(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766850
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
H05B6/12 317
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-115795(P2014-115795)
(22)【出願日】2014年6月4日
(62)【分割の表示】特願2013-170378(P2013-170378)の分割
【原出願日】2010年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-187042(P2014-187042A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 晃一
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−170658(JP,A)
【文献】
実開昭60−185342(JP,U)
【文献】
実開昭57−117652(JP,U)
【文献】
特開2000−124645(JP,A)
【文献】
実開平04−044191(JP,U)
【文献】
実開平05−018038(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3057674(JP,U)
【文献】
特開平11−177003(JP,A)
【文献】
特開2010−040188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の上面に設けられ被加熱物が載置される天板と、
前記天板の下側に形成される風路とを有し、
前記風路内には、冷却ファンと、出力制御基板とが配置され、
前記出力制御基板には、ヒートシンクを有する複数の電子部品が搭載され、前記複数の電子部品が互いのヒートシンクが隙間を介して対向配置されている誘導加熱調理器において、
前記ヒートシンクと前記出力制御基板の間に、絶縁性を有するヒートシンク保持部材を備え、
前記ヒートシンク保持部材は、
前記ヒートシンクと前記出力制御基板を固定可能な台座部と、
前記台座部に立設されて前記ヒートシンク間の隙間を埋める仕切壁部と、
を備えることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記ヒートシンク保持部材の前記台座部には係止部が設けられ、該係止部は、前記ヒートシンクと前記出力制御基板を、それぞれ前記台座部側に押し付けることにより、これらとワンタッチで係合可能な弾性爪で構成されていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記風路内には、誘導加熱コイルが配置されており、
前記風路は、
吸気口から前記冷却ファンに至る第1風路と、
前記冷却ファン直後で二股に分岐された分岐路の一方であって、前記冷却ファンにて送風される空気の一部を直接、前記誘導加熱コイルに向かわせる第2風路と、
前記冷却ファン直後で二股に分岐された分岐路の他方であって、内部に前記出力制御基板が配置され、前記冷却ファンにて送風される残りの空気が前記ヒートシンク部分を通過するように形成された第3風路と、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立性を向上させることができ、かつ使用時には誘導加熱コイル、及びヒートシンク付き電子部品を効率よく冷却することのできる誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、誘導加熱調理器の本体内部に外気(室内空気)を取り込んで冷却する風路構造、例えば本体内部に冷却ファンにより取り込んだ空気を、まず出力制御基板に導いて、出力制御基板に搭載された電子部品のヒートシンクを冷却した後、出力制御基板の上方に配置された誘導加熱コイルに導いて、誘導加熱コイルを冷却し、本体外部に排気する風路構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなものにおいて、出力制御基板には、一般にヒートシンクを有する電子部品が複数搭載され、互いのヒートシンクが風の流れ方向に直交する方向に絶縁のための隙間を介して対向配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−173140号公報(
