(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
これら従来公知のデバイスの問題を少なくとも部分的に解決するために、本発明はピストンポンプが往復する構成を有するピストンポンプディスペンサを提供する。該ピストンポンプディスペンサは、吐出行程において流出口から流体を吐出し、吸入行程において流体をリザーバから引き出し、さらに、上記流出口から流体を引き戻す(draw back)ものである。
【0007】
本発明は特に、管状部材の開口端を形成する流出口から流体が吐出される流体ディスペンサに適用できる。多くの場合、該管状部材の流出口は下方に開口しており、管状部材を通過する流体は重力によって下方に引っ張られる。
【0008】
本発明は、流体を吐出した後に、流出口が流体を該流出口を通して引き戻すことにより、滴り及び/又は糸曳きを低減する流体ディスペンサを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、簡易化した流体吐出用ピストンポンプであって、吐出後に、流体が吐出されたノズルの流出口から流体を引き戻すピストンポンプを提供することを目的とする。
【0010】
従って、一態様において、本発明は、リザーバから液体を吐出するためのポンプであって、
軸を中心として配置されたチャンバを有するピストンチャンバ形成部材、ここで上記チャンバは所定の直径、チャンバ壁、内端及び外端を有し、上記チャンバの内端は上記リザーバと流体連通している、と、
上記チャンバの内端を通って、上記リザーバから上記チャンバへと向かう方向のみに流体を流通させる、上記リザーバと上記チャンバとの間に設けられた一方向バルブ機構と、
上記ピストンチャンバ形成部材内に収容された、上記ピストンチャンバ形成部材内で軸方向内側及び外側に摺動可能なピストン形成要素、ここで上記ピストン形成要素は軸方向に延在する中空ステムを有し、該中空ステムは内端において閉じている中央通路と外端に近接した流出口とを有している、と、
上記ステムから半径方向外側に向かって上記ステムを中心とした円周状に延在する、上記ステムに接した内側ディスクと、
上記内側ディスクから軸方向外側に離間しており、かつ、上記ステムから半径方向外側に向かって上記ステムを中心とした円周状に延在する、上記ステムに接した外側ディスクと、
上記内側ディスクと上記外側ディスクとの間であって、かつ上記ステム上に設けられ、上記通路と連通している流入口と
を備え、
上記ピストン形成要素は、上記ピストンチャンバ形成部材内に、伸張位置と収縮位置との間で動く行程において、上記ピストンチャンバ形成部材内で軸方向内側及び外側に往復運動するよう摺動可能に収容されており、
上記チャンバはチャンバ軸方向内側部及びチャンバ軸方向外側部を有し、ここで、上記内側部は上記チャンバ外側部へと外側方向に開口しており、
上記伸張位置と上記収縮位置との間で動く際、上記外側ディスクは上記チャンバ外側部内に保持され、
上記伸張位置と上記収縮位置との間で動く際、上記内側ディスクは、上記行程の最も内側の部分においては上記チャンバ内側部内に入り、上記行程の最も外側の部分においては上記チャンバ外側部内に入り、
上記チャンバ外側部において、上記チャンバ壁は円筒状であり、
上記外側ディスクが上記チャンバ外側部内にある場合、上記外側ディスクは上記チャンバ壁に係合することで、流体が上記チャンバ外側部内において外側方向に上記外側ディスクを通過して流通するのを実質的に防ぎ、
上記内側ディスクが上記チャンバ外側部内にある場合、上記内側ディスクは上記チャンバ壁に係合することで、流体が上記チャンバ外側部内において内側方向に上記内側ディスクを通過して流通するのを実質的に防ぐ一方、この可撓性の内側ディスクは上記チャンバ外側部のチャンバ壁から離れるよう弾性的に変形することで、流体を上記チャンバ外側部内において外側方向に上記内側ディスクを通過させて流通させ、
上記内側ディスクが上記チャンバ内側部内にある場合、上記内側ディスクの少なくとも一部と上記チャンバ壁とが半径方向に離間していることで、流体を上記チャンバ内側部内において内側方向及び外側方向の両方向に上記内側ディスクを通過させて流通させる、
