(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767291
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】一体化された非対称平面パネル型コーンビームCT及びSPECTシステムを備えた核医学SPECT−CT装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20150730BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20150730BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
A61B6/00 300X
A61B6/03 320P
A61B6/03 321L
A61B6/03 377
G01T1/161 E
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-201136(P2013-201136)
(22)【出願日】2013年9月27日
(62)【分割の表示】特願2010-531624(P2010-531624)の分割
【原出願日】2008年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-39845(P2014-39845A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2013年10月25日
(31)【優先権主張番号】60/985,789
(32)【優先日】2007年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/061,237
(32)【優先日】2008年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヴェセル,ジョン エフ
(72)【発明者】
【氏名】ペトリッロ,マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー,アイアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンバフシュ,マフムード
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン,リズワン
(72)【発明者】
【氏名】フグ,パウル
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン,ジョセフ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー,マーク エイ
【審査官】
亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−318751(JP,A)
【文献】
特開平11−009583(JP,A)
【文献】
特開平06−327662(JP,A)
【文献】
特開2003−052676(JP,A)
【文献】
特開2001−029336(JP,A)
【文献】
特表2004−532985(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/018646(WO,A1)
【文献】
特開2006−116309(JP,A)
【文献】
特開2002−159479(JP,A)
【文献】
特開2007−167412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G01T 1/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式ガントリーに搭載された少なくとも2つの核医学検出器ヘッド;
前記ガントリーに搭載されたX線源;
前記X線源に対向し且つ前記X線源に対してオフセットされて前記ガントリーに搭載されたX線検出器;及び
前記X線検出器と前記ガントリー上のマウントとにヒンジ動作可能に結合され、前記X線検出器を収納位置及び伸張位置で固定する自動固定式伸張アーム;
を含み、
前記X線源の視野(FOV)と前記核医学検出器ヘッドのFOVとが互いに重なり合い、
前記伸張アームは、少なくとも1つのスライダーを搭載したスライド式プレートを含み、前記少なくとも1つのスライダーは、前記スライド式プレートが部分的に前記伸張アームから外側に伸張するとき、第1の運動変換部を作動させ、
前記第1の運動変換部は、固定用ピンネジに、固定ピンを第1の受入孔から解放させることを行わせ、
前記伸張アームが稼働位置まで回転され、前記スライド式プレートが前記伸張アームから完全に伸張されるとき、前記少なくとも1つのスライダーは第2の運動変換部を作動させ、且つ
前記第2の運動変換部は、前記固定用ピンネジに、前記固定ピンを第2の受入孔内に前進させて前記伸張アームを前記稼働位置に固定することを行わせる、
複合型患者撮像システム。
【請求項2】
前記X線源は、円錐状のX線ビームを、前記オフセットされたX線検出器に導く;
トランケーションされたビューを生成するように関心ボリューム(VOI)が部分的に前記X線源のFOV内に位置付けられ、前記ガントリーはCTデータ収集中に前記VOIの周りでおよそ360°回転され、該FOVは、併せて撮影されたトランケーションされた180°の反対側のビューが前記VOIの完全な投影データセットを生成するようにトランケーションされる;
前記X線源は、前記ガントリーがCTデータ収集中に回転されるとき、前記ガントリーの中心を貫く長手方向軸に平行に、前記VOIに沿って長手方向に移動可能である;及び
前記X線検出器は長手方向に、前記回転式ガントリーの前記長手方向軸に平行に搭載されている;
のうちの少なくとも1つである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記X線検出器は平面パネル型検出器であり;且つ
