特許第5767060号(P5767060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767060
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】二次電池用正極材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20150730BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20150730BHJP
   C01B 25/455 20060101ALI20150730BHJP
   C01B 31/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H01M4/58
   H01M4/36 C
   C01B25/455
   C01B31/02 101Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-182118(P2011-182118)
(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公開番号】特開2012-252996(P2012-252996A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0051912
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】599028364
【氏名又は名称】電子部品研究院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ELECTRONICS TECHNOLOGY INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 東 建
(72)【発明者】
【氏名】金 思 欽
(72)【発明者】
【氏名】金 映 俊
(72)【発明者】
【氏名】宋 俊 昊
(72)【発明者】
【氏名】趙 祐 ソク
(72)【発明者】
【氏名】金 點 洙
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260761(JP,A)
【文献】 特表2004−514639(JP,A)
【文献】 特開2010−238603(JP,A)
【文献】 特開2009−302044(JP,A)
【文献】 特開2012−209032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/58
H01M 4/36
C01B 25/455
C01B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が1nm以上、かつ100nm以下であり、3.7V〜4.0Vの間で放電による電位平坦面を示し、また、導電性を向上させるためにカーボンによりコーティングされたものであって、化学式AMnPOFで表される化合物を含むことを特徴とする二次電池用正極材料。
ここで、A=LiまたはNa、あるいはこれらの混合物であり、0<x≦2である。
【請求項2】
請求項1に記載された二次電池用正極材料を製造する方法であって、
リチウム(Li)酸化物またはその前駆体、マンガン(Mn)酸化物またはその前駆体、リン(P)酸化物またはその前駆体、フッ化物(F)またはその前駆体を、ボールミルで均一に混合して得られた混合物を300℃、2時間空気雰囲気中で前処理する第1段階と、
第1段階で得られた混合物にカーボン導電材を投入して混合し湿式ボールミルを行う過程と、湿式ボールミルが完了した混合物を回収し、アルゴンガス雰囲気で焼成させる過程と、焼成された正極材料をさらにカーボン導電材と一定の割合で均一に混合した後、再熱処理する過程と、を備える第2段階と、を含み、
前記リチウム酸化物の前駆体は、リン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、フルオロリチウム、塩化リチウム、ブロム化リチウム、沃化リチウムまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであり、
前記マンガン酸化物の前駆体は、マンガン金属、酸化マンガン、シュウ酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マンガンまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであり、
前記リン酸化物の前駆体は、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであり、
前記カーボン導電材は、クエン酸(Citric Acid)、スクロース、スーパー−P(Super−P)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンの中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする二次電池用正極材料の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載された二次電池用正極材料を製造する方法であって、
