特許第5767200号(P5767200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767200
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】重ね合わせ複合部品
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/18 20060101AFI20150730BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20150730BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B32B3/18
   B32B3/30
   B60R13/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-259112(P2012-259112)
(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-104658(P2014-104658A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】宮下 長武
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀彰
【審査官】 佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】 実開平1−80555(JP,U)
【文献】 実開平2−75217(JP,U)
【文献】 特開2003−103676(JP,A)
【文献】 特開2004−255663(JP,A)
【文献】 特開昭63−290727(JP,A)
【文献】 実開平2−111522(JP,U)
【文献】 特開2004−314826(JP,A)
【文献】 特開2001−55072(JP,A)
【文献】 特開2005−343054(JP,A)
【文献】 特開昭59−121213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 3/18
B32B 3/30
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の合わせ面を有する第1部材と、
前記合わせ面と略平行な板状部を有するとともに、該板状部には、該合わせ面との間に空間が形成されるように該合わせ面に向かって突き出す多数の突起が一体に設けられ、該突起が該合わせ面に接する状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、
を有し、前記突起の先端が前記合わせ面に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与される重ね合わせ複合部品において、
該重ね合わせ複合部品は、意匠面側が凹むように二次元的或いは三次元的に湾曲した湾曲形状部を有し、
前記第1部材および前記第2部材のうち前記意匠面側に位置する一方の部材の前記湾曲形状部には、前記突起よりも大きく突き出す係合突起が一体に設けられている一方、
前記第1部材および前記第2部材の他方には、前記係合突起が相対的に挿入される挿入穴が設けられており、
前記係合突起が前記挿入穴内に挿入され、且つ、該挿入穴から抜け出さないように係止されている
ことを特徴とする重ね合わせ複合部品。
【請求項2】
前記係合突起および前記挿入穴は、挿入方向と直角な断面形状が互いに相違しており、該係合突起が該挿入穴内に挿入される際に少なくとも一方が弾性変形させられることにより、該弾性変形に基づいて互いに係止される
ことを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項3】
前記挿入穴には前記係合突起と断面形状が異なる係止穴が連続して設けられており、該係合突起が該挿入穴内に挿入された後に該係止穴内へ移動させられることにより、該係合突起および該係止穴の少なくとも一方が弾性変形させられて互いに係止される
ことを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項4】
前記他方の部材には、前記一方の部材と反対側の裏面であって前記挿入穴の近傍に係止部が設けられており、
前記係合突起は、前記挿入穴内に挿入された後に、該挿入穴から突き出す先端部が曲げ変形させられて前記係止部に係止される
ことを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項5】
前記係合突起の先端には、挿入方向において非円形の頭部が設けられている一方、
前記挿入穴は前記頭部を挿入可能な非円形であるとともに、前記他方の部材の前記一方の部材と反対側の裏面であって該挿入穴の近傍には係止突起が設けられており、
前記係合突起の頭部が前記挿入穴内に挿入されて反対側へ突き出した状態で、該頭部が前記係止突起を乗り越えるように該係合突起が捩り変形させられることにより、該頭部が該係止突起に係止される
ことを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項6】
前記係合突起は、前記挿入穴よりも大きい台座部と、該台座部から軸方向へ突き出す突出先端部とを一体に備えており、
前記突出先端部が前記挿入穴内に挿入されるとともに前記台座部が前記他方の部材に当接させられた状態で、インサート成形により該突出先端部が露出している部分を含めて係止部材が該他方の部材に一体的に設けられることにより、該突出先端部が該係止部材を介して該他方の部材に一体的に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項7】
