【課題を解決するための手段】
【0038】
本明細書で引用された他の特許出願のすべての参照によってこれらは本明細書に組み込まれる。この参照を構成する従来技術には何の許可も必要ではない。この参照についての述べられている事項はその著作者の考えを記すものであり、かつ出願人は引用される文献の正確さおよび適合性の正当性の説明を要求する資格を保持している。いくつかの従来技術文献が本明細書で参照されているが、ニュージーランドまたは他の国において、この参照は、これら参照文献が従来公知の常識的な知識の一部を形成する許可を与えるものではない。
【0039】
「備える」との語が、その範囲の変化内で排他的なあるいは包括的な意味のいずれかに起因するものであってもよいことが知られている。本明細書の目的のために、他の注釈がない限りは「備える」との語は、包括的な意味を有するべきである。つまり、挙げられた構成要素のみを直接的に参照することのみではなく、他の特定されていない構成要素または要素を含む包括的な意味を選択するようになっている。この理論は、方法または構成における1つ以上のステップに関連して「備えられている」または「備えている」との語が使用される場合でも、同様に使用される。
【0040】
本発明のさらなる対応および利点は、例示としてのみ用いられて付与される確かな説明から明らかになる。
【0041】
本発明の第一の態様によれば、過電流ブレーキング機構であって、
この過電流ブレーキング機構は、
−回転軸の周囲で回転可能なロータと、
−ロータとともに回転するためにロータに連結された少なくとも1つの導電部材と、
−導電部材の回転平面に少なくとも部分的に直交するよう広がる磁界を印加させるよう構成された、少なくとも1つのマグネットと、
を含み、
ロータの回転時に、導電部材が、回転軸から印加磁界へ向かって少なくとも半径方向に移動するよう構成されている、過電流ブレーキング機構を提供する。
【0042】
一般に、印加磁界を通る導電部材の移動は、導電部材が磁界に交差するときに導電部材に過電流を発生させる。
【0043】
明確にしかつ冗長な説明を避けるために、本明細書ではロータに連結された導電部材に関連するものである。なお、「反対の」構成も可能でありかつそれは本発明の範囲内のものである。この「反対の」構成は、ロータに連結されたマグネットを有していてもよく、かつ導電部材が磁界に交差するよう導電部材へ向かって移動するよう構成されていてもよい。
【0044】
明確にしかつ冗長な説明を避けるために、本発明は、本明細書ではオートビレイのためのブレーキング機構に関して記載されており、そのため、本発明は特定の用途を有していてもよい。なお、本発明は他の回転ブレーキング用途にまたは減速用途に使用されてもよく、それゆえ本明細書ではオートビレイを単なる例示として参照しているが、これに制限されるものではないことは明らかである。
【0045】
また、本発明は、カムまたはチェーン駆動機構などの線形デバイスにロータを連結することによる線形ブレーキング用途に使用されてもよいことが明らかである。
【0046】
本明細書を参照すると導電部材の「半径方向」動作は、ロータおよび/または導電部材の回転軸へ向かうあるいはそれから離れた方向への構成要素を伴う移動を含むことを意味すると理解されるべきであり、かつ、線形的なまたは比線形的な半径方向動作の両方を含むよう解釈されるべきである。
【0047】
本明細書を参照すると、「外側」半径方向移動は回転軸から離れる方向への移動を意味しており、同様に「内側」は回転軸へ向かう方向を意味している。
【0048】
本明細書を参照すると、ロータに「連結された」導電部材は、導電部材がロータとともに回転するよう直接的なまたは間接的な手段であることを理解されたい。また、連結が機械的なものである必要はないことも明らかである。
【0049】
明確にするために、マグネットによって印加される磁界は、本明細書では、「印加」磁界と称し、かつ導電部材における過電流によって生じる磁界は「反応」磁界と称する。
【0050】
好ましい実施形態においては、導電部材に生じた過電流が印加磁界に対向する反応磁界を生じる。それゆえ対向する「印加」および「反応」磁界によって生じる反力が導電部材の移動に対向するよう導電部材に伝達される。導電部材がロータに連結されると、ロータの回転は反力によって反対にもなる。
【0051】
本明細書で使用されているように、「ブレーキ」および「ブレーキング」は、それぞれ、対象物の移動に対向する力を付与するために装置または工程に関連するものである。
【0052】
