【実施例】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
<構 成>
図1に、実施例1の開閉弁ユニット1を示す。この開閉弁ユニット1は、消防防災用放水・散水設備の配管2の途中に挿入されている。配管2の先端には放水用の開口3が設けられており、他端は図示しない送水ポンプに接続されている。開閉弁ユニット1は自動弁4と、自動弁4の二次側に設けられた空気混入機構5とからなる。
【0020】
自動弁4は一斉開放弁であり、一次側流路6と二次側流路7とを連通させるための連通孔8が設けられている。連通孔8の上縁部には弁座9が形成されており、弁座9には弁体10が一次側の圧力を受けて圧着されており、弁体10は同軸でスピンドル11の先端に固定されている。スピンドル11は一次側流路6と連通する弁内を上方に向かって貫通してピストン室12に入り、さらにはピストン室12の上端を貫通して上方に突出し、先端にハンドル13が取り付けられている。スピンドル11の中央にはピストン14が同軸で固定されており、ピストン室12を上下に分割している。ピストン14はスピンドル11とともにピストン室12内を上下移動可能とされている。なお、スピンドル11は、ピストン14の上下動、およびハンドル13の回転のいずれにおいても、連動して上下するようになっている。また、一次側流路6には起動用配管16の一端側が接続されており、起動弁17を経て他端側がピストン室12内の下部と連通している。
【0021】
また、自動弁4の二次側の配管2内には、二次側に向かって流路断面が50%に狭められたオリフィス18が設けられており、オリフィス18の2次側には吸気管19が接続されており、吸気管19の先端には逆止弁20が取り付けられている。オリフィス18と吸気管19と逆止弁20とが空気混入機構5である。自動弁4とオリフィス18の最狭部分との距離は配管2の内側直径の2倍とされている。
【0022】
自動弁4は起動弁17の開放から弁開度が全開となるまでの時間が15秒以内とされている。
【0023】
<作用効果>
(待機時)
以上のように構成された実施例1の開閉弁ユニット1では、待機状態においては、一次側流路6は消防用水が加圧状態で充填されており、二次側流路7は空の状態とされている。また起動弁17は閉状態とされており、ピストン室12内は空の状態とされている。このため、弁体10は一次側流路6の消防用水から受ける圧力で弁座9に圧着されて連通孔8が閉鎖されており、これにより一次側流路6の消防用水の二次側流路7へ移動が阻止されている。
【0024】
(起動時)
図2に示すように、起動弁17を閉状態から開状態にすると、一次側流路6内の消防用水は起動用配管16を経てピストン室12に流入する。ピストン14の受圧面積は、弁体10の受圧面積よりも大きいため、ピストン室12に流入した消防用水の圧力によってピストン14が押し上げられ、スピンドル11が弁体10とともに上昇する。これにより、一次側流路6の消防用水は連通孔8を介して二次側流路7に流入し、オリフィス18を通過する。ここで、オリフィス18の二次側は大気圧よりも圧力が低くなり、吸気管19から逆止弁20を介して空気が配管2内に入り、消防用水と混合されて気泡が形成される。
【0025】
(放水時)
そして、
図3に示すように、気泡を含む消防用水はさらに配管2内を進み、ついには開口3に到達し、放水される。開口3は配管2の内径よりも狭くなっているため、開口3に到達した気泡を含む消防用水は突然速度が遅くなり、水撃による衝撃圧が発生する。この衝撃圧(圧縮波)は、気泡を含む消防用水の進行方向と逆向きに伝播する。しかし、この衝撃圧は消防用水に含まれる気泡の収縮によって吸収され、衝撃圧の伝播が低減される。
【0026】
したがって、実施例1の開閉弁ユニット1によれば、放水を行う際の水撃圧を確実に低減することができる。また、弁体10を連通孔8から一気に離して開度を最初から全開とし、さらには、起動弁4の開放から弁開度が全開となるまでの時間が15秒以内と短いため、待機状態から放水するまでの時間が短い。さらには、逆止弁20の存在により、二次側流路7が充水した後は、消防用水が吸気管19から逆流することを防止することができる。
【0027】
(比較例1)
比較例1の開閉弁ユニットは、空気混入機構空気混入機構5が設けられていない点を除き、実施例1の開閉弁ユニットと同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0028】
