特許第5766814号(P5766814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766814
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】画像トランスデューサプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-542614(P2013-542614)
(86)(22)【出願日】2010年12月10日
(65)【公表番号】特表2013-545562(P2013-545562A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】IB2010003198
(87)【国際公開番号】WO2012076918
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】513021420
【氏名又は名称】ビー−ケー メディカル エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン、ロバート、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン、ヘンリック
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−182237(JP,A)
【文献】 特開昭56−156141(JP,A)
【文献】 特開2004−141428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像プローブ(102)であって、
長軸を有する筐体(202)と、
内部キャビティと第1及び第2の端部(218,220)とを含む長尺チューブ状のシャフト(214)であって、前記長軸に沿って延長し、前記筐体内で回転自在に支持され、所定の最大角度に対して180度の角度を有する角度範囲にわたって前記筐体に対し相対的に回転する、前記シャフトと、
前記長軸に沿って設けられた複数のトランスデューサ要素を有し、前記シャフトの前記第1の端部(218)に配置されるトランスデューサアレイ(222)と、
前記筐体内に固設される電気コネクタ(228)と、
第1端及び第2端を有し、前記シャフトの前記内部キャビティ内に延長された物理的な電気経路(226)であって、当該経路の第1端が前記トランスデューサアレイに接続され、当該経路の第2端が前記電気コネクタに接続される前記電気経路と、
を有し、
前記プローブは、
前記筐体に取り付けられ、前記シャフトを所定の最大角度まで回転させることができ、それによって、制御システム障害のために損傷することから前記電気経路(226)を保護する回転制限装置(216)
をさらに有し、
前記回転制限装置は、
前記筐体に固定して取り付けられた固定要素(302)と、
前記固定要素に回転自在に結合され、第1の所定の角度範囲を回転する第1回転要素(304)と、
前記シャフトに固定されるとともに、前記第1回転要素に回転自在に結合され、第2の所定の角度範囲を回転する第2回転要素(306)と、
を備え、
前記第1及び第2の角度範囲が所定の最大角度となるように組み合わさるものである
超音波画像プローブ。
【請求項2】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記固定要素は弧の部分に沿って伸びており、
前記第1回転要素は、
第1の面(308)を有するアニュラリングと、
前記面に沿った円形経路の部分に沿って延長する凹部(312)と、
前記円形経路から外に伸びる突出部(314)と
を備え、
前記固定要素は前記凹部に置かれ、
前記第1回転要素は、前記突出部が前記固定要素の第1端部に物理的に接触する第1位置から、前記突出部が前記固定要素の第2端部に物理的に接触する第2位置まで、前記固定要素の周りを回転する、
ことを特徴とするプローブ。
【請求項3】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記第1回転要素は、
第1の面(308)を有するアニュラリングと、
略平面の表面(310)と、
前記第1の面から外に伸びた第1突出部(314)と
を備え、
前記第2の回転要素は、
第1の面(318)を有するアニュラリングと、
前記第1の面に沿って円形経路の部分に沿って伸びた凹部(320)と、
前記円形経路から外に伸びた第2突出部(322)と
を備え、
前記第2回転要素の前記凹部は、前記アニュラリングのアパーチャ内に設けられ、
前記第2回転要素は、前記第2突出部が前記第1突出部に物理的に接触する第1位置から、前記第2突出部が前記第1突出部に物理的に接触する第2位置まで、前記第1回転要素の周りを回転する、
ことを特徴とするプローブ。
【請求項4】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記最大角度は560度以上であることを特徴とするプローブ。
