特許第5767210号(P5767210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5767210単一排気弁ブリッジブレーキのための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767210
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】単一排気弁ブリッジブレーキのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   F01L13/00 301Q
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-514103(P2012-514103)
(86)(22)【出願日】2010年6月2日
(65)【公表番号】特表2012-528985(P2012-528985A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】US2010037134
(87)【国際公開番号】WO2010141633
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年5月30日
(31)【優先権主張番号】61/183,385
(32)【優先日】2009年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100140028
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 義光
(74)【代理人】
【識別番号】100072822
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徹
(72)【発明者】
【氏名】ドディ、ソティール
(72)【発明者】
【氏名】ルッジェーロ、ブライアン
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5094732(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0144472(US,A1)
【文献】 特表2007−529685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮開放エンジンブレーキを行うためのシステムであって、
主排気ローブ及び圧縮開放ローブを有するカムと、
前記カムに動作可能に接続されたロッカーアームであって、内部ロッカー通路を含むロッカーアームと、
前記ロッカーアームに隣接して位置付けられた中央部を有するとともに、第1及び第2エンジン弁にそれぞれ動作可能に接続された第1及び第2端部を有する弁ブリッジと、
前記弁ブリッジの前記第1端部に組み込まれたスレーブピストンと、
前記弁ブリッジの前記中央部に組み込まれたマスタピストンと
前記マスタピストンと前記スレーブピストンとの間に延在する弁ブリッジ通路であって、前記ロッカー通路と液圧連通する弁ブリッジ通路と、
前記マスタピストンと前記ロッカーアームとの間に配置された第1逆止弁と、
前記弁ブリッジの前記第1端部に設けられ、前記スレーブピストンが内部に配置されたスレーブピストン孔と、
前記スレーブピストン孔から前記弁ブリッジの外面に延在するブリード穴と、
前記ブリード穴に隣接して位置付けられるブレーキ負荷ネジと
を備え、
前記第1及び第2エンジン弁にそれぞれ関連している第1及び第2弁バネによって加えられる付勢力は、前記マスタピストンと前記スレーブピストンとの間の作動液を介して前記弁ブリッジに加えられる、
システム。
【請求項2】
前記ロッカーアームを前記弁ブリッジ側に付勢するバネを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記弁ブリッジの中央部に設けられたマスタピストン孔であって、端部壁を有するマスタピストン孔を更に備え、
前記マスタピストンが、前記マスタピストン孔内に摺動可能に配置されており、
前記マスタピストンは、前記主排気ローブによって前記ロッカーアームが作動された時に前記マスタピストンの前記端部壁に接触するように、そのサイズが選択的に決められている、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
内燃機関において圧縮開放エンジンブレーキ動作を行うためのシステムであって、
圧縮開放ローブを含むカムと、
前記カムに動作可能に接続された弁ブリッジであって、第1及び第2エンジン弁にそれぞれ動作可能に接続された第1及び第2端部を有する弁ブリッジと、
前記弁ブリッジの前記第1端部に組み込まれたスレーブピストン孔内に摺動可能に配置されたスレーブピストンと、
前記弁ブリッジの前記中央部に組み込まれたマスタピストンと、
前記スレーブピストン孔から前記弁ブリッジの外面に延在するブリード穴と、
前記ブリード穴近くの前記弁ブリッジの外面に隣接して取り付けられるブレーキ負荷ネジと
を備え、
前記第1及び第2エンジン弁にそれぞれ関連している第1及び第2弁バネによって加えられる付勢力は、前記マスタピストンと前記スレーブピストンとの間の作動液を介して前記弁ブリッジに加えられる、
システム。
【請求項5】
前記カムを前記弁ブリッジに動作可能に接続するロッカーアームを更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロッカーアームと前記マスタピストンとの間に延在するブリッジ通路内に配置された少なくとも1つの逆止弁を更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記弁ブリッジに設けられたアキュムレータ孔と、
前記アキュムレータ孔と前記マスタピストンとの間に延在する液圧通路と、
