特許第5766972号(P5766972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766972
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】導波管伝送線路変換器
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/107 20060101AFI20150730BHJP
   H01P 5/103 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H01P5/107 C
   H01P5/103 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-32418(P2011-32418)
(22)【出願日】2011年2月17日
(65)【公開番号】特開2012-175181(P2012-175181A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】菅野 真行
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−311978(JP,A)
【文献】 特開平08−293706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/107
H01P 5/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部が形成されかつ他端がバックショート板で閉塞された筒形状の金属筐体と、プローブ導体とを備える導波管伝送線路変換器であって、
前記プローブ導体は、
前記金属筐体において前記開口部が形成された面以外の面を貫通し、一端が前記金属筐体の外部にある伝送線路に接続され、他端が前記金属筐体内にある第1導体部と、
前記伝送線路を通じて入力される信号の波長の1/4の距離を前記開口部が設けられている面と対抗する面から隔てて配置され、一端が前記第1導体部の他端に接している第2導体部と、
前記開口部が設けられている面に対して垂直な前記金属筐体の延在方向と平行に配置され、一端が前記第2導体部の他端に接し、他端が前記金属筐体内で開放端になっている第3導体部と
を有し、
前記第3導体部の長さは、前記波長の1/4であり、前記波長の1/4よりわずかに短く前記バックショート板に接しない長さであり、
前記第3導体部は、前記第1導体部が貫通している面と他端との距離が、当該面と一端との距離より短くなるように配置されている
ことを特徴とする導波管伝送線路変換器。
【請求項2】
前記プローブ導体は、前記金属筐体内に設けられ前記バックショート板と垂直に接する基板の主面に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の導波管伝送線路変換器。
【請求項3】
前記プローブ導体は、前記金属筐体内に設けられ前記バックショート板と平行な基板の主面に形成され、
前記金属筐体は、前記開口部側の第1筐体と前記バックショート板側の第2筐体とからなり、
前記基板は、前記第1筐体と前記第2筐体とで挟まれることにより固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の導波管伝送線路変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管伝送線路変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
導波管から入力された電磁波を伝送線路で伝送する電気信号に変換する、若しくはその逆方向の変換をするためには、導波管伝送線路変換器が用いられている(例えば、非特許文献1)。ここでの伝送線路とは、マイクロストリップ線路又は同軸線路等を意味する。
図4は、導波管伝送線路変換器9の構成例を示す概略図である。図4(a)は導波管伝送線路変換器9の透視斜視図であり、図4(b)は図4(a)において導波管伝送線路変換器9を方向A4から見たときの透視図である。
【0003】
同図に示すように、導波管伝送線路変換器9は、不図示の導波管と接続する開口部91aを有する直方体形状の筐体91と、筐体91において開口部91aと対向する面(バックショート板)91bに取り付けられているコネクタ92と、一端がコネクタ92に接続され他端が開口部91a及びバックショート板91bに対して垂直な2つの面(広壁面)のいずれかに接続されているプローブ導体93とを備えている。ここで、広壁面とは、開口部91aが設けられている面に対して垂直な4つの面のうち、開口部91aが設けられている面の長い辺を共通にする面である。
【0004】
