(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記外筒の先端開口部を封止する封止部材と、前記外筒内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジ本体と、前記ガスケットに装着されたもしくは装着可能なプランジャとからなるプレフィルドシリンジであって、
前記ガスケットは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部を備えるガスケット本体と、前記ガスケット本体に取り付けられたプランジャ装着用部材とからなり、
前記ガスケット本体は、前記内腔部の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブを備え、
前記プランジャ装着用部材は、先端より後端まで貫通した中空部を有し、前記ガスケット本体の前記内腔部内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、前記ガスケット本体の前記プランジャ装着用部材抜け止め用リブと係合し、前記プランジャ装着用部材の前記ガスケット本体からの離脱を規制する外面突出部と、前記後端側の内側部より前記プランジャ装着用部材の中心方向かつ先端方向に斜めに延び、前記プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部と、前記各内部突出部の自由端部分にて形成されたプランジャ抜止用係止部とを備え、
前記プランジャは、前記ガスケットへの装着時において、前記ガスケット本体の後端部を押圧可能な押圧部と、該押圧部より先端側に突出し、前記プランジャ装着用部材内に侵入可能な先端部と、該先端部の外面に設けられ、前記プランジャ装着用部材の前記プランジャ抜止用係止部と係合する外面突起部とを備え、
かつ、前記プランジャ装着用部材は、前記ガスケット本体のプランジャ装着用部材抜け止め用リブと前記プランジャ装着用部材の外面突出部とが係合した状態で装着されており、かつ、前記プランジャは、前記ガスケットへの装着時において、前記プランジャの前記先端部が前記ガスケット本体の内面に接触しないものとなっていることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
前記プランジャ装着用部材の複数の前記内部突出部の後端側の面は、平滑かつ前記プランジャ装着用部材中心方向に向かう傾斜面となっており、前記プランジャの係合部の前記プランジャ装着用部材の前記係止部との係合を誘導するための誘導部を形成している請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャ装着用部材の各内部突出部は、後端方向に押されたとき、前記自由端が、前記プランジャ装着用部材の中心に近接する方向に変形するものである請求項1または2に記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の自由端部分の先端側の面は、前記プランジャ装着用部材の中心軸とほぼ直交する平坦面となっており、該自由端部分の先端側の面にて、前記プランジャ抜止用係止部が形成されており、さらに、前記プランジャの外面突起部の後端側の面は、前記先端部の中心軸とほぼ直交する平坦面となっている請求項1ないし4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記複数の内部突出部は、前記プランジャ装着用部材の中心軸に対してほぼ等角度となるように2つ以上設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャは、前記ガスケットに装着されており、前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の自由端の内面は、装着された前記プランジャの先端部の外面と接触している請求項1ないし6のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャは、前記外面突起部の基端側に設けられ、前記プランジャ装着用部材の前記内部突出部の先端部が侵入可能な凹部を備えている請求項1ないし9のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のプレフィルドシリンジについて、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明のプレフィルドシリンジ1は、外筒2と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット3と、外筒2の先端開口部を封止する封止部材5と、外筒2内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ本体10と、ガスケット3に装着されたもしくは装着可能なプランジャ4とからなる。
【0011】
ガスケット3は、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部60を備えるガスケット本体6と、ガスケット本体6に取り付けられたプランジャ装着用部材7とからなる。ガスケット本体6は、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62を備える。プランジャ装着用部材7は、先端より後端まで貫通した中空部を有し、ガスケット本体6の内腔部60内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と係合し、プランジャ装着用部材7のガスケット本体6からの離脱を規制する外面突出部73と、後端側の内側部よりプランジャ装着用部材7の中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fと、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fとを備える。プランジャ4は、ガスケット3への装着時において、ガスケット本体6の後端部67を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7内に侵入可能な先端部(この実施例では、筒状先端部)42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7のプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fと係合する外面突起部43とを備えている。そして、この実施例のガスケット本体6では、後端面(後端部)67には、複数のリブ68が設けられている。
そして、プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62とプランジャ装着用部材7の外面突出部73とが係合した状態で装着されており、かつ、プランジャ4は、ガスケット3への装着時において、プランジャ4の筒状先端部42の先端がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。
【0012】
この実施例のプレフィルドシリンジ1は、プレフィルドシリンジ本体10と、プレフィルドシリンジ本体10(ガスケット3)に装着されたプランジャ4とからなる。
プレフィルドシリンジ本体10は、外筒2と、外筒2の先端開口部を封止する封止部材5と、外筒内に摺動可能に収納されたガスケット3と、外筒2内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤8とを備える。
そして、ガスケット3は、ガスケット本体6と、ガスケット本体6に取り付けられたプランジャ装着用部材7とからなる。
ガスケット本体6は、
図1ないし
図7に示すように、閉塞した先端と、後端開口より先端側に延びる内腔部60を有する筒状体である。ガスケット本体6は、先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部61を有する。また、ガスケット本体6は、外面の先端側に設けられた先端側環状リブ63と後端側に設けられた後端側環状リブ64を備えている。
【0013】
そして、ガスケット本体6は、内腔部60を備え、この内腔部60が、プランジャ装着用部材の収納部となっている。内腔部60は、その内面に、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62を備える。この実施例では、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、内腔部60の先端側に設けられている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、ガスケット本体6の中心軸にほぼ直交するように設けられた無端の環状リブとなっている。なお、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の先端面は、内腔部60の内面より起立する環状起立面62aとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の後端面は、後端方向に拡径する環状傾斜面62bとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、実質的に同じ内径にて所定長延びる同一内径部を備えることが好ましい。このような同一内径部を有することにより、プランジャが後端側に引かれた時に、プランジャ装着用部材のガスケット本体からの離脱を確実に防止できる。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の同一内径部の長さは、1.0〜6.0mmであることが好ましく、特に、2.0〜4.0mmであることが好ましい。
【0014】
さらに、ガスケット本体6は、先端部内面の中央部に後端側に突出する突起部66を備えている。この突起部66は、ガスケット本体6の先端部が後端側に変形したときに、プランジャ4の筒状先端部42の先端に当接可能なものとなっており、ガスケット本体6の先端部の過剰な変形を防止する。突起部66は、略半球状であることが好ましい。ガスケット本体6は、直径が5〜30mm、全長が5〜30mm程度のものが一般的である。
