(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボデー取付脚部は、挿入されるピン部を取り囲むように配置された一対の対向する脚部片から成り、前記ピン部は、脚部拡張用ブロック形状部を有し、該脚部拡張用ブロック形状部は、第1位置と第2位置の間で90度だけ回転可能であり、前記脚部拡張用ブロック形状部の前記一対の脚部片を結ぶ方向における幅は、第1位置において、前記対向する脚部片の間隔より小さく、第2位置において、前記脚部片の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のバンパーリテーナ。
前記ピン部は、前記脚部拡張用ブロック形状部の先端と結合する先端ガイドと前記脚部拡張用ブロック形状部の後端と結合する基幹部とをさらに有し、前記基幹部に前記第1フランジ部と前記レバー部が結合され、前記レバー部はピン部の長手軸方向に対して直角に延びていることを特徴とする請求項2に記載のバンパーリテーナ。
前記リテーナ本体の縦壁部のピン挿入側にピン部材を保護するための補強リブが設けられ、該補強リブは、前記第1フランジ部を収容するほど大きな円形状を有し、その円形部分の一部にレバー部の可動域を確保するための切り欠き部が設けられており、レバー部の先端に近い位置にロック形状部が設けられ、前記切り欠き部にピン保持ロック部が設けられており、前記ロック形状部と前記ピン保持ロック部が第2位置において係合して、ピン部材をリテーナ本体にロックするようになっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のバンパーリテーナ。
前記レバー部の先端部は、第1位置及び第2位置の何れか一方の位置において、リテーナ本体から飛び出しており、それにより、その飛び出した先端部が目視可能になっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のバンパーリテーナ。
前記一対の対向する脚部片が垂直方向に上下に対向する一対の脚部片から成り、前記レバー部は、第1位置において前記一対の脚部片を結ぶ方向に垂直に延びており、前記脚部拡張用ブロック形状部は、第1位置において水平方向の幅が垂直方向の幅よりも大きな形状を有しており、前記先端ガイドは、第1位置において水平方向の幅が先端に向かって細くなっており、前記脚部拡張用ブロック形状部の先端ガイドとの結合部は、第1位置において垂直方向の幅が先端ガイドの垂直方向の幅よりも小さくなって首状部を形成しており、それにより、第1位置においてピン部が挿入されたときに、上下の一対の脚部片が前記首状部と係合するようになっていることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載のバンパーリテーナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によれば、特許文献1に記載されているように、ボデーにバンパーカバーを取り付けるためには、リテーナをボデーに先に取り付け、リテーナにバンパーカバーを取り付けることでバンパーカバーの位置及び見切りを管理している(すなわち、バンパーカバーを精度良く位置決めして外観性を向上させている)が、特にリアーバンパーはボデーに穴をあけ、直接取り付けるため、シール性(水密性)が必要である。通常は、特許文献1に記載されたようなビス(ネジ)をドライバーで締め付けることにより、又は、タッピングスクリュー(タッピングネジ)をインパクトレンチで締め付けることにより、軸力を発生させ、ボデーの当たり面にパッキンを設定し、シール性を確保している。しかしながら、引用文献1のリテーナでは取りつけのために工具を必要とするために作業効率が低い。
【0006】
