(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技者によって操作される複数の操作手段と、前記複数の操作手段に対する操作状況に応じて遊技を進行させる遊技実行手段と、画像を表示するための表示部を含む演出実行手段と、前記演出実行手段にて実行可能な複数の演出シナリオデータが保存された演出シナリオ記憶手段と、遊技の開始に応じて前記演出シナリオ記憶手段からいずれか一の演出シナリオデータを選択するシナリオ選択手段と、シナリオ選択手段により選択された演出シナリオデータに基づき前記演出実行手段の動作を制御する演出制御手段とを備え、
前記演出シナリオ記憶手段に保存される演出シナリオデータは、各操作手段に対する操作に基づき生じる予め定めた複数のイベント毎に前記演出実行手段に実行させる演出の内容を示す演出制御データが対応づけられると共に、各演出制御データに、当該演出制御データによる演出を後続の演出を待機させた状態で実行する場合にその待機状態を終了して前記後続の演出の実行を開始するタイミングを示す第1設定データと、当該演出制御データによる演出の開始を対応するイベントの検出より遅滞させることを許容するか否かを示す第2設定データとが付与された構成のものであり、
前記演出制御手段は、
イベントを検出したことに応じて、前記シナリオ選択手段により選択された演出シナリオデータ中の当該イベントに対応する演出制御データにおける前記第1設定データおよび第2設定データの内容を参照し、
検出したイベントに対応する演出制御データに演出の開始の遅滞を許容する旨の第2設定データが付与されていると判別しているうちは、イベントが検出される都度、検出したイベントに対応する演出制御データに基づく演出制御を当該演出制御データにおける第1設定データが示すタイミングになるまで実行可能に設定して、実行可能に設定された演出制御データによる制御を対応するイベントが検出されたタイミングが早い順に実行し、
検出したイベントに対応する演出制御データに演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与されていると判別したときには、実行中の演出制御データおよび実行可能に設定されている演出制御データによる制御をすべて中止して、前記演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与された演出制御データによる制御を開始する、ことを特徴とするスロットマシン。
前記演出制御手段は、検出したイベントに対応する演出制御データをイベントが検出されたタイミングが早い順に並べて記憶する一時記憶手段と、実行し終えた演出にかかる演出制御データを前記一時記憶手段から消去する第1の消去手段と、前記シナリオ選択手段により新たな演出シナリオデータが選択されたとき、および実行された遊技操作に対応する演出制御データに前記演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与されていたときに、前記一時記憶手段に記憶されている全てのデータを消去する第2の消去手段とを具備する、請求項1に記載されたスロットマシン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストーリー演出のための制御データは、ゲーム毎にまとまりのある話が提示されるように設計されるが、遊技者の操作のタイミングによっては、ゲームの実施に要する時間よりも演出時間の方が長くなる可能性がある。従来のスロットマシンでは、一般に、ある遊技操作に対する演出を実行している間に新たな遊技操作を受け付けると、実行中の演出を中止して新たな遊技操作に対する演出を開始する(特許文献1の段落0148を参照)が、その結果、遊技者に提示されるストーリーがまとまりを欠くものになって、演出の面白みが損なわれるおそれがある。また中止された演出部分に重要な情報が含まれていると、遊技者はその情報を確認する機会を逸してしまう。
【0006】
特許文献2に記載された発明では、演出中に次の遊技のためのメダル投入またはベット操作が行われると、実行している演出をキャンセルするか否かの抽選を行い、この抽選でキャンセルする旨が決定したときにのみ実行中の演出を中止している。しかし、このような抽選を遊技操作毎に実行したとしても、上記の問題を解決することは不可能である。
【0007】
本発明は、この問題に着目し、遊技操作のタイミングのばらつきに影響されずにストーリーが違和感なく繋がる演出を実施したり、重要な情報を含む演出やインパクトの高い演出を効果的に提示するなど、多彩な演出を容易に実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるスロットマシンは、遊技者によって操作される複数の操作手段と、前記複数の操作手段に対する操作状況に応じて遊技を進行させる遊技実行手段と、画像を表示するための表示部を含む演出実行手段と、前記演出実行手段にて実行可能な複数の演出シナリオデータが保存された演出シナリオ記憶手段と、遊技の開始に応じて前記演出シナリオ記憶手段からいずれか一の演出シナリオデータを選択するシナリオ選択手段と、シナリオ選択手段により選択された演出シナリオデータに基づき前記演出実行手段の動作を制御する演出制御手段とを具備する。
【0009】
上記において、複数の操作手段は、たとえば、始動レバー、各リールに対応する停止ボタン、あらかじめ機体に電気的に貯留されたクレジットメダルを投入するためのベットボタン、実物のメダルを投入する操作を受け付けるためのメダル投入口などである。演出実行手段には、表示部のほか、電飾用のランプ、音声や楽曲を出力するためのスピーカーなどが含まれる。
【0010】
演出シナリオ記憶手段に保存される演出シナリオデータは、各操作手段に対する操作に基づき生じる予め定めた複数のイベント毎に前記演出実行手段に実行させる演出の内容を示す演出制御データが対応づけられると共に、各演出制御データに、当該演出制御データによる演出を後続の演出を待機させた状態で実行する場合に
その待機状態を終了して前記後続の演出の実行を開始するタイミングを示す
第1設定データと、当該演出制御データによる演出
の開始を対応するイベント
の検出より遅滞させることを許容するか否かを示す
第2設定データとが付与された構成のものである。
【0011】
演出制御手段は、イベントを検出したことに応じて、前記シナリオ選択手段により選択された演出シナリオデータ中の当該イベントに対応する演出制御データにおける
前記第1設定データおよび第2設定データの内容を参照する。ここで、検出したイベントに対応する演出制御データに
演出の開始の遅滞を許容する旨の第2設定データが付与されていると判別しているうちは
