(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合剤が、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組合せのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のセラミック未焼成体。
前記水和粘土が、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、およびそれらの組合せのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2記載のセラミック未焼成体。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1a】2.9重量%の結合剤を添加した参照材料1に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図1b】5重量%の結合剤を添加した参照材料2に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図1c】5重量%の結合剤を添加した参照材料1に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図2a】2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料1に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図2b】2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料2に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図2c】2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料3に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図2d】2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料4に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図3a】5重量%の結合剤を添加したサンプル材料1に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図3b】5重量%の結合剤を添加したサンプル材料2に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図3c】5重量%の結合剤を添加したサンプル材料3に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図3d】5重量%の結合剤を添加したサンプル材料4に関して、異なる速度で押出成形したリボンの写真を示す図である。
【
図4a】2.9重量%の結合剤を含む参照材料1に関して得られた、押出成形したウェブ構造の写真を示す図である。
【
図4b】5重量%の結合剤を含む参照材料1に関して得られた、押出成形したウェブ構造の写真を示す図である。
【
図4c】5重量%の結合剤を含む参照組成物2に関して得られた、押出成形したウェブ構造の写真を示す図である。
【
図5】a)5重量%の結合剤を含むサンプル材料1;およびb)5重量%の結合剤を含むサンプル材料2に関して得られた、押出成形したウェブ構造の写真を示す図である。
【
図6】セラミック未焼成体における高速
流ウェブのa)光学顕微鏡写真;およびb)走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
【
図7】押出機バレルにおける突入速度の関数としての壁の抵抗圧力(wall drag pressure)のプロットを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次の記述において、同様の参照文字は、図面に示される幾つかの図の全体にわたり、同様の部分または対応する部分を示す。また、他に特に規定されない限り、「上部」、「底部」、「外側」、「内側」などの用語は、便宜のための語句であり、限定する用語として解釈されるべきではないことも理解されよう。加えて、ある群が、要素およびそれらの組合せの群のうち少なくとも1つを含むと記載される場合は常に、その群は、列記される要素を幾つでも、個別にまたは互いに組み合わせて、含む、実質的にそれらの要素からなる、または、それらの要素からなっていてよいことも理解されよう。同様に、ある群が要素および/またはそれらの組合せの群のうち少なくとも1つからなると記載される場合は常に、その群は、個別にまたは互いに組み合わせて、任意の数の列記される要素からなりうることが理解されよう。他に特に規定されない限り、値の範囲は、列記されている場合には、その範囲の上限値および下限値、並びにそれらの間の範囲を含む。
【0012】
図面全般、および特に
図1を参照すると、各図は特定の実施の形態を説明する目的のためのものであり、本開示または添付の特許請求の範囲をそれらに限定することは意図されていないことが理解されよう。図面は必ずしも一定の比率の縮尺ではなく、明確さおよび簡潔さの利益を確保するために、図面のある特定の特徴およびある特定の図が縮尺または図式的に誇張されて示される場合がある。
【0013】
本明細書では、「未焼成体」、「未焼成のセラミック体」、または「セラミック未焼成体」という用語は、他に特に規定されない限り、焼結されていない本体、部分、または焼成前の製品のことを指す。「未焼成組成物」および「未焼成のバッチ材料」という用語は、他に特に規定されない限り、セラミック未焼成体の形成に使用される材料の混合物のことを指す。未焼成体および未焼成のバッチ材料は、水などの溶媒を含み、典型的には、セラミック材料の少なくとも1つの前駆体を含む。加えて、未焼成体および未焼成のバッチ材料はまた、結合剤、細孔形成剤、安定剤、可塑剤、解膠剤、滑剤などの他の材料も含む。本明細書では、「焼成」とは、他に特に規定されない限り、セラミック材料またはセラミック体を形成するために高温で熱処理することを指す。
【0014】
本明細書では、「焼成粘土」という用語は、高温で加熱することによって脱水された(すなわち、水が除去された)粘土のことを指す。「水和粘土」という用語は、水分を含んでおり、か焼されていない粘土のことを指す。
【0015】
未焼成のセラミック組成物およびセラミック未焼成体が提供される。前記組成物および未焼成体は、少なくとも1種類の有機結合剤が最低限のレベルで存在し、焼成粘土が存在しないことに依拠する。前記未焼成の組成物および未焼成体は、代わりに、水和粘土および、セラミック未焼成体の焼成後に最終的なコージエライトの化学量論が達成されることを確実にするために必要な、ある量の他のアルミナ原料およびシリカ原料のみを使用する。未焼成の組成物およびセラミック未焼成体はそれぞれ、コージエライト前駆体材料と、少なくとも1種類の結合剤を含み、焼成粘土を含まない。未焼成の組成物およびセラミック未焼成体はまた、細孔形成剤(例えば、グラファイトまたはデンプン)、滑剤、または当技術分野で既知の同様のものなど、他の成分を含みうる。
【0016】
焼成粘土は、典型的には凝集構造を有する。凝集構造は、バッチが二軸スクリュー押出機などの押出機の内部で混合されるときに凝集粒子が破壊されるので、バッチ表面積の増大につながる。水和粘土と比較して、焼成粘土の破壊は、やや大きい疎水性挙動を示す、新しい粒子表面を露出する。その一方で、有機結合剤の化学構造は、より短鎖長の成分へと発達する。この発達は、バッチにおける結合剤構造の崩壊または結合剤の溶解のいずれかに起因する。よって、粘土が崩壊する際に新しい結合部位の存在が増大することに起因して、結合剤は、アクセスがさらに困難になる。バッチにおける流動特性の変化に起因する望ましくない効果は、バッチから焼成粘土を排除し、バッチにおける結合剤のレベルを増大することによって低減または排除することができる。
【0017】
コージエライトは、式:2MgO・2Al
2O
3・5SiO
2を有する。本明細書では、コージエライト前駆体材料は、タルク、少なくとも1種類の水和粘土、アルミナ、およびシリカを含み、これらが一緒に混合されて、未焼成組成物を含むバッチ材料を形成し、そこからセラミック未焼成体が成形される。コージエライト前駆体材料は、焼成粘土(例えばAl
2(Si
2O
5))を含まない。すなわち、焼成粘土は、前駆体材料または未焼成のバッチ材料に積極的には添加されない。コージエライト前駆体として用いられる水和粘土は、典型的にはカオリナイト構造(Al
2(Si
2O
5)(OH)
4)を基礎としており、限定はしないが、カオリナイト(Al
2(Si
2O
5)(OH)
4)、ハロイサイト(Al
2(Si
2O
5)(OH)
4・H
2O)、パイロフィライト(Al
2(Si
2O
5)(OH)
2)、それらの組合せまたは混合物などが挙げられる。タルクは、層状構造を有する含水ケイ酸マグネシウムであり、一般式:Mg
3(SiO
2)
2(OH)
2を有する。タルクは、コージエライトにおけるマグネシア(MgO)源としての役割をする。アルミナ(Al
2O
3)は、化学量論のコージエライトを得るためにバッチ材料に加えられ、純粋な形態またはベーマイトまたはアルミニウム3水和物などのアルミニウム前駆体の形態で加えられる。シリカは、通常、α石英または溶融シリカなどの純粋な化学状態で存在する。
【0018】
セラミック未焼成体の未焼成組成物は、一部の実施の形態では、約12〜約16重量%のMgO;約33〜約38重量%のAl
2O
3;約49〜約54重量%のSiO
