特許第5767077号(P5767077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767077
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】漏電検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   G01R31/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-233072(P2011-233072)
(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公開番号】特開2013-92396(P2013-92396A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 誠二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀文
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−019603(JP,A)
【文献】 特開平06−308185(JP,A)
【文献】 特開平08−320352(JP,A)
【文献】 特開平08−163704(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0129308(US,A1)
【文献】 特開2008−139249(JP,A)
【文献】 特開2006−025502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数組のセルモジュールからなり、車両グランドから絶縁された高圧バッテリの漏電を検出する漏電検出装置であって、
前記複数組のセルモジュールの内、正極側のいずれか1つの第1のセルモジュールと、
前記第1のセルモジュールより負極側のいずれか1つの第2のセルモジュールと、
前記第1のセルモジュールに並列接続された第1の分圧回路と、
前記第2のセルモジュールに並列接続された第2の分圧回路と、
一端が前記車両グランドに接続されたグランド接続抵抗と、
前記第1の分圧回路の出力端と前記グランド接続抵抗の他端とを結ぶライン上に介挿された第1のスイッチと、
前記第2の分圧回路の出力端と前記グランド接続抵抗の他端とを結ぶライン上に介挿された第2のスイッチと、
前記第1の分圧回路の出力電圧を検出する第1の電圧検出回路と、
前記第2の分圧回路の出力電圧を検出する第2の電圧検出回路と、
前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧とに基づいて、前記高圧バッテリの漏電発生の有無を判定する判定回路と、
を備えることを特徴とする漏電検出装置。
【請求項2】
前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧との両方が第1の閾値以上の場合、前記高圧バッテリの正極側に漏電が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項3】
前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧との両方が第2の閾値以下の場合、前記高圧バッテリの負極側に漏電が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項4】
前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧との一方が第1の閾値以上で他方が第2の閾値以下の場合、前記第1のセルモジュールと第2のセルモジュール間に漏電が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項5】
前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧が、前記第1のスイッチがオフの時の電圧値と等しく、且つ前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧が第1の閾値以上の場合、前記第1のセルモジュールに漏電が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項6】
前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧が第2の閾値以下で、且つ前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧が、前記第2のスイッチがオフの時の電圧値と等しい場合、前記第2のセルモジュールに漏電が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項7】
前記第1のセルモジュールと前記第2のセルモジュール間に少なくとも1つのコンタクタを備え、前記判定回路は、前記コンタクタがオフ時に、前記第1の電圧検出回路と前記第2の電圧検出回路のいずれか一方の出力電圧に基づいて、前記高圧バッテリの漏電発生の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両には、動力源となるモータと、該モータに電力を供給する高電圧・大容量のバッテリが搭載されている。この高圧バッテリは、リチウムイオン電池或いは水素ニッケル電池等からなる電池セルを直列に複数接続して構成されるものである。
【0003】