ポンプを提供する。
【0011】
添付の図面とともに以下の記載を参照することにより、本発明のさらなる態様及び有利な点が明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、
図1を参照する。
図1は、その全体を170と表示する液状ソープディスペンサを表す。該液状ソープディスペンサはポンプアセンブリ10を利用したものであり、該ポンプアセンブリ10は、折りたためる密閉容器すなわちリザーバ60のネック58と連結しており、該リザーバ60は吐出される液状ハンドソープ68を含む。ディスペンサ170は、その全体を178と表示するハウジングを備え、ポンプアセンブリ10及びリザーバ60を収容し、支持する。ハウジング178は、例えば建物の壁181に取り付けるための背板180とともに示されている。底面支持板184が背板から前方に向かって延在しており、リザーバ60及びポンプアセンブリ10を支持し、収容する。ポンプアセンブリ10は、摺動可能なピストン14を含む、といったように、
図1に概略的に示されているにすぎない。図示するように、底面支持板184には円形開口部186が貫通している。リザーバ60は支持板184の肩部179上に置かれ支持されており、リザーバ60のネック58は開口部186を通って延在しており、摩擦嵌合やクランプ等で開口部内に固定されている。カバー部材185は、リザーバ60及びそのポンプアセンブリ10を交換することができるように、背板180の上部前方拡張部187に丁番付けにされている。
【0014】
支持板184はその前方部分に作動レバー188を備えており、該作動レバー188は190の水平軸のまわりを回転できるようにジャーナル軸受けされている。レバー188の上端にフック194が備えられており、該フック194がピストンポンプ10のピストン14上に備えられた係合ディスク77と係合して、レバー188がピストン14と連結し、レバー188のハンドル下端196が破線位置から実線位置へと矢印198で示す方向に動くと、矢印100で示すようにピストン14が内側方向に摺動し、収縮行程すなわちポンピング排出行程が行われる。ハンドル下端196を解放すると、バネ102がレバー188の上部を下方に付勢して、レバーはピストン14を外側方向に、
図1中に破線で示すような完全に引き出された位置へと引き出す。レバー188及びその内側フック194は、リザーバ60及びポンプアセンブリ10を取り外して交換しなければならない場合に、フック194を手動で連結及び連結解除できるように適合されたものになっている。機械式の機構や電動式の機構など、ピストン14を動かす他の機構を採用することもできる。
【0015】
ディスペンサ170の使用において、使い切ってしまった際には、空っぽになりしぼんだリザーバ60をそれに取り付けられたポンプアセンブリ10とともに取り外すのが好ましく、新しいリザーバ60とそれに取り付けられたポンプアセンブリ10をハウジング内に挿入することもできる。
【0016】
まず、
図2、3及び4を参照する。
図2、3及び4は、本発明の第1の実施形態におけるポンプアセンブリ10を概略的に示しており、
図1に示すポンプアセンブリ10として使用することができるようにほぼ適合されたものになっている。
【0017】
ポンプアセンブリ10は、ピストンチャンバ形成本体12、ピストン形成要素すなわちピストン14、及び、一方向流入バルブ16という3つの基本要素を備えている。本体12は、内部ねじ筋15を有する外部環状フランジ13を備えており、該内部ねじ筋15は、
図3のみに破線で示すボトル60(流体リザーバを形成する)のネック58のねじ筋に係合できるように適合されたものになっている。
【0018】
本体12は中央内管17を備え、これにより、チャンバ内側部19及びチャンバ外側部20を有する円筒チャンバ18が設けられている。チャンバ内側部19はチャンバ壁21、内端22及び外端を有する。内部チャンバ壁21は円筒状であるが、軸方向かつ半径方向内側に延在するリブ部材30を3つ備えており、該リブ部材30は壁21の一部として設けられ、内部チャンバ壁21の円筒状壁部分31から内側に延在している。リブ部材30はそれぞれ、チャンバ内側部19の内端22に近接した内端32から外端33へと軸方向に延在しており、チャンバ内側部19の外端の位置を画定している。
