(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベース画像とハイライト領域を含むハイライト画像とを生成するために、画像データの画素の輝度と第1閾値とを比較することによって、そして、前記画像データにおいて、輝度が前記第1閾値を超える画素を、前記ハイライト領域に属するとして特定することによって、前記画像データを処理するよう構成される画像プロセッサ;及び
前記ハイライト領域における高い輝度をもたらすために、前記ベース画像と位置合わせされる前記ハイライト画像にしたがって光を投影するよう動作可能なハイライトプロジェクタ:
を含み、
前記ハイライトプロジェクタは、
光のビームを生成する光源と、
メインプロジェクタ内の空間光変調器に前記ビームを誘導するよう配置されるビーム誘導装置と、
前記空間光変調器をスクリーンに画像化するよう配置される投影レンズと、
を含む、ハイライトプロジェクタシステム。
前記ハイライトプロジェクタは、空間光変調器を照らすように配置される空間的に変調される光の光源を含み、前記空間的に変調される光の光源は、2次元ホログラフィック光源を含む、
請求項1に記載のハイライトプロジェクタシステム。
画像データにしたがって変化する強度で前記光源が前記空間光変調器を照らすように前記画像データにしたがって前記位相変調器を制御するよう構成されるコントローラを含む、
請求項8に記載のハイライトプロジェクタシステム。
前記光源から前記空間光変調器の画素に入射する光の強度を推定し、且つ、その推定された光の強度と前記画像データの比較に基づいて前記空間光変調器のための制御値を生成するよう構成されるコントローラを含む、
請求項8に記載のハイライトプロジェクタシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の投影技術は、高輝度まで効率的に増大させることはない。例えば、多くの一般的なプロジェクタ設計では、キセノンランプ等の光源が1又は複数の空間光変調器を照らす。その空間光変調器は、いくらかの光をスクリーンに向ける一方で、他の光を吸収し或いは方向転換(redirect)する。高輝度の実現は、その光源の出力の増大を必要とする。光源の電力消費の増大は、自然のシーンでの典型的なレベルでのピーク輝度をもたらすのに十分なレベルまで光源の明度(brightness)を増大させる際の障害となる。さらに、強力な光源は、とりわけ、プロジェクタにおける空間光変調器及び他の構成要素の過熱に関する問題を引き起こし得る。
【0006】
一例として、現在のデジタルシネマプロジェクタは、48ニト(48cd/m
2)のピーク輝度を創出する大きなスクリーンを照らすために8キロワットの電力を消費する光源を有し得る。12000ニト(日常生活で一般的に遭遇する輝度(luminance))のピーク輝度を実現するためには、光源の出力は、2メガワット超まで増大させられる必要がある。これは、ほとんどの場合、明らかに非現実的である。
【0007】
多くの従来型投影ディスプレイのピーク輝度の顕著な増大を妨げる別の問題は、コントラストがピーク輝度と共に増大しないという点にある。多くのそのようなディスプレイでは、より高いピーク輝度の実現のための光源の強度の増大は、黒レベルをも上昇させる。それ故に、閾値を超えてピーク輝度を増大させる試みは、受け入れ難いほど高い黒レベルをもたらす。
【0008】
リアリティのある画像を提示するために十分に高い輝度を有するディスプレイを提供する際の別の障害は、光に対する人間の視覚システムの応答がおおよそ対数的であるという点にある。それに反して、出力要求は、輝度と共にほぼ直線的に増大する。画像の輝度を2倍にすることは、同じ効率の光源を想定した場合、2倍の出力を必要とする。しかしながら、輝度を2倍にすることは、観察者によって2倍明るいものであると認識される画像をもたらすことにはならない。見掛けの明度を2倍にすることは、およそ輝度を2乗することを必要とする。
【0009】
上述の関連技術の例及びそれらに関する制限は、例示を意図するものであり、排他的なものではない。関連技術における他の制限は、明細書を読むこと、そして、図面を検討することで当業者にとって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、様々な態様を有する。本発明の実施例は、とりわけ、投影ディスプレイ、投影ディスプレイの操作方法、二重変調(dual-modulation)ディスプレイ、データプロセッサによって実行されるとそのデータプロセッサに本発明にしたがった方法を実行させるコンピュータ可読命令を含む媒体、画像表示方法、及び、ディスプレイのための画像データの処理方法を提供する。
【0011】
本発明の態様の一例は、ベース画像データによって定められる画像をスクリーンに投影するよう配置されるメインプロジェクタと、ハイライト画像データによって定められるハイライト画像をそのベース画像と位置合わせしてスクリーンに投影するハイライトプロジェクタとを含むディスプレイシステムを提供する。画像プロセッサは、そのハイライト画像データを生成するために画像データを処理するよう構成される。
【0012】
いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタは、走査ビームプロジェクタで構成される。走査ビームプロジェクタは、例えば、複数の原色のレーザビーム(例えば、赤ビーム、緑ビーム、及び青ビーム)を提供し得る。それらのビームは、ハイライト領域に所望の見掛けの明度及び色を持たせるために一緒に走査され、或いは、独立して走査され得る。他の実施例では、その走査ビームプロジェクタは、走査可能な白色光のビームを提供する。
【0013】
いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタは、2次元ホログラフィックプロジェクタで構成される。
【0014】