ナトリウム(Na)酸化物またはその前駆体、マンガン(Mn)酸化物またはその前駆体、リン(P)酸化物またはその前駆体、フッ化物(F)またはその前駆体を、ボールミルで均一に混合して得られた混合物を300℃、2時間空気雰囲気中で前処理する第1段階と、
第1段階で得られた混合物にカーボン導電材を投入して混合し湿式ボールミルを行う過程と、湿式ボールミルが完了した混合物を回収し、アルゴンガス雰囲気で焼成させる過程と、焼成された正極材料をさらにカーボン導電材と一定の割合で均一に混合した後、再熱処理する過程と、を備える第2段階と、を含み、
前記ナトリウム酸化物の前駆体は、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、フルオロナトリウム、塩化ナトリウム、ブロム化ナトリウム、またはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであり、
前記マンガン酸化物の前駆体は、マンガン金属、酸化マンガン、シュウ酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マンガンまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであり、
前記リン酸化物の前駆体は、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであり、
前記カーボン導電材は、クエン酸(Citric Acid)、スクロース、スーパー−P(Super−P)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンの中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする二次電池用正極材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用正極材料及びその製造方法に係り、より詳しくは、リチウム或いはナトリウムを含むマンガンフルオロリン酸化物を電極材料に用いた二次電池用正極材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯可能な小型電気電子機器の普及が拡大するにつれて、ニッケル水素電池やリチウム二次電池といった新型二次電池の開発が活発に進んでいる。このうちリチウム二次電池は、黒鉛などのカーボンを負極活物質とし、また、リチウムが含まれている酸化物を正極活物質とするとともに、非水溶媒を電解液に用いる電池を言い、リチウムの場合は、イオン化傾向が非常に大きな金属であるため、高電圧の発現が可能で、エネルギー密度の高い電池の開発に活用されている。
【0003】
上記正極活物質には、リチウムを含有しているリチウム遷移金属酸化物が主に用いられており、コバルト系、ニッケル系及びコバルト、ニッケル、マンガンが共存する三成分系などのような層状系リチウム遷移金属酸化物が90%以上用いられている。
しかし、正極活物質として多く用いられている層状系リチウム遷移金属酸化物は、非理想状態(過充電及び高温状態)で格子にある酸素が脱離して反応に関与することにより、電池の発火のような異常挙動の原因となっている。これは層状系リチウム金属酸化物が持つ短所であり、これを克服するためにスピネル系及びオリビン系構造を有する正極活物質に関する研究が進んでいる。
【0004】
このような正極の劣化により安全性が劣化するリチウム二次電池の問題を解決する手段として、正極材料に、層状系リチウム遷移金属酸化物ではなく、3次元のリチウムの移動経路を持つスピネル系リチウムマンガン酸化物及びオリビン構造を含むポリオニオン系リチウム金属リン酸化物を用いることが提案されている。しかし、スピネル系リチウムマンガン酸化物は、充放電に伴うマンガンの溶出問題とヤーン・テラー効果による構造の不安定性のため、その使用が制限されている。
上記オリビン系リチウム金属リン酸化物のうち、鉄(Fe)系とマンガン(Mn)系の場合は、低い電気伝導のため正極材料としての使用が制限されていたが、粒子のナノサイズ化及びカーボンコーティングなどによりその問題が改善され、正極材料としての使用が可能になっている。
【0005】
最近は、ポリオニオン系材料のうち、フッ素を含むフルオロリン酸化物(Fluorophosphates)が報告されている。フルオロリン酸化物は、フッ素を含むAMPOFの化学式で表され、ここでAは、Li、Na、Mは、遷移金属のMn、Fe、Co、Ni、V、あるいはこれらの混合物であり、理論的には2個のナトリウムを含んでいるので、既存のリチウム金属リン酸化物比約2倍の理論容量が期待される。
また、ナトリウムを含むNaMPOF(M=Mn、Fe、Co、Ni、Vあるいはこれらの混合物)は、リチウム二次電池の正極素材として用いられるとき、初期充電の過程でナトリウムが脱離し、また、初期放電でリチウムが挿入され、以後のサイクルでは、リチウムの挿入脱離反応が充放電と共に進められ、また、ナトリウム電池の正極素材として用いられるときは、ナトリウムの挿入脱離が充放電と共に進められる。