【0019】
チャンバ外側部20は円筒状チャンバ壁24、内端及び外端26を有する。チャンバ外側部及び内側部は互いに軸方向に隣接しており、チャンバ内側部19の外端はチャンバ外側部20の内端へと開口している。チャンバ内側部及び外側部は、同じ中央軸23のまわりに配置されているという意味で同軸上である。チャンバ外側部20の円筒状側壁24は、チャンバ内側部19のチャンバ壁21の円筒状壁部分31の直径と実質的に同じ直径である。
【0020】
チャンバ18への流入口34は、流入管35の流出口として、チャンバ内側部19の内端22中に設けられており、該流入管35は、チャンバ内側部19の内端22から、ボトル60に連通している内端36へと内側方向に延在している。フランジ37は、流入管35と交差するように延在しており、該フランジ37には中央開口38及び複数の流入開口39が貫通している。一方向バルブ16は、流入開口39と交差するように配置されている。流入開口39により、ボトル60内の流体がフランジ37を通って流通できる。一方向バルブ16により、流体はボトル60からチャンバ内側部19へと流入できるが、流体がチャンバ内側部19からボトル60へと流通するのは妨げられる。
【0021】
一方向バルブ16は、肩付きのボタン40で構成されており、該ボタン40はフランジ37中の中央開口38内にスナップ嵌め式で固定されており、円形弾性可撓性ディスク41がボタン40から半径方向に延在している。可撓性ディスク41は、流入管35の円筒状壁42に円周状に接する大きさとなるよう作られており、流体が該ディスク41を通過してチャンバ内側部19からボトル60へと流通するのを実質的に防ぐ。可撓性ディスク41は、壁42から離れるように屈曲できるため、流体をボトル60から流入管35を通ってチャンバ内側部19へと流入させることができる。
【0022】
ピストン14は、チャンバ18内で内側及び外側方向に往復摺動移動できるように、チャンバ18内に軸方向に摺動可能に収容されている。ピストン14の断面は概円形である。ピストン14は、中央長手軸23に沿ってピストンを貫き延在する中空ステム70を備える。
【0023】
円形弾性可撓性内側ディスク71は、ピストンの内端72に位置しており、そこから半径方向に延在している。内側ディスク71がチャンバ外側部20内にある場合、内側ディスク71はステム70上で半径方向外側に延在しており、チャンバ外側部20のチャンバ壁24に円周状に係合する。内側ディスク71は、内側ディスク71がチャンバ外側部20内にある場合にチャンバ外側部20のチャンバ壁24に円周状に接する大きさとなるよう作られており、流体がディスク71とチャンバ壁24の間を内側方向に流通するのを実質的に防ぐ。内側ディスク71は、半径方向外側に付勢されているが、半径方向内側に屈曲して、流体が外側方向に内側ディスク71を通過して流通できるように適合されたものとなっている。
【0024】
内側ディスク71がチャンバ内側部20内にある場合、内側ディスク71と3つのリブ部材30とを係合させることで、
図6からよく分かる通り、内側ディスク71の端部を半径方向内側に屈曲させ、流体を内側及び外側方向に内側ディスク71を通過させて流通させることができる。
図6は、
図5中の区分線6−6’に沿った断面図を示しており、内側ディスク71がリブ部材30により内側方向に屈曲することにより、内側ディスク71がリブ部材30の半径方向内端111に係合し、各リブ部材30の円周状側面112それぞれと隣接することとなる。ここで、封止ディスク71は壁21には係合しておらず、軸方向に延在する通路113が、リブ部材30の側面112と内側ディスク71とチャンバ内側部19の壁21の円周状部分31との間に形成されている。
【0025】
