(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767256
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】末期呼吸のシミュレーションを有するマネキン
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
G09B23/28
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-555436(P2012-555436)
(86)(22)【出願日】2011年3月4日
(65)【公表番号】特表2013-521526(P2013-521526A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】EP2011053267
(87)【国際公開番号】WO2011107578
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2014年2月6日
(31)【優先権主張番号】20100316
(32)【優先日】2010年3月5日
(33)【優先権主張国】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】503206994
【氏名又は名称】レールダル メディカル エー エス
【氏名又は名称原語表記】Laerdal Medical AS
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】コーンリュッセン シェル オーフ
【審査官】
坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−502945(JP,A)
【文献】
特表2007−507745(JP,A)
【文献】
特表2007−514967(JP,A)
【文献】
米国特許第04001950(US,A)
【文献】
特公昭55−040874(JP,B2)
【文献】
米国特許第03049811(US,A)
【文献】
実開昭55−021759(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00− 9/56
G09B 19/00−19/26
G09B 23/00−25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生術(CPR)の訓練のための、胸部領域および頭部を備えるマネキンであって、前記マネキンは、顎が持ち上げられる前記頭部の喘ぎ運動を提供するための第1の手段と、末期呼吸音をシミュレーションするための第2の手段と、を備え、前記第1および第2の手段は、末期呼吸のシミュレーションのための、前記第1および第2の手段を作動させるデバイスに動作可能に接続されることを特徴とする、マネキン。
【請求項2】
前記マネキンはまた、前記マネキンの少なくとも肩部領域の持ち上げのための第3の手段を備える、請求項1に記載のマネキン。
【請求項3】
前記頭部の喘ぎ運動を提供するための前記第1の手段は、顎の持ち上げおよび開放のための、顎に動作可能に配置される空気袋である、請求項1または2に記載のマネキン。
【請求項4】
少なくとも前記肩部領域の持ち上げのための前記第3の手段は、前記肩部領域の下に配置される少なくとも1つの空気袋を備える、請求項2に記載のマネキン。
【請求項5】
前記末期呼吸音をシミュレーションするための前記第2の手段は、空気袋の膨張が電源スイッチを起動させるようにサウンドボックスにまたはその中に動作可能に配置される空気袋と、末期呼吸音を提供するための手段と、を備える、請求項1に記載のマネキン。
【請求項6】
前記末期呼吸音をシミュレーションするための前記第2の手段は、前記マネキンの頭部内に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマネキン。
【請求項7】
前記末期呼吸音をシミュレーションするための前記第2の手段は、空気が吹き込まれるときに音を出す非電気のフルートデバイスである、請求項1に記載のマネキン。
【請求項8】
前記デバイスは、チューブを介して、前記第1の手段に相当する顎に対して動作可能に配置される第1の空気袋に、前記第3の手段に相当する肩部領域を持ち上げるために配置される1つ以上の第3の空気袋に、そして前記第2の手段に相当する音の手段を起動させるための第2の空気袋に接続されるベローズであり、前記ベローズの収縮が前記第1、第2および第3の空気袋を膨張させて、これにより末期呼吸のシミュレーションのための前記第1、第2および第3の手段を作動させる、請求項2に記載のマネキン。
【請求項9】
前記デバイスおよび前記第1、第2および第3の手段は、末期呼吸を作動させかつシミュレーションするように動作可能に配置されることができる、空圧式、油圧式、電気式、および電気油圧式デバイスの中から選択される、請求項2に記載のマネキン。
【請求項10】