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒートシンクを有する複数の電子部品を、互いのヒートシンクが風の流れ方向に直交する方向に絶縁のための隙間を介して対向配置されるように、出力制御基板に搭載したものにあっては、制作時にヒートシンクに固定されている素子を半田槽にてフローする際に、隣接するヒートシンク相互が対向する側に倒れ込むのを抑制できず、出力制御基板実装時の素子のリード抜けやヒートシンク相互の接触の可能性があった。
【0006】
また、風路への出力制御基板取付時に、ヒートシンク部分を持って作業を行うと、この作業時の握力によってヒートシンク相互が対向する側に倒れ込み、接触する場合があり、出力制御基板の品質や組立作業性の点で難点があった。
【0007】
また、一般に出力制御基板とヒートシンクとはねじにて固定される。そのためのねじ穴は、強度やねじ形成部の肉厚確保の観点からヒートシンク側に形成されており、ねじは出力制御基板の裏面側より取り付けられるようになっている。そのため、出力制御基板を裏返し、治具を用いてねじ取付部の位置合わせを行う作業が発生し、組立工程の簡略化が図れないという難点があった。
【0008】
また、使用に際しては、出力制御基板に搭載された電子部品のヒートシンクを冷却した後の空気を誘導加熱コイルに導いてこれを冷却するようにしていたため、電子部品のヒートシンクから熱を奪い温度が上がった空気により誘導加熱コイルを冷却することとなって、誘導加熱コイルの冷却を十分に行えないという難点があった。
【0009】
本発明の技術的課題は、組立性を向上させることができ、かつ使用時には誘導加熱コイル、及びヒートシンク付き電子部品を効率よく冷却することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る誘導加熱調理器は、本体と、本体の上面に設けられ被加熱物が載置される天板と、天板の下側に形成される風路とを有し、風路内には、冷却ファンと、出力制御基板とが配置され、出力制御基板には、ヒートシンクを有する複数の電子部品が搭載され、複数の電子部品が互いのヒートシンクが隙間を介して対向配置されている誘導加熱調理器において、ヒートシンクと出力制御基板の間に、絶縁性を有するヒートシンク保持部材を備え、ヒートシンク保持部材は、ヒートシンクと出力制御基板を固定可能な台座部と、台座部に立設されてヒートシンク間の隙間を埋める仕切壁部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の誘導加熱調理器においては、ヒートシンクと出力制御基板の間に、絶縁性を有するヒートシンク保持部材を備え、ヒートシンク保持部材は、ヒートシンクと出力制御基板を固定可能な台座部と、台座部に立設されてヒートシンク間の隙間を埋める仕切壁部と、を備える構成としたので、ヒートシンクに固定されている素子を半田槽にてフローする際に、隣接するヒートシンク相互が対向する側に倒れ込むのを仕切壁部によって抑制でき、出力制御基板実装時の素子のリード抜けやヒートシンク相互の接触を防止することができる。更に、出力制御基板取付時にヒートシンク部分を持っても、この作業時の握力によってヒートシンク相互が対向する側に倒れ込むのを仕切壁部によって抑制でき、出力制御基板への負荷を低減することができて、出力制御基板品質の確保および作業性の向上が図れる。
また、出力制御基板とヒートシンクをねじにて固定する際、出力制御基板を裏返す作業が発生するが、ヒートシンク保持部材には、ヒートシンクと出力制御基板を固定可能な台座部を設けているので、ヒートシンク保持部材によってヒートシンクと出力制御基板とを共に保持することができて、治具を用いることなくねじ締め作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の風路内に配置される出力制御基板と電子部品およびそのヒートシンクとヒートシンク保持部材との関係を風の流れ方向より示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の風路内に配置されるヒートシンク保持部材を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の風路内に配置されるヒートシンク保持部材と出力制御基板との関係を風の流れ方向に直交する方向より示す側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の外観を上方より示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の内部風路の構成を側方より示す縦断面図である。
【
図6】
