(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る在宅医療支援システムの構成を示す図である。
図1に示す在宅医療支援システム1は、酸素供給装置10、ガスメータ20、通信制御装置30、管理サーバ40、及びガス事業者サーバ50を備えて構成される。なお、
図1では、図示を簡略化して1つの患者宅Hについてだけ示しているが、管理サーバ40及びガス事業者サーバ50と患者宅Hは、1対多の関係にある。
【0011】
在宅医療支援システム1において、酸素供給装置10は、患者に高濃度酸素を供給するもので、在宅酸素療法を受ける患者宅Hに設置される。通信制御装置30は、酸素供給装置10を第2の通信ネットワークN2に接続するためのもので、酸素供給装置10と同じ部屋又は異なる部屋のいずれに設置されてもよい。
【0012】
ガスメータ20は、ガスの使用量を計量するもので、ガス事業者によって、例えば患者宅の玄関脇のメータボックス内に設置される。ガスメータ20にはガス供給管Pを介してガス器具70が接続される。ガス器具70としては、例えばガスストーブ、ガスコンロ、給湯器等がある。
【0013】
管理サーバ40は、例えば酸素供給装置10の販売会社や主治医及び医療機関が、患者宅Hに設置された酸素供給装置10の使用状況(動作ログ)を管理するためのサーバである。この管理サーバ40に登録された情報は、例えば通信端末60(パーソナルコンピュータ(PC)や携帯電話)上でウェブブラウザを利用することにより、販売会社や主治医及び医療機関が閲覧できる。
【0014】
ガス事業者サーバ50は、ガス事業者が、ガス消費者宅(ここでは患者宅H)におけるガスの使用状況(例えばガスの使用量、使用時間)を監視するためのサーバである。
【0015】
酸素供給装置10と通信制御装置30は、第1の通信ネットワークN1を介して情報通信可能に接続される。第1の通信ネットワークN1には、例えば無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、又はBluetooth(登録商標)等の近距離通信技術を適用できる。
【0016】
通信制御装置30と管理サーバ40は、第2の通信ネットワークN2を介して情報通信可能に接続される。つまり、酸素供給装置10と管理サーバ40が情報通信可能に接続されることになる。第2の通信ネットワークN2には、インターネット、電気通信事業者等の電話回線網、携帯電話通信網等の公衆通信網を適用できる。
【0017】
ガスメータ20とガス事業者サーバ50は、第2の通信ネットワークN2を介して情報通信可能に接続される。これにより、本発明を実現するに際して、ガス事業者等によって構築されている既存の通信システムを利用することができるので、在宅医療支援システム1を容易に構築することができる。
【0018】
また、管理サーバ40とガス事業者サーバ50は、第2の通信ネットワークN2を介して情報通信可能に接続される。これにより、本発明を実現するに際して、ガス事業者サーバ50と複数の酸素供給装置10を個別に情報通信可能に接続する必要はないので、在宅医療支援システム1を容易に構築することができる。
【0019】
図1に示す酸素供給装置10は、例えば
図2に示すハードウェア構成を有している。すなわち、酸素供給装置10は、制御部11、音声出力部12、表示部13、操作部14、通信部15、各種センサ16、及び高濃度酸素生成部17を備えて構成される酸素濃縮器である。各ブロック12〜17は、バスラインを介して制御部11に電気的に接続されている。
【0020】
制御部11は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)111、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)112及びROM(Read Only Memory)113を備えている。ROM113には、ソフトウェアプログラムや基本的な設定データが記憶される。CPU111は、処理内容に応じたプログラムをROM113から読み出してRAM112に展開し、展開したプログラムと協働して酸素供給装置10の各ブロックの動作を制御する。
【0021】
音声出力部12は、制御部11からの制御信号に基づいて各種情報を音声で出力するスピーカである。表示部13は、制御部11からの制御信号に基づいて各種情報を表示するもので、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等である。
【0022】