外側円形外側ディスク73は、可撓性ディスク71から軸方向外側に離間してステム70上に位置している。外側ディスク73がチャンバ外側部20内にある場合、外側ディスク73はステム70上で半径方向外側に延在しており、チャンバ外側部20のチャンバ壁24に円周状に係合する。外側ディスク73は、外側ディスク73がチャンバ外側部20内にある場合にチャンバ外側部20のチャンバ壁24に円周状に接する大きさとなるよう作られており、流体がディスク73とチャンバ壁24の間を外側方向に流通するのを実質的に妨ぐ。外側ディスク73は、半径方向外側に付勢されているが、所望によっては、半径方向内側に屈曲して、流体が内側方向に外側ディスク73を通過して流通できるように適合されていてもよい。外側ディスク73がチャンバ外側部20のチャンバ壁24に係合することによって、内側及び外側方向の両方向にディスク73を通過して流通するのを防ぐことが好ましい。
【0026】
ピストンステム70は中空の中央流出通路74を備えており、該通路74はピストンの軸に沿って、内側ディスク71と外側ディスク73との間のステム中に位置している閉口内端75から、ピストンの外端80に位置する流出口76へと延在している。チャネル81は、内側ディスク71と外側ディスク73との間のステムの側面上に位置している流入口78から半径方向内側にステムを貫通して延在し、中央通路74へと連通している。チャネル81及び中央通路74によって、ピストン14を通り外側ディスク73を通過して流入口78と流出口76との間で流体連通することができる。
【0027】
外側円形係合フランジ77は、外側ディスク73から外側にステムの最外端部上に設けられており、チャンバ外側部20の外端26から半径方向外側に延在している。フランジ77は、ピストン14を本体12内及び外に移動させるために、
図1中のレバー188等の作動デバイスと係合させてもよい。ピストン14をチャンバ18内及び外に摺動する際にピストン14を軸を中心にして配列した構成に維持しやすいように、軸方向に延在するウェブ又はリブ79や半径方向に延在する円形フランジ179をステム70から半径方向に延在するように設けてもよい。
【0028】
ピストン14は、本体12のチャンバ18内に摺動可能に収容されており、
図3に示す完全伸張位置と
図5に示す完全収縮位置との間で動く行程において、チャンバ18内で軸方向内側及び外側に往復運動できる。
図3の伸張位置と
図5の収縮位置との間で動く場合、外側ディスク73は常にチャンバ外側部20内に保持される。
【0029】
ピストン14が伸張位置と収縮位置との間で移動する場合、ピストンは
図4に示す中間位置を取り、そこでは、内側ディスク71が、チャンバ外側部20内においてチャンバ外側部20の内端に配置されているが、内側ディスク71がさらに内側に移動すると、内側ディスク71はチャンバ内側部19内に入り、リブ部材30により内側方向に屈曲することとなる。一行程の最も内側の部分は、ピストン14が
図4の中間位置と
図5の収縮位置との間で移動するというものである。同様に、一行程の最も外側の部分は、
図4の中間位置と
図3の伸張位置との間で移動するというものである。ここで、操作サイクルを説明する。操作サイクルでは、ピストン14が、流体排出行程において
図3の伸張位置から
図5の収縮位置へと移動して、その後、流体吸入行程において
図5の収縮位置から
図3の伸張位置へと移動する。吸入行程と排出行程の両行程により操作サイクルが完結する。
【0030】
図3の伸張位置から
図4の中間位置へと動く場合、すなわち、排出行程の最も外側の部分においては、ピストン14が内側方向に移動するにつれ、チャンバ18内の流体が内側ディスク71と一方向流入バルブ16との間で圧縮される。一方向流入バルブ16は加圧下では事実上封止され、よって、チャンバ18内が加圧されるにつれて、内側ディスク71が屈曲して、流体を外側方向に内側ディスク71を通過させて、内側ディスク71と外側ディスク73との間に流通させ、故に、流入口78を介して流出通路74へと流通させ、流出口76から流出させることができる。
図4の中間位置から