別の態様は、ハイライト画像を生成するために画像データを処理するように構成される画像プロセッサと、ベース画像と位置合わせしたハイライト画像にしたがって光を投影するよう動作可能である光プロジェクタとを含むハイライトプロジェクタシステムを提供する。
【0015】
別の態様の例は、空間光変調器を照らすよう配置される空間的に変調された光の光源を含むディスプレイを提供する。その空間的に変調された光の光源は、2次元ホログラフィック光源で構成される。
【0016】
別の態様の例は、画像データによって定められる画像を表示する方法を提供する。その方法は、画像データに基づく方式で空間的に変調された光を生成するために光源からの光を集中させるステップ、その空間的に変調された光で空間光変調器を照らすステップ、及び、その画像データにしたがって画像を表示するために空間光変調器を制御するステップを含む。光を集中させるステップは、例えば、コンピュータ生成の2次元ホログラムを生成するステップを含み得る。いくつかの実施例では、その光は、コヒーレント光で構成され、その光を集中させるステップは、光学システムのフーリエ面でその光の位相を調整するステップを含む。
【0017】
別の態様の例は、画像データにしたがって画像を表示する方法を提供する。その方法は、ベース画像とハイライト画素を含むハイライト画像とを生成するために画像データを処理するステップ、ベース画像を表示するためにメインプロジェクタを操作するステップ、及び、ベース画像に重畳させてハイライト画像を表示するためにハイライトプロジェクタを操作するステップを含む。
【0018】
上述の典型的な態様及び実施例に加えて、別の態様及び実施例が、図面を参照することによって、また、以下の詳細な説明を検討することによって、明らかとなる。
【0019】
添付図面は、本発明の非限定的な実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者に対してより完全な理解をもたらすために以下の記載を通じて具体的詳細を説明する。しかしながら、本開示が不必要に曖昧になるのを避けるため、よく知られた要素は図示されない場合があり、或いは、詳細に記載されない場合がある。したがって、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、むしろ例示的な意味とされる。
【0022】
本発明のいくつかの実施例は、メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタを含む投影ディスプレイを提供する。メインプロジェクタは、比較的低いピーク輝度を有し、且つ、全画像を投影するために使用され得る。メインプロジェクタによって投影された画像におけるハイライト部の輝度は、所望の輝度よりも低い。ハイライトプロジェクタは、ハイライト部の位置における輝度を高めるために、集めた光を投影し、それによって、ハイライト部の輝度を有意に高めるようにする。
【0023】
図1は、第1実施例にしたがった投影システム10を示す。投影システム10は、画像16をスクリーン18に投影するレンズ14を有するメインプロジェクタ12を含む。スクリーン18は、正面投影型スクリーンであってもよく、背面投影型スクリーンであってもよい。システム10は、画像16Aをスクリーン18に投影するレンズ22を有する別個のハイライトプロジェクタ20をさらに含む。画像16及び16Aは、画像16及び16Aの組み合わせから生じる画像を観察者が見るように重畳される。
【0024】
メインプロジェクタ12は、任意の適切な画像プロジェクタを含み得る。例えば、メインプロジェクタ12は、DLPベースのプロジェクタ、1又は複数のエルコス(Liquid Crystal On Silicon (LCOS))空間光変調器を用いるプロジェクタ、光を変調するための透過型液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含むプロジェクタ、陰極線管(CRT)プロジェクタ等を含み得る。
【0025】
ハイライトプロジェクタ20は、集められた光を画像16の領域内の少なくともいくつかの領域に供給可能で、望ましくは画像16内の他の領域の光レベルを顕著に高めることのないタイプのものである。例えば、ハイライトプロジェクタ20は、画像16の選択されたハイライト領域のみにさらなる輝度を追加するために方向付け可能な1又は複数の走査ビームを含み得る。
【0026】
ハイライトプロジェクタ20及びメインプロジェクタ12は、メインプロジェクタ12によって投影された画像16内の小さなハイライト領域にハイライトプロジェクタ20が追加的な光を正確に供給できるように共通位置合わせ(co-register)される。いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタ20は、メインプロジェクタ12の空間分解能以上の空間分解能を有する。他の実施例では、プロジェクタ20は、メインプロジェクタ12より低い空間分解能を有し得る。
【0027】
いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタ20及び画像プロセッサは、市販のデジタルシネマプロジェクタ等の既存のメインプロジェクタへの追加物(アドオン)としての使用のために提供される。画像プロセッサは、投影のための画像データを受信し、ハイライトプロジェクタによる表示のためのハイライト画像を生成するよう構成され得る。いくつかの実施例では、画像プロセッサは、既存のメインプロジェクタによる表示のためのベース画像を提供するためにその画像データを修正する場合がある。ハイライトプロジェクタは、既存のメインプロジェクタによって創出される画像と位置合わせされるハイライト画像を創出するために、設置の際に調整され得る。
【0028】