前記核医学検出器ヘッドは、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)検出器ヘッド又は陽電子放射型断層撮影(PET)検出器ヘッドのうちの少なくとも一方である;
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記伸張アームは、前記マウントと当該伸張アームとのそれぞれに結合されたヒンジ部を通って延在するヒンジピンを含み、前記伸張アームは、収納されるとき前記マウントに寄せて折り畳まれ、使用されるとき前記稼働位置までおよそ90°折り返される、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記スライド式プレートの伸張と前記伸張アームの回転とを実行する電力駆動部、を更に有する請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
回転式ガントリー上のマウントに、ヒンジピンによってヒンジ動作可能に結合された自動固定式伸張アームであり、平面パネルX線検出器に結合された伸張可能なスライド式プレートを含む自動固定式伸張アーム;
前記X線検出器に対向して前記ガントリーに結合されたコーンビームX線源であり、前記ガントリーを貫く長手方向軸に平行に、関心ボリューム(VOI)に沿って長手方向に移動可能なX線源;
前記ガントリーに結合され、前記X線源の視野(FOV)と重なり合うFOVを有する2つの核医学検出器;
を含み、
前記伸張アームは、前記マウントに寄せられる収納位置と、前記X線検出器のX線受光面が前記X線源に面し且つ前記X線源から僅かにオフセットされる稼働位置との間で、前記ヒンジピンの周りでおよそ90°回転し、
前記伸張アームは、少なくとも1つのスライダーを搭載したスライド式プレートを含み、前記少なくとも1つのスライダーは、前記スライド式プレートが部分的に前記伸張アームから外側に伸張するとき、第1の運動変換部を作動させ、
前記第1の運動変換部は、固定用ピンネジに、固定ピンを第1の受入孔から退避させることを行わせ、
前記固定ピンが前記第1の受入孔から退避されると前記伸張アームが前記稼働位置まで回転され、前記少なくとも1つのスライダーは、前記スライド式プレートが前記伸張アームから完全に伸張されるとき、第2の運動変換部を作動させ、且つ
前記第2の運動変換部は、前記固定用ピンネジに、前記固定ピンを第2の受入孔内に前進させて前記伸張アームを前記稼働位置に固定することを行わせる、
複合型被検体撮像システム。
【請求項7】
トランケーションされたビューを生成するように関心ボリューム(VOI)が部分的に前記X線源のFOV内に位置付けられ、前記ガントリーはCTデータ収集中に前記VOIの周りでおよそ360°回転され、該FOVは、併せて撮影されたトランケーションされた180°の反対側のビューが前記VOIの完全な投影データセットを生成するようにトランケーションされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記スライド式プレートの伸張と前記伸張アームの回転とを実行する電力駆動部、を更に有する請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
平面パネル型X線検出器を収納位置と稼働位置との各々で固定する方法であって:
ガントリー上のマウントに結合された自動固定式伸張アームから外側に第1の位置まで、スライド式プレートを伸張させるステップであり、第1の運動変換部が、固定ピンを第1の受入孔から後退させて前記検出器を前記収納位置から解放するように、前記スライド式プレートに結合されたスライダーによる直線運動を、固定用ピンネジに与えられる回転運動へと変換するステップ;
前記自動固定式伸張アームを前記収納位置から前記稼働位置までおよそ90°回転させるステップ;及び
前記スライド式プレートを第2の位置まで伸張させるステップであり、第2の運動変換部が、前記固定ピンを第2の受入孔内に平行移動させて前記検出器を前記稼働位置に固定するように、前記スライド式プレートに結合されたスライダーによる直線運動を、固定用ピンネジに与えられる回転運動へと変換するステップ;
を含み、
前記スライド式プレートは前記X線検出器に結合されており、前記X線検出器は前記稼働位置にあるとき、X線源からオフセットされ且つ該X線源を向くように方向付けられる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は特に、診断撮像システム、とりわけコーンビーム・コンピュータ断層撮影(CT)と単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)とを伴う診断撮像システムに適用される。しかしながら、開示の技術が、その他の撮像システム、その他の医療シナリオ、又はその他の医療技術にも適用され得ることが認識されるであろう。
【背景技術】
【0002】
核医学(NM)とX線CTモダリティとの双方を結合した、例えばフィリップス社のPrecedence、フィリップス社のGemini、シーメンス社のSymbia等の典型的な商用システム設計は、直列型の幾何学構成で構成されている。この構成においては、NMガントリーとCTガントリーとの間の空間だけ軸方向に離隔された2つの撮像視野(field-of-view;FOV)領域の間に、1つの共通の患者テーブルが延在している。
【0003】
例えばGE社のHawkeye等の別の商用システム設計においては、x線源及びCT検出器は、NM検出器を備えた1つの共通のガントリー上に搭載されているが、依然として軸方向に離隔されている。その他に、共通のガントリー上に搭載された平面パネル検出器を用いるコンセプトも提案されている。CT検出器及びNM検出器が軸方向にずらされているとき、NMデータ収集とCTデータ収集との間に軸方向の移動と時間的なオフセットとが存在することになる。これは、NMデータ収集とCTデータ収集との間の被検体の動きとアライメントとに関する問題を生じさせる。