前記アキュムレータ孔内に摺動可能に配置されたアキュムレータピストンと、
前記アキュムレータピストンを前記アキュムレータ孔内へと付勢するアキュムレータバネと
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロッカーアームに設けられた制御弁孔と、
前記制御弁孔内に摺動可能に配置された制御弁ピストンと、
前記制御弁ピストンを前記制御弁孔内へと付勢する制御弁バネと
を更に備える、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関においてエンジンブレーキイベントを発生させるためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、部分サイクルブリーダを含む、圧縮開放・ブリーダ型エンジンブレーキ弁イベントを発生させるためのエンジンブレーキシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にエンジンブレーキをかけるために、内燃機関内の排気ガスの流量制御が使用されてきた。一般に、エンジンブレーキシステムでは、エンジンシリンダから排気系(すなわち、排気マニホールド、排気管等)への排気ガス流を制御する。エンジンシリンダからの排気ガス流を制御することによって、エンジンピストンに対して減速力を与え、エンジンが減速される。特に、1つ以上の排気弁を選択的に作動させることで、圧縮開放型、ブリーダ型、及び/又は部分ブリーダ型のエンジンブレーキがかけられる。
【0003】
圧縮開放型エンジンブレーキ又はリターダの動作については公知である。4ストローク内燃機関では、その動作中、吸気サイクル、圧縮サイクル、膨張サイクル、及び排気サイクルが行われる。吸気サイクルは、主吸気弁イベントと関連して行われ、その間各シリンダの吸気弁が開放されてシリンダに空気が流入する。排気サイクルは、主排気弁イベントと関連して行われ、その間各シリンダの排気弁が開放されてシリンダから燃焼ガスが排出される。通常、排気弁及び吸気弁は、圧縮サイクル及び膨張サイクルの大半の間、閉弁している。圧縮開放エンジンブレーキ時、エンジンシリンダへの燃料供給は中止され、圧縮行程中、主排気弁イベントに加えて、1つ以上の排気弁も選択的に開弁されて内燃機関が動力吸収エアコンプレッサに変換される。具体的には、圧縮行程中エンジンピストンが上昇するにつれて、シリンダ内に滞留しているガスが圧縮され、ピストンの上昇運動に抗する。圧縮行程時、ピストンが上死点(TDC)位置に近づくにつれて、少なくとも1つの排気弁が開弁して、シリンダ内の圧縮ガスが排気マニホールドへと放出され、次の膨張下降行程時に圧縮ガスに蓄積されたエネルギーがピストンに戻ることが防止される。そうすることで、エンジンは、減速力を発生させて車両の減速を補助する。先行技術の圧縮開放エンジンブレーキの一例が、参照により本明細書に組み込まれるカミンズ(Cummins)による特許文献1(1965年11月)により提示されている。
【0004】
ブリーダ型エンジンブレーキの動作も公知である。ブリーダ型エンジンブレーキ時、主排気弁イベントに加えて、残りのエンジンサイクル(すなわち、完全サイクル・ブリーダブレーキの場合の吸気サイクル、圧縮サイクル、及び膨張サイクル)全体に亘って、又は残りのエンジンサイクルの一部(すなわち、部分サイクル・ブリーダブレーキの場合の圧縮サイクル及び膨張サイクル)の間、1つ以上の排気弁が僅かに開弁した状態が保たれる。部分サイクル・ブリーダブレーキと完全サイクル・ブリーダブレーキとの主な違いは、前者の場合、吸気サイクルの大部分又は全ての間、排気弁が閉じられる点である。ブリーダ型エンジンブレーキの一例は、参照により本明細書に組み込まれるヤン(Yang)による特許文献2(2003年7月22日)に開示されている。
【0005】
ブリーダブレーキ動作時における排気弁の初期開弁は、圧縮工程のTDCに到達する前に、好ましくは、吸気サイクルと圧縮サイクルとの間の下死点(BDC)付近で行われる。このように、ブリーダ型エンジンブレーキでは、弁を作動させるために必要な力がはるかに小さく、また、圧縮開放型ブレーキの急速なブローダウン(排出)の代わりに連続的にブリーディングを行うため、発生する騒音も小さい。従って、ブリーダ型エンジンブレーキは顕著な利点を有している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施例に関連し、出願人は、圧縮開放エンジンブレーキを行うための革新的なシステムを開発した。このシステムは、主排気ローブ及び圧縮開放ローブを有するカムと、カムに動作可能に接続されたロッカーアームであって、内部ロッカー通路を含むロッカーアームと、ロッカーアームに隣接して位置付けられた中央部を有するとともに、第1及び第2エンジン弁にそれぞれ動作可能に接続された第1及び第2端部を有する弁ブリッジと、弁ブリッジの第1端部に組み込まれたスレーブピストンと、弁ブリッジの中央部に組み込まれたマスタピストンとを備える。
【0007】
本発明の他の実施例に関連し、出願人は、内燃機関において圧縮開放エンジンブレーキ動作を行うための革新的なシステムを開発した。このシステムは、圧縮開放ローブを含むカムと、カムに動作可能に接続された弁ブリッジであって、第1及び第2エンジン弁にそれぞれ動作可能に接続された第1及び第2端部を有する弁ブリッジと、弁ブリッジの第1端部に組み込まれたスレーブピストン孔内に摺動可能に配置されたスレーブピストンと、弁ブリッジの中央部に組み込まれたマスタピストンと、スレーブピストン孔から弁ブリッジの外面に延在するブリード穴と、ブリード穴を選択的に遮断する手段とを備える。
【0008】