図5の風路部分の風の流れを示す縦断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の風路構成を上方より透過的に示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の風路構成を上方より示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示実施の形態により本発明を説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の風路内に配置される出力制御基板と電子部品およびそのヒートシンクとヒートシンク保持部材との関係を風の流れ方向より示す正面図、
図2はそのヒートシンク保持部材を示す斜視図、
図3はそのヒートシンク保持部材と出力制御基板との関係を風の流れ方向に直交する方向より示す側面図、
図4は本実施の形態に係る誘導加熱調理器の外観を上方より示す斜視図、
図5はその内部風路の構成を側方より示す縦断面図、
図6は
図5の風路部分の風の流れを示す縦断面図、
図7は
図5のA−A線矢視断面図、
図8はその風路構成を上方より透過的に示す斜視図、
図9は
図8のC−C線矢視断面図、
図10は
図5のB−B線矢視断面図、
図11はその風路構成を上方より示す斜視図である。
【0014】
本実施の形態の誘導加熱調理器は、
図4のように本体1の上面に被加熱物を載置する天板2が設けられている。天板2は、その後縁側に、吸気口1aと排気口1bが設けられている。また、
図1、
図4及び
図5のように本体1の天板2の下側で吸気口1aから排気口1bに至る風路内に、冷却ファン3と、ヒートシンク4を有する電子部品26が搭載された出力制御基板5と、誘導加熱コイル6a,6bが配置されている。また、本体1上の奥側中央、つまり
図8のように本体1上の風の通り道から外れた位置に、ラジエントヒーター6cが配置されている。
【0015】
本体1は、内部空間が、誘導加熱コイル6a,6b下方に配置された横板7によって上下の室に画成されているとともに、下の室が縦板8により正面から見て左右の室に画成され、右側の室が吸気口1aに、左側の室が排気口1bに、それぞれ連通している。また、本体1の左側の室内には、
図7、
図10及び
図11のようにグリル9の箱体が隙間を有して収容されているとともに、縦板8に、左右の室、特にグリル9の箱体の側壁9aと縦板8との間に形成される隙間11と右側の室とを連通させる開口部8aが形成されている。
【0016】
これを更に詳述すると、冷却ファン3、及びヒートシンク4を有する電子部品26が搭載された出力制御基板5は、風路における縦板8にて仕切られた右の室内側に配置されている。また、ヒートシンク4と出力制御基板5の間に、絶縁性を有するヒートシンク保持部材30が介在設置されている。ヒートシンク保持部材30は、
図1乃至
図3のようにヒートシンク4と出力制御基板5とにそれぞれ係合してこれらを仮固定可能な複数の係止部すなわち弾性爪31,32を有する台座部33と、台座部33に立設されてヒートシンク間の隙間27を埋める仕切壁部34とを備えている。更に、台座部33には、風の流れ方向に配置されるヒートシンク間の間隔を保持するための仕切用突起38と各ヒートシンク4の取付位置を規定するための位置決め用突起35が設けられている。したがって、各ヒートシンク4を台座部上面の所定位置に置いて、台座部33側に押し付けることにより、ワンタッチでヒートシンク4と弾性爪31とを係合させることができる。また、その状態で、弾性爪32を出力制御基板5の取付穴(図示せず)に挿入して貫通させることにより、ワンタッチで出力制御基板5と弾性爪32とを係合させることができ、同時に、出力制御基板5側のねじ37の挿入部(図示せず)とヒートシンク保持部材30の台座部33に形成したバカ穴36とヒートシンク4側の雌ねじ部(図示せず)との位置決めを行うことができる。
【0017】
風路は、吸気口1aから冷却ファン3に至る第1風路21と、冷却ファン3の直後で二股に分岐された分岐路の一方であって、冷却ファン3にて送風される空気の一部を横板7の開口部7aを通して直接、誘導加熱コイル6a,6bに向かわせる第2風路22と、冷却ファン3直後で二股に分岐された分岐路の他方であって、内部に出力制御基板5が配置され、冷却ファン3にて送風される残りの空気がヒートシンク4部分を通過するように、つまりヒートシンク4周りにデッドスペースが無いように形成された第3風路23とを有している。また、第3風路23は、ヒートシンク4よりも下流側で更に二股に分岐されており、この分岐路の一方が、ヒートシンク4部分を通過した空気の一部を、横板7の開口部7aを仕切る連通部12aを通して誘導加熱コイル6a,6bに向かわせる第4風路24として構成されている。また、第3風路23の分岐路の他方は、ヒートシンク4部分を通過した残りの空気を、縦板8の開口部8aを通して隙間11から直接、排気口1bに向かわせる第5風路25として構成されている。