【0004】
非対称な検出器構成での再構成法が、放射線源を用いるSPECT検出器システムのFOVを拡張することに関して発表されている。放射線治療システムは、より大きい撮像FOVを支援するように構成された平面パネルを用いて、標的腫瘍に一層正確に撮像を結合してきた。また、前臨床システムは、ボリュームCT再構成を用いる非対称検出器構成を用いてきた。
【0005】
例えばSPECTガントリーをX線ガントリーと組み合わせる等、2つの異なる技術を共に組み合わせるとき、幾つかの難題が発生する。これら2つのシステムを1つのガントリーへと一体化することは、更なる実装上の制約や、SPECT検出器の動作がX線部品との干渉を引き起こすことを伴う。例えば、配備後、平面パネルX線検出器は、アーチファクトを低減するように正確に位置決めされて安定に保たれる必要がある。また、配備は同一位置に再現可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、患者スキャンの速度及び品質を改善するという利点を有し、上述及びその他の問題を解決する、新たな改善された複合型核医学/CTシステム、及び画像の収集・再構成時間を改善する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に従って、複合型患者撮像システムは、回転式ガントリーに搭載された少なくとも2つの核医学検出器ヘッドと、前記ガントリーに搭載されたX線源と、前記X線源に対向し且つ前記X線源に対してオフセットされて前記ガントリーに搭載されたX線検出器とを含み、前記X線源の視野(FOV)と前記核医学検出器ヘッドのFOVとが互いに重なり合う。
【0008】
他の一態様に従って、複合型被検体撮像システムは、回転式ガントリー上のマウントに、ヒンジピンによってヒンジ動作可能に結合された自動固定式伸張アームであり、平面パネルX線検出器に結合された伸張可能なスライド式プレートを含む自動固定式伸張アームと、前記X線検出器に対向して前記ガントリーに結合されたコーンビームX線源であり、前記ガントリーを貫く長手方向軸に平行に、関心ボリューム(VOI)に沿って長手方向に移動可能なX線源と、前記ガントリーに結合され、前記X線源のFOVと重なり合うFOVを有する2つの核医学検出器とを含む。前記伸張アームは、前記マウントに寄せられる収納位置と、前記X線検出器のX線受光面が前記X線源に面し且つ前記X線源から僅かにオフセットされる稼働位置との間で、前記ヒンジピンの周りでおよそ90°回転する。
【0009】
更なる他の一態様に従って、平面パネル型X線検出器を収納位置と稼働位置との各々で固定する方法は、ガントリー上のマウントに結合された伸張アームから外側に第1の位置まで、スライド式プレートを伸張させるステップを含み、第1の運動変換部は、固定ピンを第1の受入孔から後退させて前記検出器を前記収容位置から解放するように、前記スライド式プレートに結合されたスライダーによる直線運動を、固定用ピンネジに与えられる回転運動へと変換する。当該方法は更に、前記伸張アームを前記収容位置から前記稼働位置までおよそ90°回転させるステップと、前記スライド式プレートを第2の位置まで伸張させるステップであり、第2の運動変換部が、前記固定ピンを第2の受入孔内に平行移動させて前記検出器を前記稼働位置に固定するように、前記スライド式プレートに結合されたスライダーによる直線運動を、固定用ピンネジに与えられる回転運動へと変換するステップとを含む。前記スライド式プレートは前記X線検出器に結合されており、前記X線検出器は前記稼働位置にあるとき、X線源に向くように方向付けられる。
【0010】
他の一態様に従って、複合的撮像方法は、少なくとも2つの核医学検出器ヘッド、X線源、及びX線検出器を患者寝台の周りで回転させるステップであり、前記X線源及び前記X線検出器の視野が、前記核医学検出器ヘッドの視野と一致するように回転させるステップと、CT撮像中に、患者のVOIのトランケーションされた部分を、回転式ガントリーの反対側の180°の回転方向にて前記VOIの反対側の半分からのビューが収集されるように、収集するステップとを有する。
【0011】
他の一態様に従って、複合型被検体撮像システムは、第1の支点によって平面パネル型X線検出器に回転可能に結合され、且つ第2の支点によって回転式ガントリーに回転可能に結合された、固定可能な伸張アームと、前記X線検出器に対向して前記ガントリーに結合されたコーンビームX線源であり、前記ガントリーを貫く長手方向軸に平行に、関心ボリューム(VOI)に沿って長手方向に移動可能なX線源とを含む。当該システムは更に、前記ガントリーに結合され、前記X線源の視野(FOV)と重なり合うFOVを有する2つの核医学検出器を含む。前記伸張アームは、前記ガントリーに寄せられる収納位置の間で、前記第2の支点の周りでおよそ90°回転し、前記平面パネル型X線検出器は、前記X線検出器のX線受光面が前記X線源に面し且つ前記X線源から僅かにオフセットされる稼働位置まで、前記第2の支点の周りでおよそ180°回転する。
【発明の効果】
【0012】
1つの利点は、NMデータ収集とCTデータ収集との間の間隔が短縮され、データ収集時間が短縮されることである。
【0013】
他の1つの利点は、NM及びCTのデータ及び画像が本質的に整列されることにある。
【0014】
他の1つの利点は、平面パネルX線検出器の固定が自動化されることにある。
【0015】
以下の詳細な説明を読み、理解することにより、本出願に係る革新技術の更なる利点が当業者に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
この革新技術は、様々な構成要素及びその構成、並びに様々なステップ及びその編成の形態を取り得る。図面は、様々な態様を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして解されるべきでない。
【
