特許第5767240号(P5767240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシーの特許一覧

特許5767240コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法
<>
  • 特許5767240-コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法 図000002
  • 特許5767240-コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法 図000003
  • 特許5767240-コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法 図000004
  • 特許5767240-コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法 図000005
  • 特許5767240-コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法 図000006
  • 特許5767240-コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767240
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】コネクタクリップ及びコネクタクリップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/14 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   E04B5/55 J
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-542125(P2012-542125)
(86)(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公表番号】特表2013-513043(P2013-513043A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】US2010058266
(87)【国際公開番号】WO2011071714
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年11月27日
(31)【優先権主張番号】12/631,892
(32)【優先日】2009年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ジェイ・ルヘイン・ジュニア
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−118355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/06 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り天井のグリッドランナの端部を接合するためのコネクタクリップであって、前記コネクタクリップが同一のコネクタクリップと結合するように構成され、前記コネクタクリップはシートメタル材料から打ち抜かれかつ前端と後端とを有し、また前記コネクタクリップは横方向突出部と前記前端の背後の突出部ロック領域とを有しており、前記同一のコネクタクリップが前記コネクタクリップの反対方向に向けられかつ重ね合せ接合の形態で前記コネクタクリップに横方向に重なり合うようにされるときに、前記コネクタクリップの前記突出部が前記同一のコネクタクリップのロック領域にロックされ、その逆に、前記同一のコネクタクリップの前記突出部が前記コネクタクリップの前記ロック領域にロックされるように、前記コネクタクリップが配置され、前記突出部および前記突出部ロック領域の少なくとも一方が、前記コネクタクリップの前記前端から離れる方向を向いている剪断エッジを含む境界を有し、前記コネクタクリップが打ち抜かれる前記シートの厚さの10%よりも実質的に大きなパンチとダイとの間のクリアランスを有するパンチによって剪断される結果、前記剪断エッジが前記コネクタクリップの隣接領域の平面と鋭角をなす、コネクタクリップ。
【請求項2】
前記突出部および前記突出部ロック領域の両方が、10%よりも実質的に大きなパンチとダイとの間のクリアランスによって形成された剪断エッジを有する、請求項1に記載のコネクタクリップ。
【請求項3】
前記パンチとダイとの間のクリアランスが、前記コネクタクリップが打ち抜かれる前記シートの厚さの約25%である、請求項1に記載のコネクタクリップ。
【請求項4】
シートメタル材料から金属コネクタクリップを打ち抜くことを含む、吊り天井用のグリッドランナの端部を接合するための前記金属コネクタクリップを製造する方法であって、前記打ち抜き工程が、後方に面する突出部ロックエッジ面と、後方に面する突出部エッジ面とを形成するステップを含み、前記コネクタクリップが重なった状態にあるときに、同一のコネクタクリップの前記突出部エッジ面が前記コネクタクリップの前記突出部ロックエッジ面に係合し、かつ前記コネクタクリップの前記突出部エッジが前記同一のコネクタクリップの前記突出部ロックエッジ面に係合するように、前記コネクタクリップが前記同一のコネクタクリップと噛合するように配置され、前記コネクタクリップの前記エッジの少なくとも一方が、前記コネクタクリップを製造するために使用されるシート材料の厚さの10%よりも実質的に大きなクリアランスを有するパンチとダイによって剪断されるコネクタクリップの製造方法。
【請求項5】
前記突出部ロックエッジ面および前記突出部エッジ面の両方が、前記コネクタクリップを製造するために使用される前記シート材料の前記厚さの10%よりも実質的に大きなクリアランスを有するパンチとダイによって剪断される、請求項4に記載のコネクタクリップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り天井グリッド構造の改良に関し、特に、天井グリッド部材用のコネクタクリップの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