【請求項5】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記筐体に取り付けられた少なくとも1つのベアリング(210)であって、前記シャフトを回転自在に支持して、前記角度範囲を回転させる前記ベアリング
をさらに備えたことを特徴するプローブ。
【請求項6】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記ベアリングは、前記シャフトを支持して前記角度範囲を回転させる非導電体
を備えたことを特徴とするプローブ。
【請求項7】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記非導電体は、少なくとも一つのセラミック球
を備えたことを特徴とするプローブ。
【請求項8】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記電気経路は電気ワイヤの束を含んでおり、前記電気経路の前記第1端は前記トランスデューサアレイとともに回転し、前記第2端は前記電気コネクタに静止したままである、
ことを特徴とするプローブ。
【請求項9】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記電気経路は、前記角度範囲の一端で、ねじれていない状態になるように構成されるとともに、当該角度範囲の他端で、ねじれた状態になるように構成される、
ことを特徴するプローブ。
【請求項10】
請求項に記載のプローブにおいて、
前記筐体は、
対象の腔への挿入のための形状とされ、腔内を撮像するためのチューブ状長尺領域(206)であって、前記トランスデューサアレイを運ぶ前記シャフトの第1の端部が当該チューブ状長尺領域内で伸びるように構成され、音響カプリング流体で満たされるように構成された前記チューブ状長尺領域と、
前記チューブ長尺領域を取り囲んで密閉するとともに、当該チューブ長尺領域が前記角度範囲を回転することを可能にするシール(240)と、
を備えたことを特徴とするプローブ。
【請求項11】
請求項10に記載のプローブであって、
流体容器(248)であって、
前記密閉されたチューブ状長尺領域に収まらないカプリング流体の少なくとも一つホールドである当該密閉されたチューブ状長尺領域の大きさを拡大するものであり、
カプリング流体のソースを提供して当該密閉されたチューブ状長尺領域がカプリング流体に満たされるようにするものであり、
圧力を加えて密閉されたチューブ状長尺領域に空気が入ることを阻止するスプリング装置(249)を含むものである、
前記流体容器を備えたことを特徴とするプローブ。
【請求項12】
請求項に記載のプローブであって、
経直腸用プローブ又は経膣用プローブの少なくともいずれか一つである、
ことを特徴とするプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は画像トランスデューサプローブに関するものであり、超音波(US)画像の特定の応用、特に180度以上の回転に対するデータを得るように構成された超音波画像プローブに関するものである。また超音波以外の応用にも適するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波(US)画像は検査対象の内部特性に関する有用な情報を提供するものである。超音波システムは、トランスデューサアレイを有するプローブと、トランスデューサアレイを制御し超音波を送信してエコーを受信するコンソールとを含んでおり、当該システムは検査対象の内部特性の画像を生成する処理を実行し、それは3次元(3D)の容積を含んでいる。
【0003】
経直腸や経膣への使用を意図したプローブは特定用途のために設計されているが、通常小さい直径の長尺プローブ部を有しており、直腸腔又は膣腔に挿入される当該プローブ部の端部領域又はその近くに前記アレイが固定される。前記プローブは単一要素及び複数要素の(直線及び曲がった)アレイを有しており、当該アレイはプローブの端部に取り付けられてプローブの軸に対して略平行な方向に信号を発するか、プローブの軸に対して略垂直な方向に信号を発するように構成されている。
【0004】
直線状アレイプローブは所定の弧軌道に沿ってトランスデューサアレイをピボット動作若しくは旋動するように構成されている。前記直線状アレイトランスデューサをピボット動作させて弧軌道に沿った複数の所定の角度の一つに位置決めし当該角度で個々又は複数のトランスデューサ要素を連続的に作動させることにより、長手方向に直線的なスキャンが実行される。また前記直線状アレイトランスデューサが前記弧軌道に沿って前後方向に旋動して複数の所定の角度でデータが取得されることにより、横断方向のスキャンが実行される。前記長手方向及び前記横断方向のデータは直行Bスキャン平面におけるエコーデータを生成するのに用いることができ、パイ形状の円筒セクタを形成する視界を生成し得るものである。
【0005】
しかしながら、前記プローブのトランスデューサアレイは回転動作の範囲に限界があり、前記弧軌道に沿った範囲に制限されるものである。そのため、対象領域を撮像するため
には、前記プローブは回転されるか、取り外して再挿入されるか、そうでなければ再び位置合わせされるか、若しくはこれらの全てが行われる必要が生じ、このことは患者に不快
