(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767315
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】レーザー光をフォーカシングするためのビーム整形ユニット、および、ビーム整形ユニットの駆動方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/064 20140101AFI20150730BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20150730BHJP
B23K 26/046 20140101ALI20150730BHJP
【FI】
B23K26/064 A
B23K26/064
B23K26/00 M
B23K26/00 N
B23K26/046
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-505406(P2013-505406)
(86)(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公表番号】特表2013-528494(P2013-528494A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2011055853
(87)【国際公開番号】WO2011131541
(87)【国際公開日】20111027
【審査請求日】2012年12月12日
(31)【優先権主張番号】202010006047.8
(32)【優先日】2010年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ルップ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク フェース
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン−ミヒャエル ヴァイク
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ブルガー
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−517931(JP,A)
【文献】
特開2005−088053(JP,A)
【文献】
特開平08−238586(JP,A)
【文献】
特開平10−202385(JP,A)
【文献】
特開2009−166104(JP,A)
【文献】
特開2006−015399(JP,A)
【文献】
特開2000−334585(JP,A)
【文献】
特開平08−197274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー材料加工のために、レーザー光(3)を被加工材(9)へフォーカシングするビーム整形ユニット(1)であって、
前記ビーム整形ユニット(1)は、
拡散するレーザー光(3)の入射する第1の光学素子(5)と、
光伝搬方向で前記第1の光学素子(5)に後置された第2の光学素子(7)と、
前記光伝搬方向で前記第2の光学素子(7)に後置されたフォーカシング光学系(8)と、
を含み、
前記第1の光学素子(5)に、前記第1の光学素子(5)を制御することによって焦点直径(D)を設定する第1の焦点設定装置(10)が対応しており、
前記第2の光学素子(7)に、前記第2の光学素子(7)を制御することによって前記レーザー光(3)の光伝搬方向での焦点位置を設定する第2の焦点設定装置(12)が対応している、
ビーム整形ユニット(1)において、
前記拡散するレーザー光(3)は、前記第1の光学素子(5)を通り、中間焦点(6)を経て、前記第2の光学素子(7)へ結像され、
前記光伝搬方向で前記フォーカシング光学系(8)に後置される別の光学系(20)が、前記ビーム整形ユニット(1)をガス圧に対して遮閉するために設けられており、
前記フォーカシング光学系(8)と前記別の光学系(20)とのあいだに、衝突防止のための分離部(21a)が設けられており、前記分離部(21a)の領域は弾性を有するシース(21)によって覆われている、
ことを特徴とするビーム整形ユニット(1)。
【請求項2】
前記第1の光学素子(5)は、50mmより小さい焦点距離を有するレンズ(5)によって形成されている、
