特許第5767281号(P5767281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5767281周波数に基づいた出力変圧器インピーダンスバランシングを有する広帯域AFT電力増幅器システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767281
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】周波数に基づいた出力変圧器インピーダンスバランシングを有する広帯域AFT電力増幅器システム
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/68 20060101AFI20150730BHJP
   H03F 3/191 20060101ALI20150730BHJP
   H03F 3/193 20060101ALI20150730BHJP
   H03F 3/21 20060101ALI20150730BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H03F3/68 B
   H03F3/191
   H03F3/193
   H03F3/21
   H05H1/46 R
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-156519(P2013-156519)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2014-57295(P2014-57295A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】61/676,633
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/834,965
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マイケル オーウェン
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/064306(WO,A1)
【文献】 特開昭57−157608(JP,A)
【文献】 特開2007−066778(JP,A)
【文献】 特開2012−005077(JP,A)
【文献】 特開平01−280908(JP,A)
【文献】 特開平03−250807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/68
H03F 3/191
H03F 3/193
H03F 3/21
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線周波数信号を受けて第1出力信号および第2出力信号を生成するように構成された第1電力スプリッタと、
上記第1出力信号を増幅するように構成され、(i)少なくとも2つの無線周波数パワートランジスタを含むトランジスタの第1セットと、(ii)第1出力変圧器とを有する第1プッシュプル電力増幅器と、
上記第2出力信号を増幅するように構成され、(i)少なくとも2つの無線周波数パワートランジスタを含むトランジスタの第2セットと、(ii)第2出力変圧器とを有する第2プッシュプル電力増幅器と、を有し、
上記第1出力変圧器の出力が、出力端子において上記第2出力変圧器の出力にガルバニックかつ直接に接続されていることを特徴とする無線周波数システム。
【請求項2】
第2無線周波数信号を受けて第3出力信号を生成するように構成された第2電力スプリッタと、
上記第3出力信号を増幅するように構成され、少なくとも2つの無線周波数パワートランジスタを含むトランジスタの第3セットを有する第3プッシュプル電力増幅器と、を有し、
上記第3プッシュプル電力増幅器の出力が、上記出力端子にガルバニックかつ直接に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項3】
第4出力信号を増幅するように構成され、少なくとも2つの無線周波数パワートランジスタを含むトランジスタの第4セットを有する第4プッシュプル電力増幅器を有し、
上記第2電力スプリッタが、第4出力信号を生成するように構成され、
上記第4プッシュプル電力増幅器の出力が、上記出力端子にガルバニックかつ直接に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の無線周波数システム。
【請求項4】
上記出力端子を接地基準に接続する第1シャントキャパシタンスを有することを特徴とする請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項5】
可変クラスモジュールを有し、上記可変クラスモジュールは、
上記無線周波数システムの上記出力端子と負荷との間に接続されたインダクタと、
上記インダクタの出力を接地基準に接続する第2シャントキャパシタンスと、を有することを特徴とする請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項6】
上記無線周波数システムは、上記可変クラスモジュールの構成に基づいて複数の電力増幅器クラスのうちの一つの特性を示す選択されたモードにて動作するように構成され、
上記可変クラスモジュールの構成が、上記選択されたモードで動作するように修正可能であることを特徴とする請求項5に記載の無線周波数システム。
【請求項7】
上記第1プッシュプル電力増幅器が、上記第1出力信号を受けるとともに第1出力と第2出力とを有するように構成された第1入力変圧器を有し、
上記第1入力変圧器の上記第1出力が、(i)第1キャパシタンスを介してトランジスタの上記第1セットの第1トランジスタと、(ii)第1抵抗を介して接地基準とに、接続され、
上記第1入力変圧器の上記第2出力が、(i)第2キャパシタンスを介してトランジスタの上記第1セットの第2トランジスタと、(ii)第2抵抗を介して接地基準とに、接続され、
上記第2プッシュプル電力増幅器が、上記第2出力信号を受けるとともに第1出力と第2出力とを有するように構成された第2入力変圧器を有し、
上記第2入力変圧器の上記第1出力が、(i)第3キャパシタンスを介してトランジスタの上記第2セットの第1トランジスタと、(ii)第3抵抗を介して接地基準とに、接続され、
上記第2入力変圧器の上記第2出力が、(i)第4キャパシタンスを介してトランジスタの上記第2セットの第2トランジスタと、(ii)第4抵抗を介して接地基準とに、接続されていることを特徴とする請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項8】
上記無線周波数システムの上記出力端子と負荷との間に接続された第1インダクタと、
上記インダクタの出力を接地基準に接続する第1シャントキャパシタンスと、を有することを特徴とする請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項9】
上記第1プッシュプル電力増幅器が、
第1トランジスタと、
第2トランジスタと、
上記第1トランジスタに接続された第2キャパシタンスと、
上記第2キャパシタンスを接地基準に接続する第1抵抗と、
上記第2キャパシタンスを接地基準に接続する第3キャパシタンスと、
上記第2トランジスタに接続された第4キャパシタンスと、
上記第4キャパシタンスを接地基準に接続する第2抵抗と、
上記第4キャパシタンスを接地基準に接続する第5キャパシタンスと、を有することを特徴とする請求項8に記載の無線周波数システム。
【請求項10】
上記第1プッシュプル電力増幅器の出力を接地基準に接続する第2シャントキャパシタンスと、
上記第2プッシュプル電力増幅器の出力を接地基準に接続する第3シャントキャパシタンスと、を有することを特徴とする請求項8に記載の無線周波数システム。
【請求項11】
可変クラスモジュールを有し、上記可変クラスモジュールは、
上記第1インダクタと上記負荷との間に接続された第2インダクタと、
上記第2インダクタの出力を接地基準に接続する第4シャント抵抗と、を有することを特徴とする請求項10に記載の無線周波数システム。
【請求項12】
上記無線周波数システムは、上記可変クラスモジュールの構成に基づいて複数の電力増幅器クラスのうちの一つの特性を示す選択されたモードにて動作するように構成され、
上記可変クラスモジュールの構成が、上記選択されたモードで動作するように修正可能であることを特徴とする請求項11に記載の無線周波数システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願に対する相互参照〕
本願は、2012年7月27日に出願された米国仮出願番号61/676,633の利益を主張する。上記出願の全開示をここに参照によって盛り込む。
【0002】
〔技術分野〕
本願は、電力増幅器に関し、特に、広帯域で動作し、および/または一つより多いクラスの増幅器の特性を示す、電力増幅器に関する。
【0003】
〔背景技術〕
このセクションは、本願に関連する背景情報を提供するものであり、必ずしも従来技術ではない。
【0004】
様々な産業が、集積回路、ソーラーパネル、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的(またはビデオ)ディスク(DVD)などの様々な部品を製造するために、無線周波数(RF)エネルギーを使ってプラズマチャンバを駆動する。各製造プロセスは、製造される特定の部品に応じて変化させることができる。様々なプロセスは、しばしば、変化する、周波数、電力レベル、および効率で、RFエネルギーの供給を必要とする。
【0005】
従来、RF電力供給システムは、特定のプラズマ製造プロセスの要件を満たすようにそれぞれ設計された。それゆえ、RF電力増幅器(PA)および発電機は、交換が不可能であり、種々の要件を有する様々な適用を受け入れるように容易に修正することができなかった。種々の動作クラスを満たすように用いることができる可変クラス増幅器システム(クラスO増幅器とも呼称する)が導入された。可変クラス増幅器システムは、例えば、クラスAB動作、クラスE動作およびクラスABとクラスEとの間のクラスを満たすように用いることができる。
【0006】
可変クラス増幅器システムは、例えば、2つのPA板を有することができる。各PA板は、所定の個数のPA(例えば4個のPA)を有することができる。各PAは、それぞれのキャパシタ−インダクタ−キャパシタ(CLC)ネットワークを有する。CLCネットワークは、選択された動作クラスを提供するために用いられる。各CLCネットワークは、2つのキャパシタと1つのインダクタとを有する。例えば、各CLCネットワークの第1キャパシタンスは、各PAの出力と接地基準との間に接続される。各CLCネットワークのインダクタンスは、(i)各PAの出力および第1キャパシタンスと、(ii)第2キャパシタンスとの間に接続される。第2キャパシタンスは、インダクタンスと接地基準との間に接続される。
【0007】
可変クラス増幅器システムの動作クラスは、各CLCネットワークのキャパシタンスとインダクタンスの値を調節することによって調節することができる。例えば、CLCネットワークの第2キャパシタンスの値は、クラスE動作に対して増加させることができる。CLCネットワークの第2キャパシタンスの値は、クラスAB動作に対して減少させることができる。
【0008】
クラスAB動作中に、PAのトランジスタ導通角は、180〜360°とすることができる。入力波サイクルのおよそ半分が、第1スイッチによって増幅され、入力波サイクルの他のおよそ半分が、補完的に動作する第2スイッチによって増幅される。クラスAB動作は、典型的には、スイッチが一般的にOFFのときに、数サイクルの間、少量導通する各スイッチによって例示される。これは、両方のスイッチがOFFのときに、デッドゾーンまたはデッドピリオドを減少させ、それにより、クロスオーバーが最小化または除去される。クラスAB増幅器は、典型的には、50〜78.5%の電力効率を有する。従来のPAでは、クラスAB電力効率は、およそ70%に制限されることがある。