前記第2部材が前記意匠面側に位置する板状の表皮材で、該表皮材に前記係合突起が一体に設けられており、
前記第1部材が、前記表皮材よりも硬質の樹脂材料にて構成されている板状の基材で、該基材に前記挿入穴が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の重ね合わせ複合部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重ね合わせ複合部品に係り、特に、多数の突起の弾性変形によってクッション性が付与される重ね合わせ複合部品の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) 所定の合わせ面を有する第1部材と、(b) 前記合わせ面と略平行な板状部を有するとともに、その板状部には、その合わせ面との間に空間が形成されるようにその合わせ面に向かって突き出す多数の突起が一体に設けられ、その突起がその合わせ面に接する状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、を有し、(c) 前記突起の先端が前記合わせ面に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与される重ね合わせ複合部品が知られている。特許文献1に記載の部品はその一例で、車両用の内装部品(アームレスト等)に関するものであり、第2部材である表皮材の裏面に多数のピン状やリブ状の突起を設けることにより、その突起の弾性変形で表皮材の触感(ソフト感)を向上させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−103676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の重ね合わせ複合部品において、意匠面側が凹むように二次元的或いは三次元的に湾曲している部分では、第1部材の合わせ面と第2部材の多数の突起との間に隙間が生じ、意匠面に弛みやしわが発生したり浮き上がりが生じたり、その弛みや浮き上がりに伴う位置ずれで異音が発生したりするなど、商品の品質を損なう恐れがあった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、多数の突起の弾性変形によってクッション性が付与される重ね合わせ複合部品において、湾曲形状に拘らず意匠面の弛みや浮き上がり等を抑制して商品品質を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 所定の合わせ面を有する第1部材と、(b) 前記合わせ面と略平行な板状部を有するとともに、その板状部には、その合わせ面との間に空間が形成されるようにその合わせ面に向かって突き出す多数の突起が一体に設けられ、その突起がその合わせ面に接する状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、を有し、(c) 前記突起の先端が前記合わせ面に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与される重ね合わせ複合部品において、(d) その重ね合わせ複合部品は、意匠面側が凹むように二次元的或いは三次元的に湾曲した湾曲形状部を有し、(e) 前記第1部材および前記第2部材のうち前記意匠面側に位置する一方の部材の前記湾曲形状部には、前記突起よりも大きく突き出す係合突起が一体に設けられている一方、(f) 前記第1部材および前記第2部材の他方には、前記係合突起が相対的に挿入される挿入穴が設けられており、(g) 前記係合突起が前記挿入穴内に挿入され、且つ、その挿入穴から抜け出さないように係止されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の重ね合わせ複合部品において、前記係合突起および前記挿入穴は、挿入方向と直角な断面形状が互いに相違しており、その係合突起がその挿入穴内に挿入される際に少なくとも一方が弾性変形させられることにより、その弾性変形に基づいて互いに係止されることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明の重ね合わせ複合部品において、前記挿入穴には前記係合突起と断面形状が異なる係止穴が連続して設けられており、その係合突起がその挿入穴内に挿入された後にその係止穴内へ移動させられることにより、それ等の係合突起および係止穴の少なくとも一方が弾性変形させられて互いに係止されることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第1発明の重ね合わせ複合部品において、(a) 前記他方の部材には、前記一方の部材と反対側の裏面であって前記挿入穴の近傍に係止部が設けられており、(b) 前記係合突起は、前記挿入穴内に挿入された後に、その挿入穴から突き出す先端部が曲げ変形させられて前記係止部に係止されることを特徴とする。
【0010】
第5発明は、第1発明の重ね合わせ複合部品において、(a) 前記係合突起の先端には、挿入方向において非円形の頭部が設けられている一方、(b) 前記挿入穴は前記頭部を挿入可能な非円形であるとともに、前記他方の部材の前記一方の部材と反対側の裏面であってその挿入穴の近傍には係止突起が設けられており、(c) 前記係合突起の頭部が前記挿入穴内に挿入されて反対側へ突き出した状態で、その頭部が前記係止突起を乗り越えるようにその係合突起が捩り変形させられることにより、その頭部がその係止突起に係止されることを特徴とする。