図5の収縮位置へと内側方向に動く場合、すなわち、排出行程の最も内側の部分においては、内側ディスク71がリブ部材30と係合することで機械的に屈曲して、流体を外側方向に内側ディスク71を通過させて流通させることができる。このように、排出行程において、排出行程全体にわたって、すなわち、排出行程の最も外側の部分と排出行程の最も内側の部分の両方において、内側ディスク71が屈曲して、流体を外側方向に内側ディスク71を通過させて流通させ、故に、流出口76から流出させることができる。
【0031】
吸入行程の最も内側の部分においては、ピストン14が、
図5の収縮位置から外側方向に移動して、
図4の中間位置に近づく。吸入行程の最も内側の部分において、内側ディスク71はチャンバ内側部19内にあり、内側ディスク71とリブ部材30とが係合することで内側ディスク71が半径方向内側に屈曲して、流体を内側方向に内側ディスク71を通過させて流通させることができる。対して、外側ディスク73は、吸入行程において常にチャンバ外側部20内にあり、外側部20のチャンバ壁24と係合することで、流体が内側方向に外側ディスク73を通過して流通するのを防ぐ。結果として、チャンバ18内において、外側ディスク73の内側の外側ディスク73と一方向流入バルブ16との間は真空状態となり、これにより、流体が内側方向に流出口76から通路74及びチャネル81を介してチャンバ18へと引き込まれることとなる。この真空状態によって、空気、液体、泡といった通路74及びチャネル81内のあらゆる流体並びに大気中の空気が流出口76を通って内側方向にチャンバ18に向かって引き込まれることとなる。このチャンバ18内の真空状態は、一方向バルブ16にも作用することとなり、一方向バルブ16の可撓性ディスク41を屈曲させ、流体をリザーバ60からチャンバ18へと引き込もうとする。ポンプ内に存在する流体の性質や、流体及び空気が流出口76、通路74及びチャネル81を通過する際の流れにくさや、一方向バルブ16の可撓性ディスク41の大きさ及び弾性を考慮して、チャンバ18内を真空状態として流体を所望の程度だけ流出口76から引き戻すのが好ましい。好ましい一構成では、可撓性ディスク41は流入管35の壁42へと強く付勢されている。この場合、吸入行程の最も内側の部分において、一方向バルブ16を開口させるほどにはチャンバ18内の真空状態は大きくないことから、流体が一方向バルブを外側方向に通過してチャンバ18へと流入することがない。
【0032】
吸入行程において、ピストン14が
図4の中間位置に到達してしまうと、内側ディスク71は、チャンバ外側部20のチャンバ壁24と封止可能に係合することとなり、その後、吸入行程の最も外側の部分において、すなわち、
図4の中間位置から
図3の伸張位置へと動くと、内側ディスク71の内側のチャンバ18内は真空状態となり、これにより、一方向バルブ16が影響を受けて、一方向バルブ16が開口し、流体をボトル60からチャンバ18へと引き込む。
【0033】
チャンバ内側部19及びチャンバ外側部20の相対的な軸の長さは、吸入行程の最も外側の部分においてチャンバ18へと引き込まれるボトル60からの流体の体積に対する、吸入行程の最も内側の部分において流出口76を介してチャンバ18内に引き戻される流体の相対的体積を選択することで選択できる。好ましい第1の実施形態において、チャンバ内側部19及びチャンバ外側部20の相対的な軸の長さを変えるには、単に、リブ部材30の長さを変える、すなわち、好ましくはチャンバ内側部19の内端22から各リブ部材30の外端33までの距離を変えればよい。
【0034】
図2〜5に示す好ましい実施形態において、使用前の保管時や操作サイクルの前後の待機時などの休止時に、内側ディスク71をチャンバ外側部20内に配置し、従ってチャンバ内側部19内に配置しないことが好ましい。長い間作動させないで内側ディスク71をチャンバ内側部19内に保持すると、内側ディスク71はリブ部材30と係合して常時変形したままになり、内側ディスク71がチャンバ外側部20内へと移動する際に、内側ディスク71とチャンバ外側部20のチャンバ壁24との間が良好に封止されない形態となるおそれがある。従って、
図1に示した通り、
図1中の破線のように、バネ102により付勢した状態でピストン14に伸張位置を取らせるよう作動レバー188を付勢するのが好ましい。