2;および約3重量%から最大で約10重量%の少なくとも1種類の結合剤を含む。1つの実施の形態では、セラミック組成物および未焼成体は、それぞれ、約12.5〜約15.5重量%のMgO;約33.5〜約37.5重量%のAl
2O
3;および約49.5〜約53.5重量%のSiO
2を含む。コージエライト形成体およびコージエライト体はまた、典型的には、CaO、K
2O、Na
2O、Fe
2O
3などの不純物も含んでいる。
【0019】
未焼成のセラミック組成物および未焼成体はそれぞれ、3重量%から最大で10重量%の少なくとも1種類の結合剤を含む。結合剤は、このようなセラミック材料の負荷が比較的高い、流動性のある分散を形成するのに用いられる。このような結合剤は、セラミックバッチ材料と化学的に適合しなければならず、また、セラミック未焼成体の取り扱いを可能にするのに十分な強度を提供すべきである。加えて、結合剤は、加熱または「燃やし尽くす」ことによって、セラミック体に歪みまたは破損を与えることなく、成形セラミック未焼成体から除去可能でなくてはならない。
【0020】
少なくとも1種類の結合剤は、水性である、すなわち、前記結合剤は水などの極性溶剤と水素結合することができる。これらの結合剤としては、限定はしないが、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。メチルセルロースおよび/またはメチルセルロース誘導体、特に、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそれらの組合せは、有機結合剤として特に適している。これらのセルロース結合剤は、Dow Chemical Co.社から商品名METHOCEL(登録商標)A4M、F4M、F240、およびK75Mセルロース製品として市販されている。「METHOCEL」A4Mセルロースはメチルセルロースである。「METHOCEL」F4M、F240、およびK75Mセルロース製品は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0021】
少なくとも1種類の結合剤は、典型的には、セラミックバッチに加えられる結合剤系の一部を形成する。この結合剤系は、結合剤、結合剤用の溶剤、界面活性剤、および、少なくとも結合剤および他の溶剤成分に関しては溶剤として作用しない「非溶剤」成分を含む。非溶剤成分は、結合剤よりも低い粘度を有する低分子量の油を含む。低分子量の油は、溶剤の一部の代替となり、可塑性には寄与しないが、バッチの剛性を保たせると同時に、セラミックバッチ材料の成形に必要な流動性を提供する。非溶剤の低分子量の油の非限定的な例として、ポリオレフィン油、軽油、アルファオレフィンなどが挙げられる。結合剤系に含まれる溶剤は、水または水混和性のいずれかである。このような溶剤は、結合剤と無機コージエライト前駆体の水和をもたらす。結合剤系に用いられる界面活性剤としては、例えば、C
8−C
22脂肪酸および/またはそれらの誘導体;C
8−C
22脂肪エステル;C
8−C
22脂肪アルコール;ステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸、およびパルミトレイン酸;および、ステアリン酸とラウリル硫酸アンモニウムとの組合せが挙げられ、ステアリン酸、ラウリン酸、およびオレイン酸が特に好ましい。
【0022】
1つの特定の実施の形態では、結合剤系は、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、およびそれらの組合せからなる群より選択されるセルロースエーテル結合剤;ポリアルファオレフィンを含む非溶剤の軽油;ステアリン酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸およびそれらの組合せからなる群より選択される界面活性剤;および溶剤としての水を含む。
【0023】
一部の実施の形態では、セラミック未焼成体は、鋳造、加圧成形、キャスティング成形、押出成形、それらの組合せなど当技術分野で既知の成形手段を使用して、ハニカム構造へと成形または形作られる。焼成されてセラミック体が形成されると、これらのハニカム構造は、内燃システムにおける粒子フィルタとして使用することができる。ハニカム構造は、セル壁によって隔てられた複数のセルを有するウェブ構造を含みうる。
【0024】
ウェブ構造は、一部の実施の形態では、複数のセル壁を含み、前記セル壁は、それぞれ0.005インチ(0.127mm)未満の厚さを有する。このような薄壁性のハニカム構造は、未焼成のセラミックバッチ材料の乏しい湿潤強度、押出成形ダイまたは未焼成のバッチ材料の温度勾配、押出成形ダイおよび押出成形バレルを通過する未焼成のバッチ材料の差動せん断または差動流量、並びに、ダイおよび/または押出成形バレルと未焼成のバッチ材料との相互作用に起因して生じる、セル壁またはウェブの膨張または崩壊などの歪みの影響を受けやすい。押出成形したセラミック未焼成体における高速