【0011】
第6発明は、第1発明の重ね合わせ複合部品において、(a) 前記係合突起は、前記挿入穴よりも大きい台座部と、その台座部から軸方向へ突き出す突出先端部とを一体に備えており、(b) 前記突出先端部が前記挿入穴内に挿入されるとともに前記台座部が前記他方の部材に当接させられた状態で、インサート成形によりその突出先端部が露出している部分を含めて係止部材がその他方の部材に一体的に設けられることにより、その突出先端部がその係止部材を介してその他方の部材に一体的に固定されることを特徴とする。
【0012】
第7発明は、第1発明〜第6発明の何れかの重ね合わせ複合部品において、(a) 前記第2部材が前記意匠面側に位置する板状の表皮材で、その表皮材に前記係合突起が一体に設けられており、(b) 前記第1部材が、前記表皮材よりも硬質の樹脂材料にて構成されている板状の基材で、その基材に前記挿入穴が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明のような重ね合わせ複合部品においては、意匠面側が凹むように湾曲した湾曲形状部の意匠面側に位置する一方の部材に係合突起が設けられ、他方の部材に設けられた挿入穴内に挿入されるとともに、その挿入穴から抜け出さないように係止されるため、湾曲形状に拘らず意匠面の弛みやしわの発生、浮き上がり等が抑制されて商品品質が向上する。
【0014】
第2発明は、係合突起および挿入穴の断面形状が互いに相違しており、その係合突起が挿入穴内に挿入される際に少なくとも一方が弾性変形させられることにより、その弾性変形に基づいて互いに係止される場合で、係合突起を挿入穴内に押し込むだけで係止できるため、第1部材と第2部材との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。また、係合突起および挿入穴の断面形状を変更すれば、それ等の変形荷重すなわち抜け止め強度を適当に調整(チューニング)できるため、適切な係合状態が容易に得られる。
【0015】
第3発明は、挿入穴に連続して係止穴が設けられ、係合突起がその挿入穴内に挿入された後に係止穴内へ移動させられることにより、それ等の係合突起および係止穴の少なくとも一方が弾性変形させられて互いに係止される場合で、挿入穴内に挿入された係合突起を係止穴内へ移動させるだけで係止できるため、第1部材と第2部材との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。また、係合突起および係止穴の断面形状を変更すれば、それ等の係止による抜け止め強度を適当に調整(チューニング)できるため、適切な係合状態が容易に得られる。
【0016】
第4発明は、挿入穴の近傍に係止部が設けられ、係合突起がその挿入穴内に挿入された後に先端部が曲げ変形させられて係止部に係止される場合で、挿入穴内に挿入された係合突起の先端部を曲げ変形させて係止部に係止すれば良いため、第1部材と第2部材との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0017】
第5発明は、係合突起の先端に非円形の頭部が設けられ、その頭部が挿入穴内に挿入された後に捩り変形させられることにより、挿入穴の近傍に設けられた係止突起に係止される場合で、頭部が挿入穴内に挿入された係合突起を捩り変形させて頭部を係止突起に係止すれば良いため、第1部材と第2部材との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0018】
第6発明は、係合突起が台座部と突出先端部とを備えており、突出先端部が挿入穴内に挿入されて台座部が他方の部材に当接させられた状態で、インサート成形により係止部材が他方の部材に一体的に設けられることにより、その突出先端部が係止部材を介して他方の部材に一体的に固定される場合で、第1部材と第2部材との組合せ作業の自動化が容易に可能で生産効率を高めることができる。
【0019】
第7発明は、多数の突起が設けられる第2部材が意匠面側の表皮材で、その表皮材に係合突起が設けられるとともに、硬質の基材に挿入穴が設けられる場合で、弾性変形可能な表皮材に設けられた係合突起を基材に対して適切に係止することができる。また、硬質の基材によって所定の剛性を確保しつつ、表皮材に設けられた突起の弾性変形により、その表皮材を指や手で押した場合に優れた触感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明が適用された車両用ドアトリムの一例を意匠面側から見た概略正面図である。
図2図1におけるII−II矢視部分の拡大断面図である。
図3図2のアームレスト部の III部を更に拡大して示す断面図である。
図4図3の表皮材の裏面に設けられた多数の微小突起を垂直方向から見た拡大平面図である。
図5図4における V−V 矢視部分の拡大縦断面図である。
図6図4におけるVI−VI矢視部分の拡大縦断面図である。
図7図3に示す係合突起が挿入穴に挿入される前の状態を示す斜視図である。
図8図7の係合突起が挿入穴内に挿入される際の係合突起の変形形態を説明する図である。
図9図3の係合突起および挿入穴の別の例を示す図で、図7に対応する斜視図である。
図10図9の係合突起が挿入穴内に挿入される際の係合突起の変形形態を説明する図である。
図11図3の係合突起および挿入穴の更に別の例を示す図で、図7に対応する斜視図である。
図12図11の係合突起が挿入穴内に挿入され、連接して設けられた係止穴に係止される際の係合突起の変形形態を説明する図である。
図13図3の係合突起および挿入穴の更に別の例を示す図で、図7に対応する斜視図である。
図14図13の係合突起が挿入穴内に挿入され、近傍に設けられた係止部に係止される際の係合突起の変形形態を説明する図である。