また、引用文献2に記載された締結用クリップは、工具を必要としないで2つの被締結部材を締結できるが、車両のボデーとバンパーリテーナを締結するものではない。従って、その締結構造は、拡張自在な筒状部を回転自在な作動片により内部から拡張させるという締結クリップの構造だけに依存しているので、締結力が弱く、また、防水機能もない。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決して、バンパーカバーの位置及び見切りを管理し且つボデーへの水の浸入を防ぎつつ工具を必要とせずに容易にバンパーカバーをボデーに取り付けることができるバンパーリテーナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両のボデーにバンパーカバーを取り付けるためのバンパーリテーナであって、バンパーカバーがボデーの所定の位置に正確に納まるように取付けるためのリテーナ本体と、リテーナ本体をボデーに取り付けるためのピン部材とを備え、前記リテーナ本体は、バンパーカバーを固定する固定爪と、ボデーに取り付けられる縦壁部と、縦壁部に設けられたピン挿入穴と、縦壁部のボデー取付側にピン挿入穴を囲むように設けられたボデー取付脚部とを有し、前記ピン部材は、ピン挿入穴に挿入されるピン部と、ピン部をその長手軸の廻りに第1位置と第2位置との間で回転させるレバー部と、ピン部とレバー部の間にあって前記長手軸から半径方向外方向に延びる第1フランジ部とを有し、前記ピン部は、第1位置においてボデー取付側と反対側のピン挿入側からピン挿入穴に挿入され、前記第1フランジ部は、ピン部がピン挿入穴に挿入されたときに、その先端がピン挿入穴を囲むように縦壁部のピン挿入側壁面に当接し、前記ボデー取付脚部は、ボデーの取付穴に挿入され且つ内部にピン部を受け入れ、前記ピン部は、第1位置においてボデー取付脚部を拡張させることなくその内部に受けいれられ且つ第2位置においてボデー取付脚部を拡張させてその先端をボデーの取付穴よりも外側へ押し広げ、それにより、リテーナ本体がボデーに締結されることを特徴とするバンパーリテーナが提供される。
【0009】
本発明の1つの実施形態によれは、前記リテーナ本体は、ボデー取付脚部が設けられている縦壁部の脚部取付部から半径方向外方向へ延びる第2フランジ部を有し、該第2フランジ部は、ボデー取付脚部がボデーの取付穴に挿入されたときに、その先端がボデーの取付穴を囲むようにボデーのピン挿入側壁面に当接するようになっていてもよい。
本発明の別の実施形態によれは、前記ピン部材の第1フランジ部と前記リテーナ本体の第2フランジ部は、いずれも弾性片フランジから成り、それにより、ボデー取付脚部の拡張時にリテーナ本体がピン部材と共にボデー内部へ引き込まれる際に、第2フランジ部がボデーに向かって撓むと共に第1フランジ部がリテーナ本体の縦壁部に向かって撓むようになっていてもよい。
【0010】
本発明の更に別の実施形態によれは、前記ボデー取付脚部は、挿入されるピン部を取り囲むように配置された一対の対向する脚部片から成り、前記ピン部は、脚部拡張用ブロック形状部を有し、該脚部拡張用ブロック形状部は、第1位置と第2位置の間で90度だけ回転可能であり、前記脚部拡張用ブロック形状部の前記一対の脚部片を結ぶ方向における幅は、第1位置において、前記対向する脚部片の間隔より小さく、第2位置において、前記脚部片の間隔よりも大きくなっていてもよい。
【0011】
本発明の更に別の実施形態によれは、前記ピン部は、前記脚部拡張用ブロック形状部の先端と結合する先端ガイドと前記脚部拡張用ブロック形状部の後端と結合する基幹部とをさらに有し、前記基幹部に前記第1フランジ部と前記レバー部が結合され、前記レバー部はピン部の長手軸方向に対して直角に延びていてもよい。
【0012】
本発明の更に別の実施形態によれは、前記リテーナ本体の縦壁部の脚部取付部にボデー当て面を設けてもよい。
【0013】
本発明の更に別の実施形態によれは、前記リテーナ本体の縦壁部のピン挿入側にピン部材を保護するための補強リブが設けられ、該補強リブは、前記第1フランジ部を収容するほど大きな円形状を有し、その円形部分の一部にレバー部の可動域を確保するための切り欠き部が設けられており、レバー部の先端に近い位置にロック形状部が設けられ、前記切り欠き部にピン保持ロック部が設けられており、前記ロック形状部と前記ピン保持ロック部が第2位置において係合して、ピン部材をリテーナ本体にロックするようになっていてもよい。
【0014】
本発明の更に別の実施形態によれは、前記レバー部の先端部は、第1位置及び第2位置の何れか一方の位置において、リテーナ本体から飛び出しており、それにより、その飛び出した先端部が目視可能になっていてもよい。