コネクタ92は、同軸ケーブルと接続され、同軸ケーブルの内導体をプローブ導体93に接続して導通させ、同軸ケーブルの外導体を筐体91に接続して導通させる。コネクタ92において、同軸ケーブルの内導体と、外導体とは絶縁されている。
プローブ導体93は、コネクタ92に接続されている部分からバックショート板91bに対して垂直な接続部93aと、管内波長λgの1/4の距離を隔ててバックショート板91bに対して平行な終端部93cとを有し、接続部93aと終端部93cとが垂直に接することによってL字形状をなしている。ここで、接続部93a及び終端部93cは、針金状、あるいは棒状の導体である。換言すると、プローブ導体93は、屈曲部93bにおいて直角に曲がっており、屈曲部93bにより接続部93aと終端部93cとに分けられている。ここで、管内波長λgは、導波管を用いて伝送する電磁波の導波管内における波長、すなわち導波管管内波長である。
【0005】
上記の構成を有する導波管伝送線路変換器9は、同軸ケーブルを介してコネクタ92に入力された電気信号を電磁波に変換して筐体91の開口部91aから出力する。また、導波管伝送線路変換器9は、開口部91aから入力された電磁波を電気信号に変換してコネクタ92に接続された同軸ケーブルに出力する。図4において、同軸ケーブルにより電気信号が供給される構成を示したが、マイクロストリップ線路により給電される導波管伝送線路変換器もある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−320460号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】平田仁著、「マイクロ波工学の基礎」、日本理工出版会、2004年2月、p.95−96
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、製造工程において、低い加工精度で製造されると、導波管伝送線路変換器の周波数特性にずれが生じて、要求される周波数特性を満たすことができないことがある。例えば、図4に示した導波管伝送線路変換器9において、プローブ導体93の他端と、筐体91との接続などの加工の精度が悪いと、特性インピーダンスに誤差が生じ、周波数特性にばらつきが生じてしまうことがある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、製造工程における加工精度に基づく周波数特性のばらつきを低減させることができる導波管伝送線路変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明は、一端に開口部が形成されかつ他端がバックショート板で閉塞された筒形状の金属筐体と、プローブ導体とを備える導波管伝送線路変換器であって、前記プローブ導体は、前記金属筐体において前記開口部が形成された面以外の面を貫通し、一端が前記金属筐体の外部にある伝送線路に接続され、他端が前記金属筐体内にある第1導体部と、前記伝送線路を通じて入力される信号の波長の1/4の距離を前記開口部が設けられている面と対抗する面から隔てて配置され、一端が前記第1導体部の他端に接している第2導体部と、前記開口部が設けられている面に対して垂直な前記金属筐体の延在方向と平行に配置され、一端が前記第2導体部の他端に接し、他端が前記金属筐体内で開放端になっている第3導体部とを有していることを特徴とする導波管伝送線路変換器である。
【0011】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記第3導体部は、前記第1導体部が貫通している面と他端との距離が、当該面と一端との距離より短くなるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、プローブ導体の他端と筐体との接続を不要にすることで、プローブ導体と筐体とを接続する加工精度に基づく周波数特性のばらつきを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における導波管伝送線路変換器1の構成を示す概略図である。
図2】第2実施形態における導波管伝送線路変換器2の構成を示す概略図である。
図3】第3実施形態における導波管伝送線路変換器3の構成を示す概略図である。
図4】導波管伝送線路変換器9の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る各実施形態における導波管伝送線路変換器を説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における導波管伝送線路変換器1の構成を示す概略図である。図1(a)は導波管伝送線路変換器1の透視斜視図であり、図1(b)は図1(a)において方向A1から見たときの透視図である。
