特許第5767244号(P5767244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブ ソシエテ アノニムの特許一覧

特許5767244調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具
<>
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000002
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000003
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000004
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000005
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000006
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000007
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000008
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000009
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000010
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000011
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000012
  • 特許5767244-調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767244
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】調理器具用のシールおよびそのようなシールを備える調理器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   A47J27/08 B
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-545390(P2012-545390)
(86)(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公表番号】特表2013-515530(P2013-515530A)
(43)【公表日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】FR2010052856
(87)【国際公開番号】WO2011077036
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】0959553
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック シャムロワ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ピエール カルティニー
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−077618(JP,U)
【文献】 特表2009−530003(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/128778(WO,A1)
【文献】 特表2002−522140(JP,A)
【文献】 実開昭58−029020(JP,U)
【文献】 実開昭52−017155(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された調理器具用のシーリングガスケット(1)であって、
前記器具は、蓋(3)が装着されるように設計されている容器(2)と、前記器具が動作中の場合、該器具を密封するための前記容器(2)と前記蓋(3)との間に介在されるシーリングガスケット(1)と、前記ガスケット(1)を前記容器(2)および前記蓋(3)に対して心出しするように設計された心出し手段(5、5A)とを含み、
前記シーリングガスケット(1)は、外縁輪(4)と、前記外縁輪(4)の下に延在し前記外縁輪(4)を延長する外周下輪(4A)と、心出し用当接を形成するように前記蓋(3)が、前記容器(2)に配置される間、前記心出し手段(5)が前記蓋(3)と前記容器(2)との間に介在可能となるように、前記ガスケット(1)内に設けられ配設される前記心出し手段(5、5A)と、を含み、
前記心出し手段が、複数の局所的な厚肉領域(5A)によって形成され、前記局所的な厚肉領域(5A)が、前記外周下輪(4A)の内面(4B)上に位置付けられ、前記容器(2)と接触するように設計されることを特徴とするシーリングガスケット(1)。
【請求項2】
前記局所的な厚肉部(5A)が、円柱状のドーム形によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のガスケット(1)。
【請求項3】
前記心出し手段(5)が、前記外縁輪(4)と一体形成されるか、または、前記外縁輪(4)に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスケット(1)。
【請求項4】
前記シーリングガスケット(1)は、前記外縁輪(4)から延在するロアリップ(20)を備え、前記蓋(3)が配置される間、該ロアリップが、前記容器のリム(12)に対して密封される方法で耐えるように設計されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のガスケット(1)。
【請求項5】
前記ロアリップ(20)が、少なくとも第1の部分(21)と、前記第1の部分から延在する少なくとも第2の部分(22)とを有し、前記2つの部分(21、22)が互いに対して傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のガスケット(1)。
【請求項6】
前記第1の部分(21)が、前記外縁輪(4)から前記蓋(3)の中心に向かって実質的に水平に延在し、垂線に対してある角度αで、例えば、0度から60度までの範囲のある角度で前記容器(2)の下部に向かって傾斜している前記第2の部分(22)に延長されることを特徴とする請求項5に記載のガスケット(1)。
【請求項7】
前記ロアリップ(20)が、前記ロアリップの末端(20C)から前記ロアリップ(20)の層の中に設けられた複数の切欠き(20A)を備え、複数の凹所(10A)が、その全高にわたって前記ガスケットの外周に設けられることを特徴とする請求項4乃至請求項6のうちのいずれかに記載のガスケット(1)。
【請求項8】
前記シーリングガスケット(1)が、前記外縁輪(4)から延在するアッパリップ(25)をさらに含み、アッパリップが、前記蓋(3)に当接し密封されるように設計されることを特徴とする請求項2乃至請求項7のうちのいずれかに記載のガスケット(1)。
【請求項9】
前記アッパリップ(25)が、その表面にわたって、リブまたは溝形式の実質的に半径方向の複数個の形状を備え、それらが、互いに離間し、前記蓋(3)と接触した前記アッパリップ(25)の上面に隙間を形成することを特徴とする請求項8に記載のガスケット(1)。
【請求項10】
前記アッパリップ(25)が、前記アッパリップ(25)と前記蓋(3)との間の密封を容易にするための例えば、O型リングの円環体を形成する突出部(28)を端部に有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のガスケット(1)。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のうちのいずれかに記載のシーリングガスケット(1)を備えるか、または備えるのに適している加圧された調理器具。
【請求項12】
前記器具が蒸気調理器または圧力鍋であることを特徴とする請求項11に記載の加圧された調理器具。
【請求項13】
加圧された調理器具用のV字形のリップガスケットであって、
前記ガスケットが、外縁輪(4)と、前記ガスケット(1)を器(2)および、前記調理器具の(3)に対して心出しするように設計された心出し手段(5、5A)とを含み、
前記ガスケットは、該ガスケットが、前記外縁輪(4)の下方に延在し前記外縁輪を延長する外周下輪(4A)を含み、
前記心出し手段(5A)が、前記外周下輪(4A)の内面(4B)上に位置付けられ、心出用当接を形成するように前記容器と接触するように設計された複数の局所的な厚肉領域(5A)によって形成されることを特徴とするV字形のリップガスケット。
【請求項14】
前記局所的な厚肉部(5A)が、円柱状のドーム形によって形成されることを特徴とする請求項13に記載のガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲が蒸気で満たされた状態で圧力下で調理するための加圧された調理器具における例えば「蒸気調理器」や「圧力鍋」として知られた器具の技術分野全般に関し、さらに詳細には、動作時に器具の内側と外側との間を密封するように、それらの器具に配置されるように設計されたシーリングガスケットに関する。