感を生じさせ、及び/又は、そうでなければ当該患者及び/又は他の患者に使用される時間を消費することになる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
【特許文献1】 米国特許第3964296号明細書
【特許文献2】 米国特許第5070879号明細書
【特許文献3】 米国特許第5152294号明細書
【特許文献4】 米国特許第5159931号明細書
【特許文献5】 米国特許第5460179号明細書
【特許文献6】 米国特許第5782769号明細書
【特許文献7】 米国特許第6203498号明細書
【特許文献8】 米国特許第6213948号明細書
【特許文献9】 米国特許第6264607号明細書
【特許文献10】 米国特許第6572548号明細書
【特許文献11】 米国特許第7081093号明細書
【特許文献12】 米国特許第7588540号明細書
【特許文献13】 米国特許出願公開第2007/0167821号明細書
【特許文献14】 米国特許第5291893号明細書
【特許文献15】 米国特許出願公開第2008/312536号明細書
【特許文献16】 米国特許第6425870号明細書
【特許文献17】 米国特許出願公開第2008/027327号明細書
【特許文献18】 米国特許第5085221号明細書
(非特許文献)
【非特許文献1】 International search report for PCT/IB2010/003198 published as WO 2012/076918 A1.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は上記課題等に鑑みてなされたものである。
【0007】
一の観点として、本願発明は、超音波画像プローブであって、長軸を有する筐体と、内部キャビティと第1及び第2の端部とを含む長尺チューブ状のシャフトであって、前記長軸に沿って延長し、前記筐体内で回転自在に支持され、所定の最大角度に対して180度の角度を有する角度範囲にわたって前記筐体に対し相対的に回転する、前記シャフトと、前記長軸に沿って設けられた複数のトランスデューサ要素を有し、前記シャフトの前記第1の端部に配置されるトランスデューサアレイと、前記筐体内に固設される電気コネクタと、第1端及び第2端を有し、前記シャフトの前記内部キャビティ内に延長された物理的な電気経路であって、当該経路の第1端が前記トランスデューサアレイに接続され、当該経路の第2端が前記電気コネクタに接続される前記電気経路と、を有している。
【0008】
また他の観点として、本願発明は、直線状トランスデューサアレイを可制御的に回転する工程であって、当該直線状トランスデューサアレイは腔内を撮像するために対象の腔に挿入された伸長された超音波プローブに含まれるものであり、当該直線状トランスデューサアレイをデータ取得の間、少なくとも180度の角度にわたって前記プローブに相対的に回転する工程を備えた方法である。
【0009】
さらに他の観点として、本願発明は、コンソールと、前記コンソールに電気的接続するように構成される超音波プローブとを含む超音波画像システムである。前記コンソールは前記プローブに信号を送信し、前記プローブは直線状トランスデューサアレイのプローブの長軸に沿った配置を支持する伸長シャフトをデータ収集の間、少なくとも180度の回転させる。
当業者であれば、以下の詳細な説明を読解して、本願発明の他の観点も認識するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本出願は添付図面により例示的に図示されるが限定されるものではなく、図面の中で参照番号は類似要素を示している。図面に含まれる図は以下の通りである。
本出願は添付図面により例示的に説明されるが、これに限定されるものではない。各図面において、同様の参照符号は類似の構成要素を示している。
図1図1は超音波(US)画像システムの一例を示すものである。
図2図2は超音波画像システムの超音波プローブの一例を示すものである。
図3図3は超音波プローブの回転制限装置の一例を示すものである。
図4図4は超音波プローブの回転制限装置の一例を示すものである。
図5図5は本願発明の方法の一例を示すものである。
図6図6は既定の超音波プローブのスキャン開始位置とは異なるユーザが決定するスキャン開始位置の非限定的な例を示すものである。
図7図7は既定の超音波プローブのスキャン開始位置とは異なるユーザが決定するスキャン開始位置の非限定的な例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は超音波画像装置等の画像システム100を示しており、超音波(US)トランスデューサプローブ102とコンソール104とを有している。
【0012】
プローブ102は、当該プローブの長軸に沿って配置されたトランスデューサ要素のアレイを有するトランスデューサ106を含むものである。図示された本実施形態において、アレイは1次元(1D)の直線状のアレイトランスデューサ106であり192個のトランスデューサ要素を有している。他の実施形態では、アレイ106はトランスデューサ要素をより多く又は少なく有していてもよく、2次元のアレイ要素、及び/又は曲がった若しくは他の形態の要素を含んでいてもよい。