流ウェブ10の光学および走査型電子顕微鏡(SEM)画像が、
図6aおよび6bにそれぞれ示されている。
図6aから分かるように、高速
流ウェブは、未焼成体100の長さに沿って下流へと伝播しうる。
【0025】
未焼成バッチ材料の組
成は、鋳型内、もしくは押出機を通る、バッチの粘度、流量および/または温度に影響を与え、したがって、高速流または膨張したウェブの発生にも影響を与え、セラミック未焼成体の最終的な形状に影響を及ぼす。例えば、未焼成のバッチ材料の粘度および均一性は、押出機を通る材料の流量に影響を与え、押出機の周囲と中心において押出成形物の差動流を生じ、高速流または膨張したウェブの形成を引き起こす。流量または粘度は、結合剤および/または液体分布、結合剤の分子量、粒径および配向性などの影響を受ける。差動流の影響は、押出機バレルにおける突入速度vの関数としての壁の抵抗圧力P
wのプロットである
図7に示されている。壁の抵抗圧力P
wが安定であるか、または比較的一定の値になる速度で動作させることは、多くの場合、有利である。多くのコージエライトバッチ組成物(
図7における1)では、バッチは、閾値速度v
1よりも速い速度で押出成形されなければならない。本明細書に記載される壁の抵抗圧力P
wの未焼成のバッチ組成物(
図7における2)は、閾値速度v
2において、安定な、または比較的一定の値を達成する。この速度は、未焼成のセラミック体をより遅い速度で押出成形可能にし、それによって差動流を低減する。
【0026】
水和粘土および3〜10%の結合剤を含み、焼成粘土を含まない、本明細書に記載される未焼成のバッチ組成物は、湿潤強度が改善され、内部欠陥が低減されたセラミック未焼成体を提供する。したがって、本明細書に記載されるセラミック未焼成体は、該セラミック未焼成体の表面における変形したウェブをカウントし、マッピングすることによって測定して、構造の90%に高速
流ウェブ
(fast flow webs)または変形したセル壁が存在しない、ウェブ構造を有する。
【0027】
セラミック未焼成体の製造方法も提供される。本方法の最初の工程では、コージエライトを形成する未焼成のバッチ材料が提供される。バッチ材料は、当技術分野で既知の方法を使用してコージエライト前駆体材料と少なくとも1種類の結合剤を混合し、可塑性の未焼成セラミック混合物またはバッチを得ることによって形成される。
【0028】
コージエライト前駆体材料は、焼成の際にコージエライトを形成する酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al
2O
3)、およびシリカ(SiO
2)の組成物を提供するように選択される。コージエライト前駆体は、典型的には、タルク、少なくとも1種類の水和粘土、アルミナ、シリカ、および少なくとも1種類の結合剤を含む。少なくとも1種類の水和粘土は、限定はしないが、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、それらの組合せまたは混合物などを含む。原料およびバッチ材料は、焼成粘土を含まない。
【0029】
上述のように、コージエライトを形成する未焼成バッチ材料組成物は、一部の実施の形態では、約12〜約16重量%のMgO;約33〜約38重量%のAl
2O
3;約49〜約54重量%のSiO
2;および約3重量%から最大で約10重量%の少なくとも1種類の結合剤を含む。1つの実施の形態では、コージエライトバッチ材料は、約12.5〜約15.5重量%のMgO;約33.5〜約37.5重量%のAl
2O
3;および約49.5〜約53.5重量%のSiO
2を含む。コージエライト形成体およびコージエライト体はまた、典型的には、CaO、K
2O、Na
2O、Fe
2O
3などの不純物を含む。
【0030】
上述のように、未焼成のセラミックバッチ材料に含まれる結合剤としては、限定はしないが、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。メチルセルロースおよび/またはメチルセルロース誘導体、特に、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそれらの組合せは、有機結合剤として特に適している。結合剤は結合剤系の一部であり、結合剤、結合剤用の溶剤、界面活性剤、および、少なくとも結合剤および他の溶剤成分に関しては溶剤として作用しない「非溶剤」成分を含む。可能性のある溶剤、界面活性剤、および非溶剤成分は先に記載している。
【0031】
