(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたような計量魚群探知機の場合、自船の直下のみからエコー信号を受信するため、魚群が超音波信号のあたる範囲よりも大きな場合、魚群全体に超音波信号があたるように、船舶を走航させなければならない。そして、魚群は常に動いているため、走航中も魚群形状が変化し、正確に魚群を把握することは容易でなく、ひいては正確な魚量を計測することも容易ではない。
【0006】
また、特許文献2に記載されたようなソナー装置では、一度の送受信で広範囲が探知できるため、比較的大きな魚群であっても把握することができる。しかしながら、超音波信号が鉛直方向でなく、鉛直方向に対して所定の角度を成す方向へ送信され、その反射エコー信号を受信するため、魚の向きによってエコー信号強度が変化してしまう。このため、計測した魚量に不確定性を有してしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、短時間で高精度に魚量を計測できる超音波送受信装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の超音波送受信装置は、第1超音波送受信部、第2超音波送受信部、第1観測値算出部、第2観測値算出部、および定量算出部を備える。第1超音波送受信部は、船舶の鉛直下方向に第1超音波信号を送信し、該第1超音波信号が
魚群に反射して得られるエコー信号を出力する。第2超音波送受信部は、船舶の下方向の所定範囲に第2超音波信号を送信し、該第2超音波信号が
魚群に反射して得られるエコー信号をビーム形成したビームエコー信号を出力する。第1観測値算出部は、エコー信号から
魚群のエコー強度に関する第1指標データを算出する。第2観測値算出部は、ビームエコー信号から
魚群の大きさに関する第2指標データを算出する。定量算出部は、第1指標データと第2指標データから
魚群の
魚量を算出する。
第1観測値算出部は、第1指標データとして、ターゲットストレングスTs、体積散乱Svに基づく魚群断面散乱強度SSEC、および第1断面積AESvを算出する。第2観測値算出部は、第2指標データとして、体積Vss、および第2断面積ASSvを算出する。定量算出部は、第1観測値算出部および第2観測値算出部から得られる各データを元に魚群散乱強度SSCHを算出し、後述する原理を用いて、次に示す演算式から魚量Nを算出する。
【数6】
【0010】
この構成では、船舶の鉛直下方向に超音波信号を送信することで得られる第1指標データと、船舶の下方向の所定範囲に超音波信号を送信することで得られる第2指標データとが得られる。船舶の鉛直下方向に超音波信号を送信する場合、ターゲット物標である魚群に対する反射強度が安定する。したがって、第1指標データとしては、魚群の反射エコーの強度に関するデータを取得する。船舶の下方向の所定範囲に超音波信号を送信する場合、広範囲に超音波信号が送信されるので、全体の形状を一回の送受信で、ターゲット物標である魚群が大きさを検出できる。したがって、第2指標データとしては、魚群の大きさに関するデータを取得する。このように、異なる送受信方法の超音波を用いることで、それぞれの利点を有効に利用することが可能になる。そして、このような精度の良い魚群の反射エコーの強度に関するデータと、短時間で取得できる魚群の大きさに関するデータを用いることで、魚量を高精度且つ短時間に算出することができる。
【0012】
【数6】
【0013】
この構成では、具体的な魚群の魚量の算出方法を示している。このような算出方法を用いることで、高精度に魚量を算出することができる。
【0014】
また、この発明の超音波送受信装置では、定量算出部は、第1断面積A
ESvと第2断面積A
SSvとによる補正係数を用いて、魚群散乱強度S
SCHを算出する。
【0015】
この構成では、補正係数を用いることで、第1指標データと第2指標データとの間の誤差、すなわち第1超音波送受信部で送受信する超音波信号によって得られるエコー信号と、第2超音波送受信部で送受信する超音波信号によって得られるビームエコー信号との誤差を補正でき、より高精度に魚量を算出することができる。
【0016】
また、この発明の超音波送受信装置では、定量算出部は魚群毎に魚量Nを算出する。
【0017】
この構成では、同時に複数の魚群が観測されても、魚群毎に高精度な魚量算出を行うことができる。
【0018】