図1】例えば関心領域の中心を長手方向の軸付近に置くように、撮像あるいは検査される被検体を所望の位置に位置付けるように選択的に上下に位置決め可能な、例えばテーブル又は長椅子などの、患者支持台を含む撮像システムを示す図である。
【
図2A】2つの核医学検出器と、X線源すなわちCT源と、ガントリーの共通回転中心に非対称に搭載された平面パネル型のX線検出器すなわちCT検出器とを含む、一体化された複合型システムを示す正面図である。
【
図2B】
図2Aの一体化複合型システムを示す側面図であり、2つのシステム間の撮像FOVが共通あるいは一致しており、患者の移動を殆ど、あるいは全く必要とせずに、同様の撮像面による共通に整合された画像が提供される。
【
図2C】
図2Bのシステムを示す別の側面図であり、CT源及びCT検出器が長手方向軸に沿った退避位置に移動されている。
【
図2D】CT源が、VOIを通るX線コーンビームを放射しながら、ガントリーを貫く長手方向の中心軸に平行に長手方向に移動するガントリーを示す側面図である。
【
図2E】CTのX線源及び平面パネル検出器が核医学検出器ヘッドに対して直列構成にある他の一実施形態に係るシステムを示す側面図である。この実施形態においては、核医学検出器ヘッドと、CT源及びCT検出器とを(何れかの順序で)順番に使用して、関心ボリューム(VOI)を撮像することができる。
【
図3】円錐状のX線ビームの全て又は一部をオフセットされた平面パネル検出器に導くコリメータ・フィルタ装置を備えた他の一実施形態に係る撮像システムを示す図である。
【
図4】心臓核医学検査において典型的に用いられる90°の角度にNM検出器を有する幾何学構成で構成されたシステムを示す図である。
【
図5】核医学検出器(例えば、SPECT、PET)、CT源、及び平面パネル検出器が、CTスキャン及び/又は核医学スキャン中にそれら装置を所望の位置に位置付け、且つ現在使用中でない移動要素を使用時の軌道外に位置付けることを容易にするトラック上に移動可能に搭載された、他の一実施形態に係る撮像システムを示す図である。
【
図6】平面パネル検出器が、伸張部及び平面パネル検出器をガントリーに結合するマウントに固定可能に結合された伸張部上で外側に伸張された、その稼働位置にあるシステムを示す透視図である。
【
図7】平面パネル検出器を1つ以上の位置に固定するための自動固定機構を、伸張された位置にある伸張アームとともに示す斜視図である。
【
図8】収容位置にある平面パネル検出器の自動固定機構を示す図である。
【
図9】完全に伸張された位置にある自動固定機構を示す図である。
【
図10】伸張アームがその伸張位置にあるときの自動固定機構のヒンジ部を示す図である。
【
図11】核医学検出器と、平面パネルX線検出器の反対側に示された放射線源とを備えたガントリーを示す図である。
【
図12】核医学検出器及び放射線源を、配備された平面パネル検出器とともに示す、ガントリーを示す図である。
【
図13A】折り畳み位置に格納された平面パネル検出器を、やはり折り畳まれた収容位置にある伸張アームに対して示す図である。
【
図13B】第1の旋回軸又はヒンジの周りで伸張アームから外側に折り返された、あるいは回転された平面パネル検出器を示す図である。
【
図13C】収容位置から外側に稼働位置まで回転された、完全に伸張された位置にある平面パネル検出器及び伸張アームを示す図である。
【
図13D】固定伸張位置にある平面パネル検出器及び伸張アームを示す図である。
【
図14】伸張位置すなわち稼働位置にある固定可能な伸張アーム・平面パネル検出器アセンブリを備えた一実施形態に係るシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで説明するシステム及び方法は、単一の患者撮像装置内で、コーンビームCT(CBCT)源を、オフセットされた平面パネル検出器及び核医学撮像ヘッドと組み合わせることに関する。オフセットされた平面パネル検出器を用いることにより、フルサイズのCT検出器と比較して検出器のサイズを最小化して占有空間を縮小し、核医学撮像ヘッドの動作自由度を増大させることが可能である。核医学撮像は、診断や治療効果の評価に使用可能な生理学的過程及び/又は機能情報を提供する。例えば相互に整合されたCBCT等の別のモダリティの付加は、読み取る者の臨床上の確信を高める上で有用である。また、CBCT情報は、放射データの減衰を補正し、定量的な正確性及び画像の品質を向上させるために使用することが可能である。
【0018】
その他の特徴は、平面パネル検出器がCBCTスキャン中に適所に留まり、且つCBCT源が使用されないときに、例えば核医学(NM)撮像中又はシステム休止時間中などに、軌道外に収容されることを確実にする固定機構に関する。
【0019】
図1を参照するに、撮像システム10は、例えば患者の関心ボリュームの中心を撮像システムの長手方向軸付近に置くように、撮像あるいは検査される被検体を所望の高さに位置付けるように選択的に上下に位置決め可能な、例えばテーブル又は長椅子などの患者支持台12を含んでいる。テーブルは寝台14を含んでおり、寝台14は、核医学検出器ヘッド18(例えば、ガンマカメラ又はこれに類するもの)による撮像、及び/又はCBCTのX線源20と平面パネルCBCT検出器すなわちX線検出器22とによる撮像のために患者の関心ボリューム(VOI)が撮像システムの視野(FOV)内に平行移動され得るように、回転可能なガントリー16を貫く長手方向軸に平行に移動可能である。例えばモータ等の動力源(図示せず)が、選択的に、VOIをFOV内に位置付けるように寝台を長手方向軸に平行に駆動する。検出された患者画像データ(例えば、核医学データ及び/又はCTデータ)は、オペレータがモニタ24上で見る画像を生成するために画像再構成などを実行する適当なハードウェア及びソフトウェアを含むワークステーション(図示せず)によって受信される。
【0020】