【0006】
米国特許6、872、492には、ナトリウムを含むNaVPOF、NaFePOF、(Na,Li)FePOFなどのフルオロリン酸化物をナトリウム電池の正極材料に用いた例が開示されているが、リチウム電池ではなく、ナトリウム電池に限定されている。
従来技術の他の例としては、ナトリウム鉄フルオロリン酸化物NaFePOFとして、NaFePOFの構造、リチウム二次電池の正極素材としての電気化学的特性などが公開されているが、鉄系のNaFePOFの場合、充放電電位は約3.5Vで、鉄系オリビン素材のように低い充放電電位を有する短所があり、また、鉄系と比較してマンガン系NaMnPOFは、より高い電位(4V)を有するものの、マンガンを含むポリオニオン系材料の低い電気伝導度による電気化学的不活性が問題として指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許6、872、492
【特許文献2】特開2001−328818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、リチウムあるいはナトリウムを含むマンガンフルオロリン酸化物を電極材料として使用可能にした点、ナノ粒子化に起因した短いリチウム拡散距離により、ナトリウム/リチウムの挿入/脱離反応が可能なリチウム/ナトリウム電池の正極材料が提供できる点、そして、効果的なカーボンコーティングによる電気伝導度の向上により、電気化学的活性を有するようになるリチウム/ナトリウム電池の正極材料が提供できる点などを達成するための二次電池用正極材料及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、粒径が1nm以上、かつ100nm以下であり、3.7V〜4.0Vの間で放電による電位平坦面を示し、また、導電性を向上させるためにカーボンによりコーティングされたものであって、化学式AMnPOFで表される化合物を含むことを特徴とする。
ここで、A=LiまたはNa、あるいはこれらの混合物であり、0<x≦2である。
また、本発明は、リチウム(Li)酸化物またはその前駆体、マンガン(Mn)酸化物またはその前駆体、リン(P)酸化物またはその前駆体、フッ化物(F)またはその前駆体を、ボールミルで均一に混合して前処理する第1段階と、前処理段階で得られた混合物にカーボン材料を投入し、さらにボールミルで均一に混合して熱処理する第2段階と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ナトリウム(Na)酸化物またはその前駆体、マンガン(Mn)酸化物またはその前駆体、リン(P)酸化物またはその前駆体、フッ化物(F)またはその前駆体を、ボールミルで均一に混合して前処理する第1段階と、前処理段階で得られた混合物にカーボン材料を投入し、さらにボールミルで均一に混合して熱処理する第2段階と、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記第1段階は、ボールミルを用いて6時間均一に混合された混合物を、300℃で2時間空気雰囲気で前処理することを特徴とし、前記第2段階は、第1段階で得られた混合物にカーボン導電材を混合し、湿式ボールミルを行う過程と、湿式ボールミルが完了した混合物を回収し、アルゴンガス雰囲気で焼成させる過程と、焼成された正極材料をさらにカーボン導電材と一定の割合で均一に混合した後、再熱処理する過程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記再熱処理する過程は、反応液を水洗及び乾燥する過程の後、焼成された正極材料をカーボン導電材と均一に混合し、200〜500℃で熱処理されることを特徴とする。
【0013】
前記リチウム酸化物の前駆体は、リン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、フルオロリチウム、塩化リチウム、ブロム化リチウム、沃化リチウムまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする。
【0014】
前記ナトリウム酸化物の前駆体は、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、フルオロナトリウム、塩化ナトリウム、ブロム化ナトリウム、またはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする。
【0015】
前記マンガン酸化物の前駆体は、マンガン金属、酸化マンガン、シュウ酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マンガンまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする。
【0016】
前記リン酸化物の前駆体は、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはこれらの混合物の中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする。
