(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータが入力される演算装置と、前記パイルホルダ台船に設置されるパイルホルダの傾斜角度を検知するホルダ傾斜検知手段と、前記パイルホルダに上下に間隔をあけて取付けられて、このパイルホルダとパイルホルダに保持されている杭との相対位置を検知する少なくとも2つの杭位置検知手段とを備え、
前記パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータと、前記ホルダ傾斜検知手段の検知データおよび前記杭位置検知手段の検知データとに基づいて、前記演算装置によって杭の芯位置および傾斜角度を逐次算出する構成にしたことを特徴とする杭打設施工管理システム。
パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータが入力される演算装置と、前記パイルホルダ台船に設置されるパイルホルダの傾斜角度を検知するホルダ傾斜検知手段と、前記パイルホルダに上下に間隔をあけて取付けられて、このパイルホルダとパイルホルダに保持されている杭との相対位置を検知する少なくとも2つの杭位置検知手段と、前記パイルホルダに保持されている杭の予め設定された箇所の3次元位置を検知する3次元杭位置検知手段とを備え、
垂直にセットした前記パイルホルダにより杭を保持して、前記パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータと、前記ホルダ傾斜検知手段の検知データおよび前記杭位置検知手段の検知データとに基づいて、前記演算装置によって杭の芯位置および傾斜角度を算出し、算出した杭の芯位置の傾斜角度に基づいて、必要に応じてパイルホルダを傾斜させることにより、杭の芯位置が傾斜していない垂直状態に維持して、この垂直状態の杭について、前記3次元杭位置検知手段により前記予め設定された箇所の3次元位置を検知し、この検知した3次元位置に基づいて算出した杭の芯位置と、予め設定されているこの杭の打設位置とを比較する構成にしたことを特徴とする杭打設施工管理システム。
前記杭位置検知手段が、前記パイルホルダを構成する保持アームに取付けられる少なくとも3つのストローク計を有し、これらストローク計の可動ロッドが保持アームに保持されている杭に対して近接離反可能に設けられ、この杭の外周面に当接することによりパイルホルダと杭との相対位置を逐次検知する構成にした請求項1または2に記載の杭打設施工管理システム。
前記杭位置検知手段が、4つのストローク計を有し、これらストローク計の可動ロッドが前記保持アームに保持されている杭に対して外周側に周方向に均等の間隔で配置され、周方向に隣り合うストローク計の可動ロッドが直交する方向に向いている請求項3に記載の杭打設施工管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パイルホルダ台船を用いて杭を水底地盤に打設する際に、設定された位置に精度よく打設できる杭打設施工管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の杭打設施工管理システムは、パイルホルダ台船の位置データが入力される演算装置と、前記パイルホルダ台船に設置されるパイルホルダの傾斜角度を検知するホルダ傾斜検知手段と、前記パイルホルダに上下に間隔をあけて取付けられて、このパイルホルダとパイルホルダに保持されている杭との相対位置を検知する少なくとも2つの杭位置検知手段とを備え、前記パイルホルダ台船の位置データと、前記ホルダ傾斜検知手段の検知データおよび前記杭位置検知手段の検知データとに基づいて、前記演算装置によって杭の位置および傾斜角度を逐次算出する構成にしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の杭打設施工管理システムは、パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータが入力される演算装置と、前記パイルホルダ台船に設置されるパイルホルダの傾斜角度を検知するホルダ傾斜検知手段と、前記パイルホルダに上下に間隔をあけて取付けられて、このパイルホルダとパイルホルダに保持されている杭との相対位置を検知する少なくとも2つの杭位置検知手段と、前記パイルホルダに保持されている杭の予め設定された箇所の3次元位置を検知する3次元杭位置検知手段とを備え、垂直にセットした前記パイルホルダにより杭を保持して、前記パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータと、前記ホルダ傾斜検知手段の検知データおよび前記杭位置検知手段の検知データとに基づいて、前記演算装置によって杭の芯位置および傾斜角度を算出し、算出した杭の芯位置の傾斜角度に基づいて、必要に応じてパイルホルダを傾斜させることにより、杭の芯位置が傾斜していない垂直状態に維持して、この垂直状態の杭について、前記3次元杭位置検知手段により前記予め設定された箇所の3次元位置を検知し、この検知した3次元位置に基づいて算出した杭の芯位置と、予め設定されているこの杭の打設位置とを比較する構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前者の発明によれば、基準となるパイルホルダ台船(パイルホルダ)の位置データおよび向きデータが演算装置に入力され、パイルホルダの傾斜角度はホルダ傾斜検知手段によって把握できる。そして、上下方向に間隔をあけてパイルホルダに取付けられた少なくとも2つの杭位置検知手段によって、パイルホルダとパイルホルダに保持されている杭との相対位置および相対傾斜角度を逐次把握することができる。したがって、パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータと、ホルダ傾斜検知手段の検知データおよび杭位置検知手段の検知データとに基づいて、演算装置によって杭の実際の芯位置および傾斜角度を逐次精度よく算出することができる。これにより、パイルホルダ台船を用いて杭を水底地盤に打設する際に、設定された位置に精度よく打設することが可能になる。
【0009】
後者の発明によれば、前記パイルホルダ台船の位置データおよび向きデータと、前記ホルダ傾斜検知手段の検知データおよび前記杭位置検知手段の検知データとに基づいて、垂直にセットしたパイルホルダにより保持されている杭の芯位置および傾斜角度を前記演算装置によって算出し、算出した杭の芯位置の傾斜角度に基づいて、必要に応じてパイルホルダを傾斜させることにより、この杭の芯位置が傾斜していない垂直状態に維持できる。そして、この垂直状態の杭について、前記3次元杭位置検知手段により前記予め設定された箇所の3次元位置を検知し、この検知した3次元位置に基づいて算出した杭の芯位置と、予め設定されているこの杭の打設位置とを比較することで、パイルホルダ台船を用いて水底地盤に打設しようとしている杭の芯位置が、目標としている打設位置である否かを精度よく把握することが可能になる。
【0010】
ここで、本発明では、前記杭位置検知手段が、前記パイルホルダを構成する保持アームに取付けられる少なくとも3つのストローク計を有し、これらストローク計の可動ロッドが保持アームに保持されている杭に対して近接離反可能に設けられ、この杭の外周面に当接することによりパイルホルダと杭との相対位置を検知する構成にすることもできる。杭は打設によって順次下方移動し、また、新たな杭の継ぎ足しも行なう。このような打設施工においても、この構成によれば、複雑な機構を用いることなく、追加的な作業も必要なく、杭の位置および傾斜角度を逐次算出することができる。
【0011】
前記杭位置検知手段が、4つのストローク計を有し、これらストローク計の可動ロッドが前記保持アームに保持されている杭に対して外周側に周方向に均等の間隔で配置され、周方向に隣り合うストローク計の可動ロッドが直交する方向に向いている構成にすることもできる。この構成によれば、パイルホルダと杭との相対位置の把握が一段と容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の杭打設施工管理システムを図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
図1〜
図5に例示するように、本発明の杭打設施工管理システム(以下、施工管理システムという)は、パイルホルダ台船1で保持された杭15を、クレーン船12を用いて吊下げられたハンマー装置(バイブロハンマ)14で打設する際に用いられる。クレーン船12とは、クレーン13を備えた作業船であり、船上に予めクレーン13が固設されている作業船や移動式のクレーン車両を載置した作業船である。
【0015】
この施工管理システムは、パイルホルダ台船1の位置データおよび向きデータが入力される演算装置10と、パイルホルダ台船1に設置されるパイルホルダ2の傾斜角度を検知するホルダ傾斜検知手段6a、6bと、杭位置検知手段5とを備えている。そして、パイルホルダ台船1の位置データおよび向きデータと、ホルダ傾斜検知手段6a、6bの検知データおよび杭位置検知手段5の検知データとに基づいて、演算装置10によって杭15の実際の芯位置および傾斜角度を逐次算出する構成になっている。演算装置10としては、パーソナルコンピュータ等を用いる。演算装置10にはモニタ11が接続されている。