操作部14は、患者が高濃度酸素の供給流量等を設定したり、連続モード(高濃度酸素を連続して供給するモード)/呼吸同調モード(高濃度酸素を呼吸に同調して供給するモード)を切り替えたりするための入力装置(例えば操作ボタン)である。操作部14において、例えば患者による供給流量の設定が行われると、設定流量を指示する操作信号が制御部11に入力される。
【0023】
通信部15は、TCP/IP等の通信プロトコルに従って処理を行い、第1の通信ネットワークN1を介して通信制御装置30等と情報の送受信を行う。通信部15は、酸素供給装置10に内蔵された通信モジュールであってもよいし、インターフェースを介して接続された外付けの通信モジュールであってもよい。
【0024】
各種センサ16は、酸素供給装置10の使用環境や使用状況等を検出するセンサで、例えば酸素供給装置10が供給する高濃度酸素の濃度を検出する酸素センサ、高濃度酸素の圧力を検出する圧力センサ、筐体内の温度を検出する温度センサ等である。
【0025】
高濃度酸素生成部17は、酸素供給装置10の主要な機能として、原料空気から高濃度酸素を生成し、患者に供給する。酸素供給装置10がPSA(Pressure Swing Adsorption)式である場合、高濃度酸素生成部17は、
図3に示すように、空気取入部171、空気圧縮部172、PSA部173、製品タンク174、及び酸素供給部175を備えて構成される。
【0026】
空気取入部171から導入された原料空気は、空気圧縮部172で圧縮されて圧縮空気となり、この圧縮空気がPSA部173に送出される。PSA部173は、酸素より窒素を早く吸着する性質を有するゼオライト等の吸着剤が充填された2本のシーブベッド(吸着塔)173A、173Bを有している。シーブベッド173A、173Bに圧縮空気が送り込まれて加圧状態になると、窒素及び水分が吸着されて酸素だけが通過し、高濃度酸素が生成される。一方、窒素を吸着したシーブベッド173A、173Bが減圧状態(例えば大気圧)に戻されると、吸着していた窒素が脱離して放出され、シーブベッド173A、173Bの吸着能力が再生される。つまり、PSA部173において、2本のシーブベッド173A、173Bで交互に加圧減圧を繰り返すことにより、連続して高濃度酸素を生成することができる。
そして、PSA部173で生成された高濃度酸素は、一旦製品タンク174に貯留された後、酸素供給部175から一定流量で放出され、当該酸素供給装置10に接続された鼻カニューラや酸素マスク等を介して患者の体内に供給される。
【0027】
なお、上述した高濃度酸素生成部17の構成は一例であり、他の方式(例えば酸素富化膜式)の酸素供給装置では異なる構成になることはいうまでもない。また、高濃度酸素生成部17には公知の技術を適用できるので、細部の説明については省略する。
【0028】
酸素供給装置10において、制御部11は、操作部14や各種センサ16からの入力信号に基づいて、例えば空気圧縮部172の駆動モータの回転数、PSA部173の流路切替弁(図示略)の開閉状態、酸素供給部175の同調弁(図示略)の開閉状態及び開度等を制御する。このような制御により、酸素供給装置10から一定流量で高濃度酸素が供給される。
【0029】
また、制御部11は、酸素供給装置10の電源投入時、及び電源投入後一定時間間隔で酸素供給装置10における酸素供給に関する情報(使用時間、供給モード(連続モード/呼吸同調モード)、供給流量等)を管理サーバ40に送信する。制御部11が送信した酸素供給に関する情報は、管理サーバ40の患者データベース45(
図5参照)に登録されることになる。
【0030】
さらに、制御部11は、ガスメータ20によりガスの使用が検出された場合に、音声出力部12及び表示部13を制御するとともに、所定の情報(警告情報)を管理サーバ40に送信する。制御部11が送信した情報に基づいて、管理サーバ40で所定の処理が行われることになる。
【0031】
図1に示すガスメータ20は、例えば
図4に示すハードウェア構成を有している。すなわち、ガスメータ20は、制御部21、音声出力部22、表示部23、通信部24、流量センサ25、及び記憶部26を備えて構成される。各ブロック22〜26は、バスラインを介して制御部21に電気的に接続されている。
【0032】
制御部21は、演算/制御装置としてのCPU211、主記憶装置としてのRAM212及びROM213を備えている。ROM213には、ソフトウェアプログラムや基本的な設定データが記憶される。CPU211は、処理内容に応じたプログラムをROM213から読み出してRAM212に展開し、展開したプログラムと協働してガスメータ20の各ブロックの動作を制御する。