【0017】
前記カーボン導電材は、クエン酸(Citric Acid)、スクロース、スーパー−P(Super−P)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンの中から選択されたいずれか一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、100nm以下の1次粒径を有するので、リチウムあるいはナトリウムイオンの拡散距離を短縮できる正極材料を提供することができる。
また、正極に使用可能な電気化学的活性を有し、また、リチウムあるいはナトリウムの挿入と脱離が可能な長所がある。
特に、本発明の正極材料を二次電池用正極に適用する場合、(Liと比較して)約3.8Vの放電電圧が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1により製造されたリチウム二次電池用リチウムマンガンフルオロリン酸化物正極材料のX線回折図形である。
図2】本発明の実施例1(C)の方法により製造された正極材料と、比較例2(A)及び比較例4(B)の方法により製造された正極材料との電子顕微鏡イメージを示す図である。
図3】比較例2により製造された正極材料を含む電池の常温での充/放電曲線を示す図である。
図4】比較例4により製造された正極材料を含む電池の常温での充/放電曲線を示す図である。
図5】実施例1により製造された正極材料を含む電池の常温での充/放電曲線を示す図であり、放電カットオフ(Cut−off)が(A)では 2.0V、(B)では1.0Vを示す。
図6】実施例1により製造された正極材料を含む電池の高温(60゜C)での放電曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
本発明は、(化1)で表される化合物を含む二次電池用正極材料を提供するものである。
[化1]
MnPO
ここで、A=LiまたはNaであり、あるいはいずれも含むことができ、0<x≦2である。
特に、本発明の正極材料は、粒径が1nm以上かつ100nm以下の粉末であって、3.7V〜4.0Vの間で放電による電位平坦面を示し、導電性を向上させるためにカーボンがコーティングされている。
【0021】
以下、本発明による二次電池用正極材料の製造方法について説明する。
まず、本発明の正極材料にリチウムが含まれる場合、リチウム(Li)酸化物またはその前駆体、マンガン(Mn)酸化物またはその前駆体、リン(P)酸化物またはその前駆体、フッ化物(F)またはその前駆体を、ボールミルにより均一に混合する前処理段階が進められる。このように前処理段階で得られた混合物にカーボン材料を投入し、さらにボールミルにより均一に混合して焼成する熱処理段階を経て二次電池用正極材料が製造される。
【0022】
また、本発明の正極材料にナトリウムが含まれる場合にも、ナトリウム酸化物またはその前駆体、マンガン酸化物またはその前駆体、リン酸化物またはその前駆体、フッ化物またはその前駆体を、ボールミルにより均一に混合する前処理段階が進められ、このように前処理段階で得られた混合物にカーボン材料を投入し、さらにボールミルにより均一に混合して焼成する熱処理段階を経て二次電池用正極材料が製造される。
上記で得られた正極材料を別のカーボン導電材と均一に混合し、さらに400〜800℃で熱処理する。
このような本発明の正極材料の組成割合は、(化1)により適切に配合できるものであり、特定の組成割合に限定されない。
【0023】
リチウム酸化物の前駆体としては、リン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、フルオロリチウム、塩化リチウム、ブロム化リチウム、沃化リチウムまたはこれらの混合物の中から選択されたものを使用する。
上記ナトリウム酸化物の前駆体は、特に制限されるものではないが、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、フルオロナトリウム、塩化ナトリウム、ブロム化ナトリウム、またはこれらの混合物である。
【0024】
マンガン酸化物の前駆体は、特に制限されるものではないが、マンガン金属、酸化マンガン、シュウ酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マンガンまたはこれらの混合物である。
リン酸化物の前駆体は、特に制限されるものではないが、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはこれらの混合物である。
フッ素の前駆体は、特に制限されるものではないが、金属フッ化物、フッ化物またはこれらの混合物である。
【0025】
カーボン導電材は、特に制限されるものではないが、クエン酸(Citric Acid)、スクロース、スーパーP(Super−P)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(Ketchen Black)、またはカーボンからなる物質が用いられる。
