(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平行保持部は、当接部(50a)の正面側又は背面側に設けられ前後方向にスライド可能な斜め測定部(700)と、ホルダ(40B)とを有し、斜め測定部は、前後方向にスライド可能に設けられ、平行保持部の左右方向の一方の側の辺部に沿って前後方向にスライド可能なスライド板部(702)と、スライド板部の上面に垂直に立設して設けられた平板状の計測板部で、当接部側が前後方向に対して左右方向の一方の側に傾斜するとともに、当接部側とは反対側が左右方向の他方の側に傾斜して設けられた計測板部(704)とを有し、ホルダは、スライド板部を前後方向にスライド可能に保持し、ホルダには、前後方向に沿って目盛りが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡用測定具。
計測板部が、当接部側が前後方向に対して左右方向の一方の側に45度傾斜するとともに、当接部側とは反対側が左右方向の他方の側に45度傾斜して設けられ、ホルダに設けられた目盛りは、前後方向に、当接部の前後方向の中心位置から当接部の左右方向の厚み分斜め測定部側にずれた位置を基点として設けられていることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡用測定具。
平行保持部は、左右方向の一方の側に他方のレンズの表面に当接する第2当接部でその左右方向の一方の側の端部が上記当接部の左右方向の一方の側の端部と左右方向に一致する第2当接部(50b)を有するスライド部(42)と、スライド部を前後方向にスライド可能に保持する第2ホルダ(40A)とを有することを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の眼鏡用測定具。
平行保持部とスライド部のいずれか一方に前後方向に目盛り(45)が設けられるとともに、他方に目盛りを読み取るための第2読取り用目印(52)が形成され、平行保持部には、スライド部(42)に沿って前後方向に伸びるとともに、平行保持部に対して前後方向にスライド可能に形成され、眼鏡の横方向の中央に合わせるための目印である中央位置用目印(64b、64f)を有する中央位置特定部(60)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の眼鏡用測定具。
立設部は、操作部本体の背面側の端部から水平方向に対して直角に立設し左右方向に伸びた板状を呈する操作部背面部を有することを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6に記載の眼鏡用測定具。
立設部は、前後方向を向いた複数の平板状部を間隔を介して水平面に対して直角に立設して設けたスリット構成部を有し、複数の平板状部における1つが頂点合わせ用目印となることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6に記載の眼鏡用測定具。
平行保持部には、回転部(1100)と、左右方向に移動可能に軸支する回転部軸支部(1071)とを有するレンズ厚調節部(1070)が設けられ、回転部は、当接部を左右方向の一方の側に支持する当接部支持部と、当接部支持部から左右方向の他方の側に伸びたネジ部で周面にネジ溝を有するネジ部(1104a)を有し、回転部軸支部は、ネジ部と螺合するためのネジ溝が形成されたネジ穴を有し、回転部が回転部軸支部に対して左右方向に所定の位置にある場合に、左右方向の他方の側へのスライドを規制させた操作部本体に主尺の突状部の左右方向の一方の側を当接させた際には、主尺の突状部の左右方向における一方の側の端部位置は、当接部の左右方向の一方の側の端部と左右方向に一致することを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8に記載の眼鏡用測定具。
操作部における立設部の正面側には、水平方向に対して正面側が上方となるように傾斜した鏡面を有する鏡面ユニットが設けられ、上方から鏡面を視認することにより立設部を視認可能であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9に記載の眼鏡用測定具。
スライド板の切欠部の柱状部に対する係止が解除された状態で、操作部を固定部本体に対して左右方向の他方の側にスライドさせた際に、柱状部がスライド板に接触しないように、スライド板における第1の方形状の左右方向の他方の側には、第2の切欠部(232b)が形成され、また、上側構成部に設けられた切欠部は平面視において第2の切欠部の領域にも形成されていることを特徴とする請求項12に記載の眼鏡用測定具。
固定部本体の上面の左右方向の他方の側には、操作部の固定部に対する移動量を測定するための目盛り(84、86)が左右方向に設けられていることを特徴とする請求項12又は13に記載の眼鏡用測定具。
平行保持部本体とスライド部のいずれか一方に前後方向に目盛り(45)が設けられるとともに、他方に目盛りを読み取るための第4目印(52)が形成されていることを特徴とする請求項11又は12又は13又は14に記載の眼鏡用測定具。
平行保持部の下面側には、前後方向に伸びるとともに、眼鏡の横方向の中央に合わせるための中間位置特定部(64b)を有する第2スライド部(64)と、第2スライド部を前後方向にスライド可能に保持する第2ホルダ(62)とを有する中央位置特定部(60)が設けられていることを特徴とする請求項15に記載の眼鏡用測定具。
スライド板は、平面視において、第1の方形状と、該第1の方形状の左側面における背面側の端部から左右方向の他方の側に連設された第2の方形状と、該第2の方形状の左側面から連設され第2の方形状から正面側に突出して形成された第3の方形状とを連設した形状を呈し、スライド板における切欠部は、第1の方形状と第2の方形状と第3の方形状とで囲まれて方形状に形成されていることを特徴とする請求項11又は12又は13又は14又は15又は16に記載の眼鏡用測定具。
操作部背面部には、眼鏡用測定具の左右方向の傾斜角度を測定するための傾斜角度測定部で、前後方向に設けられた支点を中心に垂下する板状の傾斜角度測定部(252)と、該傾斜角度測定用板状部と操作部背面部の一方に設けられた目盛り(252b)と、他方に設けられた該目盛りを読み取るための目印(252c)とを有することを特徴とする請求項7又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17に記載の眼鏡用測定具。
操作部本体の操作部背面部よりも正面側には、水平方向に対して直角に立設し左右方向に伸びた板状の正面側構成部(270)が設けられ、正面側構成部と操作部背面部とには、正確に正面側から視認していることを確認するための確認用手段で、目印又は開口部により構成された確認用手段が形成されていることを特徴とする請求項7又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18に記載の眼鏡用測定具。
眼鏡用測定具セットが、検査用眼鏡であって、テンプル部の外側面の前方端部又は智部の外側面に設けられた測定部で、目盛りがスライド方向に沿って設けられたスライド目盛り部(630)と、該スライド目盛り部をテンプル部に沿ってスライド可能に保持し、テンプル部の外側面に取り付けられたホルダ(612)とを有する測定具を有する検査用眼鏡を有することを特徴とする請求項20に記載の眼鏡用測定具セット。
眼鏡用測定具セットが、検査用眼鏡であって、テンプル部の外側面の前方端部又は智部の外側面に設けられた測定部で、目盛りがスライド方向に沿って設けられたスライド目盛り部(630)と、該スライド目盛り部をテンプル部に沿ってスライド可能に保持するホルダ(611)と、ホルダをテンプル部の方向に略直角な方向の軸線を中心に回動可能に支持する回動支持部(660)とを有する測定具を有する検査用眼鏡を有することを特徴とする請求項20に記載の眼鏡用測定具セット。
ホルダ又は検査用眼鏡のテンプル部又は智部に、検査用眼鏡に装着したレンズの厚み方向の中心を示す目印である中心位置表示目印(622a)と、該中心位置表示目印を基点とする目盛り(622b)とが設けられていることを特徴とする請求項21又は22に記載の眼鏡用測定具セット。
眼鏡を装着した状態の眼鏡のレンズの内側の面と装着者の瞳間の距離であるレンズ・瞳間距離を測定するための眼鏡用測定具で、本体部(5)と、操作部(200)とを有し、本体部は、第1主尺と第2主尺とがそれらのスライド方向を左右方向とした場合に左右方向にスライドするための平面部を上面に有する中央部(10)と、中央部の正面側の端部から正面側に伸びて形成され、その先端における左右方向の一方の側にレンズに当接するための突状部(24)が形成された第1レッグ部(20)と、中央部の背面側に形成され、左右方向の一方の側に一方のレンズの表面に当接する当接部(50a、1106)を有し、中央部の背面側に形成された平行保持部(30)と、中央部の左右方向の一方の側の端部から連設され、上面に水平面を有する固定部で、主尺の主尺本体を左右方向にスライド可能に収納する主尺収納部(76、80)を有する固定部(70)と、帯板状を呈する主尺本体(102、112)と、主尺本体の左右方向の他方の側の端部の上面に形成された突状部(104、114)とを有し、主尺本体には主尺本体の長手方向に沿って目盛りが表示された主尺(100、110)と、を有し、操作部は、操作部本体(210)と、立設部(240、270、290、1040)と、第2レッグ部(280)とを有し、操作部本体は、固定部に対してスライド可能に形成され、主尺本体に表示された目盛りを読み取るための読取り用目印(228)を有し、立設部は、操作部本体から立設して形成され、装着者の瞳の頂点に合わせるための頂点合わせ用目印で読取り用目印と左右方向に一致する頂点合わせ用目印(250a、250c、250e、900、1044b)を有し、第2レッグ部は、操作部本体の正面側の端部から正面側に伸びて形成され、その先端の左右方向の他方の側にレンズに当接するための突状部(284)が第1レッグ部の突状部と左右方向と直角方向をなす前後方向に同じ位置に形成され、第1レッグ部の突状部の先端と第2レッグ部の突状部の先端とを当接させた際には、操作部本体は、左右方向の他方の側へのスライドを規制された状態であり、左右方向の他方の側へのスライドを規制させた操作部本体に主尺の突状部の左右方向の一方の側を当接させた際には、主尺の突状部の左右方向における一方の側の端部位置は、当接部の左右方向の一方の側の端部と左右方向に一致し、主尺本体に表示された目盛りを視認可能なように、固定部の少なくとも主尺本体の上方の領域が透明又は半透明に形成されている眼鏡用測定具による測定方法であって、
第1レッグ部の突状部と第2レッグ部の突状部とで眼鏡のレンズを挟んだ状態とする挟み工程と、
主尺を左右方向の一方の側にスライドさせて、第1主尺と第2主尺の一方の突状部が操作部本体に当接する状態とする主尺スライド工程と、
眼鏡を装着者に装着させて、レンズ・瞳間距離を測定しようとする瞳に対応したレンズに当接部を当接させた状態で、装着者の瞳の頂点が立設部の頂点合わせ用目印と左右方向に一致するように操作部をスライドさせる操作部スライド工程と、
操作部本体に設けられた読取り用目印により示される主尺の目盛りの値をレンズ・瞳間距離として読み取る読取り工程と、
を有することを特徴とする眼鏡用測定具による測定方法。
眼鏡を装着した状態の眼鏡のレンズの内側の面と装着者の瞳間の距離であるレンズ・瞳間距離を測定するための眼鏡用測定具で、本体部(5)と、操作部(200)とを有し、本体部は、第1主尺と第2主尺とがそれらのスライド方向を左右方向とした場合に左右方向にスライドするための平面部を上面に有する中央部(10)と、中央部の正面側の端部から正面側に伸びて形成され、その先端における左右方向の一方の側にレンズに当接するための突状部(24)が形成された第1レッグ部(20)と、中央部の背面側に形成された平行保持部で、平行保持部本体(34)と、平行保持部本体に対して左右方向とは直角方向の前後方向にスライドするスライド部(42)とを有し、平行保持部本体は、左右方向の一方の側に一方のレンズの表面に当接する第1当接部(50a)を有するとともに、スライド部をスライド可能に保持するホルダ(40)を有し、スライド部は、左右方向の一方の側に他方のレンズの表面に当接しその左右方向の一方の側の端部が第1当接部の左右方向の一方の側の端部と左右方向に一致する第2当接部(50b)を有する平行保持部(30)と、中央部の左右方向の一方の側の端部から連設され、上面に水平面を有する固定部で、第1主尺の主尺本体を左右方向にスライド可能に収納する第1主尺収納部(76)と、第2主尺の主尺本体を左右方向にスライド可能に収納し、第1主尺収納部よりも正面側に設けられた第2主尺収納部(80)と、データ保持部材の帯板状部を左右方向にスライド可能に収納する溝状部(82)とを有する固定部(70)と、帯板状を呈する第1主尺本体(102)と、第1主尺本体の左右方向の他方の側の端部の上面に形成された突状部(104)とを有し、第1主尺本体には突状部の左右方向の一方の側の端部位置を基点として第1主尺本体の長手方向に沿って目盛りが表示された第1主尺(100)と、帯板状を呈する第2主尺本体(112)と、第2主尺本体の左右方向の他方の側の端部の上面に形成された突状部(114)とを有し、第2主尺本体には突状部の左右方向の一方の側の端部位置を基点として第2主尺本体の長手方向に沿って目盛りが表示された第2主尺(110)と、固定部に設けられた溝状部内にスライド可能な帯板状部(122)と、帯板状部の上面から立設した柱状部(124)と、柱状部の上端に設けられ第1主尺本体の目盛りと第2主尺本体の目盛りを読み取るための第1目印でスライド板を柱状部に係止した際には操作部本体に設けられた第2目印と左右方向に一致する第1目印(126a)が設けられたデータ表示部材とを有するデータ保持部材(120)と、を有し、操作部は、操作部本体(210)と、スライド板(230)と、操作部背面部(240)と、第2レッグ部(280)とを有し、操作部本体は、スライド板を前後方向にスライド可能に保持するとともに、第1主尺本体に表示された目盛りと第2主尺本体に表示された目盛りを読み取るための第2目印(228)を有し、固定部に対して左右方向にスライドし、スライド板は、前後方向にスライド可能で透明又は半透明な部材で形成され、正面側に開口した切欠部(232a)を有し、スライド板を正面側にスライドさせることにより切欠部がデータ保持部材の柱状部に係止し、切欠部が柱状部に係止した状態からスライド板を背面側にスライドさせることにより切欠部の柱状部に対する係止が解除され、操作部背面部は、操作部本体の背面側の端部から水平方向に対して直角に立設し左右方向に伸び、装着者の瞳の頂点に合わせるための第3目印で第2目印と左右方向に一致する第3目印(250a、250c、250e)を有し、第2レッグ部は、操作部本体の正面側の端部から正面側に伸びて形成され、その先端の左右方向の他方の側にレンズに当接するための突状部(284)が第1レッグ部の突状部と前後方向に同じ位置に形成され、第1レッグ部の突状部の先端と第2レッグ部の突状部の先端とを当接させた際には、操作部本体は、左右方向の他方の側へのスライドを規制された状態であり、左右方向の他方の側へのスライドを規制させた操作部本体に第1主尺の突状部の左右方向の一方の側を当接させた際には、第1主尺の突状部の左右方向における一方の側の端部位置は、第1当接部の左右方向の一方の側の端部と左右方向に一致し、左右方向の他方の側へのスライドを規制させた操作部本体部に第2主尺の突状部の左右方向の一方の側を当接させた際には、第2主尺の突状部の左右方向における一方の側の端部位置は、第1当接部の左右方向の一方の側の端部と左右方向に一致し、第1主尺本体に表示された目盛りと第2主尺本体に表示された目盛りを視認可能なように、固定部の少なくとも第1主尺本体の上方の領域及び第2主尺本体の上方の領域と、スライド板の少なくとも第2目印の上方を含む領域が透明又は半透明に形成されている眼鏡用測定具による測定方法であって、
操作部本体を第1レッグ部の突状部と第2レッグ部の突状部とが当接した状態になるようにスライドさせておき、レンズにおける眼鏡の装着者が前方を見る状態における瞳孔の位置に対応した遠用位置とレンズにおける眼鏡の装着者が手前位置を見る状態における瞳孔の位置に対応した近用位置の一方の位置で第1レッグ部の突状部と第2レッグ部の突状部とで眼鏡のレンズを挟んだ状態とする第1挟み工程と、
第1主尺を左右方向の一方の側にスライドさせて、第1主尺と第2主尺の一方の突状部が操作部本体に当接する状態とする主尺第1スライド工程と、
遠用位置と近用位置の他方の位置で第1レッグ部の突状部と第2レッグ部の突状部とで眼鏡のレンズを挟んだ状態とする第2挟み工程と、
第2主尺を左右方向の一方の側にスライドさせて、第1主尺と第2主尺の他方の突状部が操作部本体に当接する状態とする主尺第2スライド工程と、
眼鏡を装着者に装着させて、第1当接部と第2当接部の一方を左右のレンズの一方における遠用位置と近用位置において第2主尺が対応する位置に当接させ、他方を左右のレンズの他方における遠用位置と近用位置において第2主尺が対応する位置に当接させた状態とし、スライド板の切欠部がデータ保持部の柱状部に係止した状態で、装着者の瞳の頂点が操作部背面部の第3目印と左右方向に一致するように操作部をスライドさせる操作部第1スライド工程と、
スライド板を背面側にスライドさせることにより、スライド板の切欠部の柱状部への係止を解除した状態とする係止解除工程と、
第1当接部と第2当接部の一方を左右のレンズの一方における遠用位置と近用位置において第1主尺が対応する位置に当接させ、他方を左右のレンズの他方における遠用位置と近用位置において第1主尺が対応する位置に当接させた状態として、装着者の瞳の頂点が操作部背面部の第3目印と左右方向に一致するように操作部をスライドさせる操作部第2スライド工程と、
データ保持部材におけるデータ表示部材に設けられた第1目印により示される第2主尺の目盛りの値を遠用位置と近用位置において第2主尺が対応する位置のレンズ・瞳間距離として読み取るとともに、操作部本体に設けられた第2目印により示される第1主尺の目盛りの値を遠用位置と近用位置において第1主尺が対応する位置のレンズ・瞳間距離として読み取る読取り工程と、
を有することを特徴とする眼鏡用測定具による測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明においては、眼鏡のレンズと瞳の間の距離(「レンズ・瞳間距離」とする。他においても同じ)(「頂点間距離」としてもよい)、すなわち、レンズの内側の面と角膜頂点の間の距離を正確に測定することができ、特に、レンズの厚みについての情報がなくても正確にレンズの内側の面と角膜頂点の間の距離を正確に測定することができる眼鏡用測定具を提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0068】
なお、以下の説明において、Y1−Y2方向は、X1−X2方向に直角な方向であり、Z1−Z2方向は、X1−X2方向及びY1−Y2方向に直角な方向である。また、以下の説明において、左右方向と前後方向とは互いに直角な方向である。
【実施例1】
【0069】
本発明に基づく眼鏡用測定具1は、
図1〜
図6に示すように構成され、本体部5と、操作部200とを有しており、操作部200が本体部5に対してスライドするように構成されている。
【0070】
本体部5は、
図1、
図2等に示すように構成され、平面視で略T字状を呈し、中央板部10と、レッグ部20と、平行保持部30と、固定部70と、第1主尺100と、第2主尺110と、データ保持部材120とを有している。この本体部5は、透明な部材(例えば、合成樹脂)により形成されている。
【0071】
ここで、中央板部(中央部)10は、略方形状の平板状を呈し、
図2に示すように1つの角部にアールが形成されている。中央板部10は、水平方向(左右方向及び前後方向を向いた面(平面)(水平面)の方向(他の実施例においても同じ))に設けられている。つまり、中央板部10は、第1主尺100や第2主尺110がスライドするための平面部(水平面)を上面に有している。また、中央板部10の上面には、方形状の板状を呈する凸状部12が固定して設けられている。この凸状部12は、眼鏡用測定具1を使用する際に指を当接させる箇所となる。
【0072】
また、レッグ部(第1レッグ部)20は、中央板部10の正面側(Y1側)の端部から連設され、略L字状の平板状を呈し、前後方向(Y1−Y2方向)に伸びた長方形状の板状を呈する本体部22と、本体部22の右側面で正面側の端部領域から連設された突状部24を有している。この突状部24は、略半円状の板状を呈し、眼鏡のレンズの厚みを測定する際に、右側面側(X2側)(左右方向の一方の側(第1の側))の端部をレンズ面に当接させる。なお、このレッグ部20は、中央板部10と同じ厚みに形成され、レッグ部20の上面と下面は中央板部10の上面と下面にそれぞれ面一となっている。なお、左側面側(X1側)は、左右方向の他方の側(第2の側)に当たる。
【0073】
また、平行保持部30は、主として、眼鏡に当接して眼鏡用測定具1を眼鏡と平行に保つ(つまり、眼鏡の前面に対して平行に保つ)ための部材であり、傾斜板部32と、平行保持部本体34と、中央位置特定部60とを有している。
【0074】
傾斜板部32は、中央板部10の背面側の端部から連設され、板状を呈し、正面側から背面側にいくほど上方に傾斜する。
【0075】
また、平行保持部本体34は、傾斜板部32の背面側の端部から連設された水平板部36と、水平板部36の右側面側の端部から立設した垂直板部38と、水平板部36の左側面側の端部から連設されたホルダ40と、ホルダ40に支持され、ホルダ40に対してスライドするアーム部(スライド部)42と、垂直板部38の右側面に固定されたレンズ当接部(第1当接部)50aと、アーム部42の垂直板部46の右側面に固定されたレンズ当接部(第2当接部)50bとを有している。
【0076】
水平板部36は、前後方向を長手方向とした長方形状の平板状であり、水平方向に設けられている。また、垂直板部38は、前後方向を長手方向とした長方形状の平板状であり、水平板部36の上面の右側面側の端部から立設して設けられている。
【0077】
また、ホルダ40は、略筒状を呈し、アーム部42におけるL字状板部44の本体部44aをスライド可能に挿通するように構成されている。すなわち、ホルダ40は、前後方向を長手方向とする長方形状の平板状を呈する底面部40aと、底面部40aの右側面側の端部から立設し前後方向に帯状に伸びた右側面部40bと、底面部40aの左側面側の端部から立設し前後方向に帯状に伸びた左側面部40cと、右側面部40bと左側面部40cの上面に固定され、底面部40aに対して平行に設けられた上面部40dとを有し、上面部40dは、略コ字状の平板状を呈し、上面部40dの左右方向の中央の領域に正面側から背面側に向けて切欠部が形成されている。つまり、上面部40dは、前後方向に伸びて形成され右側面側に設けられた帯板状部40d−1と、前後方向に伸びて形成され左側面側に設けられた帯板状部40d−2と、帯板状部40d−1及び帯板状部40d−2の背面側の端部を連結する帯板状部40d−3とから構成されている。ホルダ40の正面側と背面側は、開口している。また、ホルダ40の底面部40aは、実際には、水平板部36と一体になっていて、1つの板状部材により構成されている。
【0078】
また、アーム部42は、略L字状の平板状を呈し、前後方向に帯状(細長長方形状)の本体部44aと、本体部44aの右側面側の背面側の端部から右側面側に連設された帯状(細長長方形状)の先端部44bと、先端部44bの右側面側の端部から垂直に立設した方形状の板状の垂直板部46と、本体部44aの上面に固定して設けられた板状のストッパ48とを有し、本体部44aをホルダ40に挿通した状態でストッパ48を固着することにより、アーム部42がホルダ40から脱落しないように構成されている。ここで、先端部44bの長さは、垂直板部46の左右方向(X1−X2方向)の位置が垂直板部38の左右方向の位置と一致する長さに形成されている。
【0079】
また、レンズ当接部50aとレンズ当接部50bは、略半球状を呈している。レンズ当接部50a、50bの先端(右側面側の端部)は、左右方向において同じ位置に設けられ(つまり、左右方向において一致して設けられ)(レンズ当接部50aの先端の左右方向の位置とレンズ当接部50bの先端の左右方向の位置とが一致しているとしてもよい)、レンズ当接部50a、50bの先端(右側面側の端部)は、主尺等収納部71の左側面側の端部(つまり、目盛り84、86のゼロ位置)及びレッグ部20の突状部24の右側面側の先端と左右方向において一致するように構成されている。中央板部10の右側面側の端部(端面)も、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致している。
つまり、レンズ当接部50a、50bの先端と、主尺等収納部71の左側面側の端部と、中央板部10の右側面側の端部(端面)と、レッグ部20の突状部24の右側面側の先端とは、左右方向において一致している。
【0080】
なお、本体部44aには、目盛り45が表示して設けられている。また、水平板部36とホルダ40の上面部40dの帯板状部40d−1の上面には、左右方向に直線により形成された表示部(第4目印、第2読取り用目印)52が印刷等により設けられている。この表示部52は、レンズ当接部50aの前後方向の中心位置(右側面側の先端位置)に合わせて設けられ(つまり、表示部52は、当接部50aの右側面側の先端における前後方向の位置と前後方向に一致する)、レンズ当接部50aとレンズ当接部50bとを眼鏡を装着した被験者の瞳孔位置に設定することにより、目盛り45における表示部52の位置の値を見ることにより、瞳孔間距離を測定することができるようになっている。
【0081】
なお、本体部44aに目盛り45を設け、ホルダ40の上面部40d等に表示部52を設けるとしたが、ホルダ40に目盛りを設け、本体部44aに目印を設けてもよい。
【0082】
また、中央位置特定部60は、ホルダ40の底面に固定して設けられたものであり、ホルダ40の底面側に設けられたホルダ(第2ホルダ)62と、ホルダ62に対してスライドするアーム部(第2スライド部)64とを有している。
【0083】