比較例1の開閉弁ユニットでは、空気混入機構が設けられていないため、起動弁17を開けて自動弁4を開状態とし、一次側流路6の消防用水を二次側流路7に流入させても、消防用水中に気泡が混合されない。このため、開口3に到達した瞬間の消防用水の速度が急激に変化し、消防用水の進行方向と逆向きの水撃が発生しても、この水撃による衝撃圧力を吸収することができない。このため、二次側流路7、及び一次側流路6を含む配管全体へ、衝撃圧力が伝播することとなる。
【0029】
−評価試験−
本発明の開閉弁ユニットの効果を確認するために、
図4に示す模擬散水設備を作製し、評価試験を行った。この模擬散水設備は、実施例1の開閉弁ユニット1が二次側配管21の一端に接続されており、他端には散水配管22がT字状に接続されている。
ただし、自動弁4からオリフィス18までの距離は0及び9.5d(dは模擬散水設備配管2の内径)の2種類とし、オリフィス18の開度(すなわち(オリフィス18の最狭部分の流路断面積/模擬散水設備配管2の流路断面積))は、0.4、0.6、0.8及び1.0の4種類とし、合計8種類の開閉弁ユニットを作製した。なお、開度1.0とは、オリフィスを取り付けていないことを表す。
【0030】
散水配管22には左右に5個ずつ、合計10個の開口23が均等間隔で上方に突出するように設けられている。二次側配管21及び散水配管22の長さはともに11mであり、自動弁4の一次側は一次側配管24に接続されている。また、自動弁4の一次側及び二次側には、それぞれ圧力計P1及びP2が設置されており、散水配管23の一端には圧力計P3が接続されている。圧力計P3はデータロガー25に接続されており、圧力の経時記録が可能とされている。
【0031】
比較例1の開閉弁ユニットについても、同様の模擬散水設備を作製し、その評価試験を行った。
【0032】
測定条件はとおりである。
・自動弁4の開放前の一次側圧力:1.0MPa
・自動弁4の開放直後の初期流量:3900L/min
・開口23の1個の吐出水量:186L/min(0.75MPa時)
・一次側配管24:JIS10K 100A SGP管(メッキなし)
・二次側配管21:JIS10K 100A SGP管(メッキなし)
長さ11m
・散水配管22:JIS10K 80A SGP管(メッキなし)
長さ5.5m×2
【0033】
(結 果)
データロガー5にて記録した水撃圧力の経時変化を
図5及び
図6に示す。ここで、
図5は、自動弁4から開度0.6のオリフィス18までの距離を9.5dとした空気混入機構の開閉弁ユニットの結果である。また、
図6は空気混入機構を有さない開閉弁ユニットの結果である。
【0034】
図6に示すように、空気混入機構を有さない比較例の開閉弁ユニットでは、圧力が急激に立ち上がり、最大で2.5MPaという大きな水撃圧力が発生した。これに対し、空気混入機構を有する実施例の開閉弁ユニットでは、
図5に示すように、空気混入機構を有しない比較例と比べて圧力の立ち上がりが緩やかであり、水撃圧の最大値も1.6MPaとなり、36%の低減となった。
【0035】
また、「オリフィス18の開度と水撃圧力の関係」については、
図7(a)及び(b)に示した。図中の「オリフィスのみの場合の水撃圧特性」の曲線は、吸気させずに測定した純粋なオリフィス18の開度別水撃圧特性である。オリフィス18の開度が小さいほど水撃圧力が低くなっているが、これはオリフィス18によって、流量が絞られることによる。
【0036】
次に、自動弁4からオリフィス18までの距離を0として、吸気可能とした状態で測定した結果を、図中(a:菱形プロット)に示した。結果から分かるとおり、オリフィス18の流量抑制によって低減された「オリフィスのみの場合の水撃圧特性」とほぼ同じ値であり、空気混入機構の効果が得られていないことが分かる。これは、自動弁4から近い位置では流れが乱流となり、空気混入機構が適切に作動していないためと考えられる。
【0037】
一方、自動弁4からオリフィス18までの距離を9.5d、かつ、吸気可能とした状態で測定した結果を、図中(b:正方形プロット)に示した。この場合、自動弁4からオリフィス18までの距離を0とした場合よりも水撃値が低く、かつ、オリフィス18の開度が小さいほど水撃圧も低くなっており、空気混入機構の効果が得られているが分かる。このため、経験上層流状態となる自動弁4から1.5倍以上の位置にオリフィス18を設置することが好ましく、さらに好ましいのは2倍以上であり、最も好ましいのは5倍以上である。
【0038】
一方、「オリフィス18の開度と開閉弁ユニットの圧力損失」の関係については、
図7(c:破線(圧力損失値は縦軸表示値の0.1倍を読み値とする))に示すように、オリフィス18の開度が小さいほど大きくなる傾向にある。
【0039】