有利には、典型的なシーンでは、画像における画素群の相対的に極めて小さい部分のみが、より高いリアリティのために標準プロジェクタ12のピーク輝度より大きい輝度で表示される必要がある。より高いリアリティは、明るいハイライト部を極めて選択的に提供することによって実現され得ることが見出されている。
図2A及び
図2Bは、高いピーク輝度を有するディスプレイでの観察のためにヒューマンカラリストによって準備された明画像及び暗画像のそれぞれに関する画素の輝度に応じて画像における画素数を示すヒストグラムである。それぞれのケースで、カラリストは、自身が最適な見掛けであるとするもののために画像を調節した。
【0029】
多少驚いたことに、明画像における全ての画素の平均明度は、それでもなお相対的に極めて低い。
図2Aのヒストグラムを有する明画像でさえも、画素群における相対的に極めて小さい部分のみが高い輝度(例えば、約1000又は2000ニト超の輝度)を有することが分かる。高い輝度及び極めて高い輝度であるわずかの極めて明るい画素が、観察者の目の明順応に顕著な影響を与えることなくはるかにリアリティのある見掛けを有する画像をもたらし得る。これは、多くの或いは全ての画素が極めて高い輝度を有し得る自然からの現実のシーンとは異なる。例えば、晴れた日の氷河の現実のシーンは明るすぎ、暗いサングラスなしでは長期間の観察は不快であり、有害でさえある。カラリストは、よりリアリティのある視覚体験をもたらすためにいくつかのキー領域で高い輝度を提供しながら比較的低い平均輝度をもたらす方法でそのようなシーンを準備し得る。
【0030】
いくつかの実施例は、画像が観察者に提示されるときの平均輝度よりもはるかに高いピーク輝度で小さいハイライト領域が提示された場合には、リアリティのある視覚的印象を保ちながら驚くほど低い平均輝度で、極めて明るいシーンでさえも表現され得るという事実をうまく利用する。いくつかの実施例は、画像16における全ての画素を最も明るいハイライト部のレベルまで上げるにはパワーが低すぎるがハイライト部の輝度を所望のレベルに高めることは可能なハイライトプロジェクタを使用する。そのような実施例では、ハイライトプロジェクタからの光は、ハイライト部における所望の明度を提供するためにハイライト部に集められる。
【0031】
メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタの組み合わせを構成するには多種多様な方法がある。例えば、メインプロジェクタとハイライト領域の輝度を選択的に高めるためのハイライトプロジェクタとを提供するシステムであり、以下の特徴の任意の組み合わせを有するように構成されるシステムが提供され得る。
●メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタは、全体的に同じ技術を用いてもよく、異なる技術を用いてもよい。
●メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタは、別々のユニットの形で提供されてもよく、組み合わせユニット(例えば、統合フォームファクタ)の形で提供されてもよい。メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタが組み合わせユニットの形で提供される場合、メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタは、いくつかの光学コンポーネント及び/又はいくつかの光学経路を共有してもよい。例えば、メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタは、1又は複数の投影レンズ、リレー光学、1又は複数の空間光変調器等を共有してもよい。共有される構成要素及び光学経路の様々な例が以下で詳説される。
●システムは、ベース画像を共同で投影する1又は複数のメインプロジェクタを含み得る。例えば、システム10は、画像16を提供するためにスクリーン18を共同で照らす複数のメインプロジェクタ12を含み得る。
●システムは、ハイライト領域の輝度を高めるためにハイライト画像を共同で投影可能な1又は複数のハイライトプロジェクタを含み得る。例えば、ハイライトプロジェクタ20は、画像16のハイライト領域に共同で光を向けるよう制御され得る複数のユニットを含み得る。
●ハイライトプロジェクタは、(例えば白色光を投影できる)モノクロであってもよく、或いは、多色型であってもよい。
●ハイライトプロジェクタは、ハイライト領域の外側の輝度を抑制するためのフィルタ(例えばフーリエ面における空間フィルタ等)をオプション的に含み得る。
●ハイライトプロジェクタは、1又は複数の空間光変調器をオプション的に含み得る。1又は複数の空間光変調器は、ハイライト領域を照らす光の方向付け、投影されたハイライト画像におけるエラーの補正、ハイライト領域の外側の輝度の抑制、メインプロジェクタによって投影されるベース画像に円滑に溶け込ませるためのハイライト画像の調整、及び、ハイライト領域の外側からハイライト領域への光の方向転換のうちの1又は複数のものを実行するよう制御され得る。ハイライトプロジェクタが1又は複数の空間光変調器を含む実施例では、1又は複数の空間光変調器は、メインプロジェクタと共有の1又は複数の空間光変調器を含む場合があり、且つ/或いは、ハイライトプロジェクタ専用の1又は複数の空間光変調器を含む場合がある。
●メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタは、正面投影用に構成されてもよく、背面投影用に構成されてもよい。ハイライトプロジェクタ20及びメインプロジェクタ12が同じサイドからスクリーン18を照らす必要はない。スクリーン18が半透明である(例えば、スクリーン18が背面投影型のスクリーンで構成される)実施例では、ハイライトプロジェクタ20及びメインプロジェクタ12は、両側からスクリーン18を照らしてもよい。
【0032】