このような高圧バッテリは、安全上、車体グランドから絶縁されているため、高圧バッテリと車体グランドとの絶縁状態を監視することは極めて重要である。例えば、下記特許文献1には、フライングキャパシタ方式の絶縁計測回路を利用して、高圧バッテリと車体グランドとの絶縁状態(具体的には絶縁抵抗)を計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−281986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術によると、車体グランドを基準とした回路で高圧バッテリの漏電検出を行うため、高価な高耐圧スイッチング素子が複数必要となり、部品コストが増大するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、低コスト且つ簡易的な回路構成で高圧バッテリの漏電検出を実現可能な漏電検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、漏電検出装置に係る第1の解決手段として、複数組のセルモジュールからなり、車両グランドから絶縁された高圧バッテリの漏電を検出する漏電検出装置であって、前記複数組のセルモジュールの内、正極側のいずれか1つの第1のセルモジュールと、前記第1のセルモジュールより負極側のいずれか1つの第2のセルモジュールと、前記第1のセルモジュールに並列接続された第1の分圧回路と、前記第2のセルモジュールに並列接続された第2の分圧回路と、一端が前記車両グランドに接続されたグランド接続抵抗と、前記第1の分圧回路の出力端と前記グランド接続抵抗の他端とを結ぶライン上に介挿された第1のスイッチと、前記第2の分圧回路の出力端と前記グランド接続抵抗の他端とを結ぶライン上に介挿された第2のスイッチと、前記第1の分圧回路の出力電圧を検出する第1の電圧検出回路と、前記第2の分圧回路の出力電圧を検出する第2の電圧検出回路と、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧とに基づいて、前記高圧バッテリの漏電発生の有無を判定する判定回路とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧との両方が第1の閾値以上の場合、前記高圧バッテリの正極側に漏電が発生したと判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧との両方が第2の閾値以下の場合、前記高圧バッテリの負極側に漏電が発生したと判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第4の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧と、前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧との一方が第1の閾値以上で他方が第2の閾値以下の場合、前記第1のセルモジュールと第2のセルモジュール間に漏電が発生したと判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第5の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧が、前記第1のスイッチがオフの時の電圧値と等しく、且つ前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧が第1の閾値以上の場合、前記第1のセルモジュールに漏電が発生したと判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第6の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記判定回路は、前記第1のスイッチがオンの時に前記第1の電圧検出回路にて検出された前記第1の分圧回路の出力電圧が第2の閾値以下で、且つ前記第2のスイッチがオンの時に前記第2の電圧検出回路にて検出された前記第2の分圧回路の出力電圧が、前記第2のスイッチがオフの時の電圧値と等しい場合、前記第2のセルモジュールに漏電が発生したと判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第7の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第1のセルモジュールと前記第2のセルモジュール間に少なくとも1つのコンタクタを備え、前記判定回路は、前記コンタクタがオフ時に、前記第1の電圧検出回路と前記第2の電圧検出回路のいずれか一方の出力電圧に基づいて、前記高圧バッテリの漏電発生の有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のような高価な高耐圧スイッチング素子が不要となり、回路構成も簡略化できるので、低コスト且つ簡易的な回路構成で高圧バッテリの漏電検出を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る漏電検出装置Aの概略構成図である。
図2】高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合の漏電検出動作を表すタイミングチャートである。
図3】高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合において、第1のスイッチ2がオンした時の電流経路(a)と、第2のスイッチ6がオンした時の電流経路(b)を示す図である。
図4】高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合の漏電検出動作を表すタイミングチャートである。
図5】高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合において、第1のスイッチ2がオンした時の電流経路(a)と、第2のスイッチ6がオンした時の電流経路(b)を示す図である。
図6】高圧バッテリBのコンタクタCに漏電が発生している場合の漏電検出動作を表すタイミングチャートである。