図15図14の(b) におけるXV−XV矢視部分の断面図である。
図16図3の係合突起および挿入穴の更に別の例を示す図で、図7に対応する斜視図である。
図17図16の係合突起が挿入穴内に挿入され、近傍に設けられた係止突起に係止される際の係合突起の変形形態を説明する図である。
図18図3の係合突起および挿入穴の更に別の例を示す図で、図7に対応する斜視図である。
図19図18の係合突起が挿入穴内に挿入され、突出先端部がインサート成形により基材に一体的に固定される工程を説明する図である。
図20図19の(b) におけるXX−XX矢視部分の断面図である。
図21】本発明が図2のアームレスト部の XX1部に適用された場合を説明する図で、図3に対応する断面図である。
図22】第1部材が表皮材で第2部材が基材に固定されている更に別の実施例を説明する図で、図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ドアトリムやラゲージサイドトリム、インストルメントパネル等の車両用内装部品や、その内装部品に取り付けられるオーナメント等に適用されるが、車両用以外のパネル部品に適用することも可能である。また、板状のパネル部品だけでなく、三次元的に湾曲した立体形状を有する第1部材の表面に第2部材を重ね合わせた立体部品にも適用され得る。第1部材を基材として用いる場合、硬質ポリ塩化ビニルやポリプロピレン、ポリエチレン、ABS等の比較的硬質の合成樹脂材料が好適に用いられるが、金属等の他の材料製であっても良い。第1部材を表皮材として用いる場合や第2部材の樹脂材料としては、軟質ポリ塩化ビニルやスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の各種の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。表皮材としては、各種の樹脂材料だけでなく、織布や不織布、編布などを樹脂製シートに貼り合わせた積層材でも良い。第1部材を表皮材として用いる場合、必要に応じて第2部材の裏面側(突起と反対側)に比較的硬質の基材を配設することもできる。
【0022】
クッション性を付与する多数の突起は、例えば平面視において長方形を成すように構成されるが、正方形や円形、楕円形、或いは円弧状に湾曲した湾曲形状など種々の形状が可能である。先端側程断面積が小さくなる先細形状とするなど、突出方向の断面形状を連続的に変化させても良いし、一方へ撓み易くするために中心線に対して非対称形状とすることもできる。多数の突起は総て同一形状であっても良いが、形状が異なる複数種類の突起を混在させて配置することもできる。点状の突起だけでなく、例えば互いに平行な細長い多数のリブ状の突起を設けることも可能である。
【0023】
上記点状の突起は、例えば多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置に設けられる。格子模様は、例えば多角形として同一形状の正三角形や正方形、或いは正六角形が連続して繰り返すように定められるが、長方形や菱形、平行四辺形、不等辺三角形、不等辺六角形などが連続的に繰り返すものでも良い。また、複数種類の多角形が規則的に繰り返す格子模様や、複数種類の多角形が不規則に隣り合って設けられる格子模様でも良く、種々の格子模様が可能である。なお、多数の突起をランダムに設けることも可能である。
【0024】
挿入穴内に挿入された係合突起は、例えば第2発明〜第6発明のように他方の部材に係止されることにより挿入穴からの抜け出しが阻止される。第2発明は、係合突起および挿入穴の断面形状が互いに相違している場合で、例えば屈曲部を有する挿入穴に対して平板状の係合突起が押し込まれることにより、その係合突起が屈曲部に倣って弾性変形させられ、或いは屈曲部を有する挿入穴が平板状の係合突起に倣って直線状に弾性変形させられ、互いに係止される。長方形の挿入穴に対して屈曲部を有する係合突起を挿入し、少なくとも一方を弾性変形させるようにしても良い。係合突起および挿入穴の両方が弾性変形させられても良い。
【0025】
第3発明は、挿入穴に連続して設けられた係止穴内へ係合突起が移動させられることにより、それ等の係合突起および係止穴の少なくとも一方が弾性変形させられて互いに係止される場合で、係合突起および係止穴の何れか一方が弾性変形させられても良いし、両方共に弾性変形させられる場合でも良い。係止穴には、例えば複数の係止爪が設けられ、その係止爪が係合突起を弾性変形させて食い込むように構成することもできる。
【0026】
第4発明では、挿入穴から突き出す係合突起の先端部が曲げ変形させられて係止部に係止されるようになっており、例えば係合突起を曲げ変形させた後、他方の部材の裏面に沿って回動させることにより係止部に係止できるように構成されるが、係合突起を曲げ変形させる際に、係合突起の径寸法よりも狭い差込み口から係止部内に押し込むだけで係止できるようにするなど、種々の態様が可能である。
【0027】
第5発明は、係合突起の先端に非円形の頭部が設けられており、例えばT字形状の係合突起が適当であるが、逆L字形状の係合突起を用いることもできるなど、挿入方向において非円形、すなわち挿入方向から見た形状が非円形の種々の形状の頭部を採用できる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用ドアトリム10を意匠面側すなわち車室内側から見た概略正面図で、図2図1におけるII−II矢視部分の拡大断面図、すなわち車両用ドアトリム10に設けられたアームレスト部品12の縦断面図である。また、図3は、図2における III部を更に拡大して示した断面図である。アームレスト部品12は重ね合わせ複合部品に相当し、ドアトリム本体14に設けられた開口16内に、そのドアトリム本体14の裏側(図2における右側)から嵌め込まれているとともに、周縁部に設けられた複数の取付部18を介してドアトリム本体14に一体的に組み付けられている。