ここで、ホルダ62は、ホルダ40と略同様の構成であり、底面部40aの右側面側の端部から垂下し前後方向に帯状に伸びた右側面部62aと、底面部40aの左側面側の端部から垂下し前後方向に帯状に伸びた左側面部62bと、右側面部62aと左側面部62bの下面に固定され、底面部40aに対して平行に設けられた底面部62cとを有し、底面部62cは、略コ字状の平板状を呈し、底面部62cの左右方向の中央の領域に正面側から背面側に向けて切欠部が形成されている。ホルダ62の正面側と背面側は、開口している。つまり、ホルダ62の上面部は、ホルダ40の底面部40aと共有している。
【0084】
また、アーム部64は、全体に略板状を呈し、前後方向を長手方向とした長方形状の板状を呈し、帯板状(細長長方形状の板状)のアーム部本体64aと、アーム部本体64aの先端(背面側の端部)の下面に固定して設けられた略三角柱状の突状部64b(中間位置特定部、中央位置用目印)と、アーム部本体64aの下面に固定して設けられた板状のストッパ64cとを有している。
【0085】
この中央位置特定部60においては、アーム部64の突状部64bを被験者が装着している眼鏡の横方向の中心位置(つまり、ブリッジ506(
図14参照)の中心位置)に合わせることにより、この突状部64bと目盛り45により被験者の瞳孔と眼鏡の中心位置の間の距離を測定することができる。
【0086】
次に、固定部70は、中央板部10の右側面側の端部から連設され、中央板部10の右側面側の端部から連設され、水平方向に設けられた主尺等収納部(固定部本体)71と、主尺等収納部71の背面側の端部から立設した垂直板部90とを有している。
【0087】
ここで、主尺等収納部71は、略方形状(具体的には、横長の長方形状)の板状(直方体形状としてもよい)を呈する本体部72に、切欠部74、78と、挿通穴76、80と、溝状部82と、ストッパ88を設けた構成となっている。
【0088】
本体部72は、中央板部10の右側面側の端部から連設され、本体部72の上面は、中央板部10の上面よりも高く形成され、本体部72の下面(底面)は、中央板部10の下面(底面)よりも高く、中央板部10の上面よりも低く形成され、結果として、本体部72は、中央板部10に対して上側にずれた状態で、中央板部10と接続している。つまり、中央板部10と主尺等収納部71の境界位置の下面側には、段差が形成され、中央板部10の右側面側の端面は、前後方向を向いている。本体部72の前後方向の長さは、中央板部10の前後方向と長さと略同一となっている。
【0089】
切欠部74、78は、本体部72の左側面側に形成され、切欠部74、78は平面視において長方形状を呈し、本体部72の上面から中央板部10の上面の位置まで形成されている。つまり、切欠部74、78を形成した領域の上面は、中央板部10の上面と面一になっている。なお、切欠部74と切欠部78とは、間隔を介して形成され、切欠部78が切欠部74に対して正面側に形成されている。切欠部74と切欠部78の形状・大きさは略同一となっている。
【0090】
また、切欠部74の奥部(右側面側の端部)からは左右方向に挿通穴(第1主尺収納部)76が形成されている。つまり、この挿通穴76は、帯板状(細長長方形状の板状)の空間を有し、第1主尺100の主尺本体102が挿通可能に形成されている。この挿通穴76は、本体部72の右側面側の端部よりも所定長さ分だけ左側面側の位置まで形成されている。例えば、挿通穴76の右側面側の端部の左右方向の位置は、溝状部82の右側面側の端部の左右方向の位置となる。この挿通穴76の底面は、切欠部74の形成領域の上面や中央板部10の上面と面一となっている。
【0091】
また、切欠部78の奥部(右側面側の端部)からは左右方向に挿通穴(第2主尺収納部)80が形成されている。この挿通穴80は、挿通穴76と同様の構成であり、帯板状(細長長方形状の板状)の空間を有し、第2主尺110の主尺本体112が挿通可能に形成されている。この挿通穴80は、本体部72の右側面側の端部よりも所定長さ分だけ左側面側の位置まで形成されている。例えば、挿通穴80の右側面側の端部の左右方向の位置は、溝状部82の右側面側の端部の左右方向の位置となる。この挿通穴80の底面は、切欠部78の形成領域の上面や中央板部10の上面と面一となっている。
【0092】
なお、挿通穴76、80は、穴状に形成されているが、上方が開口した溝状に形成してもよい。
【0093】
また、溝状部82は、本体部72の上面に左右方向に設けられ、前後方向には、切欠部74と切欠部78の間の位置に形成されている。
【0094】
また、ストッパ88は、本体部72の底面の右側面側の端部に沿って形成され、帯板状を呈している。このストッパ88により、操作部200を固定部70に対して右側面側にスライドさせた場合でも、操作部200が固定部70から脱落することがない。
【0095】
また、本体部72の上面における切欠部74の背面側の領域には、目盛り84が形成され、また、本体部72の上面における切欠部78の背面側の領域には、目盛り86が形成されている。この目盛り84、86は、主尺等収納部71の左側面側の端部の位置をゼロ位置として表示されている。
【0096】
また、垂直板部90は、略長方形状の板状を呈し、開口部92が形成されている。この開口部92は、横長の長穴状であり、長方形状の両側に半円形状を連設した形状となっている。
【0097】
なお、この固定部70は、実際には、主尺等収納部71を中央板部10の上面の高さ位置の上側の構成(上側構成部)と下側の構成(下側構成部)とに分けて構成し、上側構成部と下側構成部とを固着させることにより形成する。その場合、下側構成部は、その上面が中央板部10の上面と面一の板状部材と該板状部材の底面の右側面側の端部に沿って形成されたストッパ88とから構成され、また、上側構成部には、左側面側に切欠部74、78が形成され(この場合、上側構成部の上面から下面まで切欠部74、78が形成される)、挿通穴76、80を形成するための溝部が底面側に形成されている。
【0098】
また、第1主尺100は、主尺本体102と、主尺本体102の上面の左側面側の端部に連設された板状部(突状部)104と、板状部104の上面に固着された円形板部106とを有している。板状部104は、主尺本体102よりも左右方向に短く形成され、板状部104の左右方向の長さと円形板部106の直径とは略同一である。ここで、主尺本体102は、帯板状(細長長方形状の板状)を呈し、挿通穴76に挿通可能な大きさに形成され、上面に長手方向に沿って目盛りが形成されている。この目盛りは、板状部104の右側面側の端部位置を基点として設けられている。主尺本体104に設けられた目盛りは、円形板部106に設けられた目盛りから連続しているので、円形板部106に設けられた目盛りから数えると7mmの位置が主尺本体102の目盛りの基点となる。なお、主尺本体102の目盛りの基点J1は、操作部200が最も左側面側にある状態で板状部104の右側面側を操作部200の水平挟設部210の上側構成部214に当接させた場合に、目盛り84のゼロ位置と一致し、また、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致する。また、円形板部106の上面には、主尺本体102と連続する目盛りが設けられ、この目盛りは、円形板部106の中心を基点(起点としてもよい)として設けられている。
【0099】
また、第2主尺110は、主尺本体112と、主尺本体112の上面の左側面側の端部に連設された板状部(突状部)114と、板状部114の上面に固着された円形板部116とを有している。板状部114は、主尺本体112よりも左右方向に短く形成され、板状部114の左右方向の長さと円形板部116の直径とは略同一である。ここで、主尺本体112は、帯板状(細長長方形状の板状)を呈し、挿通穴80に挿通可能な大きさに形成され、上面に長手方向に沿って目盛りが形成されている。この目盛りは、板状部114の右側面側の端部位置を基点として設けられている。主尺本体112に設けられた目盛りは、円形板部116に設けられた目盛りから連続しているので、円形板部116に設けられた目盛りから数えると7mmの位置が主尺本体112の目盛りの基点となる。なお、主尺本体112の目盛りの基点J2は、操作部200が最も左側面側にある状態で板状部114の右側面側を操作部200の水平挟設部210の上側構成部214に当接させた場合に、目盛り86のゼロ位置と一致し、また、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致する。また、円形板部116の上面には、主尺本体112と連続する目盛りが設けられ、この目盛りは、円形板部116の中心を基点(起点としてもよい)として設けられている。
【0100】
板状部104、114は、板状部104、114を右側面側に移動させるか、又は、操作部200を左側面側に移動させることにより、操作部200(特に、上側構成部214)に当接する。
【0101】
また、データ保持部材120は、帯板状部122と、柱状部124と、水平板部(データ表示部材)126とを有している。帯板状部122は、帯板状(細長長方形状の板状)を呈し、その幅は、溝状部82の幅よりも若干短く形成され、また、その長さ(左右方向の長さ)は、溝状部82の長さよりも短く形成され、帯板状部122は、溝状部82内を左右方向にスライド可能に形成されている。また、柱状部124は、帯板状部122の上面の左側面側の端部から上方に立設して固定され、柱状を呈している。また、水平板部126は、柱状部124の上面に固着して設けられ、平板状を呈している。この水平板部126は水平方向に形成されている。また、水平板部126の上面には、前後方向の直線により形成された表示部(第1目印)126aが印刷等により設けられ、この表示部126aは、スライド板部230の切欠部232aがデータ保持部材120の柱状部124に係止した際には、操作部200に設けられた表示部(第2目印、読取り用目印)228と一致するように形成されている。
【0102】
このデータ保持部材120は、第1主尺100により測定されたレンズ・瞳間距離と第2主尺110により測定されたレンズ・瞳間距離において、先に測定したレンズ・瞳間距離を保持しておくために使用される。
【0103】
次に、操作部200は、本体部5の固定部70に対してスライド可能に形成され、
図3、
図4に示すように、水平挟設部(操作部本体)210と、水平挟設部210に対して前後方向にスライドするスライド板部(スライド板)230と、水平挟設部210の背面側に形成された垂直挟設部(操作部背面部)240と、水平挟設部210の正面側の端部位置に立設して設けられた正面構成部(正面側構成部)270と、水平挟設部210の正面側の端部から正面側に連設されたレッグ部(第2レッグ部)280とを有している。この操作部200は透明な部材(例えば、合成樹脂)により形成されている。つまり、表示部228と、覗き窓246を構成する表示部247、248b−1、251、276等を除き、透明に形成されている。
【0104】
ここで、水平挟設部210は、固定部70の主尺等収納部71を上面側及び下面側から挟むように構成され、平板状の下側構成部212と、下側構成部212の上方に下側構成部212に略平行に設けられた上側構成部214と、下側構成部212と上側構成部214とを正面側で連結する中間部238とを有している。
【0105】
下側構成部212は、略方形状の平板状を呈し、水平方向に形成されている。下側構成部212の前後方向の長さは、固定部70の前後方向の長さよりも略同様に(厳密には、操作部200が固定部70に対してスライド容易なように若干長く)形成され、また、左右方向の長さは、固定部70の主尺等収納部71の左右方向の長さよりも短く形成されている。下側構成部212は、主尺等収納部71の下側に設けられる。
【0106】
また、上側構成部214は、略方形状の板状(直方体形状としてもよい)を呈する本体部216に、切欠部218と、凹部220とを形成したものである。上側構成部214は、主尺等収納部71の上側に設けられる。
【0107】
ここで、切欠部218は、本体部216の左側面側に形成され、本体部216の上面から下面に渡って形成され、平面視において、左右方向に横長の長方形状を呈している。この切欠部218の前後方向の幅は、柱状部124の前後方向の幅よりも大きく形成され、柱状部124が切欠部218内に配置可能となっている。なお、切欠部218の一部は、凹部220の底面部220aを切り欠いて形成されている。
【0108】
また、凹部220は、上側構成部214の上面側に形成され、平面視において略L字状を呈する凹部本体222と、凹部本体222の左側面の下側の領域から溝状に形成された溝部224aと、凹部本体222の右側面の下側の領域から溝状に形成された溝部224bとを有している。つまり、凹部本体222は、平面視において、辺部h1と、辺部h2と、辺部h3と、辺部h4と、辺部h5と、辺部h6と、辺部h7と、辺部h8とに囲まれた輪郭を有する凹部であり、凹部本体222の内底面側には、溝部224a、224bが形成されているので(左側面側の溝部224aは、辺部h1に沿って形成され、辺部h5に沿っては形成されていない)、凹部220は、内底面側の方が左右方向に広く形成されている。これにより、本体部216の凹部220側の上端位置には、内側に突出したフランジ216a、216bが形成されている。なお、凹部220の正面側と背面側(辺部h6に沿った側)と左側面側の正面側(辺部h5に沿った側)には溝部は形成されていない。
【0109】
これにより、本体部216には、凹部220の内底面をなす底面部220aの上面の高さよりも上側に突出した左側構成部216−1と右側構成部216−2と正面・左側構成部216−3とを有している。つまり、左側構成部216−1は、略板状(つまり、溝部224aが形成された板状)の縦側長方形状を呈し、右側構成部216−2は、略板状(つまり、溝部224bが形成された板状)の縦長長方形状を呈し、正面・左側構成部216−3は、平面視略L字状の板状を呈している。なお、正面・左側構成部216−3の上端は、左側構成部216−1及び右側構成部216−2の上端の高さよりも低く形成されている。
【0110】
凹部220における溝部224a、224bが設けられている高さ分の空間がスライド板部収納部226となり、このスライド板部収納部226にスライド板部230が前後方向にスライド可能に収納される。
【0111】
また、凹部220の底面をなす板状の底面部220aの上面側には、直線により形成された表示部(第2目印)228が印刷等により前後方向に設けられている。つまり、表示部228は、底面部220aの上面の背面側の端部から切欠部218まで形成された表示部228aと、底面部220aの上面の切欠部218よりも正面側の領域に形成され表示部228aの延長線上に形成された表示部228b(
図20参照)とを有している。なお、表示部228bは、正面・左側構成部216−3の凹部220に面した右側面の下端に沿って形成されている。なお、操作部200は透明に形成されているので、スライド板部230が上側構成部214にスライド可能に設けられている状態でも、外部から表示部228を視認することができる。
【0112】
また、スライド板部(スライド板)230は、スライド板部本体232と、スライド板部本体232の上面に固定された操作つまみ234とを有している。このスライド板部本体232は、略L字状の板部に切欠部232aと切欠部(第2の切欠部)232bとを形成したものであり、切欠部232bが形成された方形状の板部232−1と、板部232−1の左側面で背面側の端部から連設された方形状の板部232−2と、板部232−2の正面で左側面側の端部から連設された方形状の板部232−3とを一体に形成した形状を呈し、板部232−1の左側面と板部232−2の正面と板部232−3の右側面とで囲まれた切欠部232aが形成されている。なお、切欠部232bは、前後方向には、上側構成部214に形成された切欠部218に対応する位置に設けられ、切欠部232bの左右方向の長さは、切欠部218の表示部228aと切欠部218の右側の端部間の長さと略同一となっていて(つまり、切欠部232bの右側の端部と切欠部218の右側の端部とは一致している(つまり、上側構成部214に設けられた切欠部218は平面視において切欠部232bの領域にも形成されている))、スライド板部230を背面側にスライドさせて、スライド板部230の背面側の端部が背面前側構成部242に接する状態になった場合に、スライド板部230の切欠部232bと上側構成部214の切欠部218とが前後方向において一致する位置に形成されている。
【0113】
このスライド板部230の左右方向の長さS1は、上側構成部214の凹部220の上端位置の左右方向の長さS3よりも長く形成され、溝部224aの奥部と溝部224bの奥部間の左右方向の長さ以下に形成され、また、スライド板部230の前後方向の長さS2は、凹部220の前後方向の長さよりも短く形成され、これにより、スライド板部本体232は、凹部220内に前後方向にスライド可能で、上側構成部214から脱落しないようになっている。
【0114】
また、操作つまみ234は、スライド板部本体232の上面の下端領域に固定して設けられ、方形状の板状の操作つまみ本体234aと、操作つまみ本体234aの下面とスライド板部本体232の上面間に設けられた台部234bとから構成され、平面視において、操作つまみ本体234aは、スライド板部本体232の正面側の端部から突出しているのに対して、台部234bは、スライド板部本体232の正面側の端部から突出しないように形成されている。すなわち、台部234bは、操作つまみ本体234aをフランジ216a、216bの厚み分だけ上側に配置するために設けられている。
【0115】
また、操作部200は透明に形成され、上側構成部214とスライド板部本体232も透明に形成されているので、挿通穴76に挿通された第1主尺100の主尺本体102に設けられた目盛りや、挿通穴80に挿通された第2主尺110の主尺本体112に設けられた目盛りを外部から視認することができる。
【0116】
また、中間部238は、下側構成部212と上側構成部214の間の正面側の端部位置に設けられ、下側構成部212と上側構成部214間に中間部238が設けられていることにより、下側構成部212と上側構成部214とが間隔を介して形成されている。
【0117】
また、垂直挟設部240は、水平挟設部210の背面側の端部から上方に立設して連設され、上側構成部214の背面側の端部から連設され、上方に鉛直方向(つまり、水平方向に対して直角方向)に立設して形成された背面前側構成部(前側構成部)242と、下側構成部212の背面側の端部から連設され、上方に鉛直方向に立設して形成された背面後側構成部(後側構成部)260とを有している。つまり、垂直挟設部240は、垂直板部90を正面側及び背面側から挟んでいる。
【0118】
ここで、背面前側構成部242は、略方形状(長方形状)の板状を呈し、水平挟設部210の上側構成部214に対して垂直方向に形成された(例えば、水平面をなす上側構成部の214の下面に対して垂直方向に形成されている)本体部244の正面側に覗き窓246と傾斜角度測定部252が設けられている。覗き窓246は、印刷等により形成された円形の線からなる表示部247内に形成され、
図6に示すように、正面視右側に形成された開口部248aと正面視左側に形成された非開口部248bとから構成され、開口部248aと非開口部248bの開口部248側には凹凸部250が形成され凹凸に形成されている。凹凸部250は、正面視において、垂直方向の直線と半円とを交互に縦方向につなげた構成となっていて、直線部250aと、直線部250aの下端から連設された半円部250bと、半円部250bの下端から連設された直線部250cと、直線部250cの下端から連設された半円部250dと、半円部250dの下端から連設された直線部250eとを有している。つまり、開口部248aは、表示部247に沿った円弧形状と該凹凸部250により形成されている。また、非開口部248bは、背面前側構成部242における覗き窓246の外側と面一に形成され、表示部247に沿った円弧形状と該凹凸部250により囲まれた領域である。なお、この非開口部248bには、直線部250cの縦方向の中心位置から水平に形成された直線状の表示部248b−1が印刷等により形成されている。この表示部248b−1の上下方向(Z1−Z2方向)の高さは、レンズ当接部50a、50bの高さと略同一の高さとなっていて、特に、レンズ当接部50a、50bの半球状の頂点の位置と略同一の高さとなっている。なお、直線部250a、250c、250eが、第3目印及び頂点合わせ用目印に当たる。
【0119】
また、背面前側構成部242の正面側の面の覗き窓246の上方には、円形の表示部251が印刷等により設けられている。この表示部251の左右方向の位置は、表示部251の中心位置の左右方向の位置が直線部250aの左右方向の位置と一致する位置となっている。
【0120】
なお、該凹凸部250を構成する直線部250a、250c、250eの左右方向の位置は、表示部228の左右方向の位置と一致して形成されている。
【0121】
また、傾斜角度測定部252は、2つの直線状の辺部と円弧状の辺部とから構成された扇状の板状を呈し、2つの直線状の辺部が接する端部位置でピン252aにより揺動可能に背面前側構成部242に軸支されている。また、傾斜角度測定部252の円弧状の辺部に沿って傾斜角度を測定するための目盛り252bが形成されている。また、背面前側構成部242には、目盛り252bを読み取るための直線状の目印252cが設けられている。なお、目印252cを傾斜角度測定部252に設け、目盛りを背面前側構成部242に設けてもよい。
【0122】
また、背面後側構成部260は、略方形状(横長長方形状)の板状を呈し、水平挟設部210の下側構成部212に対して垂直方向に形成され、背面前側構成部242に対して間隔を介して設けられている。つまり、背面前側構成部242と背面後側構成部260間には、固定部70の垂直板部90が設けられるので、垂直板部90を挟んで、かつ、操作部200がスライド可能となるような間隔を介して形成されている。背面後側構成部260の上端と背面前側構成部242の上端とは略同じ高さに形成されている。この背面後側構成部260の大きさは、左右方向には背面前側構成部242と同様であるが、上下方向には、背面前側構成部242よりも若干長く形成されている。
【0123】
また、正面構成部270は、上側構成部214の正面側の端部位置で、覗き窓246の正面側の位置から立設して形成されている。つまり、正面構成部270は、略方形状(縦長長方形状)の板状を呈し、水平挟設部210の下側構成部212に対して垂直方向に形成された本体部272の正面側に覗き窓274が設けられている。覗き窓274は、円形の開口部から構成されている。この覗き窓274の直径は、覗き窓246の表示部247の直径と略同一となっていて、覗き窓274から正確に正面側から見ると、
図19に示すように、覗き窓274の中央に表示部247が配置されるようになっている。
【0124】
また、正面構成部270の正面側の面における覗き窓274の上方には、縦長長方形状の表示部276が印刷等により設けられている。この表示部276の左右方向の位置は、表示部276の左右方向の中心位置が覗き窓274の中心の左右方向の位置と一致する位置となっている。また、表示部276の短辺(つまり、横方向の辺部)の長さは、表示部251の直径の長さよりも短く形成され、結果として、操作者が、正面構成部270から背面前側構成部242を見る場合に、正確に正面側から見ると、
図19に示すように、表示部251が表示部276の中で、かつ、表示部276における上下左右に均等な位置に見える。表示部276と表示部251の奥行き方向の位置により、表示部276の短辺の長さが表示部251の直径の長さよりも短く形成されることにより、正面構成部270から見ると、表示部276の短辺の長さと表示部251の直径の長さとが一致したように見える。
【0125】
なお、覗き窓274と表示部247とは、正確に正面側から視認していることを確認するための確認用手段に当たり、覗き窓274は開口部により形成され、表示部247は目印により形成されている。同様に、表示部276と表示部251も、正確に正面側から視認していることを確認するための確認用手段に当たり、表示部276と表示部251は、ともに、目印により形成されている。
【0126】
なお、垂直挟設部240と正面構成部270とで、立設部(水平挟設部210から立設して形成され、装着者の瞳の頂点に合わせるための頂点合わせ用目印で表示部228(読取り用目印)と左右方向に一致する頂点合わせ用目印(つまり、直線部250a、250c、250e)を有する立設部)を構成する。
【0127】
また、レッグ部280は、水平挟設部210の正面側の端部から連設され、略L字状の平板状を呈し、前後方向(Y1−Y2方向)に伸びた長方形状の板状を呈する本体部282と、本体部282の左側面で正面側の端部領域から連設された突状部284を有している。この突状部284は、略半円状の板状を呈し、眼鏡のレンズの厚みを測定する際に、左側面側(Y1側)の端部をレンズ面に当接させる。なお、このレッグ部280はレッグ部20と略同じ厚みに形成され、レッグ部280部の下面は下側構成部212の下面と面一となっている。
【0128】
操作部200を左側面側に移動させると、中央板部10の下面と主尺等収納部71の下面とは段差があるので、操作部200の水平挟設部210の下側構成部212は、中央板部10の右側面側の端部に接触して、それ以上は左側面側には移動せず、最も左側面側の位置となる。なお、操作部200が最も左側面側の位置にある場合には、2つのレッグ部20の突状部24の先端と、レッグ部280の突状部284の先端とが当接するようになっている。つまり、中央板部10の右側面側の端部が、「操作部を左右方向の一方の側とは反対側である他方の側にスライドさせた際に左右方向の他方の側へのスライドを規制する規制部」となる。また、操作部200が最も左側面側の位置にある状態で、第1主尺100の板状部104と第2主尺110の板状部114を当接させた場合には、板状部104、114の右側面側の端部は、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致する。
【0129】
なお、操作部200におけるスライド板部230を除く構成は、一体に成形されているが、製造を容易とするために、上側構成部214における上側の部分、つまり、底面部220aの高さよりも上側の部分(つまり、上側構成部214の底面を底面とし底面部220aの上面を上面とする板部よりも上側の部分)を他の部分とは別に形成して、互いに固着するようにすることが好ましい。
【0130】
なお、眼鏡用測定具1は、実際には、左眼用のものであり、眼鏡用測定具1と左右対称の構成のものが右眼用となる。つまり、
図1〜
図6に示す構成は左眼用であり、
図1〜
図6に示す構成に対して、