請求項1記載のビーム整形ユニット(1)。
【請求項3】
前記第1の光学素子(5)は、前記焦点直径(D)を設定する前記第1の焦点設定装置(10)により、前記レーザー光(3)の光軸(11)に沿って移動可能である、
請求項1または2記載のビーム整形ユニット(1)。
【請求項4】
前記第2の光学素子(7)は、レンズ(7)によって形成されており、前記第2の光学素子(7)は、前記焦点位置を設定する前記第2の焦点設定装置(12)により、前記レーザー光(3)の光軸(11)に沿って移動可能である、および/または、その結像特性を変更可能である、
請求項1から3までのいずれか1項記載のビーム整形ユニット(1)。
【請求項5】
前記第1の焦点設定装置(10)および/または前記第2の焦点設定装置(12)をアプリケーション固有の設定値(23)およびその時点の補正値(24)に基づいて駆動する制御ユニット(22)が設けられており、前記設定値および前記その時点の補正値は、プロセス監視装置(25)の測定データに基づいている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のビーム整形ユニット(1)。
【請求項6】
さらに、前記第1の光学素子(5)および前記第2の光学素子(7)および各素子の支承部材(13,14)によって複数の室(17,18,19)に分割されたケーシング(2)が設けられており、前記複数の室(17,18,19)間でのガス交換および圧力交換のために上方流路(15,16)が設けられている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のビーム整形ユニット(1)。
【請求項7】
前記ビーム整形ユニット(1)は、光伝搬方向で見て前記第1の光学素子(5)に前置された輸送ファイバ(4)を含み、前記輸送ファイバ(4)から前記レーザー光(3)が拡散するように出射される、
請求項1から6までのいずれか1項記載のビーム整形ユニット(1)
【請求項8】
複数の焦点設定装置(10,12)をアプリケーション固有の設定値(23)に基づいて駆動する、請求項1から7までのいずれか1項記載のビーム整形ユニット(1)の駆動方法において、
前記複数の焦点設定装置(10,12)を駆動する際に、その時点の補正値(24)を考慮する、
ことを特徴とする駆動方法。
【請求項9】
前記その時点の補正値(24)を用いて、熱によって前記ビーム整形ユニット(1)に発生する結像誤差を補償する、
請求項8記載の駆動方法。
【請求項10】
前記その時点の補正値(24)を、照射時間と、前記ビーム整形ユニット(1)の少なくとも1つの光学部品(20)に供給されるレーザーパワーと、に基づいて求める、
請求項8または9記載の駆動方法。
【請求項11】
前記その時点の補正値(24)を前記ビーム整形ユニット(1)の少なくとも1つの光学部品での温度測定によって求める、
請求項8から10までのいずれか1項記載の駆動方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光学部品は、光伝搬方向の最後方に配置された光学部品(20)である、
請求項11記載の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光をフォーカシングするためのビーム整形ユニット、および、ビーム整形ユニットの駆動方法に関する。
【0002】
レーザー材料加工の分野では、レーザー光を種々のプロセスおよびアプリケーションに対して繰り返し適合させなければならない。そのつど必要な出力レベルを調整することに加え、特に、レーザー光の焦点直径および焦点位置の調整も重要である。多くの場合、例えば、レーザー切削において、薄い金属板から厚い金属板へもしくは厚い金属板から薄い金属板へ材料が変化する場合には、レーザー光の適合化のために、処理光学系ないし加工ヘッド全体の交換が必要となる。この交換による損失時間は、使用されているレーザー材料加工装置の生産性を低下させる。
【0003】