【0015】
本発明の更に別の実施形態によれは、前記一対の対向する脚部片が垂直方向に上下に対向する一対の脚部片から成り、前記レバー部は、第1位置において前記一対の脚部片を結ぶ方向に垂直に延びており、前記脚部拡張用ブロック形状部は、第1位置において水平方向の幅が垂直方向の幅よりも大きな形状を有しており、前記先端ガイドは、第1位置において水平方向の幅が先端に向かって細くなっており、前記脚部拡張用ブロック形状部の先端ガイドとの結合部は、第1位置において垂直方向の幅が先端ガイドの垂直方向の幅よりも小さくなって首状部を形成しており、それにより、第1位置においてピン部が挿入されたときに、上下の一対の脚部片が前記首状部と係合するようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、道具を使用せずに、ピン部材を回転させることにより、ボデー取付脚部を拡張させてその先端をボデーの取付穴よりも外側へ押し広げ、それにより、リテーナ本体がボデーに締結されるので、バンパーリテーナをボデーに容易に取り付けることができ、従って、バンパーカバーの取り付け作業の効率性も向上する。
【0017】
本発明によれば、バンパーリテーナをボデーに締結する際に、リテーナ本体とピン部材の2つの弾性片フランジがそれぞれボデー及びリテーナ本体に向かって撓むので、ボデーの取付穴及びリテーナ本体のピン挿入穴からボデー内部への水の侵入を防止できる。
【0018】
本発明によれは、ピン部材のレバー部の先端部が、第1位置及び第2位置の何れか一方の位置において、リテーナ本体から飛び出しており、それにより、その飛び出した先端部が目視可能になっているので、作業者は、レバー部の先端部がリテーナ本体内に収まっているか又はリテーナ本体外へ飛び出しているかによって若しくはその逆によって、締結が完了しているかどうかを容易に確認できる。
【0019】
本発明によれは、リテーナ本体に当て面を設けているので、バンパーカバー取付後の自重及び外的応力に対し、リテーナ本体の姿勢変化を抑制することができ、弾性片フランジへの応力の入力を防ぎ、防水機能を保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら本発明の1実施形態に係るバンパーリテーナについて説明する。まず、バンパーリテーナ1の構造について、主に
図1乃至
図4を参照しながら説明する。
【0022】
図1乃至
図4に示されているように、バンパーリテーナ1は、リテーナ本体2とピン部材3とで構成され、バンパーリテーナ1の通常の製品は、リテーナ本体2にピン部材3を差し込んだ状態で構成されている(
図3及び
図4参照)。図示する実施形態では、2つのピン部材3がリテーナ本体2に差し込まれているが、このピン部材3の数は、バンパーリテーナ1のボデー30(
図5乃至
図8参照)への締結箇所の数すなわちボデー30の取付穴の数により変動する。
【0023】
リテーナ本体2は、
図1に示されるように、ボデー側を背にして車両の外側へ向いて凹部が形成されたコの字型の断面構造を有しており、その上壁部4にはバンパーカバー40(
図7参照)を固定する固定爪5が設けられ、その縦壁部6にはピン部材3の一部を挿入するためのピン挿入穴7が設けられている。ピン挿入穴7の数は、ピン部材3の数と同じであり、ピン部材3の数と同様に、バンパーリテーナ1のボデー30への締結箇所の数すなわちボデー30の取付穴の数により変動する。
【0024】
リテーナ本体2の縦壁部6のピン挿入側壁面には、
図1及び
図3に示すように、各ピン挿入穴7の周りを囲むように補強リブ8が設けられ、この補強リブ8が円形の凹部を形成している。この補強リブ8の一部が約90度の円弧範囲に亘って切り欠かれて切り欠き部9が形成されている。この切り欠き部9には、ピン部材3をロックするためのピン保持ロック部10が設けられている。
【0025】
リテーナ本体2の縦壁部6のボデー側壁面には、
図2及び
図4に示すように、ボデー30の取付穴(
図5乃至