図7に示すように左右対称の構成のものが右眼用となる。
図7に示す右眼用の眼鏡用測定具2は、左目用の眼鏡用測定具1と左右対称である点以外は同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。なお、右眼用の眼鏡用測定具2を示す
図7においては、左側面側(X2側)が「左右方向の一方の側」となり、右側面側(X1側)が「左右方向の他方の側」となる(実施例2の眼鏡用測定具4においても同じ)。
【0131】
次に、眼鏡用測定具1による測定に際して眼鏡に貼着して用いるシールについて説明する。シールには、眼鏡を装着して遠い位置(前方)を見る際の視線がレンズを通る位置(遠用位置)に貼着する遠用シール(第1シール)300と、眼鏡を装着して近い位置を見る際の視線がレンズを通る位置(近用位置)に貼着する近用シール(第2シール)310とが設けられる。つまり、遠用位置は、レンズにおける眼鏡の装着者が前方を見る状態における瞳孔の位置に対応した位置であり、眼鏡を装着した装着者を前方から見た場合に、レンズにおける眼鏡の装着者が前方を見る状態における瞳孔の位置である。また、近用位置は、レンズにおける眼鏡の装着者が手前位置を見る状態における瞳孔の位置に対応した位置であり、眼鏡を装着した装着者を前方から見た場合に、レンズにおける眼鏡の装着者が手前位置を見る状態における瞳孔の位置である。
【0132】
遠用シール300は、
図8に示すように、シール本体(第1シール本体)300aと、粘着部(第1粘着部)300bと、剥離紙(第1剥離紙)300cとから構成されている。粘着部300bは、レンズ面に貼着した後に、手で剥がすことにより容易に剥がすことができる粘着力となっている。
【0133】
シール本体300aは、円弧状部(第1円弧状部)302と、円弧状部302から連設された片部(第1片部)304とを有し、円弧状部302は、リング状(円環状)の一部を欠切して切欠部を形成した形状を有し、円弧状部302の中心302−1において円弧状部302の一方の端部から他方の端部までの角度範囲αは、270度よりも大きく310度よりも小さい角度(好適には、300度)となっている。つまり、270度〜310度の角度範囲で円弧状で所定幅の帯状に形成されている。なお、円弧状部302の周方向の両端部は、略半円状に形成されている。また、円弧状部302の内径は、第1主尺100の円形板部106や第2主尺110の円形板部116の外径と略同一に形成されている。
【0134】
また、片部304は、円弧状部302の周方向における一方の端部に近い位置から帯状に突出して形成されていて、片部304の一方の辺部304−1と反対側の辺部304−2とは、略平行に形成されている。なお、この片部304は、円弧状部302の中心位置302−1を通り、辺部304−1、304−2に平行な直線に対して線対称に形成されている。このシール本体300aは、合成樹脂により形成されている。
【0135】
また、粘着部300bは、円弧状部302の裏面に形成されている。また、剥離紙300cは、粘着部300bにおけるシール本体300aの反対側に粘着部300bを被覆して設けられ、円弧状部302と同大同形状のシート状を呈している。
【0136】
また、近用シール310は、
図9に示すように、シール本体(第2シール本体)310aと、粘着部(第2粘着部)310bと、剥離紙(第2剥離紙)310cとから構成されている。
【0137】
ここで、シール本体310aは、近用シール本体(本体部)311と、近用シール本体311と切目線を介して連設された目隠し用部材321とから構成されている。
【0138】
近用シール本体311は、円弧状部(第2円弧状部)312と、円弧状部312から連設された片部(第2片部)314とを有し、円弧状部312は、リング状(円環状)の一部を欠切した形状を有し、円弧状部312の中心312−1において円弧状部312の一方の端部から他方の端部までの角度範囲βは、270度よりも大きく310度よりも小さい角度(好適には、300度)となっている。つまり、270度〜310度の角度範囲で円弧状で所定幅の帯状に形成されている。このようにリング状の一部を欠切した形状とすることにより、
図12に示すように、遠用シール300と近用シール310とを同時に眼鏡のレンズに貼着する際に、近用シール本体311が遠用シール300のシール本体300aに大きく重ならないようにすることができる。なお、円弧状部312の周方向の両端部は、目隠し用部材321との境界が直線状になっていることから、円弧状部302とは異なり、中心312−1を通る放射状の直線に対して傾斜した直線となっている。
【0139】
また、片部314は、円弧状部312の周方向と端部に近い位置から帯状に突出して形成されていて、片部314の一方の辺部314−1と反対側の辺部314−2とは、略平行に形成されている。なお、この片部314は、円弧状部312の中心位置312−1を通り、辺部314−1、314−2に平行な直線に対して線対称に形成されている。このシール本体310aは、合成樹脂により形成されている。
【0140】
また、目隠し用部材321は、円弧状部312の内側から近用シール本体311の切欠部から突出して形成されていて、円弧状部312の内側に設けられた円形状部322と、円形状部322から円弧状部312の切欠部を通って円弧状部312の外側に突出した片部324とを有している。
【0141】
ここで、円形状部322は、円弧状部312の内側にミシン目状の切目線を介して連設され、略円形を呈している。また、片部324は、円弧状部322の切欠部側から帯状に突出して形成されていて、片部324の一方の辺部324−1と反対側の辺部324−2とは、略平行に形成されている。なお、この片部324は、円弧状部312の中心位置312−1を通り、辺部324−1、324−2に平行な直線に対して線対称に形成されている。また、この片部324は、片部314に対して略直角に形成されている。なお、片部324は、円形状部322側において、円弧状部312とはミシン目状の切目線を介して連設されている。このシール本体310aは、合成樹脂により形成されている。
【0142】
また、粘着部310bは、近用シール本体311の円弧状部312の裏面に形成されている。なお、目隠し用部材321には粘着部は形成されていない。また、剥離紙310cは、粘着部310bにおけるシール本体310aの反対側に粘着部310bを被覆して設けられ、円弧状部312と同大同形状のシート状を呈している。
【0143】
なお、遠用シールと近用シールとは、それぞれ右眼用と左眼用とが用意されていて、遠用シール300と近用シール310は、右眼側のレンズに貼着するものであり、左眼用のレンズに貼着する遠用シール400は、
図10に示すように、遠用シール300とは線対称に形成され、左眼用のレンズに貼着する近用シール410は、
図11に示すように、近用シール310とは線対称に形成されている。
【0144】
つまり、左眼用の遠用シール400は、
図10に示すように、シール本体400aと、粘着部400bと、剥離紙400cとから構成され、シール本体400aは、円弧状部402と、円弧状部402から連設された片部404とを有している。各部の構成は、遠用シール300の各部と線対称である以外は同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0145】
また、左眼用の近用シール410は、
図11に示すように、シール本体410aと、粘着部410bと、剥離紙410cとから構成され、シール本体410aは、近用シール本体411と、近用シール本体411と切目線を介して連設された目隠し用部材421とから構成されている。近用シール本体411は、円弧状部412と、円弧状部412から連設された片部414とを有している。各部の構成は、近用シール310の各部と線対称である以外は同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0146】
次に、眼鏡用測定具1と、遠用シール300、400と、近用シール310、410の使用状態について説明する。
【0147】
まず、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(この場合の眼鏡500は、レンズに度が入っていないサンプルである)を装着する。そして、眼鏡作成スタッフ等の操作者が、購入者が前方を見る状態で、
図12に示すように、レンズ502、504における購入者の瞳孔の位置の前側の位置(つまり、眼鏡の装着者が前方を見た場合に視線がレンズの前側の面と交差する位置)に遠用シール300、400を貼着する。厳密には、遠用シール300、400から剥離紙300c、400cを除いて、眼鏡のレンズ502、504にそれぞれ貼着する。つまり、シール本体300a、400aを粘着部を介して貼着する。
【0148】
また、購入者の前方の近い位置に目標物を配置し(例えば、購入者の前に位置するテーブル上に、購入者から30cmの位置に目標物を配置する)、購入者の一方の眼をふさいだ状態で、他方の眼で目標物を視認し、レンズにおいて、その他方の眼で目標物が視認できなくなる位置に近用シール310、410を貼着する。また、他方の眼をふさいだ状態で、一方の眼で目標物を視認し、レンズにおいて、その一方の眼で目標物を視認できなくなる位置に近用シール410を貼着する。すなわち、目隠し用部材321の円形状部322により目標物が視認できない状態にする。つまり、眼鏡の装着者が前方の近い位置を見る状態で、レンズ502、504における瞳孔の位置の前側の位置(眼鏡の装着者が前方の近い位置を見た場合に視線とレンズの前側の面と交差する位置)に近用シール410を貼着する。厳密には、近用シール310、410から剥離紙310c、410cを除いて、
図12に示すように、シール本体310a、410aを眼鏡のレンズ502、504に貼着する。つまり、シール本体310a、410aを粘着部を介して貼着する。
【0149】
遠用シールと近用シールを貼着したら、眼鏡500を装着していた購入者から眼鏡500を外して、
図13に示すように、左右の近用シール310、410のシール本体310a、410aにおける目隠し用部材321、421を切目線を介して取り除く。
【0150】
そして、遠用シール300、400のシール本体300a、400aと、近用シール310、410の近用シール本体311、411が貼られた状態の眼鏡を用いて、以下の測定を行う。
【0151】
すなわち、まず、平行保持部30を用いて、瞳孔間距離を測定する。つまり、
図14に示すように、遠用シール300、400のシール本体300a、400aの円弧状部302、402の中心位置に、アーム部42をホルダ40に対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させて、アーム部42の目盛り45を表示部52の位置で読み取ることにより、遠用位置の瞳孔間距離が測定される。
【0152】
同様に、近用シール310、410の近用シール本体311、411の円弧状部312、412の中心位置に、アーム部42をホルダ40に対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させて、アーム部42の目盛り45を表示部52の位置で読み取ることにより、近用位置の瞳孔間距離が測定される。
【0153】
また、平行保持部30を用いて、眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を測定する。つまり、遠用位置における眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離については、遠用シール300、400のシール本体300a、400aの円弧状部302、402の中心位置に、アーム部42をホルダ40に対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させ、さらに、中央位置特定部60のアーム部64をホルダ62に対してスライドさせて、突状部64bを眼鏡の横方向における中心位置に配置し、アーム42の目盛り45と突状部64bの位置により眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を読み取る。つまり、眼鏡の中心位置と右眼の瞳孔の間の距離については、レンズ当接部50bの中心位置から突状部64bまでの長さを読み取り、眼鏡の中心位置と左眼の瞳孔の間の距離については、レンズ当接部50aの中心位置から突状部64bまでの長さを読み取る。
【0154】
近用位置における眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離については、同様の方法により測定を行う。すなわち、近用シール310、410の近用シール本体311、411の円弧状部312、412の中心位置に、アーム部42をホルダ40に対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させ、さらに、中央位置特定部60のアーム部64をホルダ62に対してスライドさせて、突状部64bを眼鏡の横方向における中心位置に配置し、アーム42の目盛り45と突状部64bの位置により眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を読み取る。
【0155】
なお、第1主尺100と第2主尺110を用いることにより、以下のような測定を行うことができる。つまり、遠用シール300、400のシール本体300a、400aと、近用シール310、410の近用シール本体311、411が貼られた状態の眼鏡を用いて以下のような測定を行うことできる。
【0156】
つまり、
図15に示すように、第1主尺100の円形板部106を遠用シール300のシール本体300aの円弧状部302内に配置して、主尺本体102を眼鏡の縦方向(つまり、眼鏡の横方向(例えば、右側のフレームの上端と左側のフレームの上端を結ぶ方向)に対して直角の方向)に配置して、レンズ502の下端位置の主尺本体102の目盛りを読むことにより、遠用位置の瞳孔位置とレンズ502の下端間の距離を測定することができる。同様に、第1主尺100の円形板部106を近用シール310の近用シール本体311の円弧状部312内に配置して、主尺本体102を眼鏡に対して垂直に配置して、レンズ502の下端位置の主尺本体102の目盛りを読むことにより、近用位置の瞳孔位置とレンズ502の下端間の距離を測定することができる。なお、レンズ502の下端ではなく、レンズ502の上端との間の長さを測定してもよい。なお、第1主尺100の代わりに、第2主尺110を用いてもよい。また、左眼用のレンズ504についても同様に、測定を行う。
【0157】
また、
図16に示すように、第1主尺100の円形板部106を遠用シール300のシール本体300aの円弧状部302内に配置し、主尺本体102を眼鏡の縦方向に配置するとともに、第2主尺110の円形板部116を近用シール本体311の円弧状部312内に配置し、主尺本体112を眼鏡に対して横方向に配置して、主尺本体102と主尺本体112とを互いに直角にする。そして、主尺本体112の目盛りを読むことにより、遠用位置の瞳孔中心と近用位置の瞳孔中心の間の横方向の距離(内寄せ距離)N1を測定することができる。また、主尺本体102の目盛りを読むことにより、遠用位置の瞳孔中心と近用位置の瞳孔中心の間の縦方向の距離(累進帯距離)N2を測定することができる。なお、
図16において、第1主尺100と第2主尺110とを逆にしてもよい。また、左眼用のレンズ504についても同様に、測定を行う。
【0158】
また、
図17に示すように、第1主尺100の主尺本体102を眼鏡500のブリッジ506に沿って横方向に配置し、第2主尺110の主尺本体112を主尺本体102に対して直角方向でブリッジ506の長さN3の中間位置に配置する。つまり、主尺本体112の目盛りが設けられている側を長さN3の中間位置(つまり、ブリッジ506の一方の端部から中間位置まので長さN4とブリッジ506の他方の端部と中間位置までの長さN5が等しい位置)に配置する。なお、第1主尺100を移動させやすくするために、第2主尺110は、第1主尺100とブリッジ506の間に配置するのが好ましい。
【0159】
その後、第1主尺100を移動させて、第1主尺100の円形板部106を近用シール本体311の円弧状部312内に配置し、主尺本体102を眼鏡に対して横方向に配置して、主尺本体102と主尺本体112とを互いに直角にする。そして、主尺本体102の目盛りを読むことにより近用位置の瞳孔中心と眼鏡500の横方向の中心位置の間の長さN6を測定することができる。なお、第1主尺100の円形板部106を遠用シール300のシール本体300aの円弧状部302内に配置し、主尺本体102と主尺本体112とを互いに直角にして、主尺本体102の目盛りを読むことにより遠用位置の瞳孔中心と眼鏡500の中心位置の間の長さを測定することができる。なお、
図17において、第1主尺100と第2主尺110とを逆にしてもよい。また、左眼用のレンズ504についても同様に、測定を行う。
【0160】
また、レンズに度が入った検査用眼鏡600において、レンズ・瞳間距離を測定する。すなわち、まず、上記と同様の方法で遠用シール300、400と近用シール310、410を貼着する。
【0161】
この検査用眼鏡600は、
図18に示すように、フレーム部602と、フレーム部602の前枠部604に挿脱可能なレンズ612a〜612c、614a〜614cとからなり、フレーム部602は、装着者の顔の正面に位置する前枠部604と、前枠部604の右側の端部から前枠部604に対して回動可能に設けられたテンプル部606と、前枠部604の左側の端部から前枠部604に対して回動可能に設けられたテンプル部608とを有している。なお、厳密には、前枠部604とテンプル部606間には、智(智部としてもよい)609が設けられている。つまり、智609は、前枠部604の右側の端部と左側の端部に固定され、テンプル部606、608は、智609に対して回動自在に形成されている。
【0162】
また、前枠部604の右眼に対応する位置には、レンズを装着するための複数のポケットが設けられ、具体的には、前方から後方に向けて、右側第1ポケット、右側第2ポケット、右側第3ポケットが設けられている。同様に、前枠部604の左眼に対応する位置には、レンズを装着するための複数のポケットが設けられ、具体的には、前方から後方に向けて、左側第1ポケット、左側第2ポケット、左側第3ポケットが設けられている。
【0163】
また、レンズ612a〜612cは、前枠部604に設けられた各ポケットに挿脱されるものであり、
図18においては、レンズ612aは右側第1ポケットに装着され、レンズ612bは右側第2ポケットに装着され、レンズ612cは右側第3ポケットに装着されている。また、レンズ612a〜612cにおける各レンズは、互いに略平行に装着されている。
【0164】
また、レンズ614a〜614cは、前枠部604に設けられた各ポケットに挿脱されるものであり、
図18においては、レンズ614aは左側第1ポケットに装着され、レンズ614bは左側第2ポケットに装着され、レンズ614cは左側第3ポケットに装着されている。また、レンズ614a〜614cにおける各レンズは、互いに略平行に装着されている。
【0165】
なお、遠用シール300(厳密には、剥離紙300cを除いた遠用シール300)と近用シール310(厳密には、剥離紙310cを除いた近用シール310)は、レンズ612aの前面側に貼着し、遠用シール400(厳密には、剥離紙400cを除いた遠用シール400)と近用シール410(厳密には、剥離紙410cを除いた近用シール410)は、レンズ614aの前面側に貼着する。
【0166】
遠用シールと近用シールを貼着したら、検査用眼鏡600を装着していた購入者から眼鏡を外して、左右の近用シール310、410のシール本体310a、410aにおける目隠し用部材321、421を切目線を介して取り除く。
【0167】
そして、レンズ・瞳間距離の測定を行う。すなわち、レンズの厚みの測定を行ない、その後、レンズ・瞳間距離を測定するのであるが、左眼用の眼鏡用測定具と右眼用の眼鏡用測定具のそれぞれを用いて測定を行う。つまり、左眼用の眼鏡用測定具1を用いて、遠用位置と近用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置と近用位置のレンズ・瞳間距離を測定するとともに、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、遠用位置と近用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置と近用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。
【0168】
まず、予め、スライド板部230を正面側(Y1側)にスライドさせておいて、スライド板部230の切欠部232aをデータ保持部材120(つまり、柱状部124)に係止させておく。そして、左眼用の眼鏡用測定具により測定を行う。すなわち、左眼側のレンズの遠用シール400の位置と近用シール410の位置のレンズの厚みを測定する。レンズの厚みの測定に当たっては、検査用眼鏡を装着していない状態で行う。
【0169】
つまり、
図18に示すように、2つのレッグ部20、280により眼鏡のレンズを挟んだ状態としてレンズの厚みを測定する。つまり、レッグ部20の突状部24の先端をレンズ614aの一方の面に当接させるとともに、レッグ部280の突状部284の先端をレンズ614cの他方の面に当接させることにより、操作部200は、2つの突状部24,284とが互いに当接した状態(この状態では、操作部200は、固定部70に対して最も左側面側に位置し、
図20(a)に示す状態となる。操作部200が固定部70に対して最も左側面側となる位置を「原点位置」とする。)に対して、右側面側にスライドした位置となり、操作部200が右方向にスライドしたのに合わせて、第1主尺100(又は第2主尺110)を右方向にスライドさせて操作部200の左側面に当接させる。
【0170】
上記の作業を遠用シール400と近用シール410のそれぞれについて行う。つまり、遠用位置については、遠用シール400のシール本体400aの円弧状部402の中心位置にレッグ部20の突状部24の先端とレッグ部280の突状部284の先端を接触させて(第1挟み工程)、操作部200が固定部70に対して原点位置から移動した分だけ第1主尺100を移動させて第1主尺100(特に、板状部104の右側面側の端部)を操作部200(特に、上側構成部214の左側面側の端部)に当接させる(主尺第1スライド工程)。また、近用位置についても同様に、近用シール410のシール本体410aにおける近用シール本体411の円弧状部412の中心位置にレッグ部20の突状部24の先端とレッグ部280の突状部284の先端を接触させて(第2挟み工程)、操作部200が固定部70に対して原点位置から移動した分だけ第2主尺110を移動させて第2主尺110(特に、板状部114の右側面側の端部)を操作部200(特に、上側構成部214の左側面側の端部)に当接させる(主尺第2スライド工程)。
【0171】
以上のようにして、第1主尺100と第2主尺110とを操作部200に当接させた状態は
図20(b)に示すようになる。
【0172】
なお、近視用レンズ等のように、近用位置のレンズの厚みが遠用位置のレンズの厚み以上の厚みである場合には、遠用位置のレンズの厚みを測定して第1主尺100をスライドさせた後に、近用位置のレンズの厚みを測定した場合でも、操作部200が第1主尺100の板状部104を原点位置側(左側面側)に押してしまって、第1主尺100を原点位置側に移動させてしまうことがない。
【0173】
一方、遠視用レンズ等のように、遠用シール400の位置のレンズ厚よりも近用シール410の位置のレンズ厚の方が薄い場合には、遠用位置のレンズ厚を測定した後に近用位置のレンズ厚を測定すると、第1主尺100が左側に移動してしまうため、近用シール410の位置のレンズ厚の方が薄い場合には、近用シール410の位置のレンズ厚を先に測定し(つまり、第2主尺110をスライドさせる)、その後、遠用シール400の位置のレンズ厚を測定する(つまり、第1主尺100をスライドさせる)。
【0174】
以上のようにすることにより、第1主尺100と第2主尺110の位置により遠用位置と近用位置のレンズの厚みが保持されたことになる。
【0175】
なお、上記の説明においては、遠用位置に第1主尺100を対応させ、近用位置に第2主尺110を対応させたが、遠用位置と近用位置とにおいて、レンズ厚の薄い方に第1主尺100を対応させ、レンズ厚の厚い方に第2主尺110を対応させて、第1主尺100をスライドさせた後に第2主尺110をスライドさせてもよい。また、第1主尺100を近用位置に対応させ、第2主尺110を遠用位置に対応させて、近用位置のレンズの厚みが遠用位置のレンズの厚み以上の厚みである場合には、第2主尺110をスライドさせた後に第1主尺100をスライドさせ、一方、遠用位置のレンズの厚みが近用位置のレンズの厚み以上の厚みである場合には、第1主尺100をスライドさせた後に第2主尺110をスライドさせてもよい。
【0176】
その後、再び眼鏡を購入者に装着して、遠用位置と近用位置のそれぞれについてレンズ・瞳間距離を測定する。なお、データ保持部材120によりデータを保持し、表示部126aが第2主尺110の目盛りに示す値を保持しておく関係から、遠用位置と近用位置とにおいて第2主尺110に対応した方を先に計測する。
【0177】
すなわち、上記の例では第2主尺110は近用位置に対応しているので、まず、近用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。つまり、近用位置のレンズ・瞳間距離については、レンズ当接部50a、50bを2つの近用シール410の近用シール本体411の円弧状部412の中心位置(遠用位置と近用位置において第2主尺が対応する位置)にそれぞれ当接させた状態で、操作者が操作部200の正面構成部270の覗き窓274を覗き込んで、覗き窓274、246を瞳の頂点(レンズ側の頂点)に一致するまで操作部200をスライドさせる(操作部第1スライド工程)。つまり、覗き窓274、246と瞳の頂点とが一致する状態にする。
【0178】
ここで、覗き窓274、246と瞳の頂点とが一致する状態とは、