【0016】
2つのホルダ傾斜検知手段6a、6bのうち、一方のホルダ傾斜検知手段6aが台船1の前後方向の傾斜角度を検知し、他方のホルダ傾斜検知手段6bが台船1の幅方向の傾斜角度を検知する。ホルダ傾斜検知手段6a、6bとしては、例えば、リーダ3などのパイルホルダ2の一部に取付けられる傾斜計などを用いることができる。
【0017】
杭位置検知手段5は、リーダ3などのパイルホルダ2の一部に上下に間隔をあけて少なくとも2つ取付けられる。そして、パイルホルダ2とパイルホルダ2に保持されている杭15との相対位置を検知する。
【0018】
パイルホルダ台船1の位置データを取得するには、台船位置検知手段が用いられる。台船位置検知手段は、
図2に例示するように、台船位置計測装置8aおよび反射装置8bで構成されている。台船位置計測装置8aは、パイルホルダ台船1などの被着体に取り付けられた反射装置8bの反射光を検知することによりパイルホルダ台船1の位置を把握する。
【0019】
この台船位置検知手段により取得したパイルホルダ台船1の位置データおよび向きデータを演算装置10に入力する。パイルホルダ台船1におけるパイルホルダ2(リーダ3)の位置は既知であるので、パイルホルダ2(リーダ3)の位置データを演算装置10により算出する。台船位置検知手段によってパイルホルダ2(リーダ3)の位置データを直接検知して、その位置データを演算装置10に入力するようにしてもよい。尚、リーダ3の位置は、後述するようにベース7やスライドベース9の移動によって変化するので、ベース7およびスライドベース9の移動量も演算装置10に入力される。
【0020】
パイルホルダ2の具体的な構成は次のとおりである。パイルホルダ台船1の上にはレール7aを介して台船1の前後方向に移動可能なベース7が設置されている。ベース7の上には、レール9aを介して幅方向に移動可能なスライドベース9が設置されている。スライドベース9の先端部には、リーダ3が立設するように取付けられている。リーダ3はスライドベース9から延びる支持部9bによっても支持されている。ベース7の前後方向移動およびスライドベース9の幅方向移動によって、リーダ3(パイルホルダ2)に保持された杭15をある程度の範囲内で移動させることができる。また、リーダ3は、所定の角度範囲内で台船1の前後方向および台船1の幅方向に傾斜できるように構成されている。
【0021】
リーダ3には、打設する杭15を保持する3つの保持アーム4A、4B、4Cが上下方向に間隔をあけて設けられている。保持アーム4A、4B、4Cの数は複数であればよく、3つに限定されるものではない。
【0022】
それぞれの保持アーム4A、4B、4Cはすべて同じ構造であり、一対の円弧状のアーム部4mを有している。一対のアーム部4mは支軸を中心に回動して
図4に例示するように開いた状態から
図3に例示するように閉じた状態になる。
【0023】
図5に例示するように、それぞれのアーム部4mの内周面には保持ローラ4rが設けられている。それぞれの保持ローラ4rは、アーム部4mの内周面からの突出量を変更できるように移動可能に設けられている。
【0024】
一対のアーム部4mを閉じ、保持ローラ4rを杭15の外周面に当接させることにより、杭15が保持アーム4A、4B、4Cによって上下方向に移動可能に保持される。ここで、それぞれの保持ローラ4rは杭15の半径方向に移動できるので、保持ローラ4rの移動範囲内で外径の異なる杭15を保持アーム4A、4B、4Cにより保持することができる。
【0025】
さらに、それぞれの保持アーム4A、4B、4Cには、杭位置検知手段5が設けられている。それぞれの杭位置検知手段5は、保持アーム4mに保持されている杭15に対して近接離反可能に可動する可動ロッド5bを有するストローク計5aを備えている。これら可動ロッド5bが、杭15の外周面に当接することによりパイルホルダ2と杭15との相対位置を検知する構成になっている。それぞれの可動ロッド5bの先端にローラ等の滑り部材を設けるとよい。また、可動ロッド5bに設けたローラを保持ローラ4rとして用いる構造にすることもできる。
【0026】