図8参照)に挿入されるボデー取付脚部11が設けられている。ボデー取付脚部11の数も、ピン挿入穴7の数及びピン部材3の数と同様に、バンパーリテーナ1のボデー30への締結箇所の数すなわちボデー30の取付穴の数により変動する。各ボデー取付脚部11は、ピン挿入穴7を囲むように設けられており、垂直方向に対向する一対の脚部片で構成され、その内側にピン部材3の一部を受け入れるようになっている(
図3及び
図4参照)。
【0026】
各ボデー取付脚部11は、縦壁部6のボデー側壁面からわずかに隆起した円形の脚部取付部12に設けられている(
図4参照)。脚部取付部12には、ボデー取付脚部11の基部からボデー側に向かって半径方向外方向に延びる脚部弾性片フランジ13が設けられている(
図5乃至
図8参照)。この脚部弾性片フランジ13は、ボデー取付脚部11がボデー30の取付穴に挿入されたときに、その先端がボデー30の取付穴を囲むようにボデー30のピン挿入側壁面に当接するようになっている。
【0027】
更に、脚部取付部12には、ボデー当て面14が設けられている。このボデー当て面14は、脚部弾性片フランジ13の両側に設けられて、脚部弾性片フランジ13の先端がボデー30に当接するときに、その先端がボデー30に当接するように脚部取付部12からボデー30へ向かって突出している。このボデー当て面14を管理することで、バンパーカバー搭載時などの応力に対する、バンパーリテーナ1の姿勢変化を抑制することができ、脚部弾性片フランジ13への応力の入力を防ぎ、防水性能を保つことができる。
【0028】
各ピン部材3は、リテーナ本体2のピン挿入穴7に挿入されるピン部15と、ピン部15の長手軸に対して直角に結合されたレバー部16と、ピン部15とレバー部16の間にあってピン部15の長手軸から半径方向外方向に延びるピン部材弾性片フランジ17とで構成されている。レバー部16は、ピン部15の長手軸に対して垂直方向下方向に延びる垂直位置(
図1乃至
図5参照)と、水平方向平行に延びる水平位置(
図6参照)との間で90度だけ回転可能になっている。このレバー部16の回転に伴ってピン部15はその長手軸の廻りに90度だけ回転するようになっている。ピン部材3は、垂直位置においてピン部15がリテーナ本体2のピン挿入穴7に挿入され(
図3乃至
図5参照)、水平位置においてリテーナ本体2をボデー30に取り付けて締結するようになっている(
図6参照)。
【0029】
このレバー部16の可動域を確保するために、補強リブ8に、上述したような切り欠き部9が設けられている。また、同様の理由で、リテーナ本体2の下壁部にも切り欠き部が設けられている(
図1及び
図3参照)。レバー部16の先端に近い位置にはロック形状部18が設けられている。このロック形状部18は、レバー部16が
図6に示すような水平位置にあるときに切り欠き部9のピン保持ロック部10と係合してピン部材3をリテーナ本体2にロックするようになっている。
【0030】
ピン部15は、先端部を形成する先端ガイド19と、先端ガイド19に結合された脚部拡張用ブロック形状部20と、該脚部拡張用ブロック形状部20に結合された基幹部21で構成されている。バンパーリテーナ1の組み立て時には、先端ガイド19がボデー取付脚部11よりも前方へ飛び出した状態にあり、脚部拡張用ブロック形状部20がボデー取付脚部11内に収容された状態にあり、基幹部21がピン挿入穴7の開口部に収容された状態にある(
図3乃至
図5参照)。基幹部21には、ピン部材弾性片フランジ17とレバー部16が結合されている。ピン部材弾性片フランジ17は、ピン部15がピン挿入穴7に挿入されたときに、その先端がピン挿入穴7を囲むように縦壁部6のピン挿入側壁面に当接している(
図5参照)。
【0031】
レバー部16は、垂直位置においてピン部15がピン挿入穴7に挿入されたときに、垂直方向下方向に延びる先端部が、縦壁部6の下端よりも飛び出しており、飛び出した先端部を作業者が目視可能となっている(
図5参照)。これによって、レバー部16は、通常、リテーナ本体2から飛び出している(
図5参照)が、レバー部16を回転させることによりバンパーリテーナ1のボデー30への締結が完了すると、レバー部16がリテーナ本体2の内部に収容される(