図19に示すように、覗き窓246における凹凸部250の直線部250c(特に、直線部250cと直線部248b−1とが接する点)が瞳Wの頂点に接し、かつ、覗き窓246の表示部247が覗き窓274内で覗き窓274の中心に位置する状態をいう。なお、覗き窓246の表示部247が覗き窓274内で覗き窓274の中心に位置する場合には、表示部251が表示部276内の上下左右に均等の位置に見ることができるので、表示部251が表示部276内の上下左右に均等の位置に見ることができるか否かで、覗き窓246の表示部247が覗き窓274内で覗き窓274の中心に位置するか否かを確認することができる。
【0179】
そして、覗き窓274、246と、瞳の頂点とが一致する位置で操作部200のスライドを停止させて
図20(c)に示す状態とし、その位置の第2主尺110の目盛りに対して表示部228、126aが示す位置が近用位置のレンズ・瞳間距離となる。
図20(c)の例では、αが近用位置のレンズ・瞳間距離となる。なお、水平挟設部210やスライド板部230は、透明な部材により形成されているので、スライド板部230や水平挟設部210を通して、第2主尺110の目盛りを読むのに支障はない。
【0180】
その後、
図21(d)に示すように、スライド板部230を背面側にスライドさせて、スライド板部230の切欠部232aのデータ保持部材120(つまり、柱状部124)への係止を解除する(係止解除工程)。これにより、近用位置のレンズ・瞳間距離のデータを保持することができる。つまり、スライド板部230の切欠部232aのデータ保持部材120への係止を解除することにより、その後に、操作部200を固定部70に対してスライドさせても、データ保持部材120は移動しないので、データ保持部材120の表示部126aが第2主尺110の目盛りに示す値を読み取ることにより(読取り工程)、近用位置のレンズ・瞳間距離を確認することができる。
【0181】
次に、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。測定の方法は、上記の近用位置のレンズ・瞳間距離の測定と同様であり、レンズ当接部50a、50bを2つの遠用シール400の円弧状部402の中心位置(遠用位置と近用位置において第1主尺が対応する位置)にそれぞれ当接させた状態で、操作者が操作部200の正面構成部270の覗き窓274を覗き込んで、覗き窓274、246を瞳の頂点(レンズ側の頂点)に一致するまで操作部200をスライドさせる(操作部第2スライド工程)。
【0182】
そして、覗き窓274、246と、瞳の頂点とが一致する位置で操作部200のスライドを停止させて
図21(e)に示す状態とし、その位置の第1主尺100の目盛りに対して表示部228が示す位置を読み取ることにより(読取り工程)、遠用位置のレンズ・瞳間距離を確認することができる。
図21(e)は、
図21(d)の状態に対して操作部200を若干(
図21(e)に示すγ分だけ)右側面側に移動した例を示している。
図21(e)の例では、βが遠用位置のレンズ・瞳間距離となる。なお、水平挟設部210やスライド板部230は、透明な部材により形成されているので、スライド板部230や水平挟設部210を通して、第1主尺100の目盛りを読むのに支障はない。また、データ保持部材120の表示部126aが第2主尺110の目盛りに示す値を読み取ることにより(読取り工程)、近用位置のレンズ・瞳間距離を確認することができる。
【0183】
なお、遠用位置におけるレンズの厚みとレンズ・瞳間距離の和が、近用位置におけるレンズの厚みとレンズ・瞳間距離の和よりも小さい場合には、
図21(d)の状態に対して、操作部200が左側面側に移動することも考えられるが、スライド板部230に切欠部232bが設けられ、切欠部218の右側の端部位置が切欠部232bの右側の端部位置にまで形成されている(つまり、上側構成部214に設けられた切欠部218は平面視において切欠部232bの領域にも形成されている)ので、操作部200を固定部70に対して左側面側に移動させてもデータ保持部材120が、スライド板部230や水平挟設部210に押されて左側面側に移動してしまうことがない。
【0184】
なお、第2主尺110が遠用位置に対応し、第1主尺が近用位置に対応している場合には、まず、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定し、その後、近用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。
【0185】
以上のように、左眼用のレンズについて、レンズ・瞳間距離の測定が行われるが、同様に、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、上記と同様に、右眼用のレンズについてレンズ・瞳間距離の測定を行う。つまり、遠用位置と近用位置におけるレンズの厚みを測定した後に、操作部を固定部に対してスライドさせてレンズ・瞳間距離を測定する。
【0186】
なお、レンズ・瞳間距離は12mmが適当であるとされている。つまり、12mmよりも長いと、眼鏡の装着者にとってレンズの屈折度がプラス側にずれて、近視が弱く、遠視が強く感じ、12mmよりも近いと、眼鏡の装着者にとってレンズの屈折度がマイナス側にずれて、近視が強く、遠視が弱く感じられるため、レンズ・瞳間距離は12mmが適当であるとされている。よって、検査用眼鏡600を用いたレンズ・瞳間距離の測定によって、12mmからずれている場合には、12mmになるように検査用眼鏡600を調整してから他の測定(レンズの度数の測定等)をするのが好ましい。
【0187】
なお、レンズ・瞳間距離の測定に際しては、傾斜角度測定部252において、眼鏡用測定具1が水平方向に対する傾斜角度を測定しておき、その傾斜角度のデータを記録しておく。つまり、傾斜角度測定部252によれば、眼鏡用測定具1の左右方向における傾斜角度を測定できるので、レンズ当接部50a、50bを遠用位置に当接させた際の傾斜角度と近用位置に当接させた際の傾斜角度を測定して記録しておき、できあがった眼鏡の調整時にそのデータを用いる。
【0188】
なお、レンズ・瞳間距離を測定するに当たり、レンズ当接部50a、50bを2つの遠用シール400の円弧状部402の中心位置や、2つの近用シール410の近用シール本体411の円弧状部412の中心位置にそれぞれ当接させるとしたが、平行保持部30を眼鏡の横方向と平行に保つために、左右一対の円弧状部402(412)における一方のレンズの円弧状部402(412)と眼鏡の中心までの距離を測定し、他方のレンズについては、眼鏡の中心位置から該距離と等距離の位置にレンズ当接部を当接させることにより、眼鏡の中心位置から等距離の位置にレンズ当接部50a、50bを当接させることができ、その状態で、レンズ・瞳間距離を測定してもよい。つまり、この場合には、一対の遠用位置や近用位置にレンズ当接部50a、50bを当接させるのではなく、シールにより特定された左右一対の遠用位置や近用位置において、一方にはレンズ当接部を当接させるが、他方については、該レンズ当接部が当接した位置と眼鏡の中心位置の距離と同じ長さの位置にレンズ当接部を当接させるのであり、これにより、眼鏡の左右方向に対して正確に直角な方向において、レンズ・瞳間距離を測定することができる。
【0189】
以上のように測定された「瞳孔間距離」のデータや、「眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離」のデータや、「レンズ・瞳間距離」のデータを用いて、眼鏡を作成する。なお、当然他の検査に基づくデータも用いて眼鏡を作成することになる。
【0190】
次に、購入者用に製造された眼鏡(この眼鏡のレンズには度が入っている)を購入者に装着してもらい、眼鏡用測定具1により、以下のように、レンズ・瞳間距離を測定した後に眼鏡の調整を行う。
【0191】
すなわち、上記と同様の方法で遠用シール300、400と近用シール310、410を貼着する。
【0192】
遠用シールと近用シールを貼着したら、眼鏡を装着していた購入者から眼鏡を外して、左右の近用シール310、410のシール本体310a、410aにおける目隠し用部材321、421を切目線を介して取り除く。
【0193】
なお、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(レンズに度が入っていないもの)を装着して測定した記録があるので、その記録と比較して、遠用シールや近用シールの位置を修正するのが好ましい。つまり、
図15に示すように、遠用位置や近用位置から眼鏡の下端や上端までに距離のデータや、
図16に示すように、遠用位置の瞳孔中心と近用位置の瞳孔中心の間の縦方向や横方向の距離のデータや、
図17に示すように、近用位置や遠用位置の瞳孔中心と眼鏡の横方向の中心位置の間の長さのデータが記録されているので、これらの記録に基づき遠用シールや近用シールの位置を調整する。
【0194】
また、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(レンズに度が入っていないもの)を装着して測定した記録に基づいて、遠用シールや近用シールを貼着してもよい。
【0195】
また、傾斜角度測定部252により遠用位置と近用位置の傾斜角度を測定して、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(レンズに度が入っていないもの)を装着して測定した傾斜角度のデータと比較して、遠用シールや近用シールの位置をチェックするのが好ましい。
【0196】
そして、レンズ・瞳間距離の測定を行う。すなわち、左眼用の眼鏡用測定具1を用いて、遠用位置と近用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置と近用位置のレンズ・瞳間距離を測定するとともに、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、遠用位置と近用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置と近用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。右眼用のレンズについても、右眼用の眼鏡用測定具2を用いて同様に測定する。
【0197】
レンズの厚みの測定の方法や、レンズ・瞳間距離の測定の方法は、上記のレンズに度が入った検査用眼鏡におけるレンズ・瞳間距離の測定と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0198】
そして、測定されたレンズ・瞳間距離と、検査用眼鏡を装着して測定されたレンズ・瞳間距離とを比較して、レンズ・瞳間距離が等しいか否かをチェックし、等しくない場合には、レンズ・瞳間距離が検査用眼鏡を装着して測定されたレンズ・瞳間距離と同一となるように、眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。特に、検査用眼鏡を装着して測定した際に、レンズ・瞳間距離を12mmとした場合には、レンズ・瞳間距離が約12mmとなっているか否かを確認することにより、眼鏡が正しく装着されているか否かを確認し、約12mmから離れている場合には、眼鏡のつるの形状の曲げ具合を調整したり、眼鏡の鼻当ての箇所を調整する等して、レンズ・瞳間距離が約12mmとなるようにする。
【0199】
なお、上記の説明では、検査用眼鏡を装着した際に測定したレンズ・瞳間距離と、顧客用に製造された眼鏡を装着した際のレンズ・瞳間距離とを同一にすることにより、検査用眼鏡において調整した状況を再現するものとして説明したが、検査用眼鏡を装着した際にレンズ・瞳間距離を測定しなくても、購入者用に製造された眼鏡(この眼鏡のレンズには度が入っている)についてレンズ・瞳間距離が約12mmとなっているかを測定して、約12mmから離れている場合には、眼鏡のつるの形状の曲げ具合を調整したり、眼鏡の鼻当ての箇所を調整する等して、レンズ・瞳間距離が約12mmとなるようにしてもよい。
【0200】
以上のように、本実施例の眼鏡用測定具1や眼鏡用測定具2によれば、レンズの厚みに応じて、第1主尺100や第2主尺110をスライドさせておき、その後、操作部200をスライドさせて、覗き窓274、246と瞳の頂点とが一致する状態にして、レンズ・瞳間距離を測定するので、レンズ・瞳間距離を正確に測定することができる。また、スライド板部230のデータ保持部材120への係止を解除することにより、データ保持部材に測定したレンズ・瞳間距離を保持させておくことができ、遠用位置のレンズ・瞳間距離と近用位置のレンズ・瞳間距離を同時に測定することができる。
【0201】
また、特に、検査用眼鏡を装着した際に測定したレンズ・瞳間距離と、顧客用に製造された眼鏡を装着した際のレンズ・瞳間距離とを同一にすることにより、検査用眼鏡において調整した状況を再現して、最適な眼鏡を製造することができる。特に、検査用眼鏡においてレンズ・瞳間距離を12mmに調整して、レンズの度数等を調整し、製造された眼鏡においてレンズ・瞳間距離を12mmにすることにより、適切な眼鏡を製造することが可能となる。
【0202】
また、前後方向にレンズを移動させることができる眼鏡を製造する際には、レンズ・瞳間距離の長さに応じた見え具合のデータを記録し、そのデータに基づいて眼鏡を製造する必要があるので、前後方向にレンズを移動させることができる眼鏡の製造に大きく寄与することができる。
【0203】
また、本実施例における遠用シール300、400と近用シール310、410によれば、眼鏡を装着した際の装着者の眼の遠用位置と近用位置に各シールを貼ることにより、遠用位置と近用位置を正確に把握することができ、遠用位置のレンズ・瞳間距離や近用位置のレンズ・瞳間距離を測定するに当たり、遠用シール300、400や近用シール310、410の位置にレンズ当接部50a、50bを当接させることにより、正確に遠用位置と近用位置のレンズ・瞳間距離を測定することができる。つまり、遠用シールや近用シールは、レンズ・瞳間距離を正確に測定するために大きく寄与することができる。
【0204】
また、瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を測定する際にも、遠用シール300、400や近用シール310、410の位置にレンズ当接部50a、50bを当接させることにより、正確に測定することができ、遠用シールや近用シールは、瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を正確に測定するために大きく寄与することができる。
【0205】
また、第1主尺100や第2主尺110は、
図15から
図17に示すように、各種測定を行うために利用することができる。つまり、第1主尺100や第2主尺110は、
図15から
図17に示すように、遠用シールや近用シールとともに使用することにより、眼鏡における各種データを取得するのに寄与することができる。
【0206】
なお、本体部5や操作部200は、透明の部材により構成されているとしたが、目盛りが視認可能な程度に半透明の部材により構成されているものとしてもよい。つまり、上記の説明で、透明な部材としたものについては、半透明な部材としてもよい。
【0207】
なお、上記の説明において、検査用眼鏡600を装着した状態でレンズ・瞳間距離を測定するに際して、眼鏡用測定具1を使用してレンズ・瞳間距離を測定するとして説明したが、
図22、
図23に示すような測定具610、680を用いてもよい。
【0208】
すなわち、測定具610は、検査用眼鏡600のテンプル部608の外側面の前方端部に設けられ、ホルダ612と、スライド目盛り部630とを有している。なお、測定部610を智609の側方の外面に取り付けてもよい。
【0209】
ホルダ612は、四角筒状の1つの側面に帯状の切欠きを設けた形状を呈し、帯状の板状部614と、板状部614の一方の長手辺に沿って板状部614から直角に立設して設けられた板状部616と、板状部614の他方の長手辺に沿って板状部614から直角に立設して設けられた板状部618と、板状部616の板状部614とは反対側の端部から板状部612側に向けて板状部614と平行に設けられた板状部620と、板状部618の板状部614とは反対側の端部から板状部616側に向けて板状部614と平行に設けられた板状部622とを有し、板状部620と板状部622間には隙間が形成されている。板状部620と板状部622間の隙間は、係合部640の幅狭部642の幅以上の幅に形成されている。
【0210】
また、スライド目盛り部630は、ホルダ612に嵌合した状態でスライドするものであり、本体部632と、本体部632の裏面に設けられた係合部640とを有している。
【0211】
ここで、本体部632は、長手方向(スライド目盛り部630のスライド方向)に沿って目盛り633が表示された板状部634と、板状部634の一方の長手辺の一方の端部側から突設された突設部636と、板状部634の他方の長手辺の一方の端部側から突設された突設部638とを有しており、突設部636と突設部638とは長方形状の板状部材を略コ字状に折曲した形状を呈している。つまり、突設部636は、板状部634と面一に形成された四角形状の板状部636aと、板状部636aの板状部634とは反対側の辺部から直角に形成された四角形状の板状部636bと、板状部636bの板状部636aと反対側の辺部から突設部638側に板状部636aと平行に形成された板状部636cとを有している。また、突設部638は、突設部636と対称に形成されている点以外は同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。つまり、突設部638は、板状部638aと板状部638bと板状部638cとを有している。
【0212】
なお、板状部636cと板状部638cの外側の面には、板状部634に設けられた目盛りを示す線と平行な直線からなる表示部が設けられている。つまり、板状部636cには直線状の表示部637−1が設けられ、板状部638cには直線状の表示部637−2が設けられている。なお、表示部637−1と表示部637−2とは同一直線上に形成されている。
【0213】
また、表示部637−1を板状部636cに対して直角に見た場合や、表示部637−2を板状部638cに対して直角に見た場合には、目盛り633における端部の直線633−1(突設部636、638側の端部の直線)と板状部636c、638cとが重なるように形成されている。
【0214】
また、係合部640は、断面略凸状の板状を呈し、長方形状の幅狭部642と、長方形状の板状部644とを積層した形状を呈し、板状部644の幅(短手方向の幅)は、ホルダ612における板状部616と板状部618間の間隔以下の長さに形成されている。また、幅狭部642の厚みは、板状部620、622の厚みよりも厚く形成されている。
【0215】
ホルダ612の板状部614の裏面側が、テンプル部608の外側の面に接着等により固定されている。
【0216】
また、測定具680は、検査用眼鏡600のテンプル部606の外側面の前方端部に設けられいて、測定具610と線対称(厳密には、面対称)に形成されている点以外は同一の構成であるので、詳しい説明を省略する。
【0217】
測定具610、680の使用方法について説明する。測定具610と測定具680の使用方法は同じであるので、測定具610を例にとって説明する。
【0218】
検査用眼鏡600を装着した状態で、スライド目盛り部630をホルダ612に対してスライドさせて、表示部637−1、637−2と直線633−1とが重なった状態で、該直線633−1が瞳の頂点に接するようにする。つまり、直線633−1(目盛りの基点)の位置を測定しやすい位置に移動させる。その状態で、視線を横方向にスライドさせてレンズ614cの内側の面の位置の目盛りを読み取る。この目盛りに示された数値がレンズ614cと瞳間の距離となる。測定具680の使用方法は測定具610と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0219】
なお、この実施例1においても、実施例2と同様に、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(この場合の眼鏡500には、度が入っていないサンプルレンズが装着されている)を装着した状態で、レンズ・瞳間距離(特に、遠用位置のレンズ・瞳間距離)を測定し、検査用眼鏡による測定によりレンズの度数が決定し、決定された度数等に従いとレンズ(購入者が実際に購入する眼鏡)の厚みが決定されるので、この決定されたレンズの厚みとサンプルレンズの厚みとを比較して、購入しようとする眼鏡に度入りのレンズを装着した際にレンズ・瞳間距離が12mmとなるように、眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整するようにするのが好ましい。
【実施例2】
【0220】
次に、実施例2の眼鏡用測定具について説明する。実施例2に基づく眼鏡用測定具3は、
図24〜
図28に示すように構成され、本体部5と、操作部200とを有しており、操作部200が本体部5に対してスライドするように構成されている。
【0221】
本体部5は、
図24、
図25に示すように構成され、平面視で略T字状を呈し、中央板部10と、レッグ部20と、平行保持部30と、固定部70と、第1主尺100と、第2主尺110とを有している。この本体部5は、一部の部材(例えば、平行保持部30における上面部40gとL字状板部39とL字状板部47と中央位置特定部60と斜め測定部700)を除きステンレス等の金属製部材により形成されている。
【0222】
ここで、中央板部(中央部)10は、略方形状の平板状を呈している。中央板部10は、水平方向に設けられている。つまり、中央板部10は、第1主尺100や第2主尺110がスライドするための平面部(水平面)を上面に有している。
【0223】
また、レッグ部(第1レッグ部)20は、中央板部10の正面側(Y1側)の端部から連設され、略長方形状の平板状を呈し、前後方向(Y1−Y2方向)に伸びた長方形状の板状を呈する本体部22と、本体部22の上面の正面側の端部に設けられたL字板部25aと、L字板部25aの垂直板部の右側面側に設けられたレンズ当接部25bとを有している。このL字板部25aは、本体部22の上面の正面側と右側面側の角部に設けられた方形状の水平板部25a−1と水平板部25a−1の右側面側の端部から水平板部25a−1に対して直角に立設した方形状の垂直板部25a−2とを有している。また、レンズ当接部25bは、右側面側が尖った突状を呈し、操作部200を左側面側にスライドさせた際に、レンズ当接部285bの先端と接する。また、このレンズ当接部25bは、眼鏡のレンズの厚みを測定する際に、右側面側(X2側)(左右方向の一方の側)の端部をレンズ面に当接させる。なお、このレッグ部20の本体部22は、中央板部10と同じ厚みに形成され、レッグ部20の上面と下面は中央板部10の上面と下面にそれぞれ面一となっている。なお、左側面側(X1側)は、左右方向の他方の側に当たる。中央板部10と本体部22とを合わせた形状は、略鉤状(略L字状)(長方形状における正面側と右側面側の角部に長方形状の切欠部を形成した形状)を呈しているといえる。
【0224】
また、平行保持部30は、主として、眼鏡に当接して眼鏡用測定具3を眼鏡と平行に保つための部材であり、傾斜板部32と、平行保持部本体34と、中央位置特定部60と、斜め測定部700とを有している。平行保持部30における上面部40gとL字状板部39とL字状板部47と中央位置特定部60と斜め測定部700とは、透明な部材(例えば、合成樹脂)(半透明の部材でもよい)により形成されている。
【0225】
傾斜板部32は、中央板部10の背面側の端部から連設され、板状を呈し、正面側から背面側にいくほど上方に傾斜する。
【0226】
また、平行保持部本体34は、傾斜板部32の背面側の端部から連設された水平板部36と、水平板部36の右側面側の辺部における背面側の端部に水平板部36に対して垂直に立設したL字状板部39と、水平板部36の上面の左側面側の端部に前後方向に設けられた突条部40eと、水平板部36の上面の突条部40eの右側面側に間隔を介して突条部40eと平行に設けられた突条部40fと、突条部40eと突条部40fの上面に設けられた上面部40gと、水平板部36の上面の右側面側の端部に前後方向に設けられた突条部40hと、上面部40gと突条部40h間をつなぐ板状の横架部40iと、ホルダ40Aに支持され、ホルダ40Aに対してスライドするアーム部(スライド部)42と、L字状板部39の垂直板部39bの右側面に固定されたレンズ当接部(第1当接部)50aと、アーム部42の垂直板部47bの右側面に固定されたレンズ当接部(第2当接部)50bとを有している。
【0227】
水平板部36は、前後方向を長手方向とした長方形状の右側面側かつ背面側の角部に方形状の切欠部を設けた平板状であり、水平方向に設けられている。
【0228】
L字状板部39は、水平板部36の右側面側でかつ背面側の角部に設けられた方形状の水平板部39aと水平板部39aに対して垂直に立設した垂直板部39bとを有している。
【0229】
また、突条部40e、40f、40hは、ともに四角柱状を呈し、互いに平行に配設されている。
【0230】
また、上面部40gは、略コ字状の平板状を呈し、上面部40gの左右方向の中央の領域に正面側から背面側に向けて切欠部が形成されている。つまり、上面部40gは、前後方向に伸びて形成され右側面側に設けられた帯板状部40g−1と、前後方向に伸びて形成され左側面側に設けられた帯板状部40g−2と、帯板状部40g−1及び帯板状部40g−2の背面側の端部を連結する帯板状部40g−3とから構成されている。上面部40gと、突条部40eと、突条部40fと、水平板部36の突条部40eと突条部40f間の領域とでホルダ40Aが形成され、ホルダ40Aの正面側と背面側は、開口している。また、突条部40fと突条部40hと横架部40iと水平板部36の突条部40fと突条部40h間の領域とでホルダ40Bが形成される。
【0231】
また、アーム部42は、略L字状の平板状を呈し、前後方向に帯状(細長長方形状)の本体部44aと、本体部44aの右側面側の背面側の端部から右側面側に連設された帯状(細長長方形状)の先端部44bと、先端部44bの右側面側の端部領域に設けられたL字状板部47と、本体部44aの上面に固定して設けられたストッパ48とを有し、本体部44aをホルダ40Aに挿通した状態でストッパ48を固着することにより、アーム部42がホルダ40Aから脱落しないように構成されている。L字状板部47は、先端部44bの上面の先端領域に設けられた方形状の水平板部47aと水平板部47aに対して直角に立設した方形状の垂直板部47bとから構成されている。垂直板部47bと垂直板部39bとは左右方向に一致した位置に設けられている。この垂直板部47bと垂直板部39bには、円形と十字を重ねた視標ESが設けられていて、円形の中心と十字の交点(十字を構成する2つの直線の交点)とは一致し、垂直板部47bにおける該円形の中心と十字の交点は、レンズ当接部50bの右側面視における中心と一致し、垂直板部39bにおける該円形の中心と十字の交点は、レンズ当接部50aの右側面視における中心と一致している。L字状板部39、47を透明な部材により形成し、レンズ当接部50a、50bを透明な部材により形成することにより、この指標ESにおける十字の交点をレンズ当接部50a、50bの当接対象(例えば、遠用シールや近用シールの中心)に合わせることにより、正確にレンズ当接部50a、50bを当接させることができる。
