特許第5766722号(P5766722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5766722櫛状の組織刈込み装置を備える超音波手術用器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766722
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】櫛状の組織刈込み装置を備える超音波手術用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   A61B17/36 330
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-552942(P2012-552942)
(86)(22)【出願日】2011年2月9日
(65)【公表番号】特表2013-519433(P2013-519433A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】US2011024167
(87)【国際公開番号】WO2011100303
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2014年2月6日
(31)【優先権主張番号】12/703,899
(32)【優先日】2010年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ディエツ・ティモシー・ジー
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0228034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波手術用器具であって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品であって、櫛状の遠位端部から突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する少なくとも1つの前記櫛状の遠位端部を有する外側シース組立品と、
前記ハウジングによって可動に支持される少なくとも1つの超音波変換器と、
前記少なくとも1つの超音波変換器から突出し前記超音波変換器と共に可動である超音波刃であって、前記外側シース組立品の前記少なくとも1つの遠位端部の近傍で動くための遠位端を有する超音波刃と、
前記超音波変換器に作動の動きを選択的に加えて前記少なくとも1つの超音波変換器を前記ハンドルハウジング内で動かすために、前記少なくとも1つの超音波変換器と相互作用する駆動系と、を含み、
前記外側シース組立品は、少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される櫛状の遠位端部を有し、前記超音波刃の前記遠位端は、前記外側シース組立品の前記一対の隔置される遠位端部の間の領域を通って摺動するように構成される、超音波手術用器具。
【請求項2】
前記櫛状の遠位端部のそれぞれの上の前記少なくとも2つの隔置される歯部材は、S字状の構成に配向される、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つの超音波変換器は、前記ハンドルハウジング内で選択的に総軸方向移動するために前記ハンドルハウジング内で可動に支持される、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの超音波変換器は、前記ハンドルハウジング内で選択的に総回転するために前記ハンドルハウジング内で可動に支持される、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項5】
前記駆動系は、前記ハンドルハウジングに可動に取り付けられ前記少なくとも1つの超音波変換器と整合するトリガーを含み、前記トリガーに作動の動きを加えることで前記少なくとも1つの超音波変換器が前記ハンドルハウジング内で動く、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項6】
前記駆動系は、前記トリガー及び前記少なくとも1つの超音波変換器と操作可能に整合する一連のギヤを更に含む、請求項に記載の超音波手術用器具。
【請求項7】
前記超音波刃は、実質的に丸い断面形状を有する細長い中心部分を有し、前記遠位端部は、前記細長い中心部分から偏心的に突出する、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項8】
前記超音波刃の前記遠位端は実質的に平面である、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項9】
前記超音波刃の前記遠位端は実質的に丸い断面形状を有する、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項10】
超音波手術用器具であって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品であって、櫛状部材のそれぞれから突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される前記櫛状部材を有する外側シース組立品と、
前記ハンドルハウジング内で選択的に総軸方向移動するために前記ハンドルハウジングによって可動に支持される少なくとも1つの超音波変換器と、
前記少なくとも1つの超音波変換器から突出し前記超音波変換器と共に軸方向に可動である超音波刃であって、前記一対の隔置される櫛状部材の間の領域を通って摺動するように構成された遠位端を有する超音波刃と、
前記ハンドルハウジングに操作可能に連結され、前記超音波変換器に総軸方向の作動の動きを選択的に加えるために前記少なくとも1つの超音波変換器と相互作用するトリガーと、を含む、超音波手術用器具。
【請求項11】
前記一対の隔置される櫛状部材は高分子材料から製造される、請求項10に記載の超音波手術用器具。
【請求項12】
前記櫛状部材はそれぞれ中心軸線を画定し、前記歯部材の少なくとも1つは前記中心軸線の1つの横方向側に突出し、前記歯部材の別の1つは前記中心軸線の別の横方向側から突出する、請求項10に記載の超音波手術用器具。
【請求項13】
前記超音波刃の前記遠位端は、実質的に平面で前記遠位端に形成される弓状のくぼみを有する、請求項10に記載の超音波手術用器具。
【請求項14】
超音波手術用器具であって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品であって、櫛状部材のそれぞれから突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される前記櫛状部材を有する外側シース組立品と、
前記ハンドルハウジング内で総回転するために前記ハンドルハウジング内で支持される少なくとも1つの超音波変換器と、