【0018】
第1風路21は、樹脂製の吸気ダクト13によって構成されており、天板2を設置する前の本体開放状態下では他風路から分離可能となっていて、上方から差し込むことで装着できるようになっている。
【0019】
第2風路22と第3風路23は、出力制御基板5を保持する樹脂製の基板ホルダ14と、ヒートシンク4を囲繞し基板ホルダ14に被せるように装着されて縦板8と共に風路を形成する樹脂製の風路形成体12とにより構成されており、その分岐路の分岐点となる部位に、冷却ファン3の固定部12bが設けられている。ここでは、基板ホルダ14、縦板8及び風路形成体12によって、第4風路24と第5風路25も形成しているが、これら風路も吸気ダクト13と同様に第2風路22及び第3風路23から分離可能に構成してもよいものである。なお、第4風路24は、風路形成体12のみで形成されてもよい。
【0020】
また、風路形成体12は、
図5及び
図6のように冷却ファン3にて送風される空気を第2風路22と第3風路23に分流する傾斜配置された仕切板12cを有している。仕切板12cは、冷却ファン3に向かって延びる先端辺12dが、冷却ファン3の中心位置より上方にずらせて配置されており、冷却ファン3に対する導入口が広い側を、ヒートシンク4による風路抵抗の大きい第3風路23の導入口とし、冷却ファン3に対する導入口が狭い側を、風路抵抗の小さい第2風路22の導入口としている。
【0021】
横板7における誘導加熱コイル6bの後方には、
図8及び
図9のように誘導加熱コイル6a,6bを冷却した空気を排気口1bに導くための開口部7bが形成されているとともに、開口部7bに隣接する背面壁部1cにも誘導加熱コイル6a,6bを冷却した空気を排気口1bに導くスリット1dが形成されている。そして、開口部7b及びスリット1dを含む全ての風路(第1乃至第5風路21〜25)は排気口1bに繋がっており、排気口1bは共通である。同様に、吸気口1aも共通である。グリル9は吸気口が別系統となっているが、排気は
図10に示すグリルダクト9bを介して排気口1bに接続されている。なお、天板2の前縁部には、
図4のように誘導加熱コイル6a,6bやラジエントヒーター6cの操作部15が設けられている。
【0022】
次に、本実施の形態の誘導加熱調理器の動作について説明する。
まず、使用者が被加熱物(図示せず)を天板2の誘導加熱コイル6a又は6b上に載置し、操作部15を操作し、誘導加熱を設定して調理開始すると、出力制御基板5は対応する誘導加熱コイル6a又は6bに制御信号を出力する。この制御信号により、誘導加熱コイル6a又は6bは内部に高周波電流が流れて磁束を発生し、この磁束により被加熱物に渦電流が流れ、被加熱物そのものが発熱して加熱される。
【0023】
調理が開始されると、同時に、出力制御基板5は冷却ファン3にも制御信号を出力し、この制御信号により、冷却ファン3は駆動され、
図6のように吸気口1aから第1風路21を通して外気を吸い込み、送風を開始する。
【0024】
冷却ファン3による送風は、冷却ファン3の直後で二股に分岐された風路、すなわち第2風路22と第3風路23に流れ、そのうち第2風路22に流れた空気は、
図6、
図8及び
図9のように横板7の開口部7aを通して直接、誘導加熱コイル6a,6bに向かい、誘導加熱コイル6a,6bを冷却し、その後、横板7の開口部7b及び背面壁部1cのスリット1dを通して排気口1bに導かれ、外部に排出される。
【0025】
また、第3風路23に流れた空気は、
図6乃至
図11のようにヒートシンク4部分に直接送られ、ヒートシンク4部分を通過することで、これを冷却し、これにより対応する電子部品26を冷却する。
【0026】
また、ヒートシンク4部分を通過した空気は、ヒートシンク4よりも下流側で更に二股に分岐された風路、すなわち第4風路24と第5風路25に流れ、そのうち第4風路24に流れた空気は、
図6乃至
図9のように連通部12aを通して誘導加熱コイル6a,6bに向かい、誘導加熱コイル6a,6bを冷却し、その後、横板7の開口部7b及び背面壁部1cのスリット1dを通して排気口1bに導かれ、外部に排出される。
【0027】
また、第5風路25に流れた空気は、
図6、
図7、
図10及び
図11のように縦板8の開口部8aを通して隙間11から直接、排気口1bに導かれ、外部に排出される。