また、この発明の超音波送受信装置では、第2超音波送受信部は、第1超音波送受信部を兼用する。第1観測値算出部は、ビームエコー信号における鉛直下方向のビームエコー信号から第1指標データを算出する。
【0019】
この構成では、第1超音波送受信部のエコー信号の代用として、第2超音波送受信部によるビームエコー信号のうち、鉛直下方向のビームエコー信号を用いる。この構成および方法であっても、短時間且つ高精度にターゲット物標の定量(魚群の魚量)を算出することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、短時間で高精度に、所望とする魚群の魚量を計測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の超音波送受信装置で魚量計測を行う原理について、説明する。
【0023】
図1は魚群探知機の超音波信号(魚探送信信号)のエコー信号(魚探エコー信号)によるエコー積分で得られる体積散乱Svの算出概念を説明するための図である。
図2は魚群探知機による断面積A
ESvと、ソナー装置による断面積A
SSvとの比較を模式的に示した図である。
図3は魚群散乱強度S
SCHの算出概念を説明するための魚群の三次元的広がりを示す図である。
【0024】
船舶90の魚群探知機から送信された超音波信号のエコー信号強度をエコー積分して得られる観測値である生のSV(以下単にSVと称する。)の最小単位は、Ping方向(走航方向)にΔx、深度方向にΔzとからなるピクセルPixのSVとなる。ここで、ピクセルPixを構成するΔxおよびΔzは、エコー信号の包絡線のAD(アナログ−デジタル)変換のサンプリング間隔をΔt、船速をv、超音波信号の送信周期をTとして、次式で得られる。
【0026】
ここで、
図1に示すように、或タイミングでのピクセルPix(K)のSVは、その直上の球殻部分FGHIからの散乱による。なお、ビーム(超音波信号が広がることにより当該超音波信号が照射される範囲)が魚群をかすめるビームであっても、
図1のピクセルPix(M)に示すように、ピクセルは得られる。このため、いわゆる境界効果により、見かけ上の魚群は、
図1に示すように、AA(真の魚群の広さ)からBBに拡がる。
【0027】
ところで、魚種識別のための魚群特徴の一つとして魚群断面散乱強度S
SECがあり、ピング方向をΔx方向、深度方向をΔz方向として、次式(式2)で与えられる。
【0029】
ここで、右辺の第1式は、SVを魚群探知機により観測される断面積A
ESvに対して面積積分することを表しており、Ping(ピング)番号をj=1,・・・,J、jピングについて鉛直方向のPix(ピクセル)番号をi=1,・・・,I
j、S
v,ijをijピクセルでのSV、S
v,jをjピングでの平均SV、S
A,jをjピングでの群内の面積散乱強度SAとしている。この式により、観測値であるSVから魚群断面散乱強度S
SECを算出することができる。
【0030】
ところで、この魚群断面散乱強度S
SECの元となる魚群の長さや面積は、上述のように実際によりも広くなって過大評価される。一方、SVは魚群の周辺では境界効果によって過小評価される。したがって、式2から算出される魚群断面散乱強度S
SECは、それぞれの偏りが補正された指標となり、魚群の特徴を示す精度良い指標となる。
【0031】
また、魚群探知機の超音波信号であるので、自船の直下、魚群に対しては直上から超音波信号が照射されるので、魚群を構成する単体魚の向きに影響されることなく、概ね単体魚の背中で超音波信号が反射してエコー信号が得られる。このため、エコー信号強度が安定し、信頼性の高い指標が得られる。
【0032】
この魚群断面散乱強度S
SECを、Ping方向および深度方向に直交する左舷−右舷方向(Side(Δy)方向)に積分すると魚群散乱強度S
SCHが得られる。魚群散乱強度は、超音波信号で観測する体積をVとすると、次式で表される。
【0034】
ここで、ソナー装置の超音波ビームによって広範囲を一回の全方位スキャンで探知できる。したがって、一回の全方位スキャンで魚群の体積を算出することができる。
【0035】
ソナー装置で算出した体積をVsとし、
図3に示すように、Side方向(Δy方向)に所定間隔で現れるk=1〜K層の断面を設定することで、ソナー装置の超音波ビームによって観測する自船直下の断面積をA
SSvとすると、(式3)から魚群散乱強度S
SCHの算出式を次式に変形することができる。
【0037】
ここで、S
v,SECは魚群断面内でのSVの平均値であり、次の(式5)から算出できる。
【0039】