【0232】
また、レンズ当接部50aとレンズ当接部50bは、略半球状を呈している。レンズ当接部50a、50bの先端(右側面側の端部)は、左右方向において同じ位置に設けられ
(つまり、左右方向において一致して設けられ)(レンズ当接部50aの先端の左右方向の位置とレンズ当接部50bの先端の左右方向の位置とが一致しているとしてもよい)、レンズ当接部50a、50bの先端(右側面側の端部)は、固定部70(特に、上側板状部70c)の左側面側の端部(つまり、目盛り84、86のゼロ位置)及びレンズ当接部25bの右側面側の先端と左右方向において一致するように構成されている。中央板部10の右側面側の端部(端面)も、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致している。つまり、レンズ当接部50a、50bの先端と、固定部70の左側面側の端部と、中央板部10の右側面側の端部(端面)と、レンズ当接部25bの右側面側の先端とは、左右方向において一致している。
【0233】
なお、上記L字状板部47の代わりに、
図28に示すように、掛止板部47−1と、L字状板部47と、補強板部47−2の構成としてもよい。すなわち、掛止板部47−1は、先端部44bの右側面側の端部領域の上面に接着剤により固着された方形状の板状部47−1aと該板状部47−1aの右側面側の端部から下方に連設された突条部47−1bとを有し、突条部47−1bは、先端部44bの右側面側の端部に接している。また、L字状板部47は、L字状板部47と同様の構成であり、板状部47−1aの上面に接着剤により固着して設けられた方形状の水平板部47aと水平板部47aに対して直角に立設した方形状の垂直板部47bとから構成されている。レンズ当接部50bは、垂直板部47bの右側面側に接着剤により固着されている。また、補強板部47−2は、水平板部47aの上面に接着剤により固着して設けられ、PET(ポリエチレンテレフタラート)により形成された方形状の板状を呈している。L字状板部47もPETにより形成され、これにより、垂直板部47bがしなるように形成され、レンズ当接部50bをレンズに当接させた際に、弾力をもってレンズに接するので、装着者に装着された眼鏡を装着者の顔に対して無理に押すことがない。また、補強板部47−2が設けられているので、垂直板部47bが水平板部47aに対して大きく折れ曲がって垂直板部47bが折れてしまうことがない。また、掛止板部47−1が設けられているので、L字状板部47が左側面側に移動してしまうことがない。すなわち、アーム部42は金属製であり、L字状板部47を直接金属製の先端部44bに接着剤により固着しても、接着強度が弱く、レンズ当接部50bをレンズに当接させた場合に、L字状板部47が左側面側に移動してしまうおそれがあるが、掛止板部47−1の突条部47−1bが先端部44bの右側面側の端部に掛止しているので、レンズ当接部50bをレンズに当接させた際に、掛止板部47−1が左側面側に移動してしまうことがない。
【0234】
なお、上記の構成は、L字状板部39とレンズ当接部50aの代わりに用いてもよく、すなわち、水平板部36の右側面側で背面側の端部領域に掛止板部47−1と同様の構成の掛止板部を接着剤により固着し、さらに、掛止板部にL字状板部47と同様の構成のL字状板部を接着剤により固着し、さらに、L字状板部の水平板部に補強板部47−2と同様の構成の補強板部を接着剤により固着し、L字状板部の垂直板部の右側面側にレンズ当接部50aを接着剤により固着するのである。
【0235】
なお、本体部44aには、目盛り45が表示して設けられている。また、上面部40gの帯板状部40g−1の上面には、左右方向に直線により形成された表示部(第4目印)52が設けられている。この表示部52は、レンズ当接部50aの前後方向の中心位置に合わせて設けられ、レンズ当接部50aとレンズ当接部50bとを眼鏡を装着した被験者の瞳孔位置に設定することにより、目盛り45における表示部52の位置の値を見ることにより、瞳孔間距離を測定することができるようになっている。
【0236】
なお、本体部44aに目盛り45を設け、ホルダ40Aの上面部40g等に表示部52を設けるとしたが、ホルダ40A(特に、帯板状部40g−2)に目盛りを設け、本体部44aに目印を設けてもよい。
【0237】
また、中央位置特定部60は、ホルダ40Aに設けられ、アーム部64と、ストッパ64dを有している。アーム部64は、長方形状の板状のアーム部本体64eと、アーム部本体64eの背面側の端部からアーム部本体64eに対して直角に立設した垂直板部64f(中央位置用目印)とを有している。アーム部本体64eは、ホルダ40A内に配置され、本体部44aの上面に接した状態で設けられている。ストッパ64dは、アーム部本体64eの上面に固定して設けられ、アーム部64を背面側にスライドしてもホルダ40Aから脱落しないように形成されている。
【0238】
この中央位置特定部60においては、アーム部64の垂直板部64fを被験者が装着している眼鏡の中心位置(つまり、ブリッジ506(
図14参照)の中心位置)に合わせることにより、この垂直板部64fと目盛り45により被験者の瞳孔と眼鏡の中心位置の間の距離を測定することができる。
【0239】
また、斜め測定部700は、スライド板部702と、スライド板部702の上面に立設して設けられた平板状の計測板部704と、スライド板部702の上面に固定して設けられたストッパ706とを有している。
【0240】
ここで、スライド板部702は、長方形状の板状を呈し、ホルダ40B内に設けられ、ホルダ40Bを前後方向にスライドする。つまり、スライド板部702は、平行保持部30の右側面側の辺部に沿ってスライド可能となっている。計測板部704は、スライド板部702の上面に立設して設けられ、平面視における計測板部704の方向は、前後方向に対して45度の角度をなし、背面側(つまり、当接部50a側)が右側面側に45度傾斜し、正面側(当接部50a側とは反対側)が左側面側に45度傾斜している。つまり、平面視における計測板部704の延長線と前後方向とがなす角度Vは、45度となっている。また、スライド板部702の背面側の辺部702aは、計測板部704の延長線(計測板部704の平面視における軸線(中心線)(長手方向の軸線(中心線)))と突条部40hの右側面側の辺部との交点Haと前後方向において一致し、スライド板部702の辺部702aの位置で(つまり、辺部702aを目盛り読取り用の目印として)目盛り710を読むことにより、レンズ・瞳間距離Lhを測定できるようになっている。つまり、上面部40gの帯板状部40g−1には、目盛り710が表示されているが、この目盛り710のゼロ位置(基点)710aは、レンズ当接部50aの先端の前後方向の位置(つまり、表示部52の位置)からレンズ当接部50aの厚み(左右方向の厚み)Laだけ正面側(Y1側)に移動させた位置となっている(つまり、前後方向に、レンズ当接部50aの前後方向の中心位置からレンズ当接部50aの左右方向の厚み分斜め測定部700側にずれた位置となっている)。なお、角度Vが45度であるので、目盛り710のゼロ位置をレンズ当接部50aの先端の前後方向の位置からレンズ当接部50aの厚みLaだけ正面側(Y1側)に移動させた位置とすればよく、目盛りの基点を設定しやすいといえる。垂直板部39bの右側面側の面と突条部40hの右側面側の面とは左右方向に一致しているので、
図27に示すように、瞳の頂点Htと、交点Haと、垂直板部39bにおける前後方向においてレンズ当接部50aの先端に対応する位置Hbがなす三角形において、角度Vが45度であることから、HtとHb間の距離(=Lc)は、HbとHa間の距離(=Lb)となる。よって、スライド板部702の辺部702aで目盛り710を読み取った値をPとすると、Lh+Li(レンズの厚み)+La=P+Laとなり、Lh=P−Liとなり、計測板部704の方向が瞳の頂点と一致する位置での目盛りの値Pを読み取り、レンズの厚みLiをレンズ当接部25bとレンズ当接部285bによりレンズを挟んで目盛り84(又は目盛り86)を水平挟設部210の左端位置で読み取って計測し、P−Liを算出することにより、レンズ・瞳間距離Lhを計測することができる。
【0241】
なお、ホルダ40BをL字状板部39の背面側に設けて、スライド板部702とスライド板部702に立設する計測板部704をL字状板部39の背面側において前後方向にスライドするようにしてもよい。その場合には、計測板部704は、背面側(つまり、当接部50a側と反対側)が左側面側に45度傾斜し、正面側(当接部50a側)が右側面側に45度傾斜する構成となる。
【0242】
次に、固定部70は、中央板部10の右側面側の端部から連設され、水平方向に設けられている。
【0243】
すなわち、固定部70は、
図25に示すように、方形状(具体的には、長方形状)の板状の下側板状部70aと、下側板状部70aの上面に互いに間隔を介して設けられた第1中間板状部70b−1、第2中間板状部70b−2、第3中間板状部70b−3と、第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3の上面に固定して設けられた上側板状部70cと、ストッパ88とを有している。
【0244】
ここで、第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2とは、主尺本体102が左右方向にスライド可能な間隔を介して設けられ、第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3とは、主尺本体112が左右方向にスライド可能な間隔を介して設けられている。つまり、第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2間の幅と第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3間の幅とは、略同一(同一としてもよい)に形成されている。第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3は、ともに、左右方向に下側板状部70aの左右方向の長さと略同一の長さを有し、前後方向の長さは、第1中間板状部70b−1と第3中間板状部70b−3について略同一となり、第2中間板状部70b−2の前後方向の長さは、第1中間板状部70b−1と第3中間板状部70b−3の前後方向の長さよりも大きく形成されている。第1中間板状部70b−1の背面側の辺部は、下側板状部70aの背面側の辺部と一致し、第3中間板状部70b−3の正面側の辺部は、下側板状部70aの正面側の辺部と一致して設けられている。また、第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3の右側面側の辺部は、下側板状部70aの右側面側の辺部と一致して設けられている。
【0245】
また、上側板状部70cは、下側板状部70aと同大同形状の板状部材の左側面側に一対の方形状の切欠部74a、78aを設けた構成であり、切欠部74a、78aの前後方向の幅は、第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2間の幅や第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3間の幅と略同一に形成され、切欠部74aの背面側の辺部は、第1中間板状部70b−1の正面側の辺部と前後方向で一致し、切欠部74aの正面側の辺部は、第2中間板状部70b−2の背面側の辺部と前後方向で一致し、切欠部78aの背面側の辺部は、第2中間板状部70b−2の正面側の辺部と前後方向で一致し、切欠部78aの正面側の辺部は、第3中間板状部70b−3の背面側の辺部と前後方向で一致している。
【0246】
下側板状部70aは、中央板部10の右側面側の端部から連設され、下側板状部70aの上面は、中央板部10の上面と面一に構成され、下側板状部70aの下面(底面)は、中央板部10の下面(底面)よりも高く、中央板部10の上面よりも低く形成され、結果として、これにより、固定部70は、中央板部10に対して上側にずれた状態で、中央板部10と接続している。つまり、中央板部10と固定部70の境界位置の下面側には、段差が形成され、中央板部10の右側面側の端面は、前後方向を向いている。固定部70の前後方向の長さは、中央板部10の前後方向と長さと略同一となっている。
【0247】
切欠部74は、上側板状部70cの切欠部74aと第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2間の隙間の一部74bにより形成され、切欠部78は、上側板状部70cの切欠部78aと第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3間の隙間の一部78bにより形成され、切欠部74、78は平面視において長方形状を呈し、固定部70の上面から中央板部10の上面の位置まで形成されている。つまり、切欠部74、78を形成した領域の上面は、中央板部10の上面と面一になっている。なお、切欠部74と切欠部78とは、間隔を介して形成され、切欠部78が切欠部74に対して正面側に形成されている。切欠部74と切欠部78の形状・大きさは略同一となっている。
【0248】
また、切欠部74の奥部(右側面側の端部)からは左右方向に挿通穴(第1主尺収納部)76が形成されている。つまり、この挿通穴76は、第1中間板状部70b−1と第2中間板状部70b−2と下側板状部70aと上側板状部70cで囲まれた空間であり、帯板状(細長長方形状の板状)の空間を有し、第1主尺100の主尺本体102が挿通可能に形成されている。
【0249】
また、切欠部78の奥部(右側面側の端部)からは左右方向に挿通穴(第2主尺収納部)80が形成されている。つまり、この挿通穴80は、第2中間板状部70b−2と第3中間板状部70b−3と下側板状部70aと上側板状部70cで囲まれた空間であり、帯板状(細長長方形状の板状)の空間を有し、第2主尺110の主尺本体112が挿通可能に形成されている。
【0250】
以上のような構成とすることにより、固定部70は、切欠部74、78と、挿通穴76、80と、ストッパ88を設けた構成となっている。固定部70における第1中間板状部70b−1、第2中間板状部70b−2、第3中間板状部70b−3と、上側板状部70cとは、透明な部材(例えば、合成樹脂)(半透明の部材でもよい)により形成されている。
【0251】
また、ストッパ88は、固定部70の底面の右側面側の端部に沿って形成され、帯板状を呈している。このストッパ88により、操作部200を固定部70に対して右側面側にスライドさせた場合でも、操作部200が固定部70から脱落することがない。
【0252】
また、上側板状部70cの上面における切欠部74aの背面側の領域には、目盛り84が形成され、また、上側構成部70cの上面における切欠部78aの背面側の領域には、目盛り86が形成されている。この目盛り84、86は、上側板状部70cの左側面側の端部の位置をゼロ位置として表示されている。
【0253】
また、第1主尺100は、主尺本体102と、主尺本体102の上面の左側面側の端部に連設された板状部(突状部)104とを有している。板状部104は、主尺本体102よりも左右方向に短く形成されている。ここで、主尺本体102は、帯板状(細長長方形状の板状)を呈し、挿通穴76に挿通可能な大きさに形成され、上面に長手方向に沿って目盛りが形成されている。この目盛りは、板状部104の右側面側の端部位置を基点として設けられている。なお、主尺本体102の目盛りの基点J1は、操作部200が最も左側面側にある状態で板状部104の右側面側を操作部200の水平挟設部210の上側構成部214に当接させた場合に、目盛り84のゼロ位置と一致し、また、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致する。
【0254】
また、第2主尺110は、主尺本体112と、主尺本体112の上面の左側面側の端部に連設された板状部(突状部)114とを有している。板状部114は、主尺本体112よりも左右方向に短く形成されている。ここで、主尺本体112は、帯板状(細長長方形状の板状)を呈し、挿通穴80に挿通可能な大きさに形成され、上面に長手方向に沿って目盛りが形成されている。この目盛りは、板状部114の右側面側の端部位置を基点として設けられている。なお、主尺本体112の目盛りの基点J2は、操作部200が最も左側面側にある状態で板状部114の右側面側を操作部200の水平挟設部210の上側構成部214に当接させた場合に、目盛り86のゼロ位置と一致し、また、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致する。
【0255】
板状部104、114は、板状部104、114を右側面側に移動させるか、又は、操作部200を左側面側に移動させることにより、操作部200(特に、上側構成部214)に当接する。
【0256】
次に、操作部200は、本体部5の固定部70に対してスライド可能に形成され、
図24、
図26に示すように、水平挟設部(操作部本体)210と、水平挟設部210の背面側の端部に形成された操作部背面部290と、水平挟設部210の操作部背面部290よりも正面側に立設して設けられた正面構成部270と、水平挟設部210の正面側の端部から正面側に連設されたレッグ部(第2レッグ部)280と、レッグ部280に着脱する拡大鏡ユニット800とを有している。この操作部200における水平挟設部210の上側構成部214と、操作部背面部290と正面構成部270とは透明な部材(例えば、合成樹脂)(半透明の部材でもよい)により形成され、水平挟設部210における下側構成部212と中間部238、239とレッグ部280における本体部282は、ステンレス等の金属製である。
【0257】
ここで、水平挟設部210は、固定部70の上面側及び下面側から挟むように構成され、平板状の下側構成部212と、下側構成部212の上方に下側構成部212に略平行に設けられた平板状の上側構成部214と、下側構成部212と上側構成部214とを正面側で連結する中間部238と、下側構成部212と上側構成部214とを背面側で連結する中間部239とを有している。
【0258】
下側構成部212は、略方形状の平板状を呈し、水平方向に形成されている。下側構成部212の前後方向の長さは、固定部70の前後方向の長さと略同一に(厳密には、操作部200が固定部70に対してスライド容易なように若干長く)形成され、また、左右方向の長さは、固定部70の左右方向の長さよりも短く形成されている。下側構成部212は、固定部70の下側に設けられる。
【0259】
また、上側構成部214は、略方形状の平板状を呈し、下側構成部212と間隔を介して平行に設けられている。この上側構成部214の上面には、前後方向の直線からなる表示部228が設けられている。この表示部228の左右方向の位置は、操作部背面部290の縦方向直線部904bの左右方向の位置と一致して設けられている。
【0260】
また、中間部238は、下側構成部212と上側構成部214の間の正面側の端部位置に下側構成部212と上側構成部214に固着して設けられた棒状部材であり、下側構成部212と上側構成部214間に中間部238が設けられていることにより、下側構成部212と上側構成部214とが間隔を介して形成される。同様に、中間部239は、下側構成部212と上側構成部214の間の背面側の端部位置に下側構成部212と上側構成部214に固着して設けられた棒状部材であり、下側構成部212と上側構成部214間に中間部239が設けられていることにより、下側構成部212と上側構成部214とが間隔を介して形成される。
【0261】
水平挟設部210と中間部238、239によって固定部70が挿通可能な筒状に形成されている。
【0262】
また、操作部背面部290は、上側構成部214の背面側の端部から連設され、上方に鉛直方向に立設して形成され、略方形状(長方形状)の平板状を呈する本体部292に、指標部900が設けられるとともに、傾斜角度測定部252が設けられている。
【0263】
本体部292は、上側構成部214に対して直角に立設し、左右方向を向いている。指標部900は、本体部292の正面側又は背面側に表示して設けられ、円形部902と、鉛直方向に間隔を介して形成された3本の縦方向直線部904a、904b、904cと、水平方向に形成された横方向直線部906とを有している。3本の縦方向直線部904a、904b、904cは、円形部902と2箇所で交差するように形成され、中央の縦方向直線部904bは、円形部902の円の中心を通っている。縦方向直線部904aと縦方向直線部904b間の間隔と縦方向直線部904bと縦方向直線部904c間の間隔は、同一に形成されている。また、横方向直線部906は、円形部902と2箇所で交差するように形成され、円形部902の円の中心を通っている。この指標部900が、第3目印に当たる。
【0264】
また、傾斜角度測定部252は、実施例1の傾斜角度測定部252と同様の構成であり、2つの直線状の辺部と円弧状の辺部とから構成された扇状の板状を呈し、2つの直線状の辺部が接する端部位置でピン252aにより揺動可能に本体部292に軸支されている。また、傾斜角度測定部252の円弧状の辺部に沿って傾斜角度を測定するための目盛り252bが形成されている。また、本体部292には、目盛り252bを読み取るための直線状の目印252cが設けられている。なお、目印252cを傾斜角度測定部252に設け、目盛りを本体部292に設けてもよい。
【0265】
また、正面構成部270は、上側構成部214の上面の操作部背面部290よりも正面側の位置に、上側構成部214の上面に直角に立設して設けられ、平板状を呈し、操作部背面部290と平行(つまり、左右方向)に設けられている。正面構成部270の正面側又は背面側には、指標部910が設けられ、指標部910は、鉛直方向に間隔を介して形成された3本の縦方向直線部912a、912b、912cを有している。縦方向直線部912aと縦方向直線部912b間の間隔と縦方向直線部912bと縦方向直線部912c間の間隔は、同一に形成され、縦方向直線部904aと縦方向直線部904b間の間隔や縦方向直線部904bと縦方向直線部904c間の間隔と同一に形成されている。
【0266】
また、レッグ部280は、水平挟設部210の正面側の端部から連設され、長方形状の平板状を呈し、前後方向(Y1−Y2方向)に伸びた長方形状の板状を呈する本体部282と、本体部282の上面の正面側の端部に設けられたL字板部285aと、L字板部285aの垂直板部の左側面側に設けられたレンズ当接部285bとを有している。このL字板部285aは、本体部282の上面の正面側と右側面側の角部に設けられた方形状の水平板部285a−1と水平板部285a−1の右側面側の端部から水平板部285a−1に対して直角に立設した方形状の垂直板部285a−2とを有している。また、レンズ当接部285bは、左側面側が尖った突状を呈し、操作部200を左側面側にスライドさせた際に、レンズ当接部25bの先端と接する。また、このレンズ当接部285bは、眼鏡のレンズの厚みを測定する際に、右左側面側(X1側)(左右方向の他方の側)の端部をレンズ面に当接させる。
【0267】
また、拡大鏡ユニット800は、レッグ部280の本体部282に着脱可能な挟設部802と、拡大鏡806を斜めに支持するための台部804と、拡大鏡806とを有し、挟設部802は、板状部材を断面略コ字状に折曲した形状を呈している。また、台部804は、挟設部802の上面に固定された平板状の水平板部と、該水平板部の背面側の端部から水平板部に対して45度の角度で連設された平板状の傾斜板部とを有している。拡大鏡806は、凸状の鏡面を有し、傾斜板部に固定して設けられている。つまり、挟設部802を本体部282に装着することにより、拡大鏡806が背面側に対して斜め上方を向くように配置される。つまり、拡大鏡ユニット800は、水平方向に対して正面側が上方となるように傾斜した鏡面を有している。この拡大鏡ユニット800をレッグ部280の本体部282に装着することにより、レンズ・瞳間距離を測定するに際して、指標部900、910を側方から視認しなくても、上方から拡大鏡806を介して視認することにより測定することができ、腰をかがめなくても容易に測定することができる。なお、拡大鏡としたが、拡大鏡ではなく、平面状の鏡面であってもよい。
【0268】
操作部200を左側面側に移動させると、中央板部10の下面と固定部70の下面とは段差があるので、操作部200の水平挟設部210の下側構成部212は、中央板部10の右側面側の端部に接触して、それ以上は左側面側には移動せず、最も左側面側の位置となる。なお、操作部200が最も左側面側の位置にある場合には、レンズ当接部25bの先端とレンズ当接部285bの先端とが当接するようになっている。つまり、中央板部10の右側面側の端部が、「操作部を左右方向の一方の側とは反対側である他方の側にスライドさせた際に左右方向の他方の側へのスライドを規制する規制部」となる。また、操作部200が最も左側面側の位置にある状態で、第1主尺100の板状部104と第2主尺110の板状部114を当接させた場合には、板状部104、114の右側面側の端部は、レンズ当接部50a、50bの先端と左右方向において一致する。
【0269】
なお、眼鏡用測定具3は、実際には、左眼用のものであり、眼鏡用測定具3と左右対称の構成のものが右眼用となる。つまり、
図24〜
図28に示す構成は左眼用であり、
図24〜
図28に示す構成に対して、
図29に示すように左右対称の構成のものが右眼用となる。
図29に示す右眼用の眼鏡用測定具4は、左目用の眼鏡用測定具3と左右対称である点以外は同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。なお、右眼用の眼鏡用測定具4を示す
図29においては、左側面側(X2側)が「左右方向の一方の側」となり、右側面側(X1側)が「左右方向の他方の側」となる。