、イベントが検出される都度、検出したイベントに対応する演出制御データに基づく演出制御を当該演出制御データにおける
第1設定データが示すタイミングになるまで実行可能に設定して、実行可能に設定された演出制御データによる制御を対応するイベントが検出されたタイミングが早い順に実行する。一方、検出したイベントに対応する演出制御データ
に演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与されていると判別したときには、実行中の演出制御データおよび実行可能に設定されている演出制御データによる制御を全て中止して、前記
演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与された演出制御データによる制御を開始する。
【0012】
上記によれば、ストーリー性を維持することが必要と考えられる演出シナリオデータについては、各遊技操作に対応する演出制御データに、それぞれ次の演出との繋がりを確保するのに必要なタイミング
を表す内容の第1設定データを付与すると共に、各演出に
演出の開始の遅滞を許容する旨の第2設定データを付与すればよい。この設定によれば、遊技者による遊技操作が演出の進行より早いタイミングで行われたとしても、各演出をそれぞれ
その演出に対応する第1設定データに基づくタイミングで切り替えてまとまりのある演出を提示することができる。
【0013】
一方、ストーリー性よりも遊技操作に対してインパクトのある演出を行うことを重視する演出シナリオデータや、重要な情報を所定の遊技操作に対応づけて確実に提示したい演出シナリオデータについては、該当する演出制御データに
演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データを付与すればよい。この設定によれば、演出の進行が遅れていても、
演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与された演出制御データによる演出を、対応する遊技操作に応じて速やかに開始することが可能になる。
【0014】
上記スロットマシンの第1の実施形態における演出制御手段は、検出したイベントに対応する演出制御データをイベントが検出されたタイミングが早い順に並べて記憶する一時記憶手段と、実行し終えた演出にかかる演出制御データを一時記憶手段から消去する第1の消去手段と、前記シナリオ選択手段により新たな演出シナリオデータが選択されたとき、および実行された遊技操作に対応する演出制御データに
前記演出の開始の遅滞を許容しない旨の第2設定データが付与されていたときに、前記一時記憶手段に記憶されている全てのデータを消去する第2の消去手段とを具備する。この構成によれば、選択された演出シナリオデータの構成に適合する演出制御を、簡単に実施することが可能になる。
なお、一時記憶手段には、演出制御データを構成する全てのデータを記憶させる必要はない。たとえば、演出の内容を特定するための識別データと第1の設定内容を示すデータとを記憶させるようにしてもよい。
【0015】
第2の実施形態によるスロットマシンでは、前記複数の操作手段に、演出のスキップを指示するスキップ操作用ボタンが含まれ、前記演出制御手段は、実行待ちの演出制御データが存在する状態下で他の演出制御データによる制御を実行している間に前記スキップ操作用ボタンが操作された旨のイベントを検出した場合には、実行中の演出制御データによる制御を中止して次の演出制御データによる制御を開始する。
【0016】
第2の実施形態によれば、第1の設定に基づき次の演出を待機させた状態で実行されている演出を、遊技者によるスキップ操作に応じて中止し、待機中の演出を開始することができる。これにより、遊技者の意に沿わない演出が長々と実施されるのを防ぐことができる。
【0017】
上記第2の実施形態においては、さらに、前記演出シナリオ記憶手段に、1つのイベントに対して複数の演出制御データが対応づけられた構成の特別演出シナリオデータを含めることができる。この場合の演出制御手段は、前記シナリオ選択手段により前記特別演出シナリオデータが選択されたとき、前記複数の演出制御データが対応づけられたイベントを検出したことに応じて前記複数の演出制御データが順に実行可能になるように設定する一方、前記複数の演出制御データのうちの最後のデータを除くいずれかのデータによる制御を実行している間に前記スキップ操作用ボタンが操作された旨のイベントを検出した場合には、実行中の演出制御データによる制御を中止して次の演出制御データによる制御を開始する。
【0018】
上記の制御によれば、1つの遊技操作に対して複数の演出が順に実施されることを遊技者が煩わしく感じた場合には、スキップ操作によって演出間の切り替えのタイミングを早めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遊技を進行させる各種操作毎の演出制御データに対する
第1設定データおよび第2設定データの内容を、それぞれ演出シナリオの内容に応じて定めることによって、操作のタイミングのばらつきや演出の進行状況の影響を受けることなく、シナリオに適した演出を容易に実施することが可能になる。よって、多彩な演出を容易に実現することが可能になり、興趣が高められたスロットマシンを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、この発明の一実施例であるスロットマシン1の外観を示している。図示のスロットマシン1は、筐体2の開放された前面に前面扉3が開閉可能に取り付けられたものである。図示していないが、筐体2の内部には、リールユニット、電源ユニット、メダル払出機、制御基板などが組み込まれている。扉3は金属製の枠体を本体とし、枠体の中央部および下部にそれぞれ合成樹脂製のパネル4,5が取り付けられ、枠体の上部に液晶表示器6および一対のスピーカ7A,7Bが設けられている。
【0022】
以下、中央のパネル4を「正面パネル4」と呼び、下部のパネル5を「下部パネル5」と呼ぶ。
正面パネル4の高さ中央部には、矩形状の透明な窓部8が設けられており、この窓部8を通して、筐体2の内部のリールユニットを構成する3個のリール9a,9b,9cの外周面を視認することができる。
【0023】
この実施例では、数字の「7」や「BAR」の図柄を含む複数種の図柄により、各リール9a,9b,9cに21駒分の図柄配列を設定している。各リール9a,9b,9cは、リールユニットと一体に組み付けられたモータ29a,29b,29c(
図3に示す。)によって個別に駆動される。
【0024】
窓部8の縦幅は、各リール9a,9b,9cの3駒分の範囲に対応する長さになっている。各リール9a,9b,9cが停止すると、