上記(式4)において、A
ESv/A
SSvはソナー装置のよる断面積と魚群探知機による断面積との差を補正する係数である。したがって、魚群探知機で得られる式(5)で表される魚群断面内でのSVの平均値と、ソナー装置で得られる体積Vsとから、魚群散乱強度S
SCHを算出しても、これら算出元の違う観測値を用いることによる誤差を無くすことができる。
【0040】
このように、魚群散乱強度S
SCHは、ソナー装置のエコー信号から得られる魚群の体積Vs、自船直下の断面積をA
SSv、魚群探知機のエコー信号から得られる魚群断面散乱強度S
SEC、自船直下の断面積をA
ESvから算出することができる。そして、この方法では、エコー信号強度が安定する魚群探知機から魚群断面散乱強度S
SECを得て、ソナー装置で魚群の大きさに関する値を一度に得ることができるので、魚群散乱強度S
SCHを、短時間で高精度に算出することができる。
【0041】
ここで、魚群散乱強度S
SCHと、魚量Nと、魚群内の魚の平均ターゲットストレングスTsは、次の(式6)に示す関係を有する。
【0043】
したがって、高精度に得られた魚群散乱強度S
SCHと、魚群探知機のエコー信号で得られた構成なターゲットストレングスTsとを、(式6)に代入すれば、高精度に魚量を算出することができる。
【0044】
次に、上述の魚量算出処理を実行するための構成について説明する。
図4は上述の魚量算出処理を実行する超音波送受信装置10の構成を示すブロック図である。
図5は第1超音波送受信部21で実行する超音波送受信処理の概念図である。
図6は第2超音波送受信部22で実行する超音波送受信処理の概念図である。
【0045】
超音波送受信装置10は、魚群探知機の送受信処理を実行する第1超音波送受信部21、ソナー装置の送受信処理を実行する第2超音波送受信部22、演算部30、および、ユーザインターフェース部(UI部)40を備える。なお、図示しないが超音波送受信装置10は、制御部を備え、前記各部への制御を含む超音波送受信装置10の全体制御を行う。この制御部に、演算部30を組み込んでもよい。
【0046】
第1超音波送受信部21は、超音波送受波器211、インターフェース212、送信制御部213、受信部214を備える。送信制御部213は、所定の送信間隔で、パルスバースト波からなる第1超音波信号を超音波送受波器211から送信するように、送信制御を行う。送信制御部213は、インターフェース212を介して、送信制御信号を超音波送受波器211に出力する。
【0047】
超音波送受波器211は、船舶90から鉛直下方向を送波方向とするように、船舶90の船底に備えられている。超音波送受波器211は、送信制御信号によって駆動され、第1超音波信号を音波変換し、
図5(A),(B)に示すように、海中の鉛直下方向へ送波する。
【0048】
超音波送受波器211は、第1超音波信号が魚群等に反射した反射エコーを受波し、電気信号に変換して、第1エコー信号として出力する。第1エコー信号は、インターフェース212を介して、受信部214に入力される。
【0049】
受信部214は、一送信に対するエコー信号毎(Ping毎)に、第1エコー信号を、所定のサンプリングタイミング間隔でアナログデジタル変換して第1エコーデータを生成し、演算部30へ出力する。なお、エコーデータの演算部30への出力は、所定数のPing分をまとめて行ってもよい。
【0050】
このような構成により、第1超音波送受信部21は、
図5に示すように、船舶の鉛直方向直下にのみ超音波信号を送信して、その反射エコー信号を受信する、一般的な魚群探知機と同様の送受信処理を実行する。
【0051】
第2超音波送受信部22は、超音波送受波器221、インターフェース222、送信制御部223、受信部224を備える。送信制御部223は、所定の送信間隔で、所定の送信指向性を有する複数の送信ビームが形成されるように、送信ビーム制御を行う。送信制御部223は、インターフェース222を介して、送信ビーム制御信号を、複数の超音波送受波器221に出力する。
【0052】
複数の超音波送受波器221は、所定形状からなるドーム筐体の外面に配列して配設されている。例えば、複数の超音波送受波器221は、半球状のドーム筐体の外周面に配列設置されている。この超音波送受波器221が配設された半球状の超音波送受波部材は、半球の突出面側が、船舶90と反対側の鉛直下方向を向くように、船舶90の船底に取り付けられている。
【0053】
各超音波送受波器221は、送信制御信号によってそれぞれが位相制御されて駆動される。複数の超音波送受波器221は、