これらの様々なアプローチ並びにそれらの置換及び組み合わせは限定的ではなく、本発明の範囲内のいくつかの実施例を提供することを意図している。
【0033】
有利には、その組み合わせ画像は、観察者によって観察されるように、メインプロジェクタ12のピーク輝度を顕著に上回るピーク輝度を有するいくつかのハイライト部を含む。例えば、メインプロジェクタは、500ニト以下のピーク輝度を有し得る一方で、ハイライト領域は、2000ニト以上のピーク輝度を有し得る。暗い観察環境(例えば映画館)向けのいくつかのメインプロジェクタは、例えば、約15〜50ニトのピーク輝度を提供し得る。それらのプロジェクタのいくつかは、大面積スクリーンに画像を映すために設計される。明るい観察環境向けのいくつかのメインプロジェクタは、例えば、約100〜300ニトのピーク輝度を提供し得る。
【0034】
ハイライトプロジェクタ20によって照らされるハイライト領域は、画像16の面積における極めて小さい部分(例えば、10%未満、5%未満、1%未満、或いは、0.1%未満)を構成するのみであるため、ハイライトプロジェクタ20は、非現実的な電源入力を必要とすることなく、ハイライト領域における所望の高輝度を実現できる。
【0035】
図1Aは、ハイライトプロジェクタが細い光線21をもたらすスポットライト源20Aと走査ミラー23A及び23Bを含む偏向器23とを含む実施例にしたがったプロジェクタシステムを示す。
【0036】
ミラー23A及び23Bは旋回可能に取り付けられ、且つ、画像16における任意の所望の位置に小さなスポット25を形成するよう光線21がガイドされ得るようにアクチュエータ(図示せず。)によって操作される。光線21の強度、及び、スポット25が表示される位置は、選択されたハイライト領域における高い輝度を実現するために、コントローラ24によって制御され得る。いくつかの実施例では、ハイライト領域の明度は、少なくとも部分的には、スポット25がそのハイライト領域に存在するよう制御される時間を変えることによって制御される。いくつかの実施例では、ハイライト領域の明度は、少なくとも部分的には、ビーム21がそのハイライト領域を照らす際のビーム21の強度及び/又はデューティサイクルを制御することによって制御される。
【0037】
ビーム21は、例えば、レーザビームを含む。いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタは、白色のハイライトを作るために組み合わされ得る3つの異なる色のレーザビームで構成される。例えば、ハイライトプロジェクタは、赤、緑、及び青のレーザビームで構成される。そのような実施例では、それらのビームは、単一の偏向器アセンブリ(例えば、ミラー23A、23Bの単一のセット)によってハイライト領域を照らすように誘導され得る。別の実施例では、別個の偏向器アセンブリが複数のビーム21のそれぞれに対して提供される。
【0038】
ハイライト部は、典型的には、画像16の領域全体の小さい部分に現れるのみであるため、レーザは、ハイライト領域により長い間留まることによってハイライト領域における知覚される明度を増大させ得る。レーザは、画像16におけるハイライト領域の外側の何れの部分をも照らす必要はない。
【0039】
ハイライトプロジェクタが誘導可能な光線を含む実施例では、その光線を誘導するコントローラ(例えばコントローラ24)は、照らされるハイライト領域の位置に依存する軌跡にスポット25を追従させるために、ミラー23A及び23B(又は、デジタル光偏向器、回折格子ライトバルブ等を用いる機構等の代わりのビーム誘導機構)を制御するように構成され得る。そのビーム誘導機構は、画像16における全ての画素をカバーするラスタ又は他のパターンで走査する必要はない。ハイライト領域の外側にある少なくともいくつかの画素を避けながらスポット25をハイライト領域に持って行く軌跡に沿ってスポット25を誘導することによって、コントローラ24は、ハイライト領域における所望の輝度を実現するのに十分な期間にわたってスポット25をハイライト領域に滞留させることができる。
【0040】
メインプロジェクタ12及びハイライトプロジェクタ20は、2つのプロジェクタがいくつかの共通の光学経路を共用するように、オプション的に互いに統合され得る。例えば、ハイライトプロジェクタ20及びメインプロジェクタ12における光学システムは、共通の投影レンズ14を共用するように配置され得る。この一例を
図3に示す。
図3は、本質的に概略的なものである。リレーレンズ、ミラー、フィルター等の、光学経路内に存在し得る光学コンポーネントは、明瞭化のために省略されている。
【0041】
図3に示す実施例では、メインプロジェクタ12は、空間光変調器32を照らすために光31を放出可能な光源30を含む。光源30は、均一な光源、又は、画像データ(例えばベース画像)にしたがって空間的に変調され得る光源を含み得る。空間光変調器32によって変調された光は、画像16(
図3では図示せず。)を提供するために、投影レンズ14によってスクリーン18(
図3では図示せず。)に向けられる。
【0042】
この実施例では、ハイライトプロジェクタは、X−Y偏向器36によって誘導される細い光線35を出すように制御され得る高強度狭ビーム光源34と、空間光変調器32で明るく照らされるスポット38を創出する光学コンバイナ37とを含む。X−Yスキャナ36で走査しながら光源34の強度及び/又はオン・オフを制御することによって、複数の異なるハイライト領域は、光源34からの光を用いて空間光変調器32上で照らされ得る。この追加的な光もまた、空間光変調器32によって変調されるので、画像16内のハイライト領域の輝度を増大させるためにレンズ14によって画像化される。
【0043】
代替的な実施例では、光学コンバイナ37は、スポット38がスクリーン18上に直接投影されるように、空間光変調器32と投影レンズ14との間に置かれる。この代替的な実施例では、メインプロジェクタ及びハイライトプロジェクタにおける光学経路は、投影レンズ14のみを共有し得る。