前記少なくとも1つの超音波変換器から突出し前記超音波変換器と共に回転可能である超音波刃であって、前記一対の隔置される櫛状部材の間で回転するように構成されている遠位端を有する超音波刃と、
前記ハンドルハウジングに操作可能に連結されるトリガーと、
前記少なくとも1つの超音波変換器及び前記トリガーと整合する一連のギヤであって、前記トリガーの作動によって前記一連のギヤが前記少なくとも1つの超音波変換器に総回転運動を加える一連のギヤと、を含む、超音波手術用器具。
【請求項15】
前記少なくとも1つの超音波変換器は、前記ハンドルハウジング内で総回転するために支持される変換器ハウジング内で支持され、前記一連のギヤは、
前記変換器ハウジング上で支持される第1の駆動ギヤと、
前記第1の駆動ギヤと噛み合って係合する第2の駆動ギヤと、
前記トリガーに支持され前記第2の駆動ギヤと噛み合って係合する第3の駆動ギヤと、を含む、請求項14に記載の超音波手術用器具。
【請求項16】
超音波制御信号源と前記少なくとも1つの超音波変換器との間を接続するスリップリング組立品を更に含む、請求項15の超音波手術用器具。
【請求項17】
前記スリップリング組立品は、
前記ハンドルハウジング上に支持され前記超音波制御信号源と通信する第1の固定接触子と、
前記ハンドルハウジング上に支持され前記超音波制御信号源と通信する第2の固定接触子と、
前記変換器ハウジング上の第1の可動接触子であって、前記第1の固定接触子と動く接触をし前記少なくとも1つの超音波変換器と通信する第1の可動接触子と、
前記変換器ハウジング上の第2の可動接触子であって、前記第2の固定接触子と動く接触をし前記少なくとも1つの超音波変換器と通信する第の可動接触子と、を含む、請求項16に記載の超音波手術用器具。
【請求項18】
前記超音波刃は、実質的に丸い断面形状を有する細長い中心部分を有し、前記遠位端部は、前記細長い中心部分から偏心的に突出する、請求項14に記載の超音波手術用器具。
【請求項19】
前記超音波刃の前記遠位端部は楕円の断面形状を有する、請求項18に記載の超音波手術用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に超音波手術システムに関し、より詳細には、外科医が組織の切断及び凝固を行なうことができる超音波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
異なる種類の様々な外科的手技を行なうための非超音波の電動切断機器及び剃毛装置が長年にわたって開発されている。そのような装置のうちのいくつかは回転する切断器を採用し、他の装置は往復する切断器を採用する。例えば、かみそりは関節鏡視下手術で広く使用されている。これらの装置は一般的に、電源、ハンドピース、及び1回使用型のエンドエフェクターからなる。エンドエフェクターは通常、内管及び外管を有する。内管は外管に関して回転し、内管の鋭利な縁部で組織を切断する。内管は連続的に回転又は振動可能である。しかしながら、それらの装置は組織を凝固させる能力が一般的に無く、軟骨の構造の刈込みには一般的に適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の音波手術用器具の欠点のいくつかを克服する超音波手術用器具を提供することが望ましい。本明細書で説明する超音波手術用器具は、それらの欠点の多くを解消する。
【0004】
上述の議論は、本発明の分野にその当時に存在した欠点のいくつかを説明することのみを意図したものであり、特許請求の範囲を否定するものとみなされるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの一般態様では、様々な実施形態は、ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品を有するハンドルハウジングを含み得る超音波手術用器具を目的とする。外側シース組立品は、遠位端部から突出する少なくとも2つの隔置する歯部材を有する少なくとも1つの遠位端部を有し得る。少なくとも1つの超音波変換器は、ハンドルハウジングに可動に支持され得る。超音波刃は、超音波変換器と共に可動するように少なくとも1つの超音波変換器から突出し得る。超音波刃は、外側シース組立品の少なくとも1つの遠位端部の近傍で動くために遠位端を有し得る。駆動系は、超音波変換器組立品に作動の動きを選択的に加えて少なくとも1つの超音波変換器組立品をハンドルハウジング内で動かすために、少なくとも1つの超音波変換器組立品と相互作用し得る。
【0006】
本発明の別の一般態様に関連して、ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品を有するハンドルハウジングを含み得る超音波手術用器具が提供される。外側シース組立品は、櫛状部材のそれぞれから突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される櫛状部材を有し得る。少なくとも1つの超音波変換器は、ハンドルハウジング内で選択的に軸方向移動するためにハンドルハウジングによって可動に支持され得る。超音波刃は少なくとも1つの超音波変換器から突出し、超音波変換器と共に軸方向に可動し得る。超音波刃は、一対の隔置される櫛状部材間で動くように構成される遠位端を有し得る。トリガーは、ハンドル組立品に操作可能に連結され、超音波変換器組立品に軸方向の作動の動きを選択的に加えるために少なくとも1つの超音波変換器組立品と相互作用するように構成され得る。
【0007】
本発明の更に別の一般態様に関連して、ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品を有するハンドルハウジングを含み得る超音波手術用器具が提供される。外側シース組立品は、櫛状部材のそれぞれから突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される櫛状部材を含み得る。少なくとも1つの超音波変換器は、ハンドルハウジング内で回転可能に支持され得る。超音波刃は少なくとも1つの超音波変換器から突出し、超音波変換器と共に回転可能であり得る。超音波刃は、一対の隔置される櫛状部材間で回転するために遠位端を有し得る。トリガーの作動が一連のギヤに回転運動を少なくとも1つの超音波変換器に加えるように、トリガーはハンドル組立品に操作可能に連結され、少なくとも1つの超音波変換器及びトリガーと整合する一連のギヤと相互作用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
種々の実施形態の特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に示される。しかしながら、その更なる目的及び利点と共に、構成及び操作方法の両方に関して、本発明の種々の実施形態は、添付図面と共に、以下の説明を参照することにより最良に理解され得る。
図1】本発明の非限定的な手術用器具の平面図。
図2図1の手術用器具の部分断面図。
図3】本発明の非限定的な外側シース組立品及び超音波刃構成の端面図。
図4】本発明の非限定的な超音波刃の実施形態の遠位端部の部分側面図。