それぞれの保持アーム4A、4B、4Cには、少なくとも3つのストローク計5aが設けられていればよく、この実施形態では、4つのストローク計5aが設けられている。この4つストローク計5aの可動ロッド5bは、一対のアーム部4mが閉じた際の内周面によって形成される仮想円に対して周方向に均等の間隔で配置されている。即ち、アーム部4mに保持されている杭15に対して外周側に周方向に均等の間隔で配置されている。周方向に隣り合うストローク計5aの可動ロッド5bは直交する方向に向いている。
【0027】
それぞれの可動ロッド5bは、アーム部4mによって保持されている杭15の外周面に常時当接するように構成されている。そのため、それぞれのストローク計5aにより検知される可動ロッド5bの出入量データによってリーダ3(パイルホルダ2)に対する杭15の相対的な芯位置を把握することができる。また、2つ以上の杭位置検知手段を有しているので、リーダ3(パイルホルダ2)に対する杭15の芯位置の相対的な傾斜角度を把握することができる。
【0028】
水底地盤に杭15を真っ直ぐに打設する場合は、まず、
図2に例示するように、パイルホルダ台船1を所定の位置に誘導して固定する。そのため、例えば、パイルホルダ台船1に間隔をあけて2つの反射装置8bを設置する。そして、この反射装置8bと陸上に設置された台船位置計測装置8aとを用いて、パイルホルダ台船1を所定位置に位置決めする。その位置で、2本〜4本のスパッド1aを水底地盤に突き刺してパイルホルダ台船1をその位置に固定する。
【0029】
次いで、
図4に例示するように、それぞれの保持アーム4A、4B、4Cを構成する一対のアーム部4mを開いた状態にする。ここで、打設する杭15をクレーン13のワイヤ13aにより吊って、開いた状態の一対のアーム部4mの内部に配置する。次いで、
図3に例示するように、一対のアーム部4mを閉じた状態にして保持アーム4A、4B、4Cにより、杭15を上下移動可能に保持する。次いで、リーダ3(杭15)を、所望の位置に設定にする。
【0030】
その後、
図1、
図6に例示するように、ぞれぞれの保持アーム4A、4B、4Cによって杭15を保持しながら、ハンマー装置14によって杭15を水底地盤に打設する。杭15の打ち込みが進むに連れて、ハンマー装置14の把持部14aが保持アーム4Aに近づいてくるので、保持アーム4Aのアーム部4mを開いた状態にして保持アーム4Aと把持部14aとの干渉を回避して杭15の打ち込みを進める。打設した杭15に新たな杭15を継ぎ足した場合も同様に打設する。
【0031】
また、ヤットコ16を用いて杭15を打設する場合は、
図7に例示するように、杭15の上端部をヤットコ16の下端部で把持する。そして、ヤットコ16の上端部を把持部14aで把持して、適宜、ぞれぞれの保持アーム4A、4B、4Cによってヤットコ16を保持しながら、ハンマー装置14によって杭15を打設する。
【0032】
パイルホルダ台船1の位置および向き、即ち、パイルホルダ2(リーダ3)の位置データは予め演算装置10に入力されているので、この入力されている位置データと、それぞれのストローク計5aにより検知されたパイルホルダ2(リーダ3)に対する杭15の相対位置データとに基づいて、演算装置10によって杭15の実際の芯位置が逐次算出できる。
【0033】
また、上下に間隔をあけた2箇所の保持アームにおいて、リーダ3に対する杭15の芯位置を把握することができると、リーダ3に対する杭15の傾斜角度を把握することができる。即ち、リーダ3と、パイルホルダ2に保持されている杭15の相対傾斜角度が把握できる。
【0034】
リーダ3の傾斜角度はホルダ傾斜検知手段6a、6bによって検知されるので、この検知される傾斜角度データと、2箇所の保持アームにおいて検知されたパイルホルダ2に対する杭15の相対傾斜角度データとに基づいて、演算装置10によって杭15の実際の傾斜角度が逐次算出できる。
【0035】
このようにして杭15の実際の芯位置および傾斜角度を逐次算出し、その算出結果をモニタ11に表示する。クレーン13のオペレータはモニタ11に表示された算出結果を参照することにより、打設している杭15の芯位置および傾斜角度をリアルタイムで把握できる。そのため、予め設定された打設位置に、杭15を精度よく打設することが可能になる。
【0036】
杭15の予め設定された打設位置データを演算装置10に予め入力しておき、この予め入力した打設位置データと、演算装置10により逐次算出した杭15の芯位置および傾斜角度とをモニタ11に表示して比較できるようにするとよい。ヤットコ16についても同様に実際の芯位置および傾斜角度を逐次算出できる。
【0037】
