特許第5767064号(P5767064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767064
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】イメージのエッジ向上方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/409 20060101AFI20150730BHJP
   H04N 5/208 20060101ALI20150730BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H04N1/40 101D
   H04N5/208
   G06T5/00 710
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-201409(P2011-201409)
(22)【出願日】2011年9月15日
(65)【公開番号】特開2013-8346(P2013-8346A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2014年9月8日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0061589
(32)【優先日】2011年6月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510039426
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】パク ス ジン
(72)【発明者】
【氏名】ラグバンシュ ビー.グプタ
【審査官】 佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−092461(JP,A)
【文献】 特開2010−113709(JP,A)
【文献】 特開2005−311962(JP,A)
【文献】 特開2000−322569(JP,A)
【文献】 特開2010−055604(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0074548(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0189373(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0115950(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0052091(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/40−1/409,5/20−5/217
G06T 5/00,5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGBデータを受信するステップと、
前記RGBデータをYCbCrデータに変換するステップと、
前記YCbCrデータのうち、Yチャンネルに対してエッジフィルタリングを遂行してエッジ値を抽出するステップと、
前記抽出したエッジ値に対してノイズかエッジかの曖昧性を判断するステップと、
前記ノイズかエッジかが曖昧であると判断されれば、前記エッジ値に該当するピクセルにn×n(nは正の整数)マスクを適用し、前記マスクに含まれたピクセルの最小値、最大値、及び平均値を算出するステップと、
前記最小値、前記最大値、及び前記平均値を使用して前記エッジ値に該当するピクセルがノイズかエッジかを判断するステップと、
エッジであると判断されれば、前記エッジ値を有するピクセルに対してエッジ向上を遂行するステップと、
を含むことを特徴とする、エッジ向上方法。
【請求項2】
前記エッジフィルタリングは標準ラプラシアンカーネルにより遂行されることを特徴とする、請求項1に記載のエッジ向上方法。
【請求項3】
前記エッジ値に対して曖昧性を判断するステップは、前記エッジ値が所定範囲以内か否かを判断するステップを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエッジ向上方法。
【請求項4】
前記nは3または5であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のエッジ向上方法。
【請求項5】
前記ノイズかエッジかが曖昧でないと判断されれば、前記エッジ値に対してエッジ向上を遂行するステップを含むことを特徴とする、請求項1ないし4のいずか一項に記載のエッジ向上方法。
【請求項6】
前記最小値、前記最大値、及び前記平均値を使用して前記エッジ値に該当するピクセルがノイズであると判断されれば、次のピクセルに対して前記のステップを遂行するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のエッジ向上方法。
【請求項7】
前記エッジ向上を遂行するステップは、入力イメージに前記エッジ値を合算するステップを含むことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のエッジ向上方法。
【請求項8】
前記曖昧性を判断するステップは、
前記抽出したエッジ値が第1しきい値と第2しきい値との間にあるか否かを判断するステップと、
前記エッジ値が前記第1しきい値と前記第2しきい値の範囲内にある場合、前記エッジ値に該当するピクセルをエッジであると判断するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のエッジ向上方法。
【請求項9】
前記エッジ値に該当するピクセルがノイズかエッジかを判断するステップは、