インナーガントリー構造26は、アウターガントリー構造28に、ステップ回転又は連続回転で回転可能なように搭載されている。核医学検出器ヘッド18は、受け入れた被検体の周りのグループとして、回転ガントリー構造26の回転とともに回転する。核医学検出器ヘッドは、中心軸の周りの多様な角度方向及び中心軸からの多様な変位の何れかに当該検出器ヘッドを位置付けるために、回転ガントリー26上で被検体からの距離及び間隔を変化させるように、径方向、円周方向及び横方向に調整可能である。例えば、径方向、円周方向、及び被検体の接線方向において横方向に、独立に核医学検出器ヘッドを(例えば、直線状の軌道又はその他の適切なガイドに沿って)平行移動させるために、例えばモータ及び駆動アセンブリ等の別個の並進装置群が設けられる。ここで説明する2つの検出器ヘッドを用いる実施形態は、2検出器システム、3検出器システム、又はこれらに類するもので実施されることができる。同様に、例示する実施形態を3検出器システムに適応するために三回対称性を用いることも意図される。
【0021】
一実施形態において、核医学検出器ヘッドはSPECT検出器ヘッドである。SPECT撮像においては、検出器ヘッド上の各座標で受信された放射線データによって投影画像表現が定められる。SPECT撮像において、受信放射線が沿う光線はコリメータによって定められる。
【0022】
他の一実施形態において、核医学検出ヘッドは陽電子放射型断層撮影(PET)検出器ヘッドである。PET撮像において、検出器ヘッドの出力は、2つのヘッド上の同時放射線イベントに関して監視される。ヘッドの位置及び方向と同時放射線が受信された面とから、同時イベント検出点同士の間の光線すなわちライン・オブ・レスポンス(LOR)が計算される。このLORは、発生した放射線イベントが沿った直線を定める。PET及びSPECTの何れにおいても、ヘッドの様々な角度方向からの放射線データが、関心ボリュームの容積的なボリューム画像表現へと再構成される。
【0023】
CBCT源20は、
図3に関連して後述するように、例えばコリメータ及びアクシャルフィルタを採用することによって、CT撮像に好適なスキャン中の或る時点で視野(FOV)の一部のみが画像化されるように複数の領域にセグメント化することができる。
【0024】
CBCT源20は、寝台24の有限運動を用いて、あるいは寝台14の運動を用いずにCT撮像及びエミッション撮像の双方のFOVが一致する、あるいは重なり合うように、FOVの周りを回転する。平面パネル放射線検出器22は、CTのFOVが切り捨て(トランケーション)なしで患者を撮像するのに十分であるように、回転中心に対して非対称な配置で置かれている。また、平面パネル検出器は、X線像として解釈可能な高分解能のX線写真データを生成することの助けとなる。故に、システム10は、2つの撮像面の間の変位が、直列型システムと比較して優位に低減あるいは排除されるので、核医学撮像(例えば、SPECT、PET等)画像とCT又はその他のモダリティの画像との間の整合問題を排除あるいは軽減するマルチモダリティシステムである。これはまた、2つの別個の撮像システムの異なるFOVまで患者支持台が延在される必要がないので、結合型スキャナのための部屋の大きさについての要求を軽減する。それにより、敷地造成の複雑度及びコストが低減され、既存施設へのSPECT/CTシステム又はPET/CTシステムの事後導入が容易になる。
【0025】
非対称な検出器配置を用いることにより、平面パネル検出器22は、核医学検出器18の従来の運動を提供するように小型化されることが可能であり、より大型のCT検出器が用いられた場合に生じ得る離隔(クリアランス)問題を軽減する。また、既存のSPECT又はPET用の撮像テーブル構成に対して患者テーブルに変更の必要がないため(例えば、核医学撮像FOVとCT撮像FOVとが一致するため)、患者テーブルには追加のコストは伴わない。また、CTのFOVを拡大し(例えば、およそ50cm以上まで倍化)、大柄の患者のスキャンをトランケーションなしで可能にすることができる。また、核医学検出器ヘッドの回転速度は重量面及び安全面での制約によって制限され得る。逆に、ボリュームCBCTの収集及び再構成は、一回転で大きい軸方向のカバレッジを実現する。これは、全体的なスキャン時間を短縮して息止め収集を可能にし、画像の品質を向上させることになる。
【0026】
図2Aは、2つの核医学検出器18と、X線源すなわちCT源20と、ガントリー16の共通回転中心に非対称に搭載された平面パネル型のX線検出器すなわちCT検出器22とを含む、一体化された複合型システム10を示している。核医学検出器は、例えば全身用平面SPECT又はPETスキャンプロトコルなどのための、180°配置で示されている。CT源20は、非対称に整列されたCT検出器22上に向けて非対称ビームを放射する。非対称ビームは、例えば、(図示しない)ビームフィルタ、コリメータ又はこれらに類するものを用いて生成され得る。CT検出器は、完全なVOI42のCT画像を生成するために、VOI42の複数の重なり合うFOV40を生成するように複数の位置に移動されることができる。なお、ガントリーが180°回転したとき、放射線ビームはVOIの残りの半分を撮像することになる。
【0027】
図2Bは、システム10の側面図を示しており、2つのシステム間の撮像FOVが共通あるいは一致しており、患者の移動を殆ど、あるいは全く必要とせずに、同様の撮像面による共通に整合された画像が提供される。ガントリーは、トランケーションされた反対からのビュー(180°)がともに重み付けられて患者を包含する完全な投影データセットが収集されるように、CT収集中に360°回転されることができる。検出器22は、データを逃すことなく互いに反対からの投影間でオーバーラップを作り出すようにオフセットされることが可能である。検出器をオフセットすること、すなわち、ずらすことは、トランケーションされた投影データを削減することによって画像アーチファクトを低減する。そして、例えばフェルトカンプアルゴリズム等のアルゴリズムを用いた再構成が用いられ、解剖学的局在化又は減衰補正の何れかに用い得るボリュームCTデータセットが生成される。回転中のX線源の動きは、完全なサンプリングを達成し、CBCT再構成を改善する。
【0028】
