特許第5766748号(P5766748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766748
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   H02K41/03 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-118492(P2013-118492)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-236642(P2014-236642A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2014年10月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】岩城 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】小片 尚志
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−106058(JP,A)
【文献】 特開2010−268672(JP,A)
【文献】 特開平11−313476(JP,A)
【文献】 実開平07−039268(JP,U)
【文献】 特開平11−197601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の駆動用磁石と、
前記駆動用磁石の外側及び内側のいずれか一方に配置されるコイルと、
前記駆動用磁石の外側及び内側の他方に配置されると共に前記コイルに連結され、前記駆動用磁石を原点に復帰させる復帰用磁石と、を備え、
前記コイルに通電することによって、前記駆動用磁石又は前記コイル及び前記復帰用磁石が前記駆動用磁石の軸線方向に移動し、
前記駆動用磁石のN極と前記復帰用磁石のS極が引きつけ合い、前記駆動用磁石のS極と前記復帰用磁石のN極が引きつけ合うことによって、前記駆動用磁石を原点に復帰させるリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記駆動用磁石は、前記駆動用磁石の前記軸線方向の一端部がN極に他端部がS極になるように前記軸線方向に磁化されており、
前記駆動用磁石の軸線方向の両端部には、軟質磁性材料の第一及び第二のヨークが設けられ、
前記コイルは、前記第一のヨークに対向する第一のコイル、及び前記第二のヨークに対向する第二のコイルを有することを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記復帰用磁石の前記軸線方向の長さは、前記駆動用磁石の前記軸線方向の長さ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記復帰用磁石と前記駆動用磁石との間には、前記駆動用磁石が前記復帰用磁石に対して相対的に前記軸線方向に移動するのを案内するすべり軸受が配置されることを特徴とする請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記駆動用磁石の外側に前記コイルが配置され、前記駆動用磁石の内側に前記復帰用磁石が配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記復帰用磁石は中空に形成されることを特徴とする請求項5に記載のリニアアクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル及びコイルに鎖交する磁束を生じさせる駆動用磁石を備え、コイルに通電することによって、コイル及び駆動用磁石のいずれか一方が軸線方向に移動するリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアアクチュエータは、コイル及びコイルに鎖交する磁束を生じさせる駆動用磁石を備える。出願人はこの種のリニアアクチュエータとして、特許文献1に記載のリニア振動アクチュエータを提案している。
【0003】