ガスケット本体6の構成材料としては、従来からガスケットに使用されている公知のものが使用できる。例えば、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムが好ましく、特に、加硫処理したものが好ましい。エラストマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー及びこれらの混合物が好ましい。上記ゴム、エラストマーの中でも、特に、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系エラストマーが、好適な硬度、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌などの各種滅菌方法が採用可能であることから好ましい。
【0015】
また、ガスケット本体の先端側部分に低薬剤吸着性物質等を被覆したものであってもよい。
低薬物吸着層の材質としては、従来からラミネートガスケットに使用されている公知のものが使用できる。低薬物吸着層の材質としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリパラキシリレンなどが挙げられる。具体的に、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン等が好ましく、フッ素系樹脂としては、四フッ化エチレン−パーフルオロエトキシエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好ましい。
また、ガスケット本体6の外面、少なくとも先端側環状リブ63および後端側環状リブ64の表面に潤滑剤の塗布を行うことが好ましい。また、潤滑剤は、外筒の内面に塗布してもよい。潤滑剤としては、シリコーンオイルが好適である。
また、ガスケット本体表面に、当該表面にて固化することにより形成されたシリコーン系樹脂層を設けることにより、シリコーンオイル等の潤滑剤を用いないものであってもよい。
【0016】
プランジャ装着用部材7は、
図2、
図4、
図8ないし
図12に示すように、先端より後端まで貫通した中空部を有する筒状体である。プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6の内腔部60内に収納可能な本体部71と、本体部71の外面に設けられた外面突出部73と、弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fと、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fとを備える。
外面突出部73は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と係合し、プランジャ装着用部材7のガスケット本体6からの離脱を規制するものである。この実施例のプランジャ装着用部材7では、本体部71の先端部外面(具体的には、先端外面)に設けられ、プランジャ装着用部材7の中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。そして、外面突出部(外面環状突出部)73の後端面は、本体部71の外面より起立する環状起立面73aとなっている。なお、外面突出部73としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部73の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7の外面突出部73部分におけるプランジャ装着用部材7の外径は、ガスケット本体62のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62における内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
【0017】
また、プランジャ装着用部材7は、
図4、
図9ないし
図12に示すように、プランジャ装着用部材7(本体部71)の後端72側の内側部よりプランジャ装着用部材7の中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fを備えている。そして、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端には、後述するプランジャ4の筒状先端部42の外面に設けられた外面突起部43と係合可能なプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fを備えている。本体部71は、ほぼ同一外径にて所長延びる円筒部であり、後述するプランジャ4の筒状先端部42を収納する。
そして、この実施例のプランジャ装着用部材7では、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fは、プランジャ装着用部材7(本体部71)の後端72側の内側部より、所定角度斜めに先端方向かつプランジャ装着用部材7の中心方向に延びるものとなっている。また、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fは、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有し、かつ、自由端に向かって幅が狭くなっているものとなっている。特に、この実施例では、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fは、徐々に自由端に向かって幅が狭くなるものとなっている。
そして、この実施例のプランジャ装着用部材7では、プランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fは、プランジャ装着用部材の各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端部分の先端側の面にて形成されている。プランジャ抜止用係止部(自由端部分の先端側の面)76a,76b,76c,76d,76e,76fは、プランジャ装着用部材7の中心軸とほぼ直交する平坦面となっている。なお、ここでいうほぼ直交するとは、直交(90度)に対して、±20度未満の傾斜を含む概念であり、この実施例では、直交(90度)に対して、約10度傾斜している。
複数の内部突出部は、プランジャ装着用部材7の中心軸に対してほぼ等角度となるように2つ以上設けられてることが好ましい。特に、複数の内部突出部の数としては、4〜8が好ましい。
【0018】
また、プランジャ装着用部材の各内部突出部は、弾性変形可能なものであり、後端方向に押されたとき、自由端が、プランジャ装着用部材の中心に近接する方向に変形するものであり、先端方向に押されたとき、自由端が、プランジャ装着用部材の中心より離間する方向に変形するものとなっている。
さらに、この実施例のプランジャ装着用部材7では、プランジャ装着用部材7の複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの後端側の面は、平滑かつプランジャ装着用部材中心方向に向かう傾斜面となっており、プランジャ4の係合部のプランジャ装着用部材の係止部との係合を誘導するための誘導部を形成している。また、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端の内面は、プランジャ装着用部材7の中心軸をほぼ中心とする円弧面であることが好ましい。
そして、プランジャ装着用部材7は、
図4に示すように、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62とプランジャ装着用部材7の外面突出部73とが係合した状態でガスケット本体6に装着されている。また、ガスケット本体6に装着されたプランジャ装着用部材7は、その後端がガスケット本体6より突出しないもの、言い換えれば、プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6に装着された状態において、その基端が、ガスケット本体の基端より所定長先端側に位置するものとなっている。さらに、プランジャ装着用部材7がガスケット本体6に装着された状態では、プランジャ装着用部材7の本体部71は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と圧接せず、かつ、プランジャ装着用部材7の外面突出部73もガスケット本体61の内腔部60の内面と圧接しないものとなっている。このため、プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6に装着された状態において、内部に回転可能、若干の前後移動可能となっている。本体部71におけるプランジャ装着用部材7の外径は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
プランジャ装着用部材7の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0019】
プランジャ4は、
図1,
図2、
図13ないし
図15に示すように、プランジャ本体部41と、ガスケット3への装着時において、ガスケットの後端面を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7の中空部内に侵入可能な筒状先端部42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7のプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fと係合する外面突起部43とを備えている。なお、先端部42は、筒状先端部であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、中実状の先端部であってもよい。
プランジャ4は、先端部42をプランジャ装着用部材7の中空部内に押し込むことにより、プランジャ装着用部材7に装着可能となっている。また、プランジャ4は、ガスケット3への装着時において、プランジャの先端部42がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。
押圧部45は、プランジャ本体部41の先端に位置し、円盤状に形成されている。また、プランジャ本体部41は、