図7】高圧バッテリBのコンタクタCに漏電が発生している場合において、第1のスイッチ2がオンした時の電流経路(a)と、第2のスイッチ6がオンした時の電流経路(b)を示す図である。
図8】第1のセルモジュールB1に漏電が発生している場合において、第2のスイッチ6がオンした時の電流経路(a)と、第2のセルモジュールB2に漏電が発生している場合において、第1のスイッチ2がオンした時の電流経路(b)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る漏電検出装置Aの概略構成図である。本漏電検出装置Aは、車両グランドBGから絶縁されたモータ駆動用の高圧バッテリBの漏電を検出するものであり、図1に示すように、第1の分圧回路1、第1のスイッチ2、第1の高圧側マイコン3、第1の絶縁素子4、第2の分圧回路5、第2のスイッチ6、第2の高圧側マイコン7、第2の絶縁素子8、低圧側マイコン9及び一端が車両グランドBGに接続されたグランド接続抵抗10を備えている。
【0017】
なお、高圧バッテリBは、それぞれ直列接続された複数の電池セルを有する4組のセルモジュールB1、B2、B3、B4と、1つのコンタクタCとから構成されている。4組のセルモジュールB1、B2、B3、B4の内、正極側のセルモジュールB1と負極側のセルモジュールB2がコンタクタCを介して直列接続されている。以下では、便宜上、セルモジュールB1を第1のセルモジュールB1と呼び、セルモジュールB2を第2のセルモジュールB2と呼ぶ。また、最も正極側に位置するセルモジュールB3は、直接第1のセルモジュールB1に直列接続されており、最も負極側に位置するセルモジュールB4は、直接第2のセルモジュールB2に直列接続されている。
【0018】
第1の分圧回路1は、第1のセルモジュールB1に並列接続されており、第1のトランジスタ1aと、2つの分圧抵抗1b、1cから構成されている。第1のトランジスタ1aは、例えばnチャネル型のMOS−FETであり、ドレイン端子が第1のセルモジュールB1の正極端子に接続され、ソース端子が分圧抵抗1bの一端に接続され、ゲート端子が第1の高圧側マイコン3に接続されている。
【0019】
分圧抵抗1bは、一端が第1のトランジスタ1aのソース端子に接続され、他端が分圧抵抗1cの一端及び第1の高圧側マイコン3のAD入力ポートに接続されている。分圧抵抗1cは、一端が分圧抵抗1bの他端及び第1の高圧側マイコン3のAD入力ポートに接続され、他端が高圧バッテリBの中間電位点(第1のセルモジュールB1の負極端子)及び第1の高圧側マイコン3のグランド端子に接続されている。
【0020】
第1のスイッチ2は、分圧抵抗1bの他端(つまり第1の分圧回路1の出力端)とグランド接続抵抗10の他端とを結ぶライン上に介挿されたスイッチング素子(例えばPhotoMOSリレーなど)であり、第1の高圧側マイコン3から入力される制御信号に応じてオン状態或いはオフ状態に切り替わる。
【0021】
第1の高圧側マイコン3は、第1の絶縁素子4を介して低圧側マイコン9と通信可能に接続されており、低圧側マイコン9からの要求に応じて、第1のトランジスタ1a及び第1のスイッチ2のオン/オフ状態を制御すると共に、AD入力ポートへの入力電圧V1をA/D変換してデジタルデータ化した後、この入力電圧V1のデジタルデータを低圧側マイコン9に送信する機能を有している。なお、この第1の高圧側マイコン3は、第1の分圧回路1の出力電圧を検出する第1の電圧検出回路として機能する。
【0022】
第1の絶縁素子4は、第1の高圧側マイコン3と低圧側マイコン9との通信ラインに介挿された絶縁素子(例えばフォトカプラなど)である。この第1の絶縁素子4を設けることにより、漏電検出装置Aの内部が高電圧系と低電圧系とに電気的に分離される。
【0023】
第2の分圧回路5は、第2のセルモジュールB2に並列接続されており、第2のトランジスタ5aと、2つの分圧抵抗5b、5cから構成されている。第2のトランジスタ5aは、例えばnチャネル型のMOS−FETであり、ドレイン端子が高圧バッテリBの中間電位点(第2のセルモジュールB2の正極端子)に接続され、ソース端子が分圧抵抗5bの一端に接続され、ゲート端子が第2の高圧側マイコン7に接続されている。
【0024】
分圧抵抗5bは、一端が第2のトランジスタ5aのソース端子に接続され、他端が分圧抵抗5cの一端及び第2の高圧側マイコン7のAD入力ポートに接続されている。分圧抵抗5cは、一端が分圧抵抗5bの他端及び第2の高圧側マイコン7のAD入力ポートに接続され、他端が第2のセルモジュールB2の負極端子及び第2の高圧側マイコン7のグランド端子に接続されている。
【0025】
第2のスイッチ6は、分圧抵抗5bの他端(つまり第2の分圧回路5の出力端)とグランド接続抵抗10の一端とを結ぶライン上に介挿されたスイッチング素子(例えばPhotoMOSリレーなど)であり、第2の高圧側マイコン7から入力される制御信号に応じてオン状態或いはオフ状態に切り替わる。
【0026】
第2の高圧側マイコン7は、第2の絶縁素子8を介して低圧側マイコン9と通信可能に接続されており、低圧側マイコン9からの要求に応じて、第2のトランジスタ5a及び第2のスイッチ6のオン/オフ状態を制御すると共に、AD入力ポートへの入力電圧V2をA/D変換してデジタルデータ化した後、この入力電圧V2のデジタルデータを低圧側マイコン9に送信する機能を有している。なお、この第2の高圧側マイコン7は、第2の分圧回路5の出力電圧を検出する第2の電圧検出回路として機能する。
【0027】
第2の絶縁素子8は、第2の高圧側マイコン7と低圧側マイコン9との通信ラインに介挿された絶縁素子(例えばフォトカプラなど)である。この第2の絶縁素子8を設けることにより、漏電検出装置Aの内部が高電圧系と低電圧系とに電気的に分離される。
【0028】