セラミックの未焼成バッチ材料は、次に、可塑化した未焼成セラミック混合物を成形するための技術分野で知られている成形手段および方法を使用して、セラミック未焼成体へと成形される。このような成形方法としては、限定はしないが、鋳造、加圧成形、キャスティング成形、押出成形、およびそれらの組合せが挙げられる。1つの非限定的な例では、バッチ材料は、垂直または水平方向のいずれかの方向に押出成形される。このような押出成形は、押出機の吐出端に取り付けられたダイ組立体を備えた、水圧ラム押出プレス、二段階真空単一オージェ押出機、または二軸スクリュー混合機を使用して達成することができる。
【0032】
セラミック未焼成体は、次に、焼成されたセラミック体が生じるように、適切な雰囲気下、未焼成体の組成、大きさ、および形状に応じた時間、選択温度で焼成される。焼成時間および温度は、セラミック未焼成体における材料の組成および量、ならびに未焼成体の焼成に用いられる設備のタイプなどの因子に応じて決まる。コージエライトを形成するための焼成温度は、典型的には、約1300℃から最大で約1450℃の範囲であり、これらの温度での保持時間は約1時間から8時間の範囲であり、典型的な合計焼成時間は約20時間から最長で約80時間の範囲である。
【実施例】
【0033】
次の実施例は、本明細書に記載される未焼成のセラミック体および未焼成のバッチ材料の特徴および利点を例証するものであり、本開示または添付の特許請求の範囲を限定することは全く意図されていない。
【0034】
さまざまな組成の一連の6種類の未焼成バッチを調製し、押出成形して未焼成のセラミック体を形成した。試験した組成物は、水和粘土および焼成粘土の混合物を含む組成物(参照1、参照2)および、水和粘土を含むが焼成粘土を含まない組成物(サンプル1、2、3、4)を含んでいた。各組成物について、2.9重量%または5重量%の割合のMETHOCEL(登録商標)メチルセルロース結合剤を含むサンプルを調製した。
【0035】
試験した組成物を表1にまとめた。参照1は、未焼成のコージエライト体を形成するのに現在用いられているベースまたは参照組成物であり、焼成粘土を含む。参照2は、最も速い押出速度を使用することができる第2の参照組成物である。参照2も焼成粘土を含むが、参照1よりもはるかに小さい粒子(例えば、細粒アルミナおよびArtic Mist(登録商標)タルク)を含む。上述の組成を有するサンプル2〜5は、水和粘土を含み、いかなる焼成粘土も含んでいない。サンプル1の組成物は、焼成粘土が除外され、参照1より多量の細粒アルミナおよびシリカを含んでいた。サンプル2では、板状の形態および、コージエライト前駆体として通常使用されるタルクよりも小さい粒径を有する、「ARTIC MIST」タルクが、バッチの一部を構成していた。中性の極細粒の水和カオリンがサンプル3の水和粘土として用いられた。サンプル4は、焼成粘土が除外され、バッチ材料中のすべての粘
土が水和粘土であったことを除いて、参照1と同様の組成を有していた。40mmの二軸スクリュー押出機を使用してこれらの組成物から未焼成のハニカムの形状を押出成形した。それぞれ2インチ(5.08cm)および5.66インチ(14.28cm)の直径を有する400/4(400セル/インチ、セルサイズ0.004インチ(0.1016mm))のダイを用いて材料を押出成形した。
【表1】
【0036】
上記組成物を押出成形したリボンを
図1〜5において視覚的に比較した。リボンは、所与の配合について、押出速度にしたがって
図1〜5にグループ分けされている。リボンはすべて、100kJの攪拌エネルギーおよび37℃のダイ温度で、5ミル(0.005インチ(0.127mm))のミニスリット開口部を通じて押出成形された。
【0037】
図1は、a)2.9重量%の結合剤を添加した参照材料1;b)5重量%の結合剤を添加した参照材料2;およびc)5重量%の結合剤を添加した参照材料1に関して異なる速度で押出成形したリボンを示している。参照1の組成物から押出成形したリボン(
図1aおよび1c)は、流れの欠陥、特に端縁の引裂を示したのに対し、参照2の組成物は、端縁の引裂を殆どまたは全く有しない押出成形リボンを生成した。結合剤濃度の増大(
図1c)は、参照1における端縁の引裂の生成に対しわずかな効果しか有しなかったのに対し、参照2における粒子の細粒化は、このような流れの欠陥の発生を低減するように見えた。
【0038】
図2は、a)2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料1;b)2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料2;c)2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料3;およびd)2.9重量%の結合剤を添加したサンプル材料4に関して異なる速度で押出成形したリボンを示している。この結合剤濃度を使用して押出成形したリボンは、特に、より速い押出速度において、参照材料1について得られたものに対して改善を示した。
【0039】