レーザー光の最小ビーム径の動作点で種々の焦点直径を調整するために、日本国公開第2009−226473号から、拡散性のレーザー光をまず可動集光レンズへ入射させる装置および方法が公知である。光伝搬方向で後置されるフォーカシング光学系によって被加工材上に結像される焦点直径は、光伝搬方向での集光レンズの位置に依存して、すなわち、レーザー光軸に沿って、調整可能である。ただし、焦点直径の変化によって焦点位置も影響を受けるので、一定の動作点を得るには、この焦点位置を事後調整しなければならない。これは例えば集光レンズとフォーカシング光学系とのあいだに配置されたアダプティブミラーによって行われ、その可変の曲率半径によって、焦点位置の事後調整が可能となる。しかし、アダプティブミラーによって実現可能な事後調整領域は比較的小さい。結像品質を良好に保持しようとすれば、焦点距離200mmの集光レンズの事後調整領域は10mmより小さくなる。また、アダプティブミラーの別の欠点として、煩雑な形状が挙げられ、この場合、線形の装置構造が不可能となってしまう。
【0004】
上掲の日本国公開第2009−226473号には、アダプティブミラーの使用に代えて、集光レンズに似たフォーカシング光学系を光伝搬方向で可動となるように配置し、焦点直径の変化に応じて焦点位置を適合化することも示されている。しかし、フォーカシング光学系を移動させるには、精密なガイドエレメントはもちろん、フォーカシング光学系の移動時に光学空間を気密に封止するための封止部材も必要となる。こうした要求のためにビームガイド装置の構造は複雑となる。また、フォーカシング光学系のうち光学空間の反対側で支配的なガス圧のために、相応の移動も簡単には実現されない。
【0005】
発明が解決しようとする課題
したがって、本発明の課題は、構造技術的に簡単で、焦点直径および焦点位置をフレキシブルに調整できるビーム整形ユニットおよびその駆動方法を提供することである。特に、焦点位置を後方領域へ拡張できることが望ましい。
【0006】
対象発明
この課題は、レーザー材料加工のためのレーザー光を被加工材へフォーカシングするために、レーザー光の入射する第1の光学素子と、光伝搬方向で第1の光学素子に後置される第2の光学素子と、光伝搬方向で第2の光学素子に後置されるフォーカシング光学系と、第1の光学素子に対応し、この第1の光学素子を制御することによって焦点直径を設定する第1の焦点設定装置と、第2の光学素子に対応し、この第2の光学素子を制御することによってレーザー光の光伝搬方向での焦点位置を設定する第2の焦点設定装置とを備える、本発明のビーム整形ユニットにおいて、レーザー光が第1の光学素子を通り中間焦点を経て第2の光学素子へ結像されることにより解決される。
【0007】
本発明のごとく、第1の光学素子と第2の光学素子とのあいだに中間焦点を設けることにより、焦点直径を大きな範囲にわたって変化させることができる。このために、有利な実施形態では、第1の光学素子は、透過性光学素子、特にレンズとして形成されており、この透過性光学素子は、50mmより小さい焦点距離、有利には40mmよりも小さい焦点距離、特に有利には約30mm程度の焦点距離を有する。
【0008】
有利には、第1の光学素子は、自身に対応する、焦点直径を設定するための第1の焦点設定装置により、レーザー光の光軸に沿って移動可能である。このために、第1の焦点設定装置は、モータもしくは同等の駆動手段を備えている。
【0009】
また、有利には、第2の光学素子も、有利には透過性光学素子、特にレンズとして形成されている。ビーム整形ユニットにおいて、第1の光学素子からフォーカシング光学系までのあいだに各透過性光学素子を配置して用いることにより、ビーム整形ユニットのリニア型構造が達成され、ユニットの複雑さおよび大きな寸法を低減できる。
【0010】
本発明の特に有利な実施形態では、第2の光学素子は、第1の光学素子と同様に、対応する第2の焦点設定装置により、レーザー光の光軸に沿って移動可能である。第1の焦点設定装置および第2の焦点設定装置の各移動過程は、相互に結合されていても相互に独立であってもよい。
【0011】
これに代えて、第2の光学素子の曲率半径ひいては第2の光学素子の結像特性を、第2の焦点設定装置により変更して、焦点位置を調整することができる。この場合、有利には、第2の光学素子は、結像特性を変更する第2の焦点設定装置と協働するアダプティブレンズとして構成される。ここでの協働は、例えば、レンズの曲率半径を変更してアダプティブレンズにかかる圧力を調整することにより行われる。
【0012】