このようなストローク計5aを用いた杭位置検知手段5によれば、打設されることで下方移動する杭15やヤットコ16に対しても、複雑な機構を用いることなく、また、追加的な作業も必要なく、杭15やヤットコ16の実際の芯位置および傾斜角度を逐次算出することができる。
【0038】
それぞれの保持アーム4A、4B、4Cに4つのストローク計5aを設け、これらストローク計5aの可動ロッド5bを、保持アーム4A、4B、4Cに保持されている杭15に対して外周側に周方向に均等の間隔(90°の中心角)で配置し、周方向に隣り合うストローク計5aの可動ロッド5bが直交する方向に向くようにすると、リーダ3と杭15との相対位置の把握が一段と容易になる。例えば、対向する一対の可動ロッド5bの出入量データによって、リーダ3と杭15とのX方向の相対位置が検知され、別の対向する一対の可動ロッド5bの出入量データによって、リーダ3と杭15とのY方向(X方向と直交する方向)の相対位置が検知できる。
【0039】
本発明の別の実施形態を以下に説明する。
【0040】
この実施形態は、先の実施形態の構成に加えて、
図8に例示するように、パイルホルダ2に保持されている杭15の予め設定された箇所の3次元位置を検知する3次元杭位置検知手段を備えている。3次元杭位置検知手段は、3次元杭位置計測装置8cと反射装置8dとで構成されている。
【0041】
3次元杭位置計測装置8cとしては例えば、自動追尾型トータルステーション等を用いる。反射装置8dは複数のプリズムを備えて、杭15の予め設定された箇所の外周面に巻き付くように取り付けられる。3次元杭位置計測装置8cは、反射装置8dからの反射光のうち最も明るさが強い反射光の位置を杭15の位置(3次元座標)として把握する。この把握した杭15の位置データに基づいて、この杭15の反射装置8dが取付られた箇所での杭15の芯位置が算出できる。
【0042】
この実施形態では先の実施形態と同様に、パイルホルダ台船1を所定の位置に誘導して、その位置で、2本〜4本のスパッド1aを水底地盤に突き刺してパイルホルダ台船1をその位置に固定する。
【0043】
次いで、パイルホルダ2(リーダ3)を垂直にセットし、予め設定されている杭15の打設位置に凡そ一致するように、
図4に例示するように開いた状態の一対のアーム部4mの内部に杭15を配置する。その後、
図3に例示するように、一対のアーム部4mを閉じた状態にして保持アーム4A、4B、4Cにより、杭15を上下移動可能に保持する。
【0044】
ここで、それぞれの保持アーム4A、4B、4Cに設けられたストローク計5aの可動ロッド5bを杭15の外周面に当接させることにより、パイルホルダ2と杭15との相対位置を検知する。これにより、この杭15の芯位置および傾斜角度が把握できる。把握したこの杭15の傾斜角度がゼロ、即ち、杭15が傾斜していない垂直状態であればそのままにする。一方、把握したこの杭15の傾斜角度がゼロではない場合、即ち、杭15が傾斜している場合は、リーダ3を必要な方向に傾斜させて、杭15を垂直状態にする。
【0045】
即ち、パイルホルダ台船1の位置データおよび向きデータと、ホルダ傾斜検知手段6a、6bの検知データおよび杭位置検知手段5の検知データとに基づいて、演算装置10によって杭15の芯位置および傾斜角度を算出し、算出した杭15の芯位置の傾斜角度に基づいて、必要に応じてパイルホルダ2(リーダ3)を傾斜させることにより、杭15の芯位置が傾斜していない垂直状態に維持する。
【0046】
次いで、この垂直状態の杭15について、
図8に例示するように3次元杭位置計測装置8cおよび反射装置8dによって、予め設定された箇所の3次元位置を検知する。この検知した3次元座標に基づいて杭15の芯位置を算出する。そして、この算出した杭15の芯位置と、予め設定されているこの杭15の打設位置とを比較する。これにより、パイルホルダ台船1を用いて水底地盤に打設しようとしている杭15の芯位置が、目標としている打設位置である否かを精度よく把握することができる。
【0047】
比較の結果、両者の位置が一致していれば、そのまま杭15の打設作業を進める。一方、比較の結果、両者の位置が一致していなければ、杭15を保持しているパイルホルダ2(リーダ3)を移動させて杭15の位置を変更するとともに、既述のように杭15の芯位置が傾斜していない垂直状態に維持する。その後、3次元杭位置計測装置8cおよび反射装置8dによって、この垂直状態の杭15の予め設定された箇所の3次元位置を検知して、杭15の芯位置を算出する。そして、この算出した杭15の芯位置と、予め設定されているこの杭15の打設位置とを比較する。両者の位置が一致するまで同じ工程を行なう。