このリニア振動アクチュエータは、軸線方向に磁化された円柱形の駆動用磁石と、駆動用磁石と同心円上に配置されて駆動用磁石の周囲を囲むコイルと、を備える。駆動用磁石が生じさせる磁束はコイルを鎖交する。コイルに電流を流すと、駆動用磁石の磁束とコイルに流れる電流の相互作用によって、コイル及び駆動用磁石のいずれか一方が軸線方向に移動する。コイルに流す電流の方向を切り替えると、すなわちコイルに交流を流すと、駆動用磁石が軸線方向に振動する。
【0004】
コイルの軸線方向の両端部には、可動子を原点に復帰させる一対の復帰用磁石が設けられる。一対の復帰用磁石は可動子の駆動用磁石に反発し、反発力によって可動子を原点に復帰させる。磁石の反発力を利用することで、ばね等の弾性体を使用しなくても可動子を原点に復帰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−268672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のリニアアクチュエータにあっては、コイル及び復帰用磁石が固定子の軸線方向に直列に並べられるので、リニアアクチュエータの軸線方向の全長が長くなるという課題がある。リニアアクチュエータが組み込まれる機器によっては、リニアアクチュエータの全長を短くすることが要請される。コイル、駆動用磁石、復帰用磁石の軸線方向の長さを短くすれば、リニアアクチュエータの全長を短くできるが、リニアアクチュエータの推力が低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、推力を大きくしたまま全長を短くすることができるリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、中空の駆動用磁石と、前記駆動用磁石の外側及び内側のいずれか一方に配置されるコイルと、前記駆動用磁石の外側及び内側の他方に配置されると共に前記コイルに連結され、前記駆動用磁石を原点に復帰させる復帰用磁石と、を備え、前記コイルに通電することによって、前記駆動用磁石又は前記コイル及び前記復帰用磁石が前記駆動用磁石の軸線方向に移動し、前記駆動用磁石のN極と前記復帰用磁石のS極が引きつけ合い、前記駆動用磁石のS極と前記復帰用磁石のN極が引きつけ合うことによって、前記駆動用磁石を原点に復帰させるリニアアクチュエータである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中空の駆動用磁石の外側及び内側のいずれか一方にコイルが配置され、中空の駆動用磁石の外側及び内側の他方に復帰用磁石が配置されるので、推力を大きくしたままリニアアクチュエータの軸線方向の全長を短くすることができる。また、中空の駆動用磁石がコイルと復帰用磁石との間に配置されるので、コイルからも復帰用磁石からも駆動用磁石に力を与えやすくなる。このことも推力を大きくできる一因である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のリニアアクチュエータの外観斜視図
図2】本実施形態のリニアアクチュエータの軸線に沿った断面図
図3図2のリニアアクチュエータの模式図(駆動用磁石及び復帰用磁石によって形成される第一及び第二の磁気回路を示す)
図4】可動子が原点位置からストロークの右端まで移動するときの、第一及び第二のコイルの鎖交磁束の推移を示す図
図5】駆動用磁石及び復帰用磁石の他の例を示す斜視図
図6】駆動用磁石及び復帰用磁石をセグメント磁石から構成した例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態のリニアアクチュエータを説明する。図1はリニアアクチュエータの外観斜視図を示す。リニアアクチュエータは、円筒形の固定子1と、固定子1の内側に配置される円筒形の可動子2と、を備える。円筒形の固定子1と円筒形の可動子2とは、その軸線が一致する。固定子1にはコイルが設けられる。可動子2には駆動用磁石が設けられる。固定子1のコイルに電流を流すと、可動子2が軸線方向に移動する。固定子1の一端部には固定子1を機器に取り付けるためのフランジ1aが設けられる。可動子2の一端部にも可動子2を機器に取り付けるためのフランジ2aが設けられる。
【0012】
