(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非外傷性先端部の前記遠位端の形状が、前記血管内の外傷を低減させるように形成されており、半球形、放物線形および楕円形からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサ。
前記非外傷性先端部の前記遠位端が、プラスチック、ポリマー、ゲル、金属および複合材料からなる群から選択される少なくとも1種の材料から形成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のセンサ。
前記励起光信号が前記化学指示薬系に入る前に前記励起光信号の一部を反射するように構成された、または、その強度が前記検体濃度に関係していない第2の発光光信号を返すように構成された基準材料をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、血中グルコース濃度を決定する光学システムおよび方法のさまざまな実施形態を開示する。これらのさまざまな実施形態は少なくとも2つの特徴を共有することが好ましい。第1に、それらの実施形態は、励起光信号で化学指示薬系を励起すること、および指示薬系の発光光信号を測定することを含み、この指示薬系は血液と接触し、蛍光染料(fluorescent dye)を含み、この蛍光染料は、励起時に指示薬系によって生成される発光光信号が血中グルコース濃度に関係するような態様でグルコース結合部分構造(glucose binding moiety)に機能可能に結合されている。第2に、それらの実施形態は、指示薬系によって得た血中グルコース濃度測定値を、血中グルコース濃度には無関係の光学システムに起因する潜在的なアーティファクト(artifact)に関して補正することを含む。この補正は、レシオメトリック分析(ratiometric analysis)によって実施する。より具体的には、発光光信号と光学システムを通して伝搬された第2の光信号との比、例えば発光光信号と励起光信号との比、または発光光信号と別の基準光信号との比を使用して、グルコースには関係していない光学システムの寄与を補正する。レシオメトリック補正に励起光信号を使用する場合には、光学システムを通過した励起光の少なくとも一部が検出器へ反射されるようにセンサに沿ったある位置に配置された反射面、例えばミラーを、センサが含むことが好ましい。別の基準光信号を使用する場合には、(1)別の光源によって基準光信号を生成し、この基準光信号を検出器へ反射させるか、または(2)センサに沿ったある位置に配置された別の染料から、別の発光光信号として基準光信号を生成することができる。したがって、本発明の好ましい実施形態に基づくグルコースセンサは、反射面を備えるか、または基準光信号を発するように適合された第2の染料を含む。
【0019】
(1)血液に曝され、(2)励起光の経路上にあり、(3)化学指示薬系を血液に対して露出させ、化学指示薬系に励起光信号を導き入れ、指示薬系からの発光光信号を検出し、光学システムのアーティファクトに関してグルコース測定値をレシオメトリック補正することを可能にする、ある位置に化学指示薬系を保持するためのさまざまな構造的構成が提案されている。特に第2008/0188725号明細書を参照されたい。より具体的には、本発明の諸態様は、励起光信号の一部を検出器へ返すように適合したさまざまなミラー/反射面構成によって、または別の染料から別の発光光信号を生成することによって、(第2008/0188725号明細書で記載されるように)基準光信号を生成する改良および代替的な実施形態に関する。本発明の諸態様は、問合せ光経路(interrogation light path)上に化学指示薬系を配置する新規の構成および改善された構成であって、センサがより堅牢であり、改善された患者の耐容性を示す構成に関する。
【0020】
米国特許出願公開第2008/0188722号明細書、同第2008/0188725号明細書、同第2008/0187655号明細書、同第2008/0305009号明細書、同第2009/0018426号明細書、同第2009/0018418号明細書、ならびに同時係属中の米国特許出願第11/296,898号明細書、同第12/187,248号明細書、同第12/172,059号明細書、同第12/274,617号明細書および同第12/424,902号明細書(これらの文献はそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている光学式グルコースセンサなどの光学式グルコースセンサは一般に、光ファイバの遠位端に配置された化学指示薬系を使用し、この指示薬系は、ファイバに沿って遠位方向へ送られた励起光信号によって、この化学指示薬系が、グルコースの濃度に関係した光信号を発射するように、血液と接触した状態で維持される。
【0021】
ある実施形態では、1種または数種のグルコース感知化学指示薬系を使用して血中グルコース濃度を測定するための光学的グルコース測定システムが開示される。このような指示薬系は、グルコース結合部分構造に機能可能に結合されたフルオロフォアを含むことが好ましい。このグルコース結合部分構造は、フルオロフォアに対する消光剤として作用する(例えばグルコース結合部分構造がフルオロフォアに結合したときに励起光に応答して発せられるフルオロフォアの蛍光発光信号を抑制する)ことが好ましい。好ましい実施形態では、(例えばグルコース濃度が上昇したときに)グルコース結合部分構造がグルコースと結合すると、グルコース結合部分構造がフルオロフォアから解離し、フルオロフォアは、励起したときに蛍光発光信号を生成する。したがって、このような実施形態では、グルコース濃度が高いほど、結合部分構造はより多くのグルコースと結合し、消光はより低減し、励起したときのフルオロフォアの蛍光強度がより増大する。
【0022】
ある実施形態では、この光学的グルコース測定システムは、このような化学指示薬系を使用することによって、グルコース濃度を血管内で、リアルタイムに測定する。ある実施形態では、グルコース感知化学指示薬系がヒドロゲル中に固定化されている。ヒドロゲルの少なくとも一部分が血液と接触している間に、光がヒドロゲルを通って伝送されることができるように、このヒドロゲルを光ファイバに挿入することができる。このヒドロゲルは、血液および検体、特にグルコースに対して透過性を有することが好ましい。ある実施形態では、ヒドロゲルを有する光ファイバは、哺乳類(人間または動物)の血管内に配置されるグルコースセンサを構成する。
【0023】
グルコースの血管内でのモニタのためのグルコース感知化学指示薬系およびグルコースセンサ構成の例は、米国特許第5,137,033号明細書、同第5,512,246号明細書、同第5,503,770号明細書、同第6,627,177号明細書、同第7,417,164号明細書および同第7,470,420号明細書、米国特許出願公開第2008/0188722号明細書、同第2008/0188725号明細書、同第2008/0187655号明細書、同第2008/0305009号明細書、同第2009/0018426号明細書、同第2009/0018418号明細書、ならびに同時係属の米国特許出願第11/296,898号明細書、同第12/187,248号明細書、同第12/172,059号明細書、同第12/274,617号明細書および同第12/424,902号明細書に開示されている光学式センサを含み、これらの文献はそれぞれ、参照によってその全体が本明細書で組み込まれる。
【0024】
光源から光学式グルコースセンサ内へ光を伝送することができる。ある実施形態では、この光源は、光励起信号を発する発光ダイオードである。この光励起信号は、フルオロフォアがある発光波長の光を発するように、フルオロフォア系(1つまたは複数)を励起する。ある実施形態では、フルオロフォア系が、血管内の血中グルコース濃度に関係した強度を有する第1の波長の発光信号を発するように構成されている。ある実施形態では、少なくとも1つの検出器によって光が検出されるように、グルコースセンサの外へ光が導かれる。この少なくとも1つの検出器は、血液中に存在するグルコース濃度に関係したこの発光信号の強度を測定することが好ましい。1つ以上の励起光信号を用いてグルコース感知化学指示薬系に問い合わせるための、化学指示薬系からの1つ以上の発光信号を検出するためのさまざまな光学的構成を使用することができる。例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/027,158号明細書(米国特許出願公開第2008/0188725号として公開されている)を参照。
【0025】
<グルコース活性および厳格な血糖管理>
糖尿病患者および重篤な患者のグルコース濃度を調節するため、臨床医は、数十年にわたってインスリンを使用してきたが、的確な用量を決定することは依然として問題である。インスリンは、多くのホルモンおよび多種類の細胞が関与する一連の複雑な相互作用を介して、循環するグルコース濃度を低下させる。インスリンの用量決定プロトコルは、膵臓によるインスリンの生理的分泌を再現することを試みている。しかしながら、固定時間および血中グルコース測定値に基づくアルゴリズムに従った投与は、生物学的に利用可能な(bioavailable)グルコース量および人体の要求に応じてインスリン産生を絶え間なく調整する健康な個人の能力に大雑把に近似することしかできない。したがって、患者の血中グルコースを適当な濃度に維持するために投与すべきインスリンの的確な量を決定するためには、血液中を循環している生物学的に利用可能なグルコースの量を、ほぼリアルタイムで正確に測定する必要がある。
【0026】