【0044】
図4は、実施例にしたがったディスプレイシステムの画像データ処理コンポーネントを示すブロック図である。画像処理システム40は、画像データ42を受信し、そして、ハイライト領域を特定するために画像データ42を処理する。処理は、例えば、画素輝度値と第1閾値とを比較すること、及び、第1閾値を超える輝度値を有する画素をハイライト領域に属するものとして特定することを含み得る。いくつかの実施例では、ハイライト領域は、第1閾値を超える輝度値を有する画素で結ばれる所定領域を含む領域に限定され得る。別の例としては、処理は、M個(Mは数字である。)の最も高い輝度の画素、又は、輝度に関するN番目のパーセンタイル値以上の画素(Nは、90番目のパーセンタイル値、95番目のパーセンタイル値、98番目のパーセンタイル値、99番目のパーセンタイル値、又は99.9番目のパーセンタイル値といったパーセンタイル値である。)で構成されるものとしてハイライト領域を特定し得る。処理は、複数のそのような条件(例えば、ハイライト領域は、その輝度が閾値を超える最大M個の画素として特定され得る。)を適用することを含み得る。
【0045】
いくつかの実施例では、処理は、ハイライト領域に含まれる領域に対するピーク輝度のトレードオフを含む。そのような処理は、ヒストグラム解析を含み得る。例えば、処理が第1条件にしたがって比較的多数の画素をハイライト領域に属するものとして特定したときの画像に対して、その処理は、ハイライト領域で実現可能なピーク輝度を低減させるという代償を払ってその第1条件にしたがったハイライト領域を保持することと、ハイライト領域に含まれる画素の数を減らすために第2条件を適用することとの間で選択を行ってもよい。そのような処理は、ヒストグラム解析を含み得る。
【0046】
いくつかの実施例では、処理は、順応ポイントを参照して実行される。順応ポイントは、例えば、その画像の対数平均輝度で構成されてもよく、或いは、対数平均輝度から決定されてもよい。ビデオ画像の場合、順応ポイントは、先行する複数の画像の時間的平均で構成されてもよい。そのような実施例では、ハイライト領域を特定するための処理は、少なくとも閾値だけ順応ポイントよりも高い輝度を有する画素を特定することを含み得る。
【0047】
画像処理システム40は、ハイライトプロジェクタ20に供給されるハイライト画像43を生成する。ハイライト画像43は、ハイライト領域における高い明度を提供するために、ハイライトプロジェクタ20によって表示される。ハイライト領域の外側の画素は、ハイライト画像43では、極めて小さい値又はゼロ値を有し得る。また、画像処理システム40は、メインプロジェクタ12による投影のためのベース画像44を供給する。
【0048】
いくつかの実施例では、ベース画像44は、画像データ42と同じである。別の実施例では、ベース画像44は、主にハイライトプロジェクタ20によって照らされるハイライト領域と、主に或いはもっぱらメインプロジェクタ12によって照らされる画像16のベース領域との間の円滑な移行をもたらすために処理される。
【0049】
この処理は、例えば、ベース画像44を供給するために画像データ42からハイライト構成要素を抽出することを含み得る。いくつかの実施例では、その処理は、ハイライト画像43を表示するために駆動された場合にハイライトプロジェクタ20によって画像画素に供給される輝度を推定すること、及び、ベース画像44を生成するときにその推定された輝度を補正することを含む。いくつかの実施例では、その推定は、ハイライトプロジェクタ20の光学システムの特性をモデル化し得る。いくつかの実施例では、その推定は、ハイライトプロジェクタ20によってハイライト領域の外側の画素に供給される光を推定し得る。メインプロジェクタ12及びハイライトプロジェクタ20における色及び輝度は、そのような円滑な移行を促進するために調整され得る。
【0050】
ハイライト画像43は、様々な形をとり得る。いくつかの実施例では、ハイライト画像43は、二値画像(“ON”状態の全ての画素が同じレベルに設定される。)で構成されてもよく、或いは、二値画像として扱われてもよい。そのような実施例は、例えば、順応ポイントをはるかに上回る輝度を有する画素で構成されるものとしてハイライト領域を選択するハイライト領域選択処理との組み合わせで使用され得る。そのような実施例は、人間の視覚システムが順応ポイントをはるかに上回る光に同じように反応するという事実をうまく利用し得る。例えば、観察者は、いくつかのハイライト画素が10000ニトの輝度を有する画像と、その同じハイライト画素が15000ニトの輝度を有する別の画像との間には、それらハイライト画素が双方の画像において順応ポイントをはるかに上回る輝度を有する限りにおいて、大きな或いはいくらかの違いがあるとは言えない場合がある。いくつかのそのような実施例は、ハイライトプロジェクタからハイライト画素に均等に輝度を配分することによって、且つ/或いは、それらハイライト画素の輝度を設定されたレベルに切り揃えることによって動作し得る。
【0051】
別の実施例では、ハイライトプロジェクタは、異なるハイライト画素又はハイライト領域に異なる輝度を提供するよう制御され得る。さらに別の実施例では、ハイライトプロジェクタは、複数のアプローチの組み合わせにしたがって制御され得る。例えば、ハイライトプロジェクタは、画像データが第1範囲にある輝度を特定するところのハイライト画素に別々の輝度を提供し、且つ、画像データがその第1範囲の上限を超える輝度を特定するところのハイライト画素に同じ輝度を提供するように制御され得る。その第1範囲は、固定であってもよく、可変であってもよい。例えば、可変の第1範囲は、現在の順応ポイント、ハイライト領域にあると特定された画素の数、ハイライト領域にあると特定された画素の統計(例えば、ハイライト画素の最大、平均(mean)、代表(average)等である。)、それらの組み合わせ等に基づくものであってもよい。