低圧側マイコン9は、第1の絶縁素子4及び第2の絶縁素子8を介して第1の高圧側マイコン3及び第2の高圧側マイコン7と通信可能に接続されており、漏電検出タイミングが到来すると、第1の高圧側マイコン3に対して第1のトランジスタ1a及び第1のスイッチ2のオン/オフ制御を要求すると共に、第2の高圧側マイコン7に対して第2のトランジスタ5a及び第2のスイッチ6のオン/オフ制御を要求する。
【0029】
また、この低圧側マイコン9は、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータ(第1の分圧回路1の出力電圧)と、第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータ(第2の分圧回路5の出力電圧)とに基づいて、高圧バッテリBの漏電発生の有無を判定する判定回路として機能する。
【0030】
次に、上記のように構成された漏電検出装置Aの動作について詳細に説明する。
<高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合>
まず、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合の漏電検出動作について説明する。図2は、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合の、第1のスイッチ2のオン/オフ状態と、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1と、第2のスイッチ6のオン/オフ状態と、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2との時間的な対応関係を示すタイミングチャートである。
【0031】
図2に示すように、初期状態において、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ6の両方がオフ状態にあるとする(なお、第1のトランジスタ1a及び第2のトランジスタ5aはオン状態に制御されているものとする)。この時、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1(第1の分圧回路1の出力電圧)は、第1のセルモジュールB1の端子間電圧を分圧抵抗1b、1cによって抵抗分圧した値(V1_M)となり、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2(第2の分圧回路5の出力電圧)は、第2のセルモジュールB2の端子間電圧を分圧抵抗5b、5cによって抵抗分圧した値(V2_M)となる。
【0032】
ここで、時刻t1において、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオン状態に切り替えたと想定する。この時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_Mと等しくなるはずである。
【0033】
しかしながら、図3(a)に示すように、高圧バッテリBの正極側(セルモジュールB3の正極端子)に漏電が発生している場合、第1のスイッチ2がオンになると、セルモジュールB3の正極端子→漏電抵抗RL_P→車体グランドBG→グランド接続抵抗10→第1のスイッチ2→分圧抵抗1c→第1のセルモジュールB1→セルモジュールB3の負極端子、という経路で電流が流れるので、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_MよりもΔV1だけ高くなる(図2参照)。
【0034】
続いて、時刻t2において、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオフ状態に切り替える一方、第2の高圧側マイコン7が低圧側マイコン9の要求に応じて第2のスイッチ6をオン状態に切り替えたと想定する。この時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_Mと等しくなるはずである。
【0035】
しかしながら、図3(b)に示すように、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合、第2のスイッチ6がオンになると、セルモジュールB3の正極端子→漏電抵抗RL_P→車体グランドBG→グランド接続抵抗10→第2のスイッチ6→分圧抵抗5c→第2のセルモジュールB2→コンタクタC→第1のセルモジュールB1→セルモジュールB3の負極端子、という経路で電流が流れるので、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_MよりもΔV2だけ高くなる(図2参照)。
【0036】
つまり、低圧側マイコン9は、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータと、第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータとの両方が第1の閾値Vth1以上の場合に、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生したと判定する。なお、第1の閾値Vth1は、少なくとも分圧値V1_M及びV2_Mよりも高く設定されている(図2参照)。
【0037】
<高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合>
続いて、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合の漏電検出動作について説明する。図4は、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合の、第1のスイッチ2のオン/オフ状態と、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1と、第2のスイッチ6のオン/オフ状態と、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2との時間的な対応関係を示すタイミングチャートである。