【0002】
このように、本発明は、圧力下で調理するための器具(以下、加圧された調理器具)用のシーリングガスケットであって、前記器具が、蓋がその上に装着されるように設計されている容器と、器具を密封するための容器と蓋との間に介在されるシーリングガスケットと、ガスケットを容器および蓋に対して心出しするように設計された心出し手段とを備えるシーリングガスケットに関する。本発明は、さらに、本発明のシーリングガスケットを備えるか、または備えるのに適した加圧された調理器具にも関する。本発明は、さらに、加圧された調理器具用のV字形のリップガスケットであって、動作時に調理器具の前記蓋と容器との間を密封するように調理器具の蓋に装着されるように設計されており、外縁輪をさらに含むガスケットにも関する。
【背景技術】
【0003】
問題の器具の種類にかかわらず、非限定的に、ロック用のバーを有する圧力鍋にも、差込み取付け具を有する圧力鍋にも、ジョーを有する圧力鍋にも、内部に装着する蓋を有する圧力鍋にも、シーリングガスケット、例えばエラストマー材から作製されたシーリングガスケットを加圧された調理器具を密封するのに使用できることが既に知られている。
【0004】
そのようなガスケットは、通常、蓋を器具の容器上に配置する間に容器に位置し、器具に圧力を加えている間と調理サイクル全体を通じて調理用の密閉容器の内側と外側との間の密封をもたらすように、適切な手段によって蓋に配置される。
【0005】
このように、例えば、ロック用のバーを有する圧力鍋に使用される「ロープシール」タイプのガスケットが知られている。「リップシール」タイプのガスケットも知られており、この種類のガスケットは、断面が概してチャネル状であり、器具の内側のリップの位置によって本質的に異なる。このように、第1の種類のリップシールガスケットが存在する。そのリップシールガスケットは、任意選択で対称形のリップを有し、それらのリップは、概して互いに平行であり、ガスケットが蓋に配置される間に蓋の水平面に配設される。第2の種類のリップシールガスケットも知られており、そのリップシールガスケットは、任意選択で対称形のリップを有し、それにより、ガスケットを蓋に配置するとそのリップが実質的に垂直にかつ概して互いに平行に配置される。
【0006】
いずれにせよ、蓋を容器上に配置するとき、器具を密封すると共に器具を加圧可能かつ動作可能にするために、ガスケットの1つまたは複数のリップが圧力下に置かれる。
【0007】
全体としては満足いくものではあるが、こうしたガスケットにはある欠点がある。したがって、圧力鍋の良好な動作、さらに実際に安全な動作、具体的には加圧するときの動作が、ガスケットが正確かつ適切に配置されていることに左右されるにもかかわらず、ガスケットの配置は難しいことが多い。ガスケットを不適切に配置したせいで、蓋と容器との間のシーリングに不具合が生じて、漏出が起こり、器具内で不完全な圧力上昇が起こるか、あるいは器具から流体が噴出してしまうことは珍しいことではない。
【0008】
さらに、蓋への正確なガスケットの配置が難しいことに加えて、既知のシステムには、他に、容器上に蓋を心出しするためのシステムを設ける必要があることから生じる欠点がある。
【0009】
心出しシステムは、容器上に蓋を十分に正確に心出ししながら、ガスケットが容器と蓋との間の正確かつ予め設定した位置を取ることを可能にして、ガスケットがそのために設計された様々なシーリング機能をガスケットが十分に実行できるようにするために必要である。
【0010】
実際には、蓋上にガスケットを配置するのを助けるシステムおよび容器上に蓋を心出しするのを助けるシステムにより、ガスケットの配置が妨害され、結局、複雑で高価な製造手段を実装することが必要になると確認されている。リップシールガスケットを水平に配置する際には、ガスケットを配置し容器上に蓋を心出しするのを容易にするために、通常、蓋の縁部にある打ち抜き部分または貫通孔が使用され、それらの打ち抜き部分または孔も当接要素および基準マーク要素として働く。
【0011】
それらの要素は、ガスケットの配置を防止し、使用者による配置の誤りを誘発する恐れすらある。最後には、適切な工具、適切な生産ライン編成、および部品のチェックのための特殊なプロセスが必要になる。リップシールガスケットを垂直に配置する際には、例えば、蓋の内側の縁部を丸めてロール状のリムを形成するが、これにより、蓋の製造が複雑になり、特殊な技術が必要になる。要約すると、現在利用可能な技術的解決策は、十分に満足いくものではなく、改善が必要である。