【0029】
上記アームレスト部品12は、三次元的に湾曲させられた板状の基材20と、その基材20の表面22に沿って略平行に重ね合わされるように配置された板状の表皮材24とから構成されている。表皮材24は第2部材で、軟質ポリ塩化ビニル等の比較的軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料にて一体成形されており、表皮材24の裏面24rすなわち基材20側の面には、基材20の表面22に向かって突き出す多数の微小突起26が一体に点在形成されている。これ等の微小突起26により表皮材24と表面22との間に空間28が形成されるとともに、微小突起26の先端が表面22に密着する状態で、表皮材24の外周端末部30が基材20の外周縁部に巻き付けられて固定されている。外周端末部30は、アームレスト部品12がドアトリム本体14の開口16内に嵌め込まれることにより、その開口16により基材20の外周縁部に押圧され、その外周縁部に密着させられた状態に保持されるが、必要に応じて接着剤等の固定手段により基材20の外周縁部に固定するようにしても良い。基材20は第1部材に相当し、上記表皮材24よりも硬質のポリプロピレン等の合成樹脂材料にて一体成形されており、前記取付部18は基材20に一体に設けられている。微小突起26は突起に相当し、基材20の表面22は合わせ面に相当する。なお、表皮材24の表面すなわち微小突起26と反対側の意匠面に、織布や不織布等が積層して設けられても良い。
【0030】
図4は、上記表皮材24の裏面24rに設けられた多数の微小突起26を説明する図で、裏面24rに対して垂直方向から見た拡大平面図である。また、図5図4における V−V 矢視部分の拡大縦断面図、図6図4におけるVI−VI矢視部分の拡大縦断面図である。これ等の図から明らかなように、多数の微小突起26は同一形状で、平面視(図4の状態)において長手形状(この実施例では長方形)を成しており、同一形状の多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様32を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置に設けられている。本実施例では、微小突起26の平面視の形状は、四隅が丸められた長方形で、その長手方向が多角形の各辺と一致する姿勢で配置されている。また、格子模様32は、図4に二点鎖線で示すように、多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様で、微小突起26は、その正六角形の各辺の中央部分に一つずつ設けられている。
【0031】
上記微小突起26は、図5図6から明らかなように、先端側へ向かうに従って断面積が小さくなる緩やかな先細形状を成している。また、図5に示す長手方向と直角な幅方向の縦断面形状、および図6に示す長手方向の縦断面形状は、何れも裏面24rに対して垂直な中立面に対して対称形状を成しており、先端周縁部(断面形状の両端部)には丸みが設けられている。この微小突起26について更に具体的に説明すると、格子模様32の正六角形の互いに平行な2辺の間隔であるピッチP、すなわちその2辺に設けられる微小突起26の中心距離は、4mm≦P≦7mmの範囲内で、本実施例では約5mmである。また、微小突起26の高さ寸法Hは、2mm≦H≦3.5mmの範囲内で、本実施例では約2.5mmである。微小突起26の幅寸法dは、1mm≦d≦2mmの範囲内で、本実施例では約1.2mmである。微小突起26の長さ寸法Lは、1.5mm≦L≦2.5mmの範囲内で幅寸法dよりも大きく、本実施例では約1.8mmである。微小突起26の幅方向両側の側壁の傾斜角度αは、2°≦α≦5°の範囲内で、本実施例では約3°である。微小突起26の長手方向の両端縁の傾斜角度βは、10°〜15°の範囲内で、本実施例では約13°である。微小突起26が設けられた表皮材24の板厚tは1mm≦t≦2mmの範囲内で、本実施例では約1.5mmである。これ等の寸法や角度は、表皮材24の材質などを考慮して、所定の触感(ソフト感など)が得られるように適宜定められる。
【0032】
このようなアームレスト部品12においては、表皮材24が指や手で押圧された場合、微小突起26の先端が基材20の表面22に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与され、所定の触感が得られる。本実施例では、多数の微小突起26が対称形状を成しているため、裏面24rに対して垂直方向から押圧荷重が加えられた場合、基本的には微小突起26が図5図6における上下方向へ圧縮変形させられることによりクッション性が付与され、裏面24rに斜め方向から押圧荷重が加えられると、微小突起26は上下方向の圧縮変形に加えて長手方向と直角な方向(図5における左右方向)へ撓み変形させられることによりクッション性が付与される。
【0033】
ところで、上記微小突起26は基材20の表面22に接触しているだけであるため、意匠面側が凹むように二次元的或いは三次元的に湾曲した湾曲形状部、例えば図2における大湾曲部12aでは、基材20の表面22と微小突起26との間に隙間が生じ、表皮材24に弛みやしわが発生したり浮き上がりが生じたり、その弛みや浮き上がりに伴う位置ずれで異音が発生したりするなど、商品の品質を損なう恐れがあった。図2の III部、すなわち図3に示す部分は、大湾曲部12aに対応する。