前記算出された最小値と平均値の差に対する第1絶対値が第3しきい値以上であり、前記算出された最大値と平均値の差に対する第2絶対値が第4しきい値以上であるかを判断するステップと、
前記第1絶対値が前記第3しきい値以上であり、前記第2絶対値が前記第4しきい値以上であれば、前記エッジ値に該当するピクセルをエッジであると判断するステップと、
前記第1絶対値が前記第3しきい値未満であるか、前記第2絶対値が前記第4しきい値未満であれば、前記エッジ値に該当するピクセルをノイズであると判断するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のエッジ向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージのエッジ向上方法に関するものである。
【0002】
本出願は、2011年6月24日付で出願された韓国出願番号10−2011−0061589に対し、優先権の利益を主張し、この出願は本明細書に参照として併合される。
【背景技術】
【0003】
一般に、イメージ鮮明度向上技法またはエッジ向上方法は、イメージのエッジ(輪郭線)成分を強調する方式を採用している。従来に知られたイメージの鮮明度向上のためのエッジ強調技法には、全体イメージに同一な2次元高域通過フィルタ(2D HPF)を適用してオリジナルイメージにその値を適用する方式と、エッジ(輪郭線)の特性を把握して、それぞれの特性に合わせられた2次元高域通過フィルタを適用してオリジナルイメージにその値を適用する方式などがある。
【0004】
従来のエッジ向上方法は、エッジ向上を遂行すれば、エッジだけでなくノイズ成分も共に増加する問題点があった。
【0005】
より効率的で、かつ簡単なアルゴリズムを通じてノイズとエッジとを区別してエッジを向上させる方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エッジとノイズとを区別し、エッジに対してのみエッジ向上を適用する方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、本発明で達成しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されない更に他の技術的課題は下記の記載から提案される実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるべきである。
【0008】
本発明に係るエッジ向上方法は、RGBデータを受信するステップと、前記RGBデータをYCbCrデータに変換するステップと、前記YCbCrデータのうち、Yチャンネルに対してエッジフィルタリングを遂行してエッジ値を抽出するステップと、前記エッジ値に対してノイズかエッジかの曖昧性を判断するステップと、ノイズかエッジかが曖昧であると判断されれば、前記エッジ値に該当するピクセルにn×n(nは正の整数)マスクを適用し、前記マスクで最小値、最大値、及び平均値を算出するステップと、前記最小値、前記最大値、及び前記平均値を使用して前記エッジ値に該当するピクセルがノイズかエッジかを判断するステップと、エッジであると判断されれば、前記エッジ値を有するピクセルに対してエッジ向上を遂行するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単なアルゴリズムを通じてエッジ向上を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るイメージ処理装置の構成を示す構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエッジ向上方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様の実施形態を有することができる。ここでは、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。
【0012】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものでなく、本発明の事象及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されるべきである。
【0013】
第1、第2などの用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、構成要素は用語により限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名され、また第2構成要素も第1構成要素と命名されることができる。及び/またはという用語は関連して記載された複数の項目の組合せまたは関連して記載された複数の項目のうちのどの項目をも含む。
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。本発明を説明するに当たって全体的な理解を容易にするために、図面上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を使用し、同一の構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0015】