同図に示すように、導波管伝送線路変換器1は、中空の直方体形状であり、いずれかの面に不図示の導波管と接続する開口部11aが設けられている金属製の筐体11と、筐体11において開口部11aと対抗する面(バックショート板)11bに取り付けられているコネクタ12と、筐体11の内部に設置されている基板13とを備えている。バックショート板11bと対向する面は、面全体が開口部11aになっている。
【0016】
また、筐体11には狭壁面11cと平行なスリット11dが形成されており、基板13がスリット11dに差し込まれて固定されている。ここで、狭壁面11cは、バックショート板11bに対して垂直な4つの面のうち、バックショート板11bの短い辺を共通にする2つの面のいずれかである。
コネクタ12は、同軸ケーブルと接続され、同軸ケーブルの内導体を基板13上に配置されるプローブ導体14と接続して導通させ、同軸ケーブルの外導体を筐体11に接続して導通させる。
【0017】
基板13は、誘電体からなり、一方の主面にプローブ導体14としての配線14a、14b、14cが形成されている。また、基板13は、上述のように筐体11に固定され、筐体11のバックショート板11bと垂直に接するとともに、狭壁面11cと平行になっており、バックショート板11bから開口部11aへの方向と平行になるように固定されている。ここで、図1に示されているプローブ導体14の配置は、開口部11aから入力又は出力される電磁波の電界が発生する方向が広壁面に垂直な方向である場合の配置である。
【0018】
プローブ導体14は、コネクタ12を介して、コネクタ12に接続される同軸ケーブルの内導体に接続される。また、プローブ導体14は、管内波長λgの1/4の距離を隔ててバックショート板11bと平行、かつ狭壁面11cと平行な配線14bと、配線14bの一端と直角に接するとともにコネクタ12に接続されている配線14aと、配線14bの他端と直角に接し長さが約(λg/4)の配線14cとを有している。配線14cは、その長手方向の長さが(λg/4)よりわずかに短く、バックショート板11bと接しないようになっている。
【0019】
プローブ導体14は、配線14a、配線14b、及び配線14cによって、U字形状をなしている。ここで、λgは、外部よりコネクタ12を介して入力される信号の導波管内における波長、すなわち導波管管内波長(以下、管内波長という)である。
また、プローブ導体14は、一端がコネクタ12に接続され、他端が筐体11に接続されることなくオープン(開放端)になっている。しかし、プローブ導体14は、筐体11の狭壁面11cに沿って配置されている長さが約(λg/4)の配線14cを有しているので、筐体11と接続されていないが、筐体11に接続(短絡)されているのと同じ特性を得ることができる。
【0020】
このように、導波管伝送線路変換器1においてプローブ導体14の形状をU字形状にして、プローブ導体14と筐体11との接続を不要にしたことにより、プローブ導体14と筐体11とを接続する加工を省くことができ、プローブ導体と筐体とを接続する加工精度に基づく周波数特性のばらつきを低減させることができる。
【0021】
なお、基板13を固定する方向は、図1に示されている方向に限らず、プローブ導体14の配線14bが、バックショート板11bから(λg/4)の距離を隔てて、バックショート板11bと平行に配置され、かつ開口部11aから入力又は出力される電磁波の電界が発生する方向と平行な(一致する)方向であれば、基板13をいずれの方向で固定してもよい。
また、配線14cを配線14bの一端からバックショート板11bに向かって伸びるように配置する構成について説明したが、開口部11aに向かって伸びるように配置してもよい。このとき、配線14cの長さを(λg/4)よりわずかに短くせずに、(λg/4)としてもよい。
【0022】
(第2実施形態)
第2実施形態の導波管伝送線路変換器は、プローブ導体を針金状、あるいは棒状の導体により形成して、基板を用いていない点が第1実施形態の導波管伝送線路変換器1と異なる。
【0023】
図2は、第2実施形態における導波管伝送線路変換器2の構成を示す概略図である。図2(a)は導波管伝送線路変換器2の透視斜視図であり、図2(b)は図2(a)において方向A2で見たときの透視図である。
同図に示すように、導波管伝送線路変換器2は、中空の直方体形状であり、いずれかの面に不図示の導波管と接続する開口部21aが設けられている金属製の筐体21と、筐体21において開口部21aと対向する面(バックショート板)21bに取り付けられているコネクタ22と、一端がコネクタ22に接続され他端が開放端になっているプローブ導体24とを備えている。バックショート板21bと対向する面は、面全体が開口部21aになっている。
【0024】
コネクタ22は、第1実施形態のコネクタ12と同様に、同軸ケーブルと接続され、同軸ケーブルの内導体をプローブ導体24と接続して導通させ、同軸ケーブルの外導体を筐体21に接続して導通させる。また、コネクタ22において、同軸ケーブルの内導体と、外導体とは絶縁されている。