図2はリニアアクチュエータの断面図を示す。固定子1には、コイル4として第一及び第二のコイル4a,4bが互いの軸線を一致させた状態で軸線方向に並べられる。第一及び第二のコイル4a,4bの外側には、円筒形のヨーク5が設けられる。ヨーク5は、鉄、鋼、ケイ素鋼、パーマロイ等の軟質磁性材料からなる。ヨーク5の外側には円筒形の樹脂製のケース6が設けられる。ヨーク5及びケース6の軸線方向の一端部がフランジ1aに取り付けられる。なお、ヨーク5に防錆処理をすれば樹脂製ケース6は不要である。コイル4は図示しないボビン等に支持されていて、ヨーク5及びケース6に一体化される。
【0013】
フランジ1aには、第一及び第二のコイル4a,4bの内側を通る中空のパイプ7が固定される。パイプ7は樹脂等の非磁性材料からなる。パイプ7の外周面には円筒形の復帰用磁石8が取り付けられる。すなわち、復帰用磁石8は、パイプ7、フランジ1a、ヨーク5を介して第一及び第二のコイル4a,4bに連結される。
【0014】
復帰用磁石8は、軸線方向の一端部がS極に他端部がN極になるように軸線方向に磁化されている。復帰用磁石8は第一及び第二のコイル4a,4bから構成されるコイル4の軸線方向の中心に配置される。復帰用磁石8の軸線方向の長さは、第一及び第二のコイル4a,4bから構成されるコイル4の軸線方向の長さよりも短い。復帰用磁石8の軸方向の両端部には、樹脂等の非磁性材料からなる円筒形の磁石支持部9a,9bが設けられる。
【0015】
可動子2の構成は以下のとおりである。可動子2は円筒形の駆動用磁石11を備える。駆動用磁石11は、軸線方向の一端部がN極に他端部がS極になるように軸線方向に磁化されている。駆動用磁石11は復帰用磁石8の軸線方向の中心に配置される。復帰用磁石8の軸線方向の長さL1は駆動用磁石11の軸線方向の長さL2以上、望ましくは1倍以上1.2倍以下である。
【0016】
駆動用磁石11の軸線方向の両端部には、鉄、鋼、ケイ素鋼、パーマロイ等の軟質磁性材料からなる第一及び第二のヨーク12a,12bが設けられる。第一及び第二のヨーク12a,12bはいずれも円筒形に形成される。駆動用磁石11、第一及び第二のヨーク12a,12bの内側には、非磁性材料(例えば樹脂製)の円筒形のすべり軸受14が設けられる。すべり軸受14はブッシュ又はスプラインからなる。すべり軸受14の内周面は固定子1の磁石支持部9a,9bの外周面に接する。固定子1に対する可動子2の軸線方向の直線運動はすべり軸受14によって案内される。なお、すべり軸受14を磁性材料にすることもできる。
【0017】
第一及び第二のコイル4a,4b、駆動用磁石11、第一及び第二のヨーク12a,12b、復帰用磁石8の配置は以下のとおりである。中空の駆動用磁石11の外側に第一及び第二のコイル4a,4bが配置される。第一及び第二のコイル4a,4bと駆動用磁石11とは同心円上に配置されていて、第一及び第二のコイル4a,4bの軸線と駆動用磁石11の軸線とは一致する。
【0018】
中空の駆動用磁石11の内側に復帰用磁石8が配置される。復帰用磁石8と駆動用磁石11とは同心円上に配置されていて、復帰用磁石8の軸線と駆動用磁石11の軸線とは一致する。
【0019】
第一及び第二のコイル4a,4bそれぞれは第一及び第二のヨーク12a,12bそれぞれに対向する。第一及び第二のコイル4a,4bの中心間ピッチP1(第一のコイル4aの軸線方向の中心から第二のコイル4bの軸線方向の中心までの長さ)と第一及び第二のヨーク12a,12bの中心間ピッチP2(第一のヨーク12aの軸線方向の中心から第二のコイル12bの軸線方向の中心までの長さ)は等しい。第一のコイル4aの軸線方向の長さと第二のコイル4bの軸線方向の長さは等しく、第一のヨーク12aの軸線方向の長さと第二のヨーク12bの軸線方向の長さは等しい。第一及び第二のヨーク12a,12bの軸線方向の長さは第一及び第二のコイル4a,4bの軸線方向の長さ以下である。
【0020】
第一及び第二のコイル4a,4bに通電しないとき、復帰用磁石8によって可動子2は図2に示す原点に復帰する。可動子2が原点に復帰したとき、駆動用磁石11の軸線方向の中心と復帰用磁石8の軸線方向の中心とは一致する。
【0021】