図5図4の超音波刃の遠位端部の平面図。
図6】本発明の非限定的な外側シース及び超音波刃構成の部分平面図。
図7】本発明の別の非限定的な手術用器具実施形態の部分断面図。明瞭に示すために駆動系の部分を省略してある。
図8図7の手術用器具実施形態の別の断面図。
図9】本発明の非限定的な外側シース及び超音波刃構成の断面図。
図10図9の外側シース及び超音波刃構成の部分の側面図。
図11】本発明の別の非限定的な外側シース及び超音波刃構成の断面図。
図11A】本発明の別の非限定的な超音波刃構成の断面図。
図11B】本発明の別の非限定的な超音波刃構成の断面図。
図12】本発明の別の非限定的な外側シース及び超音波刃構成の端部側面図。
図13図12の外側シース及び超音波刃構成の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願の特許権者は、同日付で出願した次の米国特許出願も所有し、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
「ULTRASONICALLY POWERED SURGICAL INSTRUMENTS WITH ROTATING CUTTING IMPLEMENT」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6688USNP/090341、
「METHODS OF USING ULTRASONICALLY POWERED SURGICAL INSTRUMENTS WITH ROTATABLE CUTTING IMPLEMENTS」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6689USNP/090342、
「SEAL ARRANGEMENTS FOR ULTRASONICALLY POWERED SURGICAL INSTRUMENTS」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6690USNP/090343、
「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS WITH ROTATABLE BLADE AND HOLLOW SHEATH ARRANGEMENTS」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6691USNP/090344、
「ROTATABLE CUTTING IMPLEMENT ARRANGEMENTS FOR ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6692USNP/090345、
「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS WITH PARTIALLY ROTATING BLADE AND FIXED PAD ARRANGEMENT」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6693USNP/090346、
「DUAL PURPOSE SURGICAL INSTRUMENT FOR CUTTING AND COAGULATING TISSUE」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6694USNP/090347、
「OUTER SHEATH AND BLADE ARRANGEMENTS FOR ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6695USNP/090348、及び
「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS WITH MOVING CUTTING IMPLEMENT」という名称の米国特許出願第____号、代理人整理番号END6687USNP/090349。
【0010】
様々な実施形態は、組織を処置するための用具、システム及び方法に関する。多数の特定の詳細は、明細書に記載され、添付の図面に示される実施形態の構造、機能、製造、及び使用全体を完全に理解するために提供されている。しかしながら、実施形態はそのような具体的詳細なくして実施され得ることが、当業者に理解されるであろう。他の例においては、周知の作動、構成要素、及び要素は、明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため詳細に記載されていない。本明細書に記載及び図示される実施形態は非限定例であることが当業者に理解され、それ故本明細書に開示される特定の構造及び機能の詳細は典型であってもよく、必ずしも実施形態の範囲を限定するものではなく、実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲でのみ規定されることが理解されるであろう。
【0011】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」等の参照は、その実施形態との関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して複数の場所に出現する「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」等のフレーズは、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。故に、一実施形態に関して図示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わせることができる。
【0012】
様々な実施形態は、外科的手技中に組織の切開、切断及び/又は凝固を行うように構成される改良した超音波手術システム及び器具、並びにそれに用いる切断器具を目的とする。一実施形態では、超音波手術用器具装置は切開外科的手技で使用するように構成されるが、関節鏡、腹腔鏡、内視鏡、及びロボット補助手技等の他のタイプの手術における用途も有する。多用途の使用は、超音波エネルギーの選択的な使用、並びに切断/凝固器具及び/又は保護シースの選択的な回転によって促進される。
【0013】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して用いられることが理解されるであろう。ゆえに、エンドエフェクターは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位にある。更に、便宜上及び明瞭化のため、「頂部」及び「底部」、「上部」及び「下部」等の空間的用語も本明細書では、ハンドピース組立品を握持する臨床医に対して用いられることが理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの配向及び配置において使用され、これらの用語は、限定的及び絶対的である意図はない。
【0014】