図13および
図15に示すように十字状に形成されており、その先端に押圧部45が設けられ、後端に円盤状の後端押圧部47が設けられ、その途中に補強用リブ48を有している。
プランジャ4の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
そして、この実施例のプランジャ4では、プランジャ装着用部材7のプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fと係合する外面突起部43は、筒状先端部42の先端部外面(具体的には、先端外面)に設けられ、プランジャ4の筒状先端部42の中心軸にほぼ直交する環状外面突起部により形成されている。そして、外面突起部(外面環状突起部)43の後端面は、筒状先端部42の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突起部43としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突起部からなるものであってもよい。外面突起部43の高さは、0.3〜1.5mmであることが好ましく、特に、0.5〜1.0mmであることが好ましい。そして、外面突起部43部分における外径は、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端の内面が形成する円の直径より、0.5〜3.0mm大きいものであることが好ましく、特に、1.0〜2.0mm大きいものであることが好ましい。
プランジャ4の外面突起部43を含む筒状先端部42がプランジャ装着用部材7の中空部に押し込まれることにより、外面突起部43部分が、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fを押圧し、弾性変形させることにより、外面突起部43部分は、内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fを通過し、その後、内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fが元の形状に復元もしくはほぼ復元することにより、外面突起部43の後端面部分とプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fとが係合する。これにより、プランジャ4のプランジャ装着用部材7からの離脱が規制される。
【0021】
また、この実施例のプランジャ4では、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端の内面は、プランジャ4の筒状先端部42の外面と接触している。また、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、
図16に示すように、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端の内面はプランジャ4の筒状先端部42の外面と圧接し、若干拡がる方向に押圧されたものであってもよい。このようにすることにより、ガスケットのガタツキが少ないものとなる。
また、この実施例のプレフィルドシリンジでは、
図1、
図2及び
図16に示すように、ガスケット3は、外筒の基端より所定長先端側に位置し、装着されたプランジャ4の押圧部45が、外筒内に位置するものとなっている。このため、装着されたガスケットの傾きを抑制している。
【0022】
外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端部に設けられたフランジ24を備える。
外筒本体部21は、ガスケット3を液密かつ摺動に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部22は、外筒本体部21より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部21の先端部(肩部)は、ノズル部22に向かってテーパー状に縮径している。
外筒2は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
フランジ24は、
図1および
図17に示すように、外筒本体部21の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ24は、向かい合う幅広となった2つの把持部を備え、さらに、把持部の先端面側には、複数のリブが形成されている。また、フランジ24の後端面は、周縁および外筒後端部がリブ部分以外となる部分は凹部となっている。
ノズル部22は、
図17に示すように、先端に向かって縮径する注射針装着用部を備えている。また、本実施例では、チップ部より後端側に設けられたノズル側螺合部23を備えている。本実施例では、ノズル側螺合部23により封止部材5を取り付けているが、他の公知の手段によって封止部材5を取り付けてもよい。
また、この実施例では、
図17に示すように、ノズル部は、チップの基端と外筒本体部21間に設けられたノズル基部25を備えている。そして、ノズル基部25の側面には、ノズル側係合部26を備えている。ノズル側係合部26は、リブにより形成されている。
【0023】
外筒2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。また、外筒2の形成材料としては、密封性を高めるために、封止部材より相対的に硬度が高い樹脂を使用することが好ましい。このようにすると、ノズル部22への封止部材5の取り付けの際、螺合操作に伴って封止部材5がノズル部22に密着し、より密封性を高めることができる。
シリンジ本体10内に充填される薬液8としては、どのようなものでもよいが、例えば、高濃度塩化ナトリウム注射液、ミネラル類、ヘパリンナトリウム水溶液、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウイルス剤、免疫賦活剤等、いかなるものでも良い。特に、シリンジポンプにセットされて、持続的微量投与が必要である薬液が好ましい。
【0024】
次に、封止部材5について説明する。
封止部材5としては、シールキャップまたは注射針(図示せず)のいずれを用いてもよい。シールキャップまたは注射針としては、公知のものが用いられる。
本実施例における封止部材5は、
図18に示すように、閉塞部53を有する内筒部52と、内筒部52を取り囲むように形成された外筒部51と、内筒部52と外筒部51とを連結する連結部55とからなるシールキャップである。封止部材5では、内筒部52と外筒部51は、後端部の全周にて連結部55により一体化している。
封止部材5は、
図18に示すように、外筒2のノズル部22の注射針装着用チップ部を収納するチップ部収納部57と、ノズル側螺合部23と螺合するキャップ側螺合部54と、チップ部の先端開口面に当接し先端開口を封止するシール部材56とを備える。内筒部52の基端部は、ほぼ同一内径の円柱状空間であり、内面には、ノズル側係合部23と係合するキャップ側螺合部54が設けられている。この実施例では、キャップ側螺合部54は、2本の螺旋状のものとなっている。シール部材の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
また、この実施例では、
図18に示すように、封止部材5は、基端開口部の内面に形成され、外筒のノズル側係合部26と係合可能な封止部材側係合部58を備えている。封止部材側係合部58は、二つのリブ間により形成された凹部により構成されている。
封止部材5をシールキャップとした場合の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0025】
次に、本発明のプレフィルドシリンジ1の作用を
図16を用いて説明する。
プレフィルドシリンジ本体10は、外筒2の後端部内にガスケット3を収納した状態となっている。
図16に示すように、プランジャ4をその筒状先端部42から外筒2内に挿入させ、プランジャ4の筒状先端部42をプランジャ装着用部材7の中空部内に進入させ、さらに、押し込むことにより、プランジャ4の筒状先端部42の外面突起部43部分が、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fを押圧し、弾性変形させることにより、内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fを通過し、その後、内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fが元の形状に復元もしくははぼ復元することにより、外面突起部43の後端面部分とプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fとが係合する。これにより、プランジャ4のプランジャ装着用部材7からの離脱が規制される。また、この実施例のプランジャ4では、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、若干前後に移動可能となっている。
このように、このプレフィルドシリンジでは、プランジャを回転させることなく単に押し込むことにより、その装着を行うことができる。しかも、プランジャは、スムーズにプランジャ装着用部材に挿入することができるので、ガスケット本体への衝撃が抑制され、装着操作時の液漏れを防止できる。また、装着後のプランジャはプランジャ装着用部材7により離脱しないものとなっている。また、装着後のプランジャ4を回転させたとき、プランジャ4のみがプランジャ装着用部材7内に回転するもしくは、追従してプランジャ装着用部材7も回転する可能性があるが、プランジャ4の回転がガスケット本体6に伝達されないものとなっている。
【0026】
また、本発明のプレフィルドシリンジにおいて、ガスケットは、上述したガスケット3に限定されるものではなく、
図19ないし
図27に示すガスケット3aのようなものであってもよい。
図19は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジに使用されるガスケットの拡大正面図である。
図20は、
図19のE−E線断面図である。
図21は、
図19に示したガスケットに使用されるガスケット本体の縦断面図である。
図22は、