【0033】
音声出力部22は、制御部21からの制御信号に基づいて各種情報(例えばガス漏れ時の警報等)を音声で出力するスピーカである。
表示部23は、ガスの使用量を示す積算カウンタである。また、表示部23として、制御部21からの制御信号に基づいて各種情報を表示するLCDやLEDを備えるようにしてもよい。
【0034】
通信部24は、TCP/IP等の通信プロトコルに従って処理を行い、第2の通信ネットワークN2を介してガス事業者サーバ50と情報の送受信を行う。通信部24は、ガスメータ20に内蔵された通信モジュールであってもよいし、インターフェースを介して接続された外付けの通信モジュールであってもよい。
【0035】
流量センサ25は、ガス流路を流れるガスの流量を検出するセンサである。ガス器具70が使用されると、流量センサ25で検出されるガスの流量が変動するので、これに基づいて患者宅Hにおけるガスの使用(すなわちガス器具70の使用)を検出できる。流量センサ25には、公知の種々の方式を適用できる。
【0036】
記憶部26は、例えばフラッシュメモリ等で構成され、ガスの使用状況に関する情報(例えば、流量センサ25により検出されるガスの使用量、使用時間、ガス漏れや長時間の連続使用によりガスが遮断されたときの遮断情報等)を記憶する。
【0037】
ガスメータ20において、制御部21は、ガス事業者サーバ50からの定期的な情報要求に応じて、又は定期的に、ガスの使用状況に関する情報をガス事業者サーバ50に送信する。制御部21が送信したガスの使用状況に関する情報は、ガス事業者サーバ50のガス消費者データベース55(
図6参照)に登録されることになる。
さらに、制御部21は、ガスの使用(すなわちガス器具70の使用)が開始された場合には、ガスの使用が開始されたことを示す使用開始情報を即座にガス事業者サーバ50に送信する。制御部21が送信した情報に基づいて、ガス事業者サーバ50で所定の処理が行われることになる。
【0038】
また、制御部21は、患者宅Hに設置されている複数のガス器具70の使用状況を、個別に検出できるようになっている。すなわち、制御部21は、患者宅Hにおいて、火気を直接的に利用するガス器具70(例えばガスストーブ、ガスコンロ等)が使用されているのか、火気を直接的に利用しないガス器具70(例えば給湯器等)が使用されているのかを判別できる。
【0039】
図1に示す通信制御装置30は、TCP/IP等の通信プロトコルに従って処理を行い、第1の通信ネットワークN1を介して酸素供給装置10と情報の送受信を行うとともに、第2の通信ネットワークN2を介して管理サーバ40と情報の送受信を行う。通信制御装置30は、例えばPHS(Personal Handy-phone System)端末又はモデム端末等のような通信端末である。
【0040】
図1に示す管理サーバ40は、例えば
図5に示すハードウェア構成を有している。すなわち、管理サーバ40は、制御部41、操作部42、通信部43、記憶部44、及び患者データベース45等の基本的なハードウェアを備えた汎用コンピュータである。各ブロック42〜45は、バスラインを介して制御部41に電気的に接続されている。
【0041】
制御部41は、演算/制御装置としてのCPU411、主記憶装置としてのRAM412及びROM413で構成される。ROM413には、BIOS(Basic Input Output System)と呼ばれるプログラムや基本的な設定データが記憶されている。RAM412には、記憶部44から読み出されたOSや各種アプリケーション等のプログラムが展開される。CPU411は、RAM412に展開されたプログラムと協働して管理サーバ40の各ブロックの動作を制御する。
【0042】
記憶部44は、例えばハードディスク等で構成され、OS、各種アプリケーションプログラム(例えばサーバ用プログラムやウェブアプリケーションプログラム)、及び各種データ等が記憶されている。
操作部42は、管理者が管理サーバ40を制御するためのユーザインタフェースである。操作部42は、情報を入力するキーボードやマウス等の入力装置、及び入力操作の結果等を提示するLCD等の出力装置で構成される。
通信部43は、TCP/IP等の通信プロトコルに従って処理を行い、第2の通信ネットワークN2を介して酸素供給装置10(通信制御装置30)と情報の送受信を行う。
【0043】
患者データベース45には、それぞれの患者宅Hに設置された酸素供給装置10ごとに使用状況が登録される。使用状況には、例えば酸素供給装置10における酸素供給に関する情報、及び患者に対して警告したことを示す警告情報が含まれる。