図2に示すように、リール9a,9b,9c毎の3個の図柄Zが、上、中、下の高さ位置を揃えて窓部8内に停止することにより、3本の水平ラインL1〜L3、および右下がりのラインL4ならびに左下がりのラインL5のそれぞれに沿って、図柄Zが整列した状態となる。この実施例では、5本のラインL1〜L5のうちの中央の水平ラインL1のみが、入賞ラインに設定される。
【0025】
図1に参照を戻す。窓部8の下方には、メダルの投入枚数などを表示する数値表示器18が設けられている。また、筐体の前面上部の両側部や液晶表示器6aの上方などに、複数のLEDによる電飾ランプ25が設けられている。
【0026】
正面パネル4と下部パネル5との間には、斜め上方を向く操作面11と前方を向く操作面12とによる遊技操作部10が設けられる。
下部パネル5の下方にはメダル払出口14やメダル受け皿15が設けられている。遊技操作部10のメダル投入口19から投入されたメダルは、前面扉3の内側に設けられたメダル通路(図示せず)を通ってメダル払出機28(
図4に示す。)のホッパー内に取り込まれる。メダル払出機28から放出されるメダルは、図示しないメダル払出通路を介してメダル払出口14に運ばれてメダル受け皿15へ放出される。
【0027】
遊技操作部10の斜め上方を向く操作面11には、遊技に供するメダル枚数を設定するための2種類のベットボタン16,17、メダルを投入するためのメダル投入口19、およびその操作の有無によって演出が分岐する遊技者介入型の演出を実行する際に操作が促される演出ボタン20が配備されている。
【0028】
この実施例のスロットマシン1で1回のゲームを実施するには、3枚のメダルを投入する必要がある。メダル投入口19より投入されたメダルが3枚に達すると、入賞ラインL1が有効化される。メダル投入口19から4枚以上のメダルが投入されると、最初の3枚がゲームに賭けられ、残りのメダルの枚数が計数されて、その計数値がクレジット枚数として後述する主制御部30のRAM33に保存される。
【0029】
3枚以上のメダルが貯留されている状態下で一方のベットボタン16(マックスベットボタン)が押されると、クレジット枚数から3枚のメダルが一度に引き落とされて1ゲームを実行可能な状態になる。他方のベットボタン17(一枚賭けベットボタン)を押す場合には、3回の操作によって1ゲームを実行可能な状態になる。
【0030】
遊技操作部10の前向きの操作面12には、各リール9a,9b,9cを一斉に回転させるための始動レバー21、各リール9a,9b,9cを個別に停止させるための停止ボタン22a,22b,22c、および精算ボタン23が配備されている。
精算ボタン23はクレジット枚数の精算を指示するためのもので、遊技者により精算ボタン23が操作されると、数字表示器18に表示されたクレジット枚数分のメダルがメダル受け皿15へ放出される。
【0031】
メダル投入口19へのメダル投入またはベットボタン16,17の操作(以下、これらを「ベット操作」と総称する。)の後、1ゲームの実行が可能な状態で始動レバー21が操作されると、主制御部30は役抽選を実行する。次に、リール9a,9b,9cの回転を開始し、リール9a,9b,9cが一定の速度に至ると、停止ボタン22a,22b,22cによる停止操作を受け付けて、対応するリール9a,9b,9cを停止させる。各リール9a,9b,9cを停止させる際には、役抽選の結果に基づき選択した図柄を有効化された入賞ライン上に引き込む制御が実行される。
【0032】
上記の役抽選では、当否の決定と共に、当選した場合にはその当選役の種別を示す当選フラグを決定する。当選役の中には、停止ボタン22a,22b,22cに対する操作順序(押し順)によって引き込み対象の図柄組み合わせを変動させる制御を行うものがある。このような当選役のことを、以下では「押し順役」と呼ぶ。
【0033】
この実施例のスロットマシンでは、所定の遊技条件が成立したときに、上記の押し順役に当選した場合に遊技者にとって最も有益な図柄組み合わせを揃えるための押し順を報知する演出を行うモード(以下「ATモード」という。)に移行する。
また、上記とは別の遊技条件が成立すると、再遊技役への当選確率が通常より高められた遊技期間(リプレイタイム)に移行する。
【0034】
ATモードでは、押し順の報知に応じた順序で停止操作を行うことによって、多数のメダルを獲得することが可能になる。さらに、ATモードにおけるリプレイタイム(アシストリプレイタイム(ART))では、再遊技役への入賞頻度が高まることによって手持ちメダルの目減りが抑制されるので、遊技者はより多くのメダルを獲得することが可能になる。
【0035】
図3は、上記スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
この実施例のスロットマシン1には、遊技の進行全般を制御する主制御部30のほか、主制御部30からのコマンドに応じて演出に関する制御を担当する第1および第2の副制御部40,50が設けられる。第1副制御部40は、画像による演出を制御し、第2副制御部50は、音声や電飾による演出を制御する(以下、第1副制御部40および第2副制御部50をまとめて「副制御部40,50」という場合がある。)。
主制御部30,第1副制御部40,第2副制御部50には、それぞれCPU31,41,51、ROM32,42,52、RAM33,43,53が設けられる。
【0036】
さらに、主制御部30や第1副制御部40には、抽選処理のための乱数発生器34,44が設けられる。主制御部30では、始動レバー21の操作を検出したときに乱数発生器34から取得した乱数値を用いて前述の役抽選を実行する。第1副制御部40では、主制御部30から送信された前記役抽選の結果に関する情報や、現在の内部制御モード等に基づき、乱数発生器44から取得した乱数値を用いて、ATモードを含む複数種の内部制御モードを選択する抽選(以下、「内部制御モード選択抽選」という。)や、液晶表示器6などに実施させる演出のシナリオを選択する抽選(以下、「シナリオ選択抽選」という。)などの抽選処理を実行する。
【0037】
主制御部30のROM32には、遊技の進行に関する制御を実施するためのプログラム、各リール9a,9b,9cの図柄配列テーブル、抽選のための抽選テーブルなどが保存され、RAM33には、プログラムの実行により発生した情報が書き換え可能に保存される。
【0038】
各副制御部40,50でも、それぞれROM42,52に制御に必要なプログラムや固定データが格納され、RAM43,53にはプログラムの実行により発生した情報が保存される。
【0039】