図19に示したガスケットに使用されるガスケット装着用部材の正面図である。
図23は、
図22のF−F線断面図である。
図24は、
図22に示したガスケット装着用部材の平面図である。
図25は、
図22に示したガスケット装着用部材の先端側から見た斜視図である。
図26は、
図22に示したガスケット装着用部材の後端側から見た斜視図である。
図27は、
図19に示したガスケットを用いた本発明のプレフィルドシリンジにおけるプレフィルドシリンジ本体とプランジャの装着時の作用を説明するための説明図である。
【0027】
ガスケット3aの基本構成は、上述したガスケット3と同じである。
ガスケット3aは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部60を備えるガスケット本体6aと、ガスケット本体6aに取り付けられたプランジャ装着用部材7aとからなる。
ガスケット本体6aは、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82とを備え、抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材移動規制用リブ82間は、環状凹部となっている。
ガスケット本体6aは、
図19ないし
図21に示すように、閉塞した先端と、後端開口より先端側に延びる内腔部60を有する筒状体である。ガスケット本体6aは、先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部61を有する。また、ガスケット本体6aは、外面の先端側に設けられた先端側環状リブ63と後端側に設けられた後端側環状リブ64を備えている。
そして、ガスケット本体6aは、
図21に示すように、内腔部60を備え、この内腔部60が、プランジャ装着用部材7aの収納部となっている。内腔部60は、その内面に、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82を備える。この実施例では、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、内腔部60の後端側(開口部付近)に設けられており、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82は、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83より若干先端側に設けられている。
【0028】
プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、ガスケット本体6aの中心軸にほぼ直交するように設けられた無端の環状リブとなっている。なお、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の先端面は、内腔部60の内面より起立する環状起立面83aとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の後端面は、後端方向に拡径する環状傾斜面83bとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、実質的に同じ内径にて所定長延びる同一内径部を備えることが好ましい。このような同一内径部を有することにより、プランジャが後端側に引かれた時に、プランジャ装着用部材のガスケット本体からの離脱を確実に防止できる。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の同一内径部の長さは、1.0〜6.0mmであることが好ましく、特に、2.0〜4.0mmであることが好ましい。
【0029】
この実施例では、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82は、内腔部60の中央部であり若干後端側に設けられており、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82は、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83より若干先端側に位置している。プランジャ装着用部材移動規制用リブ82は、抜け止め用リブ83と同様に、ガスケット本体6aの中心軸にほぼ直交するように設けられた無端の環状リブとなっている。なお、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。また、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82の後端面は、内腔部60の内面より起立する環状起立面となっている。また、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82の先端面は、先端方向に拡径する環状傾斜面となっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、実質的に同じ内径にて所定長延びる同一内径部を備えることが好ましい。プランジャ装着用部材移動規制用リブ82の高さは、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83より若干低いものとなっている。プランジャ装着用部材移動規制用リブ82の高さは、0.3〜3.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜2.0mmであることが好ましい。また、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82の同一内径部の長さは、1.0〜6.0mmであることが好ましく、特に、2.0〜4.0mmであることが好ましい。
そして、この実施例では、ガスケット本体6aは、
図21に示すように、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材移動規制用リブ82間により形成された凹部を備えている。凹部は、環状凹部であることが好ましい。凹部(環状凹部)は、後述するプランジャ装着用部材7aの外面突出部77を収納可能なものとなっている。凹部(環状凹部)の幅(軸方向の長さ)は、1.0〜6.0mmであることが好ましい。
【0030】
さらに、ガスケット本体6aは、先端部内面の中央部に後端側に突出する突起部66を備えている。この突起部66は、ガスケット本体6aの先端部が後端側に変形したときに、プランジャ4の筒状先端部42の先端に当接可能なものとなっており、ガスケット本体6aの先端部の過剰な変形を防止する。突起部66は、略半球状であることが好ましい。ガスケット本体6aは、直径が5〜30mm、全長が5〜30mm程度のものが一般的である。
さらに、この実施例では、ガスケット本体6aは、
図21に示すように、内腔部60の先端部内面に、プランジャ装着用部材当接部69を備えている。プランジャ装着用部材当接部69は、後端方向を向く環状面となっており、
図20に示すように、プランジャ装着用部材7aの先端面が当接可能となっている。また、このプランジャ装着用部材当接部69は、突起部66を取り囲むものとなっている。なお、プランジャ装着用部材当接部は、上記のような環状面により形成することが、好ましいが、後端側を向く、環状リブ、もしくは、連続しない複数のリブにより形成してもよい。
ガスケット本体6aの構成材料としては、ガスケット本体6にて説明したものが好適に使用できる。また、ガスケット本体6aの先端側部分に低薬剤吸着性物質等を被覆したものであってもよい。低薬物吸着層の材質としても上述したものが好適に使用できる。また、ガスケット本体6aの外面、少なくとも先端側環状リブ63および後端側環状リブ64の表面に潤滑剤の塗布を行うことが好ましい。また、潤滑剤は、外筒の内面に塗布してもよい。潤滑剤としては、シリコーンオイルが好適である。また、ガスケット本体表面に、当該表面にて固化することにより形成されたシリコーン系樹脂層を設けることにより、シリコーンオイル等の潤滑剤を用いないものであってもよい。
【0031】
プランジャ装着用部材7aは、上述したプランジャ装着用部材7と同様に、
図21ないし
図27に示すように、先端より後端まで貫通した中空部を有し、ガスケット本体6aの内腔部60内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と係合し、プランジャ装着用部材7aのガスケット本体6aからの離脱を規制する外面突出部77と、後端側の内側部よりプランジャ装着用部材7aの中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fと、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fとを備える。プランジャ4は、
図27に示すように、ガスケット3aへの装着時において、ガスケット本体6aの後端部67を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7a内に侵入可能な筒状先端部42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7aのプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fと係合する外面突起部43とを備えている。そして、この実施例のガスケット本体6aでは、後端面(後端部)67には、複数のリブ68が設けられている。
【0032】
外面突出部77は、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と係合し、プランジャ装着用部材7aのガスケット本体6aからの離脱を規制するものである。この実施例のプランジャ装着用部材7aでは、本体部71の後端部外面(具体的には、後端外面)に設けられ、プランジャ装着用部材7aの中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。そして、外面突出部(外面環状突出部)73の後端面は、本体部71の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突出部77としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部77の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7aの外面突出部77部分におけるプランジャ装着用部材7aの外径は、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83部分の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