【0013】
以下に詳述されるように、トランスデューサ106は少なくとも180°回転されるように構成される。他の適切な角度の例としては、720°までの角度が挙げられ、例えば、360°、560°、及び/又は他の角度が挙げられる。当該回転は高分解能を実現し、180°以上に及ぶ3次元(3D)のデータ収集を可能とする。
【0014】
位置センサのモータ108はトランスデューサアレイ106を回転するのに使用され、トランスデューサアレイ106の回転位置及び回転速度を特定するのに使用される。
【0015】
プローブ通信インタフェース112は通信データ及びコンソール104の制御信号の入力及び出力ポートを有している。
【0016】
図示されたプローブ102は直腸、膣及び/又はその他の腔の内部に挿入され撮像するように構成される。また当該プローブ102は突出領域を通常有しており、そこにトランスデューサ要素が収容される。経直腸や経膣プローブに関し、当該突出領域は10〜25mmの範囲の例えば17mmの外側直径を有しており、100mm以下の例えば65mmに延長する線形アレイ要素を有している。他の応用として、プローブはより小さい又は大きい直径を有するものであってもよい。
【0017】
コンソール104は、1若しくはそれ以上のトランスデューサ106の要素を選択的に作動又は起動する送信回路114と、トランスデューサ106により受信されるエコーを受け取る受信回路116とを有している。また受信回路116は、ビーム形成(例えば遅延と加算)、空間合成、フィルタリング(例えばFIR及び/又はIIR)等のエコーを含む受信エコーを処理するように構成される。
【0018】
コントローラ118は送信回路114を制御するものである。当該制御は、Aモード、Bモード、C平面等を収集するためのトランスデューサ106の個々の又は複数のトランスデューサ要素を作動又は起動し、送信された信号等を誘導及び/又は集めるものである。またコントローラ118は受信回路116を制御する。当該制御は、受信されたエコーを誘導及び/又は集めるためのトランスデューサ106を作動する。コントローラ118は物理メモリのようなコンピュータ読取可能記憶媒体に暗号化された又は埋め込まれた1若しくはそれ以上のコンピュータ読取可能な命令を実行する1若しくはそれ以上のプロセッサーを含むものである。追加的又は選択的に、前記命令は信号内若しくは搬送波内で実行されるものであってもよい。
【0019】
モータコントローラ110はモータ108を制御し、例えば、位置センサからの信号と既定値又はユーザが選択した動作モードとに基づいてトランスデューサ106を回転する。当該信号は既定の角度又はユーザが選択した初期角度を示すものでもよい。360°又はそれ以上のデータ収集に関しては、360°離れたデータの結合が撮像された対象領域にかからないように初期角度を設定できる。またモータコントローラ110はトランスデューサアレイ106が回転する速度も制御する。
【0020】
スキャンコンバータ120は受信回路116からのデータをスキャン変換してディスプレイ用のデータを発生させる。例えば、当該データは、収集されたデータを視覚的に提示するのに使われるディスプレイの座標システムに変換される。図示された実施形態はディスプレイ122を有している。しかしながら、当該ディスプレイ122は選択的にコンソール104との遠隔装置インタフェースでもよい。
【0021】
ユーザインタフェース124は、ボタン、ノブ、キーパッド、タッチスクリーン等及び/又は視覚的及び/又は聴覚的出力装置といったコントローラ118と相互作用するための種々の入力及び/または出力装置を含むものである。ユーザインタフェース124は、ユーザがプローブ102を起動すること、収集角度及び/またはスタート位置を含む、選択した動作モードによって、データ収集することを可能にする。
コンソール通信インタフェース126はプローブ102との通信データ及び制御信号のための入力及び出力ポートを有している。
【0022】
通信チャネル128は、インタフェース130及び132のそれぞれに接続され、プローブ通信インタフェース112及びコンソール通信インタフェース126と連結し、プローブ102及びコンソール104との間の通信リンクを確立する。通信チャネル128は、インタフェース130及びインタフェース134のそれぞれに接続され、プローブ通信インタフェース112及びモータコントローラ110と連結し、モータ108及びモータコントローラ110との間の通信リンクを確立する。チャネル128及び128を、ここではまとめて通信チャネル128という。通信チャネル128にはケーブル、ワイヤ等が含まれる。
【0023】
図示された通信チャネル128はプローブ102及びコンソール104から分離された構成として示される。しかしながら、通信チャネル128はプローブ102とチャネル128との間の接続が固定されるプローブ102の一部であってもよい。一方、チャネル128とコンソールとの間の接続は開かれており、チャネル128はコンソール104の使用のためにコンソール104に接続でき、またコンソール104を使用して又は使用せずに異なるプローブを用いる場合はそこから分離できるものとなっている。