【発明の概要】
【0012】
したがって、本発明に割り当てられた目的は、上記で言及した様々な欠点に対処することと、器具の容器に対して蓋を心出しすることが可能でありながらも配置が特に単純であり特に効率的な加圧された調理器具用の新規のシーリングガスケットを提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、特に単純で安価な手段によって改善されたシーリングを得る加圧された調理器具用の新規のシーリングガスケットを提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、低減された力でシーリングを得る加圧された調理器具用の新規のシーリングガスケットを提案することである。
【0015】
本発明に割り当てられた別の目的は、安全性を、具体的には、不適切に使用した際の過剰圧力の安全性を改善可能にする調理器具用の新規のシーリングガスケットを提案することである。
【0016】
本発明に割り当てられた別の目的は、加圧された調理器具用のシーリングガスケットであって、前記器具が、蓋がその上に装着されるように設計されている容器と、器具を密封し器具を動作可能にするための、容器と蓋との間に介在されるシーリングガスケットと、ガスケットを容器および蓋に対して心出しするように設計された心出し手段と
を備え、前記シーリングガスケット(1)は、そのシーリングガスケット(1)が、外縁輪と、その外縁輪の下で延在しその外縁輪を延長する外周下輪とを備え、心出し手段が、心出しして当接させるように蓋を容器上に配置しながら前記心出し手段を蓋と容器との間に挿入できるようにしてガスケットに設置または配設され、前記心出し手段が、複数の局所的厚肉領域によって形成され、前記外周下輪の内面上に位置し、容器と接触するように設計されることを特徴とする、シーリングガスケットによって達成される。
【0017】
本発明に割り当てられた目的は、やはり、加圧された調理器具用のV字形のリップガスケットであって、そのガスケットが、外縁輪と、ガスケットを容器および調理器具の蓋に対して心出しするように設計された心出し手段とを含み、前記ガスケットは、そのガスケットが、外縁輪の下で延在しその外縁輪を延長する外周下輪を含むことと、心出し手段が、前記外周下輪内面上に位置し心出しして当接させるように容器と接触するように設計された複数の局所的厚肉領域によって形成されることを特徴とするによってリップガスケットによって達成される。
【0018】
単なる非限定的な例示によって与えられた添付の図面を参照すると、本発明の他の目的および利点が以下の説明からより詳細に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】シーリングガスケットの好ましい実施例の斜視図である。
図2図1から取ったシーリングガスケットの実施例の一部の詳細な斜視図である。
図3】シーリングガスケットの対応する断面を示す図1のIII−III線に沿った断面図である。
図4】シーリングガスケットの対応する断面を示す図1のIV−IV線に沿った断面図である。
図5】圧力鍋の蓋の内側に装着されたガスケットの好ましい実施例の一部の断面図である。
図6】加圧された調理器具内のガスケットの配置を示す本発明の好ましい実施例の一部の断面図である。
図7】加圧された調理器具内で異常な位置にあるガスケットの動作を示す部分断面図である。
図8】加圧された調理器具内で異常な位置にあるガスケットの動作を示す部分断面図である。
図9】本発明のシーリングガスケットの実施例を上から見て示す斜視図である。
図10】本発明のシーリングガスケットの実施例を下から見て示す斜視図である。
図11図9および図10に示すガスケットと同一の本発明のガスケットの位置を示す部分断面図である。
図12】加圧された調理器具内で異常な誤った上昇途上位置にある図9および図10に示す本発明のガスケットの位置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至図8は、蓋3が装着されるように設計されている容器2を含む蒸気調理器タイプまたは圧力鍋タイプの加圧された調理器具内に装着および位置決めされるように設計されているシーリングガスケット1を示す。
【0021】
よく知られているように、ガスケット1は、変形可能なプラスチック材料や、エラストマー型、例えば、シリコンから作られる。
【0022】