【0052】
画像データ処理は、様々な方式で分配され得る。例えば、いくつかの実施例では、ハイライト画像43を内部的に導き出すハイライトプロジェクタに画像データ42が直接的に供給されるよう、画像処理システム40がハイライトプロジェクタに統合される。いくつかの別の実施例では、ハイライト画像データ43がベース画像データ44と一緒に供給されるよう、処理が上流で実行される。例えば、ハイライト画像データ43は、ストリーム、ファイル、又は他のデータ構造内で、ベース画像データ44と一緒に符号化され得る。そのような実施例では、プロジェクタシステムは、ベース画像データ44にしたがってメインプロジェクタに画像を表示させるようにしながら、ハイライト画像データ43を抽出し、且つ、ハイライト画像データ43を用いてハイライトプロジェクタを制御するよう構成され得る。
【0053】
ハイライトプロジェクタは、多くの異なる形を取り得る。ハイライトプロジェクタのために使用され得る様々な技術のいくつかの例は、走査スポットプロジェクタ(そのようなプロジェクタのいくつかの実施例は上述されている。)、ホログラフィックプロジェクタ(例えば、画像平面に画像を形成するために光学システムのフーリエ面における光を位相変調し、それによって光を集中させるプロジェクタ)を含む。
【0054】
走査プロジェクタの別のタイプは、空間的に変調された光の縞をスクリーン18上に創出する1次元光変調器、及び、スクリーン18の全域でその縞を走査するスキャナを含む。非限定的な例として、1次元変調器は、偏光ビームスプリッタ及び走査ミラーと共に1次元偏光変調器を構成し得る。
【0055】
別の実施例を
図5に示す。
図5は、光方向転換プロジェクタを含むハイライトプロジェクタ50を概略的に示す。そのようなプロジェクタの一般的なタイプの1つは、回折ベース/位相変調アプローチを適用することによって、いくつかの領域において、他の領域を除外して、光を集中させるプロジェクタを含む。このアプローチは、“ホログラフィック2次元投影”と呼ばれることもある。
【0056】
図5に示す実施例では、ハイライトプロジェクタは、コヒーレント光源51(図示された実施例では、光源51はレーザ51A及びビーム拡大器51Bを含む。)、そのプロジェクタの光学経路における光学フーリエ面に位置付けられる位相変調パネル52、並びに、所望のハイライト画像の逆フーリエ変換の実成分にしたがって位相変調器52の位相シフト効果を空間的に変更するコントローラ54を含む。コントローラ54は、ハイライト画像に対応するフーリエベースのホログラム(コンピュータ生成ホログラムとも呼ばれる。)を決定し、且つ、そのコンピュータ生成ホログラムにしたがって位相変調パネル52上の様々な位置で位相を設定するように構成されてもよい。コントローラ54によって創出されるフーリエベースのホログラムにしたがって制御される位相変調パネル52と光源51からの光との相互作用は、ハイライト画像の再現をもたらす。レンズ22は、結果として得られる画像をスクリーン18(
図5では図示せず。)に投影する。
【0057】
いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタは、強度可変光源を有する1又は複数のホログラフィックプロジェクタで構成される。1又は複数の光源の強度は、ハイライト画像の表示全般にわたるさらなる制御をもたらすように制御され得る。
【0058】
いくつかの実施例では、ハイライトプロジェクタは、それぞれが異なる色の光を投影する複数のホログラフィックプロジェクタで構成される。例えば、ホログラフィックプロジェクタの1つは、赤光源51を含み、且つ、ハイライト画像の赤チャネルを表示するように構成され得る。そのようなプロジェクタは、ハイライト画像の緑光源及び青光源を含み、且つ、ハイライト画像の緑チャネル及び青チャネルを画像化するようにそれぞれ制御される複数のホログラフィックプロジェクタと組み合わせて使用され得る。
【0059】
位相変調器を変化させることによって画像を生成するタイプの現在のプロジェクタは、その位相変調器における有限の分解能のため、且つ/或いは、所望の画像の逆フーリエ変換が一般的に実部及び虚部の双方を有し且つ典型的な位相変調器が逆フーリエ変換の一部を実行するのみであるため、かなりの光の漏れが存在し得るという不利点を有する。空間光変調器(DMDアレイ、LCOS変調器、LCDパネル等)を照らすために位相が変調された光が画像化される実施例のハイライトプロジェクタでは、そのような光の漏れは部分的に或いはほぼ完全に補償され得る。そのような実施例では、その空間変調器は、ハイライト領域の外側の光の量を低減させることによって、投影されるハイライト画像を整える(clean up)ように操作され得る。この目的のために使用される空間変調器は、メインプロジェクタで使用される空間変調器と同じであってもよく、異なるものであってもよい。
【0060】
光漏れは、高空間分解能を有する位相変調器パネル52を提供することによって低減され得る。いくつかの実施例では、位相変調器パネル52は、ハイライト画像の空間分解能を超える空間分解能を有する。いくつかの実施例では、位相変調器パネル52における制御可能な要素の数は、ハイライト画像の画素数の9倍以上である。
【0061】
ホログラフィックプロジェクタは、オプション的に、非平面焦点面にハイライト画像を投影するように構成され得る。コントローラ54は、所望の非平面表面に焦点をもたらす位相変調器のための駆動信号を生成するように構成され得る。例えば、そのホログラフは、湾曲したスクリーン又は空間光変調器上に焦点画像を生成するように構成されてもよい。
【0062】