前記デバイスは、無線手段によってまたは前記マネキンの内部に組み込まれる手段により任意に作動することができる電子的作動デバイスであり、前記デバイスは、前記頭部および/または顎を動かすための少なくとも1つのリニアアクチュエータ、および前記マネキンの前記肩部領域または前記胸部領域を持ち上げるための少なくとも1つのリニアアクチュエータに動作可能に接続していて、前記デバイスは、末期呼吸音をシミュレーションするための電子的手段に動作可能に接続している、請求項2または9に記載のマネキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康および救命の応急処置に関する。特に、本発明は、末期呼吸のシミュレーションのための手段を有する訓練用マネキンに関する。
【背景技術】
【0002】
末期呼吸は、不規則な休止が続く浅くて遅い(1分間に3〜4)不規則な吸気によって特徴的な呼吸の異常なパターンである。それはまた、変な発声およびミオクローヌス(mycolonus)が付随する喘ぐ呼吸困難によって特徴づけられることもできる。状態が一般に完全な無呼吸および死の告知へと進行するにつれて、末期呼吸は、即時の治療を必要とする極めて深刻な医学的な徴候である。末期呼吸は、死の前の最後の呼吸である。
【0003】
突然の心停止に対して傍観者は、その人が呼吸していることを意味するためにしばしば末期呼吸を誤解して、心肺蘇生術(CPR)の開始を省略するかまたは遅延させる。非特許文献1において公表された最近の研究は、喘ぎまたは末期呼吸は、脳がまだ生きているという、そして犠牲者には生存するより高い可能性があるという徴候であると述べる。
【0004】
末期呼吸の正しい解釈およびそれに対する反応の訓練は、CPRの成功率を著しく上昇させてよい。
【0005】
現在、末期呼吸のシミュレーションのための手段を備える利用可能なCPR訓練のためのマネキンは、ない。本発明の目的は、したがって、末期呼吸に関してもまたより現実的な訓練が可能な訓練マネキンを提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Circulation: Journal of the American Heart Association
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、心肺蘇生術(CPR)の訓練のための、胸部領域および頭部を備えるマネキンを提供する。マネキンは、それが頭部の喘ぎ運動を提供するための手段と、末期呼吸音をシミュレーションするための手段と、を備え、この手段は、末期呼吸のシミュレーションのための、前記手段を作動させるデバイスに動作可能に接続されるという点で、特徴的である。
【0008】
好ましくは、マネキンはまた、少なくとも肩部領域の持ち上げのための手段を備える。それはまた、末期呼吸の典型的徴候である。1つの好ましい実施形態において、少なくとも肩部領域の持ち上げのための手段は、肩部の下に配置される少なくとも1つの空気袋を備える。好ましくは、マネキンの各肩部の下に1つの空気袋が配置されるか、または、上部ボディ全体を持ち上げるために1つのより大きな空気袋が配置される。
【0009】
頭部の喘ぎ運動を提供するための手段は、好ましくは、顎の持ち上げおよび開放のための、顎に動作可能に配置される空気袋またはリニアアクチュエータである。他の手段は、用いられることができる。顎が開放される間、頭部も好ましくは持ち上げられる。頭部の喘ぎ運動は、少なくとも顎または頭部の動き(例えば喘ぎ運動)を意味する。好ましくは、さらなる動きもまた、作動(例えば頭部および/または肩部および上部ボディ全体さえの持ち上げ)に誘発される。頭部の喘ぎ運動のための手段および末期呼吸音をシミュレーションするための手段は、2つの機能を提供する1つの手段でありえる。それは、本発明の実施形態であり、そして、空気を供給するかまたは引き出すための接続されたホースの入口にフルートを有するベローズによって例えば達成されることができる。
【0010】
一実施形態において、末期呼吸音をシミュレーションするための手段は、空気袋の膨張が電源スイッチを起動させるようにサウンドボックスにまたはその中に動作可能に配置される空気袋と、末期呼吸音を提供するための手段と、を備える。好ましくは、末期呼吸音をシミュレーションするための手段が起動するときに、スピーカ、アンプおよび音源は、作動にセットされる。コストが主なパラメータであるときにより好ましくは、末期呼吸音をシミュレーションするための手段は、空気が吹き込まれるときに音を出す非電気のフルートデバイスである。現実的であるために、末期呼吸音をシミュレーションするための手段は、マネキンの頭部内に好ましくは配置される。
【0011】
本発明の好ましいマネキンにおいて、低コストおよび信頼性が主な関心であるときに、作動デバイスは、チューブを介して、顎に対して動作可能に配置される空気袋に、肩部を持ち上げるために配置される1つ以上の空気袋に、そして音の手段を起動させるためのフルートまたは空気袋に接続されるベローズであり、ベローズの収縮が空気袋を膨張させて、およびフルートを吹いて、これにより末期呼吸のシミュレーションのための前記手段を作動させる。