吊り天井グリッド部材またはランナは、典型的に、比較的長いメインランナとより短いクロスランナとを備える。両方のタイプのグリッドランナは、それらの端部を同様の部材の端部に接合して、個々のメインランナまたはクロスランナの長さよりも大きなサイズの天井拡張部を構成するためのコネクタを有する。当業界が発展させてきたようなこれらの端部コネクタは、典型的に、グリッドランナ自体に永続的に取り付けられる別個のクリップ要素である。端部コネクタまたはクリップは、一方のコネクタが端側で押し込まれて、対向する端部コネクタと重ね合せ接合されるときに端部コネクタまたはクリップが同一のユニットと結合することを可能にする特徴部によって形成された通常は鋼の金属打ち抜き部である。クリップの設計に応じて、クリップは、金属打ち抜き部に直接当接し得るか、または金属打ち抜き部の間に配置されたランナウェブ領域を有し得る。一般に、接続を確立するコネクタ内に打ち抜かれるか、さもなければ形成される特徴部は、横方向突出部および穴のエッジである。一方のコネクタの突出部は、対向するコネクタの穴に受容され、その逆に、対向するコネクタの突出部は一方のコネクタの穴に受容される。この結果、2つのロックによる接合部が形成される。実際には、接続部は、設計または通常予想される接合部の能力を実質的に下回る力レベルの張力下で不具合になる可能性がある。このことは、接合したコネクタが側方に滑って、1つのロック係合部を切り離し、この結果、接合部の荷重能力の著しい低下をもたらすときに起きることがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、改良されたクリップ同士のロック作用を有する吊り天井グリッドランナ用の端部コネクタクリップを提供する。本発明によれば、改良されたロック機能は、従来の実施から得られるよりも適切に大きな角度でクリップ本体の平面に対してロック面を向けることによって達成される。本発明のロック面を形成する好ましい方法は、ロック面を生成するパンチとダイ要素との間のクリアランスを増大させることである。この技術により、ロック面の向きが形成され、これによって、さもなければ保持力の主な損失を生じることがある一対の結合クリップの噛合ロック面を横方向に分離する傾向を有する力が使用時に相殺されることが分かっている。理想的には、本発明の技術は、クリップのロック突出部および突出部受容領域の両方に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】天井パネルを吊り下げるための従来の逆T字形のグリッド部材の部分図である。
図1A】グリッド部材の端部コネクタまたはクリップのロック面の拡大部分斜視図である。
図2】グリッドティーのクリップおよび端部部分の側面立面図である。
図3A】クリップのロック領域の概略図である。
図3B】クリップのロック面を製造するために本発明に従って使用される図3Aを垂直に位置合わせしたツーリングの概略図である。
図3C】クリップの主本体の平面に対して横方向の長手方向平面の接合したクリップの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
次に、図面、特に図1を参照すると、ティー10、11の形態の一般に従来の吊り天井グリッドランナの部分が示されている。メインティー10は、垂直に向けられたスロット12を有し、多くの内の1つは中央ウェブ13のその長さに沿って規則的に離間した間隔にある。反対側のクロスティー11の端部部分はメインティーのスロットと一致して位置決めされる。ティー10、11は、通常のように軽量のシートメタル材料から圧延成形されることが好ましい。メインティー10は、10または12フィートあるいはメートル法換算値の典型的な長さを有することができ、クロスティー11は、4フィート、2フィート、および1フィート、またはメートル法換算値の長さを有することができる。クロスティー11は、コネクタに設けられた穴を通してティーのシートメタル材料の部分をステーキングすること等によってクロスティー11の端部に固定された同一の端部コネクタまたはクリップ14を有する。
【0006】
図示したコネクタ14は、米国特許第5,517,796号明細書および米国特許第5,761,868号明細書に開示されている一般的なタイプであり、これらの開示は参照により本明細書に援用される。典型的に、コネクタ14は、ティー10、11の鋼シート材料よりも強くかつ硬い鋼シート材料から打ち抜かれる。番号16はコネクタ14の前端を示している。
【0007】
2つのコネクタ14がメインティー10の反対側から共通のスロット12内に位置決めされるとき、2つのコネクタ14は、ダブルコネクタ同士のロックを確立することによって、2つのコネクタ14のそれぞれのクロスティー11の接合部を形成する。一対の接合したコネクタ14の間の関係は握手と同様である。より具体的には、クリップ14は接合されるときに互いに重なり、好ましくは直接当接する。一方のクリップ14のロック領域17がスナップするか、さもなければ、他方のクリップ14の本体に打ち込まれた対向する2つの突出部18、19の前方の突出部の後方に受容されるときに、クリップ14が共にロックされる。この同一の作用は、他方のクリップの対応するロック領域17が一方のクリップ14の前方の突出部18の後方に受容される箇所で生じる。両方の組のロック領域17および突出部18が係合された状態で、ダブルロッククリップ接続が確立される。ロック領域17および突出部18の相互係合は、関連のクロスティー11を分離する傾向があるクロスティー11に対する引張荷重に耐えるように機能し、適切な条件下で、比較的高い力を支持することができる。
【0008】