図5のみに示したが、本体12とピストン14との間で軸23のまわりに同軸上に配置されており、かつ、本体12から外側方向にピストン14を付勢しているコイルバネ50によって、ピストン14を完全伸張位置へと付勢できるよう適合されたものとなっていてもよい。
図5に示すように、本体12は外管51を備え、該外管51はその外端に制止フランジ52を有する。環状空洞53は、外管51と内管17との間の仕切られた空間である。ピストン14はガイド管54を備えている。該ガイド管54は内端53で開口しており、また環状フランジ56及び57を備えている。該環状フランジ56及び57は、本体12の外管51の内面58と係合して、本体12内にピストン14を同軸上に位置させやすくする。最外フランジ57は制止フランジとして機能して、本体12の外管51上の制止フランジ52と係合することにより、ピストン14が本体12から外側方向へと完全伸張位置を超えて移動するのを防ぐ。
図5に示すように、コイルバネ50は、環状空洞53内においてピストン14のガイド管54と本体12の内管17との間に配置されている。本体12は、好ましくは射出成形により全てがプラスチックで形成された単一の一体的要素であるのが好ましい。ピストン14は、2つの要素、すなわち、中央要素140とスカート要素142から構成されると表され、これら要素はそれぞれフォーム・プラスチックとして射出成形された後、互いに固定されるのが好ましい。
【0035】
図2〜6の好ましい実施形態においては、
図6からよく分かるように、内管17は軸方向に延在する補強フランジ144を3つ有しており、該補強フランジ144は内管17から半径方向外側に、リブ部材30と一直線上に延在している。しかしながら、これらのフランジ144は必須ではない。
【0036】
図2〜6の好ましい実施形態においては、内側ディスクが内側チャンバ19内にある際、内側ディスク71の少なくとも一部とチャンバ壁21とが半径方向に離間しているため、流体がチャンバ18内において内側方向及び外側方向の両方向に内側ディスクを通過して流通できるが、本発明のポンプを適切に操作する上では、内側ディスクが内側チャンバ内にある際、内側ディスク71の一部とチャンバ壁21とが半径方向に離間して、流体がチャンバ内において内側方向に内側ディスク71を通過して流通できるようにさえなっていればよい。
【0037】
図2〜6に示す好ましい実施形態においては、内側ディスク71がチャンバ内側部19内にある間、内側ディスク71の少なくとも一部とチャンバ壁21とが半径方向に離間しているため、流体が内側ディスク71とチャンバ壁21との間を流通する。他の多くの構成によっても、このように内側ディスク71とチャンバ壁21とを半径方向に離間させることができる。例えば、軸方向かつ半径方向内側に延在するリブ部材30をチャンバ内側部19の壁21の一部として設けるのではなく、軸方向に延在する丸溝ひだ(flutes)又はチャネルをチャンバ壁21に設けてもよく、該丸溝ひだ又はチャネルは、少なくとも壁21の円周状に延在する一部分にわたって壁21の直径を増大させるため、そこでは、内側ディスク71で封止することができない。
【0038】
図7を参照する。
図7には
図6と同様な図を示すが、別の実施形態の図である。該実施形態においては、各リブ部材30の代わりに、軸方向に延在する丸溝ひだ(flute)又はチャネルウェイ114が半径方向外側にチャンバ内側部19の壁21内へと掘り抜かれて設けられており、内側ディスク71がチャンバ内側部19内にある際には流体が内側ディスク71を通過できるような軸方向に延在する流路を形成している。
【0039】
図8は、
図6と同様な別の断面図を示すが、別の実施形態の図である。該実施形態においては、リブ部材は設けられておらず、さらには、チャンバ内側部19は軸23を中心とした円筒形ではなく長円形であり、長円形通路116の主軸の両端において、内側ディスク71の外端115がチャンバ壁21から半径方向に離間しており、内側ディスク71とチャンバ壁21との間で流体の軸方向の流路を形成している。