【0034】
これに対し、本実施例のアームレスト部品12は、図3に示すように上記大湾曲部12aにおける表皮材24および基材20にそれぞれ係合突起40および挿入穴42が設けられ、互いに係合させられることにより弛みや浮き上がり等が防止されるようになっている。図7は、これ等の係合突起40および挿入穴42の一例で、挿入方向Aと直角な断面形状が互いに相違しており、表皮材24が相対的に基材20に接近させられて係合突起40が挿入穴42内に挿入される際に少なくとも一方が弾性変形させられることにより、その弾性変形に基づいて互いに係止される。具体的には、表皮材24の裏面24rに略垂直に立設された係合突起40は平板形状で、挿入方向Aと直角な断面が一直線状であるとともに、先端部分の形状が、一端部に片寄って突き出す三角形状を成している。基材20に設けられた挿入穴42は、略M字形状を成すように複数の屈曲部を備えており、その挿入穴42内に係合突起40が挿入される際には、図8の(a) 〜(c) に示すように、係合突起40の挿入に伴って挿入穴42の屈曲形状に倣うように係合突起40が一端部側から徐々に弾性変形させられる。そして、その弾性変形に伴う復元力で係合突起40が挿入穴42に係止され、所定の抜け止め強度が得られる。図8の係合突起40は、挿入穴42に嵌合されている部分の断面形状(変形状態)を表しており、(a) は挿入初期で、(b) は挿入中期、(c) は挿入が完全に終了した状態、すなわち図3に示すように微小突起26が基材20の表面22に接触するまで組み合わされた状態である。係合突起40が設けられた表皮材24は一方の部材に相当し、挿入穴42が設けられた基材20は他方の部材に相当する。なお、図7では、表皮材24の裏面24rに設けられている多数の微小突起26が省略されている。図9図11図14図16図19も同様に微小突起26が省略されている。
【0035】
このように、本実施例のアームレスト部品12は、意匠面側が凹むように湾曲した大湾曲部12aの意匠面側に位置する表皮材24に係合突起40が設けられ、基材20に設けられた挿入穴42内に挿入されるとともに、その挿入穴42から抜け出さないようにその基材20に係止されるため、湾曲形状に拘らず表皮材24の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止されて商品品質が向上する。
【0036】
本実施例では、係合突起40および挿入穴42の断面形状が互いに相違しており、係合突起40が挿入穴42内に挿入される際に係合突起40が弾性変形させられることにより、その弾性変形に基づいて挿入穴42に係止されるようになっており、係合突起40を挿入穴42内に押し込むだけで係止できるため、表皮材24と基材20との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0037】
また、挿入穴42の屈曲部の形状や個数を変更すれば、係合突起40の変形荷重すなわち抜け止め強度を適当に調整(チューニング)できるため、適切な係合状態が容易に得られる。
【0038】
また、多数の微小突起26が設けられる表皮材24に係合突起40が設けられ、硬質の基材20に挿入穴42が設けられるため、弾性変形可能な表皮材24に設けられた係合突起40を基材20に対して適切に係止することができる。また、硬質の基材20によって所定の剛性を確保しつつ、表皮材24に設けられた微小突起26の弾性変形により、その表皮材24を指や手で押した場合に優れた触感が得られる。
【0039】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0040】
図9および図10は、それぞれ前記図7および図8に対応する図で、係合突起の別の例を説明する図である。すなわち、この係合突起50は平板形状で、挿入方向Aと直角な断面が一直線状である点は前記係合突起40と同じであるが、先端部分の形状が、中央が突き出す2等辺三角形状である点が相違する。この場合には、図10の(a) 〜(c) に示すように、係合突起50の挿入に伴って挿入穴42の屈曲形状に倣うように係合突起50が先端中央部から徐々に弾性変形させられ、その弾性変形に伴う復元力で係合突起50が挿入穴42に係止されて所定の抜け止め強度が得られる。本実施例においても、実質的に前記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0041】
図11は前記図7に対応する斜視図で、係合突起および挿入穴の更に別の例を説明する図である。この係合突起52は円柱形状を成していて、表皮材24の裏面24rに略垂直に立設されている一方、基材20には、係合突起52よりも大径の挿入穴54が設けられているとともに、その挿入穴54に連続して係止穴56が設けられている。係止穴56は、複数の内向きの係止爪58を有する星型形状を成しており、その係止爪58の先端を結ぶ円の径寸法は係合突起52の径寸法より小さく、係合突起52を弾性変形させつつその外周面に食い込むように係止される。したがって、図12の(a) に示すように、表皮材24を相対的に基材20に接近させて係合突起52を挿入穴54内に挿入した後、矢印Bで示すように撓み変形させて係止穴56内へ押し込むように移動させると、(b) に示すように係止爪58が係合突起52に食い込むように係止され、係合突起52が所定の抜け止め強度で抜け止めされる。
【0042】
本実施例においても、意匠面側が凹むように湾曲した大湾曲部12aの意匠面側に位置する表皮材24に係合突起52が設けられ、基材20に設けられた挿入穴54内に挿入されるとともに、その挿入穴54から抜け出さないようにその基材20に係止されるため、湾曲形状に拘らず表皮材24の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止されて商品品質が向上する。