【0012】
デバイスおよび前記手段は、末期呼吸を作動させかつシミュレーションするように動作可能に配置されることができる、空圧式、油圧式、電気式、および電気油圧式デバイスまたは手段の中から自由に選択される。例えば、空気袋手段は、チューブを介して接続されるベローズ、小型コンプレッサまたは送風器のような空気作動手段によって膨張および収縮されることができる。
【0013】
本発明によるマネキンにとって大きな現実性が設計パラメータを支配しているときに、デバイスは、無線手段によってまたはマネキンの内部に組み込まれる手段により任意に作動することができる電子的作動デバイスである。デバイスは、頭部および/または顎を動かすための少なくとも1つのリニアアクチュエータ、およびマネキンの肩部または上部ボディを持ち上げるための少なくとも1つのリニアアクチュエータに動作可能に接続していて、そして、デバイスは、フラッシュメモリに格納された末期呼吸音を有するMP3プレーヤのような末期呼吸の音をシミュレーションするための電子的手段に動作可能に接続している。この種の実施形態のために、指導教員は、電子的に起動可能なデバイスと通信して近所の部屋から例えばコンピュータを有する手段を無線で作動させることができ、これにより、学生のための現実的な訓練シナリオを与えることができる。本発明のマネキンの好ましい実施形態において、末期呼吸のシミュレーションのための手段を作動させるデバイスは、マネキンの外側にあり、および/または前記手段の内部に組み込まれていて、それは例えば、末期呼吸のシミュレーションのためのマネキンの手段の各々に対して直接無線通信するコンピュータである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、3つの図で例示される
【
図1】
図1は、本発明のマネキンの実施形態を例示する。
【
図2】
図2は、本発明のマネキンの実施形態を例示する。
【
図3】
図3は、本発明のマネキンのさらなる実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のマネキン1を例示する
図1を参照する。より詳しくは、マネキン1は、心臓マッサージおよび換気を適用することによる心肺蘇生術(CPR)の訓練のために、胸部領域2および頭部3を備える。顎の持ち上げのための手段4、少なくとも肩部領域の持ち上げのための手段5、および末期呼吸音をシミュレーションするための手段6は、例示される。それらの手段は、末期呼吸のシミュレーションのために、前記手段を作動させるためのデバイス7に動作可能に接続される。
【0016】
図示のマネキンは、末期呼吸のシミュレーションを提供するための空気手段を備えている。より詳しくは、顎の持ち上げのための手段4は、顎の下に動作可能に配置される空気袋を含む。少なくとも肩部領域の持ち上げのための手段5は、肩の下に配置される少なくとも1つの空気袋を含む。末期呼吸音をシミュレーションするための手段6は、末期呼吸音を出すことができる音響フルートを含む。末期呼吸のシミュレーションのための前記手段を作動させるデバイス7は、ベローズの収縮が前記空気袋を膨張させて、それと同時にフルートの音を出して、これにより、末期呼吸のシミュレーションのための前記手段を作動させるように配列される、前記空気袋およびフルートにチューブを介して接続されるベローズである。
【0017】
本発明のマネキンのさらなる実施形態を例示する
図2を参照する。そのために、空気袋7は、圧縮器空気チャージャ8と交換された。そして、フルート6は、スピーカ、アンプ、およびサウンドボックス内の空気袋を膨張させることによって起動して音を出す格納された音源を有するサウンドボックス9と交換された。他の全ての点において、
図1および
図2のマネキンは、同一である。
【0018】
本発明のより高度なマネキンを例示する
図3を参照する。この実施形態のために、頭部の喘ぎ運動を提供するための手段は、起動に応じて顎を持ち上げて開くように動作可能に配置されるリニアアクチュエータ10であり、末期呼吸音をシミュレーションするための手段は、スピーカ11である。それらの手段は、末期呼吸のシミュレーションのために、前記手段を作動させるための電子的に起動するデバイス12に動作可能に接続される。このマネキンはまた、喘ぎ運動および末期呼吸音と同時にボディを持ち上げるための、デバイス12に動作可能に配置されるリニアアクチュエータ13を含む。物理的構成は、必ずしも図示するようであるというわけではない。例えば、デバイス12に代えて、手段10、11、13の各々の内部に組み込まれる無線制御可能な無線起動デバイスであることは、可能である。
【0019】
本発明のマネキンは、本明細書に記載されてまたは例示されているように任意の特徴を含んでよい。有益な利点を提供するためにいかなる可能な組み合わせでもよく、この種の各組み合わせは本発明の実施形態である。