図6参照)。従って、締結が完了すると、レバー部16がリテーナ本体2から飛び出していないことが目視で確認できるので、トレーサビリティを確保できる。すなわち、作業者は、締結時にレバー部16がリテーナ本体2の下端から飛び出していることによって締結が完了していないことを、また、リテーナ本体2の内部に収容されていることによって締結が完了していることを、それぞれ目視で容易に確認できる。
【0032】
ピン部15の脚部拡張用ブロック形状部20は、
図1及び
図2に示すように、垂直位置において、水平方向の幅が垂直方向の幅よりも大きくなっており、さらに、垂直方向の幅がボデー取付脚部11の一対の脚部片の間隔よりも小さく且つ水平方向の幅がその間隔よりも大きくなっている(
図5及び
図6参照)。このような形状によって、脚部拡張用ブロック形状部20は、垂直位置において、ボデー取付脚部11の脚部片を拡張させることなくその内部に受けいれられ且つ水平位置においてボデー取付脚部11の脚部片を拡張させてその先端をボデー30の取付穴よりも外側へ押し広げ、それにより、リテーナ本体2がボデー30に締結されるようになっている。
【0033】
ピン部15の先端ガイド19は、
図1及び
図2に示すように、垂直位置において、水平方向の幅が先端に向かって細くなって上から見ると台形状をしており、これによって、ピン挿入穴7にピン部15の先端が挿入し易くなっている。脚部拡張用ブロック形状部20の先端ガイド19との結合部は、垂直位置において、垂直方向の幅が先端ガイド19の垂直方向の幅よりも小さくなって首状部22を形成しており、それにより、垂直位置においてピン部15が挿入されたときに、ボデー取付脚部11の脚部片が首状部22と係合するようになっている。基幹部21は、ピン挿入穴7の開口部内で回転できるように円柱状である。ピン挿入穴7は、ピン部15の挿入時における脚部拡張用ブロック形状部20の形状に合わせて水平方向の幅が垂直方向の幅よりもやや大きな形状を有している。
【0034】
次にバンパーリテーナ1の動作について主に
図5乃至
図8を参照して説明する。先ず、バンパーリテーナ1の組み立て時の状態について説明すると、上述したように、バンパーリテーナ1の通常の製品は、リテーナ本体2にピン部材3を差し込んだ状態で構成されている(
図3及び
図4参照)。すなわち、リテーナ本体2の補強リブ8で囲まれた円形の凹部内にあるピン挿入穴7に、
図1及び
図2に示すような垂直位置にあるピン部材3のピン部15が挿入されている。
【0035】
挿入されたピン部15の先端ガイド19は、ボデー取付脚部11の先端を越えて前方へ突出している。垂直位置では脚部拡張用ブロック形状部20の垂直方向の幅がボデー取付脚部11の脚部片の間隔よりも小さいので、脚部片が拡張されることなく、脚部片の先端が首状部22と係合している。これによって、組み立て後のピン部材3のリテーナ本体2からの脱落が防止される。このときに、ピン部15の脚部拡張用ブロック形状部20は、ボデー取付脚部11内に、その脚部片によって上下から挟まれるように収容されている。また、円形のピン部材弾性片フランジ17が補強リブ8で囲まれた円形の凹部に収容され、その先端がピン挿入穴7を囲むように縦壁部6のピン挿入側壁面に当接している(
図5参照)。
【0036】
次にバンパーリテーナ1をボデー30に取り付けて締結する動作について説明する。
図5は、
図3及び
図4に示したバンパーリテーナ1のボデー取付脚部11をボデー30の取付穴に挿入しただけの締結前の状態を示している。このとき、ピン部材3のレバー部16は、上述したように垂直位置にあって、その先端部がリテーナ本体2の下端部から飛び出した状態にあり、作業者がその飛び出しを目視可能になっている。また、ピン部15の先端ガイド19が、ボデー取付脚部11の脚部片を超えて前方へ突出し、脚部片の先端が脚部拡張用ブロック形状部20の首状部22に係合し、ピン部材3の円形のピン部材弾性片フランジ17の先端がピン挿入穴7を囲むように縦壁部6のピン挿入側壁面に当接している。また、脚部弾性片フランジ13の先端が、ボデー30の取付穴を囲むようにボデー30のピン挿入側壁面に当接し、ボデー当て面14の先端も、脚部弾性片フランジ13の両側においてボデー30に当接している。
【0037】
リテーナ本体2のボデー取付脚部11をボデー30の全ての取付穴に挿入した後、