【0038】
図4に示すように、初期状態において、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ6の両方がオフ状態にあるとする(なお、第1のトランジスタ1a及び第2のトランジスタ5aはオン状態に制御されているものとする)。この時、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、第1のセルモジュールB1の端子間電圧を分圧抵抗1b、1cによって抵抗分圧した値(V1_M)となり、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、第2のセルモジュールB2の端子間電圧を分圧抵抗5b、5cによって抵抗分圧した値(V2_M)となる。
【0039】
ここで、時刻t1において、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオン状態に切り替えたと想定する。この時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_Mと等しくなるはずである。
【0040】
しかしながら、図5(a)に示すように、高圧バッテリBの負極側(セルモジュールB4の負極端子)に漏電が発生している場合、第1のスイッチ2がオンになると、第1のセルモジュールB1の正極端子→第1のトランジスタ1a→分圧抵抗1b→第1のスイッチ2→グランド接続抵抗10→車両グランドBG→漏電抵抗RL_N→セルモジュールB4→第2のセルモジュールB2→コンタクタC→第1のセルモジュールB1の負極端子、という経路で電流が流れるので、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_MよりもΔV1だけ低くなる(図4参照)。
【0041】
続いて、時刻t2において、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオフ状態に切り替える一方、第2の高圧側マイコン7が低圧側マイコン9の要求に応じて第2のスイッチ6をオン状態に切り替えたと想定する。この時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_Mと等しくなるはずである。
【0042】
しかしながら、図5(b)に示すように、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合、第2のスイッチ6がオンになると、第2のセルモジュールB2の正極端子→第2のトランジスタ5a→分圧抵抗5b→第2のスイッチ6→グランド接続抵抗10→車両グランドBG→漏電抵抗RL_N→セルモジュールB4→第2のセルモジュールB2の負極端子、という経路で電流が流れるので、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_MよりもΔV2だけ低くなる(図4参照)。
【0043】
つまり、低圧側マイコン9は、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータと、第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータとの両方が第2の閾値Vth2以下の場合に、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生したと判定する。なお、第2の閾値Vth2は、少なくとも分圧値V1_M及びV2_Mよりも低く設定されている(図4参照)。
【0044】
<第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生している場合>
続いて、第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生している場合の漏電検出動作について説明する。図6は、第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生している場合の、第1のスイッチ2のオン/オフ状態と、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1と、第2のスイッチ6のオン/オフ状態と、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2との時間的な対応関係を示すタイミングチャートである。
【0045】
図6に示すように、初期状態において、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ6の両方がオフ状態にあるとする(なお、第1のトランジスタ1a及び第2のトランジスタ5aはオン状態に制御されているものとする)。この時、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、第1のセルモジュールB1の端子間電圧を分圧抵抗1b、1cによって抵抗分圧した値(V1_M)となり、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、第2のセルモジュールB2の端子間電圧を分圧抵抗5b、5cによって抵抗分圧した値(V2_M)となる。
【0046】
ここで、時刻t1において、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオン状態に切り替えたと想定する。この時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_Mと等しくなるはずである。