図示されたプローブ102、コンソール104及び通信チャネル128の相対的な幾何形状(例えば、大きさ、形状、方向等)は説明目的のためのものであり限定されるものではないことを理解されたい。
【0024】
さらに、撮像システム100は、オペレータが容易にシステム100を運ぶことができて片手又は両手でシステムを使用することができる携帯ユニットとして、又はカート又は他の装置に配置され当該システムを動かすことができる又はそこから取り出して動かすことができる一般的なポータブルシステムとして、又は床、テーブル等の表面に固定又は取り付けられた一般的な静的システムとして構成することができる。
【0025】
図2はプローブ102の一例を示すものである。
【0026】
図示されたプローブ102は、長軸に沿った筐体202と、人間の手で掴まれるように構成された第1領域である持運領域204と、人間又は動物の直腸は膣の腔に適合するように形作られた第2領域であるチューブ長尺領域206と、第1領域204と第2領域206とを接続する第3領域である中間領域208とを有している。中間領域208は前記各領域204・206より相対的に固い金属やプラスチック等の物質を含むことがある。
筐体202の内部において、機械的ベアリング210の少なくともの1セットが中間領域208に固定されている。図示されたベアリング210は、ケーシングと、回転動作ができるように構成された1若しくはそれ以上の非導電媒体212とを含むものである。当該媒体212はトランスデューサアレイ222を回転させるのに使用される電子機器からトランスデューサアレイ222を電気的に絶縁し、そこからの電気的雑音を軽減する。好ましい非導電媒体212の例としては、これに限定されるものではないが、セラミック又は他の非導電媒体のボールやローラ等がある。他の例において、1若しくはそれ以上の非導電媒体212は気体や液体等の非導電流体を含む。
【0027】
回転制限装置216はベアリング210に隣接した中間領域208に取り付けられる。回転制限装置216はベアリング210に挿入されるチューブ状構造が所定の角度領域で回転できるように構成される。以下に詳しく説明されるように、図示された本実施形態において、回転制限装置216は560°の範囲で回転する構造を有しており、また回転制限装置216はホームポジション及びそこからの回転を制限する少なくとも1つの媒体とを有している。
【0028】
内部に物質のない中空を有するシャフトであるチューブ状トランスデューサアレイキャリア214はベアリング210によって回転自在に支持され、キャリア214をいずれの方向にも回転でき、回転制限装置216を超えて延長できるものである。チューブ状トランスデューサアレイキャリア214は、長尺領域206に延長する第1端部218と、前記第1領域204に延長する第2端部220とを有している。ベアリング224は伸長領域206の端を回転自在に支持する。
【0029】
シャフト214の第1端部218は、トランスデューサアレイ222を搬送する。ここで説明されるように、トランスデューサアレイ222は、192個のトランスデューサ要素の直線状のアレイ又はトランスデューサ要素の他の構成を含む。一般的に、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214は、長尺領域206の端の近くまで当該領域206内を延長し、トランスデューサアレイ222は第1端部218の端の近くに隣接して配置される。これはライブ画像で見ることのできるエリアの範囲外の対象物に挿入されるプローブ102の第2領域206の量を最小にする。
【0030】
電気経路226はトランスデューサアレイ222のトランスデューサ要素に固定されて電気通信し、トランスデューサアレイ222から延長し、チューブ状トランスデューサキャリア214及び第2端部220を通過し、第2端部220を外れたところで電気経路226が電気コネクタ228に固定され、第1領域204の支持媒体に取り付けられる。
図示された本実施形態において、電気経路226は弾力性のある同軸の導電媒体のバンドルを含むものであり、ワイヤやファイバ等である。一例として、当該バンドルは、各トランスデューサ要素に対する別々のワイヤを含む。他の例では、当該バンドルは前記要素への又は要素からの転送制御信号に使用される少量のワイヤ及びマルチプレクサ等を含む。
【0031】
