼粒子が付着していることが確認できた。
【0056】
<ウレタン発泡成形体の製造>
[実施例1、2]
製造した二種類の複合粒子を、各々、熱伝導性フィラーとして配合して、ウレタン発泡成形体を製造した。まず、発泡ウレタン樹脂原料を、次のようにして調製した。ポリオール成分のポリエーテルポリオール(住化バイエルウレタン(株)製「S−0248」、平均分子量6000、官能基数3、OH価28mgKOH/g)100質量部と、架橋剤のジエチレングリコール(三菱化学(株)製)2質量部と、発泡剤の水2質量部と、テトラエチレンジアミン系触媒(花王(株)製「カオーライザー(登録商標)No.31」)1質量部と、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング(株)製「SZ−1313」)0.5質量部と、を混合して、ポリオール原料を調製した。調製したポリオール原料に、ポリイソシアネート成分のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(BASFINOACポリウレタン(株)製「NE1320B」、NCO=44.8wt%)を加えて混合し、発泡ウレタン樹脂原料とした。ここで、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合比(PO:ISO)は、両者の合計質量を100%として、PO:ISO=78.5:21.5とした。
【0057】
次に、調製した発泡ウレタン樹脂原料に、実施例1、2の複合粒子を各々混合して、二種類の混合原料を調製した。実施例1の複合粒子については、製造するウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の3.89体積%となるように、実施例2の複合粒子については、3.42体積%となるように、各々配合した。
【0058】
続いて、各混合原料を、アルミニウム製の発泡型(後述する
図3、
図4参照。キャビティは直径100mm×厚さ20mmの円筒形。)に注入し、密閉した。続いて、発泡型を第一磁気誘導発泡成形装置に設置して、発泡成形を行った。
図3に、第一磁気誘導発泡成形装置の斜視図を示す。
図4に、同装置の断面図を示す。
図3、
図4に示すように、第一磁気誘導発泡成形装置1は、一対の電磁石部2U、2Dと、ヨーク部3と、を備えている。
【0059】
電磁石部2Uは、芯部20Uとコイル部21Uとを備えている。芯部20Uは、強磁性体製であって、上下方向に延びる円柱状を呈している。コイル部21Uは、芯部20Uの外周面に配置されている。コイル部21Uは、芯部20Uの外周面に巻装された導線210Uにより、形成されている。導線210Uは、電源(図略)に接続されている。
【0060】
電磁石部2Dは、発泡型4を挟んで、上記電磁石部2Uの下方に配置されている。電磁石部2Dは、上記電磁石部2Uと同様の構成を備えている。すなわち、電磁石部2Dは、芯部20Dとコイル部21Dとを備えている。コイル部21Dは、芯部20Dの外周面に巻装された導線210Dにより、形成されている。導線210Dは、電源(図略)に接続されている。
【0061】
ヨーク部3は、C字状を呈している。ヨーク部3のC字上端は、電磁石部2Uの芯部20U上端に接続されている。一方、ヨーク部3のC字下端は、電磁石部2Dの芯部20D下端に接続されている。
【0062】
発泡型4は、上型40Uと下型40Dとを備えている。発泡型4は、電磁石部2Uの芯部20Uと電磁石部2Dの芯部20Dとの間に、介装されている。上型40Uは、角柱状を呈している。上型40Uの下面には、円筒状の凹部が形成されている。同様に、下型40Dは、角柱状を呈している。下型40Dの上面には、円筒状の凹部が形成されている。上型40Uと下型40Dとは、互いの凹部の開口同士が向き合うように配置されている。上型40Uと下型40Dとの間には、上記凹部同士が合体することにより、キャビティ41が区画されている。キャビティ41には、前述したように、混合原料が充填されている。
【0063】
導線210Uに接続された電源および導線210Dに接続された電源を、共にオンにすると、上方の電磁石部2Uの芯部20Uの上端がS極に、下端がN極に磁化される。このため、芯部20Uに、上方から下方に向かって磁力線L(
図4に点線で示す)が発生する。また、下方の電磁石部2Dの芯部20Dの上端がS極に、下端がN極に磁化される。このため、芯部20Dに、上方から下方に向かって磁力線Lが発生する。また、芯部20U下端はN極であり、芯部20D上端はS極である。このため、芯部20Uと芯部20Dとの間には、上方から下方に向かって磁力線Lが発生する。以上説明したように、電磁石部2U、2D間には、上方から下方に向かって磁力線Lが発生する。下方の電磁石部2Dの芯部20D下端から放射された磁力線Lは、ヨーク部3を通って、上方の電磁石部2Uの芯部20U上端に流入する。このように、磁力線Lは閉ループを構成するため、磁力線Lの漏洩を抑制することができる。
【0064】