本発明の更に他の実施例に関連し、出願人は、部分ブリーダエンジンブレーキを行うための革新的なシステムを開発した。このシステムは、主排気ローブ及び部分ブリーダブレーキローブを有するカムと、カムに動作可能に接続されたロッカーアームであって、内部ロッカー通路を含むロッカーアームと、ロッカーアームに隣接して位置付けられた中央部を有するとともに、第1及び第2エンジン弁にそれぞれ動作可能に接続された第1及び第2端部を有する弁ブリッジと、弁ブリッジの第1端部に組み込まれたスレーブピストンと、弁ブリッジの中央部に組み込まれたマスタピストンと、弁ブリッジに設けられたアキュムレータ孔と、アキュムレータ孔とマスタピストンとの間に延在する液圧通路と、アキュムレータ孔内に摺動可能に配置されたアキュムレータピストンと、アキュムレータピストンをアキュムレータ孔内へと付勢するアキュムレータバネとを備える。
【0009】
上述の概要的な説明及び以下の詳細な説明の両方が、例示及び説明のためのみのものであり、特許を請求する本発明を限定するものではないことは理解されたい。参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の幾つかの実施例を例示し、以下の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,220,392号明細書
【特許文献2】米国特許第6,594,996号明細書
【0011】
以下の図面を参照して本発明を以下に説明する。図面中、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る圧縮開放エンジンブレーキを行うためのシステムを例示する部分断面側面図を示す。
図2】本発明の第2実施例に係る圧縮開放エンジンブレーキを行うためのシステムを例示する部分断面側面図を示す。
図3図2のA−A断面で示す制御弁を例示する。
図4】ロッカー軸に取り付けられるとともに液圧制御弁と接続された、図1及び2に示す種類のロッカーアームを例示する断面上面図を示す。
図5図2に示す本発明の実施例と共に使用するための代替のカムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
【実施例1】
【0014】
本発明の第1実施例を以下に詳細に説明する。この一例を、添付の図面の図1に、動弁システム10として示す。動弁システム10は、カム100と、ロッカーアーム200と、弁ブリッジ300と、ブラケット又は固定部材500とを備え、これらが集合的に使用されてエンジン弁400を作動させる。
【0015】
図1に示すカム100は、4つのエンジンサイクルのセット毎に1回、時計回りに回転する。カム100は、圧縮開放ブレーキローブ130と、主排気ローブ120とを備える。基礎円部が、圧縮開放ブレーキローブ130と主排気ローブ120との間に設けられている。圧縮開放ブレーキローブ130は所定の高さを有し、ロッカーアーム200の第2端部230を、マスタピストン320の移動によって吸収可能な量だけ枢動させる。カム100は、ロッカーアーム200のカムローラ210又は他の接触面に隣接して配置され、該カムローラ210又は他の接触面に対して選択的に又は連続的に接触する。
【0016】
ロッカーアーム200は、中央孔220と、第1端部にカムローラ210と、第2端部230に象足状部240とを備える。ロッカー通路222が、ロッカーアームの中央孔220から第2端部230に延在している。ロッカー通路222は、その外端部が栓224によって封止されている。象足状部240には、その上端部に調節ネジ232が組み込まれており、該調節ネジ232は、ロックナット234によって位置決め固定される。ロッカーアーム200に対する象足状部240の位置は、該象足状部をロッカーアームの第2端部230に螺入・螺出させることによって調節できる。
【0017】
象足状部240の中央部は、環状窪み部と、該環状窪み部の領域で象足状部を貫通する1つ以上の横通路241とを含む。この1つ以上の横通路241は、象足状部240の中央部から下端までその内部を貫通する縦通路242と連通している。象足状部の中央部のこれら環状窪み部及び1つ以上の横通路241によって、作動液が、ロッカーアームの第2端部230における象足状部240の配向に関わらず、ロッカー通路222と縦通路242との間を流れることができる。その結果、象足状部240を、ロッカー通路222と縦通路242との間の液圧連通に干渉する恐れなく、ロッカーアーム200に螺入・螺出させることができる。
【0018】
ロッカーアーム200は、中央孔220を貫通して延在するロッカー軸250に枢動可能に取り付けられる。ロッカー軸250は、該ロッカー軸と略等しい長さを有し略同じ直線状の中央供給通路252を含む。第2液圧通路254によって、供給通路252が、ロッカー通路222の中央孔220と連通する部分に接続されている。供給通路252は、制御弁(図3に示すとともに以下に説明する)を介して、潤滑油源(不図示)のような低圧作動液源に接続されている。制御弁260は、作動液を供給通路252に供給したり、作動液を供給通路252から排出したりするために使用される。
【0019】
ロッカー通路222は、カム100の基礎円部がカムローラ210に接触している間、第2液圧通路254に対して位置合わせされる。ロッカー通路222は、中央孔220に臨むその端部において、主排気ローブ120によるロッカーアーム200の回動によって第2液圧通路254がロッカー通路222に対して位置合わせされず、それにより作動液のロッカー通路への流入が遮断されるように、そのサイズを決めることができる。また、ロッカー通路222は、中央孔220に臨むその端部において、圧力開放ローブ130によるロッカーアーム200の回動によって第2液圧通路254とロッカー通路222との間の位置合わせが維持され、それにより圧力開放動作中、作動液のロッカー通路への流れが維持されるように、そのサイズを決めることができる。
【0020】