また、既知の方法で、調理器具、例えば、圧力鍋は、容器2に対して蓋3を固定または解放するロッキング/アンロッキング装置(図示せず)を備える。そのロッキング/アンロッキング装置は、例えば、複数のロック用のバー、差込み取付け具、または、ジョーを有するいずれかの既知の種類のものでよく、それは、本発明の範囲の限定につながるようなロックのタイプ、即ち、そうした性質もなしに、内部に装着された蓋を有する種類のもの、または、マンホールタイプの圧力鍋について可能である。
【0023】
既知の方法で、本発明の加圧された調理器具は、適切であり、こうした種類の器具を十分安全に動作可能にするために必要とされる様々な安全装置(図示せず)も備えている。特に、それらの安全装置は、1個以上の過剰圧力用安全調整弁備え、随意に、器具を安全に開けるシステムを備える。
【0024】
図に示されるように、シーリングガスケット1は、器具を密封し動作可能にするために容器2と蓋3との間に介在される。そのガスケット1は、蓋3が容器に配置され固定される場合、容器2および蓋3によって形成された筐体の内部が外部環境から密封されるように隔絶されるような方法で作用するように設計されている。そのガスケットによって得られる密封により、器具がその通常の動作圧力に到達し、通常の完全な調理の一連の動作を実行できるように、圧力が器具内部で増大可能となる。
【0025】
図に示される例では、本発明のシーリングガスケット1は、好ましくは、円形であり、相補形の円形である調理器具にも対応させることを目的としている。ガスケットの全体的な幾何学的な形状は、それとは異なるものでよく、例えば、問題の調理器具の幾何学的な形状に対応させるために、必要に応じて、実質的に楕円形、正方形、または何らかの他の形状であってもよいものとする。
【0026】
図に示されるように、本発明の調理器具は、容器2および蓋3に対してガスケット1を心出しするように設計された心出し手段5を備える。
【0027】
図示のように、本発明のガスケット1は、例えば、断面が実質的に一様の外縁輪4によって構成される環状のガスケットのような全体形状をしている。外縁輪4がガスケット1の中核を形成しその本質的な機能の一つとしてシーリングの機能を有する。
【0028】
蓋3は、好ましくは、半径方向外方に延び蓋3の外側の方に行く凸形の隆起した中央領域3Aを備え、下方に延びる側面6がそれに続き、環状の平坦部7と、好ましくは、実質的に平坦でかつ垂直である下方に延在し内側に丸まった端部9で終わる環状のリム8とがそれに続く。したがって、環状の平坦部7は、下方向に延在するリム8およびロール状の端部9と協働して、外縁輪4および心出し手段5が内側に収容されるように設計される環状のチャネル10を画定する。当然に、環状のチャネル10および外縁輪4および心出し手段5のそれぞれの寸法および幾何学的な形状は、ガスケットが保持され、密封がもたらされ、容器2における蓋3の心出しが得られるように、適切であり、相補形である。
【0029】
この目的のために、図に示される本発明の好ましい変形例、特に図6において、容器2は、器具の下部(図示せず)から実質的に垂直に立ち上がる壁2Aを有している。該壁2Aは、器具の対称主軸(X−X’)に対して実質的に半径方向外方に延在する容器のリム12を介して上端部に向かって延在する。有利なことに、容器のリム12は、器具の中心に面するわずかな円錐形を画定するように、実質的に平坦であり、図に示されるように水平に対してわずかに傾斜されている。しかし、容器のリム12は、本発明の範囲を超えることなく、実質的に水平であってもよい。有利なことに、容器のリム12は、実質的に垂直下方向に延在するリム13だけ外方に延びている。本発明によれば、心出し手段5は、心出し用の当接を形成するように蓋が容器2に配置される間、前記心出し手段5が蓋3と容器2との間に置かれるようになるようにガスケット1内に設けられ、即ち、配置される。この特徴により、ガスケット1が、容器2および蓋3に対しその内周縁および外周縁における所定位置に保持され得る。
【0030】
第1の変形実施例(図示せず)では、外縁輪4をその下部においてその全周にわたる下輪に及び、一定の高さを超える心出し手段5を形成することができる。この変形例では、外縁輪および心出し手段5の断面の全体の高さが、下方向に延在する環状のリム8の高さに実質的に一致し、心出し手段5の厚さが、例えば、端部9の幅に実質的に一致する、あるいは、蓋3を容器2上に配置しそれと合体する間、この例ではガスケット1の下端部と、心出し手段5とが、その1つまたは複数の周縁の内面を介して下方に延在するリム13に当接するように、前記幅よりも大きいことが有利である。
【0031】