遊技操作部10に配備された始動レバー21,停止ボタン22a,22b,22c,ベットボタン16,17,精算ボタン23は、入出力ポート35を介して主制御部30に接続される。一方、演出ボタン20は、主制御部30ではなく、I/Oポート45を介して第1副制御部40に接続される。
【0040】
主制御部30には、I/Oポート35を介して、各リールの基準位置を検出するためのインデックスセンサ24a,24b,24c,メダル投入口19へと投入されたメダルを検出するためのメダル検知センサ26なども接続される。また、主制御部30には、ドライバ回路36を介して、リール9a,9b,9c毎のモータ29a,29b,29cを駆動するリール駆動回路27a,27b,27c,メダル払出機28,数値表示器18などが接続される。
【0041】
各モータ29a,29b,29cはステッピングモータである。主制御部30は、モータ29a,29b,29cに対する駆動パルスを計数することによって、対応するリール9a,9b,9cの回転位置を検出し、またその計数値があらかじめ決定した値になるタイミングでモータ29a,29b,29cを停止させることにより、上記した引き込み制御を実施する。
【0042】
なお、各リール9a,9b,9cの一回転は、それぞれインデックスセンサ24a,24b,24cからの検出信号により検出され、その検出信号によって、対応するリール9a,9b,9cの回転位置を示す計数値がリセットされる。主制御部30のCPU31は、各リール9a,9b,9cに回転を開始させる際には、各モータ29a,29b,29cに対して加速制御用の駆動パルスを出力する加速ステップを実行した後に、定速制御用の駆動パルスを出力する定速ステップに移行する。この後、CPU31は、各インデックスセンサ24a,24b,24cからそれぞれ定速ステップ移行後の最初の検出信号を受信したことをもって、各リール9a,9b,9cの回転速度が一定速度に至ったと判別し、各停止ボタン22a,22b,22cの操作を有効に設定する。
【0043】
第1副制御部40には、前出の演出ボタン20のほか、ドライバ回路46を介して液晶表示器6が接続される。第2副制御部50には、ドライバ回路46を介して、スピーカ7A,7B、電飾ランプ25、リール照明用のバックライト26などが接続される。
【0044】
主制御部30、第1副制御部40、第2副制御部50は、それぞれ独立の制御基板として形成されており、第1副制御部40は主制御部30と中継基板60を介して接続され、第2副制御部50は第1副制御部40に接続される。
【0045】
主制御部30は、主制御部30での遊技制御に同期した演出制御を実行させるために、制御中に生じた各種イベントを通知するコマンドを作成して第1副制御部40に送信する。たとえば、役抽選の結果を通知するコマンド、ベット操作を通知するコマンド、始動レバー21の操作を通知するコマンド、停止操作が有効になったことを通知するコマンド、第1,第2,第3の各停止操作を通知するコマンド、停止操作の終了を通知するコマンド、入賞の有無判定の結果を通知するコマンドなどが、それぞれのイベントが発生する都度、主制御部30から第1副制御部40へと送信される。
【0046】
各コマンドには、それぞれイベントの種別を示す種別コード(例えば1バイト)と送信データ(例えば2バイト)とが含まれる。種別コードはアルファベットコードであり、実際には非常に多くのコードが存在するが、以下では、遊技操作に関する種別コードのみをに示す。
【0047】
この実施例では、種別コード「A」は、ゲームの開始、言い換えれば始動レバー21の有効な操作を示し、種別コード「B」は1番目の有効な停止操作を示し、種別コード「C」は2番目の有効な停止操作を示し、種別コード「D」は3番目の有効な停止操作を示す。また、種別コード「E」は3番目に操作された停止ボタンに対する押し操作の終了(以下、「第3停止リリース」という。)を示し、種別コード「F」は有効なベット操作を示す。これら「A」〜「F」のコードを、以下では「操作ID」という。
【0048】
役抽選の結果を通知するコマンドの送信データには、当該抽選で決定した当選フラグを示す情報(後述する
図6(1)に示すフラグID)がセットされる。
【0049】
第1副制御部40は、受信したコマンドの種別コードを判別し、その種別コードに対して登録されているイベント処理を実行する。例えば、前述の内部遊技モード選択抽選処理やシナリオ選択抽選処理は、役抽選の結果を通知するコマンドを受信したことを契機として実行すべきイベント処理として登録されている。また第1副制御部40は、各種コマンドの受信に応じて、シナリオ選択抽選で選択されたシナリオデータに基づく演出をイベントの発生に従って進行させる。この際には、第1副制御部40から第2副制御部50に、液晶表示器6の映像演出に同期した音響制御および電飾制御を実施するために必要な情報が通知され、この通知を受けた第2副制御部50による音響演出および電飾演出と第1副制御部40による映像演出との組み合わせによって、興趣の高い演出が実施される。
【0050】
図4は、第1副制御部40の制御により液晶表示器6に表示される画面の変遷の一例として、各遊技操作の直後に表示される画面G
A,G
B,G
C,G
D,G
E,G
Fを示す。これらの画面G
A,G
B,G
C,G
D,G
E,G
Fは、いずれも動画像(アニメーション)を表示するものである。
【0051】
この実施例では、始動レバー21の操作(以下「始動操作」という。)に応じた役抽選の結果を受けて演出の内容が決定されるので、始動操作に対する画面G
Aが演出の開始画面となる。その後、第1、第2、第3の各停止操作に応じてG
B→G
C→G
Dのように画面が変化し、第3停止リリースに応じて画面G
Eが表示される。さらに、次のゲームのためのベット操作が行われると、画面G
Fが表示される。この画面G
Fは、つぎの始動操作が行われて新たな演出の内容が決定されるまで表示される。
【0052】
図5は、第1副制御部40に設けられる各種機能を示す。
図中のコマンド受付部401、内部制御モード選択部402、シナリオ抽選実行部403、演出制御データ管理部404、演出実行部405は、プログラムによって第1副制御部40のCPU41に設定される機能である。演出待ちバッファ406の実体はRAM43である。モード選択抽選テーブル410、選択用テーブル411、シナリオ抽選テーブル412、シナリオデータベース413、コンテンツデータベース414は、ROM42内に格納される。
【0053】
コマンド受付部401は、主制御部30からのコマンドを受信し、その内容を解析する機能である。