図1を再び参照し、弁ブリッジ300は、象足状部240とエンジン弁400及び410との間に配置される。エンジン弁400及び410は、好ましくは、排気弁である。エンジン弁バネ402及び412が、エンジン弁400及び410をそれらの弁座において上方に付勢しており、ロッカーアーム200をカム100に向けて該カム100に接触するように付勢している。同時に、ロッカーバネ236が、ロッカーアーム200及び象足状部240を、マスタピストン320を介して弁ブリッジ300に接触するように下方に付勢している。ロッカーバネ236によってロッカーアーム200に与えられる付勢力は、弁機構の構成部材による「無従動(no−follow)を防止するのに十分な大きさであるが、供給通路252に接続された低圧作動液源によってマスタピストン320に与えられる力よりは小さい。その結果、象足状部240は、付勢されて、マスタピストン320を介して弁ブリッジ300に接触する。
【0021】
マスタピストン320は、弁ブリッジ300の中央に位置するマスタピストン孔302内に摺動可能に配置されている。スレーブピストン340が、第1エンジン弁400の上方に位置するスレーブピストン孔304内に摺動可能に配置されている。ブリッジ通路306が、弁ブリッジ300の内部に延在し、マスタピストン孔302とスレーブピストン孔304とを液圧連通している。第1逆止弁330が、マスタピストン320とスレーブピストン340との間に延在する液圧回路内に配置されている。ブリード穴308が、スレーブピストン孔304の上端から弁ブリッジ300の外面へと延在している。
【0022】
凹状部材310が、マスタピストン320と象足状部240との間に配置され、象足状部が押下されてマスタピストン320及び弁ブリッジ300に対して枢動する際に、マスタピストンに対して加わる横荷重を低減するのを支援する。凹状部材310は、象足状部240の丸い底部を受容するようになっている上面を有し、作動液が内部を通過してマスタピストンへと流れるようになっている中央開口を更に含む。凹状部材310によって、象足状部240は、ロッカーアーム200及び象足状部240がロッカー軸250周りに前後に枢動する間も、マスタピストン320との、最終的には弁ブリッジ300の内部との液密状態を維持して、作動液をマスタピストン320や弁ブリッジ300に供給することができる。
【0023】
マスタピストン320は、凹状部材310、象足状部240、及びロッカーアーム200内の液圧通路からマスタピストン孔302へと作動液を流通させるようになっている中央通路を含む。マスタピストン孔302からの作動液の流出は、マスタピストン320内部に第1逆止弁330が配置されることによって防止される。第1逆止弁330は、作動液が弁ブリッジ300の内部に流入するのを許容するが、作動液が弁ブリッジから象足状部240に逆流するのを実質的に防止する。第1逆止弁330は、バネによって付勢された逆止円板として示しているが、本発明の代替の実施例において、どのような種類の逆止弁でも使用することが可能であることは理解されたい。
【0024】
スレーブピストン340は、作動液がスレーブピストンの上面に作用するのを許容するようになっている段差状の、若しくは面取りされた上面、又は、図1に示すように、同じ目的を果たすようになっている中空の内部を有している。このスレーブピストン340の中空の内部には、バネ342が配置されている。スレーブピストン340は、バネ342によって、スレーブピストン孔304の外部から排気弁400に向かって付勢されている。
【0025】
ブレーキ負荷ネジ510が、ブラケット又は固定部材500によって位置決め保持されているか、又は、エンジン若しくはエンジン室に接続されている。ブリード穴308の領域における弁ブリッジ300の上面は、ブレーキ負荷ネジ510に対して着座するようになっており、これにより、着座すると作動液がブリード穴308を介して放出されるのを防ぐようになっている。ブレーキ負荷ネジ510及び弁ブリッジ300のそれぞれの対向面は、互いの間に十分な液密封止状態が得られるように特別に仕上げ又は成形されてもよいことは理解されたい。本発明の代替の実施例において、他の種類の封止手段を使用して作動液がブリード穴308から流出するのを防止してもよいことは理解されたい。ブレーキ負荷ネジ510の位置は、第1及び第2エンジン弁400及び410を閉じた時に弁ブリッジ300がブレーキ負荷ネジにちょうど接触するように、ロックナットによって調節・固定することができる。
【0026】
エンジン弁400及び410が排気弁の場合、図1に示すシステム10は、以下のように使用される。つまり、(i)エンジンの正駆動運転中は、主排気弁を作動させ、(ii)エンジンブレーキモード運転中は、圧縮開放ブレーキ弁を作動させる。図4を参照し、正駆動運転中、制御ピストン264は、作動液が自由に第2作動液ポート268を通過して供給通路252から放出されるように移動する。同時に、第1作動液ポート266から供給通路252への作動液の流入が制御ピストン264によって遮断され、作動液は、ロッカーアーム200の通路222やブリッジ300には供給されない。ロッカーアーム200、象足状部240、及びブリッジ300は十分に加圧された作動液を含まないため、ロッカーバネ236は、マスタピストンがブリッジ300に対して最も窪む位置に達するまで、ロッカーアーム200、象足状部240、及びマスタピストン320に対して下方(図1において反時計回り)に力を加える。その結果、図1に示すように、エンジンが正駆動運転中は、カムローラ210とカム100との間にラッシュ空隙(lash space)が生じる。
【0027】