【0009】
スイッチをまたぐ電圧がゼロまたはほぼゼロのとき、また、ハイレベルの電流がスイッチを流れるとき、クラスE増幅器のON状態が起こる。スイッチをまたぐ電圧がハイレベルのとき、また、スイッチを流れる電流がゼロまたはほぼゼロのとき、クラスE増幅器のOFF状態が起こる。それゆえ、スイッチは、RFサイクルのON部分のときには、低抵抗の閉じたスイッチとして機能し、RFサイクルのOFF部分のときには、オープンスイッチとして機能する。クラスE増幅器は、85〜95%の効率を有することがあるが、クラスAB増幅器と比べて、少ない量の電力出力および/または直線性を示す傾向がある。
【0010】
可変クラス増幅器システムは、種々の動作クラスを満たすように用いることができるが、可変クラス増幅器システムは、入力周波数の変化に起因する電力出力変化や電流変化の影響を受けやすい。あるPAの適用は、自動周波数調整(AFT)に起因する広帯域周波数動作を経験する。広帯域周波数動作は、電力増幅器システムの入力周波数における発振および/または変化を参照する。周波数の変化は、例えば、中心周波数から±5%のことがある。例えば、60メガヘルツ(MHz)の中心周波数に対して、動作周波数範囲は57〜63MHzとなることがある。この入力周波数の変化によって、電力増幅器システムの、トランジスタ、変圧器およびCLCネットワークにおけるインピーダンスの変化が起こりうる。インピーダンスの変化によって、周波数を有するRF出力電力およびPA電力供給電流の変化が起き、この周波数が、システム動作効率に悪影響を及ぼす。
【0011】
〔発明の要約〕
このセクションは、本願の一般的な要約を提供するものであり、完全な範囲や全ての特徴の包括的な開示ではない。
【0012】
無線周波数システムが提供され、無線周波数システムは、第1電力スプリッタと、第1プッシュプル電力増幅器と、第2プッシュプル電力増幅器と、を有している。第1電力スプリッタは、第1無線周波数信号を受けて第1出力信号および第2出力信号を生成する。第1プッシュプル電力増幅器は、上記第1出力信号を増幅するように構成されている。第1プッシュプル電力増幅器は、少なくとも2つの無線周波数パワートランジスタを含むトランジスタの第1セットと、第1出力変圧器とを有する。第2プッシュプル電力増幅器は、上記第2出力信号を増幅するように構成されている。第2プッシュプル電力増幅器は、少なくとも2つの無線周波数パワートランジスタを含むトランジスタの第2セットと、第2出力変圧器とを有する。上記第1出力変圧器の出力が、上記第2出力変圧器の出力にガルバニックかつ直接に接続されている。
【0013】
他の特徴においては、無線周波数増幅器システムが提供され、無線周波数増幅器システムは、入力モジュールと、電力増幅器のセットとを有する。入力モジュールは、入力信号を受けて増幅し、増幅された出力信号を生成するように構成されている。上記入力信号の周波数が所定の周波数範囲内で変化する。電力増幅器の第1セットのそれぞれが、出力を有するとともに、増幅された上記出力信号を受けるように構成されている。上記出力が、第1出力端子においてガルバニックかつ直接に互いに接続されている。電力増幅器の上記第1セットからの電力が、上記第1出力端子を介して負荷に供給される。
【0014】
ここに提供する記述から、さらなる適用範囲が明らかになるだろう。この要約における記述と特定の例とは、説明する目的のみを意図したものであり、本願の範囲を限定することを意図しない。
【0015】
〔図面〕
ここに示す図面は、選択された実施形態を説明する目的のみのためのものであり、可能なすべての実施形態を示すものではなく、本願の範囲を限定することを意図しない。
【0016】
図1は、従来の可変クラス増幅器システムの電力増幅器モジュールのための電力出力対周波数プロットである。
【0017】
図2は、従来の可変クラス増幅器システムの電力増幅器モジュールのための一例としての電流対周波数プロットである。
【0018】
図3は、従来の可変クラス増幅器システムのPA出力のCLCネットワークに対するインピーダンス変化を示すスミス(Smith)チャートである。
【0019】
図4は、本願に係る第1周波数範囲で動作する3重電力増幅器構成を有する無線周波数増幅器システムのブロックおよび概略的なダイヤグラムである。
【0020】
図5は、従来の可変クラス増幅器システムと図4の無線周波数増幅器システムとの間の違いを示す一例としての電力対周波数プロットである。
【0021】
図6は、本願に係る電力増幅器モジュールのブロックダイヤグラムである。
【0022】
図7は、本願に係る電力増幅器モジュールの概略的なダイヤグラムである。
【0023】
図8は、本願に係る電力増幅器モジュールと可変クラスモジュールとを示す概略的なダイヤグラムである。
【0024】
図9は、本願に係る、第1周波数範囲で動作し、第1電力出力定格を有する、4重電力増幅器を有する別の無線周波数増幅器システムのブロックおよび概略的なダイヤグラムである。
【0025】
図10は、本願に係る、第2電力出力定格のための別の無線周波数増幅器システムのブロックおよび概略的なダイヤグラムである。
【0026】
図11は、本願に係る、ハーモニックアッテネータを有する電力増幅器モジュールのブロックダイヤグラムである。
【0027】
図12は、図9の無線周波数増幅器システムのための一例としての電力対周波数プロットである。
【0028】
図13は、図9の無線周波数増幅器システムのPAモジュールの出力に対する一例としてのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【0029】
図14は、種々の周波数で動作する電力増幅器のトランジスタと変圧器の一例としてのインピーダンス変化を示すスミスチャートである。
【0030】
図15は、本願に係る、第2周波数範囲で動作する出力インピーダンスマッチングを有する電力増幅器モジュールの概略的なダイヤグラムである。
【0031】
図16は、図15の出力インピーダンスマッチングを有し、第2周波数範囲で動作する無線周波数増幅器システムに対する一例としてのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【0032】
図17は、本願に係る、図15の出力インピーダンスマッチングを有する出力モジュールと、第2周波数範囲で動作する可変クラスモジュールとの概略的なダイヤグラムである。
【0033】
図18は、図15の出力インピーダンスマッチングと図17の可変クラスモジュールとを有し、第2周波数範囲で動作する無線周波数増幅器システムに対する一例としてのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【0034】
図19は、本願に係る無線周波数増幅器システムのための電力増幅器トランジスタのドレイン電圧およびゲート電圧のプロットである。
【0035】
図20は、本願に係るトランジスタ分離(isolation)を有する無線周波数増幅器システムのための電力増幅器トランジスタのドレイン電圧およびゲート電圧のプロットである。
【0036】
対応する部材番号は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。
【0037】
〔詳細な説明〕
添付の図面を参照して、一例としての実施形態についてさらに十分に述べる。
【0038】
この開示が完全なものとなって当業者に範囲を十分に伝えるように、一例としての実施形態を提供する。特定の要素、装置、方法などの多くの具体的な詳細を述べ、本願の実施形態の完全な理解を提供する。具体的な詳細を用いる必要がなく、実施形態は多くの種々の様式で用いることができ、いずれも本開示の範囲を限定すると解釈すべきでないことは当業者には明らかであろう。いくつかの一例としての実施形態では、公知のプロセス、公知の装置構造、公知の技術は詳細には述べていない。
【0039】
ここで開示する実施形態は、電力増幅器(例えばプッシュプル電力増幅器)の出力の直接的な、ガルバニックな結合を有する電力増幅器モジュール構造を有する無線周波数(RF)増幅器システムを有する。各電力増幅器は、各出力変圧器に接続された多重高電力高ゲインのRFトランジスタを有することができる。2つのまたは電力増幅器の出力変圧器の出力は以下にさらに述べるようにガルバニックに結合されていてもよい。電力増幅器モジュールおよび/または電力増幅器は、自動周波数調整(AFT)と超短波(VHF)のための広い帯域幅を示す。これらの実施形態は、平坦なAFT帯域幅、効率的な可変クラス動作、任意の位相角度の開回路および短路回路を示す負荷のための低いスプリアス出力のシステム安定性、および、パルス適用のための直角パルス形状特性を提供する。この安定性は、パルス適用中に提供される。実施形態は、システムの信頼性を増加させながら、システムの複雑さを最小化する。高い電力密度を提供しながら、システムサイズが最小化される。ここに記載する実施形態と構造は、主に、特定の短波(HF)および超短波(VHF)の周波数および/または周波数範囲について記載されるが、実施形態と構造とは、動作の他の周波数および/または周波数範囲にも適用可能である。
【0040】
図1および図2では、従来の可変クラス増幅器システムの電力増幅器(PA)モジュールおよびPAの一例としての電力と電流対周波数のプロットを示す。図1では、PAモジュールに対する電力出力曲線10を示す。PAモジュールは、例えば、並列構成に接続された4つのPA(またはPAのセット)を有してもよい。電力出力は、可変クラス増幅器システムによって受けられる入力信号の周波数の変化にわたって変化する。周波数は、60MHzまたは57〜63MHzの中心周波数から±5%変化する。電力出力は、57〜63MHzの周波数範囲にわたって約46%(1.6dB)変化することがある。以下に述べる実施形態では、電力出力の変化が低減される。
【0041】
図2では、2つの電流曲線12、13は、PAのペアによって用いられる直流(DC)または供給電流を表す。第1電流曲線12は、PAが、電力出力飽和レベルにおいて動作したときの供給電流を表す。第2電流曲線13は、PAが、電力出力飽和レベルにおいてではなく、1dBだけ圧縮した点において動作したときの供給電流を表す。これらの曲線に基づいて、供給電流は、PAが電力出力飽和レベルにおいて動作するかどうかに関係なく、57〜63MHzの周波数動作範囲にわたって約14%変化するといえる。PAモジュールおよび/またはPAの電力出力と供給電流との変化は、PAの、トランジスタ、変圧器、キャパシタンス、インダクタンスのインピーダンスの変化によって起こる。PAのトランジスタによって現れるインピーダンスの変化の例を図3に示す。電力出力と供給電流との変化は、可変クラス増幅器システムの効率に悪影響を及ぼす。
【0042】
図3では、スミスチャートは、2つの周波数に対する可変クラス増幅器システムのPA出力のCLCネットワークの一例としてのインピーダンスの変化を示す。種々の周波数で動作する可変クラス増幅器システムに対し、実数および虚数のインピーダンス曲線14、16が示されている。第1インピーダンス曲線14は、例えば、従来の可変クラス増幅器システムが57MHzの入力信号を受けたときのものである。第2インピーダンス曲線16は、例えば、従来の可変クラス増幅器システムが63MHzの入力信号を受けたときのものである。インピーダンス曲線14、16は、曲線区分に区分される。区分間の標準化された点は、PAのCLCネットワークに沿った種々の点におけるインピーダンスを参照する。曲線14、16は、CLCネットワークのキャパシタンスとインダクタンスとの各インピーダンスに関する区分を有する。
【0043】