【0044】
管理サーバ40において、制御部41は、酸素供給装置10から送信された情報を患者データベース45に登録する。例えば、酸素供給装置10の電源投入時、及び電源投入後一定時間間隔で酸素供給装置10から酸素供給に関する情報が送信された場合に、制御部41は、この情報を患者データベース45に登録する。また、酸素供給装置10から警告情報が送信された場合に、制御部41は、この情報を患者データベース45に登録する。また、ガス事業者サーバ50からガスの使用開始情報が送信された場合に、制御部41は、この情報を酸素供給装置10に転送する。
【0045】
図1に示すガス事業者サーバ50は、例えば
図6に示すハードウェア構成を有している。すなわち、ガス事業者サーバ50は、制御部51、操作部52、通信部53、記憶部54、及びガス消費者データベース(ガス消費者DB)55等の基本的なハードウェアを備えた汎用コンピュータである。各ブロック52〜55は、バスラインを介して制御部51に電気的に接続されている。
【0046】
ガス事業者サーバ50において、ガス消費者データベース55には、患者宅Hで使用されたガスの使用状況が登録される。ガス事業者サーバ50のその他の構成は、管理サーバ40と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
ガス事業者サーバ50において、制御部51は、ガスメータ20から送信された情報をガス消費者データベース55に登録する。例えば、ガスの使用状況に関する情報が送信された場合に、制御部51は、この情報をガス消費者データベース55に登録する。また、ガスメータ20から使用開始情報が送信された場合に、制御部51は、この情報を管理サーバ40に転送する。
【0048】
図7は、在宅医療支援システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
図7に示す処理により、患者宅Hにおけるガス器具70の使用に対して警告が行われる。
図7に示す処理は、酸素供給装置10のCPU111、ガスメータ20のCPU211、管理サーバ40のCPU411、及びガス事業者サーバ50のCPU511が、それぞれ所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0049】
図7のステップS101において、ガスメータ20の制御部21は、流量センサ25からの検出信号に基づいて、ガスの使用(すなわちガス器具70の使用)が開始されたか否かを判定する。制御部21は、ガスの使用が開始されたと判定した場合にはステップS102の処理に移行し、ガスの使用が開始されていないと判定した場合には処理を終了する。ガスの使用が開始されたことに基づいて、酸素供給装置10の周囲でガス器具70が使用されている可能性があることを推測できる。
【0050】
ここで、制御部21は、患者等が直接的に火気を利用しないガス器具70(給湯器等)の使用が開始された場合はガスの使用が開始されたと判定せず(ステップS101で“NO”)、患者等が直接的に火気を利用するガス器具70(ガスストーブ等)の使用が開始された場合だけガスの使用が開始されたと判定する(ステップS101で“YES”)。患者等が直接的に火気を利用しないガス器具70が使用されても、酸素供給装置10を使用するに際して注意すべき火気が酸素供給装置10の周囲に存在することはないためである。
【0051】
ステップS102において、ガスメータ20の制御部21は、ガスの使用が開始されたことを示す使用開始情報を、ガス事業者サーバ50に対して送信する。この使用開始情報は、第2の通信ネットワークN2を介してガス事業者サーバ50に送信される。
【0052】
ステップS103において、ガス事業者サーバ50の制御部51は、使用開始情報を受信したか否かを判定する。ステップS102でガスメータ20から使用開始情報が送信された場合に、ガス事業者サーバ50で使用開始情報が受信されることになる(ステップS103で“YES”)。制御部51は、使用開始情報を受信したと判定した場合にはステップS104の処理に移行し、使用開始情報を受信していないと判定した場合には処理を終了する。
【0053】
ステップS104において、ガス事業者サーバ50の制御部51は、使用開始情報を管理サーバ40に対して転送する。この使用開始情報は、第2の通信ネットワークN2を介して管理サーバ40に送信される。このとき、ガス事業者サーバ50において、使用開始情報をガス消費者データベース55に登録するようにしてもよい。