図3は駆動用磁石11及び復帰用磁石8によって形成される第一及び第二の磁気回路を示す。駆動用磁石11のN極に発生する磁束は第一のヨーク12aを通り、90°曲がって第一のコイル4aを鎖交して第一のコイル4aの外側のヨーク5を通る。そして、ヨーク5を軸線方向に通った後、90°曲がって第二のコイル4bを鎖交して第二のヨーク12bを通り、第二のヨーク12bから駆動用磁石11のS極に戻る。以上のように、駆動用磁石11によって第一及び第二のコイル4a,4bを鎖交する第一の磁界回路m1が形成される。第一及び第二のコイル4a,4bに通電すると、駆動用磁石11が発する磁束と第一及び第二のコイル4a,4bに流れる電流との相互作用により推力が発生し、可動子2が軸線方向に移動する。
【0022】
第一及び第二のコイル4a,4bに交流を流すと、可動子2に作用する推力の方向が交互に切り替わり、可動子2が振動する。可動子2を振動させるとき、推力を大きくするために第一及び第二のコイル4a,4bに流す交流の位相を90度ずらすのが望ましい。例えば、第一のコイル4aに正弦波の交流を流すとき、第二のコイル4bに余弦波の交流を流すのが望ましい。この他にも、ステッピングモータのドライバを用い、第一のコイル4aにA相電流を流し、第二のコイル4bにA相電流に対して90度位相のずれたB相電流を流すこともできる。
【0023】
可動子2が原点に復帰する原理は以下のとおりである。駆動用磁石11のN極に発生する磁束の一部は、180°方向転換して復帰用磁石8のS極に入る。復帰用磁石8のN極に発生する磁束は、180°方向転換して駆動用磁石11のS極に入る。駆動用磁石11及び復帰用磁石8によって第二の磁気回路m2が形成される。駆動用磁石11のN極と復帰用磁石8のS極とが引きつけ合い、駆動用磁石11のS極と復帰用磁石8のN極とが引きつけ合うので、可動子2が原点に復帰する。
【0024】
図4は、可動子2が原点位置からストロークの右端まで移動するときの、第一及び第二のコイル4a,4bの鎖交磁束の推移を示す図である。図4中左欄が可動子2の位置を示し、図4中右欄が第一及び第二のコイル4a,4bの鎖交磁束を示す。S1は可動子2が原点に位置する状態を示し、S2→S4は可動子2が徐々に図4中右方向に移動する状態を示し、S5は可動子2がストロークの右端に位置する状態を示す。
【0025】
図4中右欄は第一及び第二のコイル4a,4bの鎖交磁束を示すグラフである。グラフ中の0mmから10mmまでの間に第一のコイルが存在し、10mmから20mmまでの間に第二のコイルが存在する。第一のコイルの軸線方向の中心は5mmの位置にあり、第二のコイルの軸線方向の中心は15mmの位置にある。第一及び第二のコイル4a,4bに鎖交する磁束のうちの径方向の成分が、第一及び第二のコイル4a,4bに推力を発生させる。このため図4のグラフには鎖交磁束の径方向の成分が示されている。
【0026】
可動子2が原点に位置するとき(S1)、第一のヨーク12aが第一のコイル4aの中心に位置し、第二のヨーク12bが第二のコイル4bの中心に位置する。そして、第一のコイル4aの鎖交磁束、第二のコイル4bの鎖交磁束いずれも最大になる。第一及び第二のコイル4a,4bに互いに反対方向の電流を流すと、第一及び第二のコイル4a,4bには図4のグラフの矢印で示す同方向の推力f1,f2が発生する。なお、第一のコイル4aの鎖交磁束は、半径方向の外側を向く鎖交磁束がプラスで表され、第二のコイル4bの鎖交磁束は半径方向の内側を向く鎖交磁束がプラスで表されている。
【0027】
S2→S5に示すように、可動子2がストロークの右端に近づけば近づくほど、第二のコイル4bにマイナス方向の鎖交磁束が発生する。S5において、マイナス方向の鎖交磁束をR1で示し、プラス方向の鎖交磁束をR2で示す。鎖交磁束には駆動用磁石11に起因するものと復帰用磁石8に起因するものとがある。これらの磁石の相互作用により、可動子2がストロークの右端に近づけば近づくほど、マイナス方向の鎖交磁束が発生するものと推測される。このマイナス方向の鎖交磁束はストロークの端に移動しようとする可動子2にブレーキ力を働かせる。可動子2にブレーキ力を働かせることで、高速で振動させても可動子2が固定子1から飛び出すのを防止することができる。また、可動子2がストロークの右端に近づけば近づくほど、第一及び第二のコイル4a,4bの鎖交磁束の総量も小さくなる。このことも可動子2が固定子1から飛び出すのを防止できる一因であると推測される。
【0028】