残念なことに、血中グルコース濃度を決定するための既存の大部分の方法は、生物学的に利用可能なグルコースの量をほぼリアルタイムで正確に測定することができない。臨床医および糖尿病患者は一般に、例えば全血液からの1滴中の細胞から血漿を濾別する検査ストリップを読むグルコメータ(glucometer)を使用して血漿中のグルコース濃度を測定しているように思われるポイントオブケア検査(point−of−care testing)に依存している。短時間で結果を得ることができるが、その結果は、患者のヘマトクリット、血漿タンパク質および脂質プロフィールなどによって変動し、しばしば誤った高い値である可能性がある(例えばChakravarthy他、2005年、「Glucose determination from different vascular compartments by point−of−care testing in critically ill patients」、Chest、第128巻、第4号、2005年10月、Supplement:220S〜221Sを参照)。最初に全血液の細胞成分を分離することによって、より正確な測定値を得ることができる。しかしながら、これには、例えば遠心分離法によって血液の細胞成分から血漿を分離することが必要になる。続いて、分離した血漿を保管し、および/または輸送し、および/または分析前に希釈しなければならない。保管条件および処理条件、例えば温度、希釈などは、結合したグルコースと遊離した(生物学的に利用可能な)グルコースとの間のin vivoでの平衡をほぼ確実に乱す。したがって、血漿グルコース濃度を測定するために続いて使用する技術(例えばグルコースオキシダーゼ、質量分析法など)に関わらず、測定されるグルコース濃度は、もはやin vivoにおける生物学的に利用可能なグルコースの量を反映しない傾向がある。したがって、患者のグルコース濃度をほぼリアルタイムでモニタし、調整するのに、血漿グルコース測定値の使用は適さない。
【0027】
したがって、ある実施形態では、本明細書に記載された好ましいグルコースセンサが、グルコース濃度とは対照的にグルコース「活性」を測定する。より厳密には、グルコース活性は、水1キログラムあたりの遊離グルコースの量を指す。いくつかの実施形態では、血液の水画分(water compartment)(すなわち細胞、タンパク質または脂質などに結合していない画分)とグルコース結合部分構造/消光剤との間で平衡状態にある、遊離し、生物学的に利用可能であるグルコースの量を定量するために化学指示薬系を使用する、上で論じた平衡、非消費型(non−consuming)光学的グルコース測定システムなどのグルコースセンサを使用して、グルコース活性を直接に測定することができる。以下のセンサについての議論では、測定する物理量をしばしば、「検体濃度」、「グルコース濃度」または単に「濃度」と呼ぶ。しかしながら、本明細書で使用する「濃度」は、通常使用される通りの「検体濃度」と、上で説明した通りの「活性」(場合によっては「グルコース活性」)との両方を指すことを理解されたい。
【0028】
<光学式グルコースセンサ構成>
図1A〜Dを参照して、先行技術のある実施形態(米国特許出願公開第2008/0188725号明細書を参照)が示されている。
図1Aのグルコースセンサ117は、ファイバの側面を貫いて一連の穴116が直線状にあけられた光ファイバである。ある実施形態では、穴116に、1種以上のグルコース感知化学指示薬系が充填されている。選択的透過性膜でこれらの穴を覆うことができ、膜の透過性は、化学指示薬系の分子(例えばフルオロフォアおよび消光剤)が空洞内に保持されるが、グルコースは自由に透過することができるように選択される。ある実施形態では、グルコースセンサ117を貫通してあけられた一連の穴116は、水平方向に等間隔に配置され、グルコースセンサ117の側面に沿って均一に回転されて、渦巻形または螺旋形配置を形成している。ある実施形態では、この一連の穴は、グルコースセンサの直径に沿ってあけられている。
【0029】
図1Bを参照して、ある実施形態では、グルコースセンサ117は、ファイバの側面を貫いて一連の穴116がある角度であけられた中実の光ファイバである。ある実施形態では、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填されたある角度であけられた一連の穴は、水平方向に等間隔に配置され、グルコースセンサ117の側面の周りで均一に回転されている。
図1Cを参照して、ある実施形態では、光ファイバは光ファイバの長さに沿った溝116を含み、この溝には、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填されている。ある実施形態では、溝の深さが光ファイバの中心まで延在している。ある実施形態では、この溝は光ファイバの周りを渦巻状に取り巻いている。ある実施形態では、この溝は光ファイバの周りを渦巻状に取り巻いて、少なくとも完全に1周している。ある実施形態では、この溝は光ファイバを渦巻状に取り巻いて、光ファイバを完全に数周している。
【0030】
図1Dを参照して、ある実施形態では、グルコースセンサ117は、三角形の楔116がファイバから切り取られた中実の光ファイバである。ある実施形態では、三角形の楔の領域にヒドロゲル/化学指示薬系が充填されている。ある実施形態では、切り取られた三角形の楔が水平方向に等間隔に、グルコースセンサ117の側面の周りを巻いて配置されている。ある実施形態では、グルコースセンサ117内を通る光は全て、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された少なくとも1つの穴または溝116を通過する。
【0031】
ある実施形態では、
図2〜6に示すように、グルコースセンサ117は、遠位端132を有する光ファイバ130と、近位端136および遠位端138を有する非外傷性先端部134と、光ファイバ130の遠位端132と非外傷性先端部134の近位端136との間の空隙または空洞116と、光ファイバ130の遠位端132を非外傷性先端部134の近位端136に接続するロッド140(該ロッドは、該空隙または空洞を横切る)とを備える。好ましい実施形態では、空隙または空洞116内に化学指示薬系の分子が配置されており、この化学指示薬系の分子は、(共有結合または非共有結合性の相互作用によって)ヒドロゲルマトリックス内に固定化されているか、または他の方法でヒドロゲルマトリックス内において会合している。例えば米国特許第7,417,164号明細書および同第7,470,420号明細書に開示されている化学指示薬系を参照。空洞116は、当技術分野で知られている任意の方法によってヒドロゲル/化学指示薬系で充填することができる。好ましい実施形態では、液体状態のヒドロゲル/化学指示薬系を空洞116に充填する。このヒドロゲル/化学指示薬系は、同時係属の米国特許出願第12/026,396号明細書(米国特許出願公開第2008/0187655号として公開されている)に詳述されているように、その場で重合することが好ましい。
【0032】
ある実施形態では、光ファイバ130および非外傷性先端134を加熱し、膨張させ、それらの間にロッド140を埋め込むことによって、光ファイバ130および/または非外傷性先端134にロッド140を取り付ける。ある実施形態では、光ファイバ130を、約100℃〜約160℃の間、より好ましくは約110℃〜約140℃の間の温度に加熱する。他の実施形態では、光ファイバ130を最初に加熱し、次いで冷却することを1回または数回繰り返す。ある実施形態では、接着剤を塗布することによって、光ファイバ130および/または非外傷性先端134にロッド140を取り付ける。好ましい実施形態では、この接着剤は、例えばシアノアクリレート、エポキシ、光硬化性接着剤、シリコーン、ウレタンなどの生物適合性接着剤である。ある実施形態では、接着剤を塗布し、ロッド140を光ファイバ130および非外傷性先端134に接合した後に、室温で、もしくは加熱することによって、またはUV/可視光を照射することによって、接着剤を硬化させる。ある実施形態では、ロッド140を光ファイバ130および/または非外傷性先端134に固定する時間は、約5秒〜約60秒、約15分〜約5時間、約60秒〜約10分、または最長約24時間とすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ロッド144の近位面は反射面であり、それによって励起光信号(または基準光信号)の一部が光ファイバ130に沿って検出器(図示せず)まで近位方向へ反射される。本明細書では、用語:ロッドは、非外傷性先端部を光ファイバに接続するように構成された細長い構造部材を指すために使用され、部材の幾何形状は問わない。ロッドは、ファイバおよび非外傷性先端部の横断面に関して、(図示のように)同軸に、中心に配置してもよく、または中心からずらして配置してもよい。いくつかの実施形態では、ファイバと非外傷性先端部との間に延在する2本以上のロッドが存在してもよい。2本以上のロッドを使用する場合、ファイバおよび非外傷性先端部の横断面に関してロッドを対称に配置してもよく、または非対称に配置してもよい。
【0034】
ある実施形態では、
図5および6で例示されるように、ロッド144の近位面に基準材料190が取り付けられている。基準材料190は反射材料(例えばミラー)とすることができ、基準材料190は、ロッド144の近位面が、励起光信号(または基準光信号)の少なくとも一部を光ファイバ130に沿って検出器(図示せず)へ反射する実施形態と同様に機能する。他の実施形態では、基準材料190は、別の染料指示薬系、例えばグルコースに感応しない蛍光染料を含む。ヒドロゲル/化学指示薬系からの発光信号の基準とするために、光ファイバ130からの励起光によって、グルコースに感応しないフルオロフォアが、検出器(図示せず)へ蛍光を発する。ある実施形態では、この別の染料指示薬系は、別のグルコースに感応しない信号を発するように構成された蛍光染料が注入されたプラスチック材料、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレンから形成される。
【0035】
ヒドロゲルおよびグルコース感知化学指示薬系は空洞116内に配置される。好ましい実施形態では、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116が、ヒドロゲル/化学指示薬系内へのグルコースの通過およびヒドロゲル/化学指示薬系から外部へのグルコースの通過を許す選択的透過性膜142によって覆われている。これらの実施形態はグルコースセンサ117を使用して記載されるが、当業者は、例えば感知化学物質を変更し、必要ならば選択的透過性膜142を変更することによって、他の検体を測定するようにセンサ117を改変できることを、当然理解するはずである。
【0036】