【0270】
次に、眼鏡用測定具3と、遠用シール300、400と、近用シール310、410の使用状態について説明する。眼鏡用測定具3の使用方法は、基本的には実施例1の眼鏡用測定具1と同様である。なお、本実施例2の眼鏡用測定具3、4は、短時間に計測を行なうためのものであるので、レンズ・瞳間距離の測定は、遠用位置についてのみ行なう。つまり、主尺は、第1主尺100と第2主尺110とが設けられているが、基本的に測定は、第1主尺100を用いればよく、第2主尺110は、近用位置を計測する必要が生じた場合の予備的なものである。
【0271】
まず、実施例1と同様に、遠用位置の瞳孔間距離や近用位置の瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を測定する。すなわち、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(この場合の眼鏡500には、度が入っていないサンプルレンズが装着されている)を装着する。そして、眼鏡作成スタッフ等の操作者が、購入者が前方を見る状態で、
図12に示すように、レンズ502、504における購入者の瞳孔の位置の前側の位置(つまり、眼鏡の装着者が前方を見た場合に視線がレンズの前側の面と交差する位置)に遠用シール300、400を貼着する。厳密には、遠用シール300、400から剥離紙300c、400cを除いて、眼鏡のレンズ502、504にそれぞれ貼着する。つまり、シール本体300a、400aを粘着部を介して貼着する。
【0272】
また、購入者の前方の近い位置に目標物を配置し(例えば、購入者の前に位置するテーブル上に、購入者からら30cmの位置に目標物を配置する)、購入者の一方の眼をふさいだ状態で、他方の眼で目標物を視認し、レンズにおいて、その他方の眼で目標物が視認できなくなる位置に近用シール310、410を貼着する。また、他方の眼をふさいだ状態で、一方の眼で目標物を視認し、レンズにおいて、その一方の眼で目標物を視認できなくなる位置に近用シール410を貼着する。すなわち、目隠し用部材321の円形状部322により目標物が視認できない状態にする。つまり、眼鏡の装着者が前方の近い位置を見る状態で、レンズ502、504における瞳孔の位置の前側の位置(眼鏡の装着者が前方の近い位置を見た場合に視線とレンズの前側の面と交差する位置)に近用シール410を貼着する。厳密には、近用シール310、410から剥離紙310c、410cを除いて、
図12に示すように、シール本体310a、410aを眼鏡のレンズ502、504に貼着する。つまり、シール本体310a、410aを粘着部を介して貼着する。
【0273】
遠用シールと近用シールを貼着したら、眼鏡500を装着していた購入者から眼鏡500を外して、
図13に示すように、左右の近用シール310、410のシール本体310a、410aにおける目隠し用部材321、421を切目線を介して取り除く。
【0274】
そして、遠用シール300、400のシール本体300a、400aと、近用シール310、410の近用シール本体311、411が貼られた状態の眼鏡を用いて、以下の測定を行う。
【0275】
すなわち、まず、平行保持部30を用いて、瞳孔間距離を測定する。つまり、
図30に示すように、遠用シール300、400のシール本体300a、400aの円弧状部302、402の中心位置に、アーム部42をホルダ40Aに対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させて、アーム部42の目盛り45を表示部52の位置で読み取ることにより、遠用位置の瞳孔間距離が測定される。
【0276】
同様に、近用シール310、410の近用シール本体311、411の円弧状部312、412の中心位置に、アーム部42をホルダ40Aに対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させて、アーム部42の目盛り45を表示部52の位置で読み取ることにより、近用位置の瞳孔間距離が測定される。
【0277】
また、平行保持部30を用いて、眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を測定する。つまり、遠用位置における眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離については、遠用シール300、400のシール本体300a、400aの円弧状部302、402の中心位置に、アーム部42をホルダ40Aに対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させ、さらに、中央位置特定部60のアーム部64をホルダ40Aに対してスライドさせて、垂直板部64fを眼鏡の横方向における中心位置に配置し、アーム部42の目盛り45と垂直板部64fの位置により眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を読み取る。つまり、眼鏡の中心位置と右眼の瞳孔の間の距離については、レンズ当接部50bの中心位置から垂直板部64fまでの長さを読み取り、眼鏡の中心位置と左眼の瞳孔の間の距離については、レンズ当接部50aの中心位置から垂直板部64fまでの長さを読み取る。
【0278】
近用位置における眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離については、同様の方法により測定を行う。すなわち、近用シール310、410の近用シール本体311、411の円弧状部312、412の中心位置に、アーム部42をホルダ40Aに対してスライドさせて、レンズ当接部50a、50bを当接させ、さらに、中央位置特定部60のアーム部64をホルダ40Aに対してスライドさせて、垂直板部64fを眼鏡の横方向における中心位置に配置し、アーム部42の目盛り45と垂直板部64fの位置により眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を読み取る。
【0279】
また、眼鏡の購入者が購入しようとする眼鏡500(サンプルレンズが取り付けられた眼鏡)の遠用位置についてレンズ・瞳間距離を測定する。すなわち、レンズの厚みの測定を行ない、その後、レンズ・瞳間距離を測定するのであるが、左眼用の眼鏡用測定具と右眼用の眼鏡用測定具のそれぞれを用いて測定を行う。つまり、左眼用の眼鏡用測定具3を用いて、遠用位置のレンズ504の厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定するとともに、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、遠用位置のレンズ502の厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。
【0280】
まず、左眼用の眼鏡用測定具により測定を行う。すなわち、左眼側のレンズの遠用シール400の位置のレンズの厚みを測定する。レンズの厚みの測定に当たっては、眼鏡を装着していない状態で行う。
【0281】
つまり、2つのレッグ部20、280により眼鏡のレンズを挟んだ状態としてレンズの厚みを測定する。つまり、レッグ部20のレンズ当接部25bの先端をレンズ504の一方の面に当接させるとともに、レッグ部280のレンズ当接部285bの先端をレンズ504の他方の面に当接させることにより、操作部200は、レンズ当接部25bとレンズ当接部285bとが互いに当接した状態(この状態では、操作部200は、固定部70に対して最も左側面側に位置し、
図33(a)に示す状態となる。操作部200が固定部70に対して最も左側面側となる位置を「原点位置」とする。)に対して、右側面側にスライドした位置となり、操作部200が右方向にスライドしたのに合わせて、第1主尺100を右方向にスライドさせて操作部200の左側面に当接させる。
【0282】
つまり、遠用シール400のシール本体400aの円弧状部402の中心位置にレンズ当接部25bの先端とレンズ当接部285bの先端を接触させて(第1挟み工程)、操作部200が固定部70に対して原点位置から移動した分だけ第1主尺100を移動させて第1主尺100(特に、板状部104の右側面側の端部)を操作部200(特に、上側構成部214の左側面側の端部)に当接させる(主尺第1スライド工程)。以上のようにして、第1主尺100を操作部200に当接させた状態は
図33(b)に示すようになり、第1主尺100の位置により遠用位置のレンズの厚みが保持されたことになる。なお、
図33(b)の目盛りの値はあくまで例を示すものであり、レンズ504の厚みは実際にはもっと小さくなる。
【0283】
その後、再び眼鏡を購入者に装着して、遠用位置についてレンズ・瞳間距離を測定する。
【0284】
測定の方法は、レンズ当接部50a、50bを2つの遠用シール300、400の円弧状部402の中心位置(遠用位置と近用位置において第1主尺が対応する位置)にそれぞれ当接させた状態で、操作者が操作部200の正面構成部270を覗き込んで、
図32に示すように、縦方向直線部912bと縦方向直線部904bとが一致した状態で、縦方向直線部912b、904bが瞳の頂点(レンズ側の頂点)に一致するまで操作部200をスライドさせる(操作部第2スライド工程)。なお、短時間に測定を行なうために、アーム部42を伸ばすことなく、レンズ当接部50aのみを遠用シール400の円弧状部402の中心位置に当接させるようにしてもよい。
【0285】
そして、縦方向直線部912b、904bと、瞳の頂点とが一致する位置で操作部200のスライドを停止させて
図34(c)に示す状態とし、その位置の第1主尺100の目盛りに対して表示部228が示す位置を読み取ることにより(読取り工程)、遠用位置のレンズ・瞳間距離を確認することができる。
図34(c)の例では、Kが遠用位置のレンズ・瞳間距離となる。なお、水平挟設部210の上側構成部214と上側板状部70cとは、透明な部材又は半透明な部材により形成されているので、上側構成部214や上側板状部70cを通して、第1主尺100の目盛りを読むのに支障はない。
【0286】
なお、上記の説明において、操作者が操作部200の正面構成部270を覗き込んで、レンズ・瞳間距離を測定するものとして説明したが、拡大鏡ユニット800をレッグ部280の本体部282に取り付けて、上方から視認して測定してもよい。これにより、操作者(測定者)が腰をかがめることなく、楽な姿勢で測定を行なうことができる。
【0287】
また、操作部200を固定部70に対してスライドさせてレンズ・瞳間距離を測定するものとしたが、眼鏡のテンプルの幅が広いことにより正面構成部270を覗き込んでの測定が困難な場合には、斜め測定部700を用いて、計測板部704の方向に瞳の頂点を合わせて、スライド板部702の辺部702aで目盛り710の値Pを読み取り、上記のようにレッグ部20とレッグ部280によりレンズの厚みLiを測定して、P−Liを算出することにより、レンズ・瞳間距離Lhを計測することができる。
【0288】
以上のように、左眼用のレンズについて、レンズ・瞳間距離の測定が行われるが、同様に、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、上記と同様に、右眼用のレンズについてレンズ・瞳間距離の測定を行う。つまり、遠用位置と近用位置におけるレンズの厚みを測定した後に、操作部を固定部に対してスライドさせてレンズ・瞳間距離を測定する。
【0289】
また、レンズに度が入った検査用眼鏡600において、レンズ・瞳間距離を測定する。すなわち、まず、上記と同様の方法で遠用シール300、400を貼着する。この検査用眼鏡600は、実施例1の検査用眼鏡600と同様の構成である。なお、近用シールは貼着しない。
【0290】
なお、遠用シール300(厳密には、剥離紙300cを除いた遠用シール300)は、レンズ612aの前面側に貼着し、遠用シール400(厳密には、剥離紙400cを除いた遠用シール400)は、レンズ614aの前面側に貼着する。
【0291】
そして、レンズ・瞳間距離の測定を行う。すなわち、レンズの厚みの測定を行ない、その後、レンズ・瞳間距離を測定するのであるが、左眼用の眼鏡用測定具と右眼用の眼鏡用測定具のそれぞれについて測定を行う。つまり、左眼用の眼鏡用測定具3を用いて、遠用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定するとともに、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、遠用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。
【0292】
まず、左眼用の眼鏡用測定具により測定を行う。すなわち、左眼側のレンズの遠用シール400の位置のレンズの厚みを測定する。レンズの厚みの測定に当たっては、検査用眼鏡を装着していない状態で行う。
【0293】
つまり、
図31に示すように、2つのレッグ部20、280により眼鏡のレンズを挟んだ状態としてレンズの厚みを測定する。つまり、レッグ部20のレンズ当接部25bの先端をレンズ614aの一方の面に当接させるとともに、レッグ部280のレンズ当接部285bの先端をレンズ614cの他方の面に当接させることにより、操作部200は、2つのレンズ当接部25b、285bが互いに当接した状態(この状態では、操作部200は、固定部70に対して最も左側面側に位置し、
図33(a)に示す状態となる。操作部200が固定部70に対して最も左側面側となる位置を「原点位置」とする。)に対して、右側面側にスライドした位置となり、操作部200が右方向にスライドしたのに合わせて、第1主尺100を右方向にスライドさせて操作部200の左側面に当接させる。
【0294】
つまり、遠用シール400のシール本体400aの円弧状部402の中心位置にレッグ部20のレンズ当接部25bとレンズ当接部レッグ部280のレンズ当接部285bの先端同士を接触させて(第1挟み工程)、操作部200が固定部70に対して原点位置から移動した分だけ第1主尺100を移動させて第1主尺100(特に、板状部104の右側面側の端部)を操作部200(特に、上側構成部214の左側面側の端部)に当接させる(主尺第1スライド工程)。以上のようにして、第1主尺100を操作部200に当接させた状態は
図33(b)に示すようになり、第1主尺100の位置により遠用位置のレンズの厚みが保持されたことになる。
【0295】
その後、再び眼鏡を購入者に装着して、遠用位置についてレンズ・瞳間距離を測定する。測定の方法は、レンズ当接部50a、50bを2つの遠用シール400の円弧状部402の中心位置(遠用位置と近用位置において第1主尺が対応する位置)にそれぞれ当接させた状態で、操作者が操作部200の正面構成部270を覗き込んで、
図32に示すように、縦方向直線部912bと縦方向直線部904bとが一致した状態で、縦方向直線部912b、904bが瞳の頂点(レンズ側の頂点)に一致するまで操作部200をスライドさせる(操作部第2スライド工程)。なお、短時間に測定を行なうために、アーム部42を伸ばすことなく、レンズ当接部50aのみを遠用シール400の円弧状部402の中心位置に当接させるようにしてもよい。
【0296】
そして、縦方向直線部912b、904bと、瞳の頂点とが一致する位置で操作部200のスライドを停止させて
図34(c)に示す状態とし、その位置の第1主尺100の目盛りに対して表示部228が示す位置を読み取ることにより(読取り工程)、遠用位置のレンズ・瞳間距離を確認することができる。
図34(c)の例では、Kが遠用位置のレンズ・瞳間距離となる。なお、水平挟設部210の上側構成部214と上側板状部70cとは、透明な部材又は半透明な部材により形成されているので、上側構成部214や上側板状部70cを通して、第1主尺100の目盛りを読むのに支障はない。
【0297】
なお、上記の説明において、操作者が操作部200の正面構成部270を覗き込んで、レンズ・瞳間距離を測定するものとして説明したが、拡大鏡ユニット800をレッグ部280の本体部282に取り付けて、上方から視認して測定してもよい。これにより、操作者(測定者)が腰をかがめることなく、楽な姿勢で測定を行なうことができる。
【0298】
以上のように、左眼用のレンズについて、レンズ・瞳間距離の測定が行われるが、同様に、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、上記と同様に、右眼用のレンズについてレンズ・瞳間距離の測定を行う。つまり、遠用位置におけるレンズの厚みを測定した後に、操作部を固定部に対してスライドさせてレンズ・瞳間距離を測定する。
【0299】
なお、検査用眼鏡600を用いたレンズ・瞳間距離の測定によって、12mmからずれている場合には、12mmになるように検査用眼鏡600を調整してから他の測定(レンズの度数の測定等)をする。
【0300】
また、レンズ・瞳間距離の測定に際しては、傾斜角度測定部252において、眼鏡用測定具3が水平方向に対する傾斜角度を測定しておき、その傾斜角度のデータを記録しておく。つまり、傾斜角度測定部252によれば、眼鏡用測定具3の左右方向における傾斜角度を測定できるので、レンズ当接部50a、50bを遠用位置に当接させた際の傾斜角度と近用位置に当接させた際の傾斜角度を測定して記録しておき、できあがった眼鏡の調整時にそのデータを用いる。
【0301】
なお、検査用眼鏡による測定によりレンズの度数が決定し、決定された度数等に従いレンズ(購入者が実際に購入する眼鏡)の厚みが決定されるので、この決定されたレンズの厚みとサンプルレンズの厚みとを比較して、購入しようとする眼鏡に度入りのレンズを装着した際にレンズ・瞳間距離が12mmとなるように、眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。例えば、眼鏡のつるの形状の曲げ具合を調整したり、眼鏡の鼻当ての箇所を調整する。つまり、通常サンプルレンズの遠用位置の厚みは1.0mmであるので、仮に、度入りのレンズの遠用位置の厚みが1.5mmの場合には、サンプルレンズに比べて前後に0.25mmずつ突出するので、サンプルレンズの段階で、レンズ・瞳間距離が12.25mmとなるようにしておけば、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡を装着した際に、レンズ・瞳間距離が12mmとなる。つまり、度入りのレンズの厚みをaとした場合に、サンプルレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ・瞳間距離が12+(a−1.0mm)/2となるようにしておく。つまり、サンプルレンズを取り付けた眼鏡において、レンズ・瞳間距離を測定してあるので、その値に従い、眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。
【0302】
また、眼鏡のテンプルの幅が広い場合には、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡において、眼鏡を装着した状態で側方からレンズ・瞳間距離を測定することができず、また、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡を装着した状態で、斜め測定部700を用いて測定しても、度入りのレンズを通して瞳の頂点の位置を決定することから、瞳の頂点の位置が歪んで見えてしまうので、予め、
図35に示すように、レンズ504の前面(具体的には、前面側の頂面の位置)と眼鏡の智512(又はテンプル510)の任意の位置(側方計測位置とする)間の距離Tを計測しておく。計測は定規又は主尺(第1主尺100又は第2主尺110)により行なう。
【0303】
つまり、距離Tを計測しておけば、サンプルレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ・瞳間距離が12+(a−1.0mm)/2(aは、度入りのレンズの厚み)となるようにしておくことにより、度入りのレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ(度入りレンズ)の前面と側方計測位置間の距離がT+(a−1.0mm)/2となっていることにより、度入りレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ・瞳間距離が12mmとなっていることを確認できる。
【0304】
以上のように測定された「瞳孔間距離」のデータや、「眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離」のデータや検査用眼鏡を装着した状態で検出したレンズの度数等の情報を用いて、眼鏡を作成する。なお、当然他の検査に基づくデータも用いて眼鏡を作成することになる。
【0305】
次に、購入者用に製造された眼鏡(この眼鏡のレンズには度が入っている)を購入者に装着してもらい、眼鏡用測定具3により、以下のように、レンズ・瞳間距離を測定した後に眼鏡の調整を行う。
【0306】
すなわち、上記と同様の方法で遠用シール300、400を貼着する。なお、傾斜角度測定部252により遠用位置と近用位置の傾斜角度を測定して、眼鏡の購入者(被験者)が購入しようとする眼鏡500(レンズに度が入っていないもの)を装着して測定した傾斜角度のデータと比較して、遠用シールの位置をチェックするのが好ましい。
【0307】
そして、レンズ・瞳間距離の測定を行う。すなわち、左眼用の眼鏡用測定具3を用いて、遠用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定するとともに、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、遠用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。右眼用のレンズについても、右眼用の眼鏡用測定具4を用いて同様に測定する。
【0308】
レンズの厚みの測定の方法や、レンズ・瞳間距離の測定の方法は、上記のサンプルレンズが取り付けられた眼鏡における方法や、上記のレンズに度が入った検査用眼鏡における方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0309】
そして、測定されたレンズ・瞳間距離が12mmとなっているか否かを確認する。なお、サンプルレンズが取り付けられた眼鏡の段階で、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡の状態でレンズ・瞳間距離が12mmとなるように調整を行っているので、測定されたレンズ・瞳間距離は12mmとなっているはずであるが、12mmと微妙に異なる場合には、12mmとなるように眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。例えば、眼鏡のつるの形状の曲げ具合を調整したり、眼鏡の鼻当ての箇所を調整する。
【0310】
なお、眼鏡のテンプルの幅が広く、側方から操作者が操作部200の正面構成部270を覗き込んで測定を行なうことができない場合には、度入りのレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ(度入りレンズ)の前面と側方計測位置間の距離がT+(a−1.0mm)/2(なお、Tは、サンプルレンズが取り付けられた眼鏡において測定された、レンズ504の前面(具体的には、前面側の頂面の位置)と眼鏡の智512(又はテンプル510)の任意の位置(側方計測位置とする)間の距離である)となっていることにより、度入りレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ・瞳間距離が12mmとなっていることを確認できる。なお、12mmと微妙に異なる場合には、12mmとなるように眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。
【0311】
以上のように、本実施例の眼鏡用測定具3や眼鏡用測定具4によれば、レンズの厚みに応じて、第1主尺100をスライドさせておき、その後、操作部200をスライドさせて、縦方向直線部912bと縦方向直線部904bとが一致した状態で、レンズ・瞳間距離を測定するので、レンズ・瞳間距離を正確に測定することができ、レンズ・瞳間距離を正確に12mmにすることができる。また、眼鏡のテンプルの幅が広い場合でも、斜め測定部700が設けられているので、これによっても、レンズ・瞳間距離を正確に測定することができ、レンズ・瞳間距離を正確に12mmにすることができる。
【0312】
また、特に、検査用眼鏡を装着した際に測定したレンズ・瞳間距離と、顧客用に製造された眼鏡を装着した際のレンズ・瞳間距離とを同一にすることにより、検査用眼鏡において調整した状況を再現して、最適な眼鏡を製造することができる。特に、検査用眼鏡においてレンズ・瞳間距離を12mmに調整して、レンズの度数等を調整し、製造された眼鏡においてレンズ・瞳間距離を12mmにすることにより、適切な眼鏡を製造することが可能となる。
【0313】
また、前後方向にレンズを移動させることができる眼鏡を製造する際には、レンズ・瞳間距離の長さに応じた見え具合のデータを記録し、そのデータに基づいて眼鏡を製造する必要があるので、前後方向にレンズを移動させることができる眼鏡の製造に大きく寄与することができる。
【0314】
また、本実施例における遠用シール300、400によれば、眼鏡を装着した際の装着者の眼の遠用位置に遠用シールを貼ることにより、遠用位置を正確に把握することができ、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定するに当たり、遠用シール300、400の位置にレンズ当接部50a、50bを当接させることにより、正確に遠用位置と近用位置のレンズ・瞳間距離を測定することができる。つまり、遠用シールは、レンズ・瞳間距離を正確に測定するために大きく寄与することができる。
【0315】
また、瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を測定する際にも、遠用シール300、400の位置にレンズ当接部50a、50bを当接させることにより、正確に測定することができ、遠用シールや近用シールは、瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を正確に測定するために大きく寄与することができる。
【0316】