【0047】
しかしながら、図7(a)に示すように、第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生している場合、第1のスイッチ2がオンになると、第1のセルモジュールB1の正極端子→第1のトランジスタ1a→分圧抵抗1b→第1のスイッチ2→グランド接続抵抗10→車両グランドBG→漏電抵抗RL_M→第1のセルモジュールB1の負極端子、という経路で電流が流れるので、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_MよりもΔV1だけ低くなる(図6参照)。
【0048】
続いて、時刻t2において、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオフ状態に切り替える一方、第2の高圧側マイコン7が低圧側マイコン9の要求に応じて第2のスイッチ6をオン状態に切り替えたと想定する。この時、第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生していなければ、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_Mと等しくなるはずである。
【0049】
しかしながら、図7(b)に示すように、第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生している場合、第2のスイッチ6がオンになると、第2のセルモジュールB2の正極端子→コンタクタC→漏電抵抗RL_M→車両グランドBG→グランド接続抵抗10→第2のスイッチ6→分圧抵抗5c→第2のセルモジュールB2の負極端子、という経路で電流が流れるので、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_MよりもΔV2だけ高くなる(図6参照)。
【0050】
つまり、低圧側マイコン9は、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータと、第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータとの一方が第1の閾値Vth1以上で他方が第2の閾値Vth2以下の場合に、第1のセルモジュールB1と第2のセルモジュールB2間に漏電が発生したと判定する。
【0051】
<第1のセルモジュールB1に漏電が発生している場合>
続いて、第1のセルモジュールB1に漏電が発生している場合の漏電検出動作について説明する。前述のように、第1の高圧側マイコン3が低圧側マイコン9の要求に応じて第1のスイッチ2をオン状態に切り替えた時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_Mと等しくなるはずである。
【0052】
しかしながら、図8(a)に示すように、第1のセルモジュールB1に漏電が発生し、第1のセルモジュールB1の漏電電圧(漏電抵抗RL1の端子間電圧)と、第1の分圧回路1の出力電圧(入力電圧V1)とが等しくなってしまった場合、第1のスイッチ2をオンにしても第1のスイッチ2を介して電流が流れないので、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1に変化はない(第1のスイッチ2をオンしても分圧値V1_Mのまま)。
【0053】
一方、図8(a)に示すように、第1のセルモジュールB1に漏電が発生した場合でも、第2のスイッチ6をオンにすると、第1のセルモジュールB1の漏電箇所→漏電抵抗RL1→車両グランドBG→グランド接続抵抗10→第2のスイッチ6→分圧抵抗5c→第2のセルモジュールB2の負極端子→コンタクタC→第1のセルモジュールB1の負極端子、という経路で電流が流れるので、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_MよりもΔV2だけ高くなる。
【0054】
つまり、低圧側マイコン9は、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータが、第1のスイッチ2がオフの時の電圧値(分圧値V1_M)と等しく、且つ第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータが第1の閾値Vth1以上の場合に、第1のセルモジュールB1に漏電が発生したと判定する。
【0055】
<第2のセルモジュールB2に漏電が発生している場合>
続いて、第2のセルモジュールB2に漏電が発生している場合の漏電検出動作について説明する。前述のように、第2の高圧側マイコン7が低圧側マイコン9の要求に応じて第2のスイッチ6をオン状態に切り替えた時、高圧バッテリBに漏電が発生していなければ、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2は、分圧値V2_Mと等しくなるはずである。
【0056】
しかしながら、図8(b)に示すように、第2のセルモジュールB2に漏電が発生し、第2のセルモジュールB2の漏電電圧(漏電抵抗RL2の端子間電圧)と、第2の分圧回路5の出力電圧(入力電圧V2)とが等しくなってしまった場合、第2のスイッチ6をオンにしても第2のスイッチ6を介して電流が流れないので、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2に変化はない(第2のスイッチ6をオンしても分圧値V2_Mのまま)。
【0057】
一方、図8(b)に示すように、第2のセルモジュールB2に漏電が発生した場合でも、第1のスイッチ2をオンにすると、第2のセルモジュールB2の正極端子→コンタクタC→第1のセルモジュールB1→第1のトランジスタ1a→分圧抵抗1b→第1のスイッチ2→グランド接続抵抗10→車両グランドBG→漏電抵抗RL2→第2のセルモジュールB2の漏電箇所、という経路で電流が流れるので、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1は、分圧値V1_MよりもΔV1だけ低くなる。