ある実施形態では、接着剤によって、選択的透過性膜142が光ファイバ130および非外傷性先端134に取り付けられている。好ましい実施形態では、この接着剤は、例えばシアノアクリレート、エポキシ、光硬化性接着剤、シリコーン、ウレタンなどの生物適合性接着剤である。ある実施形態では、接着剤を塗布し、選択的透過性膜142を光ファイバ130および非外傷性先端134に取り付けた後に、室温で、加熱することによって、またはUV/可視光を照射することによって、接着剤を硬化させる。ある実施形態では、選択的透過性膜142を光ファイバ130および/または非外傷性先端134に付着させる時間を、約5秒〜約60秒、約15分〜約5時間、約60秒〜約10分、または最長約24時間と変動させることができる。他の実施形態では、選択的透過性膜142はスリーブ(sleeve)として予め製造される。このスリーブを所定の位置まで滑らせ、接着剤を使用して密封し、および/または加熱して、グルコースセンサ117との嵌合を形成することができる。ある実施形態では、選択的透過性膜142は、グルコースセンサ117の全周を取り囲む。他の実施形態では、血流中の検体に対して空隙または空洞116を露出させるグルコースセンサ117の窓180または開口を、選択的透過性膜142が覆う。
【0037】
いくつかの実施形態では、
図2Aおよび2Bに示すように、センサ117は、遠位部分および近位部分を備える。センサ117の遠位部分は、非外傷性先端部134と、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116と、ロッド140と、空洞116を覆う選択的透過性膜142の少なくとも一部分と、光ファイバ130の遠位端132とを含む。センサ117の近位部分は光ファイバ130の近位部分を含む。いくつかの実施形態では、センサ117の遠位部分の直径D1は、センサ117の近位部分の直径D2よりも大きい。例えば、センサ117の遠位部分の直径D1は、約0.0080インチ〜0.020インチの間とすることができ、センサ117の近位部分の直径D2は約0.005インチ〜0.015インチの間とすることができる。いくつかの実施形態では、センサ117の遠位部分の直径D1は約0.012インチ、センサ117の近位部分の直径D2は約0.010インチである。
【0038】
いくつかの実施形態では、選択的透過性膜142を含むセンサ117は滑面を有する。この滑面は、例えば同時係属の米国特許出願第12/026,396号明細書(米国特許出願公開第2008/0187655号として公開されている)に開示されている方法によって形成することができる。概要を述べると、この方法の好ましい一実施形態は、モノマー、架橋剤および熱開始剤などの開始剤を含む溶液を空洞116に充填することを含む。センサ117に充填した後、センサ117を液体ロウに浸漬し、センサ117および選択的透過性膜142の周囲に付着した液体ロウを固化させる。
【0039】
この液体ロウは、熱開始温度よりも高い融点を有する。したがって、ロウ浸漬/コーティングステップ中の開始の可能性を低下させるため、ロウ浸漬/コーティングステップの前に、充填後のセンサ117を冷却することができる。センサ117をロウでコーティングした後、窒素などの不活性ガスを泡立たせた水浴にセンサ117を入れることによって、空洞116内の溶液中の酸素を除去することができる。
【0040】
酸素を除去した後、熱開始温度よりも高いが、ロウの融点よりも低い温度までセンサ117を加熱することによって、重合を開始させることができる。溶液が実質的に重合してヒドロゲルになったら、ヘキサンなどの溶剤を使用してセンサからロウを除去し、滑面を有するセンサ117を得ることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図3Aおよび3Bに例示されるように、センサ117は、実質的に同じ直径を有する遠位部分および近位部分を含む。いくつかの実施形態では、センサ117の直径は約0.005インチ〜0.020インチの間にある。他の実施形態では、センサ117の直径は約0.008インチ〜0.014インチの間にある。他の実施形態では、センサ117の直径は約0.010インチまたは約0.012インチである。
【0042】
いくつかの実施形態では、ロッド140は、光ファイバ130の遠位部分に接続された近位部分、および非外傷性先端部134の近位部分に接続された遠位部分を有する。ロッド140は、金属、金属合金、プラスチック、ポリマー、セラミック、複合材料、または非外傷性先端部134を光ファイバ130の遠位部分に接続するのに適した機械的特性を有する任意の他の材料から製作することができる。ロッド140は例えば、ステンレス鋼、チタンまたはニチノールから製作することができる。ロッド140は円筒形とすることができ、または正方形、長方形、楕円形もしくは長円形の断面を有する棒材など、非円筒形とすることができる。いくつかの実施形態では、ロッド140の直径は一般に約0.001インチ〜0.010インチの間にある。他の実施形態では、ロッド140の直径は一般に約0.004インチ〜0.008インチの間にある。他の実施形態では、ロッド140の直径は、約0.001インチ、約0.002インチまたは0.004インチである。いくつかの実施形態では、ロッド140の直径は約0.001インチよりも小さい。いくつかの実施形態では、ロッド140の直径は約0.010インチよりも大きい。いくつかの実施形態では、ロッド140の長さは一般に約0.005インチよりも短い。いくつかの実施形態では、ロッド140の長さは約0.005〜0.040インチの間にある。他の実施形態では、ロッド140の長さは一般に約0.020インチ〜0.040インチの間のある。他の実施形態では、ロッド140の長さは一般に約0.015インチである。いくつかの実施形態では、ロッド140の長さは一般に約0.005インチよりも長い。
【0043】
ロッド140は、センサ117の遠位部分に機械的な安定性を付加する。いくつかの実施形態では、ロッド140はさらに、光ファイバ130の向きに対して非外傷性先端部134が前後に撓曲することを可能にする可撓性をセンサ117の遠位部分に付加する。ロッド140の直径を小さくすることによって、または大きくすることによって、ロッド140の可撓性、したがって非外傷性先端部134が撓曲しうる程度を大きくするか、または小さくすることができる。さらに、ロッド140を堅い材料からまたは可撓性の材料から製作することによって、ロッド140の可撓性を変更することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、
図2Aおよび3Aに例示されるように、光ファイバ130に挿入されたロッド140の近位端に反射面144が配置されている。反射面144は、光源から発射された基準光または励起光の少なくとも一部を反射することができる。ロッド140のもう一方の端は非外傷性先端部134に挿入されている。ある実施形態では、非外傷性先端部は、非反射材料、例えばポリエチレン(例えば黒色ポリエチレン)またはポリプロピレンから製作されている。ロッド140の直径に対応する領域内の光ファイバ130を通過した基準光または励起光は、ヒドロゲルが充填された空洞116に入ることなく反射面144で反射される。ヒドロゲル/化学指示薬系に入る光の量は、ロッドの直径/断面積を変更することによって、および/または選択された断面積を有するミラーもしくは他の反射部材190(
図5および6に例示されている)をロッドの近位端に取り付けることによって、制御することができる。ヒドロゲルが充填された空洞116は、少なくともグルコースを透過させる選択的透過性膜142によって覆われていることが好ましい。したがって、反射される基準光または励起光、および反射された光と発射された光との比は、ヒドロゲルが充填された空洞116の温度、pH、グルコース濃度および化学組成とは無関係である。しかしながら、反射された光と発射された光との比は、ロッドの直径およびロッドの直径とセンサの面積の比に依存する。ある実施形態では、ロッド140は、ヒドロゲル空洞116を通して伝送された任意の光が光ファイバ130へ反射されないように、ヒドロゲルが充填された空洞116を光ファイバ130に対してある向きに固定された状態にするのに充分に堅い。
【0045】
図3Bに関しては、
図3Aに図示したセンサ117の遠位領域の透視図が示されている。図示した実施形態では、光ファイバ130から、膜142で覆われたヒドロゲル空洞を経て、次第に細くなる非外傷性遠位先端部分134まで、センサの直径が不変であることが理解されるであろう。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図4に例示されるように、ハイポチューブ140に窓180が切られている。光ファイバ130の遠位端132を反射面144(例えば環状ミラー)上に挿入し、次いで、光ファイバ130が膨張してハイポチューブ140の反射面144と完全に接触するように加熱する。ある実施形態では、光ファイバ130の加熱はガラス管内で実施する。他の実施形態では、光ファイバ130の加熱をオーブン内で実施する。他の実施形態では、接着剤を使用して、光ファイバ130をハイポチューブ140に取り付ける。好ましい実施形態では、この接着剤が、例えばシアノアクリレート、エポキシ、光硬化性接着剤、シリコーン、ウレタンなどの生物適合性接着剤である。ある実施形態では、接着剤を塗布し、光ファイバ130をハイポチューブ140に取り付けた後に、室温で、もしくは加熱することによって、またはUV/可視光を照射することによって、接着剤を硬化させる。ある実施形態では、光ファイバ130をハイポチューブ140に付着させる時間は、約5秒〜約60秒、約15分〜約5時間、約60秒〜約10分、または最長約24時間と変動することができる。同様の方法を使用して、ハイポチューブ140を非外傷性先端134に取り付けることができる。上記の実施形態と同様に、基準光または励起光は、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116に開いた窓180に入ることなく反射面144で反射される。したがって、反射される基準光または励起光、および反射された光と発射された光との比は、温度、pH、グルコース濃度およびヒドロゲルの化学物質とは無関係である。反射面の表面積を変化させて、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116に入る励起光の量を制御することができる。ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116に入った光が光ファイバ130内へ反射されないように、ハイポチューブ140の遠位端136は、上記の実施形態と同様に、ポリエチレン製の黒色の栓など、非反射性の表面を有することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116を含む窓180が、選択的透過性膜(図示せず)によって覆われている。