図2Cは、システム10の別の側面図であり、ガントリーの円周の周りの回転に加え、ガントリーを貫く長手方向軸に沿ったCT源の動きを示すために、CBCT源20がガントリー16の方にずらされている。CT源は、故に、複数の角度及び位置から完全なる画像データの組を生成するために、VOIの周りで回転されることに加え、VOIの全長をスキャンするように伸張され、且つ/或いは退避されることができる。ガントリーの回転動作中、核医学検出器18はCT源及びCT検出器に対して静止した状態にされ、その結果、全ての装置がガントリーとともに移動し、核医学検出器がCTヘッドのFOVの外側に保たれること又はこの逆が確保される。
【0029】
図2Dは、ガントリー16の側面図を示しており、CT源20が、VOI42を通るX線コーンビームを放射しながら、ガントリーを貫く長手方向の中心軸に平行に、長手方向に移動している。長手方向でのCT源の動きは、VOIを移動させる必要なくVOI全体をスキャンすることを容易にするものであり、また、CTスキャン中に欠けたVOI部分が存在しないことを確保するように、ガントリーが(例えば、連続的に、あるいはステップ動作にて)回転される間に実行されることができる。また、検出器22は、CT源とともに長手方向に移動されてもよいし、静止したままにされてもよい。検出器22が移動いようと静止していようと、X線ビームを検出器22の方に導くために、フィルタ(図示せず)が用いられ得る。斯くして、システム10は、不完全なサンプリングによって生じ得る問題を軽減する。
【0030】
図2Eは、システム10の別の側面図を示しており、CTのX線源20及び平面パネル検出器22は核医学検出器ヘッド18に対して直列構成にある。この実施形態においては、核医学検出器ヘッドと、CT源及びCT検出器とを(何れかの順序で)順番に使用して、VOIを撮像することができる。
【0031】
図3は、円錐状のX線ビームの全て又は一部をオフセットされた平面パネル検出器に導くコリメータ・フィルタ装置50を備えた撮像システムの他の一実施形態を示している。このシステムはガントリー16を含んでおり、ガントリー16は、当該ガントリーの撮像領域内に挿入されるときにテーブル支持体(図示せず)によって支持される寝台(図示せず)を受け入れる。ガントリーに、X線源20及び平面パネル検出器22とともに、一対の核医学検出器18(例えば、SPECT検出器、PET検出器など)が移動可能に位置付けられる。X線源は、当該X線源の使用中に熱を消散させる熱交換装置52を含んでいる。また、VOI(図示せず)と平面パネル検出器22との間に散乱グリッド54が位置付けられている。散乱グリッドは、一次X線を検出器へと通しながら散乱あるいは減衰されたX線を吸収し、X線検出を改善する。
【0032】
患者動き検出器56が患者の動きを検出する。患者動き検出器56は、患者のVOIがCT撮像及び/又は核医学撮像の検出器のFOV内に留まることを確実にするように、CT撮像及び/又は核医学撮像の検出器の調整をトリガーすることができる。例えば、検出された患者の動きは、制御サーバ58及び/又はガントリー動作コントローラ60が、検出器18、CT源とCT検出器システム、及び/又は患者寝台それぞれの移動を開始するようにトリガーすることが可能であり、患者をFOV40内に維持するように電力を供給する。
【0033】
X線発生器62がX線源20に電力を供給し、CTスキャン中に該X線源を介して放射されるX線が生成される。X線発生器は更に、X線コントローラ64に結合されている。X線コントローラ64は、CTスキャン中の適時に適当な強度などでX線を生成するようにX線発生器に信号伝達する。コントローラ64はまた、(電源を備えた)コマンドプロセッサ66に結合されている。コマンドプロセッサ66は、検出されたX線情報を平面パネル検出器22から受信するとともに、それに電力を供給する。コマンドプロセッサは更に、ガントリーと、検出されたSPECTデータ及びCTデータを受信するSPECT−CT収集部68とに結合されている。ワークステーション69は、収集されたデータを受信するものであり、VOI又は患者のCT画像及び核医学画像を再構するための再構成プロセッサ及びメモリ(図示せず)を含んでいる。
【0034】
図4は、心臓核医学検査において典型的に用いられる幾何学構成で構成されたシステム10を示している。CT源20は、心臓スキャンを実行する時に望ましいものである相互に90°の向きにした核医学検出器群18の動作を妨げないようにして、ガントリー上に位置付けられている。核医学検出器は、所望時に平面パネル検出器22によって検出されるようにCT源がX線ビームを放射することを可能にするよう、(図示の向きにおいて)横方向に移動可能である。
【0035】
図5は、核医学検出器18(例えば、SPECT又はPET)、CT源20、及び平面パネル検出器22が、CTスキャン及び/又は核医学スキャン中にそれら装置を所望の位置に位置付けることを容易にするトラック上に移動可能に搭載された、他の一実施形態に係るシステム10を示している。核医学検出器ヘッドは、円形経路に沿って移動するフレームに搭載されている。これらの核医学検出器は、相互に近付いたり遠ざかったりする該フレームの部分に沿って平行移動し、これら検出器ヘッドは、ガントリー16に従う複雑で制御された経路にて移動される。X線源及びX線検出器は、ガントリーの周りの円形経路上を移動する。また、X線源及びX線検出器は、核医学検出器に垂直且つガントリーを貫く中心軸に垂直なフレーム部分に沿って(例えば、
図5の回転方向において上下)移動する伸張/格納可能なアームによってガントリーに取り付けられている。X線検出器(
図5においては、収容位置又は折り畳み位置に示されている)を所望の位置に自動的に固定するために、格納可能な伸張アームが伸張された状態で用いられる。一実施形態において、平面パネル検出器は、該検出器の折り畳み及び展開を可能にする直線状のスライド式アームに取り付けられる。このアームは、円形経路で移動する梁(ビーム)に取り付けられ、自動機械的固定手段を含む。斯くして、システム10は、検出器22を手動で固定する必要性を軽減する。