図1及び2は、ハンドグリップ部14及び可動トリガー20の形で駆動系を含み得るハンドルハウジング12を含む本発明の手術用器具10を例示する。様々な実施形態では、ハウジング12は、ねじ、スナップ機能等のファスナーによって共に取り付けられる2つ以上の部分で設けられ得、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(GE Ultem(登録商標))、又はアルミニウム、チタン若しくはステンレス鋼等の金属から製造され得る。超音波変換器組立品30は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し変換器組立品30の端部に長手方向の振動を生じさせるために、ハウジング12内で可動に支持され得る。超音波変換器組立品30は、少なくとも1つのセラミック圧電素子、好ましくは、例えば4〜8つのセラミック圧電素子のスタック、すなわち「超音波変換器」32を、スタックに沿ったある点に位置する動きがゼロになる点を備えて含み得る。超音波変換器組立品30は、片側はゼロになる点で取り付けられ、反対側はカップラー36に取り付けられる超音波ホーン34を更に含み得る。
【0015】
例えば、チタンから製造され得る超音波刃40がカップラー36に固定され得る。別の実施形態では、超音波刃40は、超音波ホーン34と一体的に成形される。いずれの場合にも、超音波刃40は、超音波変換器組立品30によって超音波の振動数で長手方向に振動する。超音波変換器組立品30が最大電流によって変換器の共振周波数で駆動されるとき、スタックの一部が静止した節となった状態で、超音波変換器組立品30の端部が最大の動きを達成する。しかし、最大の動きを起こす電流は、それぞれの器具によって異なり、器具の不揮発性メモリに格納されてシステムが使用することのできる値である。
【0016】
超音波器具10の部品は、組み合わせが同一の共振周波数で振動するように設計され得る。特に、これらの素子は、素子のそれぞれの得られる長さが波長の半分又は倍数になるように調整され得る。長手方向の前後運動は、超音波刃40に近接するほど音響的取り付けホーン34の直径が小さくなることによって増幅される。したがって、超音波ホーン34、及び刃/カップラーは、音響システムの残りと共鳴して刃の動きが増幅し超音波振動をもたらすような形状及び寸法をなし得、それによって、超音波刃40に近接する音響的取り付けホーン34の端部に最大の前後運動を引き起こす。圧電素子32での20〜25マイクロメートルの動きは、ホーン34によって超音波刃の約40〜100マイクロメートルの運動に増幅され得る。
【0017】
超音波変換器組立品は、従来の超音波発生器50を含み得る超音波制御信号源に連結され得る。様々な実施形態では、超音波発生器50は、超音波発生器モジュール52及び信号発生器モジュール54を含み得る。図2を参照されたい。超音波発生器モジュール52及び/又は信号発生器モジュール54はそれぞれ、超音波発生器50に一体化され得、又は超音波発生器50に電気的に連結される個別の回路モジュールとして設けられ得る(このオプションの例示は想像線で示す)。一実施形態では、信号発生器モジュール54は、超音波発生器モジュール52と一体的に成形され得る。超音波発生器50は、発生器50のコンソールのフロントパネルに位置する入力デバイス56を含み得る。入力デバイス56は、既知の方法で発生器50の動作をプログラムするのに適する信号を生成する任意の好適な装置を含み得る。超音波発生器50はケーブル58によって手術用器具10に連結され得る。ケーブル58は、超音波変換器組立品30の正極(+)及び負極(−)に電気エネルギーを印加する多数の電気的導電線を含み得る。
【0018】
様々な形式の超音波発生器、超音波発生器モジュール、及び信号発生器モジュールが知られている。例えば、そのような装置は所有者共通の2007年7月15日出願の「Rotating Transducer Mount For Ultrasonic Surgical Instruments」という名称の米国特許出願第12/503,770号に開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他のそのような装置は、米国特許第6,480,796号「Method for Improving the Start Up of an Ultrasonic System Under Zero Load Conditions」、米国特許第6,537,291号「Method for Detecting a Loose Blade in a Handle Connected to an Ultrasonic Surgical System」、米国特許第6,626,926号「Method for Driving an Ultrasonic System to Improve Acquisition of Blade Resonance Frequency at Startup」、米国特許第6,633,234号「Method for Detecting Blade Breakage Using Rate and/or Impedance Information」、米国特許第6,662,127号「Method for Detecting Presence of a Blade in an Ultrasonic System」、米国特許第6,678,621号「Output Displacement Control Using Phase Margin in an Ultrasonic Surgical Handle」、米国特許第6,679,899号「Method for Detecting Transverse Vibrations in an Ultrasonic Handle」、米国特許第6,908,472号「Apparatus and Method for Altering Generator Functions in an Ultrasonic Surgical System」、米国特許第6,977,495号「Detection Circuitry for Surgical Handpiece System」、米国特許第7,077,853号「Method for Calculating Transducer Capacitance to Determine Transducer Temperature」、米国特許第7,179,271号「Method for Driving an Ultrasonic System to Improve Acquisition of Blade Resonance Frequency at Startup」、及び米国特許第7,273,483号「Apparatus and Method for Alerting Generator Function in an Ultrasonic Surgical System」の1つ以上の米国特許に開示され、それらはすべて参照によって本明細書に組み込まれる。
【0019】