図8において、チャンバ内側部19は、チャンバ外側部20の内端に一致するその外端において円筒状であってもよく、チャンバ内側部19は、円形断面から
図8に示す長円形断面へと内側方向に延在するといったように徐々に推移していくものであってもよい。もちろん、チャンバ内側部19は、内側方向に、長円形以外の形状へと徐々に又は急激に推移するものであって、上述したような通路116を1つ以上形成していてもよく、好ましくは、推移の際に内側ディスク73が円滑に摺動できるような側壁21の形状や推移となっている。
【0040】
図9は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
図9は、リブ部材30が取り除かれている点と、チャンバ内側部19の直径D1がチャンバ外側部20の直径D2と比べて小さくなるようにチャンバ18に段差が設けられている点を除けば、
図3に示すものと同じである。チャンバ内側部19の直径は十分に大きいものとなっているため、内側ディスク71がピストン内側部19内にある際に内側ディスク71はチャンバ壁21から半径方向に離間し、吸入行程の最も内側の部分においてピストン14が外側方向に移動する場合内側ディスク71とチャンバ内側部19の壁21との間が封止されない。一般的に、一体となった単一のプラスチック体で射出成形により本体12を作製する場合、チャンバ内側部19を外側部20と比べて大きい直径を持つように形成するのは、射出成形では困難である。これとは対照的に、特に、
図2〜6の好ましい実施形態のような半径方向内側に延在するリブ部材30は、射出成形によって容易に成形することができる。
【0041】
図10を参照する。
図10は、ピストン14が伸張位置にある、本発明におけるポンプアセンブリ10の第2の実施形態を示す。
図10の実施形態は、
図2〜6中の一方向バルブ16に代えて、ピストン14上に可撓性ディスク41を設け、さらに、可撓性ディスク41をチャンバ118に収容できるように流入管35を設けている点を除けば、
図2〜6に示すポンプと同じである。流入管35内のチャンバ118の直径がチャンバ18の直径よりも小さいため、段差のある構成となっており、事実上、一方向バルブ機構が形成されている。認識されるように、内側ディスク71がチャンバ外側部20内にある際、ピストン14が外側方向に移動すると流体が可撓性ディスク41を通過して外側方向に引き出され、ピストン14が内側方向に移動すると、チャンバ18とチャンバ118とにおいてディスク41と内側ディスク71との間の体積が減少することが一因となって可撓性ディスク41と内側ディスク71との間が加圧される。
【0042】
図11及び12を参照する。
図11及び12は、本発明のさらに別の実施形態におけるポンプアセンブリ10を示し、以下の二点を除けば、
図2〜6に示す実施形態と同じである。一つは、リブ部材30がチャンバ18から取り除かれている点である。もう一つは、内側ディスク71がピストン14の一体形成されていない最も内側の摺動部又はピストン内側部120上に備えられており、該摺動部120は、
図11に示す収縮状態から
図12に示す伸張状態まで、ピストン14の残部122に対して軸方向に摺動可能である点である。結果として、排出行程において、ピストン14が内側方向に移動すると、ピストン内側部120は収縮状態を取ることなり、吸入行程において、ピストン14が外側方向に移動すると、ピストン内側部120は伸張状態を取ることとなる。排出行程の終了時には、
図11から分かるようにピストン14は完全収縮位置にあり、ピストン内側部120は収縮状態にある。吸入行程の開始時には、ピストン14の残部122が外側方向に動くと、残部122が始めは外側方向に動くのに対して、ピストン内側部120は動かない。結果として、このようにピストン残部122だけが動く初期段階においては、内側ディスク71と外側ディスク73との間の体積が増加し、流体を内側方向に流入口76を介してチャンバ18へと引き込むこととなる。
【0043】