正駆動運転中のカム100の回転によって、ロッカーアーム200には、主排気ローブ120によってのみ運動が加えられる。主排気ローブ120からの運動によって、ロッカーアーム200がロッカー軸250周りに枢動して、弁ブリッジ300に下方の力を加えて、エンジン弁400及び410の両方を開弁する。この過程の間、スレーブピストン340は、スレーブピストン孔内に加圧された作動液が含まれないため、スレーブピストン孔304の内側端部壁に着座し続ける。正駆動運転中、圧力開放ローブ130によって潜在的にロッカーアームに加えられる開弁運動は、カムローラ210とカム100との間のラッシュ空隙(lash space)の高さが圧縮開放ローブの高さと相対的に等しいため、「相殺」される。
【0028】
エンジンブレーキモードの動作は、制御信号を制御弁260に送信することによって開始される。これにより、制御ピストン264を(図4に示すような全開位置に)移動させて、作動液が第2作動液ポート268を流通するのを遮断することによって、作動液がシステムから更に放出されるのを防止する。同時に、制御ピストン264によって、作動液は、作動液供給源(不図示)から第1作動液ポート266を介して供給通路252に流入するのを許容される。その結果、作動液は、供給通路252及び第2液圧通路254を介してロッカーアーム200に供給される。
【0029】
作動液は、ロッカー通路222、横通路241、及び縦通路242を流通し、弁ブリッジ300の内部へと流入する。作動液は、弁ブリッジへ流入し、マスタピストン孔302、スレーブピストン孔304、及びブリッジ通路306に充填される。弁ブリッジ内の作動液は、ロッカーバネ236の下方付勢に対抗するのに十分な圧力を有し、マスタピストン320を押し上げる。マスタピストン320がマスタピストン孔302から出るように上昇するにつれて、ロッカーアーム200は、ロッカー軸250に対して時計回りに枢動する。ロッカーアームが枢動するにつれて、ロッカーアーム200がカム100の基礎円部に接触するまで、カム100とカムローラ210との間のラッシュ空隙(lash space)が小さくなる。作動液のスレーブピストン340への供給によって、弁ブリッジ300は、ブレーキ負荷ネジ510に抗して押し上げられる。
【0030】
ロッカーアーム200がカム100の基礎円部に接触した後、カムが回転し続けることによって、ロッカーアームは、圧力開放ローブ130に接触し始める辺りから、反時計回りに枢動し始める。ロッカーアーム200の反時計回りの回動は、マスタピストン320とスレーブピストン340とを接続する回路内の作動液の圧力を介してロッカーアームに作用する第1及び第2エンジン弁バネ402及び412の閉弁付勢力による抵抗を受ける。
【0031】
圧力開放ローブ130は、エンジンブレーキが望まれるエンジンシリンダの圧縮工程が終わる頃に圧力開放イベントが開始されるように、カム100に設けられる。圧力開放ローブ130によってロッカーアーム200が反時計回りに枢動すると、マスタピストン320は、弁ブリッジ内に滞留していた作動液を移動させてスレーブピストン340を押下して、弁バネ402の付勢力及びシリンダ圧によりエンジン弁400に作用する力に抗して、エンジン弁400を開弁する。マスタピストン320は、ロッカーアーム200が圧力開放ローブ130の高さに等しい距離枢動した時点で完全に延長してマスタピストン孔302の端部壁に接触するように設計される。
【0032】
圧力開放イベントの間中、弁ブリッジ300がブレーキ負荷ネジ510に対して着座し続けるため、作動液は、その間ブリード穴308からほとんど流出することはない。スレーブピストン340によってエンジン弁400が少し開弁することによって、圧縮開放型エンジンブレーキを発生させる。エンジンシリンダの圧縮工程中にスレーブピストン340にかかるブレーキ負荷が、スレーブピストン孔304内の作動液の圧力を介してブレーキ負荷ネジ510に伝達される。その結果、ブレーキ負荷を、弁機構を介してマスタピストン320、ロッカーアーム200、又はカム100に戻す必要が無い。カム100は、エンジンブレーキ動作中、主排気ローブ120がカムローラ210に達してロッカーアームを圧力開放ローブ130により生じる変位を越えて枢動させるまで、圧力開放イベントにより回転し続ける。マスタピストン320に対するロッカーアーム200の下方変位は、もはやスレーブピストン340に液圧で伝達されなくなる。これは、この時点でマスタピストンがマスタピストン孔302の端部壁に接触しているからである。その結果、主排気ローブ120によるロッカーアーム200の下方変位は、マスタピストン320から弁ブリッジ300に機械的に伝達され、弁ブリッジ300が下方に移動して、主排気イベントのために第1及び第2エンジン弁400及び410を開弁する。
【0033】
第2エンジン弁410が主排気イベントのために最初に開弁し始める時には、第1エンジン弁400はすでに開弁している。弁ブリッジ300は、主排気イベントのために下方に移動するにつれて、ブレーキ負荷ネジ510から引き離されてブリード穴308が開かれる。そして、スレーブピストン孔304内の加圧された作動液がブリード穴308から流出することによって、スレーブピストン340がスレーブピストン孔304の端部壁に対して再び着座するまでスレーブピストン340は弁ブリッジ300の下方運動に対して上方に移動する。そして、主排気イベントは、弁ブリッジ300がエンジン弁400及び410のそれぞれに機械的に作用することによって完了する。
【0034】
主排気ローブ120がその最大高さに達した後、ロッカーアーム200は、カムローラ210がカムの基礎円に接触するまで、時計回りに枢動する。主排気イベントの後半の間ロッカーアームが枢動して戻るにつれて、エンジン弁はそれらの座部に対して閉弁し、弁ブリッジ300は静止する。その後、作動液がマスタピストン320を再び上昇させてマスタピストン孔302に最充填されることにより、圧縮開放ブレーキ及び主排気弁作動のサイクルが上記のように繰り返される。
【実施例2】
【0035】