様々な実施形態では、超音波変換器組立品30への電力の供給を制御するために、フットペダル又は他の切換構成60が用いられ得る。フットペダル60又は他のスイッチ構成の作動によって超音波変換器組立品30に電力が供給されるとき、超音波発生器50は、例えば、超音波刃40をおよそ55.5kHzで長手方向に振動させ得、長手方向の運動量は、ユーザーが調節して選択できる駆動電力(電流)の供給量に比例して変化する。比較的高電力が供給されるとき、超音波刃40は、超音波振動速度で約40〜100マイクロメートルの範囲で長手方向に動くように設計され得る。刃40のそのような超音波振動は、刃が組織と接触する際に熱を生成する、すなわち、組織を通る超音波刃40の加速が動いている超音波刃40の機械的エネルギーを非常に狭く局所的な領域内で熱エネルギーに変換する。この局所的な発熱が、狭い領域の凝固をもたらし、直径が1ミリメートル未満等の小さい血管での出血を低減又は除去する。超音波刃40の切断の効率及び止血の程度は、供給される駆動電力のレベル、外科医が刃に加える切断速度又は力、組織の種類の性質、及び組織の血管分布に応じて変わる。
【0020】
関節鏡下で軟骨の切断を行なうとき、軟骨の巻髭(tendril)は軟骨の構造の大部分の解剖学的構造の表面と同一高に刈込む必要が一般的にある。本発明の様々な実施形態は更に、超音波刃40が軟骨の巻髭を有利にせん断するように巻髭を捕らえるために、櫛状の構造体又は外側シース組立品80を用いる。本明細書で使用する場合、用語「櫛状」は、すき間によって分離される複数(少なくとも2つ)の歯部材を有する構造体を指す。以下で更に説明するように、歯部材は毛髪用の櫛の歯に類似し得、又は別の実施形態では、歯状の部材は構造体の中心軸線の両側に突出し得る。本明細書で使用する場合、用語「櫛状」は、標準的な刻み目が付いた又はでこぼこの領域を有する刃及び/又はシース構成要素を含む意図はなく、用語「櫛状」は、リブ付きシース又はリブ付き管材料を含む意図もない。
【0021】
引き続き図1及び2を参照して、一実施形態では、外側シース組立品80は、超音波刃40が軟骨の近傍で軸方向に動くときに超音波刃40によってせん断され得る位置で軟骨の巻髭を捕らえ位置決めするための、少なくとも1つの、好ましくは2つの櫛状部材を含む遠位端部分を含み得る。示す実施形態は、例えば、上櫛状部材82、及び間で超音波刃40を摺動可能に受け入れるように上櫛状部材82から隔置される下櫛状部材84を含む。例えば、上櫛状部材82及び下櫛状部材84は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Ultem(登録商標)、又はガラス充填ナイロン、例えばGrivory等の充填ポリマーで作製されるモノリシックの部材から製造され得、上から見るとき(図1)上櫛状部材82及び下櫛状部材84は互いに実質的に同一であるような、開口部によって分離される直列の突出する歯部材をそれぞれ有する。あるいは、櫛状部材は、超音波部材に面してテフロン等のポリマーから製造され、ポリマー部材を機械的に支持するより剛性の外部の金属部材によって裏打ちされ得る。
【0022】
図1で分かるように、例えば、上櫛状部材82及び下櫛状部材84はそれぞれに形成される直列の3つの歯部材86、92、及び98を有する。しかしながら、他の実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、わずか2つの歯部材又は3つ以上の歯部材を有し得る。歯部材は、中心軸線A−Aの同じ側に突出してもよく、又は中心軸線A−Aの交互の側から突出してもよい。示す実施形態では、第1又は最遠位の歯部材86は第1の開口部88を有し、その結果、第1の刃部材86はフック状の形状を有してもよい。第1の刃部材86の第1のベース部90は、外側シース組立品80によって画定される中心軸線A−Aの第1の側に位置する。第2の歯部材92は、中心軸線A−Aの第2の側に位置する第2のベース部94を有する。第2の歯部材92は、中心軸線A−Aの第1の側に開く第2の開口部96を更に有する。第3の歯部材98は、中心軸線A−Aの第1の側に位置する第3のベース部100を有する。第3の歯部材98は、中心軸線A−Aの第2の側に開く第3の開口部102を更に有する。更に、第4の開口部104は、分離する第3の歯98と、上櫛状部材82及び下櫛状部材84のそれぞれの端部106と、を分離する。図1に示す実施形態では、例えば、歯部材はS字状の構成に配向される。更に、図4及び5で分かるように、超音波刃40の遠位端42は、実質的に平面であり得、様々な歯部材の間で開口部を通って延びる巻髭と接触するように、遠位端に形成される弓状のくぼみ44を有し得る。
【0023】
上述のとおり、超音波変換器組立品30は、ハンドルハウジング12内で可動に支持される。様々な実施形態では、ハンドルハウジング12は、変換器組立品30が軸線A−Aに沿って選択的に「総軸方向運動」するために支持するように構成され得る。本明細書で使用する場合、用語「総軸方向運動」は、超音波制御信号を超音波変換器に付加した唯一の結果である軸方向又は長手方向の運動を含む意図はない。本明細書で使用する場合、用語「総軸方向運動」は、適切な駆動系によって力又は軸方向の動きが超音波変換器組立品に加えられることで誘導される軸方向運動を含む。示す実施形態では、例えば、駆動系はハンドルハウジング12に枢動可能に連結される手で作動可能なトリガー20を含む。トリガー20は、ユーザーがトリガー20をハンドグリップ部14の方へ及びハンドグリップ部14から離して枢動するとき、超音波変換器組立品30及び取り付けられた超音波刃40が軸方向に前後に動くように、変換器組立品30の節「N」で中心に位置するフランジ21と係合するようにトリガーに形成されるヨーク22を有し得る。したがって、超音波刃40が上櫛状部材82と下櫛状部材84との間で軸方向に動くときの使用では、軟骨の巻髭が歯の間の開口部で捕えられ得る。上櫛状部材82及び下櫛状部材84は、捕らえた巻髭をせん断するために超音波刃40の遠位端42と協働する対向するせん断縁部を備える。
【0024】
図6は、ハウジング12に連結され、上述の外側シース組立品80と同様な方法で機能し得る代替外側シース組立品110を示す。外側シース組立品110は、上櫛状部材112、及び間で摺動する超音波刃40が挿入されるように上櫛状部材112から隔置される下櫛状部材114を含む遠位端部を有し得る。上櫛状部材112及び下櫛状部材114は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Ultem(登録商標)、又はガラス充填ナイロン、例えばGrivory等の充填ポリマーから製造され得、上から見るとき上櫛状部材112及び下櫛状部材114は互いに実質的に同一であるような、開口部によって分離される直列の歯部材をそれぞれ有する。図6で分かるように、例えば、上櫛状部材112及び下櫛状部材114はそれぞれに形成される直列の3つの歯部材116、122、及び128を有する。しかしながら、他の実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、わずか2つの歯部材又は3つ以上の歯部材を有し得る。示す実施形態では、第1又は最遠位の歯部材116は第1の開口部120によって第2の歯部材118から分離される。第2の歯部材118は第2の開口部124によって第3の歯部材122から分離される。第3の歯部材122は、開口部128によって、上櫛状部材112及び下櫛状部材114のそれぞれの端部126から分離される。図6で分かるように、開口部120、124、128は全て中心軸線A−Aの第1の側に位置する。あるいは、櫛状部材は、超音波部材に面してテフロン等のポリマーから製造され、ポリマー部材を機械的に支持するより剛性の外部の金属部材によって裏打ちされ得る。