残部122のステム70の最内端は環状制止フランジ124を備えており、該制止フランジ124は、ピストン内側部120のステムの管状部分128上に設けられた環状制止フランジ126と係合できるよう適合されている。吸入行程において、ピストン14の残部122は、ピストン内側部120に対して相対的に外側方向に摺動し、これにより残部122上の制止フランジ124がピストン内側部120上の制止フランジ126と係合することとなる。その後、ピストン14の残部122は、ピストン内側部120を外側方向に引きつれていくため、内側ディスク71と一方向流入バルブ16との間が真空状態となることにより、流体が一方向バルブ16を通過してチャンバ18へと引き込まれる。ピストン内側部120が、伸張状態から収縮状態まで、軸方向に相対的に摺動できる範囲を調節することで、流出口76から流体を引き戻す量を調節することができる。
【0044】
図11及び12は、
図2に示すピストン14の前方部分の別の実施形態も示す。
図2〜5の実施形態において、ピストン14を貫く通路74は、最終流出口76で狭まっておりノズルを形成するという目的を果たしてさえいれば実質的に限定されないものの、このように狭まっていることが必須ではない。
図11及び12に示すピストン14の前方部分は、中空円筒管136によって隔てられた一対の離間したディスク132及び134を有する泡発生器130を備える点を除けば、
図2〜6と同じである。ディスク132及び134はそれぞれ、小さな穴が貫通しており、例えば小さなメッシュ状のスクリーンにより形成されていてもよい。液体と空気を同時に外側方向にディスク132及び134を通過させると、液体と空気中に乱流が生じて、液体及び空気が発泡した泡が流出口76から排出される。本発明では、吸入行程において、空気を大気中から流入口76を介してチャンバ18へと、例えば、好ましくは少なくとも部分的に内側ディスク71と外側ディスク73との間の空間へなど、引き込むように、吸入行程の最も内側の部分で流体をチャンバに引き戻すことができる。その後、排出行程において、液体及び空気を同時に外側方向に泡発生器130を通過させて泡を発生させる。このように、本発明のさらに別の実施形態では、単に液体を排出するのではなく泡を排出できる簡単な構成が提供される。
【0045】
本発明では、吸入行程の最も内側の部分において流入口78を通して引き戻す量を、引き戻しを行う目的が少なくとも一つ達成できるように選択するのがよい。例えば、流出口76から外側に垂れ下がることもある液滴を引き戻す等、少量のみを引き戻すことで、流体を全てノズル流出口76内に引き戻し、表面張力により流出口76内に留めるといった具合に引き戻しを行ってもよい。別の例としては、通路74内の全ての液体を実質的にチャネル81又はその流入口78へと引き戻して、例えば流入口78のまわりに表面張力により留めるなど、チャネルウェイ74及び流入口78からの液体の滴りを低減できるくらいの引き戻しを行ってもよい。別の例としては、空気を流入口76からチャンバ18へと引き込めるほどの引き戻しを行ってもよい。当業者であれば、引き戻しにより達成する目的に応じて、特に粘度、及び、例えば流出口76中や流入口78中などに留め得る相対的な大きさなどといった吐出する流体の性質を考慮しつつ、様々な選択を行うことができる。
【0046】
本発明に係るポンプは、通気孔があるボトルとともに使用してもよいし、通気孔がないボトルとともに使用してもよい。ボトル60内に生じ得るあらゆる真空状態を低減するために様々な通気孔の構成を用いることができる。また、ボトル60は、例えば、難なく折りたたむのに適した袋などとして構成してもよい。
【0047】
本発明に係るポンプは、ボトル60がチャンバ18の上部に配置され、下方に開口する開口端を有するという
図1〜3に示すような構成での使用に適したものとなっていることが好ましい。しかしながら、この構成は必須ではない。
図1の構成を逆にして、ディップチューブを介して流入管35に流体を供してもよいし、ボトル60が折りたためるものであってもよい。
【0048】
本発明は、好ましい実施形態を参照して記載されているが、当業者は、ここから様々な変形例や改良例に想到するであろう。本発明の輪郭は、添付の特許請求の範囲を参照されたい。