本明細書で使用されているように、「ロータ」との語は、なんらかの回転要素に関するものであり、かつドライブシャフト、軸、ギア、ネジ、ディスク、ホイール、はめ歯、またはその組み合わせ、あるいは他の回転部材を含んでもよい。
【0053】
本明細書で使用されているように、「導電部材」との語は、電気的に伝導性のあるものに関し、好ましくは非強磁性部材に関するものである。
【0054】
本明細書で使用されているように、「マグネット」との語は、磁界を生じることができる磁石またはデバイスを意味しており、かつ電磁石、「永久」磁石、「一時」磁石、磁化された強磁性材料、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0055】
好ましくは、導電部材は、回転軸から磁界へと向けて少なくとも部分的に半径方向に移動するよう構成されている。
【0056】
好ましくは、導電部材は、回転軸の周囲でロータとともに回転する。
【0057】
導電部材は必ずしも直接的にロータに接続される必要はなく、中間ギアまたは他の連結体を介して接続されていてもよいことは明白である。そうした実施形態において、導電部材に取り付けられたギアまたは連結体は、「ロータ」またはその一部であると考えることもできる。
【0058】
そうした実施形態において、導電部材は間接的にロータに連結されており、この導電部材が他の軸の周囲で、つまり回転軸に対して平行ではない状態で回転してもよいことは明らかである。
【0059】
さらなる実施形態において、ロータが入力軸の速度とは異なる速度で回転するように、ロータはオーバードライブまたはアンダードライブギアトランスミッション装置を介して入力軸などに連結されてもよい。
【0060】
好ましくは、ロータは、ラインのスプールに連結されており、かつスプールとともに回転するために構成されている。それゆえ、スプールからのラインの繰り出し量または引き戻し量は、ブレーキング機構とともにロータの回転速度を制御することによって制御できる。
【0061】
好ましくは、ブレーキング機構は、複数の電気的な伝導部材を含む(本明細書では簡単に導電部材と称する)。
【0062】
ブレーキング効果は、印加磁界を通って移動する導電部材の数を増やすことによって増加される。なお、導電部材の数およびサイズは、その用途のサイズおよび重量制限によって限定される。ゆえに、例えばオートビレイへの利用においては、好ましくは三つの導電部材が設けられる。
【0063】
好ましくは、導電部材は、ロータの回転時に印加磁界へと少なくとも部分的に半径方向に移動するように、ロータに枢軸可能に取り付けられており、かつ回転軸の周囲で枢軸回転するよう構成されている。
【0064】
好ましくは、導電部材は、回転軸に対して偏心したポイントにおいて、ロータに枢軸可能に取り付けられている。
【0065】
好ましくは、導電部材は、ピボット軸および回転軸に対して偏心した質量中心(質量の重心)を有している。それゆえ、導電部材は、ピボット連結部を介したロータによってかつ質量中心に中心がある導電部材に作用する遠心作用によって導電部材に付与されるトルクを生じるように、枢軸回転するようになる。遠心作用の強さは、回転速度および付与トルクに左右される。それゆえ、導電部材は、付与トルクをもたらすのと同様に、回転速度に応じた速さで半径方向に移動するようになる。
【0066】
他の実施形態において、質量中心(重心)は、ピボット軸に位置していてもよい。例えば、導電部材は、ピボット軸の周囲での均等な質量分散を伴うカウンタバランス構造を備える形状になされてもよい。そうした実施形態は、ピボット軸の周囲での直接的な半径方向の力の伝達を提供し、それ自体はピボット軸の周囲のアーム運動に作用しない。それゆえ、この実施形態におけるブレーキ応答は、アーム質量に作用する半径方向の力には左右されない。
【0067】
導電部材は、その用途のために適切な形状になされてもよいことは明らかである。導電部材の形状は、磁界内へ半径方向に移動した場合に導電部材によって交差される磁界の領域、過電流、発生する反応磁界、ひいては対応するブレーキングトルクを決定する。導電部材の形状は、その用途に要求されるブレーキングトルク特性を変更するよう、変更されてもよい。
【0068】