【0025】
図7及び8は、更に以下で用途を詳細に説明するハンドグリップ部214及び可動トリガー220を含み得るハンドルハウジング212を含む、本発明の他の手術用器具200を例示する。様々な実施形態では、ハウジング212は、ねじ、スナップ機能等のファスナーによって共に取り付けられる2つ以上の部分で設けられ得、例えば、ガラス充填ポリカーボネート等の射出成形可能なポリマーから製造され得る。圧電超音波変換器組立品230は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、変換器組立品30の端部に長手方向の振動運動を生じさせるために、ハウジング212内で可動に支持され得る。超音波変換器組立品230は、少なくとも1つのセラミック圧電素子232、好ましくは、例えば4つのセラミック圧電素子232のスタックを、スタックに沿って中心に位置する動きがゼロになる点を備えて含み得る。超音波変換器組立品230は、片側はゼロになる点で取り付けられ、反対側はカップラー236に取り付けられる超音波ホーン234を更に含み得る。例えば、チタン、アルミニウム、又は低音響減衰を備える他の材料から製造され得る超音波刃300は、カップラー236に固定され得る。別の実施形態では、超音波刃300は、超音波ホーン234と一体的に成形される。
【0026】
超音波変換器組立品230は、ハウジング212内で可動に支持される変換器ハウジング240内で支持され得る。様々な実施形態では、変換器ハウジング240は、例えば、アルミニウム、又は好ましくは変形温度が高く熱伝導度が高い材料から製造され得、ハンドルハウジング212内で超音波変換器組立品230を回転可能に支持するように構成される。一実施形態では、例えば、変換器ハウジング240の近位端242は、ハウジング212内で支持される軸受246内に受け入れられる近位端から突出するシャフト244を有し得る。更に、変換器ハウジング240の近位端248は、ハウジング212に形成される溝252内に回転可能に受け入れられるように構成される近位端上に形成されるフランジ250を有し得る。超音波ホーン234及びカップラー236は、変換器ハウジング240の開口部254を通って外に突出する。したがって、変換器ハウジング240は、ハンドルハウジング212内で軸線A−Aの周りを回転することができる。
【0027】
様々な実施形態では、超音波変換器組立品230は、スリップリング構成260によって超音波制御信号源50から超音波制御信号を得る。より具体的には、図7及び8で分かるように、第1の接触リング262が変換器ハウジング240の外辺部に取り付けられ、導体264によって変換器組立品230に連結され得る。同様に、第2の接触リング266が変換器ハウジング240の外辺部に取り付けられ、導体266によって変換器組立品に連結され得る。第1の接触リング262は、ハンドルハウジング212内に固定して取り付けられ、導体272を通って超音波発生器50と通信する第1の固定接触子270と、摺動回転接触して位置する。同様に、第2の接触リング266は、導体276を通って超音波発生器50と通信する第2の固定接触子274と、摺動回転接触して位置する。そのようなスリップリング構成260は、超音波変換器組立品230が軸線A−Aの周りを回転することを可能にする一方で、超音波発生器50から超音波変換器組立品230への超音波制御信号の付加を促進する。他のスリップリング構成を用いることもできる。
【0028】
変換器ハウジング240及び変換器組立品230が中心軸線A−Aの周りで選択的に「総回転」することは、一般的に280として指定される手で作動する駆動系によって行われ得る。本明細書で使用する場合、用語「総回転」は、駆動系によって回転作動の動き又は力が加えられることによって誘導される超音波変換器組立品及び超音波刃の回転を指し、超音波制御信号の付与を通じてのみ超音波変換器組立品に起こり得る回転運動を含む意図はない。様々な実施形態では、例えば、駆動系280は、変換器ハウジング240の外辺部に取り付けられる第1のギヤ282を含み得る。第1のギヤ282は、超音波変換器組立品230を含む変換器のスタックの中心に取り付けられるフランジ(図示せず)と整合し得る。フランジ及び第1のギヤ282はこのようにして、変換器組立品230上で節「N」に位置する。第1のギヤ282は、ハンドルハウジング212で回転可能に支持される第2の駆動ギヤ284と噛み合って係合し得る。例えば、第2の駆動ギヤ284は、ハンドルハウジング212の部分から内側に突出するピン286上で回転可能に軸止され得る。駆動系280は、第2の駆動ギヤ284と噛み合って係合し、トリガー220に連結される第3の駆動ギヤ288を更に含み得る。図8で矢印によって例示するように、トリガー220がハンドグリップ部214に関して枢動し得るように、トリガー220は、ピン222の周りにハンドルハウジング212に枢動可能に取り付けられ得る。したがって、ハンドグリップ214に関してトリガー220が枢動することで、ユーザーは変換器ハウジング240を中心軸線A−Aの周りで回転させることができる。
【0029】
更に様々な実施形態では、超音波刃300は、ハンドルハウジング212に取り付けられる又は他の方法でハンドルハウジングから突出する外側シース310を通って回転可能に突出し得る。いくらかの実施形態では、外側シース310は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Ultem(登録商標)、又はガラス充填ナイロン、例えばGrivory等の充填ポリマーから製造され得、櫛状の遠位端部312を有する。あるいは、櫛状部材は、超音波部材に面してテフロン等のポリマーで製造され、ポリマー部材を機械的に支持するより剛性の外部の金属部材によって裏打ちされ得る。超音波刃300は、超音波刃300に沿って節(単数又は複数)に位置する1つ以上のシール311によって外側シース310内で回転可能に支持され得る。様々な実施形態では、「SEAL ARRANGEMENTS FOR ULTRASONICALLY POWERED SURGICAL INSTRUMENTS」という名称の同日出願の米国特許出願第____号、代理人明細書No.END6690USNP/090343に説明する種類の1つ以上のシール311が用いられ得、その出願全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、他のシール構成も用いることができる。図9及び10で分かるように、櫛状の遠位端部312は、離間して配置される櫛状歯318の第1の横方向の直列316と離間して配置される櫛状歯326の第2の横方向の直列324との間で隔置される弓状の受け台314を形成し得る。様々な実施形態では、歯318の第1の横方向の直列316は、すき間320によって分離される少なくとも2つの歯318を含む。他の複数の歯318が用いられてもよい。歯326の第2の直列324は、歯318の数と一致する数の歯326を含み、歯318と実質的に横方向に整合する。歯326は示すように開口部328によって分離され得る。