コマンド受付部401が役抽選の結果を通知するコマンドを受け付けると、内部制御モード選択部402がモード選択抽選テーブル410を用いた内部制御モード選択抽選を実施する。モード選択抽選テーブル410には、各種の内部制御モードに対する選択確率が、内部制御モード毎に異なる割り当てパターンをもって保存されている。内部制御モード選択部402は、モード選択抽選テーブル410内の現在の内部制御モードに対応する選択確率を用いた抽選を行うことによって、他の内部制御モードに切り替えるか否かを決める。また切り替えを行うことが決まった場合には、同時に切り替え後のモードが選択される。
【0054】
内部制御モード選択抽選の次には、シナリオ抽選実行部403によるシナリオ選択抽選が実施される。具体的に、シナリオ抽選実行部403は、選択用テーブル411を参照して、シナリオ抽選テーブルデータベース412に格納されている複数のシナリオ抽選テーブルのうちの1つを選択し、選択したテーブルを用いた抽選を実施する。
【0055】
図6(1)は選択用テーブル411のデータ構成を、
図6(2)(3)は
図6(1)中のT11,T31に該当するシナリオ抽選テーブルのデータ構成を、それぞれ模式的に示したものである。
【0056】
選択用テーブル411は、役抽選の対象となる各種の役(条件装置)のフラグIDと内部遊技モードとを組み合わせて、各組み合わせにそれぞれシナリオ
抽選テーブルの識別コード(T11,T12・・・)を対応付けたものである。各シナリオ
抽選テーブルは、複数のシナリオIDにそれぞれ所定数の乱数が割り当てられた構成のもので、それぞれに対応する内部制御モードや役によって各テーブルにおける確率の分布パターンが異なるように設定されている。なお、
図6(2)(3)では、割り当てられた乱数の羅列に代えて、割り当てられた乱数の個数を示している。
【0057】
図5に参照を戻す。シナリオ抽選実行部403は、選択用テーブル411を参照して、シナリオ抽選テーブルデータベース412の中から役抽選の結果通知コマンドに含まれるフラグIDと内部制御モード選択部402により選択されている現在の内部制御モードとの組み合わせに対応するシナリオ選択テーブルを選択し、選択されたシナリオ
抽選テーブルを用いた抽選を実行する。例えば、ATモードへの切り替えが生じた場合には、ATモードへの移行を報知するためのシナリオデータを抽選の対象とする特別の演出用のシナリオ抽選テーブルを選択する。
【0058】
演出制御データ管理部404、演出実行部405、演出待ちバッファ406、シナリオデータベース413、コンテンツデータベース414は、演出制御手段を構成するものである。シナリオデータベース413には、各シナリオIDに対応するシナリオデータが格納され、コンテンツデータベース414には、シナリオデータ内の演出IDに対応するコンテンツデータ(主として動画像データ)が格納される。演出待ちバッファ406は、実行すべき演出の待機待ち行列を記憶する。
【0059】
演出制御データ管理部404は、シナリオ抽選実行部403が抽選により選択したシナリオIDに対応するシナリオデータをシナリオデータベース413から読み出す。そして、読み出したシナリオデータに従って、コマンド受付部401から各種遊技操作のイベント通知を受ける都度、演出待ちバッファ406を更新する。演出実行部405は、演出待ちバッファ406のデータを参照しつつ、コンテンツデータベース414から演出に必要なコンテンツデータを読み出して液晶
表示器6の表示動作を制御する。
【0060】
なお、
図5には示していないが、演出実行部405は、読み出したコンテンツデータのIDを第2副制御部50に通知して、当該コンテンツデータに対応する音声出力や電飾演出を実施させる。また、後続の演出を待機させている状態で演出ボタン20が操作されると、演出実行部405は、実行中の演出を中止して次の演出を開始し、第2福制御部50にも同様の制御を行うように指示する。
【0061】
図7〜13は、シナリオデータの具体的な構成例(1)と、そのシナリオデータに基づき実施される演出と遊技操作とのタイミングの関係(2)とを対応づけて示す。なお、これらの例や以下の説明では、遊技操作との関係を明確にするために、始動操作(ID_A)に対する演出を「演出A」、第1停止操作(ID_B)に対する演出を「演出B」、第2停止操作(ID_C)に対する演出を「演出C」、第3停止操作(ID_D)に対する演出を「演出D」、第3停止リリース(ID_E)に対する演出を「演出E」、ベット操作(ID_F)に対する演出を「演出F」とする。
【0062】
各図の(1)に示すように、この実施例のシナリオデータは、各操作IDに、演出ID、種別、持ち時間の各データを紐付けた構成のものである。
【0063】
「演出ID」は、コンテンツデータベース414内の各コンテンツデータに固有の識別コードである。第2副制御部50に格納される音声データや電飾データも、同じ演出IDによってコンテンツデータに紐付けられている。演出ID,種別,および持ち時間の組み合わせとこの組み合わせに紐付けられたコンテンツデータ等によって、1シーン分の演出のための演出制御データが構成される。
【0064】
「種別」は、演出IDにより特定される演出を対応する遊技操作に応じて遅滞なく実施する必要があるか否かを示すフラグデータであり、「通常」または「強制」が設定される。「通常」は演出の遅滞を許容することを意味し、「強制」は演出の遅滞を許容しないことを意味する。
【0065】
「持ち時間」とは、対応する遊技操作に対する演出が後続の演出を待機させた状態下で実行されている場合に、その実行中の演出を終了するタイミングを示すデータである。この実施例では、対応する演出が開始された時点から終了のタイミングになるまでの時間長さを持ち時間とする。
【0066】
なお、持ち時間が設定されていても、演出待ちバッファ406に後続の演出のデータが格納されていない場合には、持ち時間が満了したことによる演出の切り替えは行わずに、実行中の演出を続行し、演出待ちバッファ406に新たなデータが格納されたときに演出を切り替える。
【0067】
「持ち時間」はブランク状態(図中では「−」により示す)に設定される場合もある。このブランク設定は、持ち時間が0、すなわち後続の演出を待機させないで開始させて良いことを意味する。持ち時間がブランクに設定された演出が実行されている間に次の遊技操作が行われて、その操作に対応するデータが演出待ちバッファ406に格納されると、実行中の演出はその時点で終了する。
図7〜13の例では、いずれも、ベット操作に対する演出の持ち時間がブランクに設定されている。この設定により、ベット操作に対する演出は、次の始動操作が行われたことにより中止され、始動操作に応じて新たに選択されたシナリオデータによる演出Aが開始されることになる。
【0068】
以下、
図7〜13の事例を順に参照する。
まず
図7の例のシナリオデータ(
