特許第5766946号(P5766946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トムソン ライセンシングの特許一覧

特許57669462軸ミラーカラー選択性小型ミラー結像器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766946
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】2軸ミラーカラー選択性小型ミラー結像器
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/00 20060101AFI20150730BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20150730BHJP
   G02B 26/00 20060101ALI20150730BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G03B21/00 F
   B81B3/00
   G02B26/00
   G02B26/08 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-502983(P2010-502983)
(86)(22)【出願日】2007年4月12日
(65)【公表番号】特表2010-524043(P2010-524043A)
(43)【公表日】2010年7月15日
(86)【国際出願番号】US2007009141
(87)【国際公開番号】WO2008127239
(87)【国際公開日】20081023
【審査請求日】2010年3月26日
【審判番号】不服2014-1362(P2014-1362/J1)
【審判請求日】2014年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ジョン,バレット
【合議体】
【審判長】 神 悦彦
【審判官】 土屋 知久
【審判官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−138881(JP,A)
【文献】 特開2004−133312(JP,A)
【文献】 特開2004−171630(JP,A)
【文献】 特開2007−33787(JP,A)
【文献】 特開2005−99682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/30
G02B 26/00-26/08
G02B 27/00-27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射システムであって:
少なくとも4つの位置に移動可能な、複数の2軸ミラーを有する小型ミラー配列であって、前記小型ミラー配列の各2軸ミラーは、前記少なくとも4つの位置の各々が、ビデオフレーム時間の間、順次選定されるように駆動され、各2軸ミラー上に誘導された光は、投射レンズに向かって反射される、小型ミラー配列と;
光を発生する赤色光源、青色光源、および緑色光源と;
を有し、
前記赤色光源、前記青色光源、および前記緑色光源は、3つの異なる方向から、前記小型ミラー配列の各2軸ミラー上に、それぞれ赤の光ビーム、青の光ビーム、および緑の光ビームを発光し;
光ビームは、各2軸ミラーで、第4の方向からは誘導されず;
前記少なくとも4つの位置の各々は、色強度に比例する前記ビデオフレーム時間に係る部分に対して、順次選定され;
前記少なくとも4つの位置の、第1の位置、第2の位置、または第3の位置において、各2軸ミラーは、それぞれ、前記赤の光ビーム、前記青の光ビーム、または前記緑の光ビームを、前記投射レンズに向かって反射し、かつ第4の位置において、光を前記投射レンズに向かって反射せず;かつ、
各2軸ミラーは、アセンブリの一部であり、前記アセンブリは:
少なくとも4つの導電性領域を中に有する板と;
ミラーねじれ軸上で旋回する2軸ミラーと;
ヨークねじれ軸によって移動するヨークであって、前記ヨークは、前記板の面に垂直の方向に前記板の上に存在しかつ前記2軸ミラーの下に存在し、かつ前記ヨークは、前記板の面に平行に前記板及び前記ミラーの中央領域に存在しかつ前記板及び前記ミラーの周辺部より内側に存在し、かつ前記ヨークねじれ軸およびミラーねじれ軸は、同一平面にあり、かつ相互に垂直である、ヨークと;
を含み;
前記ヨークねじれ軸は、前記ヨークを前記板に結合し、前記ミラーねじれ軸は、前記2軸ミラーを前記ヨークに結合し、これによって前記2軸ミラーが前記少なくとも4つの位置に移動可能である、
ことを特徴とする投射システム。
【請求項2】
前記赤の光ビーム、前記緑の光ビーム、および前記青の光ビームの各々は、ミラー偏向角度の2倍の角度で、前記小型ミラー配列の各2軸ミラーで誘導されることを特徴とする請求項1に記載の投射システム。
【請求項3】
小型ミラー配列であって:
少なくとも4つの位置に移動可能な複数の2軸ミラーと;