【0030】
更に図7〜10で分かるように、超音波刃300は刃300の細長い本体部分302より断面が大きい遠位端部304を有し得る。特に図9で分かるように、遠位端部304は本体部分302に関して中心から外れて取り付けられる。遠位端部304の様々な回転位置を図9に想像線で示す。図11は、遠位端304’が楕円の断面形状を有する別の超音波刃実施形態を例示する。図11A及び11Bは、遠位端304”は、遠位端に形成される切断歯又はノッチ305を備える楕円の断面形状を有する他の超音波刃実施形態を例示する。ノッチは、超音波動作中の縁部の有効鋭利度が製造中に設定可能である精密に機械加工された隆起部であり得る。図12及び13は、別の外側シース310’及び超音波刃構成300”を例示する。これらの図で分かるように、歯318’、326’の直列316’、324’は長めで、間にトラフ314’を形成する。第1の歯318’は開口部320’によって分離され、第2の歯326’は開口部328’によって分離される。超音波刃300”の遠位端304”は、トラフ314’内で回転可能に嵌合する寸法の実質的に丸い断面を有する。
【0031】
使用中に、臨床医は、外側シース310の遠位端312を軟骨と接触させて切断し得る。超音波電力は、超音波変換器組立品230及び超音波刃230に供給され得る。次に、臨床医は、ハンドグリップ214に関してトリガー220を枢動し超音波刃230を回転させ得る。超音波刃300の遠位端部304が受け台314内で回転する間、刃300の遠位端304が軟骨と接触し、直列の歯の316と324との間で様々な巻髭が「櫛ですかれ」、刃300の動力が供給された遠位端部304によって切断され得る。別の実施形態では、臨床医は、超音波の動きを超音波刃300に加える前に超音波刃300を回転させ得る。
【0032】
本明細書に記載される装置は、1回の使用の後に廃棄されるように設計することができ、又は、これらは複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整され得る。再調整は、装置の解体工程、これに続く洗浄工程、又は特定部品の交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は解体することができ、装置の任意の数の部品又は構成要素は、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の構成要素の洗浄及び/又は交換の際に、装置は、機能の再調整時に、又は外科手術直前に手術チームにより、その後の使用のために再組立することができる。装置の再調整に、解体、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を使用できることが当業者に理解されるであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0033】
好ましくは本明細書に記載されている種々の実施形態は、手術の前に処理されている。まず、新しい又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次に、器具を滅菌することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの、閉鎖かつ密閉された容器に器具を置く。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を貫通することができる放射線野の中に配置する。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は、それが医療施設内で開封されるまで、器具を無菌に保つ。滅菌はまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、及び/又は蒸気を含め、当業者に既知の任意の数の方法によって実施することができる。
【0034】
種々の実施形態では、超音波手術用器具は、導波管及び/又はエンドエフェクターが既に手術用器具の変換器に動作可能に連結された状態で、外科医に供給することができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、外科医、又はその他の臨床医は、超音波手術用器具を滅菌包装から取り出し、上記に概説するように超音波器具を発振器に差し込んで、外科的処置中に超音波器具を使用することができる。このようなシステムは、外科医、又はその他の臨床医が、導波管及び/又はエンドエフェクターを超音波手術用器具に組み付ける必要性を排除することができる。超音波手術用器具の使用後、外科医、又はその他の臨床医は、超音波器具を密封可能な包装に入れることができ、この包装を殺菌施設に運ぶことができる。殺菌施設では、超音波器具を消毒することができ、あらゆる使用済みの部品を廃棄及び交換することができる一方で、再利用可能な部品を殺菌して、再度使用することが可能である。その後、超音波器具は、再組み立てされ、試験され、無菌包装に入れられ、及び/又は包装に入れられた後に殺菌され得る。いったん殺菌されると、再処理された超音波手術用器具を再度使用することができる。
【0035】
種々の実施形態が本明細書で記載されてきたが、これらの実施形態に多くの改変及び変形が実施され得る。例えば、異なるタイプのエンドエフェクターが採用され得る。更に、特定の構成要素について材料が開示される場合、他の材料が使用され得る。以上の説明及び以下の「特許請求の範囲」は、このような改変及び変形を全て有効範囲とするものである。
【0036】
上記の米国特許及び米国特許出願の全て、並びに本明細書に言及した公表された米国特許出願は、組み込まれる資料が既存の定義、陳述書、又は本開示に記載する他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する資料に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが既存の定義、陳述書、又は本明細書に記載する他の開示資料と矛盾するいずれの資料又は資料の部分は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0037】
〔実施の態様〕
(1) 超音波手術用器具であって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品であって、櫛状の遠位端部から突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する少なくとも1つの前記櫛状の遠位端部を有する外側シース組立品と、
前記ハウジングによって可動に支持される少なくとも1つの超音波変換器と、