図7(1))では、全ての遊技操作にする演出が「通常」に設定され、ベット操作以外の各遊技操作に対する演出に、それぞれ持ち時間が設定されている。
【0069】
図7(2)のタイミングチャートによると、この事例では、始動操作(ID_A)に対する演出Aが実行されている間に第1停止操作(ID_B)が行われているが、演出Aにかかる持ち時間の設定に基づき、演出Aの開始から4秒が経過した時点で演出Aから演出Bへと切り替えられる。さらに、この例では演出Bの実行中に第2停止操作が行われているが、同様に、演出Bにかかる持ち時間の設定に基づき、演出Bの開始から3秒が経過した時点で、演出Bから演出Cへと切り替えられる。
【0070】
以下も同様に、演出実行中に新たな遊技操作が行われても、実行中の演出の持ち時間が満了するまでは演出の切り替えは生じない。よって、遊技者の遊技操作のタイミングに関わらず、遊技者には、全ての遊技操作に対応する演出が提示される。
【0071】
図8の例のシナリオデータ(
図8(1))でも、演出A,B,C,Dは、
図7の例と同様の設定であるので、第3停止操作までは、
図7の例と同様の流れで演出が切り替えられる。しかし、この例では第3停止リリース(ID_E)に対する演出Eの種別が「強制」に設定されており、演出Dの実行中に第3停止リリースが実施されたため、演出Dは持ち時間の経過を待たずに中止されて、第3停止リリースに対する演出Eが開始される。なお、演出Eの実行中に次の遊技のベット操作(ID_F)が実行されているが、演出Fの種別が「通常」であるため、演出Eの持ち時間に基づき、演出Eの開始から4秒の持ち時間が経過した時点でベット操作に対応する演出Fが開始される。
【0072】
図9の例のシナリオデータ(
図9(1))でも、演出A〜Eは
図8の例と同様の設定であるが、この事例では、最後の演出Fの種別も「強制」に設定されている。このため、演出Dの実行中の第3停止リリース(ID_E)によって、演出Dから演出Eへの切り替えが生じた後、演出Eの実行中のベット操作(ID_F)によって、演出Eから演出Fへの切り替えが生じている。
【0073】
図10の例のシナリオデータ(
図10(1))では、最初の演出Aに「10秒」という長い持ち時間が設定されているが、その他の演出B〜Fは、
図8の例と同様の設定(演出Eのみ「強制」に設定されている。)である。
図10(2)のタイミングチャートによれば、始動操作(ID_A)に応じた演出Aの持ち時間内に、第1〜第3の停止操作(ID_B,C,D)および第3停止リリース(ID_E)が実行されている。各停止操作に対応する演出B,C,Dの種別は「通常」であるので、これらの演出は待ち状態に設定されて演出Aが続くが、「強制」の演出Eに紐付けられた第3停止リリースが生じると演出Aは中止される。さらに、待ち状態の演出B,C,Dもキャンセルされて、演出Eが開始される。
【0074】
図11の例のシナリオデータ(
図11(1))では、始動操作(ID_A)に対する演出Aにやや長い持ち時間「6秒」が設定され、第2停止操作に対する演出Cの持ち時間がブランク設定となっている。また、演出A〜Eの種別は「通常」であるが、ベット操作に対応する演出Fの種別が「強制」に設定されている。
【0075】
図11(2)のタイミングチャートによれば、この事例では、始動操作(ID_A)の後、比較的ゆっくりと停止操作が行われ、演出Aの間に実行されたのは第1停止操作(ID_B)のみとなっている。この結果、演出Aの開始から6秒が経過した時点で演出Aから演出Bへと切り替えられる。さらに、この演出Bの間に第2停止操作(ID_C)が実行され、演出Bの開始から2秒が経過した時点で演出Bから演出Cへと切り替えられている。
【0076】
この後、演出Cの間に第3停止操作(ID_D)が実行されているが、演出Cの持ち時間がブランク設定であるため、この第3停止操作によって演出Cが終了となり、演出Dが開始される。この演出Dの間に第3停止リリース(ID_E)が実行されるが、演出Eの種別は「通常」であるので、演出Dの開始から3秒が経過した時点で演出Dから演出Eへと切り替えられる。つぎのベット操作(ID_F)に対する演出Fの種別は「強制」であるため、演出Eの間にベット操作(ID_F)が実行されると、その操作の時点で演出Eは中止されて、演出Fが開始される。
【0077】
図12の例のシナリオデータ(
図12(1))は、
図11(1)の例と同じものである。しかし、この事例では、演出Aの間に第1停止操作(ID_B)および第2停止操作(ID_C)が実行されたため、演出B,Cが待機状態に設定される。
【0078】
この後、演出Aから演出Bへと切り替えられると、待ち状態の演出は演出Cのみとなるが、この演出Bの実行中に第3停止操作(ID_D)が実行されたため、演出Cの後続の演出Dも待ち状態になる。この結果、演出Bの持ち時間が満了すると、持ち時間がブランク設定の演出Cはキャンセルされて演出Dが開始される。
【0079】
この後は、演出Dの間に第3停止リリース(ID_E)が実行され、演出Dの開始から持ち時間の3秒が経過した時点で演出Dから演出Eへと切り替えられ、さらに「強制」の演出Fが対応づけられたベット操作(ID_F)が演出Eの間に実行されたことにより、その操作の時点で演出Eから演出Fへと切り替えられる。これらの流れは先の
図11の事例と同様である。
【0080】
図13の例のシナリオデータ(
図13(1))では、各演出の種別はすべて「通常」であり、始動操作に対する演出Aの持ち時間が6秒、第1停止に対する演出Bの持ち時間が4秒というように、前半の演出が長めに設定されている。
【0081】
図13(2)のタイミングチャートによれば、この事例では、演出Aが実行されている間に第1停止操作(ID_B)が実行されて演出Bが待機状態となるが、演出Aの持ち時間が満了する前に演出ボタン20によるスキップ操作が行われている。この操作により演出Aは中止されて、待機中の演出Bが早期に開始されている。さらに、演出Bが実行されている間に第2停止操作(ID_C)が実行され、その後に再度のスキップ操作が行われたため、演出Bも持ち時間の満了を待たずに中止されて、演出Cが開始されている。
【0082】
上記の事例のように、持ち時間の長い演出が実行されている間に次の遊技操作が行われると、その操作に対する演出が開始されるのはかなり後になり、以下の演出も対応する遊技操作に対して大幅に遅延する可能性がある。しかし、
図13の事例に示すように、このような遅延を好まない遊技者は、演出ボタン20によるスキップ操作を行って、待機されている演出を早期に開始させることができる。
【0083】
なお、スキップ操作は、待ち状態の演出がある場合にのみ有効となる。また、複数の演出が待ち状態である場合には、スキップ操作を繰り返すことによって、待ち状態の演出を順に駒送りのように切り替えることができる。