前記複数の2軸ミラーに結合された駆動回路であって、各2軸ミラーは、ビデオフレーム時間の間、前記少なくとも4つの位置の各々が、順次選択されるように駆動される、駆動回路と;
赤色光源、青色光源、および緑色光源であって、それぞれ赤の光ビーム、青の光ビーム、および緑の光ビームを発生し、3つの異なる方向から、前記小型ミラー配列の各2軸ミラー上に誘導し、かつ光ビームは、各2軸ミラーで、第4の方向からは誘導されない、赤色光源、青色光源、および緑色光源と;
を有し;
前記少なくとも4つの位置の各々は、色強度に比例する前記ビデオフレーム時間に係る部分に対して、順次選定され;かつ、
前記少なくとも4つの位置の、第1の位置、第2の位置、または第3の位置において、各2軸ミラーは、それぞれ、前記赤の光ビーム、前記青の光ビーム、または前記緑の光ビームを、投射レンズに向かって反射し、かつ第4の位置において、光を前記投射レンズに向かって反射せず;かつ、
各2軸ミラーは、アセンブリの一部であり、前記アセンブリは:
少なくとも4つの導電性領域を中に有する板と;
ミラーねじれ軸上で旋回する2軸ミラーと;
ヨークねじれ軸によって移動するヨークであって、前記ヨークは、前記板の面に垂直の方向に前記板の上に存在しかつ前記2軸ミラーの下に存在し、かつ前記ヨークは、前記板の面に平行に前記板及び前記ミラーの中央領域に存在しかつ前記板及び前記ミラーの周辺部より内側に存在し、かつ前記ヨークねじれ軸およびミラーねじれ軸は、同一平面にあり、かつ相互に垂直である、ヨークと;
を含み;
前記ヨークねじれ軸は、前記ヨークを前記板に結合し、前記ミラーねじれ軸は、前記2軸ミラーを前記ヨークに結合し、これによって前記2軸ミラーが前記少なくとも4つの位置に移動可能である、
ことを特徴とする小型ミラー配列。
【請求項4】
前記赤の光ビーム、前記緑の光ビーム、および前記青の光ビームの各々は、ミラー偏向角度の2倍の角度で、前記小型ミラー配列の各2軸ミラーで誘導されることを特徴とする請求項3に記載の小型ミラー配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に投射システムに関し、特に、小型ディスプレイを有する投射システム用のカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばデジタル光プロセッサ(DLP(登録商標))(テキサスインスツルメンツ社)結像器のような、反射光エンジンまたは結像器を使用する小型ディスプレイ投射システムは、カラー結像器またはビデオ投射装置(例えば、後方投射テレビジョン(RPTV)、ホームシアター前方投射TV、およびシアターシステム)において、次第に利用されるようになってきている。既存の投射システムでは、図1に示すように、UHPランプのような光源10が提供され、白色光が形成される(すなわち全カラースペクトル)。光源10からの光は、カラーホイール20を通り、このホイールは、複数のダイクロイックフィルタ素子を有し、各素子は、一つの色:青、緑、または赤の光バンドを透過し、他の色を反射することができる。カラーホイール20は、青、緑、および赤の光バンドの一時的なパターンがカラーホイールを通過するように、回転される。通常、カラーホイールは、各ビデオ画像フレームの間、各原色に対して、少なくとも一つの原色期間が形成されるのに十分な速度で回転される。
【0003】
統合器30は、カラーホイール20を通過した光源10からの光バンドを受光し、リレー光学系40を介して、光バンドを全内部反射(TIR)プリズム50に誘導する。TIRプリズム50は、DLP結像器のような結像器60に、光バンドを偏光する。結像器は、光ビームの個々の画素の強度を変調し、これらの光は、TIRプリズム50を通り、投射レンズシステム70の方に向かうように逆向きに反射される。DLPでは、フラッシュレートおよびフラッシュ幅だけが、変調され、強度変調の印象が生じる。LCDおよびLCOSでは、強度は、直接変調される。投射レンズシステム70は、光画素をスクリーン(図示されていない)上に焦点化させ、視覚できる画像が形成される。カラービデオ画像は、3つの色(青、緑、赤)の各画素の急速な一連のマトリクスによって形成され、これらの色は、視認者の目によって混色化され、フルカラー画像が形成される。
【0004】
この明細書を通して、および関連技術に対応して、画素という用語は、画像の小さな領域またはドット、光伝送の対応する部分、および光伝送を形成する結像器の部分を定めるために使用される。
【0005】
DLP結像器60は、小型ミラーのマトリクスを有し、光が反射され、TIRプリズム50を通り、投射レンズシステム70内に入る角度から、光が偏光され、投射レンズシステム70によって投射されなくなる角度まで、角度間を移動可能である。各小型ミラーは、特定の小型ミラーの一連のフラッシュに応じて、所望の強度の光画素を反射する。同時に、これは、DLP結像器60で処理されたビデオ信号に応答する。従って、DLP結像器60では、各小型ミラー、または結像器の画素は、結像器または光エンジンへのグレースケール因子入力により、入射される光を変調し、別個の変調された光信号または画素のマトリクスが形成される。