また、本実施例の眼鏡用測定具3、4によれば、一部の部材を除き金属製とすることができ、また、実施例1に比べて部品点数が少ないので、製造コストを低減させることができる。
【0317】
なお、上記の説明では、実施例2の眼鏡用測定具3、4においては、固定部70が、一対の切欠部74、78と、一対の挿通穴76、80を有し、主尺についても、一対の主尺(つまり、第1主尺100と第2主尺110)を有しているとしたが、上記のように、遠用位置についてのみレンズ・瞳間距離を測定するのであれば、主尺は1つでよく、切欠部74、78と挿通穴76、80についてもいずれか1つ設ければよい。例えば、上記の眼鏡用測定具3、4において、切欠部78、挿通穴80と第2主尺110を省略する構成としてもよいし、又は、切欠部74、挿通穴76と第1主尺100を省略する構成としてもよい。
【0318】
また、上記において、短時間に測定を行なうために、アーム部42を伸ばすことなく、レンズ当接部50aのみを遠用シール400の円弧状部402の中心位置に当接させるようにしてもよい旨を説明したが、実施例2において、レンズ当接部50bとL字状板部47とアーム部42の構成を省略した構成としてもよい。
【実施例3】
【0319】
次に、実施例3の眼鏡用測定具について説明する。実施例3に基づく眼鏡用測定具1000は、
図36〜
図43に示すように構成され、本体部1010と、平行保持部1050とを有している。なお、この眼鏡用測定具1000は、左眼用の測定具であり、右眼用の眼鏡用測定具1001は、
図40に示す構成となる。
【0320】
本体部1010は、ベース部1012と、ベース部1012の上面に固定された屈曲板部1020と、屈曲板部1020の傾斜板部1024に固定された拡大鏡1030と、屈曲板部1020の水平板部1022の上面に固定されたスリット測定部1040とを有している。
【0321】
ここで、ベース部1012は、長方形状の平板状の下側板部1014の上面の長手方向(左右方向、X1−X2方向)の中央に方形状の平板状の上側板部1016が固定されている。上側板部1016の領域が第1領域となる。上側板部1016の左右方向の長さは、下側板部1014の左右方向の長さよりも短く形成され、上側板部1016の前後方向の長さは、下側板部1014の前後方向の長さと略同一に形成され、上側板部1016に被覆されていない左右の領域の長さ、つまり、左側面側の領域である左側領域1014aの左右方向の長さH1014aと、右側面側の領域である右側領域1014bの左右方向の長さH1014bとは同一に形成されている。左側領域1014aと右側領域1014bとが第2領域となる。第1領域の厚みが第2領域よりも厚いので、ベース部1012の上面の第1領域と第2領域の境界位置には、前後方向に段差が形成されている。左側領域1014aの左側面側で正面側の角部には、円形の穴部1012aが形成され、平行保持部1050の基端板部1054の下面から突出した円柱状の突状部1054aが穴部1012aに嵌合するようになっている。また、右側領域1014bの右側面側で正面側の角部には、円形の穴部1012bが形成され、平行保持部1250の基端板部1254の下面から突出した円柱状の突出部が穴部1012bに嵌合するようになっている。
【0322】
屈曲板部1020は、長方形状の平板状の水平板部1022と、水平板部1022の正面側の端部から連設され、正面側にいくほど上方に傾斜する平板状の傾斜板部1024とを有している。水平板部1022の左右方向の長さは、上側板部1016よりも短く形成され、上側板部1016の上面の左右方向における中央に接着剤により固定されている。傾斜板部1024は、水平方向に対して45度に傾斜しており、傾斜板部1024の上面には、拡大鏡1030が接着剤により固定されている。これにより、拡大鏡1030を上方から視認することにより、スリット測定部1040を視認することができるようになっている。傾斜板部1024と拡大鏡1030とで、鏡面ユニットが構成される。
【0323】
また、スリット測定部1040は、前後方向を向いた互いに平行な3つの平板状の板状部1044a〜1044c(スリット構成部)を有していて、水平板部1022に固定された方形状の水平板部1042と、水平板部1042から直角に立設した板状部1044a、1044b、1044cと、板状部1044a〜1044cの上端に固定された方形状の水平板部1046とを有している。板状部1044a、1044b、1044cは互いに平行に配設され、板状部1044aと板状部1044b間の幅(厳密には、板状部1044aの左右方向の中心位置と板状部1044bの左右方向の中心位置の幅H1044a)と、板状部1044bと板状部1044c間の幅(厳密には、板状部1044bの左右方向の中心位置と板状部1044cの左右方向の中心位置の幅H1044b)とは同一に形成され、具体的には、幅H1044a、H1044bともに4mmに形成されている。板状部1044a〜1044cは、同じ大きさ・形状で、同じ厚みに形成されている。
【0324】
また、板状部1044bの左右方向の位置は、平行保持部1050を本体部1010に装着した状態(つまり、基端板部1054の円柱状の突状部1054aを穴部1012aに嵌合して、基端板部1054の右側面側の辺部が上側板部1016の左側面側の辺部に接した状態)で
図41に示すように、ボルト部1104のネジ部1104aの先端が垂直板部1094の左側面側の面と面一になった状態で、回転部1100の右側面側の先端(レンズ当接部1106の先端)から左右方向に12mmの位置となっている。つまり、板状部1044bの方向とネジ部1104aの軸線NJの交点Gとレンズ当接部1106の先端間の長さは、ボルト部1104のネジ部1104aの先端が垂直板部1094の左側面側の面と面一になった状態で、12mmとなっている。なお、ボルト部1104のネジ部1104aの先端が垂直板部1094の左側面側の面と面一になった状態では、回転部1100の垂直板部1084から右側面側に突出した部分の長さは、7mmであるので、垂直板部1084の右側面側の面からは、左右方向において、19mmの位置となる。
【0325】
平行保持部1050は、ベース部(第2ベース部)1052と、ベース部1052の支持板部1060に固定されたレンズ厚調節部1070と、ベース部1052の上面に固定された屈曲板部1120と、屈曲板部1120の傾斜板部1124に固定された拡大鏡1130と、屈曲板部1120の水平板部1122の上面に固定されたスリット測定部1140と、を有している。
【0326】
ここで、ベース部1052は、方形状の基端板部1054と、基端板部1054の背面側の端部から連設された長方形状のアーム板部1056と、アーム板部1056の背面側の端部から連設され、背面側にいくほど上方に傾斜した平板状の傾斜板部1058と、傾斜板部1058の背面側の端部から連設された支持板部1060とを有している。基端板部1054とアーム板部1056と支持板部1060は、水平方向の平板状を呈し、アーム板部1056と傾斜板部1058と支持板部1060は、基端板部1054の厚みよりも厚く形成され、基端板部1054の厚みの略2倍の厚みを有している。基端板部1054の形状・大きさは、左側領域1014aと略同一となっている。
【0327】
また、支持板部1060の右側面側には、L字状板部1080の垂直板部1084とL字状板部1090の垂直板部1094が嵌合するための切欠部1060aが形成されている。切欠部1060aの左右方向の長さは、垂直板部1084の厚みと垂直板部1094の厚みを加算した長さとなっている。
【0328】
また、レンズ厚調節部1070は、支持板部1060に固定して設けられ、回転部軸支部1071と、回転部軸支部1071に対して螺合して、回転部1100を回転部軸支部1071に対して回転させることにより、左右方向に移動する回転部1100とを有している。
【0329】
回転部軸支部1071は、L字状板部1080と、L字状板部1090と、L字状板部1080の凹部1084aとL字状板部1090の凹部1094aに埋設されたナット部1110とを有している。
【0330】
L字状板部1080は、方形状の平板状の水平板部1082と、水平板部1082の右側面側の端部から直角に立設した方形状の板状の垂直板部1084とを有し、垂直板部1084には、左側面側に、ナット部1110を収納するための六角柱状の凹部1084aと、凹部1084aから垂直板部1084の右側面側に貫通した円柱状の貫通穴1084bとを有している。
【0331】
また、L字状板部1090は、方形状の平板状の水平板部1092と、水平板部1092の右側面側の端部から直角に立設した方形状の板状の垂直板部1094とを有し、垂直板部1094には、右側面側に、ナット部1110を収納するための六角柱状の凹部1094aと、凹部1094aから垂直板部1094の左側面側に貫通した円柱状の貫通穴1094bとを有している。垂直板部1094の高さ方向の長さは、垂直板部1084の高さ方向の長さよりも短く形成されている。つまり、水平板部1092が支持板部1060の上面に接着され、水平板部1082が支持板部1060の底面に接着されて、垂直板部1084と上端の高さと垂直板部1094の上端の高さが揃うので、その分垂直板部1094の高さ方向の長さは、垂直板部1084の高さ方向の長さよりも短く形成されている。
【0332】
凹部1084aと凹部1094aの深さは、ナット部1110の厚みの略半分の長さを有し、凹部1084aと凹部1094a内にナット部1110を収納して垂直板部1084と垂直板部1094を接着することにより垂直板部1084と垂直板部1094内にナット部1110が埋設される。ナット部1110には、内側にネジ溝が形成されたネジ穴が形成されている。
【0333】
なお、回転部軸支部1071を支持板部1060に取り付けるに当たっては、垂直板部1094と垂直板部1084とを切欠部1060a内に配置した状態で、L字状板部1080の水平板部1082は、支持板部1060の下面に接着して固定し、L字状板部1090の水平板部1092は、支持板部1060の上面に接着して固定する。
【0334】
また、回転部1100は、円形の板状でネジ部1104aを挿通する穴部1102bを有する調節つまみ1102と、調節つまみ1102の穴部1102bに挿通されたボルト部1104と、調節つまみ1102の右側面側の端部に接着して固定されたレンズ当接部1106とを有している。ここで、調節つまみ1102の右側面側には、ボルト部1104の頭部(当接部支持部)1104bを収納する六角柱状の凹部1102aが設けられ、ボルト部1104の六角柱状の頭部1104bが収納される。ボルト部1104においては、頭部1104bに周面にネジ溝が形成されたネジ部1104aが設けられている。なお、ネジ部1104aに形成されたネジ溝のピッチが0.5mmであるので、ネジ溝の1ピッチ分を回転させることにより0.5mm軸線方向に移動する。なお、調節つまみ1102に目印を付けておき、回転部1100が1回転したことが容易に分かるようにするのが好ましい。
【0335】
レンズ当接部1106は、円形の平面と該平面から連設された曲面(球面の一部をなす曲面)を有していて、ボルト部1104の頭部1104bを凹部1102aに収納した状態で、レンズ当接部1106の平面が頭部1104bを被覆して調節つまみ1102に接着されている。
【0336】
また、屈曲板部1120は、長方形状の平板状の水平板部1122と、水平板部1122の正面側の端部から連設され、正面側にいくほど上方に傾斜する平板状の傾斜板部1124とを有している。水平板部1122は、基端板部1054及びアーム板部1056の上面に接着剤により固定され、水平板部1122の長辺は、前後方向に対して26.565度の角度でその背面側が右側面側に傾いている。傾斜板部1124は、水平方向に対して45度に傾斜しており、傾斜板部1124の上面には、拡大鏡1130が接着剤により固定されている。これにより、拡大鏡1130を上方から視認することにより、スリット測定部1140を視認することができるようになっている。傾斜板部1224と拡大鏡1130とで、第2鏡面ユニットが構成される。
【0337】
また、スリット測定部1140は、前後方向に対して26.565度の角度をなす互いに平行な3つの平板状の板状部1144a〜1144c(第2スリット構成部)を有していて、水平板部1122に固定された方形状の水平板部1142と、水平板部1142から直角に立設した板状部1144a、1144b、1144cと、板状部1144a〜1144cの上端に固定された方形状の水平板部1146とを有している。板状部1144a、1144b、1144cは互いに平行に配設され、上面視における方向は、
図41に示すように、前後方向(Y1−Y2方向)に対して背面側が右側面側に26.565度傾斜した角度となっていて、板状部1144aと板状部1144b間の幅(厳密には、板状部1144aの板状部1144aに対して直角方向の中心位置と板状部1144bの板状部1144bに対して直角方向の中心位置の幅H1144a)と、板状部1144bと板状部1144c間の幅(厳密には、板状部1144bの板状部1144bに対して直角方向の中心位置と板状部1144cの板状部1144cに対して直角方向の中心位置の幅H1144b)とは同一に形成され、具体的には、幅H1144a、H1144bともに4mm×2/√5となっている。つまり、
図43に示すように、正面側から視認した場合に、左右方向の4mm(=
図43におけるa)の幅は、板状部1144a〜1144cが前後方向に対して26.565度傾斜しているので、2/√5倍となるため、4mm×2/√5となる。板状部1144a〜1144cは、同じ大きさ・形状で、同じ厚みに形成されている。また、板状部1044a〜1044cの厚みと板状部1144a〜1144cの厚みとは同じに形成されている。
【0338】
また、板状部1144bの延長線(平面視における延長線)は、板状部1044bの平面視における延長線とネジ部1104aの軸線NJの平面視における延長線との交点Gと交わるようになっている。また、
図43に示すように、板状部1044aの延長線(平面視における延長線)と軸線NJとの交点と、板状部1144aの延長線(平面視における延長線)と軸線NJとの交点とは一致し、板状部1044cの延長線(平面視における延長線)と軸線NJとの交点と、板状部1144cの延長線(平面視における延長線)と軸線NJとの交点とは一致する。これにより、スリット測定部1040による測定結果とスリット測定部1140による測定結果は一致し、例えば、スリット測定部1140を覗いて、板状部1144bの延長線上に瞳の頂点がある場合には、スリット測定部1040を覗いて、板状部1044bの延長線上に瞳の頂点があることになる。なお、板状部1044a〜1044c、1144a〜1144cの平面視における延長線とは、厳密には、各板状部の平面視における軸線(中心線)(長手方向の軸線(中心線))の延長線である。
【0339】
また、板状部1044bの左右方向(X1−X2方向)の位置は、平行保持部1050を本体部1010に装着した状態(つまり、基端板部1054の円柱状の突状部1054aを穴部1012aに嵌合して、基端板部1054の右側面側の辺部が上側板部1016の左側面側の辺部に接した状態)で
図41に示すように、ボルト部1104のネジ部1104aの先端が垂直板部1094の左側面側の面と面一になった状態で、回転部1100の右側面側の先端(レンズ当接部1106の先端)から左右方向に12mmの位置となっている。なお、ボルト部1104のネジ部1104aの先端が垂直板部1094の左側面側の面と面一になった状態では、回転部1100の垂直板部1084から右側面側に突出した部分の長さは、7mmであるので、垂直板部1084の右側面側の面からは、左右方向において、19mmの位置となる。
【0340】
次に、右眼用の眼鏡用測定具1001は、
図40に示すように、本体部1010と、平行保持部1250とを有し、本体部1010は、左眼用の眼鏡用測定具1000の本体部1010と同一の構成であり、平行保持部1250は、平行保持部1050と左右対称である以外は同一の構成である。
【0341】
すなわち、平行保持部1250は、ベース部1252と、ベース部1252の支持板部1260に固定されたレンズ厚調節部1270と、ベース部1252の上面に固定された屈曲板部1220と、屈曲板部1220の傾斜板部1224に固定された拡大鏡1230と、屈曲板部1220の水平板部1222の上面に固定されたスリット測定部1240と、を有している。傾斜板部1224と拡大鏡1230とで、鏡面ユニットが構成される。
【0342】
ここで、ベース部1252は、ベース部1052と左右対称である以外は同一の構成であり、レンズ厚調節部1270は、レンズ厚調節部1070と同一の構成であり、屈曲板部1220と拡大鏡1230は、屈曲板部1120と拡大鏡1130と左右対称である以外は同一の構成であるので、詳しい説明を省略する。つまり、レンズ厚調節部1270は、回転部軸支部1271と、回転部軸支部1271に対して螺合して、回転部軸支部1271に対して回転させることにより、左右方向に移動する回転部1300とを有している。
【0343】
つまり、実施例3の眼鏡用測定具1000、1001は以下の構成であるといえる。「眼鏡を装着した状態の眼鏡のレンズの内側の面と装着者の瞳間の距離であるレンズ・瞳間距離を測定するための眼鏡用測定具であって、略長方形の略板状を呈し、長手辺の方向を左右方向とした場合に、左右方向の中央領域に設けられた第1領域と第1領域の左右両側に設けられた第2領域(1014a、1014b)とを有し、第1領域の厚みが第2領域の厚みよりも大きく形成され、第1領域と第2領域の境界位置に前後方向を向いた段差が形成されたベース部(1012)と、ベース部の第1領域の上面に設けられ、前後方向を向いた複数の平板状部を間隔を介して第1領域の上面に対して直角に立設して設けたスリット構成部(1044a〜1044c)と、スリット構成部の正面側に設けられ、水平方向に対して正面側が上方となるように傾斜した鏡面を有する鏡面ユニット(1024、1030)とを有する本体部(1010)と、本体部に対して着脱自在に設けられた平行保持部で、前後方向に伸びた第2ベース部(1052、1252)と、第2ベース部の上面に設けられ、複数の平板状部を間隔を介して第2ベース部の上面に対して直角に立設して設けた第2スリット構成部で、各平板状部における当接部側が前後方向に対して左右方向の一方の側に傾斜するとともに、当接部側とは反対側が左右方向の他方の側に傾斜して設けられた第2スリット構成部(1144a〜1144c)と、レンズ厚調節部(1070、1270)を有し、レンズ厚調節部が、回転部(1100、1300)と、左右方向に移動可能に軸支する回転部軸支部(1071)とを有し、回転部は、レンズの表面に当接する当接部(1106)と、当接部を左右方向の一方の側に支持する当接部支持部(1104b)と、当接部支持部から左右方向の他方の側に伸びたネジ部で周面にネジ溝を有するネジ部(1104a)を有し、回転部軸支部は、ネジ部と螺合するためのネジ溝が形成されたネジ穴を有し、第2スリット構成部を構成する所定の板状部の平面視における延長線は、スリット構成部における該所定の板状部に対応する板状部の平面視における延長線とネジ部(1104a)の平面視における軸線の延長線との交点と交わる平行保持部(1050、1250)と、を有する眼鏡用測定具。」といえる。
【0344】
よって、回転部の回転部軸支部に対する左右方向の位置が所定の場合(つまり、ネジ部1104aが垂直板部1094から突出しない状態(
図41の状態)の場合)に、スリット構成部から覗いた際に、スリット構成部を構成する所定の板状部(板状部1044b)の方向と当接部の先端から左右方向の交点と該当接部の先端までの距離を予め決めておくことにより(つまり、本実施例では12mmに定める)、レンズの厚みを別途測定して、レンズの厚み分だけ回転部1100を回転部軸支部1071に対して回転させて、該一方の側とは反対側の他方の側に移動させ、スリット構成部から瞳を覗くことにより、レンズの厚みを考慮した上で、レンズ・瞳間距離を即座に測定することができる。
【0345】
なお、左眼用の眼鏡用測定具1000においては、右側面側(X2側)が左右方向の一方の側となり、左側面側(X1側)が左右方向の他方の側となる。また、右眼用の眼鏡用測定具1001(
図40)においては、左側面側(X1側)が左右方向の一方の側となり、右側面側(X2側)が左右方向の他方の側となる。
【0346】
眼鏡用測定具1000、1001の使用方法について説明する。眼鏡用測定具1000と眼鏡用測定具1001の使用方法は同様であるので、眼鏡用測定具1000を例に説明する。眼鏡用測定具1000は、左眼のレンズ・瞳間距離を測定するのに用いるが、レンズの厚みを測定し(レンズの厚みの測定は他の器具により行なう)、その厚み分だけレンズ厚調節部1070のネジ部1104aを垂直板部1094の左側面側から突出させ(
図42参照)、
図44に示すように、平行保持部1050を眼鏡のフレームに対して平行に配置して、レンズ当接部1106をレンズに当接させて、スリット測定部1040又はスリット測定部1140により測定を行なう。なお、レンズの厚みが既知の場合(通常、サンプルレンズの遠用位置の厚みは1.0mmである)には、その厚み分だけレンズ厚調節部1070のネジ部1104aを垂直板部1094の左側面側から突出させる。
【0347】
スリット測定部1040とスリット測定部1140が設けられているが、基本的には、スリット測定部1040により測定を行い、眼鏡のテンプル部の幅が広い等によりスリット測定部1040による測定を行なうことができない場合には、スリット測定部1140により測定を行なう。
【0348】
スリット測定部1040(1140)による測定に当たっては、ネジ部1104aを垂直板部1094から突出させない状態(
図41参照)では、3つの板状部のうち板状部1044b、1144bの方向とネジ部1104aの軸線NJの方向の交点Gとレンズ当接部1106の先端間の長さは12mmであるので、
図42に示すように、レンズの厚み分だけネジ部1104aを突出させることにより、板状部1044b(1144b)の方向に見える位置がレンズの内側の面から12mmの位置となる。
【0349】
よって、
図45の(a)に示すように、板状部1044b(1144b)の位置に瞳Wの頂点がある場合には、レンズ・瞳間距離が12mmであり、
図45(b)に示すように、板状部1044b(1144b)と板状部1044c(1144c)間の丁度真ん中のの位置に瞳Wの頂点がある場合には、レンズ・瞳間距離が14mm(12mm+2mm)であり、
図45(c)に示すように、板状部1044b(1144b)と板状部1044c(1144c)間の板状部1044c(1144c)側の位置に瞳Wの頂点がある場合には、レンズ・瞳間距離が15mm(12mm+3mm)となる。また、板状部1044aと板状部1044b間に瞳の頂点がある場合にも同様であり、例えば、板状部1044a(1144a)と板状部1044b(1144b)間の丁度真ん中の位置に瞳Wの頂点がある場合には、レンズ・瞳間距離が10mm(12mm−2mm)となる。
【0350】
以上のように、スリット構成部1040(1140)から瞳を覗いた際に、瞳の頂点がスリット測定部1040(1140)内で見える位置(横方向の位置)とレンズ・瞳間距離との対応関係を予め定めておくことにより、レンズ・瞳間距離を正確に測定することができる。
【0351】
眼鏡用測定具1000(1001)の具体的な使用方法としては、実施例2と同様に行い、まず、遠用シール300、400と近用シール310、410をサンプルレンズを取り付けた眼鏡のレンズに貼着して、遠用位置の瞳孔間距離や近用位置の瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離を測定する。測定の方法は、実施例1、実施例2と同様であるので詳しい説明を省略する。遠用位置の瞳孔間距離や近用位置の瞳孔間距離や眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離の測定は、他の器具(目盛りを有した他の器具、例えば、定規等)を用いる。
【0352】
また、眼鏡の購入者が購入しようとする眼鏡(サンプルレンズが取り付けられた眼鏡)の遠用位置についてレンズ・瞳間距離を測定する。すなわち、レンズの厚みの測定を行ない(レンズの厚みの測定は他の器具により行なう)、その後、レンズ・瞳間距離を測定するのであるが、左眼用の眼鏡用測定具1000と右眼用の眼鏡用測定具1001のそれぞれについて測定を行う。なお、サンプルレンズの厚みが既知の場合には、その値を用いる。通常サンプルレンズの遠用位置の厚みは1.0mmであるので、その値を用いればよい。
【0353】
そして、遠用位置についてのレンズ・瞳間距離を測定する。つまり、レンズの厚み分だけネジ部1104aを垂直板部1094から突出させ、その後、レンズの遠用位置にレンズ当接部1106を当接させ、アーム板部1056の右側面側の辺部を眼鏡のフレームと平行に配置して、
図45に示すように、瞳の頂点のスリット測定部1040(1140)を覗いた際の位置を特定することにより測定を行なう。テンプル部の幅が広くスリット測定部1040からの測定が困難な場合には、スリット測定部1140を用いる。
【0354】
なお、上記の説明において、操作者がスリット測定部1040を覗き込んで、レンズ・瞳間距離を測定するものとして説明したが、拡大鏡1030を上方から視認して測定してもよい。これにより、操作者(測定者)が腰をかがめることなく、楽な姿勢で測定を行なうことができる。
【0355】
また、眼鏡のテンプルの幅が広いことによりスリット測定部1040による測定が困難な場合には、スリット測定部1140を用いて測定する。なお、この場合にも、拡大鏡1130を上方から視認して測定してもよい。
【0356】
なお、右眼用の眼鏡用測定具1001によっても、同様に測定を行ない、例えば、
図44においては、左右対称になる以外は同様に測定を行なう。
【0357】
また、レンズに度が入った検査用眼鏡600において、レンズ・瞳間距離を測定する。つまり、実施例2と同様に検査用眼鏡600のレンズに遠用シール300、400を貼着し、遠用位置のレンズの厚みを測定し(レンズの厚みの測定は他の器具により行なう)、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。つまり、レンズの厚み分だけネジ部1104aを垂直板部1094から突出させ、その後、レンズの遠用位置にレンズ当接部1106を当接させ、アーム板部1056の右側面側の辺部を眼鏡のフレームと平行に配置して、瞳の頂点のスリット測定部1040を覗いた際の位置を特定することにより測定を行なう。