【0028】
調理中は前述のように冷却動作が行われ、調理が終了すると、出力制御基板5は制御信号の出力を停止し、誘導加熱コイル6a又は6b、及び冷却ファン3の運転を停止させる。
【0029】
このように、本実施の形態の誘導加熱調理器においては、ヒートシンク4と出力制御基板5の間に、絶縁性を有するヒートシンク保持部材30を介在設置している。そして、ヒートシンク保持部材30は、ヒートシンク4と出力制御基板5とにそれぞれ係合してこれらを仮固定可能な複数の係止部すなわち弾性爪31,32を有する台座部33と、台座部33に立設されてヒートシンク間の隙間27を埋める仕切壁部34と、を備える構成としたので、ヒートシンク4に固定されている素子を半田槽にてフローする際に、隣接するヒートシンク相互が対向する側に倒れ込むのを仕切壁部34によって抑制でき、出力制御基板実装時の素子のリード抜けやヒートシンク相互の接触を防止することができる。
【0030】
更に、出力制御基板5を風路内へ取り付ける際に、ヒートシンク部分を持っても、この作業時の握力によってヒートシンク相互が対向する側に倒れ込むのを仕切壁部34によって抑制でき、出力制御基板5への負荷を低減することができて、出力制御基板品質の確保および作業性の向上が図れる。
【0031】
また、ヒートシンク保持部材30の台座部33に設けた弾性爪31,32によってヒートシンク4と出力制御基板5を台座部33側に仮固定でき、治具を用いることなくこれらを一体化できるので、出力制御基板5を裏返して、出力制御基板5とヒートシンク4をねじ37にて固定(本締め)する作業が極めて容易となる。
【0032】
また、冷却ファン3により外部から第1風路21内に取り込んだ空気を、冷却ファン直後より分岐する第2風路22と第3風路23に流し、第2風路22に流した空気は誘導加熱コイル6a,6b側に、第3風路23に流した空気は出力制御基板5に搭載された電子部品26のヒートシンク4部分に、それぞれ直接送り、誘導加熱コイル6a,6bと電子部品26のヒートシンク4部分を冷却するようにしているので、使用時に常に高温となる誘導加熱コイル6a,6b、ヒートシンク4及び電子部品26を、効率よく冷却することができる。
【0033】
また、第3風路23を、ヒートシンク4よりも下流側で更に二股に分岐し、この分岐路の一方を、ヒートシンク4部分を通過した空気の一部を誘導加熱コイル6a,6bに向かわせる第4風路24とするとともに、ヒートシンク4よりも下流側で二股に分岐された分岐路の他方を、ヒートシンク4部分を通過した残りの空気を直接、排気口1bに向かわせる第5風路25としたので、ヒートシンク4下流側の圧力損失を低減することができる。このため、第3風路23のヒートシンク4による風路抵抗を軽減することができ、ヒートシンク4及び電子部品26の冷却の更なる効率化が図れる。
【0034】
また、第2風路22と第3風路23を、樹脂材料で一体に構成し、その分岐点に冷却ファン3の固定部12bを設けているので、部品点数が削減され、かつ組み立ても容易となる。
【0035】
また、冷却ファン3にて送風される空気を、第2風路22と第3風路23に分流する仕切板12cを設け、この仕切板12cは、冷却ファン3の中心位置よりずらせて配置し、冷却ファン3に対する導入口が広い側をヒートシンク4による風路抵抗の大きい第3風路23の導入口とし、冷却ファン3に対する導入口が狭い側を風路抵抗の小さい第2風路22の導入口としているので、風路抵抗の小さい第2風路22と、ヒートシンク4がある風路抵抗の大きい第3風路23の圧力損失のバランスを調整することができ、ヒートシンク4の冷却に必要な風量の確保が容易となる。
【0036】
また、排気口1bが共通であるため、排気口1bが1つになり、排気口部を複数設ける必要がなくなって、風路構成が簡略化される。
【符号の説明】
【0037】
1 本体、1a 吸気口、1b 排気口、1c 背面壁部、1d スリット、2 天板、3 冷却ファン、4 ヒートシンク、5 出力制御基板、6a,6b 誘導加熱コイル、6c ラジエントヒーター、7 横板、7a,7b 開口部、8 縦板、8a 開口部、9 グリル、9a 側壁、9b グリルダクト、11 隙間、12 風路形成体、12a 連通部、12b 固定部、12c 仕切板、12d 先端辺、13 吸気ダクト、14 基板ホルダ、15 操作部、21 第1風路、22 第2風路、23 第3風路、24 第4風路、25 第5風路、26 電子部品、27 ヒートシンク間の隙間、30 ヒートシンク保持部材、31,32 弾性爪(係止部)、33 台座部、34 仕切壁部、35 位置決め用突起、36 バカ穴、37 ねじ、38 仕切用突起。