このように、本発明の有利な変形例では、シーリングガスケット1は、蓋3の環状のチャネル10内に保持され、即ち、保持されるように設計されている外縁輪4を含み、心出し手段5は、ガスケット1を確実に適切に配置しながら蓋3および容器2が互いに対して心出し可能とされる当接手段を、心出し手段および外縁輪が形成することができるように前記外縁輪4から半径方向に延在しかつ前記外縁輪の下部に延在する。
【0032】
本発明の特に有利な種類において、特に図1乃至図6に示すように、所望の心出し効果を得るために心出し手段5が、外縁輪4の周縁長に一致する周縁長さにわたって必要はない。言い換えると、心出し手段5は、ガスケット1の全高が環状のチャネル10の全高に実質的に一致する複数個のセクタS(図2)を形成するために外縁輪4に沿った長さの一部分にわたって不連続に外縁輪4から半径方向に延在している。そのため、前記セクタS内では、心出し効果を得るために心出し手段5の内面4Bが容器2に、また、下方向に延在するリム13に当接することができることが好都合である。
【0033】
図示のように、非限定的な有利な種類では、環状のガスケットは、例えば、9個の個別の心出し手段5を画定する9個のセクタSを有し得る。
【0034】
また、図に示されるように、心出し手段5は、外縁輪4と一体形成されることが有利であり、または代替的に(図示せず)、複数の心出し手段が前記外縁輪4に固定されてもよい。外周(下方向に延在するリム8の高さ未満)にわたって高さが一様の外縁輪4を設けることを考えることが可能であり、接着、挿入、またはクリップ留め、あるいは、本発明の範囲を超えることなしに、ガスケット1とは異なり心出し手段5を形成する複数の部品を固定するための任意の全く等価の手段を使用することが可能である。
【0035】
有利なことに、シーリングガスケット1は、外縁輪4から延在するロアリップ20を備えている。そのロアリップ20は、蓋3が所定位置に配置される間、容器2に対して、有利なことに、容器のリム12に対して密封方法に耐えるように設計されている。
【0036】
特に有利な方法において、ロアリップ20は、できるだけ小さいがそれにもかかわらず最適な密封を得るのに十分な力により、容器のリム12に嵌まるようにした幾何学的輪郭を有する。この目的のために、有利な方法で、ロアリップ20は、少なくとも第1の部分21と、第1の部分から延在する少なくとも第2の部分22とを有している。それらの2つの部分は、互いに対して傾斜している。したがって、非常にわずかにのみロアリップ20が内側に変形する状態で、蓋3の閉塞を妨害する垂直方向の力も最小限とされ、ロアリップ20の内面が容器のリムに当たることによって良好な密封を促進する所望の効果を得ることができる。
【0037】
図3および図4に示される特に有利な種類では、第1の部分21は、ガスケット1が蓋3内の静止位置にある場合、蓋3の中心およびX−X’ 軸に向かって、外縁輪4から実質的に水平に、半径方向に延在する。前記第1の部分21は、垂線に対して約35度、例えば、0度から60度までの範囲にある角度α(図3)で容器2(図5)の下部に向かって傾斜している第2の部分22に達する。
【0038】
そのような構成により、ガスケットは、その容器とその器具の外部との間に優れた密封をもたらすことができ、蓋の閉鎖を妨げる力を最小限に抑える。
【0039】
また、本発明のシーリングガスケットは、外縁輪4から、実質的には、該外縁輪4の上端部から延在するアッパリップ25を備えることが有利である。該アッパリップ25は、蓋3と当接し、密封するように設計されている。更に詳細には、図に示されるように、アッパリップ25は、環状の平坦部7の内面と当接し密封し、好ましくは、実質的にその全長にわたって当接し密封するように、形作られ、長さが決められている。したがって、蓋3と器具の外部との間の密封が、特に効果的に設けられる。
【0040】
アッパリップ25は、X−X’軸に対して実質的に半径方向に延在し、互いに均一又は不均一に離間している複数個のリブ26(図2)を備えることが有利である。該リブ26は、蓋3と接触する、特に、環状の平坦部7の内面と接触するように設計されている前記アッパリップの上面27から突出している。第一に、複数個のリブ26は、上向きのガスケット1が配されているかどうかを確認することを容易にする視覚的な基準マークを形成し、それにより、使用者がガスケット1を環状のチャネル10内に適切に位置決めすることが簡単になり、第二に、前記リブ26は、ガスケット1が異常な状態で、特に、逆さの状態で配置された場合、空気の漏出を容易にする手段を形成する。
【0041】
図2に示すように、リブ26は、心出し手段5を備えるセクタSと実質的に位置合わせが正しくなるように、好ましくは、前記セクタの中心と位置合わせが正しくなるように、位置付けられ得る。好ましい変形例(不図示)によれば、リブ26は、隣接する心出し手段5相互間におけるアッパリップ25に設けられる。