プローブ導体24は、一端がコネクタ22と接続されバックショート板21bから開口部21aへの方向に伸びる接続部24aと、一端が接続部24aの他端に直角に接しバックショート板21bに対して垂直な広壁面に向かって伸びる中間部24bと、一端が中間部24bの他端に接し筐体21の広壁面と平行にバックショート板21bに向かって伸びる終端部24cとを有している。
【0025】
また、プローブ導体24は、接続部24aと中間部24bとが直角に接し、中間部24bと終端部24cとが直角に接することによってU字形状をなしている。ここで、筐体21の狭壁面は、第1実施形態と同様に、バックショート板21bと垂直な面のうち、バックショート板21bの短い辺を共通にする2つの面である。また、筐体21の広壁面は、バックショート板21bと垂直な面のうち、バックショート板21bの長い辺を共通にする2つの面である。
【0026】
プローブ導体24の中間部24bは、バックショート板21bから管内波長λgの1/4の距離を隔てて、バックショート板21b及び狭壁面と平行に配置されている。また、終端部24cは、広壁面と所定の距離を隔てて平行に配置されている。ここで、図2に示されているプローブ導体24の配置は、開口部21aから入力又は出力される電磁波の電界が発生する方向が広壁面に垂直な方向である場合の配置である。
【0027】
接続部24aは長さが(λg/4)であり、終端部24cは長さが約(λg/4)であり、バックショート板21bに接しないようになっている。すなわち、プローブ導体24は、一端がコネクタ22に接続され、他端が筐体21に接続されることなくオープン(開放端)になっており、筐体21と接続されていない。しかし、プローブ導体24は、第1実施形態と同様に、終端部24cが筐体21の広壁面から所定の距離を隔てて、当該広壁面と平行に配置され、その長さが約(λg/4)であるので、筐体21の広壁面に接続(短絡)されているのと同じ特性を得ることができる。
また、プローブ導体24は、例えば、上述のようにU字形状に加工された後に、筐体21の内部において、コネクタ22と接続されるとともに固定される。
【0028】
上述のように、導波管伝送線路変換器2においてプローブ導体24の形状をU字形状にして、プローブ導体24と筐体21との接続を不要にしたことにより、プローブ導体24と筐体21とを接続した場合と同様の特性を維持しつつ、プローブ導体24と筐体21とを接続する加工を省くことができ、プローブ導体と筐体とを接続する加工精度に基づく周波数特性のばらつきを低減させることができる。
【0029】
なお、プローブ導体24が有する中間部24bが配置される方向は、図2に示した向きに限らず、電磁波を伝送線路で伝送する電気信号に変換する効率が高くなるように、開口部21aから入力される電磁波の電界が発生する方向と平行な方向に中間部24bが配置されていればよい。あるいは、開口部21aから出力する電磁波の電界が発生する方向が予め定められた方向になるように、当該方向と平行な方向に中間部24bが配置されていればよい。
また、終端部24cを中間部24bの他端からバックショート板21bに向かって伸びるように配置する構成について説明したが、開口部21aに向かって伸びるように配置してもよい。この場合、終端部24cの長さを(λg/4)よりわずかに短くせずに、(λg/4)としてもよい。
【0030】
(第3実施形態)
第3実施形態の導波管伝送線路変換器は、マイクロストリップ線路を用いて給電する点と、マイクロストリップ線路とプローブ導体とを接続するために筐体の狭壁面を貫通している点とが第1実施形態の導波管伝送線路変換器1と異なる。
【0031】
図3は、第3実施形態における導波管伝送線路変換器3の構成を示す概略図である。図3(a)は、導波管伝送線路変換器3の透視斜視図であり、図3(b)はマイクロストリップ線路を構成する基板33を方向A3で平面視した図である。
同図に示すように、導波管伝送線路変換器3は、中空の直方体形状であり、いずれかの面に不図示の導波管と接続する開口部31aが設けられている金属製の筐体31と、開口部31aと平行に筐体31内部に設けられた基板33とを備えている。筐体31において、開口部31aが設けられている面は、全面が開口部31aになっている。また、筐体31は、開口部31aを含む開口部側筐体30aと、開口部31aと対向する面(バックショート板)31bを含むバックショート側筐体30bとからなる。開口部側筐体30aとバックショート側筐体30bとが基板33を挟むことにより、基板33を固定している。
【0032】
基板33は、第1実施形態の基板13と同様に、誘電体からなり、バックショート板31bと対向する一方の主面に、マイクロストリップ線路に接続されたプローブ導体34としての配線34a、34b、34cが形成されている。