本実施形態のリニアアクチュエータによれば、以下の効果を奏する。中空の駆動用磁石11の外側にコイル4を配置し、中空の駆動用磁石11の内側に復帰用磁石8を配置するので、推力を大きくしたままリニアアクチュエータの軸線方向の全長を短くすることができる。また、中空の駆動用磁石11がコイルと復帰用磁石8との間に配置されるので、コイル4からも復帰用磁石8からも駆動用磁石11に力を与えやすくなる。このことも、リニアアクチュエータの推力を大きくできる一因である。
【0029】
駆動用磁石11を軸線方向に磁化し、駆動用磁石11の両端部に軟質磁性材料の第一及び第二のヨーク12a,12bを設けることで、第一及び第二のコイル4a,4bと第一及び第二のヨーク12a,12bとの対向面積を増やすことができ、駆動用磁石11が発する磁束を効率的に第一及び第二のコイル4a,4bに鎖交させることができる。
【0030】
また、駆動用磁石11を軸線方向に磁化し、駆動用磁石11の軸線方向の両端部に第一及び第二のヨーク12a,12bを配置することで、駆動用磁石11の内側にすべり軸受14を配置することが可能になる。したがって、リニアアクチュエータの径方向の寸法を抑えることができる。
【0031】
復帰用磁石8の軸線方向の長さL1を駆動用磁石11の軸線方向の長さL2の1倍以上1.2倍以下にすることで、ストロークの端に移動しようとする可動子2に上述のブレーキ力を働せることができる。
【0032】
復帰用磁石8と駆動用磁石11との間にすべり軸受14を配置することで、駆動用磁石11が復帰用磁石8に対して軸線方向に移動するのを案内することができる。また、駆動用磁石11とコイル4との間にすべり軸受14を配置すると、駆動用磁石11が発する磁束がコイル4に鎖交するのを妨げるおそれがあるが、復帰用磁石8と駆動用磁石11との間にすべり軸受14を配置することで、駆動用磁石11が発する磁束に悪影響を及ぼすことを防止できる。さらに、すべり軸受14を非磁性材料にすることで、駆動用磁石11が発する磁束に悪影響を及ぼすことをより防止できる。
【0033】
駆動用磁石11の外側にコイル4を配置することで、コイル4の半径を大きくすることができ、リニアアクチュエータの推力を大きくすることができる。
【0034】
可動子2のストロークを駆動用磁石11の軸線方向の長さと復帰用磁石8の軸線方向の長さを合算した長さ未満にすることで、駆動用磁石11が復帰用磁石8から飛び出さないようになり、復帰用磁石8から駆動用磁石11に原点に復帰させる復元力を確実に働かせることができる。
【0035】
復帰用磁石8を中空に形成することで、復帰用磁石8の内側を配線を通すスペース等として有効利用することができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲でさまざまな実施形態に具現化可能である。
【0037】
上記実施形態では、リニアアクチュエータを振動アクチュエータとして用い、コイルに通電して駆動用マグネットを軸線方向に振動させる例を説明したが、駆動用マグネットを振動させることなく、駆動用マグネットの軸線方向の位置を制御することもできる。これにより、リニアアクチュエータをカメラのシャッタ機構等を駆動するリニアアクチュエータとして用いることができる。
【0038】
上記実施形態では、中空の駆動用磁石の外側にコイルを配置し、中空の駆動用磁石の内側に復帰用磁石を配置しているが、中空の駆動用磁石の外側に復帰用磁石を配置し、中空の駆動用磁石の内側にコイルを配置することもできる。
【0039】
上記実施形態では、駆動用磁石及び復帰用磁石を軸線方向に磁化しているが、半径方向に磁化することができる。この場合、図5に示すように、駆動用磁石11及び復帰用磁石8の外周面の軸線方向の半分がN極に形成され、残りの半分がS極に形成される。また、図6に示すように、駆動用磁石11及び復帰用磁石8は円弧状に分割された複数のセグメント磁石11a,8aを組み合わせることで、構成されてもよい。ただし、駆動用磁石11を半径方向に磁化した場合、駆動用磁石11の内側に軟質磁性材料のヨークを配置する必要があるので、径方向の寸法が大きくなるという問題がある。
【符号の説明】
【0040】
4…コイル,4a,4b…第一及び第二のコイル,5…ヨーク,8…復帰用磁石,11…駆動用磁石,12a,12b…第一及び第二のヨーク,14…すべり軸受
図1
図2
図3
図4
図5
図6