【0042】
図示していない変形例によれば、アッパリップ25は、リブ26の代わりに、またはそれに加えて、蓋の内面との接触面が不均一になるようにしてアッパリップ25の厚さ内に設けられる実質的に半径方向の溝を備えることができる。
【0043】
したがって、アッパリップ25は、その表面にわたって、リブまたは溝タイプの実質的に半径方向の幾何学的な形状を複数備え、それらは、互いから離間し、蓋と接触したアッパリップ25の上面に隙間を形成する。
【0044】
有利なことに、アッパリップ25は、外縁輪4の反対側の自由端部に、アッパリップ25と蓋3との間のシーリングを容易にするための例えばO型リング円環体を形成する突出部、即ち、ビード28を有する。
【0045】
図9から図12に示す本発明の好ましい変更実施例では、ガスケットは外周下輪4Aを備え、その外周下輪4Aは、外縁輪4の下で延在し、外縁輪4を延長している。図示のように、外周下輪4Aは、外縁輪4および外周下輪4Aが、好ましくは、実質的に重なり、互いに位置合わせして配置され、互いに平行な外面を有する2つのバンドを形成するようにして前記バンドと位置合わせして外縁輪4を延長する。
【0046】
図1から図6に説明したガスケットと比較すると、図9から図12に説明する変形例もやはり、本発明の心出し手段に対応する複数のセクタSが複数の局所的厚肉領域5Aによって形成され、それらの厚肉領域5Aが、前記下輪4Aの内面4Bに配置され容器2と接触するように設計されていることを特徴とする。したがって、局所的な厚肉領域5Aは、半径方向の厚肉領域を形成し、これは、容器2の中心に向いており、内面4Bから前記容器2の中心に向かう方向に延在する。
【0047】
局所的な厚肉領域5Aは、ガスケットの周囲に沿って実質的に一様に角度方向に分配され、例えば、厚肉領域5Aは、10個乃至14個ある。
【0048】
当然、局所的厚肉領域5Aは、外周下輪4Aと一体形成してもよく、前記外周下輪4Aに任意の適切な手段によって固定してもよい。
【0049】
好ましくは、局所的厚肉領域5Aは、面4Bと一体のベースを有するかまたは面4Bに固定された図9に示す一連の円柱状のドーム形によって形成される。
【0050】
したがって、本発明は、加圧された調理器具用のV字形のリップガスケットに関する。そのガスケットは、外縁輪4を含み、心出し手段を備え、その心出し手段が、心出しして当接させるように蓋3を容器2上に配置しながら調理器具の蓋3と容器2との間に介在されるようにして外縁輪の下で延在することを特徴とする。シーリングガスケット1は、有利なことに、平行でない2つのリップを有するガスケットであり、それらのリップは、静止時に外縁輪4から非対称形のV字形を形成するように互いに傾斜しており、最低限の力による良好なシーリングが容易になる。動作位置では、本発明のV字形のガスケットのリップ20および26は、器具の容器2の下部に実質的に平行であり、すなわち実質的に水平である。
【0051】
図9乃至図12に示す本発明の好ましい変更実施例では、本発明のV字形のリップガスケットはさらに、上述したような外周下輪4Aを含み、ロアリップ20が局所的な厚肉領域と複数の切欠き20Aとを備える。その切欠き20Aが、前記ロアリップ20の層の中に設けられ、前記ロアリップ20の末端20Cから始まる。隣接する2つのジョーの間を延在する外周セクタで蓋3が変形した場合に、切欠き20Aにより、ガスケットがクリープする(図11)ことが可能になる。その外周セクタでは蓋がジョーによって保持されない。
【0052】
異常な過剰圧力および器具の機能不全の場合に、切欠き20Aにより、その断面を通して、さらに、蓋の円筒形セクタのうちの隣接する2つのジョーによって保持されない部分と容器のリムとの間に設けられた漏出領域を通して、蒸気を漏出させることが可能になる。漏出領域は、1つまたは複数の凹所10Aにつながっており、その凹所10Aは、外縁輪4および外周下輪4Aの厚さ内に、その高さ全体にわたって設けられる(図9および図12)。これらの凹所の機能は、ガスケットが蓋2に逆さに装着されるのを防止することである。
【0053】
したがって、クリープする切欠き20Aにより、ガスケットが容器のリムから逃げることが防止されるか、あるいははみ出すのが防止される。
【0054】
本発明のV字形のリップガスケットは、外縁輪4の下で延在しその外縁輪4を延長する外周下輪4Aを含むことと、心出し手段5Aが、前記外周下輪の内面4B上に位置し容器と接触するように設計された複数の局所的な厚肉領域5Aによって形成されることを特徴とする。
【0055】