次に、本発明の第実施例を詳細に参照する。この一例を、添付の図面の図2に、動弁システム10として示す。動弁システム10は、カム100と、ロッカーアーム200と、弁ブリッジ300と、ブラケット又は固定部材500とを備え、これらが集合的に使用されてエンジン弁400を作動させる。
【0036】
に示すカム100は、4つのエンジンサイクルのセット毎に1回、時計回りに回転する。カム100は、圧縮開放ブレーキローブ130と、主排気ローブ120とを備える。基礎円部が、圧縮開放ブレーキローブと主排気ローブとの間に設けられている。圧縮開放ブレーキローブ130は所定の高さを有し、ロッカーアーム200の第2端部230を、マスタピストン320の移動によって吸収可能な量だけ枢動させる。カム100は、ロッカーアーム200のカムローラ210に隣接して配置され、カムローラ210に対して選択的に又は連続的に接触する。
【0037】
ロッカーアーム200は、中央孔220と、第1端部にカムローラ210と、第2端部230に象足状部240とを備える。ロッカー通路222/223が、ロッカーアームの中央孔220から第2端部230に延在している。ロッカー通路222/223は、その外端部が栓224によって封止されている。象足状部240には、その上端部に調節ネジ232が組み込まれており、該調節ネジ232は、ロックナット234によって位置決め固定される。ロッカーアーム200に対する象足状部240の位置は、該象足状部をロッカーアームの第2端部230に螺入・螺出させることによって調節できる。
【0038】
象足状部240の中央部は、環状窪み部と、該環状窪み部の領域で象足状部を貫通する1つ以上の横通路241とを含む。この1つ以上の横通路241は、象足状部240の中央部から下端までその内部を貫通する縦通路242と連通している。象足状部の中央部のこれら環状窪み部及び1つ以上の横通路241によって、作動液が、ロッカーアームの第2端部230における象足状部240の配向に関わらず、ロッカー通路222/223と縦通路242との間を流れることができる。その結果、象足状部240を、ロッカー通路222/223と縦通路242との間の液圧連通に干渉する恐れなく、ロッカーアーム200に螺入・螺出させることができる。
【0039】
ロッカーアーム200は、中央孔220を貫通して延在するロッカー軸250に枢動可能に取り付けられる。ロッカー軸250は、該ロッカー軸と略等しい長さを有し略同じ直線状の中央供給通路252を含む。第2液圧通路254によって、供給通路252が、第1及び第2ロッカー通路222及び223の中央孔220と連通する部分に接続されている。供給通路252は、(図4に示すとともに以下に説明する)を介して、潤滑油源(不図示)のような低圧作動液源に接続されている。制御弁260(図3)は、作動液を供給通路252に供給したり、作動液を供給通路252から排出したりするために使用される。
【0040】
ロッカー通路222は、カム100の基礎円部がカムローラ210に接触している間、第2液圧通路254に対して位置合わせされる。ロッカー通路222は、中央孔220に臨むその端部において、主排気ローブ120によるロッカーアーム200の回動によって第2液圧通路254がロッカー通路222に対して位置合わせされず、それにより作動液のロッカー通路への流入が遮断されるように、そのサイズを決めることができる。また、ロッカー通路222は、中央孔220に臨むその端部において、圧力開放ローブ130によるロッカーアーム200の回動によって第2液圧通路254とロッカー通路222との間の位置合わせが維持され、それにより、圧力開放動作中、作動液のロッカー通路への流れが維持されるように、そのサイズを決めることができる。
【0041】
図2及び3を参照し、制御弁孔900が、ロッカーアーム200に設けられる。制御弁ピストン910が、制御弁バネ930によって制御弁孔内に向けて付勢されている。作動液を制御弁ピストンに対して作用させることによってピストンを位置調整(インデックス)して、高圧液圧回路が制御弁ピストンとスレーブピストン340との間に維持されるように、逆止弁を、制御弁ピストン910内部に設けてもよい。
【0042】
図2を続けて参照し、弁ブリッジ300は、象足状部240とエンジン弁400及び410との間に配置される。エンジン弁400及び410は、好ましくは、排気弁である。エンジン弁バネ402及び412が、エンジン弁400及び410をそれらの弁座において上方に付勢しており、ロッカーアーム200をカム100に向けて該カム100に接触するように付勢している。同時に、ロッカーバネ236が、ロッカーアーム200及び象足状部240を、マスタピストン320を介して弁ブリッジ300に接触するように下方に付勢している。ロッカーバネ236によってロッカーアーム200に与えられる付勢力は、弁機構の構成部材による「無従動(no−follow)を防止するのに十分な大きさであるが、供給通路252に接続された低圧作動液源によってマスタピストン320に与えられる力よりは小さい。その結果、象足状部240は、付勢されて、マスタピストン320を介して弁ブリッジ300に接触する。
【0043】
マスタピストン320は、弁ブリッジ300の中心に位置するマスタピストン孔302内に摺動可能に配置される。マスタピストン320は、環状凹部332を含み、該環状凹部332は、マスタピストンが圧力開放イベントのために下降すると、アキュムレータ放出通路860に対して選択的に位置合わせされるようになっている。スレーブピストン340が、第1エンジン弁400の上方に位置するスレーブピストン孔304内に摺動可能に配置されている。ブリッジ通路306が、弁ブリッジ300の内部に延在し、マスタピストン孔302とスレーブピストン孔304とを液圧連通している。
【0044】