弾力性のある同軸のバンドルは、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214の所定の角度領域にねじられるように構成される。ねじれの合計は端部停止機構216により制限され、例えば、同軸バンドルが損傷するおそれが回避される。一例として、このことは回転動作の一範囲(例えば0°又は560°)ではねじられていない状態であり、回転動作の他の範囲(例えば560°又は0°)ではねじられた状態であることを含む。他の例では、弾力性のあるバンドルは2つの角度範囲の間の角度でねじられていない状態である。前者の例では、弾力性のあるバンドルは一方向にねじれて、ねじれが戻される。後者の例では、弾力性のあるバンドルは2つの回転の反対方向にねじれて、ねじれが戻される。一例として、バンドルは各回転アレイ要素に対する1つの小さい同軸ワイヤ(例えば40AWG又はより小さい同軸ワイヤ)から構成される。他の例として、バンドルは、アレイの1より多い要素に対する1つのワイヤから構成される。他の例として、バンドルは、システムケーブルに固定された回転アレイからのアナログ又はデジタルデータを運ぶねじられた組のいくつか又はツイナックス(Twinax)から構成される。
【0032】
チューブ装置230はチューブ状トランスデューサアレイキャリア214を回転するものである。図示された本実施形態において、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214は歯又はギアを有しており、チューブ装置213は歯付きベルトである。歯付きベルトの歯はチューブ状トランスデューサアレイキャリア214の歯に対して相補的であり、モータ232がチューブ状トランスデューサアレイキャリア214を順に回す当該ベルトを回す。
【0033】
インデックス参照装置215はプローブ102(すなわちプローブをオンにする)の開始又は起動における、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214すなわちトランスデューサアレイ222の既定の位置を規定し、当該アレイ222の位置を既知の参照位置に合わせる。一例として、既知の参照位置は、撮像平面に取り付けられ得る細針の生検ガイド(biopsy guide)に揃えらえて、撮像平面が中間領域208の側面に挿入された参照スタッド217により位置付けられることを確実にする。
【0034】
エンコーダ233等のような位置合わせ装置はモータの軸すなわちチューブ状トランスデューサアレイキャリア214の角度又は回転位置を特定するのに使用される。他の実施形態において、歯のないベルトが用いられることもある。さらに他の実施形態において、モータ232はチューブ状トランスデューサアレイキャリア214の歯と噛み合うギアを回す。他の駆動装置、例えば主ねじ、ラック及びピニオン等もここで考慮される。
【0035】
電気経路234及び236は電気コンセント又はケーブル238に連結し、コンソール104のコンソール通信ポート126(図1)に接続するように構成される。電気経路234及び236はプローブ102とコンソール104との間の通信制御及び/又はデータに対する経路を提供する。
【0036】
第2領域206は音響窓部242と支持部244とシール240とを有する。音響窓部242は音響信号及びエコーの送信及び受信を容易にするものである。支持部244は構造的なサポートを提供するものである。シール240は第2領域206が満たされた流体に対して回転シールを提供するものであり、中間領域208に取り付けられ、前記停止装置216により認められる所定の回転角度でチューブ状トランスデューサアレイキャリア214が回転できるように構成されるものである。
【0037】
音響窓部242に合う曲率を有するレンズ246がトランスデューサアレイ222に取り付けられる。
【0038】
カプリング流体が第2領域206の内部に配置され、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214、レンズ246及びトランスデューサアレイ222を取り囲む。カプリング流体はトランスデューサアレイ222のトランスデューサ要素と音響窓部242とを音響結合する。
【0039】
流体容器248は、前記カプリング流体を下部と第2領域206との間に流すことのできる、変形可能(拡張可能で折り畳み可能)なチャンバを提供することによって、カプリング流体の拡張及び収縮(例えば温度変化、圧力変化等を原因とする)を可能にする。流体容器248は、例えばカプリング流体の温度変化の結果としての、カプリング流体の拡張及び収縮を可能とし、シール240での漏洩による流体損失のための代替流体を提供する。流体容器248は、軽度の陽圧を第2領域206内の流体に加える弾性装置249を有し、エアが確実に流体から外れた状態にする。
【0040】
図示されたプローブ102は直腸及び/又は膣の腔などの内部を撮像するように構成される。特定の用途に応じて、第2領域206の直径は異なるものである。
図3は回転制限装置216の一例を示す図である。
【0041】
本実施例において、回転制限装置216は3つの要素、すなわち、固定要素302、第1回転要素である中間回転要素304、第2回転要素である外側回転要素306を有している。
【0042】
固定要素302は一般的に弧形状であり、図示された本実施形態においては、円の外周の所定の比較的短い部分である。
中間回転要素304は絶縁プラスチック物質で形成されており、回転チューブと支持筐体との間を電気的に絶縁するとともに、機構が端部の止め具に当たった場合の衝撃を吸収する。ここで衝撃を吸収することは、駆動システムの消耗を弱めることになる。中間回転要素304は一般的にアニュラリングを有し、第1面308及び第2面310を対向して設けている。