【0036】
図6は、平面パネル検出器22が、伸張アーム及び平面パネル検出器をガントリー16に結合するマウント72に固定可能に結合された伸張アーム70上で外側に伸張された、その稼働位置にあるシステム10を示している。CT源20がFOVを横切るX線ビームを平面パネル検出器へと放射する一方で、核医学検出器18は経路外に位置付けられる(例えば、側方に外される)。例示した図において、伸張アームはページの外側に伸張している。
【0037】
図7は、平面パネル検出器を1つ以上の位置に固定するための自動固定機構80を、伸張された位置にある伸張アーム72とともに示す斜視図である。この機構はマウント70を含んでおり、伸張アーム72がそれにヒンジ構成で結合されている。伸張部は、複数の伸張可能なスライダー84を備えたスライド式プレート82を含んでおり、スライド式プレート82は、伸張されるとき、これらスライダー84に沿って移動する。少なくとも1つのスライダー84は、当該スライダーの直線運動を回転運動に変換する運動変換部86に結合されている。一実施形態において運動変換部は、スライダー内のラックアンドピニオン式システム(図示せず)によって回転されるギアであり、スライダーが伸張されるときギアは第1の方向に回転し、スライダーが格納されるときギアは反対方向に回転する。
【0038】
マウント70と伸張アーム72との間のヒンジ式の結合は、伸張アームの上部及び下部の端部を通り且つ複数のヒンジ部92を通って延在するピン90を含んでいる。ギアは、固定用のピンネジ88を機械的に接触しており、ギアが上記第1の方向に回転するとき、固定用ピンネジを回転させて固定ピン94を伸張させる。固定ピンは、孔部96によって受け入れられ、検出器が完全に展開されたときの位置で伸張アーム72を固定する。
【0039】
図8は、収容位置にある平面パネルCT検出器の自動固定機構80を示している。伸張アーム72はマウント70に寄せて収容されている(例えば、伸張アーム72はヒンジピン90の周りで収容位置まで回転されている)。スライダー式プレート82は伸張アーム72内に完全に格納されている。
【0040】
図9は、完全に伸張された位置にある自動固定機構80を示している。伸張アーム72は、マウント70に寄せられた収容位置から、ヒンジピン90の周りで外側に、およそ90°回転される。スライド式プレートは、伸張アーム内にある収容位置から外側に伸張されている。スライド式プレートの運動は、固定用ピンネジを作動させる回転運動に変換され、固定用ピンネジは、固定ピンを受入孔内まで延在させ、伸張アーム及びスライド式プレートが伸張位置に固定される。
【0041】
図10は、伸張アーム72がその伸張位置にあるときの自動固定機構80のヒンジ部を示している。伸張アームは、ヒンジピン90の周りで、マウント70から離れる方向に回転されている。スライド式プレート82が伸張アームから外側に部分的に伸張されるとき、スライダー84は、第1の運動変換部を作動させ、当該スライダーの直線運動を、固定用ピンネジ88を第1の受入孔96から抜き出す回転運動に変換させる。そして、伸張アームはマウントから90°外側に回転され、スライド式プレートは伸張アームから完全に伸張される。スライド式プレートの完全なる伸張は、スライダーを第2の運動変換部87に結合させる。第2の運動変換部87は、固定用ピンネジ88に、固定ピン94を第2の受入孔98内まで延在させることを行わせ、それにより伸張アームはその伸張位置に固定される。
【0042】
以下の例は、これまでの図に関して伸張アームの動きを説明するものである。平面パネル検出器の自動固定アセンブリは、
図5及び8に示した位置に収容されている。固定ピン94が、対応するヒンジ嵌合部の第1の受入孔96内にかみ合う。故に、伸張アーム72は折り畳み位置で固定される。スライダー84が第1の位置まで外側に直線的に移動することを開始し、運動変換部86が直線運動を回転運動に変換し、固定用ピンネジ88を第1の受入孔96から抜き出させる。この時点では、スライド式プレートの進行が部分的に行われたのみであり、ヒンジは固定されていない。その後、アームがおよそ90°回転され、伸張アームのスライド式プレートが、完全に伸張された位置すなわち稼働位置まで更に引き出され、固定ピンを第2の受入孔98内に挿入するようにネジ88を反対方向に嵌合・回転させることを第2の運動変換部87に行わせる。故に、ヒンジは、
図6及び7で示した伸張位置で再び固定される。
【0043】
従って、例えば
図6に示したラックアンドピニオン式アセンブリ等の機構を介して直線運動を回転運動に変換することによって固定が達成される。スライダー84が内側及び外側に移動するとき、細かいピッチのスクリューシステムが回転され、固定ピン94が、対を為すヒンジ内に設けられた精密な孔の1つに挿入される。それにより、平面パネル検出器を所与の位置に手動で固定することが不要になる。また、この機構は、検出器を適所に自動的に固定するので、オペレータが検出器を適所に固定し忘れることに対する予防手段を提供する。
【0044】
他の一実施形態において、スライド式プレートの自動二段階動作と伸張アームの回転とを実行するために、電力駆動部(図示せず)が含められる。その電力駆動は、検出器を収容位置と稼働位置との間で移動させるように、ユーザインタフェース(例えば、コンピュータ又はワークステーション)から制御することができる。
【0045】