【0084】
上記
図7〜13の事例に示したように、この実施例では、各演出への種別および持ち時間の設定によって、各遊技操作に対する演出の開始のタイミングを種々に変動させることができる。したがって、各演出によるストーリー性を維持する必要度合いや重要度の高い演出の有無などに応じて、種別や持ち時間を設定することにより、目的に応じた演出制御を容易に実施することが可能になる。
【0085】
たとえば、ストーリー性を維持することを重要視するシナリオデータでは、各演出の種別を「通常」に設定すると共に、それぞれに必要な持ち時間を設定することにより、各遊技操作がどのようなタイミングで行われても、各演出を一定のタイミングで切り替えることができる。
【0086】
各遊技操作を契機として実行中の演出が強制的にスキップされる従来の遊技機では、遊技者が、ゲームの途中で自身の遊技操作によりスキップされた演出の続きを見たかったと思い直しても、その続きを見る機会は得られない。これに対し、上記のストーリー性を維持することを重要視するシナリオデータによれば、遊技操作を契機として演出が強制的に切り替えられることがないという特徴的な演出進行によって、遊技者に、ストーリー演出の実行中であると気づかせることができる。これに気づいた遊技者が、ゲームの途中で当該ストーリー演出を最後まで見たいと思い直した場合には、次のゲームの開始操作(始動レバー21の操作)を行わない限り、一連のストーリー演出を通して見ることができるので、従来機では得られない優れたメリットを有する遊技機を提供することができる。
【0087】
一方、重要度の高い演出を含むシナリオデータでは、その重要度の高い演出の種別を「強制」に設定することにより、重要度の高い演出に対する遊技操作が行われたときの演出の待ち状態に関わらず、重要度の高い演出を即座に開始させることができる。
また、後続の演出を待機させてまで実施する必要のない演出については、持ち時間をブランクに設定することにより、後続の遊技操作が行われていない場合にのみ演出を実行可能、換言すれば、演出待ちバッファ406に後続の演出のデータを待機させている場合には、持ち時間がブランク設定の演出をスキップして後続の演出を即座に実行することができる。
【0088】
以下、
図14〜
図17を参照して、
図6に示した各処理部による処理の詳細手順を説明する。
図14は、内部制御モード選択処理部402による処理の手順を示すものである。この手順では、主制御部30から始動操作の通知コマンドと役抽選の結果を通知するコマンドとを受けたことに応じて(ステップS101,S102が「YES」)、モード選択抽選テーブル410を用いた抽選を実行する(ステップS103)。この抽選で内部制御モードを切り替えることが決定すると(ステップS104が「YES」)、決定した内部制御モードへの切り替えを行い(ステップS105)、しかる後にステップS101に戻る。内部制御モードが切り替えられない場合には、ステップS103からステップS101に戻る。
【0089】
図15は、シナリオ抽選実行部403による処理の手順を示すものである。この手順では、始動操作の通知コマンドと役抽選の結果を通知するコマンドとの通知を受け、さらに内部制御モード選択抽選(
図14のステップS103)が実行されたことに応じて、
図7に示した選択用テーブル412を参照して、役抽選の結果通知コマンドに含まれているフラグIDと現在の内部制御モードとの組み合わせに対応するシナリオ抽選テーブルを選択する(ステップS201,S202,S203,S204)。
【0090】
シナリオ抽選テーブルの選択後は、選択されたテーブルを用いた抽選によっていずれかのシナリオデータを選択し(ステップS205)、そのシナリオデータをRAM43に保存し(ステップS206)、しかる後にステップS201に戻る。
【0091】
図16は、演出制御データ管理部404による処理の手順を示すものである。この手順では、始動操作の通知コマンド(ID_Aが入ったコマンド)を受けたことに応じて開始される(ステップS301)。まず、この始動操作の通知コマンドに対して前出の
図14および
図15の手順が実施されて、RAM43内のシナリオデータが更新されるまで待機する。
図15のステップS206の処理によりシナリオデータが更新されると(ステップS302が「YES」)、つぎのステップS303で演出待ちバッファ406をクリアしてからステップS304〜S309のループに入る。
【0092】
このループでは、RAM43に保存されているシナリオデータのうち、直前に受け付けたコマンド中の操作ID(ループに入った直後は、始動操作のID_A)に対応するデータに着目する(ステップS304)。ここで着目したデータの種別が「通常」に設定されている場合(ステップS305が「NO」)にはステップS307に進み、着目中のデータ内の演出IDおよび持ち時間を含む新規レコードを演出待ちバッファ406に追加する。
【0093】
第1停止操作より後の各遊技操作に対しても、新たな遊技操作の通知コマンドを受け付ける都度(ステップS308が「YES」、ステップS309が「NO」)、受け付けたコマンド中の操作IDに対応するデータに着目し(ステップS304)、そのデータ内の演出IDおよび待機時間を含む新規レコードを演出待ちバッファ406に追加する(ステップS307)。ただし、着目したデータ内の種別が「強制」に設定されている場合(ステップS305が「YES」)には、ステップS306で演出待ちバッファ406をクリアしてからレコードの追加を行う。また、新たに受けたコマンドが次のゲームの始動操作の通知コマンドであった場合(ステップS309が「YES」)にはステップS302に戻り、この始動操作に対して選択された新規のシナリオデータのRAM43への保存を待って演出待ちバッファ302をクリアし(ステップS303)、しかる後にステップS304以下の処理を実行する。
【0094】
上記の手順によれば、、始動操作に対する選出のレコードのほか、「強制」設定の演出のレコードも、クリア後の演出待ちバッファ406に最初に格納されるレコードになる。
【0095】
図17は、演出実行部405による処理の手順を示す。
この処理は、
図16に示した演出制御データの管理処理と並列して実施される。具体的には、始動操作に応じて演出バッファ406がクリアされた後に始動操作に対する新規のレコードが演出待ちバッファ406に格納されたことにより、ステップS401が「YES」となり、ステップS402以下の処理に進む。
【0096】