【0043】
また、挿入穴54に連続して係止穴56が設けられ、係合突起52がその挿入穴54内に挿入された後に係止穴56内へ移動させられることにより、係止爪58が係合突起52に食い込むように係止されて抜け止めされるようになっており、挿入穴54内に挿入された係合突起52を係止穴56内へ移動させるだけで係止できるため、表皮材24と基材20との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0044】
また、係止穴56に設けられる係止爪58の寸法や形状を変更すれば、係合突起52の抜け止め強度を適当に調整(チューニング)できるため、適切な係合状態が容易に得られる。
【0045】
図13および図14は、それぞれ前記図11および図12に対応する図で、図15は、図14の(b) におけるXV−XV矢視部分の断面図であり、係合突起および挿入穴の更に別の例を説明する図である。この係合突起60は円柱形状を成していて、表皮材24の裏面24rに略垂直に立設されている一方、基材20には、係合突起60よりも大径の挿入穴62が設けられているとともに、表皮材24と反対側の裏面20rであって挿入穴62の近傍には係止部64が一体に設けられている。係止部64は、図15から明らかなように、基材20の裏面20rに片持ち状に設けられて裏面20rとの間に係合突起60を挟んで係止するもので、係合突起60を径方向に潰すように弾性変形させながら横から挿入できるように、先端側程裏面20rから離間するように傾斜した差込み口66を備えている。したがって、図14の(a) に示すように、表皮材24を相対的に基材20に接近させて係合突起60を挿入穴62内に挿入した後、挿入穴62から裏側(図の上方)へ突き出す先端部を矢印Bで示すように略90°曲げ変形させるとともに、矢印Cで示すように裏面20rに沿って旋回移動させることにより、(b) に示すように差込み口66から係止部64の内側に押し込んで係止する。このように係合突起60が折り曲げられて係止部64に係止されることにより、係合突起60が所定の抜け止め強度で抜け止めされる。
【0046】
本実施例においても、意匠面側が凹むように湾曲した大湾曲部12aの意匠面側に位置する表皮材24に係合突起60が設けられ、基材20に設けられた挿入穴62内に挿入されるとともに、その挿入穴62から抜け出さないようにその基材20に係止されるため、湾曲形状に拘らず表皮材24の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止されて商品品質が向上する。
【0047】
また、挿入穴62の近傍に係止部64が設けられ、係合突起60がその挿入穴62内に挿入された後に先端部が曲げ変形させられて係止部64に係止されるようになっており、挿入穴62内に挿入された係合突起60の先端部を曲げ変形させて係止部64に係止すれば良いため、表皮材24と基材20との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0048】
図16および図17は、それぞれ前記図11および図12に対応する図で、係合突起および挿入穴の更に別の例を説明する図である。この係合突起70はT字形状を成しており、表皮材24の裏面24rに略垂直に立設された円柱形状の軸部70aと、その軸部70aの先端に略直角に交差するように一体に設けられた円柱形状の頭部70bとを備えている。一方、基材20には、頭部70bの円柱形状の径寸法より大きい幅寸法の長方形の挿入穴72が設けられているとともに、表皮材24と反対側の裏面20rであって挿入穴72の両端部の近傍には一対の係止突起74が一体に立設されている。挿入穴72は、表皮材24が相対的に基材20に接近させられる際に頭部70bがその挿入穴72内に挿入されるように、係合突起70が自然状態の場合の頭部70bに対応して設けられる。したがって、図17の(a) に示すように、表皮材24を相対的に基材20に接近させて係合突起70を挿入穴72内に挿入した後、挿入穴72から裏側(図の上方)へ突き出す頭部70bを矢印Bで示すように軸部70aの軸まわりに捩り変形させ、係止突起74を乗り越えさせると、(b) に示すように頭部70bの両端部が係止突起74に係止されて戻り変形が阻止される。これにより、頭部70bが挿入穴72から抜け出すことが防止され、係合突起70が所定の抜け止め強度で抜け止めされる。
【0049】
本実施例においても、意匠面側が凹むように湾曲した大湾曲部12aの意匠面側に位置する表皮材24に係合突起70が設けられ、基材20に設けられた挿入穴72内に挿入されるとともに、その挿入穴72から抜け出さないようにその基材20に係止されるため、湾曲形状に拘らず表皮材24の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止されて商品品質が向上する。
【0050】
また、係合突起70の先端に挿入方向Aにおいて非円形の頭部70bが設けられ、その頭部70bが挿入穴72内に挿入された後に捩り変形させられることにより、挿入穴72の近傍に設けられた係止突起74に係止されるようになっており、挿入穴72内に挿入された係合突起70を軸部70aの軸まわりに捩り変形させて頭部70bの両端部を係止突起74に係止すれば良いため、表皮材24と基材20との組合せ作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0051】