【0033】
そして、プランジャ装着用部材7aは、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材7aの外面突出部77とが係合した状態で装着されている。さらに、この実施例では、プランジャ装着用部材7aの外面突出部77は、プランジャ本体3aのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材移動規制用リブ82間により形成された環状凹部内に収納された状態となっている。そして、この実施例のガスケット3aでは、若干、プランジャ装着用部材7aがガスケット本体6a内にて動くことが可能となっている。しかし、この実施例のタイプのガスケット3aでは、プランジャ装着用部材7aの外面突出部77は、その後端面が、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の先端面に当接し、かつ、プランジャ装着用部材7aの先端部の先端面は、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材当接部69に当接するものであってもよい。つまり、プランジャ装着用部材7aは、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材当接部69とプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とにより保持された状態となっており、プランジャ装着用部材7aは、ガスケット本体6a内での移動が規制されたものであってもよい。また、ガスケット本体6aに装着されたプランジャ装着用部材7aは、その後端がガスケット本体6aより突出しないもの、言い換えれば、プランジャ装着用部材7aは、ガスケット本体6aに装着された状態において、その基端が、ガスケット本体の基端より所定長先端側に位置するものとなっている。また、この実施例のガスケット3aを用いるシリンジにおいても、
図27に示すように、プランジャ4は、ガスケット3aへの装着時において、プランジャ4の筒状先端部42の先端がガスケット本体6aの内面に接触しないものとなっている。
【0034】
また、プランジャ装着用部材7aは、上述したプランジャ装着用部材7と同様に、
図23ないし
図27に示すように、プランジャ装着用部材7a(本体部71)の後端72側の内側部よりプランジャ装着用部材7aの中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fを備えている。そして、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端には、後述するプランジャ4の筒状先端部42の外面に設けられた外面突起部43と係合可能なプランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fを備えている。本体部71は、ほぼ同一外径にて所長延びる円筒部であり、後述するプランジャ4の筒状先端部42を収納する。
そして、この実施例のプランジャ装着用部材7aでは、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fは、プランジャ装着用部材7a(本体部71)の後端72側の内側部より、所定角度斜めに先端方向かつプランジャ装着用部材7aの中心方向に延びるものとなっている。また、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fは、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有し、かつ、自由端に向かって幅が狭くなっているものとなっている。特に、この実施例では、各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fは、徐々に自由端に向かって幅が狭くなるものとなっている。
【0035】
そして、この実施例のプランジャ装着用部材7aでは、プランジャ抜止用係止部76a,76b,76c,76d,76e,76fは、プランジャ装着用部材の各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端部分の先端側の面にて形成されている。プランジャ抜止用係止部(自由端部分の先端側の面)76a,76b,76c,76d,76e,76fは、プランジャ装着用部材7aの中心軸とほぼ直交する平坦面となっている。なお、ここでいうほぼ直交するとは、直交(90度)に対して、±20度未満の傾斜を含む概念であり、この実施例では、直交(90度)に対して、約10度傾斜している。
複数の内部突出部は、プランジャ装着用部材7aの中心軸に対してほぼ等角度となるように2つ以上設けられてることが好ましい。特に、複数の内部突出部の数としては、4〜8が好ましい。
また、プランジャ装着用部材の各内部突出部は、弾性変形可能なものであり、後端方向に押されたとき、自由端が、プランジャ装着用部材の中心に近接する方向に変形するものであり、先端方向に押されたとき、自由端が、プランジャ装着用部材の中心より離間する方向に変形するものとなっている。
【0036】
さらに、この実施例のプランジャ装着用部材7aでは、プランジャ装着用部材7aの複数の内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの後端側の面は、平滑かつプランジャ装着用部材中心方向に向かう傾斜面となっており、プランジャ4の係合部のプランジャ装着用部材の係止部との係合を誘導するための誘導部を形成している。また、プランジャ装着用部材7aの各内部突出部75a,75b,75c,75d,75e,75fの自由端の内面は、プランジャ装着用部材7aの中心軸をほぼ中心とする円弧面であることが好ましい。
そして、プランジャ装着用部材7aは、
図27に示すように、ガスケット本体6aのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材7aの外面突出部77とが係合した状態でガスケット本体6aに装着されている。
プランジャ装着用部材7aの構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0037】
また、本発明のプレフィルドシリンジにおいて、ガスケットは、上述したガスケット3に限定されるものではなく、
図28ないし
図33に示すガスケット3bのようなものであってもよい。
図28は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジに使用されるガスケットの拡大正面図である。
図29は、
図28のG−G線断面図である。
図30は、
図28に示したガスケットに使用されるガスケット本体の縦断面図である。
図31は、
図28に示したガスケットに使用されるガスケット装着用部材の正面図である。
図32は、
図31のH−H線断面図である。
図33は、
図28に示したガスケットを用いた本発明のプレフィルドシリンジにおけるプレフィルドシリンジ本体とプランジャの装着時の作用を説明するための説明図である。
【0038】
ガスケット3bの基本構成は、上述したガスケット3と同じである。
ガスケット3bは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部60を備えるガスケット本体6bと、ガスケット本体6bに取り付けられたプランジャ装着用部材7bとからなる。
ガスケット本体6bは、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83を備える。
ガスケット本体6bは、
図28ないし
図30に示すように、閉塞した先端と、後端開口より先端側に延びる内腔部60を有する筒状体である。ガスケット本体6bは、先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部61を有する。また、ガスケット本体6bは、外面の先端側に設けられた先端側環状リブ63と後端側に設けられた後端側環状リブ64を備えている。
【0039】
そして、ガスケット本体6bは、
図30に示すように、内腔部60を備え、この内腔部60が、プランジャ装着用部材7bの収納部となっている。内腔部60は、その内面に、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83を備える。この実施例では、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、内腔部60の後端側(開口部付近)に設けられている。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、ガスケット本体6bの中心軸にほぼ直交するように設けられた無端の環状リブとなっている。なお、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の先端面は、内腔部60の内面より起立する環状起立面83aとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の後端面は、後端方向に拡径する環状傾斜面83bとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、実質的に同じ内径にて所定長延びる同一内径部を備えることが好ましい。このような同一内径部を有することにより、プランジャが後端側に引かれた時に、プランジャ装着用部材のガスケット本体からの離脱を確実に防止できる。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の同一内径部の長さは、1.0〜6.0mmであることが好ましく、特に、2.0〜4.0mmであることが好ましい。
【0040】