従来の可変クラス増幅器システムは、少なくとも部分的には、PA出力あたりのキャパシタンス−インダクタンス−キャパシタンス(CLC)ネットワークに起因して、大きなインピーダンスの変化を示す。例えば、60MHzの中心周波数を受けて周波数が±5%変化する従来の可変クラス増幅器システムは、動作帯域幅(57〜63MHz)にわたって50%の負荷ラインのインピーダンスの変化を示すことがある。従来の可変クラス増幅器の負荷ラインのインピーダンスは、CLCネットワークのインピーダンスを有するPAの伝送ラインの出力におけるインピーダンスを参照することがある。結果として、従来の可変クラス増幅器システムは、狭い帯域のシステムとしてしか用いることはできず、AFT適用には適さない。CLCネットワークは、結合された増幅器システムの他のインピーダンスの変化より多くのインピーダンスの変化に寄与する。
【0044】
以下に、広帯域動作を提供するとともにCLCネットワークの使用を除去および/または最小化する増幅器システムについて記す。増幅器システムは、クラスABモード、クラスEモード、クラスABモードとクラスEモードとの間のモードで、あるいはそれらに近いモードで動作することができ、および/または、クラスOモードで動作することができる。クラスOモードでは、増幅器システムは、インピーダンスを有する可変クラス増幅器システムとして動作し、これは、後述のように、クラスABモード、クラスEモード、またはクラスABモードとクラスEモードとの間のモードで、あるいはそれらに近いモードで動作するように修正することができる。
【0045】
ここに述べる増幅器システムの出力ネットワーク構成によって、予測外の結果が得られた、および/または、様々な特徴が提供される。最小量のインピーダンス変換を維持し、また、電力出力、ゲイン、および供給電流の要件を満たしながら、CLCネットワークおよび/またはインピーダンスが除去され、(サイズおよび量的に)最小化され、および/または修正される。一例としての、電力出力、ゲイン、および供給電流の要件は、最小の電力出力、最小量のゲイン、最大量の供給電流、AFT動作範囲にわたる最大量の電力出力変化、AFT動作範囲にわたる最大量のゲイン変化、および/または、AFT動作範囲にわたる最大量の供給電流変化を含んでよい。予測外の結果および/または様々な特徴は、RF増幅器システムのAFT帯域にわたる、PAモジュール電力出力、PAゲインおよびPA供給電流の最小の変化を含む。
【0046】
増幅器システムは、特定の周波数範囲、および/または、特定の周波数にて動作するように記載しているが、増幅器システムは、VHF範囲内、それより下、および/またはそれより上で動作してもよい。VHF範囲は、例えば、30〜300MHzであってよい。また、増幅器システムは、特定の周波数を有する入力信号を受けるように記載しているが、受ける入力信号は、VHF範囲内、それより下、および/またはそれより上の周波数を有してもよい。
【0047】
図4に無線周波数(RF)増幅器システム20を示す。RF増幅器システム20は、ドライバモジュール22、多重電力増幅器(PA)モジュール24、26、および電力コンバイナ28を有する。ドライバモジュール22は、中心周波数を有する入力信号30を受ける。RF増幅器システム20は、ここで述べる動作周波数のうちの任意のものを含む様々な動作周波数に適用することができる。単なる例としては、RFシステム20の中心周波数は、第1周波数範囲とすることができ、例えば、40MHzより大きくすることができる。例えば、中心周波数は60MHzとすることができる。第1周波数範囲にあるように述べているが、中心周波数は、27MHzなどのように、40MHzと等しいまたはそれより小さい周波数とすることができる。入力信号30の周波数は、例えば±5〜10%変化することができる。ドライバモジュール22は、入力信号30を増幅して、低電力RF信号(すなわち、増幅された出力信号)32を生成する。
【0048】
低電力RF信号は、PAモジュール24、26のそれぞれによって受けられる。PAモジュール24、26は、低電力RF信号32(第1範囲に電力を有するRF信号)を高電力RF信号34、36(第1範囲より高い第2範囲に電力を有するRF信号)に変換する。電力コンバイナ28は、高電力RF信号34、36を結合する。電力コンバイナ28の出力は、負荷(例えば電圧定常波比負荷)40に提供される。負荷40は、例えばプラズマチャンバとすることができる。PAモジュール24、26からの結合された電力は、負荷40を駆動し、集積回路、ソーラーパネル、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的(またはビデオ)ディスク(DVD)などの様々な部品を製造することができる。負荷40は、限定しない例として、プラズマチャンバを含むRF信号によって駆動される多くの素子や装置のうちの任意のものを含むことができる。負荷40は、広帯域のミスマッチ負荷(すなわち、ミスマッチ抵抗ターミネーション)、狭帯域抵抗負荷(すなわち、2素子マッチングネットワーク)および共振器負荷を含むことができる。負荷40は、開回路または短路回路の負荷であってよい。発電機の出力からの種々の電気位相長は、負荷と関連している。
【0049】
ドライバモジュール22は、抵抗ネットワーク50、ハイブリッドモジュール52、アッテネータ54、前置増幅器56、ドライバ58およびスプリッタ60を有する。抵抗ネットワーク50は、様々な抵抗を有するパイ(pie)ネットワークであってよい。ハイブリッドモジュール52は、多重段階の増幅を行うハイブリッド増幅器を含むことができる。アッテネータ54は、ハイブリッドモジュール52の出力を減衰させ、また、AFT帯域にわたるゲイン変化を最小化するために、RF増幅器システム20の動作周波数に調整されたインダクタンス−キャパシタンス(LC)ネットワークを有してもよい。60MHzでは、アッテネータ54のLCネットワークは、PAモジュール24、26のPAの周波数補償のための正のゲイン勾配を提供する。前置増幅器56は、アッテネータ54の出力を増幅するシングルエンドトランジスタを有してもよい。ドライバ58は、PAモジュール24、26の電力増幅器の一つと同様のプッシュプル電力増幅器を有してもよい。
【0050】
抵抗ネットワーク50、ハイブリッドモジュール52、アッテネータ54および前置増幅器56は、入力信号30の信号状態を増幅し、調整された信号62を生成する。調整された信号62は、ドライバ58に提供される。ドライバ58の出力は、スプリッタ60(分離されたスプリッタと称する)を介して多重低電力RF信号64、66へと分けられ、PAモジュール24、26によって受けられる。
【0051】
RF増幅器システム20は、任意の個数のPAモジュールを有してよい。RF増幅器システム20は、受けられたDC電力に基づいてRF電力を提供する。限定しない例として、PAモジュール24、26のそれぞれは、例えば、2.5キロワット(kW)と等しいまたはそれより大きい電力出力を提供してもよい。RF増幅器システム20は、例えば、3.5kWの電力を提供してもよい。例えば、5kWおよび10kWの電力を提供するRF増幅器システムが、図9図10にそれぞれ設けられている。PAモジュール24、26の出力が電力コンバイナ28によって受けられて、負荷40を駆動する。第1PAモジュール24は、第1スプリッタ68、第2スプリッタ70、第3スプリッタ72、また、3つのプッシュプルPA(PAの第1セット)74、76、78、および、抵抗80を有してもよい。第2PAモジュール26は、第1スプリッタ82、第2スプリッタ84、第3スプリッタ86、また、3つのプッシュプルPA(PAの第2セット)88、90、92、および、抵抗94を有してもよい。ここに示したスプリッタ60、68、70、72、82、84、86および他のスプリッタは、分離されたタイプであってもよいし、および/または、それぞれがウィリキンソン(Wilikinson)電力スプリッタであってもよい。これによって、PA74、76、78、88、90、92の間の相互作用が防がれる。
【0052】
第1スプリッタ68、82は、低電力RF信号64、66を分ける。第1スプリッタ68、82の出力は、第2・第3スプリッタ70、72、84、86へ提供される。第2スプリッタ70、84の出力は、PA74、76、88、90のうちのそれぞれの一つへ提供される。第3スプリッタ72、86の出力は、PA78、92および抵抗80、94のうちの、それぞれの一つへ提供される。抵抗80、94は、第3スプリッタ72、86と接地基準100との間に接続されていてもよい。抵抗80、94は、それぞれ、例えば、50オーム(Ω)の抵抗を有してもよい。
【0053】
PA74、76、78の出力は、出力モジュール101に提供されてもよく、分離無しでガルバニックかつ直接に互いに接続されていてもよい。PA88、90、92の出力は、出力モジュール102に提供されてもよく、分離無しでガルバニックかつ直接に互いに接続されていてもよい。一例としての出力モジュールを図7図8図15図17に示す。ここに示した各出力モジュールは、結合、インピーダンスマッチングおよび周波数補償を提供する。3重PA構成を用いる動作効率(すなわち、RF増幅器システム20の電力出力対電力入力)は、負荷ラインがより低く、それゆえクラスE動作により近いので、最大80%までになりうる。出力LC変換は、平坦なAFT応答を提供する60MHzで3重PA構成として用いることはできない。これは、各PA出力によって見られる負荷がより低く、それゆえ、PAが、可変クラス範囲の高い効率端部で動作するからである。各個々のPA出力での出力LC変換も用いることができるが、その結果は、伝送ラインを用いるこの直接に結合されたアプローチほど平坦ではない。効率が高すぎてプラズマコントロールループ応答が不十分である適用に、可変クラスモジュールを用いることができる。
【0054】
RF増幅器システム20は、2つのPAモジュールを有するように示されているが、RF増幅器システム20は、任意の個数のPAモジュールを有することができる。また、PAモジュール24、26のそれぞれは、3つのPAを有するように示されているが、PAモジュール24、26のそれぞれは、任意の個数のPAを有することができる。4つのPAをそれぞれ有するPAモジュールを有するRF増幅器システムの例を図9に示す。
【0055】
出力モジュール101、102の出力で所定のインピーダンスを提供するために、PA74、76、78、88、90、92内の部品および/または電力コンバイナ28とPA74、76、78、88、90、92との間に接続された部品は、PAモジュールごとのPAの個数を変えたときに変えてもよい。また、PAモジュールごとのPAの個数、および/または、結合された出力端子を共有するPAの個数は、以下のものに応じて変えてもよい:PAにおけるトランジスタのタイプとインピーダンス;PAにおける変圧器のタイプと巻数比;および/または、PA74、76、78、88、90、92と出力モジュール101、102の出力との間の伝送ラインのインピーダンス。
【0056】
PAの個数は、種々の動作クラスを提供するために調節することができる。第1番号のPAは、第1クラスで動作する増幅器システムを提供することができる。第2番号のPAは、第2クラスで動作する増幅器システムを提供することができる。例として、60MHzでは、3PA構成または4PA構成を選択することによってPA動作クラスを変化させてもよい。それは、これが、各個々のPA出力によって見られる負荷を変化させるからである。(i)PA(例えばPA74、76、78、88、90、92)と(ii)電力コンバイナ28との間のキャパシタンスおよびインダクタンスの個数と配置とを変えることもできる。これについては後でより詳しく説明する。
【0057】