前述したように、発泡型4は、芯部20Uと芯部20Dとの間に介装されている。このため、発泡型4のキャビティ41内には、上方から下方に向かって略平行な磁力線Lにより一様な磁場が形成されている。具体的には、キャビティ41内の磁束密度は、約200mTであった。また、キャビティ41内における磁束密度の差は、±3%以内であった。発泡型4を第一磁気誘導発泡成形装置1に設置した後、最初の約2分間は、磁場をかけながら発泡成形を行った。続く約5分間は、磁場をかけないで、発泡成形を行った。発泡成形が終了した後、脱型して、円柱状のウレタン発泡成形体を得た。得られたウレタン発泡成形体を、複合粒子(熱伝導性フィラー)の番号と対応させて、実施例1、2のウレタン発泡成形体とした。両ウレタン発泡成形体の断面を、目視で観察したところ、熱伝導性フィラーが互いに連接して配向していた。
【0065】
[比較例]
実施例1の複合粒子の製造に使用した天然黒鉛粉末(熱伝導性粒子)と、ステンレス鋼粉末(球状の磁性粒子)と、を複合化せずに、各々単体として配合した点以外は、上記実施例1、2と同様にして、ウレタン発泡成形体を製造した。天然黒鉛粉末については、製造するウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の2.34体積%、ステンレス鋼粉末については、1.78体積%、となるように配合した。得られたウレタン発泡成形体を、比較例のウレタン発泡成形体とした。
【0066】
<熱伝導率の測定>
製造した実施例1、2および比較例のウレタン発泡成形体の熱伝導率を測定した。熱伝導率は、JIS R2616(2001)に準拠した熱線法(プローブ法)により測定した。測定には、京都電子工業(株)製「QTM−D3」を使用した。
図5に、各ウレタン発泡成形体における熱伝導率の測定結果を示す。
図5中、各曲線は、フィラーを配合しない場合(配合量0体積%)のウレタン発泡成形体の熱伝導率(約0.04W/mK)と、実施例等の各ウレタン発泡成形体の熱伝導率と、を結んだ近似曲線である。各ウレタン発泡成形体の熱伝導率は、実施例1については0.204W/mK(熱伝導性フィラーの配合量3.89体積%)、実施例2については0.207W/mK(同配合量3.42体積%)、比較例については0.198W/mK(天然黒鉛粉末およびステンレス鋼粉末の合計配合量4.12体積%)であった。
【0067】
図5に示すように、同じフィラーの配合量において比較すると、実施例1、2のウレタン発泡成形体の熱伝導率は、比較例のウレタン発泡成形体の熱伝導率よりも、大きくなることがわかる。すなわち、実施例1、2のウレタン発泡成形体によると、より少量のフィラーにより、熱伝導性が向上することがわかる。特に、複合粒子に薄片状の磁性粒子を用いた実施例2のウレタン発泡成形体によると、熱伝導性フィラーの配合量が少ないにも関わらず、熱伝導率が大きくなった。この理由は、磁性粒子と熱伝導性粒子との接触面積が大きくなったこと、および隣接する熱伝導性粒子間の距離が短くなったこと、により、隣接する複合粒子間における熱伝導性が向上したためと考えられる。
【0068】
(2)難燃性
<複合粒子の製造>
次のようにして、A〜Dの四種類の複合粒子を製造した。
【0069】
[複合粒子A]
熱伝導性粒子として、膨張黒鉛粉末(三洋貿易(株)から購入した「SYZR502FP」)、および天然黒鉛粉末(同上)を用い、磁性粒子として、ステンレス鋼粉末(同上)を用いて、複合粒子を製造した。まず、膨張黒鉛粉末と、天然黒鉛粉末と、ステンレス鋼粉末と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(同上)と、を高速攪拌型混合造粒機(同上)の容器内へ投入して、約3分間混合した。次に、水を添加して、さらに20分間混合した。得られた粉末を乾燥して、複合粒子Aを得た。なお、使用した材料の配合割合については、下記表1に示す(以下の複合粒子B〜Dについても同じ)。
【0070】
[複合粒子B]
磁性粒子、バインダーの配合割合を、各々変更した以外は、上記複合粒子Aと同様にして、複合粒子Bを製造した。
【0071】
[複合粒子C]
膨張黒鉛粉末を用いずに、複合粒子Cを製造した。すなわち、天然黒鉛粉末、ステンレス鋼粉末、およびバインダーを用いて、上記複合粒子Aと同様にして、複合粒子Cを製造した。熱伝導性粒子として膨張黒鉛粒子を含まないという点において、複合粒子Cは、上記実施例1の複合粒子と同じである。
【0072】
[複合粒子D]
天然黒鉛粉末を用いずに、複合粒子Dを製造した。すなわち、膨張黒鉛粉末、ステンレス鋼粉末、およびバインダーを用いて、上記複合粒子Aと同様にして、複合粒子Dを製造した。
【表1】
【0073】
<ウレタン発泡成形体の製造>
[実施例3]