さらに、ガスケット本体6bは、先端部内面の中央部に後端側に突出する突起部66を備えている。この突起部66は、ガスケット本体6bの先端部が後端側に変形したときに、プランジャ4の筒状先端部42の先端に当接可能なものとなっており、ガスケット本体6bの先端部の過剰な変形を防止する。突起部66は、略半球状であることが好ましい。ガスケット本体6bは、直径が5〜30mm、全長が5〜30mm程度のものが一般的である。
さらに、この実施例では、ガスケット本体6bは、
図29および
図30に示すように、内腔部60の先端部内面に、プランジャ装着用部材当接部69を備えている。プランジャ装着用部材当接部69は、後端方向を向く環状面となっており、
図29に示すように、プランジャ装着用部材7bの先端面が当接可能となっている。また、このプランジャ装着用部材当接部69は、突起部66を取り囲むものとなっている。なお、プランジャ装着用部材当接部は、上記のような環状面により形成することが、好ましいが、後端側を向く、環状リブ、もしくは、連続しない複数のリブにより形成してもよい。
ガスケット本体6bの構成材料としては、ガスケット本体6にて説明したものが好適に使用できる。また、ガスケット本体6bの先端側部分に低薬剤吸着性物質等を被覆したものであってもよい。低薬物吸着層の材質としても上述したものが好適に使用できる。また、ガスケット本体6bの外面、少なくとも先端側環状リブ63および後端側環状リブ64の表面に潤滑剤の塗布を行うことが好ましい。また、潤滑剤は、外筒の内面に塗布してもよい。潤滑剤としては、シリコーンオイルが好適である。また、ガスケット本体表面に、当該表面にて固化することにより形成されたシリコーン系樹脂層を設けることにより、シリコーンオイル等の潤滑剤を用いないものであってもよい。
【0041】
プランジャ装着用部材7bは、上述したプランジャ装着用部材7と同様に、
図31および
図32に示すように、先端より後端まで貫通した中空部を有し、ガスケット本体6bの内腔部60内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、ガスケット本体6bのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と係合し、プランジャ装着用部材7bのガスケット本体6bからの離脱を規制する外面突出部78を有する。また、プランジャ装着用部材7bは、上述したプランジャ装着用部材7,7aと同様に、後端側の内側部よりプランジャ装着用部材7bの中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部(75a,75b,75fのみ図示)と、各内部突出部(75a,75b,75fのみ図示)の自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部(76a,76b,76fのみ図示)とを備える。複数の内部突出部および各内部突出部の自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部については、上述したものと同じである。
プランジャ4は、
図33に示すように、ガスケット3bへの装着時において、ガスケット本体6bの後端部67を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7b内に侵入可能な筒状先端部42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7bのプランジャ抜止用係止部と係合する外面突起部43とを備えている。そして、この実施例のガスケット本体6bでは、後端面(後端部)67には、複数のリブ68が設けられている。
【0042】
外面突出部78は、ガスケット本体6bのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と係合し、プランジャ装着用部材7bのガスケット本体6bからの離脱を規制する。この実施例のプランジャ装着用部材7bでは、本体部71の後端部外面(具体的には、後端より若干先端側となる位置)に設けられ、プランジャ装着用部材7bの中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。そして、外面突出部(外面環状突出部)78の後端面は、本体部71の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突出部78としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部78の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7bの外面突出部78部分におけるプランジャ装着用部材7bの外径は、ガスケット本体6bのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83部分の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。また、ガスケット本体6bは、外面突出部78より後方に突出する環状部79を備えており、環状部79の外面は、後端に向かって縮径する環状傾斜面となっている。
【0043】
そして、プランジャ装着用部材7bは、ガスケット本体6bのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材7bの外面突出部78とが係合した状態で装着されている。そして、この実施例のガスケット3bでは、若干、プランジャ装着用部材7bがガスケット本体6b内にて動くことが可能となっている。しかし、この実施例のタイプのガスケット3bでは、プランジャ装着用部材7bの外面突出部78は、その後端面が、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の先端面に当接し、かつ、プランジャ装着用部材7bの先端部の先端面は、ガスケット本体6bのプランジャ装着用部材当接部69に当接するものであってもよい。つまり、プランジャ装着用部材7bは、ガスケット本体6bのプランジャ装着用部材当接部69とプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とにより保持された状態となっており、プランジャ装着用部材7bは、ガスケット本体6b内での移動が規制されたものであってもよい。また、ガスケット本体6bに装着されたプランジャ装着用部材7bは、その後端がガスケット本体6bより突出しないもの、言い換えれば、プランジャ装着用部材7bは、ガスケット本体6bに装着された状態において、その基端が、ガスケット本体の基端より所定長先端側に位置するものとなっている。また、この実施例のガスケット3bを用いるシリンジにおいても、
図33に示すように、プランジャ4は、ガスケット3bへの装着時において、プランジャ4の筒状先端部42の先端がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。
プランジャ装着用部材7bの構成材料としては、上述したものが好適に使用できる。
【0044】
また、本発明のプレフィルドシリンジにおいて、ガスケットは、上述したガスケット3に限定されるものではなく、
図34ないし
図39に示すガスケット3cのようなものであってもよい。
図34は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジに使用されるガスケットの拡大正面図である。
図35は、
図34のI−I線断面図である。
図36は、
図34に示したガスケットに使用されるガスケット本体の縦断面図である。
図37は、
図34に示したガスケットに使用されるガスケット装着用部材の正面図である。
図38は、
図37のJ−J線断面図である。
図39は、
図34に示したガスケットを用いた本発明のプレフィルドシリンジにおけるプレフィルドシリンジ本体とプランジャの装着時の作用を説明するための説明図である。
【0045】
ガスケット3cの基本構成は、上述したガスケット3と同じである。
ガスケット3cは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部60を備えるガスケット本体6cと、ガスケット本体6cに取り付けられたプランジャ装着用部材7cとからなる。
ガスケット本体6cは、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83を備える。
ガスケット本体6cは、
図34ないし
図36に示すように、閉塞した先端と、後端開口より先端側に延びる内腔部60を有する筒状体である。ガスケット本体6cは、先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部61を有する。また、ガスケット本体6cは、外面の先端側に設けられた先端側環状リブ63と後端側に設けられた後端側環状リブ64を備えている。
【0046】
そして、ガスケット本体6cは、
図36に示すように、内腔部60を備え、この内腔部60が、プランジャ装着用部材7cの収納部となっている。内腔部60は、その内面に、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62を備える。この実施例では、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、内腔部60の先端側に設けられている。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、ガスケット本体6cの中心軸にほぼ直交するように設けられた無端の環状リブとなっている。なお、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の先端面は、先端方向に拡径する環状傾斜面62aとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、実質的に同じ内径にて所定長延びる同一内径部を備えることが好ましい。このような同一内径部を有することにより、プランジャが後端側に引かれた時に、プランジャ装着用部材のガスケット本体からの離脱を確実に防止できる。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の同一内径部の長さは、1.0〜6.0mmであることが好ましく、特に、2.0〜4.0mmであることが好ましい。