図3は、a)5重量%の結合剤を添加したサンプル材料1;b)5重量%の結合剤を添加したサンプル材料2;c)5重量%の結合剤を添加したサンプル材料3;およびd)5重量%の結合剤を添加したサンプル材料4に関して異なる速度で押出成形したリボンを示している。
図3に示されているリボンはすべて、
図1a〜cおよび
図2a〜dに見られた端縁の欠陥を有しない。
図1aおよび1cに見られるように、端縁の欠陥は、さらなる結合剤を単独で添加することによっては排除されない。代わりに、このような流れの欠陥の排除には、結合剤濃度の増大と、未焼成のセラミックバッチからの焼成粘土の排除の組合せが必要とされる。
【0040】
乾燥後、押出成形した形状から1インチ(2.54cm)の厚さの断面を切り取り、ウェブ構造における内部欠陥の存在について照明ボックス上で検査した。押出成形した直径5.66インチ(14.28cm)のハニカムウェブ構造における内部欠陥(高速
流ウェブ)が
図4a〜cおよび
図5a〜bに示されている。これらの内部欠陥は、
図4a〜cおよび5a〜bに色調の濃い地帯または領域20として現れている。
図4a〜cでは、2.9重量%の結合剤を含む参照材料1(
図4a)を用いて得られた押出成形ウェブ構造を、それぞれ5重量%の結合剤を含む参照材料1(
図4b)および参照材料2(
図4c)を使用して得られたウェブ構造と比較している。
図4a〜cに示す3つの構造のすべてが高速
流ウェブ20を示した。それぞれ、5重量%の結合剤および水和粘土を含み、焼成粘土を含まない、サンプル材料1および2の押出成形されたハニカムウェブ構造が
図5aおよび5bに示されている。高速
流ウェブ20は、サンプル1の小さな領域でのみ視認され(
図5a)、サンプル2では高速
流ウェブは視認されなかった(
図5b)。
【0041】
本明細書で先に述べたように、高速
流ウェブまたは変形したセル壁の数は、典型的には、セラミック未焼成体の表面における変形したウェブをカウントし、マッピングすることによって測定される。
図4a〜cおよび
図5a〜bに示される押出成形ハニカムウェブ構造における欠陥の数および欠陥のパーセンテージを表2に記載する。欠陥数および欠陥のパーセンテージは、各部分のX軸方向における可能性のある箇所の数によって決定した。分析は、格子を作製し、該当部分に格子をかぶせ、各格子内の欠陥をカウントすることによって行った。表2に見られるように、水和粘土を含み、焼成粘土を含まない押出成形されたセラミック未焼成体は、参照材料から形成された未焼成体より
も欠陥/高速
流ウェブ
が顕著に少なかった。
【表2】
【0042】
未焼成セラミック体の押出成形の間に生じた降伏応力および壁せん断応力は、修正ベンボウ−ブリッジウォーター(Benbow−Bridgewater)の式を用いて解析することができ(J. Benbow and J. Bridgewater, “Paste Flow and Extrusion,” (Clarendon Press, Oxford, 1993))、全圧は、侵入圧と壁面抵抗圧力P
wの合計によって与えられる。対応する侵入圧および壁面抵抗のパラメーターは、毛細管を通るバッチ流れを表す方程式から抽出される。
【0043】
壁面抵抗パラメーターは、降伏応力τ
y、侵入圧一致指数n、バルク一致指数k、壁面抵抗率(wall drag coefficient)β、および壁の抵抗圧力P
wについての壁面抵抗べき法則指数(wall drag power law index)mを含み、ここで、P
w=4(L/D)βv
mであり、LおよびDは管の幾何学的因子(それぞれ、長さおよび直径)であり、vは1秒あたりのインチ(インチ/秒)で表わされる押出機バレルにおける突入速度である。表3は、上述の参照1および2並びにサンプル1〜4について得られた壁面抵抗率(β)および壁面抵抗べき法則指数(m)の値を示している。すべてのサンプルについて得られた壁面抵抗率は、参照材料の壁面抵抗率よりも大きく、サンプル1、2、および4では、参照材料について測定した壁面抵抗率よりも顕著に高い壁面抵抗率を示した。サンプル1〜4のより大きい壁面抵抗率は、これらの組成物を、より大きい、および/または、参照材料よりも大きい壁面抵抗を用いて押出成形可能にし、結果的に、押出機を通る未焼成のバッチ材料のより均一な流れを生じる。サンプル1、2、および4の壁面抵抗べき法則指数(m)の値は、参照1および2の値よりも顕著に低かった。サンプル3は、サンプル3に用いられた水和粘土(カオリン)が、試験した他のサンプルに用いられた水和粘土よりも細粒化されていたという点で、サンプル1、2、および4とは異なる。
【表3】
【0044】
典型的な実施の形態を説明の目的で記載してきたが、前述の説明は、本開示または添付の特許請求の範囲に記載の請求項の範囲の限定とみなされるべきではない。したがって、当業者は、本開示または添付の特許請求の範囲に記載の請求項の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、適合、および代替手段を想起しうる。