【0043】
第1面308は当該第1面308の円軌道の相当な部分に沿って伸びる凹部312を有している。また第1面308は略弧形状の第1突起部314を有し、円軌道から第1面308の外側に向けて概ね垂直に突き出ており、前記凹部312は当該突起部314の一方の側のみから円軌道に沿って当該突起部314の他方の側に伸びている。第2面310は概ね平面であり、略弧形状である第2突起部316を有しており、円軌道から第2面310の外側に向けて概ね垂直に突き出ている。
【0044】
第1突起部314及び第2突起部316は中間回転要素304から反対方向に突き出ている。図示された本実施形態において、第1突起部314及び第2突起部316は横断方向に沿って互いにオフセットを有しており、中間回転要素304の直径に沿った平面に対して概ね平行である。他の実施形態において、第1突起部314及び第2突起部316は他のオフセットであってもよく、中間回転要素304のアニュラリングに沿った同様の位置から突き出るものであってもよい。
【0045】
外側回転要素306は一般的なアニュラリングを備えており、面318を有している。面318は第1面308の円起動に沿って伸びている凹部320を有している。また面318は一般的に弧形状でアニュラリングから概ね放射状に突き出る突起部322を有している。
【0046】
図4図2のプローブ102の一部に接続した図3の回転制限装置216の例を示している。図2から認識されるように、プローブ102は、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214を回転自在に支持するベアリング210と、チューブ状トランスデューサキャリア214を回転するチューブ装置230とを有している。
【0047】
固定要素302は、筐体202(図2)の中間領域208(図2)に固定して取り付けられる。中間回転要素304は固定要素302に回転自在に結合する。例えば、図示された本実施形態において、固定要素302の弧は円軌道に沿うものであり、それは中間回転要素304の円軌道に一致し(例えば同じ直径を有する)、中間回転要素304の凹部312に沿うものである。
【0048】
そのようなものとして、要素302及び304は結合して、固定要素302が中間回転要素304の凹部312に収まるようになる。当該結合に関し、中間回転要素304は、固定要素302に対して相対的に回転することができ、凹部312の固定要素302に物理的に接触する第1突起部314の一方側から凹部312の固定要素302の他方側に物理的に接触する第1突起部314の他方側までの角度領域の範囲を回転することができる。
【0049】
外側回転要素306は、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214に取り付けられ、中間回転要素304に回転自在に結合する。例えば、図示された本実施形態において、外側回転要素306の凹部320は、中間回転要素304のアパーチャに沿って配置され、外側回転要素306の面318が中間回転要素304の第2面310の平面に対向するようになる。
【0050】
この結合に関し、外側回転要素306は中間回転要素304に対して相対的に回転することができ、中間回転要素304の第2突起部316に物理的に接触する外側回転要素306の突起部322の一方側から中間回転要素304の第2突起部316の他方側に物理的に接触する外側回転要素306の他方側の突起部322までの角度領域の範囲を回転することができる。
【0051】
中間回転要素304の角度範囲は固定要素302及び突起部314の弧の物理的な長さに依存するものであり、外側回転要素306の角度領域は、外側回転要素306の突起部322及び中間回転要素304の突起部316の弧の物理的な長さに依存するものである。2つの角度範囲の組み合わせは、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214に対する回転の角度範囲を決定する。
【0052】
例として、中間回転要素304が280°回転するように構成され、外側回転要素306が280°回転するように構成され、チューブ状トランスデューサアレイキャリア214が560°(即ち280°+280°)回転可能になる。当然のことながら、中間回転要素304及び外側回転要素306の角度回転は上記の例に示されるような等しいものでなくてよい。また、この角度の合計は変えることができ、必要に応じて製造上の公差を調整し、アレイの回転を最小合計角度にできる。
【0053】
図5はシステム100における撮像方法を示している。
【0054】
次の動作の順序は説明目的のためのものであり、これに限られるものではないことに留意されたい。また、同時でもよく、1若しくはそれ以上の動作が異なる順番で実行されてよいし、これに限られるものでものないが同時に実行されてもよい。さらに、1若しくはそれ以上の動作が省略されてもよく及び/又は1若しくはそれ以上の他の動作が追加されてもよい。
【0055】