また、この実施例のガスケット6cは、内腔部60の基端側(開口部付近)設けられたリブ84を有している。リブ84は、ガスケット本体6cの中心軸にほぼ直交するように設けられた無端の環状リブとなっている。なお、リブ84は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。
【0047】
さらに、ガスケット本体6cは、先端部内面の中央部に後端側に突出する突起部66を備えている。この突起部66は、ガスケット本体6cの先端部が後端側に変形したときに、プランジャ4の筒状先端部42の先端に当接可能なものとなっており、ガスケット本体6cの先端部の過剰な変形を防止する。突起部66は、略半球状であることが好ましい。ガスケット本体6cは、直径が5〜30mm、全長が5〜30mm程度のものが一般的である。
さらに、この実施例では、ガスケット本体6cは、
図35および
図36に示すように、内腔部60の先端部内面に、プランジャ装着用部材当接部69を備えている。プランジャ装着用部材当接部69は、後端方向を向く環状面となっており、
図35に示すように、プランジャ装着用部材7cの先端面が当接可能となっている。また、このプランジャ装着用部材当接部69は、突起部66を取り囲むものとなっている。なお、プランジャ装着用部材当接部は、上記のような環状面により形成することが、好ましいが、後端側を向く、環状リブ、もしくは、連続しない複数のリブにより形成してもよい。
ガスケット本体6cの構成材料としては、ガスケット本体6にて説明したものが好適に使用できる。また、ガスケット本体6cの先端側部分に低薬剤吸着性物質等を被覆したものであってもよい。低薬物吸着層の材質としても上述したものが好適に使用できる。また、ガスケット本体6cの外面、少なくとも先端側環状リブ63および後端側環状リブ64の表面に潤滑剤の塗布を行うことが好ましい。また、潤滑剤は、外筒の内面に塗布してもよい。潤滑剤としては、シリコーンオイルが好適である。また、ガスケット本体表面に、当該表面にて固化することにより形成されたシリコーン系樹脂層を設けることにより、シリコーンオイル等の潤滑剤を用いないものであってもよい。
【0048】
プランジャ装着用部材7cは、上述したプランジャ装着用部材7と同様に、
図37および
図38に示すように、先端より後端まで貫通した中空部を有し、ガスケット本体6cの内腔部60内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、ガスケット本体6cのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と係合し、プランジャ装着用部材7cのガスケット本体6cからの離脱を規制する外面突出部85を有する。また、プランジャ装着用部材7cは、上述したプランジャ装着用部材7,7aと同様に、後端側の内側部よりプランジャ装着用部材7cの中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部(75a,75b,75fのみ図示)と、各内部突出部(75a,75b,75fのみ図示)の自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部(76a,76b,76fのみ図示)とを備える。複数の内部突出部および各内部突出部の自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部については、上述したものと同じである。
プランジャ4は、
図39に示すように、ガスケット3cへの装着時において、ガスケット本体6cの後端部67を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7c内に侵入可能な筒状先端部42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7cのプランジャ抜止用係止部と係合する外面突起部43とを備えている。そして、この実施例のガスケット本体6cでは、後端面(後端部)67には、複数のリブ68が設けられている。
【0049】
外面突出部85は、ガスケット本体6cのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と係合し、プランジャ装着用部材7cのガスケット本体6cからの離脱を規制する。この実施例のプランジャ装着用部材7cでは、本体部71の先端部外面(具体的には、先端外面)に設けられ、プランジャ装着用部材7cの中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。なお、外面突出部85としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部85の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7cの外面突出部85部分におけるプランジャ装着用部材7cの外径は、ガスケット本体6cのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62部分の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
【0050】
そして、プランジャ装着用部材7cは、ガスケット本体6cのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62とプランジャ装着用部材7cの外面突出部85とが係合した状態で装着されている。そして、この実施例のガスケット3cでは、若干、プランジャ装着用部材7cがガスケット本体6c内にて動くことが可能となっている。しかし、この実施例のタイプのガスケット3cでは、プランジャ装着用部材7cの外面突出部85は、その後端面が、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の先端面に当接し、かつ、プランジャ装着用部材7cの先端部の先端面は、ガスケット本体6cのプランジャ装着用部材当接部69に当接するものであってもよい。つまり、プランジャ装着用部材7cは、ガスケット本体6cのプランジャ装着用部材当接部69とプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62とにより保持された状態となっており、プランジャ装着用部材7cは、ガスケット本体6c内での移動が規制されたものであってもよい。また、ガスケット本体6cに装着されたプランジャ装着用部材7cは、その後端がガスケット本体6cより突出しないもの、言い換えれば、プランジャ装着用部材7cは、ガスケット本体6cに装着された状態において、その基端が、ガスケット本体の基端より所定長先端側に位置するものとなっている。また、この実施例のガスケット3cを用いるシリンジにおいても、
図39に示すように、プランジャ4は、ガスケット3cへの装着時において、プランジャ4の筒状先端部42の先端がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。
プランジャ装着用部材7cの構成材料としては、上述したものが好適に使用できる。
【0051】
また、本発明のプレフィルドシリンジにおいて、ガスケットは、上述したガスケット3に限定されるものではなく、
図40ないし
図45に示すガスケット3dのようなものであってもよい。
図40は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジに使用されるガスケットの拡大正面図である。
図41は、
図40のK−K線断面図である。
図42は、
図40に示したガスケットに使用されるガスケット本体の縦断面図である。
図43は、
図40に示したガスケットに使用されるガスケット装着用部材の正面図である。
図44は、
図43のL−L線断面図である。
図45は、
図40に示したガスケットを用いた本発明のプレフィルドシリンジにおけるプレフィルドシリンジ本体とプランジャの装着時の作用を説明するための説明図である。
【0052】
ガスケット3dの基本構成は、上述したガスケット3aと同じである。相違点は、プランジャ装着用部材のみである。ガスケット本体6dは、ガスケット本体6aと同じであるので、上述した説明を参照するものとする。
なお、ガスケット本体6dは、ガスケット本体6aと同様に、
図41および
図42に示すように、内腔部60を備え、この内腔部60が、プランジャ装着用部材7dの収納部となっている。内腔部60は、その内面に、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82を備える。この実施例では、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83は、内腔部60の後端側(開口部付近)に設けられており、プランジャ装着用部材移動規制用リブ82は、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83より若干先端側に設けられている。そして、この実施例では、ガスケット本体6dは、
図41および
図42に示すように、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材移動規制用リブ82間により形成された環状凹部を備えている。環状凹部は、後述するプランジャ装着用部材7dの外面突出部88を収納可能なものとなっている。
【0053】
プランジャ装着用部材7dは、上述したプランジャ装着用部材7と同様に、
図43および
図44に示すように、先端より後端まで貫通した中空部を有し、ガスケット本体6dの内腔部60内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と係合し、プランジャ装着用部材7dのガスケット本体6dからの離脱を規制する外面突出部88を有する。また、プランジャ装着用部材7dは、上述したプランジャ装着用部材7,7aと同様に、後端側の内側部よりプランジャ装着用部材7dの中心方向かつ先端方向に斜めに延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部(75a,75b,75fのみ図示)と、各内部突出部(75a,75b,75fのみ図示)の自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部(76a,76b,76fのみ図示)とを備える。複数の内部突出部および各内部突出部の自由端に形成されたプランジャ抜止用係止部については、上述したものと同じである。