【0054】
ステップS105において、管理サーバ40の制御部41は、使用開始情報を受信したか否かを判定する。ステップS104でガス事業者サーバ50から使用開始情報が送信された場合に、管理サーバ40で使用開始情報が受信されることになる(ステップS105で“YES”)。制御部41は、使用開始情報を受信したと判定した場合にはステップS106の処理に移行し、使用開始情報を受信していないと判定した場合には処理を終了する。
【0055】
ステップS106において、管理サーバ40の制御部41は、使用開始情報を酸素供給装置10に対して転送する。この使用開始情報は、第2の通信ネットワークN2を介して通信制御装置30に送信され、第1の通信ネットワークN1を介して酸素供給装置10に送信される。このとき、管理サーバ40において、使用開始情報を患者データベース45に登録するようにしてもよい。
【0056】
ステップS107において、酸素供給装置10の制御部11は、使用開始情報を受信したか否かを判定する。ステップS106で管理サーバ40から使用開始情報が送信された場合に、酸素供給装置10で使用開始情報が受信されることになる(ステップS107で“YES”)。制御部11は、使用開始情報を受信したと判定した場合にはステップS108の処理に移行し、使用開始情報を受信していないと判定した場合には処理を終了する。
【0057】
ステップS108において、酸素供給装置10の制御部11は、患者に酸素を供給中(酸素供給装置10が使用中)であるか否かを判定する。例えば、酸素供給装置10の電源の投入状態に基づいて、又は酸素供給装置10における実際の動作状態に基づいて、制御部11は酸素供給中であるか否かを判定する。制御部11は、酸素供給中であると判定した場合にはステップS109の処理に移行し、酸素供給中でないと判定した場合には処理を終了する。酸素供給装置10が使用中でない場合は、患者宅Hにおいてガス器具70が使用されても何ら問題はないためである。
なお、
図7に示す酸素供給装置10に関する処理が、酸素供給装置10の電源投入(酸素供給の開始)に伴い開始されるものとした場合、ステップS108の処理は省略してもよい。
【0058】
ステップS109において、酸素供給装置10の制御部11は、音声出力部12からメッセージ又は警告音を出力させる。また、制御部11は、表示部13においてLCDに画像(文字を含む)を出力させたり、LEDを点灯(又は点滅)させたりする。音声出力部12又は表示部13から出力するメッセージとしては、例えば、「宅内でガス器具が使用されています。周囲での火気の取り扱いに注意してください。」等、注意を促すメッセージが考えられる。
【0059】
これにより、酸素供給装置10を使用している患者は、直接的に火気を利用するガス器具70(例えばガスストーブ)が患者宅Hで使用されていることを知得でき、このガス器具70が当該酸素供給装置10の周囲で使用されていないかを確認することができる。そして、酸素供給装置10の周囲でガス器具70が使用されていた場合には、そのガス器具70の使用を停止させることで、火災が発生するのを未然に防止することができる。
【0060】
ステップS110において、酸素供給装置10の制御部11は、酸素供給装置10で警告を行ったことを示す警告情報を、管理サーバ40に対して送信する。この警告情報は、第1の通信ネットワークN1を介して通信制御装置30に送信され、第2の通信ネットワークN2を介して管理サーバ40に送信される。
【0061】
ステップS111において、管理サーバ40の制御部41は、警告情報を受信したか否かを判定する。ステップS110で酸素供給装置10から警告情報が送信された場合に、管理サーバ40で警告情報が受信されることになる(ステップS111で“YES”)。制御部41は、警告情報を受信したと判定した場合にはステップS112の処理に移行し、警告情報を受信していないと判定した場合には処理を終了する。
【0062】
ステップS112において、管理サーバ40の制御部41は、ガスの使用に関する情報として、ガス器具70が使用されたことに伴い酸素供給装置10で警告が行われたことを、警告した時間とともに患者データベース45に登録する。
【0063】
これにより、販売会社、主治医及び医療機関は、通信端末60のウェブブラウザを利用して、患者データベース45の登録情報を閲覧することで、患者宅Hにおけるガス器具70の使用状況を知得できる。そして、販売会社、主治医及び医療機関は、酸素供給装置10の使用中はガス器具70の使用を控えるよう患者及びその家族に進言し、在宅酸素療法が適切な環境で行われるように指導することができる。したがって、在宅酸素療法を行う患者のサポート体制が充実化される。