図6Aに示す実施例では、ホログラフィックプロジェクタ72は、ハイライト領域の外側の画像領域における光を方向転換し、取り除き、或いは吸収するように制御される空間光変調器74に所望のハイライト画像を投影する。その後、空間光変調器74からの光は、例えば投影レンズ22によってスクリーン18上に画像化される。空間光変調器は、例えば、ホログラフィックプロジェクタ72によって創出される光の実際の配分の見積もりを得るためにホログラフィックプロジェクタ72の動作のシミュレーションを実行することによって制御されてもよい。その後、この見積もりは、ハイライト画像と比較されてもよい。その比較は、例えば、その見積もりとそのハイライト画像との比率又は違いを決定することを含み得る。空間光変調器74は、ホログラフィックプロジェクタ72によって実際に投影された光のパターンと所望のハイライト画像と違いを補正するために、その比較の結果にしたがって制御されてもよい。その見積もりを計算することは、例えば、プログラムされたデータプロセッサ、ハードウェアで構成された論理回路、及び/又は、設定変更可能な論理回路(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA))を用いて実行され得る。その計算は、ホログラフィックプロジェクタ72の位相変調器によって創出される位相シフトされた光の照射野(light field)を推定すること、及び、推定された光の照射野のフーリエ変換を計算することを含み得る。
【0063】
いくつかの実施例では、ハイライト領域の外側の光の広がりは、フーリエ面におけるDC成分をブロックすることによって低減される。
図6Bに示す実施例では、ホログラフィックプロジェクタ72は、メインプロジェクタの空間光変調器76上にハイライト画像を直接投影する。また、空間光変調器76は、光源73によって照らされる。
【0064】
図7は、別のアーキテクチャを有するプロジェクタ60を概略的に示す。プロジェクタ60は、光源62(コヒーレント光源である必要はない。)を含む。光源62は、アナログDMDミラーアレイ等の2次元空間光変調器64を照らす。空間光変調器64は、スクリーン18上の様々な位置に光をガイドできる複数の制御可能な要素を有する。いくつかの実施例では、空間光変調器64は、ハイライト画像を提供するために投影レンズ66によってスクリーン18上に直接的に画像化される。いくつかの実施例では、空間光変調器64は、別の空間光変調器65を照らす。空間光変調器65は、例えば、メインプロジェクタ(
図7では図示せず。)によっても使用される空間光変調器で構成されてもよい。
【0065】
さらに別の実施例にしたがったハイライトプロジェクタ80を
図8に示す。ハイライトプロジェクタ80は、空間光変調器83を照らす光源82を含む。適用例では、空間光変調器83は、ハイライト領域の外側の全ての画素がスクリーン18のほうに光を通過させないように設定されるように制御される。空間光変調器83は完璧ではないので、いくらかの光は、ハイライト領域の外側の画素を通過する。この漏れた光は、観察者により、黒レベル(例えば、黒は、画像全体にわたる灰色の見掛けを呈する。)の上昇として知覚され得る。ハイライトプロジェクタ80は、空間フィルタ84を含み、空間フィルタ84は、図示された実施例では、空間光変調器83とスクリーン18との間の光学経路におけるフーリエ面に提供されるマスク85を含む。マスク85は、DC空間周波数成分(すなわち、表示画像における全ての画素に影響を与える信号の成分)をブロックし、それによって、黒レベルを低減させる一方でハイライトをなおも通過させる。
【0066】
メインプロジェクタ又はホログラフィックプロジェクタのための光源がコヒーレント光源で構成されるシステムは、投影画像におけるレーザスペックルの出現を減らすよう構成される1又は複数の光学コンポーネントを含み得る。任意の適切なスペックル低減技術が適用され得る。例えば、レーザスペックルを低減させる様々な技術が当該技術分野で知られている。これらは、光学経路に振動拡散器(vibrating diffuser)を提供し、コヒーレント光源の位相を無作為に選び、そしてそのコヒーレント光源の偏光を無作為に選ぶ等の技術を含む。
【0067】
本書に記載されるハイライトプロジェクタは、2次元投影システムばかりでなく3次元投影システムにも適用され得る。投影光の別々の構成要素が観察者の右目と左目に向けられるよう、観察者が偏光眼鏡又はスペクトル感受性眼鏡を装着する実施例では、ハイライトプロジェクタは、観察者の左目、右目、又は両目によって観察される光を発するように制御可能であってもよい。別の実施例では、ユーザの左目用のハイライト画像と右目用のハイライト画像を投影するために、別々のハイライトプロジェクタが提供され得る。いくつかの実施例では、1又は複数のハイライトプロジェクタは、観察者の右目と左目によって観察されるために別々のスペクトル構成を有する光を発する。例えば、本書に記載される投影システムは、例えば、国際公開第2008/140787号、国際公開第2011/002757号、及び米国特許第7784938号に記載されるような3次元画像投影システムと共に使用されてもよい。なお、それらの文献の全ては、あらゆる目的に関し、参照により本書に援用される。
【0068】
図9は、別の実施例にしたがったディスプレイ100を示す。ディスプレイ100は、例えば、テレビ、コンピュータディスプレイ、広告用ディスプレイ等である。ディスプレイ100は、ハイライトプロジェクタと共に使用されてもよく、ハイライトプロジェクタ無しで使用されてもよい。ディスプレイ100は、バックライトアセンブリ104によって照らされる空間光変調器パネル102を含む。空間光変調器パネル102は、例えばLCDパネル等の透過型光変調パネルで構成され得る。バックライトアセンブリ104は、例えば、本書で記載されるようなホログラフィックプロジェクタを含む。ホログラフィックプロジェクタは、コヒーレント光源106及び位相変調パネル108を含む。光源106からの光は、パネル108によって位相変調され、且つ、空間光変調器パネル102に向けられる。
【0069】