図18および図19は、それぞれ前記図11および図12に対応する図で、係合突起および挿入穴の更に別の例を説明する図であり、図20図19の(b) におけるXX−XX矢視部分の断面図である。この係合突起80は、表皮材24の裏面24rに略垂直に立設された段付き円柱形状を成しており、大径の台座部80aと、その台座部80aから軸方向へ突き出す突出先端部80bとを同心に一体に備えている。一方、基材20には、上記台座部80aよりも小径で且つ突出先端部80bよりも大径の挿入穴82が設けられている。そして、図19の(a) に示すように、突出先端部80bが挿入穴82内に挿入されて裏側(図の上方)へ突き出し、且つ台座部80aが基材20に当接させられた状態で、(b) に示すようにインサート成形により突出先端部80bが露出している部分を含めてシール部材84が基材20の裏面20r側に一体的に設けられることにより、突出先端部80bがシール部材84を介して基材20に一体的に固定され、係合突起80が挿入穴82から抜け出すことが防止される。シール部材84は係止部材に相当するもので、表皮材24と同一の合成樹脂材料を用いて構成すれば、係合突起80に一体に融着させられ、係合突起80が基材20に一層強固に固定される。
【0052】
本実施例においても、意匠面側が凹むように湾曲した大湾曲部12aの意匠面側に位置する表皮材24に係合突起80が設けられ、基材20に設けられた挿入穴82内に挿入されるとともに、その挿入穴82から抜け出さないようにその基材20に係止されるため、湾曲形状に拘らず表皮材24の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止されて商品品質が向上する。
【0053】
また、係合突起80が台座部80aと突出先端部80bとを備えており、突出先端部80bが挿入穴82内に挿入されて台座部80aが基材20に当接させられた状態で、インサート成形によりシール部材84が基材20の裏面20r側に一体的に設けられることにより、その突出先端部80bがシール部材84を介して基材20に一体的に固定されるため、表皮材24と基材20との組合せ作業の自動化が容易に可能で生産効率を高めることができる。
【0054】
以上の各実施例は、何れもアームレスト部品12の大湾曲部12aに本発明が適用された場合であるが、比較的曲率が小さい小湾曲部12b(図2参照)に対して本発明を適用することもできる。すなわち、小湾曲部12bにおいても、重力などで表皮材24が弛んだり浮き上がったりする恐れがあるため、図21に示すように表皮材24に係合突起90を立設するとともに基材20に挿入穴92を設け、前記各実施例と同様に係合突起90が基材20に係止されるようにして、表皮材24の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止されるようにすることができる。図21は、小湾曲部12bが設けられた図2の XXI部を拡大して示す断面図である。
【0055】
図22のアームレスト部品12は、三次元的に湾曲させられた板状の基材102の表面に、多数の微小突起104を有するクッション部材106が設けられ、そのクッション部材106の微小突起104側に重ね合わされるように表皮材108が配設されている。基材102は、前記基材20と同様に比較的硬質の合成樹脂材料にて構成されている。クッション部材106は第2部材に相当し、前記表皮材24と同様に弾性変形可能な合成樹脂材料にて構成されているとともに、基材102の表面に密着するように二色成形或いは接着剤などで一体的に固着されている。微小突起104は、前記微小突起26と同様に構成されており、表皮材108の裏面108rとクッション部材106との間に空間110が形成されるように、表皮材108側へ向かって突き出すように突設され、先端が裏面108rに当接させられている。裏面108rは合わせ面に相当する。また、表皮材108は第1部材に相当し、本実施例では前記表皮材24と同様に比較的軟質の合成樹脂材料にて構成されている。そして、その表皮材108の裏面108rに係合突起112が設けられている一方、クッション部材106および基材102には挿入穴114が設けられており、前記各実施例と同様に係合突起112が挿入穴114内に挿入されるとともに、クッション部材106或いは基材102に係止されて抜け止めされることにより、表皮材108の弛みやしわの発生、浮き上がり等が防止される。この場合、前記係止部64や係止突起74、シール部材84によって係合突起112の抜け止めを行うには、例えば基材102に逃げ穴を設けて係止部64等をクッション部材106に設けることもできるが、係止部64等を基材102に設け、係合突起112をその基材102に係止するようにしても良い。要するに、係合突起112をクッション部材106に直接係止し、或いはクッション部材106に一体的に設けられた部材に係止して、所定の抜け止め強度が得られるようにすれば良い。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
12:アームレスト部品(重ね合わせ複合部品) 12a:大湾曲部(湾曲形状部) 12b:小湾曲部(湾曲形状部) 20:基材(第1部材、他方の部材) 22:表面(合わせ面) 24:表皮材(第2部材、一方の部材) 26、104:微小突起(突起) 28、110:空間 40、50、52、60、70、80、90、112:係合突起 42、54、62、72、82、92、114:挿入穴 56:係止穴 64:係止部 70b:頭部 74:係止突起 80a:台座部 80b:突出先端部 84:シール部材(係止部材) 106:クッション部材(第2部材、他方の部材) 108:表皮材(第1部材、一方の部材) 108r:裏面(合わせ面) A:挿入方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22