本発明は、加圧された調理器具用のV字形のリップガスケットであって、そのガスケットが、外縁輪4と、ガスケット1を調理器具の容器2および蓋3に対して心出しするように設計された心出し手段5、5Aとを含み、前記ガスケットは、そのガスケットが、外縁輪4の下で延在しその外縁輪4を延長する外周下輪4Aを含むことと、心出し手段5Aが、前記外周下輪4Aの内面4B上に位置し心出しして当接させるように容器と接触するように設計された複数の局所的な厚肉領域5Aによって形成されることを特徴とするV字形のリップガスケットに関する。
【0056】
ガスケットは、局所的な厚肉部5Aが円柱状のドーム形によって形成されることを特徴とする。したがって、本発明のシーリングガスケット1の幾何学的な形状およびサイズの特徴により、環状のチャネル10内への誤った配置をするリスクなしにそのガスケット1を簡単に配置することが可能になり、前記ガスケットは、外径が蓋3の内径に近いことで蓋3内に残る。ガスケットを環状のチャネル10内に保持することは、外周下輪4Aの下に配設された外縁輪4の高さと心出し手段5の高さを合わせることによって容易になり、合計の高さにより、ガスケット1が環状のチャネル10の体積にぴったりと嵌まることが可能になる(図5)。
【0057】
アッパリップ25は、具体的にはO型リング円環体を形成するビード28は、配置されると、蓋3の底面と協働するようになり、蓋のところで正確に器具の内側と外側との間をシーリングする。
【0058】
蓋3を閉鎖し容器2にロックする間に、心出し手段5は、蓋3および容器2に対して外周全体にわたってシーリングガスケット1を良好に配置しながらも、容器2のリムの外側と協働して蓋3と容器2とを心出しする。
【0059】
蓋3を配置する間に、ロアリップ20は、変形が最小の状態で、自然に容器のリム12に位置し、それにより、容器と器具の外側との間のシーリングを低減させることなく、器具の閉鎖が特に簡単になる。
【0060】
したがって、互いに接触する部品のために選択される全ての幾何学的な形状により、器具を正確に閉鎖し、ロックし、密封するのに必要な力を最小限に抑えることを可能にしながらも、蓋3の優れた心出しが可能になる。
【0061】
本発明のガスケット1は、また、器具を開けている間の利点を得ている。
【0062】
本発明のシーリングガスケット1は、また、ガスケット1が間違った配置になり、具体的には図7および図8に示すように逆さに配置されるときに器具からの主な空気漏れが発生するように設計される限り、特に有利である。
【0063】
これらの図では、ガスケット1は外周チャネル10に逆さに配置されており、アッパリップ25が容器のリム12と当接しており、器具が動作していないときに(図7)、すなわち、器具内で優勢の圧力は実質的に大気圧に等しい。
【0064】
まず、このような機能不全が想定される場合に、ガスケットのリップ20、26、具体的にはリップ25を不適切に配置し、容器への蓋3の適切な合体を妨害するリップの弾性に起因した力に打ち勝つことが必要である限り、器具を閉じるのに必要な力は大きいことを確認することができる。
【0065】
さらに、リブ26が容器のリム12に当接するようになり、それにより、まず様々なリブ26と上面27との間、次に様々なリブ26と容器のリム12との間に漏出のための大きい隙間が残ることが確認される。結果として生じる漏出用の大きい隙間により、相関的に、大規模な漏出F(図8)が生み出され、器具内の圧力上昇が防止され、したがって、ガスケットが間違った配置になる場合、使用者にとって安全度が高まる。
【0066】
図9乃至図12に示す本発明のガスケットは、また、本発明のガスケットが間違った配置になるかまたは逆さに配置される場合に特に有利である。
【0067】
図12に示すように、本発明のガスケットが意図せずして逆さに配置される場合は、蓋3の内面に位置しクリープする切欠き20A、およびその高さ全体にわたって、すなわち外縁輪4および外周下輪4Aの高さにわたって環状のチャネル10に向いたヒールを形成するガスケットの外周に設けられた凹所10Aから、自然の漏出通路F(図12)が生み出される。
【0068】
こうした技術的な特性により、ガスケットのヒールと蓋2との間に、さらに本発明のガスケットが逆さまたは異常に配置されると器具が圧力上昇できないように切欠き20Aを通して自然の漏出が発生することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、家庭用器具、具体的には圧力鍋を製造するために産業上利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12