【0047】
いくつかの実施形態では、
図5に例示されるように、グルコースセンサ117が、非外傷性先端134を光ファイバ130に接続するケージ195を外殻として含む。ケージ195は、センサ117の遠位部分に機械的な安定性を付加することができる。いくつかの実施形態では、ケージ195はまた、光ファイバ130の向きに対して非外傷性先端部134が前後に撓曲することを可能にする可撓性もセンサ117の遠位部分に付加する。ケージ195の壁の厚さを薄くするか、または厚くすることによって、ケージ195の可撓性、したがって非外傷性先端部134が撓曲しうる程度を大きくするか、または小さくすることができる。さらに、ケージ195を堅い材料からまたは可撓性の材料から製作することによって、ケージ195の可撓性を変更することができる。ある実施形態では、ケージ195の壁の厚さは約0.001インチ、約0.002インチまたは約0.004インチである。いくつかの実施形態では、ケージ195の壁の厚さは約0.001インチよりも薄い。いくつかの実施形態では、ケージ195の壁の厚さは約0.010インチよりも厚い。
【0048】
いくつかの実施形態では、光ファイバ130の直径はケージ195の内部の直径よりも小さく、これによって光ファイバ130はケージ195の内部に嵌ること、および空隙または空洞116と隣接することを可能にしている。例えば、光ファイバ130の直径は、約0.005インチ〜約0.020インチの間、約0.008インチ〜約0.014インチの間、または約0.010インチ〜約0.012インチの間とすることができる。ケージ195の内部の直径は約0.001インチ大きくすることができる。
【0049】
ある実施形態では、ケージ195は、少なくともグルコースなどの検体が空隙または空洞116内へ透過することを可能にする、選択的透過性膜142(図示せず)によって覆われた窓または開口180を有する。ある好ましい実施形態では、空隙または空洞116はヒドロゲル/化学指示薬系で充填されている。グルコースセンサ117内に、基準材料190を有するロッド140を配置することができる。上で論じたとおり、基準材料190は、光ファイバ130からの励起光を検出器(図示せず)へ反射するミラー、またはグルコースに感応しない基準信号を検出器(図示せず)へ発射するグルコースに感応しない蛍光染料とすることができる。ケージ195とロッド140の組合せは、空隙または空洞116に入った励起光が基準材料190に入った励起光から分離されたまま維持されるような充分に堅い構造を提供することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図6に例示されるように、グルコースセンサ117は、空隙または空洞116を取り囲むケージ195を持たない。その代わりに、
図2Aおよび3Aと同様に、ロッド140は、光ファイバ130と非外傷性先端134とを接続してグルコースセンサ117の構造を提供し、ロッド140は、空隙または空洞116によって取り囲まれており、そして空隙または空洞116は、選択的透過性膜142によって覆われている。
図3Aと同様に、光ファイバ130の直径は、ヒドロゲル/化学指示薬系が入れられた空洞116の直径と同じである。
図5に関する議論と同様に、ロッドは、上で論じたとおりに機能する、ロッド144の近位面に取り付けられた基準材料190を有することができる。
【0051】
図7〜11は、基準材料190に対する異なる構成を有するある実施形態を示す。上で論じたとおり、これらのそれぞれの実施形態における基準材料190は、励起光の少なくとも一部を検出器(図示せず)へ返す反射材料か、または発光信号を検出器(図示せず)へ返す別の染料指示薬系のいずれかを含むことができる。上記の実施形態と同様に、励起光または基準光は、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116に入ることなく反射面190で反射される。同様に、別の染料指示薬系から発射された光または基準光は、グルコース濃度とは無関係である。したがって、基準光、および基準光とグルコース濃度に応じて発射された光との比は、温度、pH、グルコース濃度およびヒドロゲルの化学物質とは無関係である。基準材料190の表面積、形状および構成を変更して、ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116に入る励起光の量を制御することができる。ヒドロゲル/化学指示薬系が充填された空洞116に入った光が光ファイバ130内へ反射されないように、上記の実施形態のロッドもしくはハイポチューブ140の遠位端136、または基準材料190は、ポリエチレン製の黒色の栓など、非反射性の表面を有することができる。
【0052】
図7では、基準材料190が、ケージ195の下の空隙または空洞116と隣接し、非外傷性先端134まで延在し、非外傷性先端134を含む。ある実施形態では、非外傷性先端134は、グルコース非感応性の赤色染料プラスチック材料から形成されている。
図8では、基準材料190は、ヒドロゲルが充填された空洞116の直径に沿って延在する反射ストリップである。本明細書では、用語:反射ストリップは、少なくともグルコースセンサ117の横断面を横切る細長い部材を指すために使用され、その部材の幾何形状、幅または厚さは問わない。反射ストリップ190は、ケージ195または光ファイバ130の横断面に関して、(図示のように)グルコースセンサ117の直径においてセンサの中心に配置してもよく、または中心からずらして配置してもよい。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ117内の1つまたは複数の位置に2つ以上の反射ストリップが配置される。2つ以上の反射ストリップを使用する場合には、グルコースセンサ117の横断面に関して反射ストリップを対称に配置してもよく、または非対称に配置してもよい。ある実施形態では、反射ストリップ190の幅は約0.001インチ〜約0.005インチの間、厚さが約0.001インチ〜約0.005インチの間であってよい。
【0053】
図9では、ヒドロゲルが充填された空洞116を含み、反射面または環状ミラーを近位面に有するハイポチューブ144として、基準材料190がケージ195内に配置されている。ある実施形態では、ハイポチューブ144の外径は光ファイバ130の外径に等しい。
図10では、
図8と同様に、基準材料190は反射ストリップであるが、
図10の反射ストリップは、光ファイバ130にあけられた穴の中に配置されており、ヒドロゲルが充填された空洞116と隣接していない。
図11は、基準材料190が空洞116内に位置し、ヒドロゲル/化学指示薬系と横並びに配置された実施形態を示す。
【0054】
ある実施形態では、
図12に例示するように、基準材料200は半透明の材料を含む。ある実施形態では、この半透明の材料は、上で論じたグルコースに感応しない蛍光染料などの赤色染料を含む。この赤色染料は、励起光の一部をヒドロゲルが充填された空洞116へ透過させることができ、ヒドロゲルが充填された空洞116に励起光が到達する前に励起光の一部を検出器(図示せず)へ反射することができ、グルコースに感応しない別の信号を検出器(図示せず)へ発射することができる。
【0055】
以上に記載した複数の実施形態、または以上に記載した実施形態の複数の構成要素を本発明の範囲内において組み合わせることができることを、当業者は容易に理解するであろう。例えば、グルコースセンサは、本発明の範囲内において、ケージ、ハイポチューブおよび/またはロッドなどの1つまたは複数の構造要素を含むことができる。さらに、グルコースセンサは、本発明の範囲内において、反射面として機能する、および/または別の染料指示薬系として機能する1つまたは複数の基準材料を、異なる位置に異なる構成で含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態(例えば
図2〜12参照)では、グルコースセンサ117は非外傷性先端部134を備える。非外傷性先端部134は、鋭い縁を実質的に持たない湾曲した遠位端138を有する。さらに、非外傷性先端部134は可撓性で変形可能とすることができる。非外傷性先端部134の遠位端138は、半球形、放物線形、楕円形、または患者に損傷を与える危険を低減する他の適当な形状の曲面とすることができる。非外傷性先端部134は、プラスチック、ポリマー、ゲル、金属、これらの材料の複合材料など、さまざまな材料から製作することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、グルコースセンサ117は、熱電対、またはサーミスタなどの温度センサまたは温度プローブ146を含む(例えば、
図2A参照)。温度センサ146は、ヒドロゲル/グルコース感知化学物質系の温度を測定することができ、および/または血管内に配置されたときに血液の温度を測定することができる。グルコース感知化学物質が温度の影響を受ける場合、温度センサ146は特に好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、フルオロフォア系が発する蛍光強度は、フルオロフォア系の温度に依存する。フルオロフォア系の温度を測定することによって、温度に起因するフルオロフォアの蛍光強度の変動を考慮することができ、このことは、グルコース濃度のより正確な決定を可能にする。
【0058】
ある実施形態では、温度センサは、(
図2の参照符号146に関して上で説明した)サーミスタ、白金抵抗温度装置(resistance temperature device)(「RTD」)、別種のRTD、熱電対、赤外線ベースの温度検出器、蛍光ベースの温度感知素子、または決定可能な温度依存特性を有する他の温度感知素子であってよい。