このとき、カーボン導電材の投入により粒径の制御効果が得られ、そのため、粒子成長の抑制が可能になり、反応後の残りのカーボンは、正極材料の粒子間に満遍なく分布して導電材の役割を果たす。
【0026】
このように製造される本発明の正極材料は、リチウム二次電池の製造に用いられ、正極材料を異にして適用したこと以外は、既存のリチウム二次電池の製造方式と同様である。その構成及び製造方法を以下に説明する。
まず、本発明の正極材料を用いた正極極板の製作工程について説明する。導電材、結着剤、フィラー、分散剤、イオン導電剤、圧力増強剤などのような通常用いられているl種または2種以上の添加成分を必要に応じて添加し、適当な溶媒(有機溶媒)によりスラリーまたはペースト化する。このようにして得られたスラリーまたはペーストを電極支持基板にドクターブレード法などにより塗布した後、乾燥過程を経て、圧延ロールなどでプレスし、最終的な正極極板が製造される。
【0027】
このとき、上記導電材の例として、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、金属粉などがある。結着剤には、PVdF、ポリエチレンなどを用いることができ、また、電極支持基板(集電体)は、銅、ニッケル、ステンレス鋼鉄、アルミニウムなどのような箔、シートあるいは炭素繊維などで構成することができる。
このように製造された正極極板を用いてリチウム二次電池を製作するが、リチウム二次電池の形態は、コイン、ボタン、シート、円筒形、角形などのうちのいずれであってもよく、リチウム二次電池の負極、電解質、分離膜などは、既存のリチウム二次電池に用いるものでよい。
負極活物質は、リチウムを含む遷移金属の複合酸化物などのl種あるいは2種以上を用いることができる。その他にシリコン、錫なども負極活物質として用いることができる。
【0028】
また、上記電解液は、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液、無機固体電解質、無機固体電解質の複合材などのいずれも用いることができ、非水系電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどのエステル類、ブチルラクトンなどのラクトン類、1,2−ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリルなどのニトリル類などのl種あるいは2種以上を用いることができる。また、非水系電解液のリチウム塩としては、LiAsF、LiBF、LiPFなどを用いることができる。
分離膜には、PP及び/又はPEなどのポリオレフィンから製造される多孔性フィルムや不織布などの多孔性材を用いることができる。
【0029】
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
<実施例1>
定量の炭酸ナトリウム(NaCO)、シュウ酸マンガン(II)・二水和物(MnC・2HO)、フルオロナトリウム(NaF)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、リン酸アンモニウム(NHPO)を、総量10g投入し、6時間ボールミルして均一に混合した。得られた混合物を300℃で2時間空気雰囲気で前処理した後、カーボン導電材としてクエン酸20wt%を投入し、ヘキサンを溶媒に用いて湿式ボールミルを24時間行った。次に、湿式ボールミルが完了した混合物を十分に回収し、500℃で6時間アルゴンガス雰囲気で焼成し、製造された正極材料をスーパーPと75:25の割合でボールミルにより均一に混合した後、再熱処理を施し、正極材料複合体を製造した。
【0030】
<比較例1>
定量の炭酸ナトリウム(NaCO)、シュウ酸マンガン(II)・二水和物(MnC・2HO)、フルオロナトリウム(NaF)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、リン酸アンモニウム(NHPO)を、総量5g投入し、ハンドミキシングで30分間均一に混合した。得られた混合物を300℃で2時間、空気雰囲気で前処理した後、600℃で6時間アルゴンガス雰囲気で焼成し、得られた正極材料をスーパーPと75:25の割合で均一にボールミルした後、再熱処理を施し、正極材料複合体を製造した。
【0031】
<比較例2>
定量の炭酸ナトリウム(NaCO)、シュウ酸マンガン(II)・二水和物(MnC・2HO)、フルオロナトリウム(NaF)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、リン酸アンモニウム(NHPO)を、総量5g投入し、ハンドミキシングで30分間均一に混合した。得られた混合物を300℃で2時間、空気雰囲気で前処理した後、500℃で6時間アルゴンガス雰囲気で焼成し、得られた正極材料をスーパーPと75:25の割合で均一にボールミルした後、再熱処理を施し、正極材料複合体を製造した。
【0032】
<比較例3>