好ましくは、例えばスプリングまたは他の付勢部材/機構である付勢デバイスの一端は、ピボット軸に対して離れたポイントにある導電部材に取り付けられており、かつ、その他端は、ロータの回転から生じる導電部材の半径方向の移動に対抗する付勢力を提供するポジションにおいてロータに取り付けられている。それゆえ、付勢デバイスの較正は、導電部材の半径方向の移動量を、ひいては印加磁界に交差する導電部材の領域制御するための手段を提供する。印加磁界を通る移動時に導電部材に付与されるブレーキング力は、付勢デバイスを介して、かつ/またはロータの導電部材の取り付けを通じて、ロータに付与されてもよい。
【0069】
好ましくは、付勢デバイスは、付与される付勢デバイスの付勢力のレベルを選択的に増大し/減少できる較正機構を含む。そうした較正機構は、例えば、付与される付勢デバイスの付勢力の調整のために、スプリングの収縮/伸長を可逆的に可能にする張力スクリューによって、提供されてもよい。そうした張力スクリューは、付勢デバイスを調整するかまたはそれを取り替えるために取り外すことを要求せず、迅速かつ容易なブレーキング機構の較正に有用であることが示される。オートビレイへの使用においては、そうした迅速な較正は、要求される最大回転速度を変更することが必要とされたときに重要となることが明らかとなる。
【0070】
付勢デバイスが、各用途の要求に応じて印加磁界へ向かってまたはそれから離れて導電部材を付勢するよう構成されてもよいことは明らかである。例えば(加速を防ぐために)付与トルクの増加に伴いブレーキングトルクを増加させることが要求される用途において、付勢デバイスは、印加磁界から半径方向に向けて導電部材を付勢することが好ましい。
【0071】
代替実施形態において(付与トルクとともにブレーキングトルクを減少させることを要求する用途において)、付勢デバイスは、印加磁界へ向けて導電部材を半径方向に移動させるために導電部材に対して不勢力を提供するべく、導電部材に対してかつロータに対して取り付けられている。導電部材は、例えば付勢部材取り付け具に対してピボット軸の対向する側にカウンタウェイトを設けるかまたは質量中心を配置することによって、回転時に半径方向内側に移動するよう構成されている。そうした実施形態は、例えば、中間ポイントの周囲で枢軸回転可能なレバーの一端に導電部材を設けることによって達成できる。そのレバーの他端は、ロータの回転時に遠心作用下で外側に動くよう構成されたカウンタウェイトを有する。導電部材、代替的にはカウンタウェイトは、印加磁界へ向けて導電要素を付勢するよう付勢デバイスを介してロータに取り付けられていてもよい。それゆえ、ロータが回転するとき、レバーは、導電部材に対して付与される付勢力およびブレーキングトルクに対して磁界から離れるよう導電部材を枢軸回転させる。
【0072】
好ましくは、付勢デバイスは、ブレーキが掛けられるように回転方向に偏心したピボット軸から離間されたポジションにおいて、ロータに取り付けられている。
【0073】
代替実施形態において、付勢デバイスは、前記ロータの一端に取り付けられたねじりバネまたは同等物として設けられてもよく、かつその他端においては、ピボット軸の周囲にある導電部材が取り付けられており、そのねじりバネは、(用途に応じて)磁界へ向けてまたは磁界から離れるように、導電部材の枢軸回転に対向するよう構成されている。
【0074】
上記スプリングは、好ましくは印加磁界を交差する導電部材の最大および最小領域のそれぞれとともに、最大スプリング長と最小スプリング長との間で導電部材の枢軸移動範囲の限定を形成する。
【0075】
また枢軸範囲は、好ましくは、ブレーキングトルクが対向方向でない一回転方向だけに付与されることを確実なものとするようピボット軸の一側に構成されている。そうした「一方向」構成は、上昇時にラインにおけるブレーキング作用を有することが望まれないオートビレイへの用途に有用である。なぜなら、これはライン引き戻し機構に対向しかつラインにゆるみを潜在的に形成するからである。
【0076】
導電部材が磁界へ向けて移動する割合が、導電部材に作用する付与トルク、「スプリング」付勢力および反応遠心力に左右される、つまり付与トルクおよび付勢力に対向する(回転速度および導電部材の質量に左右される)遠心力の成分が、スプリング付勢力より大きくなる場合に、導電部材は磁界へ向かって移動するようになる。スプリングが伸長すると、スプリング「付勢力」または復帰力Fsが以下の式におおむね基づいて増大する。
【0077】
【数3】
【0078】
ここで、kは、バネ定数であり、かつxは平衡点からの広がりである。一同導電部材が磁界内に存在すると、過電流反力は、付与トルクおよび遠心力によって引き起こされる枢軸回転に付加されるようになり、したがってスプリング付勢力は3つの力すべてに対向し、それゆえ、復帰力がピボット軸の周囲で導電部材に付与されるトルクと等しくなるまで、スプリングは伸長する。