502において、プローブ102はコンソール104に電気的に接続される。ここで記述されるように、これは、プローブ102とコンソール104とを、それぞれ通信ポート112及び126と通信チャネル128とを用いて連結することを含むものである。
【0056】
504において、スキャニングモードが選択される。ここで記述されるように、これは、ユーザインタフェース124から信号を受け取るコントローラ118により実行可能であり、当該信号はユーザにより選択された対象モードを示すものである。当該スキャニングモードは180°以上の角度領域に及ぶ3Dデータの取得に用いられる。また180°以下の角度領域のモードが択一的に選択されてもよい。
【0057】
506において、スキャン開始位置が特定され、それに従ってトランスデューサアレイ222の位置が決定される。ここで記述されるように、当該開始位置は既定の開始位置又はユーザが選択した開始位置であってよい。後者の場合、当該ユーザは、ユーザインタフェース124の制御を実行することができ、対象のスキャン開始位置を特定できる。ユーザが選択したスキャン開始位置の例としては、以下の図6,7に関連したものが挙げられる。
【0058】
ユーザインタフェース124は、所定の角度単位で両方向(回転の制限範囲内)に当該トランスデューサアレイを回転する1若しくはそれ以上の制御を有していてもよく、例えば1から2°又は他の角度単位で制御される。他の実施形態において、トランスデューサアレイは、制御が作動している間、連続的に動作するように構成される。
【0059】
508において、プローブ102は腔に挿入されて撮像処理が行われる。例えば、プローブ102が経直腸プローブである場合、当該プローブ102はスキャンされる患者の直腸に挿入され、プローブ102が経膣プローブである場合、当該プローブ102はスキャンされる患者の膣に挿入される等が行われる。
【0060】
510において、トランスデューサアレイはスキャンの角度範囲で回転されて超音波データが取得される。データ取得が180°以上の角度領域に及ぶ場合、このことはトランスデューサアレイを180°以上回転することを意味する。
【0061】
512において、取得されたデータが処理され、患者の内部構造の1若しくはそれ以上の画像が生成される。
【0062】
図6,7はシャフト214の断面図を示しており、ユーザがスキャン開始位置を決定する限定されない例に関するものである。
【0063】
まず図6に関して、本実施例では、シャフト214のホーム回転位置602でトランスデューサアレイ222が整列され、この例では上に向けられるようになる。既定のスキャンの開始回転位置604はホーム回転位置602から180°に位置付けられ、この例では下に向けられており、また360°スキャンに対するスキャンの終了回転位置606でもある。
【0064】
図示された本実施形態において、シャフト214は反時計回りに回転し、ホーム回転位置602から既定のスキャンの開始回転位置604までトランスデューサアレイ222を動かす。360°スキャンの間、シャフト214は、既定のスキャンの開始回転位置604からスキャンの終了回転位置606までトランスデューサアレイ222を360°回転する。
【0065】
他の実施形態において、ホーム回転位置602及び/又は既定のスキャンの開始回転位置604及び終了回転位置606を他の位置にすることができる。また、シャフト214は時計回りに回転し、ホーム回転位置602から既定のスキャンの開始回転位置604までトランスデューサアレイ222を動かしてもよい。
【0066】
図7の状態では、分析対象702がシャフト214に関連して位置付けられ、360°スキャンに対する既定のスキャンの開始回転位置604及び終了回転位置606が分析対象702の範囲に入り、分析対象702の画像のアーチファクトを発生させるかもしれない。
【0067】
本実施例において、ユーザは既定のスキャンの開始回転位置604から他のスキャンの開始回転位置704にスキャンの開始回転位置を変え、また360°スキャンに対する終了回転位置606を他のスキャンの終了回転位置706に変える。この位置では、360°スキャンに対するスキャンの開始回転位置704もスキャンの終了回転位置706も分析対象706の範囲内にはなく、分析対象702の範囲内にある開始回転位置及び終了回転位置に起因する、分析対象702の画像のアーチファクトを軽減する。
【0068】
図示された例において、他のスキャンの開始回転位置704が既定のスキャンの開始回転位置604から時計回りに90°回転(+90)して動かされる。他の実施形態において、他のスキャンの開始回転位置704が、既定のスキャンの開始回転位置604から反時計回りに90°回転(―90)して動かされる。さらに他の実施形態において、既定のスキャンの開始位置604からの回転移動の大きさは、90°以上又は90°未満であってもよい。
【0069】
本出願がいくつかの実施形態に言及して記述された。本出願を読解すれば修正及び変更が他にも生じることが理解される。添付の請求項及びそれと同等の範囲内のものを含む場合、そのような全ての修正及び変更を含むものとして発明が解釈される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7