ディスプレイコントローラ109は、表示される画像を受信し、所望のバックライト配光を決定し、そして、空間光変調器パネル102上にその所望のバックライト配光を投影するためにホログラフィックプロジェクタを制御する。その所望のバックライト配光は、ゆっくりと変化し得る(すなわち、主に低空間周波数で構成される)。(固定であってもよく制御可能であってもよい)マスク107は、より高い空間周波数に対応するフーリエ成分を弱め或いは除去するために、オプション的に、フーリエ面に提供され得る。コントローラ109は、例えば、画像データをローパス空間フィルタに通し、画像データにブラーフィルタを適用し、且つ/或いは、画像データにおける画素の局所的グループの局所平均又は加重平均を計算すること等によって、所望のバックライト配光を決定し得る。位相変調パネル108の画素の駆動値は、その所望のバックライト配光の逆フーリエ変換を計算することによって決定され得る。
【0070】
いくつかの実施例では、コントローラは、空間光変調器パネル102における実際の配光の見積もりを計算する。この見積もりは、画像データにしたがって画像を提供するために空間光変調器パネル102の画素を設定する際に使用され得る。例えば、空間光変調器パネル102の画素の値は、バックライト104からその画素に入射すると推定される光の強度と、画像データがその画素のために特定する光の強度とを比較し、その画像データによって特定される強度まで入射光の強度を低減させるために空間光変調器パネルの画素を設定することによって、設定され得る。その比較は、例えば、推定入射光強度によって画像データを除算することを含み得る。
【0071】
推定入射光強度を計算することは、コントローラにより確立される駆動信号によって駆動された場合にどのようにして光変調パネル108が光源106からの光に影響を及ぼすかを推定すること、及び、その信号を位相変調パネル108に適用することによってもたらされる光照射野を計算するためにその情報を用いることを含み得る。そして、空間光変調器102における光照射野は、その光照射野のフーリエ変換を計算することによって推定され得る。
【0072】
いくつかの実施例では、ディスプレイ100は、カラーディスプレイで構成される。いくつかのそのような実施例では、空間光変調器パネル102は、モノクロの空間光変調器で構成される。そのような実施例では、バックライト104は、位相変調パネル108を照らすようそれぞれ操作され得る3つ以上のモノクロ光源(例えば、赤レーザ、緑レーザ、及び青レーザである。)で構成され得る。画像は、別々の色の画像を時分割多重化することで表示され得る。例えば、赤画像は、赤光源106を用いて画像データの赤チャネルに基づいて表示され得る。これは、緑光源106を用いて画像データの緑チャネルに基づいて表示される緑画像、及び、青光源106を用いて画像データの青チャネルに基づいて表示される青画像によって連続して追従され得る。コントローラは、光源からの光を位相変調するために位相変調プレート108の画素を設定する際に、光源106のそれぞれからの光の波長を考慮し得る。いくつかの実施例では、バックライト104は、複数の原色のそれぞれに対する別々のユニット(例えば、ホログラフィックプロジェクタ)で構成される。
【0073】
ハイライトプロジェクタを駆動するためのハイライト画像データは、画像表示中にリアルタイムで画像データから導き出される必要はない。ハイライト画像データは、前もって決定され、画像データの一部として提供されてもよく、或いは、別々に提供されてもよい。ホログラフィックハイライトプロジェクタを採用する実施例では、位相変調パネルを制御するための画像値は、前もって決定され、そして、画像データの一部として提供されてもよい。
【0074】
本発明のいくつかの実施は、本発明に係る方法をプロセッサに実行させるソフトウェア命令を実行するコンピュータプロセッサを含む。例えば、ディスプレイシステムにおける1又は複数のプロセッサは、それらプロセッサがアクセス可能なプログラムメモリでソフトウェア命令(ファームウェア命令であってもよくファームウェア命令を含んでいてもよい。)を実行し、本書に記載されるような画像処理方法を実施し得る。また、本発明は、プログラム製品の形で提供されてもよい。そのプログラム製品は、データプロセッサによって実行されたときに本発明に係る方法をそのデータプロセッサに実行させる命令を含む、一時的でないコンピュータで読み取り可能な信号のセットを担持する任意の媒体で構成され得る。本発明にしたがったプログラム製品は、様々な形態のうちの任意のものでよい。そのプログラム製品は、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブを含む磁気的データ記憶媒体、CDROM、DVDを含む光学的データ記憶媒体、ROM、PROM、EPROM、flashRAMを含む電子的データ記憶媒体等の物理的媒体で構成され得る。そのプログラム製品におけるコンピュータで読み取り可能な信号は、オプション的に、圧縮されてもよく、或いは、暗号化されてもよい。
【0075】
構成要素(例えば、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路等)が参照される場合、別段の指示がない限り、その構成要素に対する参照(“手段”に対する参照を含む。)は、本発明の図示された典型的な実施例における機能を実行する開示された構造とは構造的に均等でない構成要素を含め、記載された構成要素の機能を実行する任意の構成要素(すなわち機能的な均等物)をその構成要素の均等物として含むものとして解釈される。
【0076】
多くの典型的な態様及び実施例が説明されたが、当業者は、いくつかの変更、置換、追加、及びそれらの組み合わせを認識するであろう。それ故に、以下に添付の請求項であり以下で紹介される請求項は、そのような変更、置換、追加、及びそれらの組み合わせの全てを、それら請求項の真の精神及び範囲内にあるものとして含むと解釈されることを意図する。