電力コンバイナ28は、第1部門110と第2部門112とを有する。第1部門110は、第1インダクタンス114と第1キャパシタンス116とを有する。第2部門112は、第2インダクタンス118と第2キャパシタンス120とを有する。第1インダクタンス114と第1キャパシタンス116とは、第1出力端子102と接地基準100との間に直列に接続されている。第2インダクタンス118と第2キャパシタンス120とは、第2出力端子104と接地基準100との間に直列に接続されている。第3出力端子122は、第1インダクタンス114と第1キャパシタンス116との間;第2インダクタンス118と第2キャパシタンス120との間;および、負荷40に、接続されている。電力コンバイナ28は、非分離コンバイナであってもよい。非分離コンバイナとしては、電力コンバイナ28は、出力モジュール101、102とインダクタンス114、118との間に抵抗を有さない。
【0058】
図5に、従来の可変クラス増幅器システムと図4のRF増幅器システム20に対して一例としての電力対周波数プロットが示されている。第1電力対周波数曲線140は、従来の可変クラス増幅器システムに対して示される。第2電力対周波数曲線142は、RF増幅器システム20に対して示される。第1電力対周波数曲線140は、所定の周波数範囲にわたって電力出力の46%(1.6dB)の変化を示している。曲線140、142の電力出力値は、それぞれのPAモジュールの電力出力と関連している。第2電力対周波数曲線142は、同じ所定の周波数範囲にわたって電力出力の6%(0.25dB)より少ない変化を示している。それゆえ、RF増幅器システム20は、AFT周波数範囲にわたって、従来の可変クラス増幅器システムよりも、電力出力および効率についての少ない変化を示す。従来の設計の負荷ラインおよびCLCインピーダンスの変化に起因して、効率は、従来の可変クラス設計よりも、低い周波数で、より高くなっている。結果として、RF増幅器システム20は、効率が改善されている。
【0059】
電力出力の変化を減少させることに加えて、RF増幅器システム20はまた、PAによって消費される供給電流の変化をも減少させる。同じ例から引き続き、従来の可変クラス増幅器システムは、図2に示すように、供給電流に約16%の変化を示すことがある。RF増幅器システム20は、第1周波数範囲での動作中に、約7%より少ない変化を示すことができる。
【0060】
ここで図6も参照して、PAモジュール143を示す。PAモジュール143は、様々な中心周波数(例えば、27MHz、40MHzおよび60MHz)に対して用いることができる。PAモジュール143は、PA150−153を有する。図6には4つのPAを示すが、任意の個数のPAを有してもよく、それらの出力は結合される。PA150−153は、プッシュプルPAであってもよい。PA150−53は、入力モジュール154−157、スイッチモジュール158−165および結合モジュール166−169をそれぞれ有する。入力モジュール154−157は、低電力入力信号(例えば図4の低電力RF信号32)を受けるようになっており、この信号は、周波数(例えば中心周波数から±5%)および/または位相が変化する発振信号であってもよい。低電力RF入力信号は、スプリッタ144、146、148から来たものであってもよい。入力モジュール154−157は、スイッチモジュール158−165のそれぞれに、低電力RF入力信号を提供する。入力モジュール158−165は、スプリッタ146、148のうちの一つと、スイッチモジュール158−165との間のインピーダンス変換を行うことができる。入力モジュール154−157のインピーダンスは、一つのスプリッタ(例えば図4のドライバモジュール22のスプリッタ60)と、一つまたはそれより多いスプリッタ(例えばスプリッタ146、148)との間でインピーダンスマッチングを行えるように設定されることができる。PAモジュール143の入力インピーダンスは例えば50Ωとしてもよい。入力モジュール154−157はまた、スイッチモジュール158−165に、平衡駆動(0°、180°)および/または平衡信号を提供する。図4の電力コンバイナ28は、増幅された平衡信号を結合し、シングルエンドの出力を提供する。
【0061】
入力モジュール154−157はまた、スイッチモジュール158−165の入力において入力インピーダンスを減少させることができ、また、スイッチモジュール158−165からおよび負荷から受ける反射電力を分散させ、分離することができる。図6には示していないが、シャント(分路)抵抗とシャントキャパシタンスが、入力モジュール154−157とスイッチモジュール158−165との間に設けられていてもよい(例えば図15を参照)。これにより、PA逆分離(S12)からの逆電力の結果として、PA間での相互作用が各PA入力に到達し、不安定さと、特にf/2の周波数でのスプリアス出力を起こすことが、防止される。スイッチモジュール158−165は、入力モジュール154−157からそれぞれの出力信号を受けて、増幅された信号を生成する。結合モジュール166−169は、増幅された信号を結合し、結合された出力信号を生成し、この出力信号は、電力コンバイナおよび/または負荷に提供されてもよい。
【0062】
結合モジュール166−169の出力は、出力モジュール174に提供される。出力モジュール174は、後にさらに述べるように、インピーダンスマッチングを行うことができる。インピーダンスマッチングは、結合モジュール166−169の出力と、電力コンバイナおよび/または負荷との間で行われる。PA150−153の出力は、分離無しで、出力端子において、ガルバニックかつ直接に結合されていてよい。出力端子は、電力コンバイナおよび/または負荷と接続されていてよい。
【0063】
入力モジュール154−157のそれぞれは、以下に述べる通り、キャパシタンスおよび/または変圧器を有してよい。スイッチモジュール158−165のそれぞれは、以下に述べる通り、キャパシタンスおよびスイッチを有してよい。結合モジュール166−169のそれぞれは、以下に述べる通り、変圧器(例えばバラン(Balun)変圧器)を有してよい。出力モジュール174は、以下に述べる通り、PA出力伝送ラインとシャントキャパシタンスとを有してよい。
【0064】
図7にPAモジュール190を示す。PAモジュールは、様々な中心周波数(例えば60MHz)に用いることができ、スプリッタ192、194、196、PA200−203および出力モジュール206を有する。4つのPAが示されて、その出力は出力モジュールによって結合されているが、任意の個数のPAを導入してその出力を結合してもよい。PA200−203は、入力モジュール212−217、スイッチモジュール218−223および結合モジュール224−229を有する。入力モジュール212−217のそれぞれは、それぞれ、第1キャパシタンスC1、C2、C3、C4および入力変圧器T1、T2、T3、T4(例えば双眼(binocular)入力変圧器)を有してもよい。ある実施形態(例えば、27MHzまたは40MHzなどの、60MHz以外の中心周波数での動作)では、第1キャパシタンスC1−C4は設けられない。入力変圧器T1−T4の各出力には、シャント抵抗R1−R8が設けられている。他の実施形態(例えば、27MHzまたは40MHzなどの、60MHz以外の中心周波数での動作)では、入力変圧器T1−T4の各出力には、図15に示すようなシャントキャパシタンスが設けられている。入力変圧器T1−T4の各出力におけるシャント抵抗R1−R8およびシャントキャパシタンスは、PA200−203のそれぞれにおけるトランジスタ間のインピーダンス変換および分離を行い、f/2のスプリアスピークを防止する。
【0065】
第1キャパシタンスC1−C4および入力変圧器T1−T4は、スプリッタ194、196から低電力RF信号を受ける。第1キャパシタンスC1−C4の第1端部は、入力変圧器T1−T4の一次入力巻線の第1端部に接続されている。第1キャパシタンスC1−C4の第2端部は、接地基準230に接続されている。一次入力巻線の第2端部は、接地基準230に接続されている。
【0066】
入力変圧器T1−T4の二次出力巻線の各出力は、スイッチモジュール218−223の一つに接続されている。スイッチモジュール218−223のそれぞれは、第2キャパシタンスC5、C7、C9、C11、第1トランジスタQ1、Q3、Q5、Q7、第3キャパシタンスC6、C8、C10、C12、および、第2トランジスタQ2、Q4、Q6、Q8、のうちのそれぞれ一つを有している。二次出力巻線は、第2キャパシタンスC5、C7、C9、C11と第3キャパシタンスC6、C8、C10、C12との間に接続されている。トランジスタQ1−Q8は、制御端子(すなわちゲート)、ドレイン、ソースを有する。トランジスタQ1−Q8は、例えば、金属−酸化物−半導体の電界効果トランジスタ(MOSFET)であってよい。制御端子のそれぞれは、第2および第3キャパシタンスC5−C12のうちのそれぞれ一つに接続されている。ドレインは、結合モジュール224−229に接続されている。ソースは、接地基準230に接続されている。
【0067】
結合モジュール224−229は、それぞれ、出力変圧器T5−T8のうちのそれぞれ一つを有し、これは、バラン(Balun)変圧器であってよい。示された4重PA構成では、出力変圧器T5−T8の巻線比は例えば4:1とすることができる。他の例として、3重PA構成では、対応する出力変圧器の巻線比は3:1とすることができる。
【0068】
PA200−203のそれぞれのトランジスタQ1−Q8のドレインは、出力変圧器T5−T8の一つの一次入力巻線の端子に接続されている。出力変圧器T5−T8の各二次出力巻線は、第1端子と第2端子とを有する。二次出力巻線の第1端子は、出力モジュール206に接続されている。二次出力巻線の第2端子は、接地基準230に接続されている。
【0069】
PA200−203の出力は、各出力端子208に直接に接続されている。PA200−203に関係する伝送ライン231−234の出力で測定された出力インピーダンスは、例えば、108−j95Ωとすることができる。伝送ライン231−234は、PA200−203の出力と出力端子208との間の導電ラインまたはトレースを参照してよい。結果として、出力端子208のインピーダンスは、PA200−203の出力の並列接続、伝送ライン231−234のインピーダンス、およびシャントキャパシタンスC13のインピーダンスに起因して、50オームである。
【0070】
出力モジュール206は、周波数にわたるインピーダンス補償だけでなく、正しいPA出力負荷ラインインピーダンスを提供し、それゆえ、AFT帯域にわたる、出力電力、消費される電力供給電流、およびPA200−203のゲインについて、変化を最小化する。開示されたネットワークは、ロスを最小化し、PA200−203の全体的な効率を増加させる。周波数に対する出力電力の変化を最小化するCLCインピーダンスマッチングネットワークは含まれていない。出力モジュール206は、これらのインピーダンス変化を補償して、出力電力レベル、消費される供給電流、およびPA200−203のゲインについて、周波数変化を最小化する。例として、60MHzでは、周波数インピーダンス補償が低い。これは、AFT帯域にわたる、出力電力レベル、消費される供給電流、およびPA200−203のゲインを、一定レベルに維持するのに役立ち、PA200−203の効率を増加させる。
【0071】
出力モジュール206は、シャントキャパシタンス(C13と表す)と各伝送ラインまたはトレース(例えば、PA200−203のそれぞれに対する伝送ライン231−234)とを有してもよい。代替として、出力モジュール206は、シャントキャパシタンスC13と、PA200−203によって共有される単一の伝送ラインとを有してもよい。この代替実施形態では、PA200−203の出力は、出力モジュール206の前に、直接にガルバニックに互いに接続される。
【0072】