【0064】
なお、
図6に示す例では、酸素供給装置10による酸素供給が行われているときにだけ、ガスの使用に関する警告が行われるようになっているが、酸素供給中でない場合にも予備的に警告が行われるようにしてもよい。
【0065】
このように、実施の形態に係る在宅医療支援システム1は、患者に対して高濃度酸素を供給する酸素供給装置10と、患者宅Hでのガスの使用状況を監視するガス使用監視手段(ガスメータ20、ガス事業者サーバ50)とが、通信ネットワーク(第1の通信ネットワークN1、第2の通信ネットワークN2)を介して接続されている。そして、ガス使用監視手段(ガスメータ20、ガス事業者サーバ50)によりガスの使用が検出された場合に、当該患者に対して患者宅H内でガス器具70が使用されていることを警告する第1の警告手段(制御部11,音声出力部12、表示部13、
図7のステップS109)を備えている。
【0066】
また、在宅医療支援システム1において、ガス使用監視手段は、患者宅Hでのガスの使用を検出するガスメータ20と、このガスメータ20に第2の通信ネットワークN2を介して接続され、患者宅Hでのガスの使用状況を管理するガス事業者サーバ50とで構成されている。そして、ガスメータ20によりガスの使用が検出された場合に、ガス事業者サーバ50は、ガスの使用が開始されたことを示す使用開始情報を酸素供給装置10に対して提供する(
図7のステップS106)。
【0067】
また、在宅医療支援システム1において、ガスメータ20は、患者宅Hに設置されたガス器具70ごとにガスの使用を検出可能となっている。
【0068】
また、在宅医療支援システム1は、酸素供給装置10に通信ネットワーク(第1の通信ネットワークN1及び第2の通信ネットワークN2)を介して接続された管理サーバ40を備えている。そして、ガス事業者サーバ50は、使用開始情報を管理サーバ40に対して送信し(
図7のステップS109)、管理サーバ40は、使用開始情報を酸素供給装置10に対して送信する(
図7のステップS106)。
【0069】
また、在宅医療支援システム1において、管理サーバ40は、第1の警告手段(制御部11,音声出力部12、表示部13、
図7のステップS109)により警告が行われたことを記憶する。
【0070】
実施の形態に係る在宅医療支援システム1によれば、酸素供給装置10を設置している患者宅Hでのガスの使用状況に基づいてガス器具70(例えばガスストーブ等)の使用可能性が推測され、患者に報知される。したがって、酸素供給装置10を適切な環境で使用するように、使用環境に対する患者等の注意を喚起することができるので、火災の発生を未然に防止できるとともに、サポート体制の充実化を図ることができる。
【0071】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0072】
例えば、ガス使用監視手段(ガスメータ20、ガス事業者サーバ50)によりガスの使用が検出された後、酸素供給装置10による酸素供給が開始された場合(ガス器具70は継続して使用)に、酸素供給装置10による酸素供給が開始されたことを警告する第2の警告手段を備えるようにしてもよい。第2の警告手段は、例えば、直接的に火気を使用するガス器具70、又は患者宅H内に設けられる。
これにより、ガス器具70の使用者は、他の部屋で酸素供給装置10による酸素供給が開始されたことを知得できるので、ガス器具70の使用(火気の使用)に対して一層注意するようになる。
【0073】
また例えば、酸素供給装置10には、酸素濃縮器の他、液体酸素や酸素ボンベを利用した酸素供給装置を適用できる。また、本発明は、実施の形態で示した在宅酸素療法だけでなく、在宅用人工呼吸器を使用した在宅医療のように、酸素供給装置を利用した在宅医療に広く適用できる。
【0074】
また例えば、酸素供給装置10に第2の通信ネットワークN2に接続可能な通信モジュールを実装し、管理サーバ40と直接通信できるようにしてもよい。
また、酸素供給装置10とガスメータ20を第1の通信ネットワークN1を介して接続し、ガスメータ20でガスの使用が検出された場合に、ガスメータ20から酸素供給装置10に直接使用開始情報を送信するようにしてもよい。この場合、ガスメータ20が本発明のガス使用監視手段を構成し、
図7におけるステップS103〜S106が省略されることになる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。