他の一実施形態において、システムを動作させる方法は、X線源と核医学検出器ヘッドとが重なり合う視野又は一致する視野を有するように核医学検出器ヘッド18、X線源20及びX線検出器を患者寝台14の周りで回転させることを含む。この方法によれば、X線検出器は、CT収集が行われているとき稼働位置で固定され、CT収集が行われていないとき(例えば、核医学画像データ収集中、又はシステムが使用されていないとき)収容位置で固定される。CT撮像において、ガントリー16が回転するときにVOIのビュー(view)が反対方向の180°から収集されるよう、患者のVOI42の部分群のトランケーションされたX線データが収集される。例えば、ガントリーがその開始地点の反対側の180°地点を通って回転する時、X線源及びX線検出器は、VOIの反対側からのビューを生成し始める。斯くして、完全なデータセットが確保され、冗長なデータは後に、画像再構成の前に除去される。また、X線検出器はCT収集中に適所(例えば、X線源に対向する稼働位置)に固定される。CT収集が完了すると、核医学撮像データ収集が開始し得るように、X線源は経路外に折り畳まれ、X線検出器は折り畳まれて収容位置で固定される。例えば、検出器は、CTの稼働中に伸張アーム72の外側に伸張するスライド式プレート82に取り付けられる。スライド式プレートは、完全に伸張した位置から部分的に伸張した位置まで格納されることが可能であり、該プレートの格納中の直線運動は運動変換部87によって回転運動に変換されることができる。この回転運動は、固定用ピンネジ88を回転させ、それにより、固定ピンが受入孔98から引き抜かれて、検出器が稼働位置から解放される。ピンが受入孔98の外側になると、伸張アームはマウント70に寄せて折り畳まれる。この時点で、スライド式プレートは伸張アーム内に完全に格納され、運動変換部86がスライダー84の直線運動を、固定用ピンネジに与えられる回転運動へと変換する。それにより、固定ピンが受入孔96に挿入され、検出器が収容位置で固定される。上述の動作は、CT収集が実行されるべきときにはいつでも、検出器を収容位置から解放し、それを稼働位置に固定するために逆にして行われることができる。
【0046】
図11は、核医学検出器18と、平面パネルX線検出器22の反対側に示された放射線源20とを備えたガントリー16を示している。平面パネル検出器22は、その格納位置で示されており、回転ガントリー部26の壁部内にある。このように平面パネル検出器を格納することにより、平面パネル検出器22は核医学検出器18の経路外となる。また、例えば、コリメータ交換、ベッド撮像、核医学検出器のQCチューニング、及び輸送の間、平面パネル検出器が保護される。
【0047】
図12は、核医学検出器18及び放射線源20を、配備された平面パネル検出器22とともに示す、ガントリー16を示す図である。放射線受光面が放射線源20に面するように、伸張アーム72’がガントリーの表面内の収納位置から外側に折り返され、さらに、平面パネル検出器が伸張アームから外側に折り返されている。
【0048】
図13A−Dは、展開の様々な段階にある平面パネル検出器22及び伸張アーム72’の上面図を示している。
図13Aにおいて、平面パネル検出器22は伸張アーム72’に寄せられた折り畳み位置に格納されており、伸張アーム72’もまた、折り畳まれた収容位置にある。
【0049】
図13Bにおいて、平面パネル検出器22は、第1の旋回軸又はヒンジ110の周りで伸張アーム72’から外側に折り返され、あるいは回転されている。伸張アーム72’は、第2の旋回軸又はヒンジ112の周りで収納位置から外側に回転され、あるいは折り返されている。
【0050】
図13Cにおいて、平面パネル検出器22及び伸張アーム72’は、完全に伸張された位置にあり、収容位置から外側に、放射線受光面が放射線源(例えば、ガントリーの検査領域の反対側に位置付けられている)からの放射線を受けるように向けられた稼働位置まで回転されている。
【0051】
図13Dにおいて、平面パネル検出器22及び伸張アーム72’は固定された伸張位置にある。例えば、検出器22を適所に固定するために、オペレータが伸張アーム72’内の収納位置からハンドル120を引き出す。ハンドル120は、外に引き出されると、伸張アーム内のカム122を作動させ、このカムによって、伸張アーム72’の内部の1つ以上のトラック127、128内に位置付けられた1つ以上の玉(ボール)又はベアリング124、126に力が及ぼされる。一実施形態において、これらのトラックは、カムの動作を受けてボール同士の間で力を伝達する力伝達手段(例えば、バネ、ロッド、又はこれらに類するもの)を含んでいる。例えば、カムがボール126に圧力を印加すると、トラック127を介してボール130に力が伝達され、そして、ボール130が回転軸(支点)110に停止力を印加することにより、平面パネル検出器22がその固定位置から移動することが防止される。同様且つ同時に、カムの動作がボール124に圧力を印加し、ボール124がトラック128を介してボールプランジャー132に力を伝達する。故に、ボールプランジャーが、ボール又はベアリング134を、回転軸(支点)112内のボール受入溝136に押し込み、稼働中に伸張アーム72’が移動することが防止される。斯くして、伸張アーム及び平面パネル検出器は、この二回転軸固定構成によって、正確に、再現可能に、且つ安全に、展開された稼働位置で固定される。
【0052】
図14は、伸張位置すなわち稼働位置にある固定可能な伸張アーム・平面パネル検出器アセンブリを備えた一実施形態に係るシステム10’を示している。システム10’は、ガントリー16の検査領域内に、そして検査領域外に、患者を平行移動させる患者寝台14を備えた被検体支持台12を含んでいる。一対の核医学検出器ヘッド18、放射線源20、及び平面パネル検出器22が、ガントリー16に搭載されている。システム10’によって生成された被検体の画像を見るためのモニタ24が設けられている。平面パネル検出器22は、使用されていないとき、核医学検出器18の経路から外され、受入空洞150内に収納される。認識されるように、システム10’の構成要素は、
図1−5に関連して説明したシステム10の構成要素と同様あるいは同一としてもよく、更に
図12−13Dの伸張アーム72’を採用してもよい。
【0053】
幾つかの実施形態を参照しながら本発明を説明した。以上の詳細な説明を読み、理解した者は、変更及び変形に思い当たるであろう。本発明は、添付の請求項の範囲又はその均等範囲に入る限りにおいて、そのような全ての変更及び変形を含むものとして解されるものである。