【0058】
つまり、低圧側マイコン9は、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータが第2の閾値Vth2以下で、且つ第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータが、第2のスイッチ6がオフの時の電圧値(分圧値V2_M)と等しい場合に、第2のセルモジュールB2に漏電が発生したと判定する。
【0059】
<コンタクタCのオフ時に高圧バッテリBに漏電が発生している場合>
続いて、コンタクタCのオフ時に高圧バッテリBに漏電が発生している場合の漏電検出動作について説明する。なお、図1では、図示を省略しているが、コンタクタCのオン/オフ状態は、上位制御装置(バッテリECU)によって制御されており、漏電検出装置Aの低圧側マイコン9は、上位制御装置との通信によって、現在、コンタクタCがオン状態であるかオフ状態であるかを認識することができる。
【0060】
低圧側マイコン9は、上位制御装置との通信によって、現在、コンタクタCがオフ状態であることを認識すると、まず、第1の高圧側マイコン3に対して第1のスイッチ2をオンにするように要求する。ここで、第1のスイッチ2がオン状態に切替わると、高圧バッテリBの正極側(セルモジュールB3の正極端子)に漏電が発生している場合には、図3(a)に示す経路で電流が流れるが、高圧バッテリBの負極側(セルモジュールB4の負極端子)に漏電が発生している場合には、コンタクタCがオフのため、図5(a)に示す経路で電流は流れない。
【0061】
つまり、コンタクタCのオフ時に第1のスイッチ2をオンにすると、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合のみ、第1の高圧側マイコン3の入力電圧V1が分圧値V1_MよりもΔV1だけ高くなる。
【0062】
続いて、低圧側マイコン9は、第1の高圧側マイコン3に対して第1のスイッチ2をオフにするように要求した後、第2の高圧側マイコン7に対して第2のスイッチ6をオンにするように要求する。ここで、第2のスイッチ2がオン状態に切替わると、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生している場合には、コンタクタCがオフのため、図3(b)に示す経路で電流は流れず、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合に、図5(b)に示す経路で電流が流れる。
【0063】
つまり、コンタクタCのオフ時に第2のスイッチ6をオンにすると、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生している場合のみ、第2の高圧側マイコン7の入力電圧V2が分圧値V2_MよりもΔV2だけ低くなる。
【0064】
従って、低圧側マイコン9は、コンタクタCがオフの場合、第1のスイッチ2がオンの時に第1の高圧側マイコン3から送信された入力電圧V1のデジタルデータが第1の閾値Vth1以上の場合に、高圧バッテリBの正極側に漏電が発生したと判定し、第2のスイッチ6がオンの時に第2の高圧側マイコン7から送信された入力電圧V2のデジタルデータが第2の閾値Vth2以下の場合に、高圧バッテリBの負極側に漏電が発生したと判定する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、従来のような高価な高耐圧スイッチング素子が不要となり、回路構成も簡略化できるので、低コスト且つ簡易的な回路構成で高圧バッテリBの漏電検出及び漏電箇所の特定を実現することができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
(1)例えば、上記実施形態では、第1の分圧回路1の出力電圧を検出する第1の電圧検出回路と、第2の分圧回路5の出力電圧を検出する第2の電圧検出回路として、A/D変換機能や通信機能を備えたマイコンを利用する場合を例示したが、例えばフライングキャパシタ方式の電圧検出回路を利用する構成を採用しても良い。
【0067】
(2)また、上記実施形態では、第1の分圧回路1及び第2の分圧回路5に、高圧バッテリBの消費電流を低減するためのスイッチング素子(第1のトランジスタ1a、第2のトランジスタ5a)を設ける場合を例示したが、必ずしもこれらのスイッチング素子を設ける必要はない。
【0068】
(3)また、上記実施形態では、高圧バッテリBに設けられた4組のセルモジュールB1、B2、B3、B4の内、B1を第1のセルモジュールとし、B2を第2のセルモジュールとする場合を例示したが、どのセルモジュールを第1、第2のセルモジュールとしても良い。例えば、B3を第1のセルモジュールとして第1の分圧回路1、第1のスイッチ2及び第1の高圧側マイコン3を設け、B2(或いはB4)を第2のセルモジュールとして第2の分圧回路5、第2のスイッチ6及び第2の高圧側マイコン7を設けても良い。なお、セルモジュールの組数も4組に限定されず、コンタクタCの数も1つに限定されない。
【符号の説明】
【0069】
A…漏電検出装置、B…高圧バッテリ、B1…第1のセルモジュール、B2…第2のセルモジュール、C…コンタクタ、1…第1の分圧回路、2…第1のスイッチ、3…第1の高圧側マイコン、4…第1の絶縁素子、5…第2の分圧回路、6…第2のスイッチ、7…第2の高圧側マイコン、8…第2の絶縁素子、9…低圧側マイコン、10…グランド接続抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8