図6(A)のH1面に示すような、鉛直方向に対して所定角を成す傘状の領域をなす送信ビーム群を形成するように、それぞれが与えられた送波タイミングにしたがって、第2超音波信号を音波変換し、海中へ送波する。
【0054】
各超音波送受波器221は、第2超音波信号が魚群等に反射した反射エコーを受波し、電気信号に変換して、第2エコー信号として出力する。第2エコー信号は、インターフェース222を介して、受信部224に入力される。
【0055】
受信部224は、一送信に対するエコー信号毎(Ping毎)に、第2エコー信号を、所定のサンプリングタイミング間隔でアナログデジタル変換して第2エコーデータを生成する。受信部224は、
図6(A)のH2面および
図6(B)の矢印に示すように、鉛直方向に対して所定角間隔で受信ビームを形成するように、各第2エコー信号を合成し、方位へのビームエコーデータを生成する。受信部224は、ビームエコーデータを演算部30へ出力する。
【0056】
このような構成により、第2超音波送受信部22は、
図6に示すように、船舶90の鉛直方向直下に対して所定角の送信ビームを形成するように超音波信号を送信して、その反射エコー信号を受信して受信ビームを形成する。これにより、第2超音波送受信部22は、船舶90を中心とする海面下の広範囲を探知する。すなわち、第2超音波送受信部22は、一般的なスキャニングソナー装置と同様の送受信処理を実行する。なお、本実施形態では、一種のスキャニングソナー装置を例にしたが、既知の他のスキャニングソナー装置や、他種のソナー(例えば、サーチライトソナー装置)を用いてもよい。
【0057】
演算部30は、第1観測値算出部301、第2観測値算出部302、および魚量算出部303(本発明の「定量算出部」に相当する。)を備える。第1観測値算出部301は、第1超音波送受信部21から入力されたエコーデータに基づいて、上述の魚量算出処理に利用する魚群探知機から得られるデータを算出する。具体的には、第1観測値算出部301は、ターゲットストレングスTsと、体積散乱Svに基づく魚群断面散乱強度S
SECと、魚群探知機による断面積A
ESv(本発明の「第1断面積」に相当する。)と、を算出する。これらが本発明の「第1指標データ」に相当する。第1観測値算出部301は、これらのデータを魚量算出部303へ出力する。
【0058】
なお、ターゲットストレングスTsは送信信号強度とエコー信号強度から算出できる魚群の平均ターゲットストレングスである。体積散乱Svは、エコー積分法を用いて算出できる。これらの具体的な算出方法は、既知の方法を用いることができ、説明は省略する。
【0059】
また、第1観測値算出部301は、第1超音波送受信部21(=魚群探知機)による断面積A
ESvを、例えば次の方法で算出する。第1観測値算出部301は、第1超音波送受信部21から出力されたエコーデータに閾値を設定し、各エコーデータを閾値と比較して二値化する。第1観測値算出部301は、閾値以上のエコーデータに対する位置(Ping,深度)に魚群が存在すると判断する。この処理を所定Ping数分行い、閾値以上となる領域の外周線を検出し、当該外周線内の面積を二重積分(面積積分)することで、断面積A
ESvとして算出する(
図2、
図3参照)。
【0060】
第2観測値算出部302は、第2超音波送受信部22から入力されたビームエコーデータに基づいて、上述の魚量算出処理に利用するソナー装置から得られるデータを算出する。具体的には、第2観測値算出部302は、体積Vssと、ソナー装置による断面積A
SSv(本発明の「第2断面積」に相当する。)と、を算出する。これらが本発明の「第2指標データ」に相当する。第2観測値算出部302は、これらのデータを魚量算出部303へ出力する。
【0061】
第2観測値算出部302は、第2超音波送受信部22(=ソナー装置)による体積Vssを、例えば次の方法で算出する。第2観測値算出部302は、第2超音波送受信部22から出力されたビームエコーデータに閾値を設定し、各ビームエコーデータを閾値と比較して二値化する。第2観測値算出部302は、閾値以上のビームエコーデータに対する位置(Ping,深度、Side)に魚群が存在すると判断する。第2観測値算出部302は、この魚群が存在すると判断した範囲を三重積分(体積積分)して、体積Vssを算出する(
図3参照)。
【0062】
また、第2観測値算出部302は、第2超音波送受信部22(=ソナー装置)による
断面積A