【0006】
最近まで、投射画像の各画素には、ある小型ミラーが使用されており、正方形ミラーの配列のグリッドは、画像の端部に平行に整列される。しかしながら、スムーズピクチャ(登録商標)(テキサスインスツルメンツ社)技術を使用すると、小型ミラー配列のグリッドは、画像端部に対して45゜回転され、画素は、ダイアモンド状に見える。次に、そのような配列によって形成される画像は、移動可能な光部材(ミラーまたはレンズ)により配置され、四角形画素の対角線の半分によって配置された、2つの連続位置に見えるようになる。画像の半分の細部は、一連の画像の各々に表示される。これにより、小型ミラーカウントの解像度を2倍にすることができる。小型ミラーカウントが抑制されると、解像度を維持したまま、低エンド投射器用の低コストの結像器が可能となる。高エンド製品(デジタルシネマまたは高エンドテレビジョン製品)では、ミラーカウントは、高く維持され、解像度が2倍になる。
【0007】
カラーホイールの使用により、「レインボー効果」と呼ばれる視覚的偽像が導入される。色は、順次フラッシュされるため、ディスプレイ上の対象の色は、急速な目の動き(アイダート)の間、人の目の網膜で分離される。目の動きは、最大800゜/秒の速度に至る。脳は、この分離を、異なるルミナンス(luminance)を有する対象の複数の原色画像として知覚する。視覚システムのルミナンス(luminance)のバンド幅は広いが、ローパス特性を有する。カラーフラッシュの速度が大きくなると、網膜画像の角度分離が低下し、ルミナンス(luminance)バリエーションに対する感度が低下する。単位秒当たり、約3000以上のカラーフラッシュでは、同化が生じ、レインボー画像が合併したように見える。現在の単一結像器DLP(登録商標)システムは、少なくとも単位秒当たり1000カラーフラッシュの速度で稼働し、レインボー効果が認められる。
【0008】
カラーフラッシュ速度は、高めることが難しい。これは、小型ミラーの物理的質量が、オフ-オン-オフフリップ時間の最大値に限定されるためであり、これは、ディザリングを使用しない、最も少ないデジタルグレースケールのユニットを設定する。ホームテレビジョン投射器に、8ビットグレースケール範囲が使用される場合、最大フラッシュ時間は、255倍大きくなる。スムーズピクチャ(登録商標)の場合、各色は、各小型ミラーに、少なくとも16.6mS画像の2倍、光を提供する必要がある。フラッシュは、カラーホイールセグメント数の増加により、分散され、フラッシュ速度は、単位8.33mSあたり、6または9フラッシュに上昇し、あるいは720乃至1075フラッシュ/秒まで上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、既存のDLP結像器には、いくつかの問題がある。カラーホイールは、光を浪費する。カラーホイールにより反射された色の光は、通常無駄になるためである。また、カラー分離あるいはブレークアップ偽像は、前述のように、投射システムの画質を劣化させる。そのため、カラー分離もしくはブレークアップ偽像を抑制するシステム、および/または改良された解像度を有するシステムが必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、制御可能な反射装置が得られ、この装置は、少なくとも4つの方向に回転することが可能な、2軸ミラーの配列を有する。少なくとも3原色の光ビームは、各原色光ビームに対して一つずつ、4つの旋回方向の3つに、各2軸ミラーで誘導され、単一のカラービームは、反射され、投射レンズの方に誘導される。第4の旋回方向では、カラービームは、投射レンズの方に誘導されず、黒色が投射される。本発明の反射装置は、カラーホイールよりも、発光ダイオード(LED)、またはフラッドビームレーザ光源を用いたシステムに有益である。これは、そのようなシステムは、複数の光源を有し、これらの光源を、反射面に対して好適な角度で配置することができるからである。
【0011】
ミラー配列の各ミラーは、ビデオフレーム時間の間、カラービームが順次選定されるように駆動される。各ビームは、フレーム時間の僅かな部分のために選定され、このフレーム時間は、所望のカラー強度に比例する。カラーホイールフィルタにおいて必要となるような、単位カラー時間周期当たりの一定の最大値は、存在しないため、色の超飽和が可能となる。このシステムでは、他の色を利用して、ある一つの原色を、最大100%示すことができる。一連のレインボー効果を避けるため、カラーフラッシュの速度は、大きく上昇され、人の目の光(luminance)感度が充足される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】既存のデジタル光パルス(DLP)投射システムの概略図を示した図である。
図2】本発明の一実施例による投射システムの概略図を示した図である。
図3A】一例として、4つの旋回位置における2軸小型ミラーを示した図である。