【0059】
サーミスタ、白金RTDおよび他のRTDなどの装置は一般に、センサの出力を温度信号に変換する受信ユニットにセンサの出力を伝達するため、電線などの1つまたは複数の導体を必要とする。この導体は、上で論じたような蛍光ベースのグルコースセンサの光ファイバと一緒に束ねることができ、または別々に配線することもできる。一実施形態では、温度センサは体内に置かれ、受信器は体外に置かれる。他の実施形態では、温度センサが体内に置かれ、送信器、信号処理装置なども体内に置かれ、この送信器、信号処理装置などは温度センサに接続されており、または温度センサの一部分である。好ましい実施形態では、温度感知素子は、グルコース感知部分に配置されているか、またはグルコース感知部分の近くに配置されている。
【0060】
別の実施形態では、蛍光ベースの温度感知技法を使用することができる。蛍光ベースの温度感知技法には蛍光の減衰に基づく技法が含まれ、この技法では例えば、フルオロフォアに励起光を提供し、励起光を停止し、蛍光を経時的にモニタし、蛍光の低減率をフルオロフォアの温度に関係づける。さまざまな技法にはさらに位相測定および位相角分析が含まれる。
【0061】
蛍光ベースの温度測定を実行する方法が記載されてきた。例えば、LumaSense Technologies,Inc.(米カリフォルニア州Santa Clara)の「Fluoroptic Temperature Monitoring」、http://www.lumasenseinc.com/technology/fluoroptic_thermometry.htmlを参照。蛍光ベースの温度測定において使用することができる蛍光物質は当業者に知られており、または当業者によって容易に識別される。
【0062】
いくつかの実施形態では、蛍光物質と血液成分の間の化学的相互作用を防ぐか、または阻害する材料によって、蛍光物質を取り囲むことができる。適当な材料には、ガラス(例えばホウケイ酸ガラス、石灰ソーダガラス、または光ファイバケーブルに対して使用されているものを含む他のタイプのガラス)、ポリマー(例えばTeflon、フルオロポリマー、シリコーン、ラテックス、ポリオレフィン、ポリイソプレン、ならびに他の剛性および非剛性ポリマー材料)、金属(例えば300系ステンレス鋼、400系ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、クロム鋼、ジルコニウムおよびジルコニウム合金、チタンおよびチタン合金、ならびに貴金属(exotic metal)および貴金属合金を含む他の耐食性金属および合金)、セラミック(例えば酸化アルミニウム、シリカおよび酸化物、ジルコニウム、カーバイドなどに関係したセラミック材料)、およびこれらの組合せなどがある。
【0063】
いくつかの実施形態では、グルコースセンサ内またはグルコースセンサの近くに温度センサを配置することができる。好ましい一実施形態では、グルコースセンサのグルコース感知化学指示薬系のできるだけ近くに(例えばグルコース感知化学指示薬系内に)温度センサが配置されるが、ある距離離れた位置を成功裏に利用することもでき、このような位置には、その位置で測定した温度が、グルコース感知部位(1つまたは複数)の温度を、温度測定を実施している対象に対して使用することが許容される誤差の範囲内で指示するような位置が含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、温度センサおよび/または温度センサへのリード線は、温度センサおよび/またはそのリード線と血液成分との間の化学的または物理的な相互作用を防ぐか、または阻害する材料で、種々の部分をコーティング、被覆、または包み込むことによって、生理的環境から分離することができる。防ぐことが好ましい化学的相互作用として、腐食、化学種の浸出、追加の信号(例えば光信号、電気信号など)の生成、および、製造時より、腐食により、または他の手段によって存在する如何に関わらず、センサまたはリード線内に存在する材料、例えば、患者によっては生理的反応を引き起こす、銅、銀、有機化合物、有機金属化合物などを含む化合物、金属、イオンなどの人体による吸収などが挙げられる。
【0065】
物理的相互作用として、破損および物理的分離(例えば断線および電位損失)、信号漏れ(例えば光信号、電気信号など)、信号劣化(抵抗、漂遊信号の検出、雑音、静電容量、電気化学的効果、誘導電圧、接地ループなどが含まれる)が挙げられ得る。適当な材料として、ガラス(例えばホウケイ酸ガラス、石灰ソーダガラス、および光ファイバの製造において使用されているものなどの他のタイプのガラス)、ポリマー(例えばTeflon、フルオロポリマー、シリコーン、ラテックス、ポリオレフィン、ポリイソプレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ならびに他の剛性および非剛性ポリマー材料)、金属(例えば300系ステンレス鋼、400系ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、クロム鋼、ジルコニウムおよびジルコニウム合金、チタンおよびチタン合金、ならびに貴金属および貴金属合金を含む他の耐食性金属および合金)、セラミック(例えば酸化アルミニウム、シリカおよび酸化物、ジルコニウム、カーバイドなどに関係したセラミック材料)、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0066】
分離材料を温度センサまたはリード線に塗布する好適な方法として、注型、塗装、浸漬、接着、反応、延伸、堆積、機械的付着、カプセル化などを含む適切な方法が挙げられ得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、グルコースセンサに組み込まれ得る温度センサの好適なサイズは、グルコースセンサが全体として約0.005インチ〜0.020インチの間になる温度感知素子を含む。
【0068】
図13は、基準信号との比較によってグルコース濃度を測定する他の実施形態を示す。この実施形態では、LED源1300が、隣接する2本の別個の光ファイバ1310、1320に沿って励起信号を送る。第1の光ファイバ、すなわちグルコースファイバ1310は、近位先端および遠位先端を有する。遠位先端はグルコース感知ヒドロゲル1330を有し、グルコース感知ヒドロゲル1330は、フルオロフォアまたは染料と、消光剤と、グルコース結合レセプタとを含む。第2の光ファイバ、すなわち基準ファイバ1320も、近位先端および遠位先端を有する。基準ファイバの遠位先端は、基準材料1340を有する。ある実施形態では、基準材料1340は、同じまたは異なるフルオロフォアもしくは染料を含み、消光剤を含んでも含まなくてもよいが、グルコースレセプタは含まない。他の実施形態では、基準材料1340は、全く同じグルコース感知ヒドロゲルを有するが、基準材料1340は、グルコースを透過しない膜の中に入れられている。これらの両方の実施形態では、基準ファイバ1320が、グルコース濃度に依存しない蛍光リターン信号を発する。
【0069】
励起光が、グルコースファイバ1310および基準ファイバ1320を通過した後、グルコース感知ヒドロゲル1330および基準材料1340は、レシオメトリック処理のため、2つの別個の検出器、すなわちグルコース信号検出器1350および基準信号検出器1360へと返る蛍光信号を発する。この2重ファイバ構成の利点は、両方のファイバ1310、1320が、同じ外圧、曲げ、温度および他の外部因子を経験することである。さらに、両方のファイバ1310、1320は、グルコース感知ヒドロゲル1330内および基準材料1340内に実質的に同じ材料を含む。その結果、検出器1350、1360によって測定された2本のファイバ1310と1320との間の強度の比が、較正されたグルコース信号を生成し、この較正されたグルコース信号はとりわけ、LED出力の変動または光ファイバに沿った変更された伝送の影響を除去し、それによってグルコース濃度測定における正確さを増大させる。
【0070】
図14を参照して、ある実施形態では、単一の光源401によって生成された光は、上述のとおりコリメータレンズ402、干渉フィルタ403および/または集束レンズ404を備える光モジュールを通して伝送される。その結果生じた光は、干渉フィルタ403を通してフィルタリングすることができる。その結果生じた光は、集束レンズ404によって光ファイバ405(単一のファイバでも、またはファイバ束でもよい)内へ集束させることができる。光ファイバ405および光ファイバ410がグルコースセンサ407の第1の端部に接続するとき、光ファイバ405は光ファイバ410を取り囲むことができる。ある実施形態では、グルコースセンサ407の第2の端部にミラーまたは反射面409が取り付けられている。光ファイバ410は単一のファイバでも、またはファイバ束でもよい。グルコースセンサはヒドロゲルを含むことができ、このヒドロゲルはさらに、2つの発光波長、すなわち第1の発光波長および第2の発光波長を生み出すフルオロフォア系を含む。ある実施形態では、このフルオロフォア系が、光源401によって生成された光によって励起される。ある実施形態では、光ファイバ410が、グルコース測定システム400内の光スペクトル全体を測定するマイクロスペクトロメータ(microspectrometer)411を備える光感応モジュールに接続されている。処理のために、マイクロスペクトロメータ411からのデータをコンピュータ412に伝送することができる。マイクロスペクトロメータ411は、システム400が、励起光の強度および両方の発光強度を同時に測定することを可能にすることができる。レシオメトリック計算を使用して、測定される発光の強度および測定される励起光の強度に影響を及ぼすグルコースに関係しない因子を実質的に排除し、または低減することができる(これについては米国特許出願公開第2008/0188725号明細書に詳細に述べられており、該文献への参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。測定された発光は測定された励起光で除することができるが、このような計算は、これらの光の強度に影響を及ぼすグルコースに関係しない因子を実質的に排除し、または低減する。
【0071】