プランジャ4は、
図45に示すように、ガスケット3dへの装着時において、ガスケット本体6dの後端部67を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7d内に侵入可能な筒状先端部42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7dのプランジャ抜止用係止部と係合する外面突起部43とを備えている。そして、この実施例のガスケット本体6dでは、後端面(後端部)67には、複数のリブ68が設けられている。
【0054】
外面突出部88は、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83と係合し、プランジャ装着用部材7dのガスケット本体6dからの離脱を規制する。この実施例のプランジャ装着用部材7dでは、本体部71の後端部外面(具体的には、後端外面)に設けられ、プランジャ装着用部材7dの中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。そして、外面突出部(外面環状突出部)88の後端面は、本体部71の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突出部88としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部88の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7dの外面突出部88部分におけるプランジャ装着用部材7dの外径は、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83部分の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
さらに、このプランジャ装着用部材7dでは、外面突出部88より若干先端側となる位置に設けられた第2の外面突出部87を備えている。第2の外面突出部87は、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材移動規制用リブ82と係合し、プランジャ装着用部材7dの後端方向への移動を規制する。この実施例のプランジャ装着用部材7dでは、第2の外面突出部87は、プランジャ装着用部材7dの中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。そして、外面突出部87の後端面は、本体部71の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突出部87としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部87の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7dの外面突出部88部分におけるプランジャ装着用部材7dの外径は、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材移動規制用リブ82部分の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
【0055】
そして、プランジャ装着用部材7dは、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とプランジャ装着用部材7dの外面突出部77とが係合した状態で装着されている。そして、この実施例のガスケット3dでは、若干、プランジャ装着用部材7dがガスケット本体6d内にて動くことが可能となっている。しかし、この実施例のタイプのガスケット3dでは、プランジャ装着用部材7dの外面突出部88は、その後端面が、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ83の先端面に当接し、かつ、プランジャ装着用部材7dの先端部の先端面は、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材当接部69に当接するものであってもよい。つまり、プランジャ装着用部材7dは、ガスケット本体6dのプランジャ装着用部材当接部69とプランジャ装着用部材抜け止め用リブ83とにより保持された状態となっており、プランジャ装着用部材7dは、ガスケット本体6d内での移動が規制されたものであってもよい。また、ガスケット本体6dに装着されたプランジャ装着用部材7dは、その後端がガスケット本体6dより突出しないもの、言い換えれば、プランジャ装着用部材7dは、ガスケット本体6dに装着された状態において、その基端が、ガスケット本体の基端より所定長先端側に位置するものとなっている。また、この実施例のガスケット3dを用いるシリンジにおいても、
図45に示すように、プランジャ4は、ガスケット3dへの装着時において、プランジャ4の筒状先端部42の先端がガスケット本体6dの内面に接触しないものとなっている。
プランジャ装着用部材7dの構成材料としては、上述したものが好適に使用できる。
【0056】
また、本発明のプレフィルドシリンジにおいて、プランジャは、上述したプランジャ4に限定されるものではなく、
図46ないし
図50に示すプランジャ4aのようなものであってもよい。
図46は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジに使用されるプランジャの拡大正面図である。
図47は、
図46に示したプランジャの斜視図である。
図48は、
図46に示したプランジャの先端部付近の拡大図である。
図49は、
図46に示したプランジャの先端部付近の拡大縦断面図である。
図50は、
図46に示したプランジャを用いた本発明のプレフィルドシリンジにおけるプレフィルドシリンジ本体とプランジャの装着時の作用を説明するための説明図である。
プランジャ4aと上述したプランジャ4との相違は、プランジャ4aが、先端部42に設けられた環状凹部49を有する点のみである。この実施例のプランジャ4aは、先端部42の外面突起部43の基端側に設けられ、プランジャ装着用部材7の内部突出部の先端部が進入可能な凹部を備えている。凹部は、環状凹部となっている。
プランジャ4aは、
図46ないし
図50に示すように、上述したプランジャ4と同様に、プランジャ本体部41と、ガスケット3への装着時において、ガスケットの後端面押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7の中空部内に侵入可能な筒状先端部42と、筒状先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7のプランジャ抜止用係止部(76b,76fのみ図示)と係合する外面突起部43とを備えている。さらに、プランジャ4aは、外面突起部43に近接しかつ後方に抜止用係止部(76b,76fのみ図示)が進入可能な環状凹部49を有している。そして、環状凹部49は、
図48および
図49に示すように、環状凹部49の後端部に形成され、外面突起部43に向かってテーパー状に縮径するテーパー部を備えている。環状凹部49の深さ(最も深い部分における深さ)は、0.5〜3mmであることが好ましい。
【0057】
このプランジャ4aにおいても、先端部42をプランジャ装着用部材7の中空部内に押し込むことにより、プランジャ装着用部材7に装着可能となっている。また、プランジャ4aは、
図50に示すように、ガスケット3への装着時において、プランジャ4aの先端部42がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。
そして、この実施例のプランジャ4aにおいても、外面突起部43は、筒状先端部42の先端部外面(具体的には、先端外面)に設けられ、プランジャ4の筒状先端部42の中心軸にほぼ直交する環状外面突起部により形成されている。そして、外面突起部(外面環状突起部)43の後端面は、筒状先端部42の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突起部43としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突起部からなるものであってもよい。外面突起部43の高さは、0.3〜1.5mmであることが好ましく、特に、0.5〜1.0mmであることが好ましい。そして、外面突起部43部分における外径は、プランジャ装着用部材7の各内部突出部(75b,75fのみ図示)の自由端の内面が形成する円の直径より、0.5〜3.0mm大きいものであることが好ましく、特に、1.0〜2.0mm大きいものであることが好ましい。
【0058】
プランジャ4aの外面突起部43を含む筒状先端部42がプランジャ装着用部材7の中空部に押し込まれることにより、外面突起部43部分が、プランジャ装着用部材7の内部突出部(75b,75fのみ図示)を押圧し、弾性変形させることにより、外面突起部43部分は、内部突出部(75b,75fのみ図示)を通過し、その後、内部突出部(75b,75fのみ図示)が元の形状に復元もしくはほぼ復元することにより、環状凹部49にプランジャ抜止用係止部(76b,76fのみ図示)が進入し、外面突起部43の後端面と係合する。これにより、プランジャ4aのプランジャ装着用部材7からの離脱が規制される。
また、この実施例のプランジャ4aにおいても、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、プランジャ装着用部材7の各内部突出部(75b,75fのみ図示)の自由端の内面は、プランジャ4aの筒状先端部42の環状凹部49の外面と接触している。また、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、
図50に示すように、プランジャ装着用部材7の各内部突出部(75b,75fのみ図示)の自由端の内面はプランジャ4aの筒状先端部42の外面(環状凹部49の外面)と圧接し、若干拡がる方向に押圧されたものとなっている。