製造した複合粒子Aを熱伝導性フィラーとして用いて、ウレタン発泡成形体を製造した。複合粒子Aのうち、膨張黒鉛粒子を熱伝導性粒子とする粒子は50質量%、天然黒鉛粒子を熱伝導性粒子とする粒子は50質量%である。まず、ポリエーテルポリオール(同上)100質量部と、架橋剤のジエチレングリコール(同上)2質量部と、発泡剤の水2質量部と、テトラエチレンジアミン系触媒(同上)1.5質量部と、シリコーン系整泡剤(同上)0.5質量部と、を混合して、ポリオール原料を調製した。また、ポリイソシアネート原料として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(同上)を準備した。
【0074】
次に、ポリオール原料100質量部に、複合粒子A129.7質量部を添加、混合して、プレミックスポリオールを調製した。続いて、プレミックスポリオール100.6gと、ポリイソシアネート原料13.7gと、を混合して、混合原料とした。
【0075】
それから、混合原料を、アルミニウム製の発泡型(後述する
図6、
図7参照。キャビティは縦130mm×横130mm×厚さ20mmの直方体。)に注入し、発泡型を密閉した。そして、発泡型を第二磁気誘導発泡成形装置に設置して、発泡成形を行った。
図6に、第二磁気誘導発泡成形装置の斜視図を示す。
図7に、同装置の断面図を示す。
図7においては、説明の便宜上、ヨーク部および芯部のハッチングを省略して示す。
図6、
図7に示すように、第二磁気誘導発泡成形装置5は、架台6と、電磁石部7と、発泡型8と、を備えている。
【0076】
電磁石部7は、架台6の上面に載置されている。電磁石部7と架台6とは、各々にブラケット61をねじ止めすることにより、固定されている。電磁石部7は、ヨーク部70U、70Dと、コイル部71L、71Rと、ポールピース72U、72Dと、を備えている。
【0077】
ヨーク部70Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部70Dも同様に、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部70U、70Dは、上下方向に対向して配置されている。
【0078】
コイル部71Lは、ヨーク部70U、70Dの間に介装されている。コイル部71Lは、発泡型8の左側に配置されている。コイル部71Lは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部71Lは、各々、芯部710Lと導線711Lとを備えている。芯部710Lは、鉄製であって、上下方向に延びる柱状を呈している。導線711Lは、芯部710Lの外周面に巻装されている。導線711Lは、電源(図略)に接続されている。
【0079】
コイル部71Rは、ヨーク部70U、70Dの間に介装されている。コイル部71Rは、発泡型8の右側に配置されている。コイル部71Rは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部71Rは、各々、コイル部71Lと同様の構成を備えている。すなわち、コイル部71Rは、芯部710Rと導線711Rとを備えている。導線711Rは、芯部710Rの外周面に巻装されている。導線711Rは、電源(図略)に接続されている。
【0080】
ポールピース72Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース72Uは、ヨーク部70Uの下面中央に配置されている。ポールピース72Uは、ヨーク部70Uと発泡型8との間に介装されている。ポールピース72Dは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース72Dは、ヨーク部70Dの上面中央に配置されている。ポールピース72Dは、ヨーク部70Dと発泡型8との間に介装されている。
【0081】
発泡型8は、コイル部71Lとコイル部71Rとの間に、配置されている。発泡型8は、上型80Uと下型80Dとを備えている。上型80Uは、角柱状を呈している。上型80Uの下面には、凹部が形成されている。同様に、下型80Dは、角柱状を呈している。下型80Dの上面には、凹部が形成されている。上型80Uと下型80Dとは、互いの凹部の開口同士が向き合うように配置されている。上型80Uと下型80Dとの間には、上記凹部同士が合体することにより、直方体状のキャビティ81が区画されている。キャビティ81には、上述したように、混合原料が充填されている。
【0082】
導線711Lに接続された電源および導線711Rに接続された電源を、共にオンにすると、コイル部71Lの芯部710Lの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部710Lに、下方から上方に向かって磁力線L(
図7に点線で示す)が発生する。同様に、コイル部71Rの芯部710Rの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部710Rに、下方から上方に向かって磁力線Lが発生する。
【0083】