経験によれば、一組のロック領域17および突出部18の一方が横方向に、すなわちクリップ14の平面に対して直角に滑る場合、一対のクリップ14の間の接合部が比較的低い力で分離することが明らかである。これにより、ロック領域17と突出部18との間に1つのみのロックセットを残すことができる。
【0009】
このような側方の滑りは、特に、クリップ材料の種類、クリップ製造工程、理想的なクリップ形状からの偏差、設置技術、および接合したクリップに加えられる偏心力またはこれらの要因の組み合わせから生じ得る。
【0010】
ロック領域17と突出部18との間の横方向運動によって設定されるロックの故障は、ロック領域17および突出部18の21、22で示したそれぞれの接触エッジの向きに関係する。これらのエッジ面21、22が、クリップ本体の平面に対して直角または鈍角である平面により近接していると、それだけエッジ面21、22が横方向に分離する危険性が大きくなる。このような向きを有するロック面は、クリップ14を横方向に分離する傾向がある力に対して抵抗性をほとんど持たずまたは全く持たず、角度がある程度鈍角である場合、ティーの間の引張力に反応してロック面によって反応力が発生され、これにより、クリップが横方向に跳ねて接触しなくなることを実際に引き起こす可能性がある。従来の実施により製造された場合の突出部18に対応する突出部のロックエッジ面は、クリップの平面に対して鈍角をとりやすい。このエッジ面が、本来、クリップを形成する元のシート材料の平面に穴を打ち抜くことによって形成される場合、このエッジ面は僅かに鋭角であることができ、すなわち90度未満である。しかし、突出部が、その後、クリップ本体の主要部の平面から形成される場合、エッジ面を鈍角の向きに引き込むことができる。
【0011】
図3A図3Bは、本発明の態様を示している互いに垂直に展開した図面である。図3Aでは、ロック領域17の後部は、ロック領域のエッジ面21によって境界付けられている。同様に図3Aには、最終的な突出部18および関連のロックエッジ22が示されている。
【0012】
図3Bに示したように、ダイセクション28、29と協働するパンチ要素26、27は穴31、32をそれぞれ形成する。穴31の前方エッジまたは境界はロック領域のエッジ21であり、蝶ネクタイ状の穴32の後方エッジは突出ロックエッジ22を形成する。
【0013】
図3Cには、一対の噛合クリップ14の前端が概略的に示されている。図3A図3Bの画像は図3Cの左側のクリップ14に対応する。
【0014】
図3Bは、ロックエッジ21、22に対応する位置におけるパンチ26、27とダイ開口部33、34との間の高度のクリアランスを拡大スケールで示している。金属打ち抜き業界の原則として、パンチは穴よりも僅かに小さいか、あるいはダイまたはダイが協働する切断エッジから離間している。典型的に、穴の側面におけるパンチとダイとの間のクリアランスは、穿孔される材料の厚さの約8%〜10%である。パンチおよびダイによって金属シートにパンチされた穴は、一般に、パンチ側において、パンチに等しい直径または穴サイズを有し、またダイ穴側において、ダイ穴の直径またはサイズに等しい直径または穴サイズを有する。このことは、パンチされた穴が丸い場合にシート材料の厚さにわたって実際に僅かに先細りにされ、すなわち円錐状であるか、あるいは穴が異なる構造を有する場合に、穴の壁部は、パンチのサイズからダイ穴またはダイエッジのサイズに先細りにされることを意味する。
【0015】
従来の実施からかなり逸脱して、パンチ要素26、27とダイ開口部33と34との間のクリアランスを増大させることによって、ロックエッジ21、22の傾斜度を有利に増大させることができることが確認されている。例えば、パンチ要素26と27と、ロックエッジ21、22に対応するそれらのそれぞれのダイ開口部33、34との間のクリアランスは、コネクタまたはクリップ14を形成するために使用されるシートメタルの厚さの約25%であることができる。図示したクリップ14は、0.015/0.017インチの高張力鋼(160KSI)、応力緩和されたかまたはタイプ301/302のステンレス鋼、半硬質から形成することができる。図3Bは、パンチまたは剪断されたロックエッジ21、22が、右側のクリップ14Rによって係合されるクリップの側面に対して鋭角をなす平面にあることを示している。これらのエッジ面角度はクリップ14の仕上げ形状に保持される。クリップ本体の主平面から上方に打ち抜かれる突出ロック面22の場合、傾斜度、すなわちクリップ本体に対する直角度からの偏差を幾分減少させ得るが、依然として顕著である。
【0016】
図3Cは、一方のクリップのロックまたは受容領域17のロックエッジ21の角度および他方のクリップの突出ロックエッジ22の角度が相補的であることを示している。さらに、張力がクリップに接続された一対のティー11に存在するときに、これらの表面21、22の角度により、クリップ14を共に付勢する力成分が生じる。その結果、鋭く曲がったロックエッジ21、22を有するクリップ14は接続の信頼性を著しく向上させる。クリップ14は、一方のロック領域における分離、その場合の低下した張力レベルにおける不具合に対しそれほど影響を受けない。
【0017】
当業者は、例えば米国特許出願公開2006/0260246号明細書および米国特許第6,523,313号明細書に示されているようなメインティーのクリップに対する本発明の適用性を認識するであろう。米国特許第6,523,313号に示されているクリップでは、ティーウェブの材料はロックの領域に間挿されるが、それにもかかわらず、本発明は、グリッドランナ材料によって分離される間にコネクタが互いに重ねられ、ロックエッジが、本明細書に記載されているのと同一の機能を果たすこのような構造に適用される。
【0018】
本開示が一例であること、および本開示に含まれる教示の正当な範囲から逸脱することなく、細部を付加、修正または省略することによって様々な変更をなし得ることが明白である。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲が必要に応じて限定される場合を除いて、本開示の特定の細部に限定されない。
図1
図1A
図2
図3A
図3B
図3C