図3B】一例として、4つの旋回位置における2軸小型ミラーを示した図である。
図3C】一例として、4つの旋回位置における2軸小型ミラーを示した図である。
図3D】一例として、4つの旋回位置における2軸小型ミラーを示した図である。
図4】本発明の小型ミラーの一実施例を示した図である。
図5A図4に示した小型ミラーの4つの旋回位置を示した図である。
図5B図4に示した小型ミラーの4つの旋回位置を示した図である。
図5C図4に示した小型ミラーの4つの旋回位置を示した図である。
図5D図4に示した小型ミラーの4つの旋回位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明について説明する。
【0014】
本発明は、テレビジョンディスプレイのような、カラー投射システムを提供する。このシステムは、単一の小型ミラー結像装置を介してカラーを形成し、カラーは、複数の角度で結像装置に近づく、複数の原色ビームから選定される。
【0015】
図2には、本発明の一実施例による投射システムの概略図を示す。3つの光原色光源R、G、Bの各々は、結像器100に対して、赤、青、および緑の光ビームを提供するように配置される。結像器100からの画像は、投射レンズ200を介してスクリーン300に提供される。
【0016】
結像器は、デジタル小型ミラー装置(DMD)であり、これは小型ミラーの配列(図示されていない)を有する。配列の各小型ミラーは、2軸小型ミラーである。2軸小型ミラー110は、図3A乃至3 Dに示すように、複数のデジタル位置を有し、カラー光源R、G、Bからの光は、投射レンズ300上に出力される。ミラーの少なくとも一つのデジタル位置は、暗色を反射する。図3A乃至3Dの各々には、一例として、各種デジタル位置にある小型ミラー110が示されており、暗色、または赤、緑もしくは青のいずれかが選定されている。
【0017】
図4には、小型ミラー110の一実施例を示す。小型ミラー110は、配列支持150に取り付けられたヨーク120により結合される。ミラーねじれ軸125は、小型ミラー110をヨーク120に結合し、ヨークねじれ軸135は、ヨーク120を配列支持150に結合する。小型ミラー110は、ミラーねじれ軸125上で旋回し、小型ミラー110は、ヨーク120の上部表面に垂直な線に対して、ある角度で移動する。ある例では、小型ミラーは、ヨーク120の上部表面に垂直な線に対して、±12゜で移動する。また、ヨーク120は、ヨークねじれ軸135により、支持150の表面に垂直な線に対して、ある角度で移動する。この場合も、ヨーク120は、支持150の表面に垂直な線に対して±12゜で移動することができる。
【0018】
ミラー軸125およびヨーク軸135は、相互に垂直であり、同一平面にある。これにより、小型ミラー110は、図3A乃至3Dに示すような4つの位置まで、2つの軸上を移動することができる。
【0019】
ミラー軸125およびヨーク軸135の双方は、導電性のねじれ棒である。また、ミラー110およびヨーク120は、導電性であり、支持150上の共通のノードに接続される。支持150表面上の4つの独立の導電性板領域300、400、500、600、は、小型ミラー110の4つのコーナー部の下方に配置される。板領域300、400、500、600は、引き寄せキャパシタンス板として機能する。ある実施例では、板領域300、400、500、600は、組毎に作動される。例えば、2つの板300、500は、ヨークを作動させ、2つの板400、600は、ミラーを作動させるため、ミラー110の4つの端部のうちの一つは、支持150の表面に向かって、選択的に引き付けられ、図3A乃至3Dに示すように、カラーまたは暗色が選定される。
【0020】
赤(R)、緑(G)、および青(B)の3つの原色のビームは、ミラー偏光角度の2倍の角度から、ミラー110表面に向かって誘導される。各ビームは、図3A乃至3Dに示すように、異なる方向から入射する。ある実施例では、3原色の各ビームは、ミラー表面に向かって、約24゜の角度で誘導されても良く、これは、ミラー偏光角度である±12゜の2倍である。
【0021】
図5A乃至5Dを参照すると、カラーまたは暗色が選定された際、導電性板領域300、400、500、600のうちの2つは、ミラー/ヨーク構造に接続された共通ノードに対して中性(ニュートラル:N)となり、導電性板領域300、400、500、600のうちの2つは、ミラー110およびヨーク120の電位に対して活性(+)となる。活性(+)板は、ヨーク120およびミラー110を引き寄せる。実際の電位は、ミラー110およびヨーク120に対して、正であっても負であっても良い。電位差からの電場によって、引きつけ力が提供される。導電性板領域300、400、500、600とミラー110およびヨーク120の間に、大きな電場を形成する機能により、迅速なミラー位置切り替え速度が提供される。
【0022】