PA負荷ラインおよび/またはPAモジュール負荷ラインの細かい調整のために、さらなるシャントキャパシタンスを設けてもよい。例えば、図15に示すRF電力増幅器システムを参照されたい。図15の出力モジュールの上記のさらなるキャパシタンスは、例えば、27MHzおよび40MHzの中心周波数の実施形態に用いることができ、正しい負荷ライン、周波数インピーダンス補償および結合を提供する。C21−25の値は、40MHzの中心周波数の実施形態のために、最小化され、および/または、ゼロになってもよい。伝送ライン231−234は、それぞれ、関連するインダクタンスおよび/または抵抗を有してもよい。伝送ライン231−234は、プリント基板(PCB)の伝送ライントラックを介して接地されていてもよい。ある実施形態では、伝送ライン231−234は、PCB上のトレースである。伝送ライン231−234の出力端部は、分離無しで、出力端子208においてガルバニックに互いに接続されている。出力端子208から電力コンバイナおよび/または負荷へ電力が提供される。
【0073】
図8にPAモジュール190を示す。PAモジュールは、スプリッタ192、194、196、PA200、201、202、203および出力モジュール206を有する。PA200−203の出力は、出力モジュール206に提供される。出力モジュール206の出力は、可変クラスモジュール250にて提供されて、この可変クラスモジュールは、50オームの負荷インピーダンスを、より低いインピーダンスに変換することによって動作し、動作クラスをクラスEに近づけ、効率を増加させる。PA200−203は、キャパシタンスC1−C12、抵抗R1−R8、変圧器T1−T8、およびトランジスタQ1−Q8を有してもよい。ある周波数の実施形態(例えば40MHz)では、第1キャパシタンスC1−C4は設けられていない。他の周波数の実施形態(例えば27MHzおよび40MHz)では、図15に示すようなシャントキャパシタンスが、入力変圧器T1−T4の出力に設けられている。シャント抵抗R1−R8は、実数(real)のインピーダンス負荷を提供し、また、直列のキャパシタC5−C12と共に、プッシュプルPA200−203のそれぞれにおけるトランジスタ対の間の分離を提供し、この分離によって、特にf/2近傍の周波数で、スプリアス出力が防止される。このさらなる分離は、主にCgdによって起きる、限定されたトランジスタ逆分離(S12)ゆえ、有用である。図8の回路素子の英数字の番号のいくつかは、ここに開示された他のRF増幅器システムの回路素子の英数字の番号と一致するが、同じ英数字の番号を有する回路素子のインピーダンスは異なっていてもよい。
【0074】
出力モジュール206は、伝送ライン231−234およびシャントキャパシタンスC13を有する。可変クラスモジュール250は、出力モジュール206の出力すなわち出力端子208に接続されている。出力モジュール206と可変クラスモジュール250とが、出力ネットワークを提供する。
【0075】
可変クラスモジュール250は、PA200−203および対応するRF増幅器システムが、同時に、および/または、同じ期間中に、異なるクラス動作モード(例えばクラスAB−クラスEモード)間で変化することを可能にする。AFT電力の平坦性をいくらか犠牲にして高い効率が必要ならば、また、トランジスタの周波数定格がもはやAFT電力の平坦性を制限するものではないならば、可変クラスモジュール250が設けられる。可変クラスモジュール250は、PA200−203が共同でクラスO増幅器として動作することを可能にし、このクラスO増幅器は、50オームの負荷インピーダンスを、より低いインピーダンスに変換することによって動作し、また、出力変圧器の漏れインダクタンスと共に、PAの動作クラスをクラスEに近づけ、効率を改善する。インピーダンスを、、より低いインピーダンスに変換して、50オームに戻すことにより、クラス動作が、より低い効率のクラスABに戻る。可変クラスモジュール250は、PA200−203のそれぞれの、および/または出力モジュール206の、各出力において実数および虚数のインピーダンスが同時に調節されることを可能にする。
【0076】
可変クラスモジュール250は、第1インダクタンスL1およびシャントキャパシタンスC14を有する。第1インダクタンスL1は、第1端部252と第2端部254とを有する。シャントキャパシタンスC14は、第1端部256と第2端部258とを有する。第1端部252は、出力端子208において、出力モジュール206の出力および/または伝送ライン231−234の出力と接続されている。第2端部254は、第1端部256に接続されている。第2端部258は、接地基準230に接続されている。第2端部254および第1端部256は、電力コンバイナおよび/または負荷に接続されている。
【0077】
シャントキャパシタンスC13、第1インダクタンスL1および/またはシャントキャパシタンスC14の値を変化させて、PA200−203を含む対応するRF増幅器システムのクラス動作モードを変えてもよい。一例として、シャントキャパシタンスC13およびシャントキャパシタンスC14の値を変化させることによって、RF増幅器システムは、クラスABモード、クラスEモード、および/または、クラスABとクラスEとの間の任意の選択されたクラスモードにて動作することができる。RF増幅器システムの動作は、例えばシャントキャパシタンスC14を増加させることによってクラスEモードへと調整することができ、また、シャントキャパシタンスC14を減少させることによってクラスABモードへと調整することができる。
【0078】
図9に、第1周波数範囲で動作するとともに第1電力出力定格(例えば、5キロワット(kW)、PAモジュール当たり2.5kW)を有する4重PA構成を有する他のRF増幅器システム270を示す。RF増幅器システム270は、ドライバモジュール272、第1PAモジュール274、第2PAモジュール276および電力コンバイナ278を有する。ドライバモジュール272は、抵抗ネットワーク280、ハイブリッドモジュール282、アッテネータ284、前置増幅器286、ドライバ288、およびスプリッタ290を有し、これは、図4の、抵抗ネットワーク50、ハイブリッドモジュール52、アッテネータ54、前置増幅器56、ドライバ58、およびスプリッタ60と似ているといえる。スプリッタ290は、スプリッタ68、82から分離されていてもよい。PAモジュール274、276はPAモジュール24、26と似ているが、それぞれ、4つのPA292、294、296、298(またはPAのセット)を有し、抵抗は有さない。PAモジュールは、スプリッタ68−72および82−86を有する。
【0079】
PA274、276は、4:1の巻数比を有する、(図7図8の第2変圧器T2と類似する)第2変圧器を有する。巻数比は、4つのPAの導入に起因して、インピーダンスマッチングを行って、電力出力要件を満たすために、4:1である。例えば60MHzで、4つのPAの実施形態には、3:1の比率を用いてもよい。これによって、4つのPAが、クラスAB動作に近くなる。例えば27MHzおよび40MHzにおいて、4つのPAは、所定の負荷ラインを提供するために、また、インピーダンスマッチングを補正するLC周波数補償を可能にするために、4:1の比率の変圧器を有してもよい。4重PA構成を用いる動作効率は、例えば、最大73%にまでなる。PA274、276の例を図15および図17に示す。第1および第2PA292、294は、第2スプリッタ70、84から出力を受ける。第3および第4PA296、298は、第3スプリッタ72、86の出力を受ける。
【0080】
PA292−298の出力は、出力モジュール300、301を介して、分離無しで、各出力端子にガルバニックかつ直接に接続されていてもよい。PA292−298の各伝送ラインの出力で測定した出力インピーダンスは、例えば100−j66Ωであってよい。結果として、各出力端子でのインピーダンスは、PA292−298の出力の並列接続に起因して、50Ωである。伝送ラインおよび/またはPA292−298とインダクタンス114、118との間のラインの長さは、同じ長さでもよいが、および/または、同一のインピーダンスを有するRF電気経路長を提供できるように対称でもよい。この対称は、ここに述べるRF増幅器システムの任意のものによって提供することができる。
【0081】
電力コンバイナ278は、インダクタンス114、118およびキャパシタンス116、120を有する。インダクタンス114、118はそれぞれ、出力モジュール300、301の出力端子のうちのそれぞれ一つに接続されている。インダクタンスの第2端部からとった電力コンバイナ278の出力が負荷310に提供される。
【0082】
図10には、第2電力出力定格(例えば、10キロワット(kW)、PAモジュール当たり2.5kW)のための別のRF増幅器システム320を示す。RF増幅器システム320は、ドライバモジュール322、各出力モジュール325、327、329、331を有するPAモジュール324、326、328、330、および、電力コンバイナ332を有する。RF増幅器システム320は、27MHz、40MHz、60MHzおよび/または他の中心周波数の実施形態のために用いることができる。ドライバモジュール320は、抵抗ネットワーク334、ハイブリッドモジュール336、アッテネータ338、前置増幅器340、ドライバ342、および第1スプリッタ344を有し、これは、図9の、抵抗ネットワーク280、ハイブリッドモジュール282、アッテネータ284、前置増幅器286、ドライバ288、およびスプリッタ290と類似のものであってもよい。アッテネータ338は、LC周波数補償のためのLCネットワークを有していてもよい。
【0083】
ドライバモジュールはまた、第2スプリッタ346および第3スプリッタ348を有してもよい。スプリッタ346、348は、第1スプリッタ344の各出力信号を分ける。スプリッタ346、348の出力信号のそれぞれは、PAモジュール324−330のうちのそれぞれ一つに提供される。スプリッタ344、346、348は、ウィリキンソン(Wilikinson)タイプのスプリッタであってもよい。ここに開示したスプリッタ344、346、348および他のスプリッタは、安定性を提供するため、また、スプール(spur)を最小化するために、分離されたスプリッタである。
【0084】
電力コンバイナ332は、出力端子351のうちのそれぞれ一つにそれぞれ接続されたインダクタンス356を有する。電力コンバイナ332はまた、インダクタンス356と接地基準352との間に接続されたキャパシタンス358、360を有してもよい。電力コンバイナの出力は、負荷362に提供されてもよい。
【0085】
図11に、ハーモニックアッテネータ回路382を有するPAモジュール380を示す。PAモジュール380は、図9および図10のRF増幅器システムのPAモジュールの一つを置き換えることができる。PAモジュール380は、スプリッタ382−386、PA388−394および出力モジュール395を有する。PAモジュール380はまた、ハーモニックアッテネータ回路382を有し、ハーモニックアッテネータ回路382は、インダクタンス396、キャパシタンス398および抵抗400を有してもよい。インダクタンス396、キャパシタンス398および抵抗400は、直列に、また、出力端子402と接地基準404との間に、接続されている。ハーモニックアッテネータ回路382は、RF増幅器システム(例えば、RF増幅器システム270、320のうちの一つ)と関連する第2高調波を減衰させる。RF増幅器システムは、広い帯域幅で動作可能である(例えば、中心周波数から±5%変化する周波数を有する入力信号で動作する)ので、第2高調波が生成される。ハーモニックアッテネータ回路382は、これらの高調波を減衰させる。
【0086】
PAモジュール380は、第3高調波のようなさらなる高調波を減衰させるために、第2ハーモニックアッテネータ回路(または第2ハーモニックトラップ)405を有してもよい。第2ハーモニックトラップは、インダクタンス396、キャパシタンス398および抵抗400とは異なる調整値を有する、インダクタンス406、キャパシタンス407および抵抗408を有してもよい。第2ハーモニックトラップは、第1トラップと並列に接続されてもよい。
【0087】