第1の焦点設定装置および第2の焦点設定装置の双方とも、焦点直径および/または焦点位置を調整するために、制御ユニットにより、特にプロセス監視装置の測定データに基づくアプリケーション固有の設定値およびその時点の補正値に基づいて、駆動可能である。ここで、アプリケーション固有の設定値とは、所定の加工タスクに対して設定すべき光特性であって、場合により、設定から生じる焦点直径と焦点位置との相互作用を少なくとも1つのパラメータの変化時に考慮ないし補償するものである。これとは異なり、その時点の補正値は、プロセス中に、例えばビーム整形ユニットの個々の部品の結像特性の熱誘導変化によって、もしくは、ビーム整形ユニットと被加工材との距離変化によって生じる。距離変化は被加工材に形成される輪郭に基づいて補償しなければならない。相応の制御ユニットは、ビーム整形ユニットの要素であっても、周辺部品、例えばビーム整形ユニットを含むレーザー材料加工装置の一部のいずれであってもよい。
【0013】
有利な実施形態では、さらに、第1の光学素子および第2の光学素子およびこれらの支承部材によって複数の室に分割されたケーシングが設けられ、複数の室間にガス交換および圧力交換のための上方流路が設けられる。これは、ビーム整形ユニットからフォーカシング光学系にいたるまでの領域において純粋空間条件の生じる状況を考慮してなされる。ただし、第1の光学素子および/または第2の光学素子の移動により、可変の室内ボリュームが規定されるのであれば、上方流路なしでも、相応の正圧状況もしくは負圧状況を生じさせることができる。
【0014】
有利には、ビーム整形ユニットは、レーザー材料加工装置、特にレーザー切削機の加工ヘッドに組み込まれるか、もしくは、加工ヘッドの少なくとも1つの要素となっている。フォーカシング光学系と処理加工すべき被加工材とのあいだには、光伝搬方向でフォーカシング光学系に後置される別の光学系が配置されている。この別の光学系は、特には、ビーム整形ユニットをガス圧に対して遮閉するための保護ガラス(プレーンウィンドウ)である。プレーンガラスパラレルウィンドウの形態の保護ガラスは、ビーム整形ユニットもしくは加工ヘッド内に支承されている。これにより、一方では、ビーム整形ユニットをガス圧に対して封止でき、他方では、レーザー光を事後的にセンタリングする必要なく、加工位置に面する光学系(ここでは保護ガラス)を交換したり洗浄したりできる。
【0015】
本発明の有利な実施形態では、フォーカシング光学系と別の光学系とのあいだに、衝突防止のための分離部が設けられ、分離部の領域は弾性を有するシースによって覆われる。衝突防止は、過負荷時に、保護ガラスの支承部材とフォーカシング光学系とのあいだを分離することにより達成される。分離が行われる領域は弾性を有するシース、例えばアコーディオン式緩衝材によって包囲されるので、分離後には、保護ガラスとフォーカシング光学系とのあいだの領域、特にフォーカシング光学系上には、粒子が侵入しない。
【0016】
本発明のビーム整形ユニットは、有利には、レーザー材料加工装置で使用される。レーザー材料加工装置のレーザー光源はソリッドステートレーザーであり、約1μmの近赤外領域のレーザー基本波長を有するレーザーである。こうした構造の装置では、レーザー光源からビーム整形ユニットないし加工ヘッドまでのレーザー光の供給は、有利には、輸送ファイバを介して行われる。ビーム整形ユニットの第1の光学素子は光伝搬方向で見て輸送ファイバに続いて配置されているため、レーザー光は第1の光学素子へ向かって拡散するように出射される。
【0017】
本発明は、さらに、複数の焦点設定装置をアプリケーション固有の設定値に基づいて駆動する、前述したビーム整形ユニットの駆動方法にも関する。本発明によれば、複数の焦点設定装置を駆動する際に、その時点の補正値が考慮される。
【0018】
このために、制御ユニットが設けられており、第1の焦点設定装置および第2の焦点装置に対して、加工点でのフォーカシングに関する所望の光特性が得られるよう、第1の光学素子および/または第2の光学素子を制御するための制御信号を設定する。ここで、制御ユニットは、アプリケーション固有の設定値およびその時点の補正値にアクセス可能である。前述したように、アプリケーション固有の設定値とは、所定の加工タスクに対して設定すべき光特性であって、場合により、設定から生じる焦点直径と焦点位置との相互作用を少なくとも1つのパラメータの変化時に考慮ないし補償するものである。こうした相互作用の補償のために、制御ユニットは、例えば、格納されている複数の特性マップもしくは関係機能部を利用する。さらに、定義された限界値が超過された場合にのみ補償が行われるようにしてもよい。また、考慮されるべきその時点の補正値を、例えば光出力および照射時間に依存して場合により設けられるプロセス監視部の測定データもしくは特性マップから取得してもよい。