上記の結果から、オリフィス18の開度を小さくして気泡を混入させ、水撃圧力を小さくすることと、開閉弁ユニット本体の圧力損失を小さくすることとは、二律背反の関係となることが分かった。このため、両者を勘案して開度を30%以上80%未満とすることが好ましい。さらに好ましいのは40%以上70%未満であり、最も好ましいのは45%以上65%未満である。
【0040】
(実施例2)
実施例2の開閉弁ユニットは、
図8(a)に示すように、実施例1の開閉弁ユニット1におけるオリフィス18をジェット30に替えたものである。ジェット30は自動弁4の下流側の直後の位置に設けられている。こうであれば、オリフィスの場合と同じ通水流量であっても吸気量を多くすることができる。ジェット30は一次側から二次側に向かって内径が徐々に小さくなる筒形状とされている。その他については実施例1の開閉弁ユニットと同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
実施例2の開閉弁ユニットでは、ジェット30が一次側から二次側に向かって内径が徐々に小さくされているため、オリフィス18と同様、消防用水が流れることにより二次側の圧力が低下し、これによって吸気管19から空気が取り込まれ、消防用水中に気泡を混入させる。このため、実施例1と同様、泡が水撃圧力を吸収し、放水を行う際の水撃圧を確実に低減することができる。また、ジェット30は空気を取り込む能力が高く、水撃の衝撃圧の低減効果を優れたものとなる。さらに、吸気口20がジェット30に近接して設けられているにもかかわらず、十分な量の空気を取り込むことができた。このため、開閉弁ユニットの小型化が可能となる。
【0042】
なお、実施例2の変形例として、
図8(b)に示すように、ジェット30の出口近傍に、ジェットの出口の開口径より大きく、配管内径未満の内径の入口を有する筒状のデフューザー31を設けてもよい。こうであれば、ジェット30から開口3までの長さが長く、その間の圧力損が大きい場合でも、空気を取り込む能力が高いため、十分な水撃の衝撃圧の低減効果を奏することができた(
図9参照)。さらには、デフューザーは下流に向かって大径となるテーパ形状であることが好ましい。
【0043】
(実施例3)
実施例3は開閉弁ユニットの二次側配管の圧力を検知して開度を調整するパイロット機構を備えた開閉弁ユニットであり、
図10に示すように、パイロット弁40のコントロール室41と配管2とが圧力検知配管42によって連結されており、パイロット弁40の弁室43が起動用配管16と連結されている。パイロット弁40と圧力検知配管42とがパイロット機構である。
【0044】
弁室43内には
図11に示すように弁体44と弁座45が設けられており、弁体44の上端はコントロール室41側に上下に摺動可能に慣入されている。弁体44の上端はコントロール室41内のダイヤフラム46に接続されており、ダイヤフラム46の上側はコイルバネ47に接続されている。コントロール室41の上端から突出してコイルバネ47の付勢力を調整する調整ハンドル48が設けられている。
その他については実施例1の開閉弁ユニットと同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
以上のように構成された実施例3の開閉弁ユニットでは、起動弁17を開いて開閉弁4を開状態とし、消防用水を配管2に流入させると、配管2内の圧力が圧力検知配管42によってパイロット弁40のコントロール室41のダイヤフラム46の下部に伝えられ、コイルバネ47の付勢力に打ち勝ってダイヤフラム46を押し上げる。これにより弁室43内の弁体44が弁座45に接近し、通水量が減少して開閉弁4のピストン室12の圧力が低下する。ピストン室12の圧力が低下するとピストン14が下がり、開閉弁4の開度が低下する。これにより、配管2への消防用水の流入量が減り圧力が低下する。このようにして、開閉弁二次側の圧力が圧力検知配管42によってパイロット弁40のコントロール室41のダイヤフラム46の下部にフィードバックされ、圧力が下がりすぎた場合は、逆にコイルバネ47の付勢力により弁体44が弁座45から離れ、通水量を増加させ再び自動弁4の開度を上昇させる。こうしたフィードバック機能によって、開閉弁の二次側の圧力が安定し、ひいては消防用水を安定的に送水することができる。
【0046】
その他については、実施例1の開閉弁ユニットと同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
上記実施例1〜3では自動弁4の二次側に空気混入機構5を設置したが、一次側に設置してもよいし、一次側及び二次側の双方に設置してもよい。
また、この発明は上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。