ミラーとヨークの間の電荷の差異により、両者の間に、両者の間の電位に比例する強度で電場が形成される。この電場により、板領域の間の距離が最小化される。2軸ミラーを動かす過程には、図5A乃至5Dに示すように、ミラーと、相互に隣接する制御板組の間の電位差が含まれる。2軸は、四角形ミラーの下での対角線であるため、これにより、4つのミラー端部の一つは、取り付け表面にできる限り接近するように動かされる。制御板上のNは、ミラーに対して電位差がないことを意味する。引き寄せることを容易にするため、制御板には、ミラーの下のシリコンに集積されたドライバを介して、電位パルスを印加しても良い。
【0023】
ミラーねじれ軸125およびヨークねじれ135は、復元力を提供し、駆動信号が存在しない場合、ミラー110は、支持150の表面に対して平行な、中性状態に戻ろうとする。ねじれ軸の復元は、結像器の動作中、顕著な因子ではない。
【0024】
「アイダート」の間、人の網膜上の点は、最大800゜/秒で、位置が変化し得る。色サンプリングが、融合を提供するほど十分に速くはなく、すなわち<27゜/サンプルの場合、カラー分離複数画像は、3つの原色における色として認められる。このレインボー効果を抑制するため、カラーフラッシュを極めて速くしたり、あるいは色融合が空間的に生じるように、異なる色を共存させ、均一に分布させることが必要となる。本願に示した小型ミラー配列は、画素レベルで複数の色を選定し、カラーホイールに比べて、カラーフラッシュの速度を大きく高めることができる。また、本願に示した小型ミラー配列は、サンプル化されたディスプレイ上に、空間的にカラーを提供することができる。
【0025】
ある実施例では、例えば、スムーズピクチャ(登録商標)技術のダイアモンド状画素を用いて、垂直時間フレームが2つの片割れに分割される。スムーズピクチャの各々によって、結像がなされる。その後、各半分のフレーム時間は、1または2以上のサブフレーム期間に分割される。各サブフレーム期間は、最小主要フラッシュ(LSF)の最大数を保持することができる。あるLSFは、小型ミラーの機械的能力の範囲内で、最速のフラッシュである。ミラーフラッシュによって得られる輝度(brightness)は、LSFの一次(linear)合計である。人の目には、ログ系の輝度(brightness)の上昇が必要であり、入力信号は、ガンマ補正される。
【0026】
結像器の暗色部には、微細なステップサイズが必要となる。色選択性小型ミラーは、色を切り替えることができ(すなわち、黒−カラー−黒、または色1−色2−色1)、単一軸の小型ミラーのLSF(黒−光−黒)と同様の速度で、LSFを形成する。そのような配置では、フラッシュを、光源の色ピークに対して時間カスタマイズすることが可能となり、所与の色温度の白が形成される。ある実施例では、所与の光源により、61%緑、31%赤、および8%青の、所望の白色が生成され、暗灰色は、8LSF緑+4LSF赤+1LSF青となる。これは、「白パケット」である。小型ミラーは、この「白パケット」色切り替えパターンを繰り返し、徐々により明るい白が構築あれる。この配置は、黒と白の画像に、最大の色切り替え速度を形成し、目の光(luminance)感度が充足される。画素がカラー化される場合、ある原色用の所望の強度が得られると、白の形成手順が完了する。他の2つの原色は、第2の原色に所望の強度が得られるまで、その白パターン比を継続する。最後に、所望の強度が得られるまで、第3の原色が継続される。
【0027】
この方法の場合、多数のミラーの動きが必要となる。本発明では、この問題が解決される。白のバランスを維持したまま、各カラーフラッシュを長くすることにより、「白パケット」手順を遅くすることができるからである。レインボー効果を抑制するため、色サンプリング速度は、3000サンプル/秒を超える。例えば、5μSのLSFでは、前述の実施例における最小「白パケット」は、65μSとなり、15385サンプル/秒が得られる。各白パケットにおける色サンプルを5倍に長時間化することにより、最小「白パケット」が3077色サンプル/秒まで抑制され、ミラーの動きの数が1/5となる。
【0028】
画像において、隣接する原色画素が網膜上で12゜未満しか分離されないと、色融合が生じる。これは、カラーサブ画素ディスプレイの基本である。隣接画素が同時に同じ色を示さない場合、レインボー効果の除去を空間的に達成することができる。この配置では、アイダートレインボーを発生させずに、カラーフラッシュサンプリング速度を遅くできる。例えば、縞に対して垂直な一つの画素をステップするときに比べて、2倍以上のフレーム時間で、RGB縞がフラッシュされると、各画素は、適正に全ての3色を示し、縞は、見えなくなり、色が融合する。
【0029】
以上、本発明を実施するための、いくつかの可能性について示した。本発明の思想および範囲内で、他の多くの実施例も可能である。従って、以上の記載は、本発明を限定するものではなく、一例として解され、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、およびその均等の範囲によって定められる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D