前記少なくとも1つの超音波変換器から突出し前記超音波変換器と共に可動である超音波刃であって、前記外側シース組立品の前記少なくとも1つの遠位端部の近傍で動くために遠位端を有する超音波刃と、
前記超音波変換器組立品に作動の動きを選択的に加えて前記少なくとも1つの超音波変換器組立品を前記ハンドルハウジング内で動かすために、前記少なくとも1つの超音波変換器組立品と相互作用する駆動系と、を含む、超音波手術用器具。
(2) 前記外側シース組立品は、少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される櫛状の遠位端部を有し、前記超音波刃の前記遠位端は、前記外側シース組立品の前記一対の隔置される遠位端部間で動くように構成される、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(3) 前記櫛状の遠位端部のそれぞれの上の前記少なくとも2つの隔置される歯部材は、S字状の構成に配向される、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(4) 前記少なくとも1つの超音波変換器は、前記ハンドルハウジング内で選択的に総軸方向移動する(selective gross axial travel)ために前記ハンドルハウジング内で可動に支持される、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(5) 前記少なくとも1つの超音波変換器は、前記ハンドルハウジング内で選択的に総回転する(selective gross rotation)ために前記ハンドルハウジング内で可動に支持される、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(6) 前記駆動系は、前記ハンドルハウジングに可動に取り付けられ前記少なくとも1つの超音波変換器と整合するトリガーを含み、前記トリガーに作動の動きを加えることで前記少なくとも1つの変換器が前記ハンドルハウジング内で動く、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(7) 前記駆動系は、前記トリガー及び前記少なくとも1つの超音波変換器と操作可能に整合する一連のギヤを更に含む、実施態様6に記載の超音波手術用器具。
(8) 前記超音波刃は、実質的に丸い断面形状を有する細長い中心部分を有し、前記遠位端部は、前記細長い中心部分から偏心的に突出する、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(9) 前記超音波刃の前記遠位端は実質的に平面である、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
(10) 前記超音波刃の前記遠位端は実質的に丸い断面形状を有する、実施態様1に記載の超音波手術用器具。
【0038】
(11) 超音波手術用器具であって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品であって、櫛状部材のそれぞれから突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される前記櫛状部材を有する外側シース組立品と、
前記ハンドルハウジング内で選択的に総軸方向移動するために前記ハンドルハウジングによって可動に支持される少なくとも1つの超音波変換器と、
前記少なくとも1つの超音波変換器から突出し前記超音波変換器と共に軸方向に可動である超音波刃であって、前記一対の隔置される櫛状部材間で動くために遠位端を有する超音波刃と、
前記ハンドル組立品に操作可能に連結され、前記超音波変換器に総軸方向の作動の動きを選択的に加えるために前記少なくとも1つの超音波変換器と相互作用するトリガーと、を含む、超音波手術用器具。
(12) 前記一対の隔置される櫛状部材は高分子材料から製造される、実施態様11に記載の超音波手術用器具。
(13) 前記櫛状部材はそれぞれ中心軸線を画定し、前記歯部材の少なくとも1つは前記中心軸線の1つの横方向側に突出し、前記歯部材の別の1つは前記中心軸線の別の横方向側から突出する、実施態様11に記載の超音波手術用器具。
(14) 前記超音波刃の前記遠位端は、実質的に平面で前記遠位端に形成される弓状のくぼみを有する、実施態様11に記載の超音波手術用器具。
(15) 超音波手術用器具であって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングから突出する外側シース組立品であって、櫛状部材のそれぞれから突出する少なくとも2つの隔置される歯部材を有する一対の隔置される前記櫛状部材を有する外側シース組立品と、
前記ハンドルハウジング内で総回転するために前記ハンドルハウジング内で支持される少なくとも1つの超音波変換器と、
前記少なくとも1つの超音波変換器から突出し前記超音波変換器と共に回転可能である超音波刃であって、前記一対の隔置される櫛状部材間で回転するために遠位端を有する超音波刃と、
前記ハンドル組立品に操作可能に連結されるトリガーと、
前記少なくとも1つの超音波変換器及び前記トリガーと整合する一連のギヤであって、前記トリガーの作動によって前記少なくとも1つの超音波変換器に総回転運動を加えるような一連のギヤと、を含む、超音波手術用器具。
(16) 前記少なくとも1つの超音波変換器は、前記ハンドルハウジング内で総回転するために支持される変換器ハウジング内で支持され、前記一連のギヤは、
前記変換器ハウジング上で支持される第1の駆動ギヤと、
前記第1の駆動ギヤと噛み合って係合する第2の駆動ギヤと、
前記トリガーに支持され前記第2の駆動ギヤと噛み合って係合する第3の駆動ギヤと、を含む、実施態様15に記載の超音波手術用器具。
(17) 超音波制御信号源と前記少なくとも1つの超音波変換器との間で整合するスリップリング組立品を更に含む、実施態様16の超音波手術用器具。
(18) 前記スリップリング組立品は、
前記ハンドルハウジング上に支持され前記超音波制御信号源と通信する第1の固定接触子と、
前記ハンドルハウジング上に支持され前記超音波制御信号源と通信する第2の固定接触子と、
前記変換器ハウジング上の第1の可動接触子であって、前記第1の固定接触子と動く接触をし(moving contact)前記少なくとも1つの超音波変換器と通信する第1の可動接触子と、
前記変換器ハウジング上の第2の可動接触子であって、前記第2の固定接触子と動く接触をし前記少なくとも1つの超音波変換器と通信する第1の可動接触子と、を含む、実施態様17に記載の超音波手術用器具。
(19) 前記超音波刃は、実質的に丸い断面形状を有する細長い中心部分を有し、前記遠位端部は、前記細長い中心部分から偏心的に突出する、実施態様15に記載の超音波手術用器具。
(20) 前記超音波刃の前記遠位端部は楕円の断面形状を有する、実施態様19に記載の超音波手術用器具。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図11B
図12
図13