【0079】
好ましくは、ブレーキング機構は、ロータから偏心して、略円形または弧状のマグネットアレイ状に配置された複数の永久磁石を含む。
【0080】
代替実施形態において、ブレーキング機構は、例えばその略中央に回転軸がある四角形状または三角形状などの線形アレイ状に配置された複数の永久磁石を含んでもよい。
【0081】
好ましくは、二つの上記アレイは、導電部材の回転平面の両側に設けられる。各アレイの磁石は、実質的に互いに対向する反対の極を有する。したがって、磁界は、好ましくは導電部材の回転平面に実質的に直交する方向において、磁界は対向するマグネットの反極(N極およびS極)の間に延在するよう形成されている。
【0082】
代替実施形態においては、ひとつのアレイがロータの片側に設けられてもよく、その他側にはスチール製のまたは強磁性のプレートが配置されている。なお、そうした「片側」配置されたマグネットアレイは、両側に配置されたアレイに比べて弱い磁界を提供し得ることは明らかだ。
【0083】
さらなる実施形態において、導電部材の片側または両側に設けられたマグネットアレイは、導電部材の方向に磁界を集中させるために、ハルバッハ(halbach)様式であるいは同様の構成で配置されている。
【0084】
好ましくは、マグネットアレイは、導電部材に対して反対の方向である「外側」においてマグネットの表面に取り付けられたスチールまたは他の強磁性材料の基材を備えている。
【0085】
さらに他の実施形態において、マグネットは、導電部材の半径方向動作が導電部材を印加磁界に交差するようにさせるよう、ロータおよび導電部材を取り囲むよう形状付けられた単一のマグネットとして設けられてもよい。
【0086】
生じる過電流作用のために、導電部材が磁界に交差しかつ磁界に対して移動しなければならないことは明らかである。例示として、これは、以下のa)およびb)によって達成される。
a)適所にマグネットを固定し、かつロータおよび導電部材を、導電部材が磁界に交差しかつ磁界と通って移動するようあるいはその反対となるよう、回転させる。
b)導電部材とマグネットの両方を異なる角速度で回転させる。例えばロータおよび導電部材はマグネットと同じ方向に、だがより大きな角速度で回転するよう構成されてもよい。あるいはマグネットは、導電部材の方向に対向する方向に回転するよう構成されてもよい。
【0087】
したがって、1つの好ましい実施形態においては、マグネットは、マグネットがロータとともに回転しないように適所に固定されており、ロータおよび導電部材は、導電部材が磁界に交差しかつ磁界と通って移動するように、マグネットに対して回転可能である。
【0088】
「固定」との語がこの実施形態において、例えばモータステータと同様に、ロータに対して静止状態にされたマグネットを意味するよう使用されていることは明らかである。それゆえ「固定」との語は、ハウジング、上部構造または他の対象物に対して適所に固定されているマグネットを意味するよう解釈されるべきものではない。
【0089】
好ましい実施形態において、マグネットは、ロータの回転時にロータの角速度とは異なる角速度で回転するよう構成されている。
【0090】
ロータに対するマグネットの回転は、ロータが回転するときに、相対角速度を、ひいてはブレーキングトルクの強さを変更するための機構を提供する。マグネットは、ブレーキングトルクを低減させるためにロータと同じ方向に、あるいはブレーキングトルクを増大させるためにロータの方向に対向する方向に回転してもよい。
【0091】
好ましい実施形態において、マグネットは、ロータの方向に実質的に対向する方向においてロータとともに回転するためにロータに連結されている。
【0092】
好ましい実施形態において、ロータは連結トランスミッションを介してマグネットに連結されている。
【0093】
好ましい実施形態において、連結トランスミッションは、マグネットに接続されかつ連結トランスミッションを介してロータに連結されたドラムを付与トルクが駆動する場合に、マグネットに対するロータ(および導電部材)の相対角速度を変化させるために使用されてもよい。代替実施形態において装置は他の方法で丸くされてもよい。
【0094】
本明細書を通して連結トランスミッションを参照すると、連結トランスミッションに連結される二つの物品の間で力を伝達するために使用される機構を意味するよう理解されたい。連結トランスミッションは、機械的または流体ギアトランスミッション、またはチェーンドライブまたは摩擦連結、あるいは従来公知である他のトランスミッションであってもよい。