【0019】
本発明の方法の有利な実施形態では、その時点の補正値が用いられて、熱によってビーム整形ユニットに発生する結像誤差が補償される。結像誤差は、特に、光成分の照射時間および/または汚れの増大につれて発生し、望ましくない焦点位置の変化を引きおこす。補正値を求めて各焦点設定装置を駆動するための相応の制御信号を形成する際には、少なくとも1つのパラメータが変化する場合の焦点直径と焦点位置との既知の相互作用が考慮される。
【0020】
有利には、その時点の補正値は、照射時間と、ビーム整形ユニットの少なくとも1つの光学部品に供給されるレーザーパワーとに基づいて求められる。熱によって生じる結像誤差は、この場合、レーザーパワーおよび照射時間に依存して、例えば制御ユニット内に格納される。
【0021】
これに代えて、その時点の補正値が、ビーム整形ユニットの少なくとも1つの光学部品での温度測定によって求められてもよい。実際の測定温度は、熱によって生じる結像誤差に相関する。特に有利には、温度は少なくとも1つの光学部品の中心で求められる。ここでの測定は当業者に周知の非接触の測定手段(温度センサ)によって行われる。
【0022】
温度測定に関する特に有利な実施形態として、レーザー光の光伝搬方向の最後方に配置された光学部品すなわちフォーカシング光学系もしくは保護ガラスの温度測定のみが行われる。この場合、求められた補正値により、レーザーパワーおよび照射時間に起因して保護ガラスの吸収度が高まることによる焦点位置ずれだけでなく、プロセスでの汚れに起因して保護ガラスの吸収度が高まることによる焦点位置のずれも考慮される。このような保護ガラスの監視により、温度測定によって汚れの度合も求められ、あらかじめ定義された限界値に達した場合のプロセスの遮断が保証される。また、さらなる信号処理の際にも、温度測定値を焦点位置の制御に利用することができる。
【0023】
その時点の補正値は熱によって結像誤差が生じる場合の焦点位置に関連するので、補償に用いられる制御信号は、通常、第2の焦点設定装置のみに伝達される。
【0024】
本発明のその他の利点は、図示の実施例から得られる。上述した本発明の各特徴は、単独でも任意に組み合わせても利用可能である。なお、図示の実施例は説明のための例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】焦点直径ないし焦点位置を3つの異なる値に設定した場合のビーム整形ユニットの実施例を示す概略図である。
【
図2】
図1のa,b,cのビーム整形ユニットをケーシング内に集積した構造の装置を示す図である。
【0026】
図1のaには、拡散性のレーザー光3を小さい焦点距離(典型的には約50mmより短く、特には約30mm前後)を有する第1のレンズ5へ照射し、中間焦点6を介して、ビーム径D
1の第2のレンズ7へ結像するビーム整形ユニット1が示されている。第2のレンズ7によってコリメートされるレーザー光3は、フォーカシング光学系8として用いられる定置の別のレンズを介して、レーザー材料加工のための被加工材表面9へフォーカシングされる。被加工材表面9での作業点に形成されるレーザー焦点はここでは径d
1を有する。
【0027】
アプリケーションの交換時、例えば、切削すべき被加工材である金属板の厚さが変わった場合もしくは金属板の材料が変わった場合には、被加工材9上の焦点直径d
1を変更する必要がある。例えば、より小さな焦点直径d
2(d
2<d
1)を選定しなければならない。
【0028】
焦点直径を種々に設定するために、ビーム整形ユニット1には第1の焦点設定装置10が設けられている。この第1の焦点設定装置10は、(図示されていない)駆動機構、例えばリニアモータによって、第1のレンズ5をレーザー光3の光軸11に沿って移動させることができる。
【0029】
図1のbに示されているように、レーザー光3の光伝搬方向における光軸11に沿った第1のレンズ5の移動量がΔZ
L1であるとき、第2のレンズ7上に生じるレーザー光3の光直径は低減される(D
2<D
1)。第1のレンズ5の移動量ΔZ
L1は、ここでは、第2のレンズ7の光直径の低減(D
1からD
2への低減)によって焦点直径の所望の低減(d
1からd
2への低減)が生じるように選定される。
【0030】
さらに
図1のbからわかるように、第1のレンズ5の移動量はレーザー光3の光伝搬方向における焦点位置の移動量ΔZ