図6に示すように、作業者が、レバー部16を矢印aの方向に回転させる。レバー16が水平位置まで回転すると、レバー16のロック形状部18がリテーナ本体2のピン保持ロック部10と係合し、それによりピン部材3がリテーナ本体2にロックされる。
【0038】
レバー16が垂直位置から水平位置まで回転すると、その回転は、ピン部材3の基幹部21を介して脚部拡張用ブロック形状部20に伝わって、脚部拡張用ブロック形状部20が90度だけ回転する。これによって、リテーナ本体2のボデー取付脚部11内に収容されていた脚部拡張用ブロック形状部20が、矢印bで示すように、ボデー取付脚部11の脚部片を内側から外側へ押し広げることによって、ボデー取付脚部11を拡張させる。この拡張によって、ボデー取付脚部11の垂直方向の幅がボデー30の取付穴より大きくなる。この拡張したボデー取付脚部11と、リテーナ本体2に当接しているピン部材弾性片フランジ17とによって、ボデー30とリテーナ本体2とが締結される。
【0039】
ボデー取付脚部11の脚部片が押し広げられることによって、リテーナ本体2が、
図8の矢印cで示すように、ボデー30の内部へ引き込まれる。これによって、脚部弾性片フランジ13が撓んで、その先端とボデー30の外壁面との接触面積が大きくなる(円形部分d参照)。この結果、ボデー30の取付穴が脚部弾性片フランジ13によってシールされ、外部からの水の侵入が防止される。また、リテーナ本体2がボデー30の内部へ引き込まれるのに伴って、ピン部材3が、僅かな距離(α寸法分)だけボデー30の内部へ引き込まれる。これによって、ピン部材弾性片フランジ17が撓んで、その先端とリテーナ本体2のピン挿入側壁面との接触面積が大きくなる(円形部分e参照)。この結果、ピン挿入穴7がピン部材弾性片フランジ17によってシールされ、外部からの水の侵入が防止される。
【0040】
上述した構造では、1締結箇所に2箇所のシール(防水)が必要な部位(リテーナ本体2とボデー3の間及びリテーナ本体2とピン部材3との間)があるが、それぞれ弾性片フランジ(脚部弾性片フランジ13及びピン部材弾性片フランジ17)が設けられており、十分なシール性(防水性)が確保されている。
【0041】
また、リテーナ本体2にボデー当て面14が設けられているので、ボデー当て面14のボデー30との接触部分(
図6(c)の円形部分f参照)を管理することで、バンパーカバー搭載時などの応力に対する、バンパーリテーナ1の姿勢変化を抑制することができ、脚部弾性片フランジ13への応力の入力を防ぎ、防水性能を保つことができる。
【0042】
バンパーリテーナ1がボデー30に締結された後、
図7に示すように、バンパーカバー40がバンパーリテーナ1に取り付けられる。バンパーカバー40の取り付けは、バンパーカバー40の係合部41をバンパーリテーナ1の固定爪5と係合させることにより行われる。
【0043】
以上本発明の1実施形態のバンパーリテーナ1について説明したが、他の変形も可能である。図示した実施形態では、レバー部16が、締結前に垂直位置にあってリテーナ本体2の下端から飛び出し(
図5参照)、締結後に水平位置にあってリテーナ本体2の内部に収容される(
図6参照)ように構成されているが、逆に、締結前にリテーナ本体2の内部に収容され、締結後にその下端から飛び出すように構成することもできる。これは、図示した実施形態の構造に対して、ボデー取付脚部11の構造又は脚部拡張用ブロック形状部20の構造の何れか一方を軸方向の廻りに90度回転させることによって達成される。
【0044】
このような変形によって、作業者は、締結時にレバー部16がリテーナ本体2の内部に収容されていることによって締結が完了していないことを、また、リテーナ本体2の下端から飛び出していることによって締結が完了していることを、それぞれ目視で容易に確認できる。
【0045】
また、図示した実施形態では、ボデー取付脚部11が一対の脚部片で構成されているが複数の脚部片で構成することも可能である。また、締結前と締結後のレバー部16の角度が90度に設定されているが、ボデー取付脚部11の複数の脚部片の数や設置の角度と、それに対応する脚部拡張用ブロック形状部20の構造を、軸方向の廻りに適宜設定することにより、その角度を任意の角度に設定することができる。