好ましいある実施形態では、フルオロフォア染料は、識別可能な酸コンホメーションおよび塩基コンホメーションとして存在し、酸コンホメーションおよび塩基コンホメーションがそれぞれ異なる波長で発光し、酸形態と塩基形態の相対的な割合がpHに依存するように、フルオロフォア染料が選択される。酸発光の強度と塩基発光の強度の比を使用して、血液のpHを決定することができる(これについては米国特許出願公開第2008/0188722号明細書に詳細に述べられており、該文献への参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。酸発光または塩基発光の強度と励起光の強度の比を使用して、血中グルコース濃度を決定することができる。当然として、この単一励起源−2重発光フルオロフォア系に対する変形形態として、単一励起源−単一発光体を使用して、pHを同時にレシオメトリック決定せずに、グルコース濃度を検出することもできる。実際に、非常に多様な設計オプションが使用可能であり(例えば米国特許出願公開第2008/0188725号明細書および同第2008/0188722号明細書を参照)、化学指示薬系および光学システムは好ましい用途に基づいて選択することができる。
【0072】
<グルコース感知化学指示薬系>
ある実施形態では、ヒドロゲルが、複数のフルオロフォア系と結びついている。ある実施形態では、フルオロフォア系が、グルコースレセプタ部位を有する消光剤を含む。ある実施形態では、グルコースレセプタに結合するグルコースが存在しない場合、消光剤は、励起光によって染料が励起されたときにフルオロフォア系が光を発することを防ぐ。ある実施形態では、グルコースレセプタに結合するグルコースが存在する場合、消光剤は、励起光によって染料が励起されたときにフルオロフォア系が光を発することを可能にする。
【0073】
ある実施形態では、異なる励起波長(一方の励起波長がフルオロフォアの酸形態を励起し、もう一方の励起波長がフルオロフォアの塩基形態を励起する)が異なる発光信号を生成するような態様で、フルオロフォア系が生み出す発光は、溶液(例えば血液)のpH(および温度)によって変化する。好ましい実施形態では、フルオロフォアの塩基形態からの発光信号に対するフルオロフォアの酸形態からの発光信号の比が、血液のpHレベルに関係する。2つの励起光がフルオロフォアの一方の形態(酸形態または塩基形態)のみを励起していることを確実にするために、ある実施形態では干渉フィルタを使用する。レシオメトリック決定に基づいてpHとグルコースの両方を決定するための化学指示薬系、ハードウェア構成および方法が、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる同時係属の米国特許出願第11/671,880号明細書(米国特許出願公開第2008/0188722号として公開されている)および米国特許出願第12/027,158号明細書(米国特許出願公開第2008/0188725号として公開されている)に詳細に記載されている。
【0074】
指示薬系(本明細書ではフルオロフォア系とも呼ぶ)は、消光剤に機能可能に結合したフルオロフォアを含むことができる。ある実施形態では、フルオロフォア系はポリマーマトリックスを含み、このポリマーマトリックスは、ビオロゲンによる消光を受けやすいフルオロフォアと、グルコース濃度に応じた消光効率を有するビオロゲン消光剤と、グルコース透過性ポリマーとを含み、ただし、前記マトリックスはin vivoで血液と接触する。フルオロフォアは蛍光有機染料であり、消光剤はボロン酸官能基を有するビオロゲンであり、マトリックスはヒドロゲルであることが好ましい。
【0075】
「フルオロフォア(fluorophore)」は、特定の波長の光を照射したときにその波長よりも長い波長の光を発する(すなわち、蛍光を発する)物質を指す。フルオロフォアとして、限定はされないが、有機染料、有機金属化合物、金属キレート、蛍光共役ポリマー、量子ドットまたはナノ粒子、およびこれらの組合せが挙げられる。フルオロフォアは、ディスクリートな部分構造(discrete moiety)またはポリマーに結合した置換基であってもよい。
【0076】
好ましい実施形態において使用することができるフルオロフォアは、約400nm以上の波長の光によって励起することができ、励起波長と発光波長とを少なくとも10nm分離することができる充分な大きさのストークスシフトを有する。いくつかの実施形態では、励起波長と発光波長の間の分離は約30nm以上であってもよい。これらのフルオロフォアは、ビオロゲンなどの電子受容体分子による消光を受けやすく、光漂白(photo−bleaching)に対して抵抗性であることが好ましい。これらのフルオロフォアはさらに、光酸化、加水分解および生物分解に対して安定であることが好ましい。
【0077】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、ディスクリートな化合物である。
【0078】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、染料−ポリマーユニットを形成する、約10,000ダルトン以上の分子量を有する水溶性または水分散性ポリマー中のペンダント基または鎖状ユニットである。一実施形態では、このような染料−ポリマーユニットはさらに、水に不溶のポリマーマトリックスM
1と非共有結合性の結合を形成してもよく、ポリマーマトリックスM
1の中で物理的に固定化されており、ただし、M
1は、検体溶液に対し透過性であるか、または検体溶液と接触する。別の実施形態では、染料−ポリマーユニット上の染料が負に帯電しており、染料−ポリマーユニットが、陽イオン性の水溶性ポリマーとの錯体として固定化されていてもよく、ただし、前記錯体は、検体溶液に対し透過性であるか、または検体溶液と接触する。一実施形態では、染料が、ヒドロキシピレントリスルホン酸のポリマー誘導体のうちの1つであってよい。このポリマー染料は、水溶性、水膨潤性または水分散性であってよい。いくつかの実施形態では、ポリマー染料はさらに架橋されていてもよい。好ましい実施形態では、染料は負の電荷を有する。
【0079】
他の実施形態では、染料分子が、水に不溶のポリマーマトリックスM
1に共有結合しており、ただし、前記M
1は、検体溶液に対し透過性であるか、または検体溶液と接触する。M
1に結合した染料分子は、構造M
1−L
1−染料を形成することができる。L
1は、感知部分構造とポリマーまたはマトリックスとを共有結合によって接続する、加水分解に対して安定な共有結合性リンカーである。L
1の例として、1つまたは複数の2価の接続基によって任意選択で末端化または割り込まれてもよい低級アルキレン(例えばC
1〜C
8アルキレン)が挙げられ、この1つまたは複数の2価の接続基は、スルホンアミド(−SO
2NH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO
2−)、フェニレン−C
6H
4−、ウレタン−NH(C=O)−O−、尿素−NH(C=O)NH−、チオ尿素−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義する)など、またはこれらの組合せの中から選択される。一実施形態では、染料は、スルホンアミド官能基を介してポリマーマトリックスに結合されている。
【0080】
好ましい一実施形態では、フルオロフォアはHPTS−CysMA(構造は下記)である。参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,417,164号明細書を参照。
【0082】
当然として、いくつかの実施形態では、HPTSコア上のCys−MA以外の置換基も、それらの置換基が負に帯電しており重合性基を有する限りにおいて、本発明の諸態様と整合する。システインのLまたはD立体異性体を使用することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは2つのスルホン酸のみが置換されている。同様に、上記のHPTS−CysMAの変形形態として、正に帯電した金属、例えばNa
+を含む、NBu
4+以外の他の対イオンを使用することもできる。他の変形形態では、スルホン酸基が、例えばリン基、カルボキシル基などの官能基に置き換えられている。
【0083】
HPTSおよびHPTSの誘導体を含む蛍光染料は知られており、検体検出では多くの蛍光染料が使用されてきた。例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,653,141号明細書、同第6,627,177号明細書、同第5,512,246号明細書、同第5,137,833号明細書、同第6,800,451号明細書、同第6,794,195号明細書、同第6,804,544号明細書、同第6,002,954号明細書、同第6,319,540号明細書、同第6,766,183号明細書、同第5,503,770号明細書および同第5,763,238号明細書を参照。
【0084】
本発明の幅広い態様によれば、検体結合部分構造は、検体に結合することができ、結合する検体の量に関係した方式で(例えば、発光信号強度の変化として検出される)フルオロフォアの見かけの濃度を調節することができる少なくとも2官能基性を提供する。好ましい実施形態では、検体結合部分構造は消光剤と結びついている。「消光剤(quencher)」は、フルオロフォアが存在するときにフルオロフォアの発光を低減させる化合物を指す。消光剤(Q)は、ディスクリートな化合物、第2のディスクリートな化合物もしくは重合可能な化合物に転化可能な反応中間体から選択され、または、Qは、前記反応中間体または重合可能な化合物から調製されたポリマー中のペンダント基または鎖状ユニットであり、このポリマーは、水溶性もしくは分散性のポリマーまたは不溶性のポリマーであり、任意選択で前記ポリマーは架橋されてもよい。
【0085】
