【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施するための実施例を、添付図面を用いて説明する。
図1は本発明の油井管継手の気密性評価試験装置を構成する加熱・冷却機構の概略構成を示した模式図、
図2は本発明の油井管継手の気密性評価試験装置全体の概略構成を示した模式図である。
【0019】
図1及び
図2において、1は油井管2a,2bの端部同士を油井管継手3で接合した、略円筒状の供試体であり、カップリングタイプ、インテグラルタイプの何れの油井管継手の気密性評価試験にも適用可能である。本発明の油井管継手の気密性評価試験装置は、その軸方向が水平になるように、前記供試体1の両端部をフレーム4の内部に設置した取り付け部4a,4bに固定した状態で試験を行うもので、以下の機構を備えている。
【0020】
フレーム4に取り付けた前記供試体1に圧縮及び引張の軸力を付与する機構である例えば油圧シリンダ5が、フレーム4の一方端部に設けられている。また、カードル7内のガス(例えばN
2+He等の不活性ガスや空気)を圧縮機9で昇圧し、高圧配管6を介して前記供試体1の内部に導くことで、前記供試体1の内部に大気圧以上の内圧を負荷する内圧負荷機構が設けられている。
【0021】
そして、本発明では、前記供試体1の加熱・冷却機構における加熱を、前記供試体1を構成する油井管継手3の外周部を含む所定範囲(例えば50〜500mm)にのみ、チューブ状で電気的に絶縁された構造の誘導加熱コイル8を配置することで、供試体1を外周部から高周波誘導加熱するようにしている。
【0022】
この際、供試体1の内部に鋼やアルミニウムの中実金属製の中子を設置しておけば、供試体1の内部に充填する高圧ガス10の容量が少なくて済む。
【0023】
このような供試体1の自己発熱を利用する高周波誘導加熱とすることで、供試体1の全体を加熱する必要がなくなるので、加熱に使用するエネルギーを低下させることが可能になる。また、環状炉を使用する場合は加熱に30分程度かかっていたものが、高周波誘導加熱の場合は20分程度で加熱することができ、加熱、均熱時間を短縮できる。
【0024】
なお、供試体1は、炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼などの強磁性体が望ましい。常磁性体では、誘導加熱で得られる熱量が強磁性体に比べて少なくなり、加熱効率が劣るからである。
【0025】
加えて、加熱に環状炉を用いる場合は空冷でしか冷却することができなかったので冷却に60分程度の時間を要していたが、誘導加熱の場合は、低温の冷却水、液体窒素などの液体を供試体1に直接吹き付ける構成の冷却装置11を採用することが可能になる。従って、加熱・冷却機構として、当該冷却装置11を更に備えさせることにより、環状炉に比べて冷却時間を大幅に短縮できる。
【0026】
しかしながら、誘導加熱により供試体1は自己発熱し、その熱が供試体1の内部に伝わり、供試体1の鉛直方向の上部へ伝熱するために、鉛直方向の上部が高温となり、下部との間で偏熱が発生する。
【0027】
特に、高圧ガスで内圧を負荷する場合は、誘導加熱により自己発熱した熱が、界面では熱伝達率が増加して熱が伝わりやすい前記高圧ガス10に移動する。供試体1の内部は高圧ガス10の対流が発生しており、加熱された高圧ガス10は上部へ移動して鉛直方向の上部が高温となり、下部との間で発生する偏熱が大きくなる。
【0028】
一方、誘導加熱は材料の自己発熱を利用して加熱するものであるため、低温部の集中的な加熱は不可能である。
【0029】
そこで、本発明では、前記誘導加熱コイル8を用いて誘導加熱した前記供試体1の被加熱部における鉛直方向上部に、鉛直方向上部の一部分のみを冷却する接触式の局所冷却装置12を更に設置している。
【0030】
この局所冷却装置12は、供試体1の軸中心を通る鉛直線から円周方向に等分に広がる角度θが30°〜180°の範囲をカバーでき(
図3参照)、軸方向の範囲L1は誘導加熱コイル8の設置範囲L2の25%〜100%をカバーする必要がある(
図4参照)。なお、
図4中のL3は誘導加熱コイル8による加熱範囲を示す。
【0031】
この局所冷却装置12は、例えば蛇腹状の導管に冷却水などの冷却媒体を循環させる構造のものを採用する。導管の材質は、銅など常磁性体である必要がある。また、この局所冷却装置12に供給する冷却媒体の温度は、0℃〜目標とする温度の50%の温度(目標温度が180℃の場合は90℃)とする。
【0032】
上記本発明では、供試体1の鉛直方向上面及び下面の少なくとも2箇所に、温度測定用の熱電対13を貼付するなどして、供試体1の鉛直方向上部と下部の温度を連続的に測定しながら供試体1を誘導加熱することが望ましい。
【0033】
そして、前記熱電対13によって測定した供試体1の鉛直方向の上部と下部の表面温度と、目標温度(135℃〜360℃)、目標加熱速度を元に、制御用コンピュータ14を用いて加熱・冷却機構、局所冷却装置12を連続的に制御して、内圧付与機構により所定の内圧を負荷した供試体1を周方向に偏熱なく加熱する。
【0034】
このように加熱・冷却機構、内圧付与機構、局所冷却装置12を用い、必要に応じて所定の内圧を負荷した供試体1を所定の温度への加熱に併せて、油圧シリンダ5を作動して圧縮及び引張の軸力を付与し、供試体1の継手部分における気密性評価試験を実施する。なお、気密性評価試験に際し、供試体1に付与するのは圧縮及び引張の軸力だけでなく、曲げモーメントを付与して行っても良い。
【0035】
ちなみに、供試体を180℃となるまで誘導加熱する際に、本発明の油井管継手の気密性評価試験装置の局所冷却装置12に4℃の冷却水を供給して循環させた場合、内圧を負荷した状態(
図5(a))、内圧を負荷しない状態(
図6(a))の何れも、供試体の鉛直方向の上部と下部の温度差は4℃以内に改善された。
【0036】
本発明は上記した例に限らないことは勿論であり、請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0037】
例えば、上記の例では、内圧負荷機構を備えた気密性評価試験装置で、内圧を負荷して油井管継手の気密性を評価する場合について説明したが、内圧を負荷しないで油井管継手の気密性を評価しても良い。また、内圧を負荷しないで油井管継手の気密性を評価する場合は、内圧負荷機構を備えない気密性評価試験装置を使用しても良いことは言うまでもない。
【0038】
また、上記の例では、加熱・冷却機構に冷却装置11を備えたものを示しているが、冷却装置11を備えないものでも良い。