図12に、図9のRF増幅器システム270に対する、一例としての電力対周波数プロットを示す。57−63MHzの周波数動作範囲にわたって約0.2dB(または4.7%より小さい)変化する電力出力曲線410が示されている。これは、従来の可変クラス増幅器システムより実質的に少ない変化である。結果として、RF増幅器システム270は、関連するAFT範囲の、より低い周波数において、改善された動作電力効率を示す。また、出力ネットワークを簡素化して、用いられる部品の個数を減少させることによって、電力量比と部品のロスとがさらに減少する。負荷に供給されるRF電力は平坦(無変化)であり、周波数の変化に伴う電力供給電流の変動は最小である。
【0088】
図13に、図9のRF増幅器システム270のPAモジュールの出力に対する、一例としてのインピーダンスを表すスミスチャートを示す。AFT範囲にわたる出力ネットワークインピーダンス変動は、最小である。2つの標準化されたインピーダンスポイント420、422が、57MHzおよび63MHzに示されている。2つの標準化されたインピーダンスポイント420、422は、ここに開示したインピーダンスマッチングの結果としての出力インピーダンスである。インピーダンスマッチングを含まない、PAモジュールの出力におけるインピーダンスは、ポイント424、426に示されている。インピーダンスは、負荷において57MHzおよび63MHzに対して50オームであり、トラックの他の端部でインピーダンス420および422へと変換される。これらは、仮に4つの変圧器が一緒に結合されて単一の伝送ラインの端部に接続されていたとした場合にその4つの変圧器が示すインピーダンスである。各個々のPA変圧器出力は、一般的にもっと高い、異なったインピーダンスを示すであろう。各PAは、例えば、47−j10Ωのインピーダンスを示してもよく、ここで、47は実数インピーダンス部分で、10は、虚数インピーダンス部分である。PAが出力接続点に直接に結合されていると、並列の200オームのPAインピーダンスは50オームとなる。このトラックの他の端部でのインピーダンスは、各PA出力によってみられるインピーダンスでもあり、例えば、108−j95オームである。3つのPAの場合は、各PA出力によってみられるインピーダンスは、例えば、100−j66オームであってもよい。
【0089】
実数インピーダンス部分と虚数インピーダンス部分とを200で割ると、スミスチャートに示されるインピーダンスポイントが提供される。結果として、PAモジュールの第2変圧器の出力の実数インピーダンスは、インピーダンスマッチングを用いて、周波数動作範囲にわたって8.56Ωまたは約7%変化してもよい。実数インピーダンスは、PAのそれぞれの所定のインピーダンスを提供するために、インピーダンスマッチングを用いて調節されてもよいし、出力端子(例えば図15の出力端子464)において、例えば50Ωの、結合された公称インピーダンスを提供するために、他のPAの出力と結合されてもよい。3つのPAおよび4つのPAの例については、上述の他の一例の実数インピーダンスおよび虚数インピーダンスの値を参照されたい。
【0090】
図14に、トランジスタと変圧器(例えば、図7図8のトランジスタQ1−Q8のうちの2つと、変圧器T5−T8のうちの対応するもの)の一例のインピーダンス、および/または、種々の周波数で動作する変圧器の二次コイルで測ったインピーダンスを表すスミスチャートを示す。周波数(例えば、13MHz、27MHz、40MHz、60MHz)は、PAによって受けられて±5%の周波数変動を有する信号の周波数を参照してもよい。図14は、出力変圧器の二次側での出力インピーダンス変動の量を示す。種々の動作周波数に対する出力モジュールに差がある原因は、周波数にわたってこの出力の双眼の出力変圧器インピーダンスによる。出力モジュールは、与えられた負荷ラインに対するインピーダンス変換においても、周波数インピーダンス補償の量においても、異なっている。この変動は、固定された並列のRCが変圧器の一次側に接続されていることによる、出力変圧器の変動である。
【0091】
種々の周波数に対するトランジスタと変圧器との結合されたインピーダンスに対してインピーダンス曲線430を示す。インピーダンス曲線430においては、13.0MHz、27.0MHz、40MHz、60MHzに対してそれぞれ4つのインピーダンスポイント1−4が示されている。これらのポイント1−4のそれぞれは、RF増幅器システムおよび/またはRF増幅器システムのPAに供給される入力信号の中心周波数を参照してもよい。一例として、トランジスタと変圧器との結合された実数インピーダンスは、4つのインピーダンスポイント1−4と関連する4つの動作周波数にわたって所定の量だけ変動してもよい。
【0092】
これらのインピーダンス変動は、PAモジュールのゲインと電力出力との変動の量に対し否定的な影響を与える。第2周波数範囲に対するこれらのインピーダンス変動を最小化するために、図15に示すように、RF増幅器システムに、出力インピーダンスマッチングモジュール(または周波数インピーダンス補正モジュール)を導入してもよい。
【0093】
図15に、PAモジュール440を示し、これは、スプリッタ442−446、PA450−456および出力モジュール463を有する。PAモジュール440は、様々な動作中心周波数(例えば27MHzおよび40MHz)のために用いられてもよい。PA450−456のそれぞれは、第1キャパシタンスC1−C4、入力変圧器T1−T4、シャント抵抗R1−R8、トランジスタQ1−Q8および出力変圧器T5−T8を有してもよい。ある周波数の実施形態においては、第1キャパシタンスC1−C4は設けられない。他の周波数の実施形態(例えば27MHzおよび40MHz)においては、図15に示すようなシャントキャパシタンスが、入力変圧器T1−T4の出力に設けられる。シャント抵抗R1−R8は、実数のインピーダンス負荷を提供し、また、直列のキャパシタC5−C12と共に、プッシュプルPA200−203のそれぞれにおけるトランジスタ対の間の分離を提供し、この分離によって、特にf/2近傍の周波数で、スプリアス出力が防止される。シャント抵抗R1−R8およびシャントキャパシタンスC5−C12は、(i)入力変圧器T1−T4の出力と(ii)第2キャパシタンスC13−C20との間に接続されている。図15の回路素子の英数字の番号のいくつかは、ここに開示された他のRF増幅器システムの回路素子の英数字の番号と一致するが、インピーダンスは異なっていてもよい。
【0094】
第2変圧器T5−T8は、第2変圧器T5−T8の出力でのインピーダンスを増加させるために、それぞれ、例えば4:1の巻数比を有してもよい。第2変圧器T5−T8は、広帯域のCLC補償を可能にするために、4:1の巻数比を有してもよい。出力モジュール463は、PA450−456のそれぞれに対し、シャントキャパシタンスC21−C24および伝送ライン456−462を有する。伝送ライン456−462の出力は、分離無しで、出力端子464において、ガルバニックかつ直接に互いに接続されていてもよい。特に、27MHzの4重のPAの実施形態に対し、出力モジュール(すなわち、コンバイナ、インピーダンスマッチングおよび周波数インピーダンス補償モジュール)は、周波数インピーダンス補償を有するが、これは、AFT帯域にわたる出力電力変動が高いためである。
【0095】
PA450−456は、(例えば、27MHzまたは40MHzの中心周波数を有する)第2周波数範囲で動作するので、トランジスタQ1−Q8および第2変圧器T5−T8のインピーダンスは、第1周波数範囲で動作するときとは異なっている。LC回路465は、コンバイナ、インピーダンスマッチング・周波数インピーダンス補償モジュール、または、出力モジュールの、一部である。トランジスタのドレインのインピーダンスは、第2周波数範囲またはそれより低い周波数範囲で動作するときに増加する。一例として、トランジスタのドレインのインピーダンスは、60MHzで動作するときから、40MHzで動作するときまで、15%増加することがある。
【0096】
LC回路465は、出力端子464に接続され、第1インダクタンスL1およびシャントキャパシタンスC25を有する。第1インダクタンスL1は、第1端部470と第2端部472とを有する。シャントキャパシタンスC25は、第1端部474と第2端部476とを有する。第1端部470は、出力端子464に接続されている。第2端部472は、第1端部474に接続されている。第2端部476は、接地基準457に接続されている。第2端部472と第1端部474とは、電力コンバイナおよび/または負荷に接続され、電力コンバイナおよび/または負荷に電力を提供する。
【0097】
LC回路465および出力モジュール463は、出力ネットワークを提供しており、また、単一の周波数インピーダンス補正(FIC)モジュールに結合されていてもよい。FICモジュールは、関連するAFT帯域にわたるトランジスタQ1−Q8および変圧器T5−T8のインピーダンス変動とは逆の周波数インピーダンス補正を行う。LC回路465および出力モジュール463によって提供される周波数補正は、図16に見ることができる。LC回路465は、出力モジュールおよびPAモジュールの不可欠な部分である。LC回路465の部品は、(同時に、結合機能および負荷ラインインピーダンスマッチング機能と同様に、)必要とされる周波数インピーダンス補正を提供するのに必要である。27MHzの周波数のPAモジュールの実施形態は、周波数インピーダンス補正を有する。
【0098】
LC回路465は、出力モジュール463の出力に接続された単一のモジュールを提供する。これは、インピーダンス変動を最小化し、また、RF増幅器システムに導入されるインダクタンスおよびキャパシタンスの個数を最小化する。
【0099】
LC回路465および/または対応する出力モジュールは、トランジスタQ1−Q8内および第2変圧器T5−T8内のインピーダンス変動を補償する。これは、RF増幅器システムのAFT帯域にわたる全体的なインピーダンス変動を最小化し、一定の負荷ライン(すなわち、電力出力およびゲインの最小の変動)を提供する。AFT帯域にわたって補償が提供され、PA450−456の出力におけるインピーダンス変動が最小化される。LC回路465および/または対応する出力モジュールのあるインダクタンスおよびキャパシタンスの値が、トランジスタQ1−Q8および第2変圧器T5−T8の周波数によるインピーダンス変動とは逆の、周波数によるインピーダンス変動を提供する。これにより、結合された出力ネットワーク(出力端子464におけるPA出力の結合)が、出力電力応答および、AFT帯域にわたる最小の変動を有する対応する電流の要求を提供することが可能になる。出力モジュールの部品は、結合機能および負荷ラインマッチング機能(AFT帯域にわたる最小の変動を有する対応する電力供給電流の要求)と同様に、インピーダンス補正を提供する。
【0100】
図15の4PA構成は、一定の動作クラスを提供する。トランジスタQ1−Q8および第2変圧器T5−T8のインピーダンス変動は、周波数の変化と共に変化するが、LC回路465のインピーダンス変動は、この変化を補償し、動作クラスの変化を防ぐ。
【0101】
図15の4PA構成は、従来の可変クラス増幅器システムに関して、27MHzおよび40MHzに対するPA供給電流の変動を減少させることができる。供給電流の変動は、14%とは対照的に、例えば5.9%になりうる。示されるように、供給電流のこの減少された変動は、CLCネットワークの除去、4:1という増加した変圧器巻数比、PA出力の直接結合、および、PAと出力インピーダンスマッチング部品との導入に起因して提供される。
【0102】
ここで、図16も参照して、LC回路465を導入し、第2周波数範囲で(または例えば40MHzの中心周波数で)動作する、図15のPAに対する、一例としてのインピーダンスを表すスミスチャートを示す。2つのインピーダンス曲線500、502が示されている。第1インピーダンス曲線500は、第1周波数(または例えば38.7MHz)で動作するRF増幅器システムに対して示されている。第2インピーダンス曲線502は、第2周波数(または例えば42.7MHz)で動作するRF増幅器システムに対して示されている。