アキュムレータ孔800が、弁ブリッジ300内に設けられている。アキュムレータピストン820が、該アキュムレータ孔内に摺動可能に配置されており、接続通路が、アキュムレータ孔とマスタピストン孔800との間に延在している。アキュムレータバネ830によって、アキュムレータピストンがその孔内に向けて付勢されている。アキュムレータバネが作用する表面には、保持リング840が設けられている。逆止弁810が、マスタピストン孔302とアキュムレータ孔800との間に延在する接続通路内に配置されている。逆止弁810によって、作動液は、アキュムレータ孔からマスタピストン孔へ一方向にのみ流れることができる。
【0045】
凹状部材310が、マスタピストン320と象足状部240との間に配置され、象足状部が押下されてマスタピストン320及び弁ブリッジ300に対して枢動する際に、マスタピストンに対して加わる横荷重を低減するのを支援する。凹状部材310は、象足状部240の丸い底部を受容するようになっている上面を有し、作動液が内部を通過してマスタピストンへと流れるようになっている中央開口を更に含む。凹状部材310によって、象足状部240は、ロッカーアーム200及び象足状部240がロッカー軸250周りに前後に枢動する間も、マスタピストン320との、最終的には弁ブリッジ300の内部との液密状態を維持して、作動液をマスタピストン320や弁ブリッジ300に供給することができる。
【0046】
マスタピストン320は、凹状部材310、象足状部240、及びロッカーアーム200内の液圧通路からマスタピストン孔302へと作動液を流通させるようになっている中央通路を含む。逆止弁810及び制御弁ピストン910内の逆止弁は、作動液が弁ブリッジ300の内部に流入するのを許容するが、マスタピストン330が完全な圧力開放イベントを行うまで、作動液が弁ブリッジから象足状部240又はアキュムレータに逆流するのを実質的に防止する。
【0047】
スレーブピストン340は、作動液がスレーブピストンの上面に作用するのを許容するようになっている段差状の、若しくは面取りされた上面、又は図2に示すように、同じ目的を果たすようになっている中空の内部を有している。スレーブピストン340のこの中空の内部には、バネ342が配置されている。スレーブピストン340は、バネ342によって、スレーブピストン孔304の外部から排気弁400に向かって付勢されている。
【0048】
ブレーキ負荷ネジ510が、ブラケット又は固定部材500によって位置決め保持されているか、又は、エンジン若しくはエンジン室に接続されている。弁ブリッジ300の上面は、ブレーキ負荷ネジ510に対して着座するようになっている。ブレーキ負荷ネジ510の位置は、第1及び第2エンジン弁400及び410を閉じた時に弁ブリッジ300がブレーキ負荷ネジに稠度接触するように、ロックナットによって調節・固定することができる。
【0049】
エンジン弁400及び410が排気弁の場合、図2に示すシステム10は、以下のように使用される。つまり、(i)エンジンの正駆動運転中は、主排気弁を作動させ、(ii)エンジンブレーキモード運転中は、圧縮開放ブレーキ弁を作動させる。図4を参照し、正駆動運転中、制御ピストン264は、作動液が自由に第2作動液ポート268を通過して供給通路252から放出されるように移動する。同時に、第1作動液ポート266から供給通路252への作動液の流入が制御ピストン264によって遮断され、作動液は、ロッカーアーム200の通路222やブリッジ300には供給されない。ロッカーアーム200、象足状部240、及びブリッジ300は十分に加圧された作動液を含まないため、ロッカーバネ236は、マスタピストンがブリッジ300に対して最も窪む位置に達するまで、ロッカーアーム200、象足状部240、及びマスタピストン320に対して下方(図2において反時計回り)に力を加える。その結果、図2に示すように、エンジンが正駆動運転中は、カムローラ210とカム100との間にラッシュ空隙(lash space)が生じる。
【0050】
正駆動運転中のカム100の回転によって、ロッカーアーム200には、主排気ローブ120によってのみ運動が加えられる。主排気ローブ120からの運動によって、ロッカーアーム200がロッカー軸250周りに枢動して、弁ブリッジ300に下方の力を加えて、エンジン弁400及び410の両方を開弁する。この過程の間、スレーブピストン340は、スレーブピストン孔内に加圧された作動液が含まれないため、スレーブピストン孔304の内側端部壁に着座し続ける。正駆動運転中、圧力開放ローブ130によって潜在的にロッカーアームに加えられる開弁運動は、カムローラ210とカム100との間のラッシュ空隙(lash space)の高さが圧縮開放ローブの高さと相対的に等しいため、「相殺」される。
【0051】
エンジンブレーキモードの動作は、制御信号を制御弁260に送信することによって開始される。これにより、制御ピストン264を(図4に示すような全開位置に)移動させて、作動液が第2作動液ポート268を流通するのを遮断することによって、作動液がシステムから更に放出されるのを防止する。同時に、制御ピストン264によって、作動液は、作動液供給源(不図示)から第1作動液ポート266を介して供給通路252に流入するのを許容される。その結果、作動液は、供給通路252及び第2液圧通路254を介してロッカーアーム200に供給される。
【0052】
作動液は、第1ロッカー通路222を流通し、制御弁ピストン910を位置調整(インデックス)し、第2ロッカー通路223、横通路241、及び縦通路242を流通した後、弁ブリッジ300の内部へと流入する。作動液は、弁ブリッジへ流入し、マスタピストン孔302、スレーブピストン孔304、及びブリッジ通路306に充填される。弁ブリッジ内の作動液は、ロッカーバネ236の下方付勢に対抗するのに十分な圧力を有し、カム100が基礎円にある間マスタピストン320を押し上げる。マスタピストン320がマスタピストン孔302から出るように上昇するにつれて、ロッカーアーム200は、ロッカー軸250に対して時計回りに枢動する。ロッカーアームが枢動するにつれて、ロッカーアーム200がカム100の基礎円部に接触するまで、ラッシュ空隙(lash space)が小さくなる。作動液のスレーブピストン340への供給によって、弁ブリッジ300は、ブレーキ負荷ネジ510に抗して押し上げられる。