Fを生じさせる。焦点位置の移動量ΔZ
Fを補償してレーザー焦点を再び被加工材表面9に位置決めするには、第2の焦点設定装置12が用いられ、第2のレンズ7が光伝搬方向でレーザー光3の光軸11に沿って値ΔZ
L2だけ移動される。この値は、被加工部材側の焦点位置が被加工材表面9の作業位置に再び一致するように選定されている。このことは、
図1のcに示されている。この場合、第2のレンズ7の位置変更によって焦点位置が変化するが、焦点直径d
2は変化しない。第2のレンズ7が(設定可能な曲率半径を有する)アダプティブレンズであるなら、第2のレンズ7の移動に代えてもしくはこれに加えて、第2の焦点設定装置12によって第2のレンズ7の曲率を調整することによっても、焦点位置の移動量ΔZ
Fの補償を行うことができる。
【0031】
図2には、ビーム整形ユニット1がケーシング2に組み込まれた状態で示されている。ここには、近赤外領域の約1μmのレーザー基本波長を有するレーザー光3が輸送ファイバ4を介して入力される。焦点設定装置10,12のほか、ずれが起こったときにレーザー光3の光軸11に沿って第1のレンズ5ないし第2のレンズ7をガイドするため、それぞれ、レンズ支承部材13,14が設けられている。レンズ支承部材13,14は、レンズ5,7が移動される場合にも、ケーシング2に密に固定されているので、2つのレンズ5,7およびレンズ支承部材13,14とともに、3つの室17,18,19を画定している。第1のレンズ5ないし第2のレンズ7をガイドするレンズ支承部材13,14は、ここでは、レンズ5,7が移動した場合に室17,18,19間での圧力補償を行うための上方流路15,16を有している。
【0032】
フォーカシング光学系8の光伝搬方向において、ビーム整形ユニット1の後方に、保護ガラス/圧力ウィンドウ20が配置されている。詳細には図示されていないが、衝突保護部も設けられており、これにより、フォーカシング光学系8と保護ガラス/圧力ウィンドウ20とのあいだの領域に衝突防止のための分離部21aが形成される。この分離部の近傍ではビーム整形ユニット1のケーシング2にアコーディオン式緩衝材21が取り付けられているので、汚染粒子の侵入が阻止され、汚れが直接にフォーカシング光学系8に沈着するおそれがなくなる。
【0033】
焦点設定装置10,12による焦点位置および焦点直径の設定は、制御ユニット22が設定する制御信号によって行われる。この制御信号はアプリケーション固有の設定値23およびその時点の補正値24に基づいて定められる。設定値23によって定められる制御信号は、第1の焦点設定装置10および第2の焦点設定装置12の双方へ供給され、第1のレンズ5および第2のレンズ7の相応の移動へ変換される。
図2に示されているケースでは、その時点での補正値は、熱によって生じる結像誤差、ひいては、これが主としてもたらす焦点位置ずれを補償するためのものであり、よって、焦点位置ずれの補償のためのその時点の補正値の変化に基づいて用いられる制御信号は、第2の焦点設定装置12のみに供給されればよい。
【0034】
その時点の補正値に基づいて、定められた限界値が超過された場合にのみ、焦点位置ずれの補償が行われるので、焦点位置の変化がわずかな場合には、レンズ5,7の移動が阻止される。付加的に考慮されるその時点の補正値は、プロセス監視の測定データから得られる。この測定データは、
図2に示されている実施例では、保護ガラス20の温度監視のための温度センサ25によって形成される。温度センサ25によって測定された実際温度は、制御ユニット22内で、相応に熱によって生じる結像誤差に相関しており、そこから、焦点位置を補正するためのその時点の補正値24が計算される。
【0035】
これに代えてもしくはこれに加えて、制御ユニット22はその時点の補正値24を求めるために、負荷に依存する特性マップを利用してもよい。この特性マップには、ビーム整形ユニット1ないしその個々の部品に熱によって生じる結像誤差が、レーザーパワーおよび照射時間に依存して格納されている。ここで、負荷に依存する特性マップと温度測定とを組み合わせることにより、保護ガラス20の汚れを求め、その時点での補正値24を求めて焦点位置制御を行うことに対する作用を考慮することができる。
【0036】
詳細には図示されていない実施例において、アプリケーション固有の設定値23を計算するための入力量として、その時点の補正値24を利用することもできる。