一例では、それらの実施形態においてグルコースを認識する部分構造は、芳香族ボロン酸である。このボロン酸は、共役窒素含有複素環式芳香族ビス−オニウム構造(例えばビオロゲン)に共有結合している。「ビオロゲン(viologen)」は一般に、2,2’−、3,3’−または4,4’−N,N’ビス−(ベンジル)ビピリジウム二ハロゲン化物(すなわち二塩化物、臭化物、塩化物)などの窒素を含有する共役窒素置換複素環式芳香族ビス−オニウム塩の基本構造を有する化合物を指す。ビオロゲンはまた、置換フェナントロリン化合物も含む。ボロン酸置換消光剤は、約4〜9の間のpKaを有し、pHが約6.8〜7.8の水性媒質中でグルコースと可逆的に反応して、ボロン酸エステルを形成することが好ましい。反応の程度は、媒質中のグルコース濃度に関係する。ボロン酸エステルの形成によって、ビオロゲンによるフルオロフォアの消光を低減させ、その結果、グルコース濃度に依存して蛍光が増大する。有用なビス−オニウム塩は検体溶液に対し相溶性を有し、検出対象の検体の存在下で染料の蛍光発光における検出可能な変化を生成することができる。
【0086】
本発明の実施形態のビス−オニウム塩は、共役複素環式芳香族二窒素化合物から調製される。この共役複素環式芳香族二窒素化合物は、ジピリジル、ジピリジルエチレン、ジピリジルフェニレン、フェナントロリンおよびジアザフルオレンの中から選択され、窒素原子は異なる芳香族環にあり、オニウム塩を形成することができる。本発明では、前記共役複素環式芳香族二窒素化合物の全ての異性体が有用であり、両方の窒素が置換されていてもよいことが理解される。一実施形態では、消光剤は、3,3’−ジピリジル、4,4’−ジピリジルおよび4,7−フェナントロリンから誘導されたビス−オニウム塩のうちの1つである。
【0087】
いくつかの実施形態では、ビオロゲン−ボロン酸付加物は、約400ダルトン以上の分子量を有するディスクリートな化合物であってよい。他の実施形態では、ビオロゲン−ボロン酸付加物はまた、約10,000ダルトン以上の分子量を有する水溶性または水分散性ポリマーのペンダント基または鎖状ユニットであってもよい。一実施形態では、消光剤−ポリマーユニットは、ポリマーマトリックスに非共有結合性の結合によって結びついてもよく、ポリマーマトリックスの中で物理的に固定化されている。さらに別の実施形態では、消光剤−ポリマーユニットは、負に帯電した水溶性ポリマーとの錯体として固定化されていてもよい。
【0088】
他の実施形態では、ビオロゲン−ボロン酸部分構造は、検体(例えばグルコース)を充分に透過させて平衡を確立することを可能にする架橋された親水性ポリマーまたはヒドロゲル中のペンダント基または鎖状ユニットであってもよい。
【0089】
他の実施形態では、消光剤は、水に不溶の第2のポリマーマトリックスM
2に共有結合してもよく、これは、構造M
2−L
2−Qによって表すことができる。L
2は、低級アルキレン(例えばC
1〜C
8アルキレン)、スルホンアミド、アミド、第4級アンモニウム、ピリジニウム、エステル、エーテル、スルフィド、スルホン、フェニレン、尿素、チオ尿素、ウレタン、アミンおよびこれらの組合せからなる群から選択されるリンカーである。いくつかの実施形態では、消光剤は1つまたは2つの部位においてM
2に結合している。
【0090】
ある実施形態では、少なくとも1種の消光剤前駆体を使用して、少なくとも1種のポリマーに消光部分構造を結合させる。例えば、芳香族基を使用して、ボロン酸基と反応性基の組合せを有するようにビオロゲンを官能基化することができる。ある実施形態では、この方法は、ビオロゲンのジピリジルコア内の2つのそれぞれの窒素に芳香族基を結合させるステップを含む。次いで、ビオロゲンのジピリジルコアの2つのそれぞれの窒素に結合した基が同じになるか、または異なり得るような態様で、それぞれの芳香族基に、少なくとも1つのボロン酸基、反応性基またはこれらの2つの基の組合せを結合させる。官能基化されたビオロゲン消光部分構造のある種の組合せは以下のように記載される:
a)第1の窒素に、ペンダント反応性基を有する第1の芳香族基が結合しており、第2の窒素に、少なくとも1つのペンダントボロン酸基を有する第2の芳香族基が結合しており、
b)第1の窒素に結合した第1の芳香族基に、1つまたは複数のボロン酸基が結合しており、第2の窒素に結合した第2の芳香族基に、1つのボロン酸基および反応性基が結合しており、
c)第1の窒素に結合した第1の芳香族基に、1つのボロン酸基および反応性基が結合しており、第2の窒素に結合した第2の芳香族基に、1つのボロン酸基および反応性基が結合しており、
d)2つのそれぞれの窒素に結合した芳香族基に、1つのボロン酸基が結合しており、中心に位置する複素芳香族基の複素芳香族環の炭素に、反応性基が結合している。
【0091】
好ましい実施形態では、2つのボロン酸部分構造と1つの重合可能基または結合基とが含まれ、ただし、該芳香族基は、窒素に結合したベンジル置換基であり、該ベンジル環に該ボロン酸基が結合しており、ボロン酸基はオルト、メタまたはパラ位に存在してよい。
【0092】
好ましい一実施形態では、(ヒドロゲルに組み込む前の)消光剤前駆体が3,3’−oBBV(構造は下記)である。参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,470,420号明細書を参照。
【0094】
消光剤前駆体3,3’−oBBVをHPTS−CysMAとともに使用して、本発明の好ましい態様に従うヒドロゲルを形成することができる。
【0095】
共に参照によってその全体が本明細書に組み込まれるGrayらの米国特許第5,176,882号明細書およびRussellの米国特許第5,137,833号明細書に開示されている指示薬化学物質などの他の指示薬化学物質もまた、本発明の実施形態に従って使用することもできる。いくつかの実施形態では、指示薬系は、フルオロフォアに機能可能に結合した検体結合タンパク質を含んでもよく、この指示薬系および検体結合タンパク質は例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,197,534号明細書、同第6,227,627号明細書、同第6,521,447号明細書、同第6,855,556号明細書、同第7,064,103号明細書、同第7,316,909号明細書、同第7,326,538号明細書、同第7,345,160号明細書および同第7,496,392号明細書、米国特許出願公開第2003/0232383号明細書、同第2005/0059097号明細書、同第2005/0282225号明細書、同第2009/0104714号明細書、同第2008/0311675号明細書、同第2008/0261255号明細書、同第2007/0136825号明細書、同第2007/0207498号明細書および同第2009/0048430号明細書、ならびに国際公開第2009/021052号、同第2009/036070号、同第2009/021026号、同第2009/021039号、同第2003/060464号および同第2008/072338号に開示されている指示薬系およびグルコース結合タンパク質などの指示薬系および検体結合タンパク質である。
【0096】
in vivo用途には、このセンサは、1種もしくは数種のポリヒドロキシル有機化合物を含む生理流体の移動流中で使用されるか、または前記化合物を含む筋肉などの組織にインプラントされる。したがって、感知部分構造がセンサアセンブリから一切漏出しないことが好ましい。したがって、in vivoで使用するためには、感知成分が有機ポリマー感知アセンブリの部分であることが好ましい。検体の通過は許すが、感知部分構造の通過は阻止する選択的透過性膜によって、可溶性染料および消光剤を閉じ込めることができる。これは、検体分子よりも実質的に大きい可溶性分子(検体の分子量の少なくとも2倍の分子量、または1000、好ましくは5000よりも大きな分子量)を感知部分構造として使用し、感知部分構造が定量的に保持されるような検体分子と感知部分構造との間の特定の遮断分子量を有する透析膜、限外濾過膜などの選択的半透膜を使用することによって実現することができる。
【0097】
感知部分構造は、グルコースが自由に透過することができる不溶性のポリマーマトリックスの中に固定化されていることが好ましい。ポリマーマトリックスは、有機ポリマーもしくは無機ポリマーまたはこれらのポリマーの組合せから構成される。マトリックスは生体適合材料からなることができる。あるいは、マトリックスは、対象の検体に対し透過性を有する第2の生物適合性ポリマーでコーティングされている。
【0098】
ポリマーマトリックスの機能は、フルオロフォア部分構造と消光剤部分構造とを共に保持し、それらを固定化する一方で、同時に、検体との接触および検体のボロン酸への結合を可能にすることである。この効果を達成するためには、マトリックスが媒質に不溶でなければならず、マトリックスと検体溶液との間の大表面積の界面を確立することによって、マトリックスは媒質と密接に関連していなければならない。例えば、超薄フィルムまたはマイクロ孔支持マトリックスが使用される。あるいは、検体溶液中でマトリックスは膨潤可能である。例えば、水性系に対してはヒドロゲルマトリックスが使用される。いくつかの例では、感知ポリマーを、例えば光導管(light conduit)の表面などの表面に結合させるか、またはマイクロ孔膜に含浸させる。2相間の平衡が確立できるように、全ての場合において、マトリックスは、結合部位への検体の輸送を妨害してはならない。当該技術分野において、超薄フィルム、マイクロ孔ポリマー、マイクロ孔ゾル−ゲルおよびヒドロゲルを調製する技法は確立されている。全ての有用なマトリックスは、検体透過性であると定義される。
【0099】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルポリマーが使用される。本明細書で使用される通り、用語:ヒドロゲルは、実質的に膨潤はするが、水には溶解しないポリマーを指す。このようなヒドロゲルは、可溶性または浸出性の画分を含まないという条件で、直鎖状、分枝状もしくは網目状ポリマー、または高分子電解質錯体とすることができる。ヒドロゲルの網目は一般に架橋ステップによって調製され、この架橋ステップは、水溶性ポリマー上で、膨潤はするが、水性媒質には溶解しないように実施される。あるいは、ヒドロゲルポリマーは、親水性の架橋モノマーの混合物を共重合させて、水中で膨潤可能な網目ポリマーを得ることによって調製される。このようなポリマーは、付加重合もしくは縮重合によって、または組み合わせた方法によって形成される。これらの場合には、網目形成モノマーと組み合わせたモノマー性誘導体を使用した共重合によって、ポリマーに感知部分構造が組み込まれる。あるいは、反応性部分構造は重合後反応を使用して、既に調製済みのマトリックスに結合される。前記感知部分構造は、ポリマー鎖中のユニットまたはポリマー鎖に結合したペンダント基である。