【0103】
曲線500、502の区分間の標準化された点は、出力モジュール463およびLC回路465によって提供される出力ネットワークに沿った種々の点におけるインピーダンスを参照する。例えば、第1曲線区分507は、キャパシタンスC21−C24と関連している。第2曲線区分508は、伝送ライン462のインピーダンスと関連している。第3曲線区分509は、インダクタンスL2と関連している。第4曲線区分511は、キャパシタンスC25と関連している。
【0104】
第1曲線500の第1点504は、入力信号の周波数が38.7MHzであるときの、LC回路465の出力におけるインピーダンス値である。第2曲線502の第2点506は、入力信号の周波数が42.7MHzであるときの、LC回路465の出力におけるインピーダンス値である。一例として、第1点504に対する出力変圧器のそれぞれの、出力インピーダンスは、120.08Ω(すなわち、結合されて30.02Ω)であってもよい。第2点506に対する出力変圧器のそれぞれの、出力インピーダンスは、143.08Ω(すなわち、結合されて35.77Ω)であってもよい。
【0105】
2つの一例の値のセットを以下に提供する。値は、適用ごとに変化してもよい。LC値の第1セット(例えば、150.0ナノヘンリー(nH)および90.0ピコファラッド(pF))として、LC回路465は、38.7MHzにおいて30.02Ωを50.0Ωに変換し、42.7MHzにおいて35.77Ωを50.0Ωに変換してもよい。LC値の第2セット(例えば、158.0nHおよび98.0pF)として、LC回路465は、38.7MHzにおいて32.8Ωを50.0Ωに変換し、42.7MHzにおいて41.59Ωを50.0Ωに変換してもよい。LC回路465のLCインピーダンスは、第2周波数範囲の中心周波数(例えば、40MHzの中心周波数)で動作する4重結合されたPA出力を補償する。これは、効率的に、可変クラス電力増幅器動作の電力出力および電流要求の変動を、補正し、除去または最小化する。
【0106】
図15の構成を平坦な周波数応答に調整すると、可変クラス調節をなくすことができる。可変クラス動作のために調整すると、図15の構成は、図17に示すような可変クラスモジュール510を有するように修正することができる。図18のスミスチャートは、PAへの可変負荷ラインおよびそれゆえ可変クラス動作を提供しながら、周波数インピーダンス補正が保存されることを示している。
【0107】
ここで図15および図17を参照して、図15のLC回路465を有する出力モジュール463と、可変クラスモジュール510とを示す。出力モジュール463は、シャントキャパシタンスC21−C24と伝送ライン456−462とを有している。伝送ライン456−462の出力は、分離無しで、出力端子464において、ガルバニックかつ直接に互いに接続されている。LC回路465は、出力端子464に接続され、第1インダクタンスL1およびシャントキャパシタンスC25を有している。出力モジュール463、LC回路465、および可変クラスモジュール510は、出力ネットワークを提供する。
【0108】
可変クラスモジュール510は、LC回路465の出力に接続されている。可変クラスモジュール510は、第2インダクタンスL2とシャントキャパシタンスC26とを有している。第2インダクタンスL2は、第1端部512と第2端部514とを有する。シャントキャパシタンスC26は、第1端部516と第2端部518とを有する。第1端部512は、第2端部472および第1端部474に接続されている。第2端部514は、第1端部516に接続されている。第2端部518は、接地基準457に接続されている。第2端部514と第1端部516とは、電力コンバイナおよび/または負荷に接続され、電力コンバイナおよび/または負荷に電力を提供する。
【0109】
可変クラスモジュール510は、RF増幅器システムが、クラスABモード、クラスEモード、およびそれらの間のモードのいずれかで動作するようあらかじめ調節されることを可能にすることによって、さらなる程度の自由調節を提供する。これは、クラスABモードとクラスEモードとの間の可変PAクラス動作を継続的に提供する。第2インダクタンスL2とシャントキャパシタンスC26との値は、種々の動作モードを提供するために変化させてもよい。
【0110】
一般に、図17の4PA構成の出力に対して可変クラスモジュール510によって示される出力インピーダンスが低いほど、4PA構成は、ある程度まで、よりいっそう、クラスEシステムとして動作する。また、4PA構成の出力に対して可変クラスモジュール510によって示される出力インピーダンスが高いほど、4PA構成は、ある程度まで、よりいっそう、クラスABシステムとして動作する。出力インピーダンスは、可変クラスモジュール510のインピーダンスを変化させることによって、クラスABおよび/またはEに、より近く設定されてもよい。
【0111】
図15図17の出力インピーダンスマッチングモジュールおよび可変クラスモジュール510のインピーダンス値は、トランジスタ負荷ライン(またはRF出力電力)要件、AFT平坦性要件、効率要件、または、PA圧縮点要件に基づいて設定されてもよい。インピーダンス値は、特定の周波数帯域に対し、トランジスタQ1−Q8のドレインインピーダンスおよび第2変圧器T5−T8の出力インピーダンスに依存する。
【0112】
図18に、図15のLC回路465と図17の可変クラスモジュール510とを有し、第2周波数範囲で動作するRF増幅器システムに対する、一例としてのインピーダンスを表すスミスチャートを示す。2つのインピーダンス曲線530、532が示されている。第1インピーダンス曲線530は、第1周波数(例えば38.7MHz)で動作するRF増幅器システムに対して示されている。第2インピーダンス曲線532は、第2周波数(例えば42.7MHz)で動作するRF増幅器システムに対して示されている。
【0113】
曲線500、502の間の標準化された点は、モジュール463、510によって提供される出力ネットワークに沿った種々の点におけるインピーダンスを参照する。例えば、第1曲線区分534は、キャパシタンスC21−C24と関連している。第2曲線区分536は、伝送ライン456−462のインピーダンスと関連している。第3曲線区分538は、インダクタンスL1と関連している。第4曲線区分540は、シャントキャパシタンスC25と関連している。第5曲線区分542は、インダクタンスL2と関連している。第6曲線区分544は、シャントキャパシタンスC26と関連している。
【0114】
第1曲線530の第1点544は、入力信号の周波数が38.7MHzであるときのインピーダンス値である。第2曲線532の第2点546は、入力信号の周波数が42.7MHzであるときのインピーダンス値である。一例として、第1点に対する第2変圧器のそれぞれの、出力インピーダンスは、103.44Ω(すなわち、結合されて25.86Ω)であってもよい。第2点に対する第2変圧器のそれぞれの、出力インピーダンスは、127.6Ω(すなわち、結合されて31.9Ω)であってもよい。
【0115】
図19に、第2周波数範囲で動作するRF増幅器システムに対するPAトランジスタのドレイン電圧およびゲート電圧のプロットを示す。示された例では、RF増幅器システムに供給される入力信号の中心周波数は27MHzである。RF増幅器システムは、上述のRF増幅器システムのうちの任意のものであってよい。ドレイン電圧およびゲート電圧は、例えば、図7図8図15のトランジスタQ1−Q8のものであってよい。4つの電圧プロットが示されている。第1および第2電圧プロット620、622は、PAの第1および第2トランジスタのドレイン電圧である。第3および第4電圧プロット624、626は、第1および第2トランジスタのゲート電圧である。プロットからわかるように、第1トランジスタのドレイン電圧は、第2トランジスタのドレイン電圧と非対称である。また、第1トランジスタのゲート電圧は、第2トランジスタのゲート電圧と非対称である。
【0116】
ドレイン電圧およびゲート電圧の非対称の特性は、対応するPAの出力電力および効率を減少させた。PAの非対称のふるまいを最小化し、および/または、対称なドレイン電圧およびゲート電圧を提供するために、図21に示すように、トランジスタ分離を提供してもよい。
【0117】
再度図15の実施形態を参照して、トランジスタ分離を提供する。ここで述べた他の実施形態に加えて、図15の実施形態は、オープンケーブル負荷に適用することができる。インピーダンス変換およびトランジスタQ1−Q8のゲート間の分離は、シャント抵抗R1−R8およびシャントキャパシタンスC5−C12によって提供されることができる。他の周波数の実施形態(例えば27MHzおよび40MHz)では、図15に示すようなシャントキャパシタンスが、入力変圧器T1−T4の出力に設けられている。シャント抵抗R1−R8は、実数のインピーダンス負荷を提供し、また、直列のキャパシタC5−C12と共に、プッシュプルPA200−203のそれぞれにおけるトランジスタ対の間の分離を提供し、この分離によって、特にf/2近傍の周波数で、スプリアス出力が防止される。このさらなる分離は、主にCgdによって起きる、限定されたトランジスタ逆分離(S12)ゆえ、有用である。抵抗R1、R3、R5、R7の入力端部は、入力変圧器T1−T4の二次巻線とキャパシタンスC13、C15、C17、C19との間に接続されている。抵抗R2、R4、R6、R8の入力端部は、入力変圧器T1−T4の二次巻線とキャパシタンスC14、C16、C18、C20との間に接続されている。
【0118】
シャントキャパシタンスC5−C12はまた、プッシュプルトランジスタQ1−Q8の各対の間の分離を増加させ、また、逆RFの位相を変化させ、その結果、全体的なPAの効率を3%改善する。シャントキャパシタンスC5−C12はまた、例えば27MHzの実施形態で、安定性を改善する。トランジスタQ1−Q8の間の信号ラインは、等しい長さ(すなわち対称)のものであってもよい。
【0119】
図20に、トランジスタ分離を含むRF増幅器システムに対するドレイン電圧およびゲート電圧のプロットを示す。示された例では、RF増幅器システムに供給される入力信号の中心周波数は27MHzである。RF増幅器システムは、上述のRF増幅器システムのうちの任意のものであってよい。ドレイン電圧およびゲート電圧は、例えば、図7図8図15のトランジスタQ1−Q8のものであってよい。3つの電圧プロットが示されている。第1および第2電圧プロット640、642は、PAの第1および第2トランジスタのドレイン電圧である。第3電圧プロット644は、第1トランジスタのゲート電圧である。第2トランジスタのゲートに対して同様のプロットが提供されてもよい。プロットからわかるように、第1トランジスタのドレイン電圧は、第2トランジスタのドレイン電圧と対称的である。示していないが、第1トランジスタのゲート電圧は、第2トランジスタのゲート電圧と対称的である。ゲート対ゲートの分離を提供することによって、シャントキャパシタンスC5−C12がPAの不安定性を防ぎ、PAがスプリアス出力無しで動作する。これにより、動作効率を改善し、RF増幅器システムの出力電力を増加させることができる。
【0120】
PAの不安定性は、より高い周波数(例えば60MHz)よりも、より低い周波数(例えば27MHz)のときのほうが悪いことがありうるが、これは、トランジスタのゲインおよびそれゆえPAのゲイン(S21)が、より高いからである。この理由により、より高い周波数、例えば60MHzよりも、低い周波数、例えば40MHzまたは27MHzで動作するときに、より高い分離が用いられる。結果として、シャントキャパシタンスC5−C12は、一例として、60MHzの実施形態では、用いられ得ないか、または、最小化され得る。
【0121】