ステップS402では、演出待ちバッファ406の先頭レコードの演出IDによりコンテンツデータベース414にアクセスして、当該演出IDに対応するコンテンツデータを読み出す。次のステップS403では、読み出したコンテンツデータによる演出制御を開始するが、開始と同時に、先頭レコードの持ち時間をチェックする。この持ち時間が0より大きい場合(ステップS404が「YES」)には、原則としてその持ち時間が満了するまで演出を続ける。持ち時間が満了したときに演出待ちバッファ406に次のレコードが格納されていれば(ステップS405,S406が「YES」)、その演出に対応する先頭レコードを演出待ちバッファ406から削除し(ステップS410)、さらに実行中の演出を終了する(ステップS411)。この後は、ステップS401に戻って同様の手順を実施することにより、新たに先頭になったレコードに基づく演出制御を実施する。
【0097】
持ち時間が満了になる前にスキップ操作を受け付けた場合(ステップS405が「NO」でステップS407が「YES」)には、演出待ちバッファ406に次のレコードが格納されていることを条件に(ステップS408が「YES」)、先頭レコードを削除し(ステップS410)、実行中の演出を終了する(ステップS411)。
【0098】
持ち時間が経過するまでに、「強制」に設定された演出に対応する遊技操作が行われて演出待ちバッファ406がクリアされた場合(ステップS405,S407が「NO」でステップS409が「YES」)には、ステップS411に進んで実行中の演出を終了し、ステップS401に戻る。これによりクリア後の演出バッファ406に最初に格納されたレコード(
図16のステップS303またはS306の後のステップS307により格納されたもの)による演出が開始されることになる。
【0099】
ステップS403の処理の直後のステップS404において、実行中の演出の持ち時間がブランク状態であると判別した場合(ステップS404が「NO」)には、演出待ちバッファ406に次のレコードが追加されているか否かをチェックする(ステップS412)。次のレコードが追加されていない場合には、追加されるまでステップS412の判別処理を繰り返しながら現在の演出を継続する。次のレコードが追加されると、ステップS10に移行して先頭のレコードを削除し、さらにステップS411において現在の演出を終了し、その後にステップS401に戻る。
【0100】
上記ステップS412からステップS410,S411を介してステップS401に戻る流れによって、持ち時間がブランク設定の演出が開始された後に後続の遊技操作が行われた場合には、その後続の操作によって演出が切り替えられる(
図11(2)の例)。また、持ち時間がブランク設定の演出が開始されるより前に後続の遊技操作が行われ、持ち時間がブランク設定の演出のほか後続の演出が待機状態になると、持ち時間がブランク設定の演出に対して、ステップS402,S403を実行した直後にステップS404が「NO」、ステップS412が「YES」となって、ステップS410,S411が実行されるため、持ち時間がブランク設定の演出は実質的に実行されず、後続の演出に対する処理に移行することになる(
図12(2)の例)。
【0101】
なお、
図7〜13に例示したシナリオデータでは、いずれも、各遊技操作に一つずつ演出を対応づけたが、これに限らず、1つの遊技操作に複数の演出を対応づけることも可能である。この場合には、複数の演出毎に種別および持ち時間が設定されると共に、各演出の実行順序が設定される。ただし、一番目の演出を除き、種別は「通常」にする必要がある。
【0102】
複数の演出が対応づけられた遊技操作が行われると、演出制御データ管理部404は、その操作に対応づけられた演出毎に演出IDおよび持ち時間を含むレコードを作成し、各レコードを実行順に演出待ちバッファ406に追加する。このようなデータ管理によって、演出実行部405は、
図17と同様の手順で各演出を設定されている順序に従って実行することができる。
【0103】
図18(1)は、1つの遊技操作に対して複数の演出を順に出現させる演出方式をフリーズ演出に適用した場合のシナリオデータの構成例を示す。
フリーズ演出とは、始動操作に対してリールを回転させた後、通常よりも長い期間、停止操作を無効にして、その間に特別の演出を行うものである。フリーズ演出を行うか否かは主制御部30の抽選により決まるが、具体的な演出のためのシナリオデータは、先の実施例と同様に、第1副制御部40のシナリオ選択抽選により選択される。
【0104】
図18(1)に示すシナリオデータでは、始動操作(ID_A)に対する演出Aとして、A
SPという演出IDが付された特別の演出(フリーズ演出に相当する。)と、A4という演出IDが付された通常の演出Aとが応づけられている。フリーズ演出は通常の演出Aよりも先に実行される。その他の遊技操作(ID_B〜F)には、それぞれ1つずつ演出が対応づけられている。各演出の種別はすべて「通常」であり、ベット操作に対する演出Fを除く各演出には、それぞれ持ち時間が設定されている。フリーズ演出の持ち時間(12秒)は、停止操作が無効にされる期間の長さに合わせて設定される。
【0105】
図18(2)(3)は、上記のシナリオデータによる演出のタイミングと遊技操作のタイミングとの関係を示す。ただし、紙面の都合上、第1停止操作に対する演出Bまでを図示の範囲とする。
【0106】
図18(2)の例は、始動操作(ID_A)に応じてフリーズ演出が開始された後に、その持ち時間の12秒が経過した時点でフリーズ演出が終了し、通常の演出Aが開始される。この段階で停止操作が可能となり、この例でも、第1停止操作(ID_B)が行われている。この第1停止操作により、演出Aは開始から持ち時間の4秒が経過した時点で終了し、第1停止操作に対する演出Bが開始される。
【0107】
図18(3)の例でも、始動操作(ID_A)に応じてフリーズ演出が開始されるが、この事例では、フリーズ演出の間に演出ボタン20によるスキップ操作が行われている。この操作により、フリーズ演出は持ち時間が経過する前に終了し、待機状態にあった通常の演出Aが開始されている。
【0108】
ただし、フリーズ演出が早期に終了しても停止操作の無効期間は変わらず、始動操作から12秒が経過した後に、第1停止操作(ID_B)が受け付けられる。この操作が通常の演出Aの持ち時間内に行われた場合には、持ち時間の満了を待って演出Aから演出Bへと切り替えられる。演出Aの持ち時間が満了しても第1停止操作が行われなかった場合には、第1停止操作が受け付けられるまで演出Aの画面が表示され、第1停止操作が行われたことに応じて演出Bへと切り替えられる。
【0109】
図18(2)(3)に示すように、フリーズ演出もスキップ操作により中止させることができ、その中止によって、待ち状態にあった演出Aやその後続の演出B〜Fの開始時期を早めることが可能になる。