【0053】
ロッカーアーム200がカム100の基礎円部に接触した後、カムが回転し続けることによって、ロッカーアームは、圧力開放ローブ130に接触し始める辺りから、反時計回りに枢動し始める。ロッカーアーム200の反時計回りの回動は、マスタピストン320とスレーブピストン340とを接続する回路内の作動液の圧力を介してロッカーアームに作用する第1及び第2エンジン弁バネ402及び412の閉弁付勢力による抵抗を受ける。
【0054】
圧力開放ローブ130は、エンジンブレーキが望まれるエンジンシリンダの圧縮工程が終わる頃に圧力開放イベントが開始されるように、カム100に設けられる。圧力開放ローブ130によってロッカーアーム200が反時計回りに枢動すると、マスタピストン320は、弁ブリッジ内に滞留していた作動液を移動させてスレーブピストン340を押下して、弁バネ402の付勢力及びシリンダ圧によりエンジン弁400に作用する力に抗して、エンジン弁400を開弁する。マスタピストン320は、圧力開放イベントがその最大リフトに達した時、すなわち、ロッカーアームが圧力開放ローブ130の高さに等しい距離枢動した後環状凹部332がアキュムレータ放出通路860に対して位置合わせされるように設計される。この時点で、マスタピストンとスレーブピストンとの間に形成される液圧回路内の作動液の圧力は、アキュムレータ放出通路860を介してアキュムレータピストン820に放出され、その後の液圧回路の最充填のために貯留される。スレーブピストン孔304内の加圧された作動液がアキュムレータ放出通路860を介して流出することによって、スレーブピストン340がスレーブピストン孔304の端部壁に対して再び着座するまで、スレーブピストン340は、弁ブリッジ300の下方運動に対して上方に移動する。そして、主排気イベントは、以下に説明するように、弁ブリッジ300がエンジン弁400及び410のそれぞれに機械的に作用することによって完了する。
【0055】
圧力開放イベントの間中、アキュムレータ放出通路は封止されたままのため、作動液は、圧力開放イベントの初期の間、アキュムレータ放出通路860からほとんど流出することはない。スレーブピストン340によってエンジン弁400が少し開弁することによって、圧縮開放型エンジンブレーキを発生させる。エンジンシリンダの圧縮工程中にスレーブピストン340にかかるブレーキ負荷が、スレーブピストン孔304内の作動液の圧力を介してブレーキ負荷ネジ510に伝達される。その結果、ブレーキ負荷を、弁機構を介してマスタピストン320、ロッカーアーム200、又はカム100に戻す必要が無い。
【0056】
カム100は、エンジンブレーキ動作中、主排気ローブ120がカムローラ210に達してロッカーアームを圧力開放ローブ130により生じる変位を越えて枢動させるまで、圧力開放イベントにより回転し続ける。マスタピストン320に対するロッカーアーム200の下方変位は、もはやスレーブピストン340に液圧で伝達されなくなる。これは、マスタピストンがマスタピストン孔302の端部壁に接触しているからである。その結果、主排気ローブ120によるロッカーアーム200の下方変位は、マスタピストン320から弁ブリッジ300に機械的に伝達され、弁ブリッジ300が下方に移動して、主排気イベントのために第1及び第2エンジン弁400及び410を開弁する。
【0057】
第2エンジン弁410が主排気イベントのために最初に開弁し始める時には、第1エンジン弁400はすでに開弁している。弁ブリッジ300は、主排気イベントのために下方に移動するにつれて、ブレーキ負荷ネジ510から引き離される。
【0058】
主排気ローブ120がその最大高さに達した後、ロッカーアーム200は、カムローラ210がカムの基礎円に接触するまで、時計回りに枢動する。主排気イベントの後半の間ロッカーアームが枢動して戻るにつれて、エンジン弁はそれらの座部に対して閉弁し、弁ブリッジ300は静止する。その後、作動液がマスタピストン320を再び上昇させてマスタピストン孔302に最充填されることにより、圧縮開放ブレーキ及び主排気弁作動のサイクルが上記のように繰り返される。最充填のための作動液が、アキュムレータから逆止弁850を越えて流入する。
【0059】
図5を参照し、図2に示す実施例の代替の実施例において、カム100には、主排気ローブ120と部分ブリーダブレーキローブ110とが設けられる。このシステムは、上記のように動作するが、圧縮開放ブレーキの代わりに部分ブリーダブレーキを行うものである。
【0060】
以上、本発明を特定の実施例について説明したが、多くの代替、変形、及び変更が可能なことは、当業者にとっては明らかである。例えば、マスタピストン及びスレーブピストン、カム及びカムローブ、ロッカーアーム、弁ブリッジ、並びに制御弁の形状、サイズ、またそれらの構成もある程度、本発明の意図する精神及び範囲を逸脱することなく変更可能である。更に、カムは、ロッカーアームに直接接触させることによって、又は、これらに限定はされないがプッシュチューブ、レバー、若しくは液圧システム等のような任意の数の弁機構を介在させることによって、ロッカーアームに動作可能に接続してもよいことは理解されよう。上記実施例におけるバネの使用は、2つの部材が互いに接近するように又は離間するように付勢する任意の手段の使用を例示するものと考慮されるべきである。従って、本明細書に記載の本発明の好適な実施例は、例示目的のものに過ぎず、その変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に包含される限りにおいて、限定するものではない。
図1
図2
図4
図5
図3