SSvを、例えば次の方法で算出する。第2観測値算出部302は、第2超音波送受信部22から出力されたビームエコーデータにおける、超音波送受波部を含むping方向−深度方向断面のビームエコーデータを抽出し、これら断面のビームエコーデータに対して閾値を設定し、各ビームエコーデータを閾値と比較して二値化する。第2観測値算出部302は、閾値以上のビームエコーデータに対する位置(Ping,深度)に魚群が存在すると判断する。第2観測値算出部302は、閾値以上となる領域の外周線を検出し、当該外周線内の面積を断面積A
SSvとして算出する(
図2、
図3参照)。
【0063】
魚量算出部303は、第1観測値算出部301からのターゲットストレングスTs、魚群断面散乱強度S
SEC、および断面積A
ESvと、第2観測値算出部302からの体積Vss、および断面積A
SSvとを用いて、上述の原理から魚量Nを算出する。
【0064】
算出された魚量Nは、例えばUI部40の表示部402へ出力する。
【0065】
UI部40は操作部401、表示部402を備える。操作部401は、オペレータからの操作入力を受け付け、図示しない制御部や演算部30へ出力する。表示部402は、例えば液晶パネルからなり、演算部30で算出された魚量Nや、図示しない表示画像データ生成部で形成されたエコーデータに基づく魚探画像や、ビームエコーデータに基づくソナー画像を表示する。
【0066】
このような構成では、例えば、実際の操業の際、操業者が魚探画像やソナー画像を観察して、情報を知りたい魚群を選択する操作を行うと、選択情報が演算部30へ出力される。演算部30は、選択された魚群に対して、上述の魚量算出処理を行い、算出した魚量Nを表示部42へ表示させる。このように、操業者の所望する魚群の魚量を、操業しながら、短時間で且つ高精度に操業者へ提供することができる。
【0067】
なお、操作部41の少なくとも一部をタッチパネルとして、表示部42と一体化してもよい。また、魚量の算出は、手動の選択で始まるものではなく、魚群を検出する毎に自動で開始するようにしてもよい。さらに、複数の魚群が存在する場合には、個別に魚量を算出すればよい。
【0068】
次に、上述の原理を用いたシミュレーション結果を、図を参照して説明する。
図7はシミュレーションの前提条件を説明するための図であり、
図7(A)は魚群の深度特性を調べるシミュレーションの条件であり、
図7(B)は楕円体に想定した魚群の長軸に対して船舶が直角に通過するシミュレーションの条件であり、
図7(C)は楕円体に想定した魚群の短軸に対して船舶が直角に通過するシミュレーションの条件である。
図8はシミュレーション結果を示す図であり、
図8(A)が
図7(A)の条件による結果であり、
図8(B)が
図7(B)の条件による結果であり、
図8(C)が
図7(C)の条件による結果である。なお、
図8(A)において、実線で丸印の特性が条件設定により得られるSSの真値であり、破線でクロス(×)印の特性が上述の算出処理を行った場合を示す。なお、横軸に魚群番号1,2,3,4はそれぞれ異なる魚群を設定している。
【0069】
本実施形態の処理を用いれば、
図7(A)、(B),(C)に示すように、いずれの魚群であっても、いずれの条件であっても、真値に近く、優れた深度特性を有し、船舶と魚群の方向関係に関係なく優れた結果を得られることが分かる。
【0070】
なお、上述の説明では、魚群探知機に相当する第1超音波送受信部21と、ソナー装置に対応する第2超音波送受信部22とを備える例を示したが、ソナー装置に対応する第2超音波送受信部22のみで構成することも可能である。この場合、第1観測値算出部301を第2超音波送受信部22に接続し、魚群探知機に対応する第1超音波送受信部21で得られる情報は、ソナー装置に対応する第2超音波送受信部22における鉛直方向をメインローブとするビームエコーデータから算出すればよい。この場合、当該鉛直方向のビームエコーデータを所定Ping分記憶して、魚群探知機(第1超音波送受信部21)で得られる情報に相当する情報を算出するとよい。そして、この場合、魚群探知機による断面積とソナー装置による断面積から得られる補正係数A
ESv/A
SSvは「1」にすればよい。この構成とすることで、上述の第1超音波送受信部21を省略できるため、超音波送受信装置の構成を簡素化できる。
【0071】
また、上述の説明では、魚群の魚量を算出する例を示したが、同様に単体の物標が群れをなして移動するような他のターゲット物標に対しても、その定量を算出することに、上述の原理および構成を適用することができる。