【0100】
また、本発明において有用なヒドロゲルは、染料と消光剤の両方が共有結合した単一の網目などのモノリシックポリマー(monolithic polymer)、または多成分ヒドロゲルである。多成分ヒドロゲルとして、相互侵入網目、高分子電解質錯体、および、水中で膨潤可能な複合体を得るための2種類以上のポリマーの他のさまざまなブレンド(ヒドロゲルマトリックス中の第2のポリマーと、交互マイクロ層アセンブリ(microlayer assembly)との分散体を含む)が挙げられる。
【0101】
モノリシックヒドロゲルは一般に、限定はされないが、HEMA、PEGMA、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミドなどを含む親水性モノマーの混合物のフリーラジカル共重合によって形成され;イオン性モノマーとして、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、スルホプロピルメタクリル酸ナトリウムなどが挙げられ;架橋剤として、エチレンジメタクリラート、PEGDMA、トリメチロールプロパントリアクリラートなどが挙げられる。モノマーの比率は、当技術分野において充分に確立された原理を使用して、透過性、膨潤指数およびゲル強度を含む網目特性が最適になるように選択される。一実施形態では、染料部分構造は、8−アセトキシピレン−1,3,6−N,N’,N”−トリス(メタクリルアミドプロピルスルホンアミド)などの染料分子のエチレン不飽和誘導体から誘導され、消光剤部分構造は、4−N−(ベンジル−3−ボロン酸)−4’−N’−(ベンジル−4−エテニル)−ジピリジニウム二ハロゲン化物(m−SBBV)などのエチレン不飽和ビオロゲンから誘導され、マトリックスは、HEMAおよびPEGDMAから形成される。染料の濃度は、発光強度が最適になるように選択される。消光剤と染料の比率は、測定可能な所望の信号を生成するのに充分な消光を提供するように調整される。
【0102】
いくつかの実施形態では、モノリシックヒドロゲルが縮重合によって形成される。例えば、アセトキシピレントリスルホニルクロリドを過剰のPEGジアミンと反応させて、未反応のPEGジアミンに溶解したトリス−(アミノPEG)付加物を得る。過剰のトリメソイルクロリドと酸アクセプタとの溶液を、4−N−(ベンジル−3−ボロン酸)−4’−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビピリジニウム二ハロゲン化物と反応させて、ビオロゲンの酸塩化物官能性エステルを得る。例えば一方の混合物の薄いフィルムを注型し、そのフィルムをもう一方の混合物に浸すことにより、これらの2種類の反応性混合物を互いに接触させ、反応させて、ヒドロゲルを形成する。
【0103】
他の実施形態では、本発明のセンサを製作するのに、1つの成分に染料が組み込まれ、別の成分に消光剤が組み込まれた多成分ヒドロゲルが好ましい。さらに、任意選択で、これらの系を分子インプリンティングして、成分間の相互作用を強化し、他の多ヒドロキシ検体よりも高いグルコースに対する選択性を提供する。この多成分系は、相互侵入高分子網目(IPN)または半相互侵入高分子網目(半IPN)であることが好ましい。
【0104】
IPNポリマーは一般に、逐次的な重合によって形成される。最初に、消光剤を含む網目を形成する。次いで、その網目を、染料モノマーを含むモノマーの混合物を用いて膨潤させ、第2の重合を実施してIPNヒドロゲルを得る。
【0105】
半IPNヒドロゲルは、消光剤モノマーを含むモノマーの混合物に、染料部分構造を含む可溶性ポリマーを溶解し、フルオロフォアと錯体を形成させることによって形成される。いくつかの実施形態では、多ヒドロキシル化合物が自由に透過することができる不溶性ポリマーマトリックスによって、感知部分構造が固定化されている。ヒドロゲル系に関する追加の詳細は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0028612号明細書および同第2006/0083688号明細書に開示されている。
【0106】
ポリマーマトリックスは、有機ポリマーもしくは無機ポリマーまたはこれらのポリマーの組合せからなる。マトリックスは生体適合材料からなることができる。あるいは、マトリックスは、対象の検体に対し透過性を有する第2の生物適合性ポリマーでコーティングされている。ポリマーマトリックスの機能は、フルオロフォア染料と消光剤部分構造とを共に保持し、それらを固定化する一方で、同時に、検体(例えばポリヒドロキシル化合物、H
+およびOH
−)との接触およびポリヒドロキシル化合物とボロン酸の結合を可能にすることである。したがって、マトリックスは媒質に不溶であり、マトリックスと検体溶液の間の大表面積の界面を確立することによって、マトリックスが媒質と密接に関連している。2相間の平衡を確立することができるように、マトリックスはさらに、結合部位への検体の輸送を妨害しない。一実施形態では、超薄フィルムまたはマイクロ孔支持マトリックスが使用される。別の実施形態では、水性系に対して、検体溶液中で膨潤可能なマトリックス(例えばヒドロゲルマトリックス)を使用することができる。いくつかの実施形態では、感知ポリマーを光導管の表面などの表面に結合させるか、またはマイクロ孔膜に含浸させる。当技術分野において、超薄フィルム、マイクロ孔ポリマー、マイクロ孔ゾル−ゲルおよびヒドロゲルを調製する技法は確立されている。
【0107】
好ましい一実施形態では、ボロン酸置換ビオロゲンは蛍光染料に共有結合している。この付加物は、重合可能な化合物またはポリマー中のユニットとすることができる。このような1つの付加物は例えば、最初に、一方の窒素にベンジル−3−ボロン酸基を結合させ、もう一方の窒素原子にアミノエチル基を結合させることにより、4,4’−ジピリジルから非対称のビオロゲンを形成することによって調製することができる。このビオロゲンを、順番に、最初に、モル比1:1の8−アセトキシ−ピレン−1,3,6−トリスルホニルクロリドを用いて縮合し、続いて過剰のPEGジアミンと反応させて、プリポリマー混合物を得る。両方のステップでは、酸アクセプタを含有させて、副生物の酸を捕捉する。ポリイソシアネートとの反応によってこのプリポリマー混合物を架橋させて、ヒドロゲルを得る。生成物を塩基で処理して、アセトキシブロック基を除去する。以降での使用する前に、脱イオン水を用いた徹底的な抽出によって、不完全な反応生成物および未反応の出発材料をヒドロゲルから浸出させる。この生成物は、本明細書で説明した感知成分として使用されたときにグルコースと反応する。
【0108】
あるいは、このような付加物は、エチレン不飽和のモノマー誘導体である。例えば、ジメチルビス−ブロモメチルベンゼンボロネートを過剰の4,4’−ジピリジルと反応させて、ビオロゲン付加物の半分を形成する。過剰のジピリジルを除去した後、この付加物をさらに過剰のブロモエチルアミンヒドロクロリドと反応させて、ビス−ビオロゲン付加物を形成する。酸アクセプタの存在下で8−アセトキシピレン−トリススルホニルクロリドとモル比1:1で反応させ、続いて過剰のアミノプロピルメタクリルアミドと反応させることによって、この付加物をピラニン染料に結合させる。最後に、残留アミノ基全てを、メタクリロールクロリドと反応させることができる。精製後、染料/ビオロゲンモノマーをHEMAおよびPEGDMAと共重合させて、ヒドロゲルを得ることができる。
【0109】
<溶液の実施例>
HPTS−CysMAの溶液(pH7.4のPBS中の1×10
−5M溶液)に、3,3’−oBBV(MeOH中の30mM溶液)を、量を増やしながら加え、加える毎に蛍光発光を測定した。
図15は、3,3’−oBBV(Q)を加えたときの発光の相対変化(Stern−Volmer曲線)を示し、この変化は、3,3’−oBBVによるHPTS−CysMAの消光を示している。蛍光計の設定は以下のとおりである:1%減衰、ex slit 8nm、em slit 12nm、486nm ex λ、537nm em λ。
【0110】
pH7.4のPBS中のグルコースのストック溶液(31250mg/dL)を用いて、HPTS−CysMA(1×10
−5M)および3,3’−oBBV(3×10
−3M)を滴定し、グルコースを加える毎に蛍光発光を測定した。グルコースの加えたときの相対変化を
図16に示す。
【0111】
<ヒドロゲルの実施例>
HPTS−CysMA(2mg)、3,3’−oBBV(15mg)、N,N’−ジメチルアクリルアミド(400mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(8mg)、HCl(1M溶液を10μL)およびVA−044(1mg)を水に溶解し、体積測定フラスコ中で1mLに希釈した。この溶液を、凍結脱気(3回)し、0.005”のポリイミドスペーサを含む型に注入し、55℃で、16時間、重合させた。得られたフィルムをpH7.4のリン酸緩衝液に入れ、このフィルムを、フローセル構成中で、グルコースの量を段階的に増やして(0、50、100、200、400mg/dL)試験した。グルコースを加えたときの蛍光の相対変化を
図17に示す。蛍光計の設定は以下のとおりである:ex slit 8nm、em slit 3.5nm、515nm カットオフフィルタ、486nm ex λ、532nm em λ。
【0112】
以上に、本発明を、ある実施形態および実施例に関して説明したが、当業者には、本明細書の開示から、他の実施形態は明白であろう。さらに、記載した実施形態は単に例示のために示したものであり、それらの実施形態が本発明の範囲を限定することは意図されていない。実際に、本明細書に記載した新規の方法およびシステムは、本発明の趣旨を逸脱しない他のさまざまな形態で実施することができる。したがって、本発明の開示を検討すれば、当業者には、他の組合せ、省略、置換えおよび変更が明白であろう。したがって、これらの例示的な実施形態または好ましい実施形態が本発明を限定することは意図されていない。添付の特許請求の範囲は例示的な請求項を提供し、それらの均等なものは、本発明の範囲および趣旨に含まれるであろう形態または変更を網羅することが意図されている。