本発明はイメージのエッジ向上方法に関するものである。より具体的には、本発明は撮影されたイメージにエッジフィルタを適用し、エッジである可能性のあるピクセルに対し、一次的にノイズかエッジかを判断する過程を遂行する。ノイズかエッジかが不明なピクセルに対しては3×3マスクを用いてノイズかエッジかを判断する過程をもう一度遂行する。本実施形態によれば、簡単なアルゴリズムを通じてエッジ向上を遂行することができる。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るイメージ処理装置10の構成を示す構成図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るイメージ処理装置10は、イメージを撮影するイメージセンサ11、イメージセンサ11から出力された未処理データ(raw data)をRGBデータに変換する色補間部12、RGBデータをYCbCrデータに変換する色空間変換部13、及び上記YCbCrデータのうち、Yチャンネルデータに対してエッジ向上を遂行するエッジ向上部14を含むことができる。エッジ向上部14から出力されたデータはディスプレイに直ぐ出力され、またはノイズ減少部、カラー圧縮などの追加の過程を経て出力される。
【0019】
図1に図示された構成要素の他にも、イメージ処理装置10は、イメージセンサ11により提供されるデータにディジタルクランプ(Digital Clamp)、白色欠点補正(White Defect Correction)、パターン生成(Pattern Generation)、色陰影補正(RGB Shading)などの前処理過程を遂行する前処理部をさらに含むことができる。
【0020】
より具体的に、色補間部12は補間(interpolation)を通じて1つのチャンネル成分を有するそれぞれの画素成分をR(Red)、G(Green)、B(Blue)成分に分離した後、これらを結合してそれぞれの画素がR、G、Bの3つのチャンネル成分を有するイメージデータを生成する。
【0021】
エッジ向上部14は、後述するような方法によりイメージデータのエッジ(edge)を検出してエッジを向上(Edge Enhancement)させてイメージの鮮明度を向上させる。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係るエッジ向上方法を示すフローチャートである。
【0023】
ステップ(S11)で、RGBイメージデータを受信する。RGBイメージデータはイメージセンサにより撮影したものであり、また、他の装置から受信し格納媒体に格納されたデータを読み込むこともできる。イメージセンサにより撮影する場合は、図1のイメージセンサ11により撮影された未処理データを色補間部12により変換することができる。
【0024】
ステップ(S12)で、受信したRGBデータをYCbCrに変換する。これは、図1の色空間変換部13により遂行できる。
【0025】
以下のステップは、図1のエッジ向上部14により遂行できる。ステップ(S13)で、YCbCrデータのうち、Yチャンネルデータに対し、エッジフィルタリングを遂行してエッジに該当するピクセルを抽出する。
【0026】
この際、エッジフィルタリングは公知の多様なエッジ検出アルゴリズムにより遂行され、例えば標準ラプラシアンカーネル(Standard Laplacian kernel)を使用することができる。
【0027】
エッジフィルタリングはイメージの輪郭線であるエッジをフィルタリングする過程であるが、ノイズもエッジと類似の特性を表すので、ノイズもエッジに該当するピクセルとして抽出される。
【0028】
ステップ(S14)で、一次的にノイズを除去するが、この際、エッジ値、即ちエッジに該当するピクセルの輝度値が所定範囲内にあるか否か、例えば第1しきい値(Th1)と第2しきい値(Th2)との間にあるか否かを判断して、ノイズかエッジかを判断する。
【0029】
第1しきい値(Th1)と第2しきい値(Th2)は実施形態によって変更でき、イメージの特性に適応して異なるように設定することもできる。
【0030】
ピクセルのピクセル値が第1しきい値(Th1)と第2しきい値(Th2)の範囲内にある場合、エッジピクセルはエッジであると判断し、ステップ(S17)でエッジ向上を遂行する。
【0031】
ステップ(S17)でのエッジ向上は、元の入力イメージ値にエッジ値をもう一度加えて出力イメージ値とすることによって遂行することができ、その他の方式のエッジ向上にも使用できる。
【0032】
ピクセルのピクセル値が第1しきい値(Th1)と第2しきい値(Th2)の範囲外にある場合は、一旦ノイズである可能性のあるピクセルと見なされて、2次的にノイズかエッジかを判断するステップを経るようになる。
【0033】
ステップ(S15)で、ピクセルを中心としてn×nサイズのマスクを設定し(nは正の整数)、マスクの含まれたピクセルの最小値、最大値、及び平均値を算出する。マスクのサイズを決定するnは実施形態によって変更され、好ましくはマスクのサイズは3×3または5×5である。
【0034】
ステップ(S16)で、算出された(最小値−平均値)の絶対値が第3しきい値(Th3)以上であり、(最大値−平均値)の絶対値が第4しきい値(Th4)以上であれば、最終的にエッジであると判断し、でなければノイズであると判断する。
【0035】
エッジであると判断されれば、ステップ(S17)でエッジ向上を遂行し、ノイズであると判断されれば、次のエッジピクセルに対して同一の過程を繰り返す。
【0036】
以上、本発明を好ましい実施形態をもとに説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するのでない。本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、多様な変形及び応用が可能であることが同業者にとって明らかである。例えば、実施形態に具体的に表れた各構成要素は変形して実施することができ、このような変形及び応用にかかわる差異点も、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2