定量の炭酸ナトリウム(NaCO)、シュウ酸マンガン(II)・二水和物(MnC・2HO)、フルオロナトリウム(NaF)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、リン酸アンモニウム(NHPO)を、総量10g投入し、6時間ボールミルして均一に混合した。得られた混合物を300℃で2時間空気雰囲気で前処理した後、600℃で6時間アルゴンガス雰囲気で焼成し、得られた正極材料をスーパーPと75:25の割合で均一にボールミルした後、再熱処理を施し、正極材料複合体を製造した。
【0033】
<比較例4>
定量の炭酸ナトリウム(NaCO)、シュウ酸マンガン(II)・二水和物(MnC・2HO)、フルオロナトリウム(NaF)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、リン酸アンモニウム(NHPO)を、総量10g投入し、6時間ボールミルして均一に混合した。得られた混合物を300℃で2時間空気雰囲気で前処理した後、カーボン導電材の投入及びボールミル過程を省略し、実施例1と同一の条件で焼成し、製造された正極材料をスーパーPと75:25の割合で均一にボールミルした後、再熱処理を施し、正極材料複合体を製造した。
【0034】
<実験例1:電極性能の評価>
実施例1及び比較例1、比較例2の正極材料複合体の粉末を用い、正極材料複合体95wt%、結着剤PVdF5wt%を混合し、N−メチルピロリドン(NMP)を溶媒にしてスラリーを製造した。
このスラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布して乾燥した後、プレスで圧縮し、真空上で120℃で16時間乾燥し、直径16mmの円板電極を製造した。
相手極には、直径16mmにパンチングしたリチウム金属箔を、分離膜には、ポリプロピレン(PP)フィルムを用い、また、電解液には、1MのLiPFのエチレンカーボネート/ジメトキシエタン(EC/DME)1:1v/vの混合溶液を用いて、電解液を分離膜に含浸させた。この分離膜を作用極と相手極との間に挟んだ後、SUS製品のケースを電極評価用試験セルにして電池の電極性能を評価した。放電容量を含んだ測定結果は、表1に示す通りである。
【0035】
【表1】
【0036】
電気化学的特性を評価した結果、粒径が5μm以上の場合は、充/放電反応が殆ど起こっておらず、粒径の2μmから30mAhg−1の放電容量が確認され、粒径が減少するにつれて放電容量が増加することが確認できた。
また、比較例2による正極材料及び比較例4による正極材料を含む電池の常温での充/放電測定グラフをそれぞれ図3及び図4に示す。図3及び図4から正極材料の粒径が減少するにつれて放電容量が増加することが確認できるが、電位平坦面は発現されない。これは、分極抵抗による現象であると理解される。
【0037】
それに対し、実施例1による正極材料を含む電池の常温での充/放電曲線グラフを図5に示す。図5の(A)放電カットオフが2.0V、(B)1.0Vから分かるように、実施例1の場合には、3.0V以上に該当する容量が、比較例1と比較例2とに比べて大きくなり、電池として具現する場合、より多いエネルギー密度が得られる長所がある。また、3.9Vの領域に平坦区間が存在することから、分極が少ないことが分かる。
【0038】
また、実施例1により製造された正極材料を含む電池の高温(60゜C)での放電曲線グラフを図6に示す。図6から、3.9Vの電位平坦面が確認でき、この電位平坦面に起因する容量が、80mAhg−1に向上した電気化学特性を示すことを確認することができる。従って、カルボサーマル還元法により合成された100nm以下の1次粒径を有する本発明の正極材料は、固相法により製造された同一の正極素材(1次粒径>300nm)に比べ、2.5倍以上高いエネルギー密度を示すことが確認できた。
実施例1により製造された正極材料中の金属組成分析は、ICP発光分光分析により測定して下記の表2に示し、正極材料のX線回折分析結果グラフは図1に示し、また、電子顕微鏡で撮影したイメージは、図2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
これにより、固相法で合成される比較例の正極素材は、工程制御を通じて1次粒径が300nmまで制御されることが確認できるが、制御できる粒径が300nmに限定されるものではなく、工程制御を通じて粒径をさらに小さく制御することができる。
また、実施例1の正極材料(Cイメージ)と、比較例2(Aイメージ)及び比較例4(Bイメージ)で製造された正極材料との電子顕微鏡イメージを示す図2を参照すれば、製造される正極材料は、均一の形状を有し、かつ上記のように粒径が厚さ100nm以下に維持されて優れた電気化学的性能が発現される。
【0041】
比較例1〜4のような場合には、実施例1の場合に比べて粒径が大きく、電気化学的性能の発現に限界があることが確認できるのに対し、実施例1の場合は、小さな粒径により短くなったリチウムあるいはナトリウムイオンの拡散距離のため、リチウムあるいはナトリウムイオンがより容易に挿入及び脱離することができ、分極減少及び容量が向上する長所が確認できた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6