コイル部71Lの芯部710L上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部70U、ポールピース72Uを通って、発泡型8のキャビティ81内に流入する。その後、ポールピース72D、ヨーク部70Dを通って、芯部710L下端に流入する。同様に、コイル部71Rの芯部710R上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部70U、ポールピース72Uを通って、発泡型8のキャビティ81内に流入する。その後、ポールピース72D、ヨーク部70Dを通って、芯部710R下端に流入する。このように、磁力線Lは閉ループを構成するため、磁力線Lの漏洩は抑制される。また、発泡型8のキャビティ81内には、上方から下方に向かって略平行な磁力線Lにより一様な磁場が形成される。具体的には、キャビティ81内の磁束密度は、約200mTであった。また、キャビティ81内における磁束密度の差は、±3%以内であった。
【0084】
発泡成形は、最初の約2分間は磁場をかけながら行い、続く約5分間は磁場をかけないで行った。発泡成形が終了した後、脱型して、ウレタン発泡成形体を得た。得られたウレタン発泡成形体を、実施例3のウレタン発泡成形体とした。実施例3のウレタン発泡成形体において、熱伝導性フィラー(複合粒子A)の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の4体積%であった。
【0085】
[実施例4]
製造した複合粒子Bを熱伝導性フィラーとして用いて、ウレタン発泡成形体を製造した。複合粒子Bのうち、膨張黒鉛粒子を熱伝導性粒子とする粒子は50質量%、天然黒鉛粒子を熱伝導性粒子とする粒子は50質量%である。まず、上記実施例3で使用したポリオール原料100質量部に、複合粒子B261.5質量部と、可塑剤20質量部と、を添加、混合して、プレミックスポリオールを調製した。次に、プレミックスポリオール381gと、上記実施例3で使用したポリイソシアネート原料15.1gと、を混合して、混合原料とした。そして、混合原料を発泡型(同上)に注入し、発泡型を密閉して、上記実施例3と同様に、磁場中で発泡成形を行った。得られたウレタン発泡成形体を、実施例4のウレタン発泡成形体とした。実施例4のウレタン発泡成形体において、熱伝導性フィラー(複合粒子B)の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の19.3体積%であった。
【0086】
[実施例5]
製造した複合粒子Dを熱伝導性フィラーとして用いて、ウレタン発泡成形体を製造した。複合粒子Dを構成する熱伝導性粒子は、全て膨張黒鉛粒子である。まず、上記実施例3で使用したポリオール原料100質量部に、複合粒子D129.7質量部を添加、混合して、プレミックスポリオールを調製した。次に、プレミックスポリオール100.6gと、上記実施例3で使用したポリイソシアネート原料13.7gと、を混合して、混合原料とした。そして、混合原料を発泡型(同上)に注入し、発泡型を密閉して、上記実施例3と同様に、磁場中で発泡成形を行った。得られたウレタン発泡成形体を、実施例5のウレタン発泡成形体とした。実施例5のウレタン発泡成形体において、熱伝導性フィラー(複合粒子D)の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の4体積%であった。
【0087】
[参考例]
製造した複合粒子Cを熱伝導性フィラーとして用いて、ウレタン発泡成形体を製造した。複合粒子Cを構成する熱伝導性粒子は、全て天然黒鉛粒子である。まず、上記実施例3で使用したポリオール原料100質量部に、複合粒子C129.7質量部を添加、混合して、プレミックスポリオールを調製した。次に、プレミックスポリオール100.6gと、上記実施例3で使用したポリイソシアネート原料13.7gと、を混合して、混合原料とした。そして、混合原料を発泡型(同上)に注入し、発泡型を密閉して、上記実施例3と同様に、磁場中で発泡成形を行った。得られたウレタン発泡成形体を、参考例のウレタン発泡成形体とした。参考例のウレタン発泡成形体において、熱伝導性フィラー(複合粒子C)の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の4体積%であった。
【0088】
<難燃性の評価>
実施例および参考例の各ウレタン発泡成形体について、難燃性を評価した。難燃性の評価は、米国のUnderwriters Laboratories,Inc.により制定された燃焼試験規格(UL94)に基づいて、行った。そして、「V−0」の判定基準を満たした場合を合格(表2中○印で示す)、満たさなかった場合を不合格(表2中×印で示す)と評価した。評価結果を、各ウレタン発泡成形体における原料の配合量と共に、表2に示す。
【表2】
【0089】
表2に示すように、実施例の各ウレタン発泡成形体については、UL94のV−0基準をクリアした。一方、熱伝導性粒子として膨張黒鉛粒子を含まない参考例のウレタン発泡成形体は、V−0基準の難燃性を達成することはできなかった。このように、熱伝導性粒子として膨張黒鉛粒子を用いた場合、本発明のウレタン発泡成形体は、磁性粒子を含有していても、難燃性に優れることが確認された。