【0095】
例えば、ギアトランスミッションは、ロータの方向とは反対の方向に回転するよう構成されてもよく、それによって、導電部材とマグネットとの間の相対速度が潜在的に乗算される。
【0096】
それゆえ、このブレーキング機構は、著しく材料またはサイズを増加することなく、導電部材とマグネットとの間の相対速度を増大することによって増大されるブレーキング作用を得ることができる。
【0097】
他の実施形態において、ロータは、チェーンドライブまたは摩擦連結を含むさまざまな手段によってマグネットに連結されていてもよい。
【0098】
さらなる実施形態において、ストッパーが、導電部材の半径方向動作を制限するために設けられてもよい。
【0099】
好ましくは、ストッパーは、中断される最大磁界のポジションまで導電部材の半径方向の移動を制限するよる配置されている。そうしたストッパーは、導電部材が磁界内にあると同時に、ロータに対して導電部材を効果的に「固定する」ことによってロータに対して、導電部材に付与されるブレーキングトルクを伝達することに利用される。
【0100】
さらに、そうしたストッパーを提供することによって、付勢デバイスが破損したり、外れたり、または他の方法で損なわれる場合に、導電部材がロータに対してブレーキングトルク(好ましくは最大の)を依然として付与することを確実とするために、「安全な」特徴部が提供される。そうしたストッパーが設けられていない場合には、導電部材は、磁界から外れて移動でき、かつ、もはやブレーキングトルクを付与することはない。
【0101】
代替実施形態において、ストッパーは、付勢されたラチェット機構の一部として提供されてもよい。導電部材は、進行的な半径方向ポジションに対して、ひいては進行的なブレーキングトルクに対して、付勢力とは反対方向に移動する。
【0102】
本発明の他の態様によれば、以下の構成、つまり、
−回転軸周囲で回転するロータと、
−ロータとともに回転するためにロータに連結された少なくとも1つの電気的伝導部材と、
−導電部材に少なくとも部分的に直交して延在する磁界を印加するよう構成された少なくとも1つのマグネットと、
を含み、
ロータの回転時に、導電部材が印加磁界へ向けてロータから半径方向外側に移動されるよう構成されており、それによって、印加磁界を通る導電部材の動作が、導電部材が磁界に交差するときに、導電部材に過電流を生じるようになっている、過電流ブレーキング機構が提供される。
【0103】
好ましくは、磁界は主に導電部材の回転平面に対して実質的に直交して延在する。
【0104】
好ましくは、複数のマグネットおよび導電部材が設けられており、各導電部材は1つ以上のマグネットによって印加される磁界へと可逆的な移動ができるようになっている。
【0105】
好ましくは、導電部材は、ロータの回転に応じて回転軸から半径方向トラックに沿ってロータに対して移動するよう構成されている。
【0106】
好ましくは、導電部材は、連結されたロータによってもたらされる半径方向の加速の結果として、磁界内へ移動するよう構成されており、それゆえ導電部材はロータに対して半径方向外側に移動するようになっている。
【0107】
好ましくは、スプリングまたは同等の付勢部材/機構などの付勢デバイスは、導電部材の外側半径方向移動に対向する付勢力を提供するために、導電部材にかつロータに取り付けられている。したがって、付勢デバイスの較正は、導電部材の半径方向移動の量を、ひいては磁界に交差する導電部材の領域を制御するための手段を提供する。
【0108】
この「線形的な」実施形態は、ロータの回転方向とは関係なく作動するブレーキング機構を提供する。
【0109】
「線形的な」かつ「枢軸回転する(つまり導電部材の枢軸回転を伴う)」両方の実施形態に適用されるブレーキングトルクの較正は、付勢力のレベルを変更することにより変化されかつ較正することができ、それによって、特定のブレーキングトルク特性を要求する用途に応じた効果的な手段が提供できるようになる。
【0110】
本発明に基づく過電流ブレーキング機構は、ロータの回転速度を付与トルクの範囲(「作動範囲」)にわたって一定となるよう構成されてもよい。前記付与トルクはロータに回転が引き起こされるときにロータに作用する力である。この一定の回転速度は、導電体が磁界とより多く交差するときに誘起された過電流から生じたブレーキングトルクの等しくかつ反対の増加によって(作動範囲内での)バランスの取れた付与トルクの増加が原因となって生じる。
【0111】