また、基板33は、筐体31のバックショート板31bから管内波長λgの1/4の距離を隔てて、バックショート板31bと平行に配置されているとともに、筐体31の開口部31a及びバックショート板31bと垂直な4つの面に接し固定されている。
【0033】
プローブ導体34は、筐体31のバックショート板31bに対して垂直な2つの狭壁面のいずれかに設けられている貫通孔31cを通じて、筐体31外部のマイクロストリップ線路と接続される。
また、プローブ導体34は、一端がマイクロストリップ線路に接続され筐体31の外部から貫通孔31cを通って筐体31の内部に直線状に伸びる配線34aと、筐体31の内部において一端が配線34aの他端に接続され貫通孔31cが設けられている面と平行に形成された配線34bと、一端が配線34bの他端に接続され筐体31の広壁面31dに平行に形成され他端がオープン(開放端)になっている配線34cとからなる。
【0034】
また、プローブ導体34は、配線34a、配線34b、及び配線34cによって、U字形状をなしている。配線34cは、長さが約(λg/4)である。また、プローブ導体34は、筐体31に接続されていないが、配線34cが筐体31の広壁面31dから所定の距離を隔てて広壁面31dに対して平行に形成され、その長さが約(λg/4)であるので、筐体31に接続されている場合と同じ特性を得ることができる。
ここで、図3に示されているプローブ導体34の配置は、開口部31aから入力又は出力される電磁波の電界が発生する方向が広壁面に垂直な方向である場合の配置である。配線34bは、開口部31aから入力又は出力される電磁波の電界が生じる方向と平行な方向に配置される。
【0035】
このように、導波管伝送線路変換器3においてプローブ導体34の形状をU字形状にして、プローブ導体34と筐体31との接続を不要にしたことにより、プローブ導体34と筐体31とを接続する加工を省くことができ、プローブ導体と筐体とを接続する加工精度に基づく周波数特性のばらつきを低減させることができる。
また、配線34cを配線34bの他端から貫通孔31cが設けられている狭壁面に向かって伸びるように配置する構成について説明したが、貫通孔31cが設けられている狭壁面に対抗している面に向かって伸びるように配置してもよい。
【0036】
上記の各実施形態において説明したように、プローブ導体(14、24、34)をU字形状にして、プローブ導体(14、24、34)と筐体(11、21、31)とを接続する加工を省くことにより、当該加工の精度のばらつきにより生じる導波管伝送線路変換器(1、2、3)の周波数特性のばらつきを低減させることができる。
【0037】
なお、上記の各実施形態において、プローブ導体(14、24、34)の長さ、幅、太さなどは、導波管伝送線路変換器(1、2、3)において入出力される信号の周波数に応じて定められる。また、プローブ導体(14、24、34)の長さ、幅、太さなどを定める際、計算機シミュレーションや、実測値なども用いられる。
また、第1及び第2実施形態では、コネクタ(12、22)がバックショート板(11b、21b)に取り付けられている構成を説明したが、これに限ることなく、筐体(11、12)の他の面にコネクタを取り付けるようにしてもよい。このとき、プローブ導体は、バックショート板から(λg/4)の距離を隔てて、バックショート板と平行な部分を有するように形成する。
【0038】
また、上記の各実施形態において、筐体(11、21、31)が中空の直方体形状である場合について説明したが、これに限ることなく、筐体は、一端に開口部が形成されかつ他端がバックショート板で閉塞された筒形状の金属筐体であって、延在方向の断面が円形、方形、又は矩形のいずれかである金属筐体でもよい。このとき、バックショート板は、金属筐体が延在する方向と垂直であればよい。また、プローブ導体14は、開口部が形成された面以外の面を貫通して、一端が外部の伝送線路に接続され、他端が金属筐体内で開放端となっていればよい。また、プローブ導体14の配線14c、プローブ導体24の終端部24c、及びプローブ配線34の配線34cは、開口部が設けられている面に対して垂直な金属筐体の筒形状の側面(延在方向)と平行に所定の距離を隔てて配置されていればよい。
【符号の説明】
【0039】
1,2,3,9…導波管伝送線路変換器、11,21,31,91…筐体、11a,21a,31a,91a…開口部、11b,21b,31b,91b…バックショート板、11c…狭壁面、11d…スリット、12,22,92…コネクタ、13,33…基板、14,24,34,93…プローブ導体、14a,14b,14c,34a,34b,34c…配線、24c,93c…終端部、30a…開口部側筐体、30b…バックショート側筐体、31c…貫通孔、31d…広壁面、93b…屈曲部
図1
図2
図3
図4