ここで述べた実施形態は、60MHzの、並列および直接に結合された、AFT適用のための広帯域のPAモジュールを有する。ここで述べた実施形態は、出力インピーダンス変動補正のためのFICモジュールを含む、27MHz/40MHzの、並列および直接に結合された、AFT適用のための広帯域のPAモジュールを有する。ここで述べた技術はまた、27MHz、40MHzおよび60MHzの実施形態のためのPAモジュールが動作クラスを変えることを可能にする可変クラス技術を有する。
【0122】
様々な位相角度の開回路または短路回路の負荷を駆動するときに、27MHz、40MHzおよび60MHzの実施形態に用いられるタイプの個々のプッシュプルPAが27MHzで不安定になって60MHzでf/2のスプール(spur)を生成するのを防ぐ、PA安定性技術が開示される。
【0123】
27MHz、40MHzおよび60MHzの実施形態に用いられるタイプの多数のPAを直接に結合するときに、多重スプリアス出力を生成しない、システムレベル安定性技術が提供される。様々な位相角度の開回路または短路回路の負荷を駆動するときに、スプリアス出力が生成されない。個々のPAがS12機構を通して相互作用するのを防ぐために、この実施形態での電力分割は完全に分離される。S12機構は、様々な位相角度の開回路または短路回路の負荷を駆動するときに、ランダムな多重スプリアス出力を生成することができる。対応するPAモジュールを含めて、ここで述べた27MHz、40MHzおよび60MHzの実施形態および他の実施形態は、多重RF増幅器システムを有するRFデッキに用いることができる。
【0124】
上述のRF増幅器システムおよび対応するPAは、広帯域動作、改善された動作効率を提供しながら、最小のインダクタンス、キャパシタンスおよび/またはインピーダンスを有する出力ネットワーク設計を提供する。出力ネットワーク設計は、最小の個数のインピーダンス変換を有し、広い動作帯域および改善された動作効率を提供する。最小のインダクタンス、キャパシタンスおよび/またはインピーダンスを有する出力ネットワーク設計を提供することによって、RF増幅器システムは、最小の回路サイズを有し、それゆえ、改善された電力密度(回路面積あたりの電力)を有する。回路部品の個数が最小であるため、RFのロスが最小化され、動作効率が改善される。動作効率が改善されるので、動作温度が下がる。さらに、回路部品の個数が最小であることと、動作温度とによって、信頼性が改善される。
【0125】
上記記載は、本質的に単に説明のためのものであり、開示、適用、または使用を制限することを意図しない。開示の、広い技術は、様々な形態で実施可能である。それゆえ、開示は特別な例を含んでいる一方で、開示の真の範囲は限定すべきではなく、これは、図面、明細書および後述の請求項の検討に基づいて他の修正が明らかになるからである。ここで用いられているように、A、BおよびCのうちの少なくとも一つというフレーズは、非排他的論理ORを用いて、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきである。方法内の一つまたはそれより多いステップが、本開示の原則を変えずに、種々の順序で(または同時に)実行してもよいということが理解されるべきである。
【0126】
以下の定義も含めて、モジュールという用語は、回路という用語に置き換えることができる。モジュールという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC);デジタル、アナログまたは混合されたアナログ/デジタルのディスクリート回路;デジタル、アナログまたは混合されたアナログ/デジタルの集積回路;結合論理回路;フィールドプログラマブルゲートアレー(FPGA);コードを実行するプロセッサ(共有、専用、グループ);プロセッサにより実行されるコードを記憶するメモリ(共有、専用、グループ);上記機能を提供する他の適切なハードウエア部品;または、システムオンチップ内のもののような、上記のもののいくつかまたは全ての結合を参照しても、その一部であっても、それを含んでもよい。
【0127】
上記のようなコードという用語は、ソフトウエア、ファームウエア、および/またはマイクロコードを含んでもよく、また、プログラム、ルーチン、関数、クラス、および/またはオブジェクトを参照してもよい。共有プロセッサという用語は、多重モジュールからのいくつかまたは全てのコードを実行する単一のプロセッサを含む。グループプロセッサという用語は、追加のプロセッサと結合して、一つまたはそれより多いモジュールからのいくつかまたは全てのコードを実行するプロセッサを含む。共有メモリという用語は、多重モジュールからのいくつかまたは全てのコードを記憶する単一のメモリを含む。グループメモリという用語は、追加のメモリと結合して、一つまたはそれより多いモジュールからのいくつかまたは全てのコードを記憶するメモリを含む。メモリという用語は、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語のサブセットであってもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体という用語は、媒体を通じて伝搬する一時的で電気的および電磁気的な信号を含まず、それゆえ、実体があり、非一時的であるとみなされてよい。非一時的で実体があるコンピュータ読み取り可能な媒体の非限定的な例は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、磁気媒体および光媒体を含む。
【0128】
ここで用いられている用語は、特定の例の実施形態を記述する目的だけのためのものであり、限定的であることを意図しない。ここで用いられているように、単数形式「a」、「an」および「the」は、内容がそうでないことを明確に示していない限り、複数形式も同様に含むことを意図していてよい。「comprises」、「comprising」、「including」および「having」という用語は、内包的であり、それゆえ、述べられた特徴、全体、ステップ、動作、素子および/または部品の存在を明記しているが、一つまたはそれより多い他の特徴、全体、ステップ、動作、素子、部品および/またはそれらのグループの存在または追加を除外していない。ここで述べた方法のステップ、プロセスおよび動作は、実行の順番として特に特定されない限り、述べたまたは図示した特定の順番で実行することを必ず要するものであると解釈されるべきではない。追加または代替のステップを採用してもよいとも理解されるべきである。
【0129】
ここでの素子が別の素子に対して「接触し(on)」、「はめ込まれ(engaged to)」、「接続され(connected to)」または「連結され(coupled to)」ているものとして言及される場合、それは、その別の素子に対して直接に、接触して、はめ込まれ、接続され、または連結されてもよいし、中間の素子が存在してもよい。一方、素子が別の素子に対して「直接接触し(directly on)」、「直接はめ込まれ(directly engaged to)」、「直接接続され(directly connected to)」または「直接連結され(directly coupled to)」ているものとして言及される場合、中間の素子は存在してはならない。素子間の関係を記述するのに用いられる他の用語は、同様に(例えば、「間に(between)」対「直接間に(directly between)」、「隣接して(adjacent)」対「直接隣接して(directly adjacent)」など)解釈すべきである。ここで用いられているように、「および/または」という用語は、関連するリスト化された用語の一つまたはそれより多いものの任意のおよび全ての結合を含む。
【0130】
第1、第2、第3などの用語は、様々な素子、部品、および/またはモジュールを記載するのにここで用いられうるが、これらの素子、部品、および/またはモジュールは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一つの素子、部品またはモジュールを、他の素子、部品またはモジュールから区別するのに用いることができるだけである。「第1」、「第2」および他の数字の用語は、ここで用いられる場合、内容によって明確に示されていない限り、順序や順番を含まない。それゆえ、以下で述べる第1の素子、部品またはモジュールは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の素子、部品またはモジュールと称することができる。
【0131】
上記実施形態の記述は、説明と記述の目的のために提供される。排他的にすることや発明を制限することは意図されない。特定の実施形態の個々の素子や特徴は、一般に、特定の実施形態に限定されず、適用可能であれば、特に示したり述べたりしていなくても、相互に交換可能であり、選択された実施形態にて用いることができる。同一の方法は、多くの方法によって変更してもよい。このような変更は、発明からの逸脱とみなすべきではなく、このような全ての修正が発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1】従来の可変クラス増幅器システムの電力増幅器モジュールのための電力出力対周波数プロットである。
図2】従来の可変クラス増幅器システムの電力増幅器モジュールのための一例としての電流対周波数プロットである。
図3】従来の可変クラス増幅器システムのPA出力のCLCネットワークに対するインピーダンス変化を示すスミスチャートである。
図4】本願に係る第1周波数範囲で動作する3重電力増幅器構成を有する無線周波数増幅器システムのブロックおよび概略的なダイヤグラムである。
図5】従来の可変クラス増幅器システムと図4の無線周波数増幅器システムとの間の違いを示す一例としての電力対周波数プロットである。
図6】本願に係る電力増幅器モジュールのブロックダイヤグラムである。
図7】本願に係る電力増幅器モジュールの概略的なダイヤグラムである。
図8】本願に係る電力増幅器モジュールと可変クラスモジュールとを示す概略的なダイヤグラムである。
図9】本願に係る、第1周波数範囲で動作し、第1電力出力定格を有する、4重電力増幅器を有する別の無線周波数増幅器システムのブロックおよび概略的なダイヤグラムである。
図10】本願に係る、第2電力出力定格のための別の無線周波数増幅器システムのブロックおよび概略的なダイヤグラムである。
図11】本願に係る、ハーモニックアッテネータを有する電力増幅器モジュールのブロックダイヤグラムである。
図12図9の無線周波数増幅器システムのための一例としての電力対周波数プロットである。
図13図9の無線周波数増幅器システムのPAモジュールの出力に対する一例としてのインピーダンスを示すスミスチャートである。
図14】種々の周波数で動作する電力増幅器のトランジスタと変圧器の一例としてのインピーダンス変化を示すスミスチャートである。
図15】本願に係る、第2周波数範囲で動作する出力インピーダンスマッチングを有する電力増幅器モジュールの概略的なダイヤグラムである。
図16図15の出力インピーダンスマッチングを有し、第2周波数範囲で動作する無線周波数増幅器システムに対する一例としてのインピーダンスを示すスミスチャートである。
図17】本願に係る、図15の出力インピーダンスマッチングを有する出力モジュールと、第2周波数範囲で動作する可変クラスモジュールとの概略的なダイヤグラムである。
図18図15の出力インピーダンスマッチングと図17の可変クラスモジュールとを有し、第2周波数範囲で動作する無線周波数増幅器システムに対する一例としてのインピーダンスを示すスミスチャートである。
図19】本願に係る無線周波数増幅器システムのための電力増幅器トランジスタのドレイン電圧およびゲート電圧のプロットである。
図20】本願に係るトランジスタ分離を有する無線周波数増幅器システムのための電力増幅器トランジスタのドレイン電圧およびゲート電圧のプロットである。
図1
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