【0358】
なお、上記の説明において、操作者がスリット測定部1040を覗き込んで、レンズ・瞳間距離を測定するものとして説明したが、拡大鏡1030を上方から視認して測定してもよい。これにより、操作者(測定者)が腰をかがめることなく、楽な姿勢で測定を行なうことができる。
【0359】
なお、検査用眼鏡600を用いたレンズ・瞳間距離の測定によって、12mmからずれている場合には、12mmになるように検査用眼鏡600を調整してから他の測定(レンズの度数の測定等)をする。
【0360】
なお、検査用眼鏡による測定によりレンズの度数が決定し、決定された度数等に従いレンズ(購入者が実際に購入する眼鏡)の厚みが決定されるので、この決定されたレンズの厚みとサンプルレンズの厚みとを比較して、購入しようとする眼鏡に度入りのレンズを装着した際にレンズ・瞳間距離が12mmとなるように、眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。例えば、眼鏡のつるの形状の曲げ具合を調整したり、眼鏡の鼻当ての箇所を調整する。つまり、通常サンプルレンズの遠用位置の厚みは1.0mmであるので、仮に、度入りのレンズの遠用位置の厚みが1.5mmの場合には、サンプルレンズに比べて前後に0.25mmずつ突出するので、サンプルレンズの段階で、レンズ・瞳間距離が12.25mとなるようにしておけば、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡を装着した際に、レンズ・瞳間距離が12mmとなる。つまり、度入りのレンズの厚みをaとした場合に、サンプルレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ・瞳間距離が12+(a−1.0mm)/2となるようにしておく。つまり、サンプルレンズを取り付けた眼鏡において、レンズ・瞳間距離を測定してあるので、その値に従い、眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。
【0361】
また、眼鏡のテンプルの幅が広い場合には、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡において、眼鏡を装着した状態で側方からレンズ・瞳間距離を測定することができず、また、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡を装着した状態で、スリット測定部1140を用いて測定しても、度入りのレンズを通して瞳の頂点の位置を決定することから、瞳の頂点の位置が歪んで見えてしまうので、予め、
図35に示すように、レンズ504の前面(具体的には、前面側の頂面の位置)と眼鏡の智512(又はテンプル510)の任意の位置(側方計測位置とする)間の距離Tを計測しておく。計測は、例えば、定規により行なう。
【0362】
検査用眼鏡を装着した状態で検出したレンズの度数や他の検査に基づくデータを用いて、眼鏡を作成する。なお、実施例1や実施例2のように、他の器具を用いて、瞳孔間距離や、眼鏡の中心位置と瞳孔の間の距離のデータも併せて測定しておき、これらのデータをレンズの作成に使用するのが望ましい。
【0363】
次に、購入者用に製造された眼鏡(この眼鏡のレンズには度が入っている)を購入者に装着してもらい、眼鏡用測定具1000により、以下のように、レンズ・瞳間距離を測定した後に眼鏡の調整を行う。
【0364】
すなわち、上記と同様の方法で遠用シール300、400を貼着する。そして、レンズ・瞳間距離の測定を行う。すなわち、左眼用の眼鏡用測定具1000を用いて、遠用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定するとともに、右眼用の眼鏡用測定具を用いて、遠用位置のレンズの厚みを測定し、その後、遠用位置のレンズ・瞳間距離を測定する。右眼用のレンズについても、右眼用の眼鏡用測定具1001を用いて同様に測定する。
【0365】
レンズの厚みの測定の方法や、レンズ・瞳間距離の測定の方法は、上記のサンプルレンズが取り付けられた眼鏡における方法や、上記のレンズに度が入った検査用眼鏡における方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0366】
そして、測定されたレンズ・瞳間距離が12mmとなっているか否かを確認する。なお、サンプルレンズが取り付けられた眼鏡の段階で、度入りのレンズが取り付けられた眼鏡の状態でレンズ・瞳間距離が12mmとなるように調整を行っているので、測定されたレンズ・瞳間距離は12mmとなっているはずであるが、12mmと微妙に異なる場合には、12mmとなるように眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。例えば、眼鏡のつるの形状の曲げ具合を調整したり、眼鏡の鼻当ての箇所を調整する。
【0367】
なお、眼鏡のテンプルの幅が広く、側方から操作者がスリット構成部1040を覗き込んで測定を行なうことができない場合には、度入りのレンズを取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ(度入りレンズ)の前面と側方計測位置間の距離がT+(a−1.0mm)/2(なお、Tは、サンプルレンズが取り付けられた眼鏡において測定された、レンズ504の前面(具体的には、前面側の頂面の位置)と眼鏡の智512(又はテンプル510)の任意の位置(側方計測位置とする)間の距離である)となっていることにより、度入りレンズ504を取り付けた眼鏡を装着した状態で、レンズ・瞳間距離が12mmとなっていることを確認できる。なお、12mmと微妙に異なる場合には、12mmとなるように眼鏡のフレームの形状(例えば、鼻当てやテンプル等の形状)を調整する。
【0368】
以上のように、本実施例の眼鏡用測定具1000、1001によれば、レンズ厚調節部1070によりレンズの厚み分だけネジ部1104aを突出させて、レンズの厚みを考慮した上で、平行保持部1050を眼鏡のフレームに対して平行に配置して、レンズ当接部1106をレンズに当接させて、スリット測定部1040(1140、1240)を覗くことにより、レンズ・瞳間距離を正確に測定することができ、レンズ・瞳間距離を正確に12mmにすることができる。眼鏡のテンプルの幅が広い場合でも、スリット測定部1140、1240が設けられているので、これにより、レンズ・瞳間距離を正確に測定することができ、レンズ・瞳間距離を正確に12mmにすることができる。
【0369】
また、眼鏡用測定具1000、1001によれば、レンズ厚調節部1070、1270によりレンズの厚み分だけネジ部1104aを突出させて、レンズの厚みを考慮した上で、スリット測定部1040(1140、1240)を覗くという簡単な操作で、レンズ・瞳間距離を測定することができるので、素早く短時間でレンズ・瞳間距離を測定することが可能となる。
【0370】
なお、上記の説明において、スリット測定部1140を構成する板状部1144a〜1144cの向きは、前後方向に対して26.565度の角度をなすとしたが、他の角度でもよい。また、スリット測定部1040においては、幅H1044a、1044bは4mmとしたが、他の長さとしてもよい。また、スリット測定部1040、1140において、互いに平行な3つの板状部が設けられるとしたが、4つ以上であってもよい。
【0371】
なお、実施例2において、正面構成部270と操作部背面部290の代わりに、実施例3のスリット測定部1040を水平挟設部210の上面に設けるようにしてもよい。すなわち、
図46に示すように、スリット測定部1040を板状部1044a、1044b、1044cが前後方向と平行になるように取り付ける。具体的には、水平板部1042を水平挟設部210の上側構成部214の上面の左側面側と背面側の角部に、水平板部1042の左側面側の辺部が上側構成部214の左側面側の辺部と一致し、水平板部1042の背面側の辺部が上側構成部214の背面側の辺部と一致するように取り付け、板状部1044aの左側面側の面が上側構成部214の左側面側の辺部と左右方向において一致するように構成されている。また、水平挟設部210の上面の板状部1044bの位置(厳密には、板状部1044bの左右方向の中心位置)に前後方向に伸びた直線状の表示部(読取り用目印)228が設けられていて、第2主尺110の目盛りを読む際の指標となる。
【0372】
また、実施例2において、L字状板部39とレンズ当接部50aの代わりに、
図46に示すように、実施例3のレンズ厚調節部1070を設けるようにしてもよい。なお、レンズ厚調節部1070における回転部軸支部1071を取り付けるには、水平板部36の回転部軸支部1071の取り付け位置に切欠部1060aと同様の切欠部を設ける。
【0373】
なお、
図41に示すように、ボルト部1104のネジ部1104aの先端が垂直板部1094の左側面側の面と面一になった状態(つまり、回転部1100が回転部軸支部1071に対して左右方向に所定の位置にある場合)では、レンズ当接部1106の先端(右側面側の端部)が、固定部70(特に、上側板状部70c)の左側面側の端部(つまり、目盛り84、86のゼロ位置)及びレンズ当接部25bの右側面側の先端と一致するように構成されている。
【0374】
以上のような構成とすることにより、レンズ厚調節部1070によりレンズの厚み分だけネジ部1104aを突出させて、レンズの厚みを考慮した上で、平行保持部30を眼鏡のフレームに対して平行に配置して、レンズ当接部1106をレンズに当接させて、スリット測定部1040を覗くことにより、レンズ・瞳間距離を測定する。なお、スリット測定部1040による測定に際しては、操作部200が最も左側面側にある状態(レンズ当接部25bの先端とレンズ当接部285bの先端とが当接している状態)で、主尺100の板状部104の右側面側の端部を水平挟設部210の上側構成部214の左側面側の辺部に当接させ、その状態で、スリット測定部1040の板状部1044bの左右方向の中心位置が主尺100の主尺本体102における左端から12mmの位置になるように(つまり、表示部228が12mmの位置となるように)右側面側に固定部70に対してスライドさせる。その状態で、スリット測定部1040を覗くことにより瞳の頂点がスリット測定部1040内に見える位置によりレンズ・瞳間距離を即座に測定することができる。つまり、レンズの厚み分だけ主尺100をスライドさせなくても、レンズの厚みを考慮して、レンズ・瞳間距離を測定することができる。
【0375】
また、斜め測定部700により測定する場合には、
図47に示すように、HtとHb間の距離(=Lc)は、HbとHa間の距離(=Lb)となるが、回転部1100を回転部軸支部1071に対して回転させて、レンズの厚みLi分だけ左側面側に移動させて、レンズの厚みLi分だけネジ部1104aを垂直板部1094から突出させ、その状態で、レンズ当接部50aをレンズに当接させて、計測板部704の方向を瞳の頂点に合わせることにより、Lc’(回転部1100回転後のHtとHb間の距離(図示せず))=Lh(レンズ・瞳間距離)+La(レンズ当接部1106の厚み)=Lb’(回転部1100回転後のHbとHa間の距離(図示せず))=P(目盛り710で読み取った値)+Laとなるので、目盛り710で読み取った値は、そのままレンズ・瞳間距離Lhとなり、目盛り710で読み取った値からレンズの厚みを減算する処理が必要ない。
【0376】
なお、
図46に示す構成は、左眼用のものであり、
図46に示す構成と左右対称の構成が右眼用となる。
【0377】
また、実施例1において、垂直板部38とレンズ当接部50aの代わりに、実施例3のレンズ厚調節部1070を設けてもよい。また、実施例1において、平行保持部30に実施例2の斜め測定部700を設けてもよい。その場合には、平行保持部30には、斜め測定部700のスライド板部702を前後方向にスライド可能に保持するホルダを設ける。また、実施例1において、レッグ部28に拡大鏡ユニット800と同様の構成の拡大鏡ユニットを着脱可能とし、上方から鏡面を視認することにより測定可能としてもよい。
【0378】
また、
図22、
図23に示す検査用眼鏡用の測定具610、680の変形例について説明する。
【0379】
すなわち、測定具610の変形例である測定具610’は、
図48に示すように、ホルダ612と、ホルダ612に対してスライドするスライド目盛り部630と、ホルダ612に固定されたホルダ支持部650と、ホルダ支持部612を回動自在に支持する回動支持部(回転支持部としてもよい)660とを有している。
【0380】
ここで、ホルダ612とスライド目盛り部630の構成は、
図23に示す測定具610のホルダ612とスライド目盛り部630と同様の構成であるので詳しい説明を省略する。
【0381】
また、ホルダ支持部650は、帯状の板状部材を略コ字状に折曲した形状を呈し、長方形状の中間板部650aと、中間板部650aの一方の短手辺から中間板部650aに対して直角に連設された直角板部650bと、中間板部650aの他方の短手辺から中間板部650aに対して直角に連設された直角板部650cとを有していて、ホルダ支持部650は、全体に一体に形成されている。直角板部650bと直角板部650cとは互いに平行となっている。直角板部650bと直角板部650cには、軸部670を挿通するための穴部が設けられている。
【0382】
また、回動支持部660は、帯状の板状部材を略コ字状に折曲した形状を呈し、長方形状の中間板部660aと、中間板部660aの一方の短手辺から中間板部660aに対して直角に連設された直角板部660bと、中間板部660aの他方の短手辺から中間板部660aに対して直角に連設された直角板部660cとを有していて、回動支持部660は、全体に一体に形成されている。直角板部660bと直角板部660cとは互いに平行となっている。直角板部660bと直角板部660cには、軸部670を挿通するための穴部が設けられている。直角板部660bは、直角板部650bの内側に設けられ、直角板部660cは、直角板部650cの内側に設けられていて(つまり、中間板部660aの長手辺の長さは中間板部650aの長手辺の長さよりも短く形成されている)、直角板部650b、650c、660b、660cに軸部670を挿通することにより、ホルダ支持部650が回動支持部660に対して回動するようになっている。
【0383】
また、ホルダ支持部650の中間板部650aは、ホルダ612の板状部614の外側の面に固定され、また、回動支持部660の中間板部660aの外側の面は、検査用眼鏡600のテンプル部608の外側面の前方端部に固定されている。つまり、軸部670がテンプル部608に対して略直角となるように、回動支持部660がテンプル部608に固定されている。なお、ホルダ支持部650の中間板部650aを智609の側方の外面に取り付けてもよい。
【0384】
測定具610’を以上の構成とすることにより、ホルダ612がテンプル部608に対して軸部670を中心に回動するので、ホルダ612を水平方向に回動させることができる。これによりテンプル部608が顔の前面に対して直角とならない場合でも、ホルダ612を回動させて、ホルダ612の方向を顔の前面に対して直角として、レンズ・瞳間距離を測定することができ、正確にレンズ・瞳間距離を測定することができる。
【0385】
なお、測定具680の変形例は、テンプル部606の外側面の前方端部に設けられていて、測定具610’と対称(面対称)に形成されている点以外は同一の構成であるので、詳しい説明を省略する。なお、測定具680の変形例についても、智609の側方の外面に取り付けるようにしてもよい。なお、ホルダ612とホルダ支持部650とでホルダユニット(ホルダとしてもよい)(611)を構成する。
【0386】
なお、測定具610、610’、680及び測定具680の変形例において、ホルダ612の板状部620又は板状部622に第3ポケットに取り付けたレンズの厚み方向の中心位置を示す目印と該目印を基点とする目盛りを表示して設けておくのが好ましい。例えば、測定具610’の板状部622には、目印622aと、該目印622aを基点とする目盛り622bを設ける。目印622aは、スライド目盛り部630のスライド方向に対して直角方向の直線により形成され、テンプル部606、608を前枠部604に対して直角に開いた状態において、検査用眼鏡600の第3ポケットに取り付けたレンズの厚み方向の中心位置の側方位置(該中心位置と検査用眼鏡600の前後方向において一致する位置)に設けられる。また、目盛り622bは、スライド目盛り部630のスライド方向に沿って形成されている。
【0387】
これにより、レンズの厚みが分かれば、目印622aから目盛り622bに沿ってレンズの厚みの半分の長さの位置に、スライド目盛り部630の目盛り633の直線633−1(目盛りの基点)の位置から目盛り633に沿って12mmの位置を合わせ、表示部637−1、637−2と直線633−1とが重なった状態で瞳の頂点と重なっているかを見ることにより、レンズ・瞳間距離が12mmとなっているかを確認することができる。なお、本体部632の板状部634を通して目盛り622bを見る必要がある(つまり、目盛り633と目盛り622bの相対的な位置が分かる必要がある)ので、本体部632(特に、板状部634)は透明又は半透明である必要がある。なお、本体部632の幅を板状部614の幅よりも小さくし、板状部622の外側の端部(板状部620側とは反対側の端部)にまで目盛り622bを設けて、目盛り633と目盛り622bとが重なった場合でも、目盛り633の外側に目盛り622bが見えるようにしてもよい。なお、目盛り633により、目印622aと瞳の頂点の間の距離を測定し、該測定した距離からレンズの厚みの半分を減算することにより、検査用眼鏡を装着した場合のレンズ・瞳間距離を測定してもよい。なお、第3ポケットに装着したレンズのみならず、第2ポケットに装着したレンズの厚み方向の中心位置を示す目印や、第1ポケットに装着したレンズの厚み方向の中心位置を示す目印を表示するようにしてもよい。
【0388】
なお、各ポケットに取り付けたレンズの中心位置を示す目印や該目印を基点とする目盛りは、ホルダ612ではなく、テンプル部606、608や智609に直接表示してもよい。
【0389】
次に、レンズ・瞳間距離の重要性について説明する。検査用眼鏡において、レンズを装着するための3つのホルダが設けられ、眼鏡枠の裏面(顔に近い側の面)から第1ホルダ、第2ホルダ、第3ホルダとし、互いに隣接するホルダのレンズ間距離(レンズの厚み方向(光軸方向)における中心位置同士の距離)が5mm離れているものとする。つまり、第1ホルダのレンズと第2ホルダのレンズは5mm離れていて、第2ホルダのレンズと第3ホルダのレンズは5mm離れているものとする。なお、以下では、装着されるレンズは、凸レンズであるとする。また、以下においてレンズの屈折度(レンズの度数)は、ジオプトリ(D)(焦点距離の逆数)により表わすものとする。なお、第1ホルダは上記第3ポケットと同じであり、第2ホルダは上記第2ポケットと同じであり、第3ホルダは上記第1ポケットと同じである。
【0390】
検査用眼鏡においては、最後尾のレンズ裏面から角膜頂点(瞳の頂点)までの距離(レンズ・瞳間距離(頂点間距離))ができるだけ12mmとするとの要請があることから以下のようなことがいえる。
【0391】
なお、
図49〜55において、第1、第2、第3は各ホルダを表し、各ジオプトリにおいて、左欄がレンズ・瞳間距離が9mmである場合、中欄がレンズ・瞳間距離が12mmである場合、右欄がレンズ・瞳間距離15mmであるとする。
【0392】
つまり、第1ホルダに装着されたレンズについては、レンズ・瞳間距離が12mmの場合には、正しい位置であるので補正は必要ない。一方、レンズ・瞳間距離が9mmの場合には、レンズが3mm近づきすぎているので、レンズの度数を弱めなければならず、レンズの屈折度をDとすると、補正後の屈折度は、1÷(1/D+0.003)となる。例えば、屈折度1.50とすると、1÷(1/1.50+0.003)≒1.49となり、
図49における1.50Dにおける第1(第1ホルダ)の左欄(9mm)は、1.49Dとなる。
【0393】
また、第2ホルダに装着されたレンズについては、レンズ・瞳間距離(第1ホルダにレンズが装着された場合のレンズ・瞳間距離)を12mmとした場合でも、第2ホルダのレンズの裏面は5mm離れているので、レンズの度数を強めなければならず、1÷(1/D−0.005)となり、例えば、屈折度1.50とすると、1÷(1/1.50−0.005)≒1.51となり、
図49における1.50Dにおける第2(第2ホルダ)の中欄(12mm)は、1.51Dとなる。
【0394】
また、第2ホルダに装着されたレンズについて、レンズ・瞳間距離(第1ホルダに仮想的にレンズが装着されたとした場合の該レンズとのレンズ・瞳間距離)を9mmとした場合には、1÷(1/D−0.005+0.003)となり、例えば、屈折度1.50とすると、1÷(1/1.50−0.005+0.003)≒1.51となり、
図49における1.50Dにおける第2(第2ホルダ)の左欄(9mm)は、1.50Dとなる。
【0395】
同様に、第3ホルダに装着されたレンズについては、レンズ・瞳間距離(第1ホルダにレンズが装着された場合のレンズ・瞳間距離)を12mmとした場合でも、第3ホルダのレンズの裏面は10mm離れているので、レンズの度数を強めなければならず、1÷(1/D−0.010)となり、例えば、屈折度1.50とすると、1÷(1/1.50−0.010)≒1.52となり、
図49における1.50Dにおける第3(第3ホルダ)の中欄(12mm)は、1.52Dとなる。
【0396】
また、第3ホルダに装着されたレンズについて、レンズ・瞳間距離(第1ホルダに仮想的にレンズが装着されたとした場合の該レンズとのレンズ・瞳間距離)を9mmとした場合には、1÷(1/D−0.010+0.003)となり、例えば、屈折度1.50とすると、1÷(1/1.50−0.010+0.003)≒1.51となり、
図49における1.50Dにおける第3(第3ホルダ)の左欄(9mm)は、1.52Dとなる。
【0397】
以上のようにして、各ジオプトリについて補正後の値を示したものが
図49〜
図51に示す「ジオプトリの補正値を示す表」となる。
【0398】
さらに、
図49〜
図51に示す「ジオプトリの補正値を示す表」補正後のジオプトリの値と補正前のジオプトリの値とを比較し、補正後のジオプトリから補正前のジオプトリを減算した値を示したものが
図52〜
図54に示す「ジオプトリの補正前後における差を示す表」となる。
【0399】
さらに、
図52〜
図54に示す「ジオプトリの補正前後における差を示す表」において、レンズ・瞳間距離が9mm、12mm、15mmの各場合における第1ホルダと第2ホルダと第3ホルダのそれぞれの値(つまり、9種類の値)をジオプトリが小さい方からサーチしていき、各値の絶対値が各ジオプトリの値における中間値又は中間値の整数倍を最初に超える場合のジオプトリの値を検出していくと、
図55に示す「ジオプトリの限界値を示す表」となる。
【0400】
つまり、中間値とは、「ジオプトリの補正値を示す表」及び「ジオプトリの補正前後における差を示す表」において、ジオプトリは0.25D間隔となっているので、その中間値は、0.125であり、その整数倍は、0.25、0.375、0.50、0.625、0.75、0.875、1.00・・・となる。なお、これらの各値において、0.01を減算した値以上のものを中間値又は中間値の整数倍を超えたものとみなす。つまり、0.115、0.24、0.365、0.49・・・となる。
【0401】
すると、例えば、
図52〜
図54に示す「ジオプトリの補正前後における差を示す表」において、レンズ・瞳間距離が9mmで第1ホルダの箇所をサーチしていくと、6.25Dでは「−0.12」となり、その絶対値は「0.12」となり、0.125を超えたものとみなされるので、
図55に示す「ジオプトリの限界値を示す表」において、「9mm」の「第1」の「0.125」においては、「6.25D」となる。また、9.25Dでは「−0.25」となり、その絶対値は「0.25」となり、0.25を超えたものとみさなれるので、「9mm」の「第1」の「0.25」においては、「9.25D」となる。
【0402】
また、例えば、レンズ・瞳間距離が9mmで第3ホルダの箇所をサーチすると、4.00Dで「−0.12」となり、その絶対値は「0.12」となり、0.125を超えたものとみなされるので、「9mm」の「第3」の「0.125」においては、「4.00D」となる。また、5.75Dでは「−0.24」となり、その絶対値は「0.24」となり、0.25を超えたものとみさなれるので、「9mm」の「第3」の「0.25」においては、「5.75D」となる。
【0403】
上記のように検出されたジオプトリは、レンズ・瞳間距離が正しく12mmであれば、中間値(又はその整数倍)を超えるので他のジオプトリを選択した方がよいことを示しており、例えば、レンズ・瞳間距離が9mmで第1ホルダにおいては、6.25Dでは「−0.12」となり、6.00Dを選択した方がよいことを示している。なお、「−0.12」の場合には、「6.13(=6.25−0.12)」で厳密には6.25の方が近いといえるが、上記のように、0.01を減算した値をしきい値として処理することから、レンズ・瞳間距離が9mmで第1ホルダにおいては、6.25Dの場合に、「ジオプトリの補正前後における差を示す表」における値の絶対値が各ジオプトリの値における中間値又は中間値の整数倍を最初に超えたとみなして、これを限界値とする。つまり、
図55に示す「ジオプトリの限界値を示す表」に示す各ジオプトリの値は、そのジオプトリのレンズの使用を回避すべきであることを示しており、例えば、レンズ・瞳間距離が9mmで第3ホルダにおいては、4.00Dのジオプトリのレンズを第3ホルダでレンズ・瞳間距離を9mm(第1ホルダに仮想的にレンズが装着されたとした場合の該レンズとのレンズ・瞳間距離)とすると、ジオプトリの補正前後における差が0.125となるので、当該レンズの使用を回避すべきことを示しており、さらに、レンズ・瞳間距離が9mmで第3ホルダにおいては、5.75Dのジオプトリのレンズを第3ホルダでレンズ・瞳間距離を9mm(第1ホルダに仮想的にレンズが装着されたとした場合の該レンズとのレンズ・瞳間距離)とすると、ジオプトリの補正前後における差が0.25となり、4.00Dの場合と比べてジオプトリの補正前後の差が倍となるので、より5.75Dのレンズ使用を回避すべきことを示している。
【0404】
以上のように、レンズ・瞳間距離(頂点間距離)は、レンズの度数の選択に際して極めて重要な要素であるといえる。