ロータが最初に回転し始めた場合には、本発明に基づく過電流ブレーキング機構は、付与トルクとともに実質的に線形に回転速度が増大する従来のデバイスのように作動する。この状態は、ロータとともに回転するようロータに連結された電気伝導体がマグネットの印加磁界内に進入するまで続く。磁界を通る導電体の動きは、導電体に過電流をもたらし(それは磁界を通る動作に対向する)、それにより導電体の作動にブレーキング力がもたらされる。ブレーキング力の大きさは、導電体が磁界に交差する大きさおよび磁界の強さを含むいくつかの要因に左右される。
【0112】
本発明に基づく過電流ブレーキング機構は、磁界の強さ、導電体の構成および付勢機構は、すべて、ロータに付与されるトルクの増大がトルクの所望の作動範囲にわたるブレーキングトルクの等しいが対向する増加によってバランスがとれ、それによって作動範囲にわたってロータの一定の回転速度を生じるように、選択されてもよい。
【0113】
多少の付与トルクにおいて、導電体は、本発明の特定の実施形態では利用可能な磁界の最大領域に交差してもよい。このトルクでは、ブレーキング力もまた最大となる。それゆえ付与トルクがさらに増大されると、回転速度は再び付与トルクの増加に対応して実質的に線形となる。
【0114】
本発明の他の態様によれば、ライン繰り出しデバイスであって、
−実質的に上述されたブレーキング機構と、
−ロータとともに回転するべくロータおよび/または導電部材に連結されたラインのスプールと、
を含むライン繰り出しデバイスが提供される。
【0115】
このライン繰り出しデバイスはオートビレイであることが好ましい。
【0116】
好ましくは、ロータおよび/またはスプールは、スプールからのラインの伸長に対向するための付勢復帰機構を含む。この復帰機構は、ラインに作用する張力が所定のレベル以下となったときに、ラインを引き戻すよう構成されている。
【0117】
本明細書で使用されているように、「ライン」との語は、なんらかのケーブル、ロープ、ストリング、チェーン、ワイヤ、ストラップまたは他の弾性材料からなる長さのあるものを意味する。
【0118】
本発明の他の態様によれば、対象物の回転にブレーキを掛ける方法であって、
−ロータとともに回転させるべく対象物に導電部材を連結させるステップと、
−回転導電部材の回転平面に対して少なくとも部分的に直交するよう広がる磁界を印加させるよう構成された少なくとも1つのマグネットを提供するステップと、
−対象物の回転時に磁界内へ向けて移動されるよう導電部材を構成するステップと、
を含むこと方法が提供される。
【0119】
本発明の他の態様によれば、さらに以下のステップを含む、実質的に上述された対象物の回転にブレーキを掛ける方法が提供される。
−対象物が回転し、そして導電部材が磁界内へと移動し、それによって導電部材に過電流が生じるステップ。
【0120】
したがって、本発明は、
・付与トルクの範囲にわたって一定のレベルまで速度を制限する;
・コンパクトな装置を使用して十分なブレーキングトルクを作用させられる;
・オートディセンダー/オートビレイに使用するための過電流ブレーキが提供される;
という、1つ以上の利用可能な過電流ブレーキング機構を提供することによって従来技術に対して著しい利点を提供できる。
【0121】
それゆえ本発明は、速度制御に関する、かつ/または、例えば速度制御などを用いるいくつかの用途におけるブレーキングに関する特定の用途が見出されることは明らかだ。一例として以下の用途を挙げる。
・ウインド、流体および他の回転タービンにおけるロータ;
・ローイング機械、エピサイクロイド練習装置などのエクササイズ装置;
・ローラーコースターおよびアミューズメント用の乗り物;
・エレベータおよびエスカレータシステム;
・緊急用下降部および火災避難用デバイス;
・コンベヤシステム;
・工場生産設備における回転デバイス;
・例えば配送路(シュート)における(つまり片側に下ろされるアイテムの下降量を制御するための)コンベヤベルトまたはブレーキングデバイスなどの材料取扱いデバイス;
・例えば回転するサインの回転速度の制御における、動くディスプレイ標識;
・例えばブレーキにおけるエネルギーの消散を通じた衝撃の弱化をもたらすためにシステムに連結されたブレーキであってもよい、ロードサイド・セーフティーシステム;
【0122】
実際に、本発明は回転ブレーキおよび/または速度制限システムに使用されてもよい。
【0123】
本発明のさらなる態様および利点は、添付の図面を参照した例示としてのみ与えられた以下の説明から明らかとなる。