(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767320
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】感光素子、感光素子の読み込み方法、及び感光素子の読み込み回路
(51)【国際特許分類】
H04N 5/378 20110101AFI20150730BHJP
H04N 5/372 20110101ALI20150730BHJP
H04N 5/374 20110101ALI20150730BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
H04N5/335 780
H04N5/335 720
H04N5/335 740
H01L27/14 A
【請求項の数】19
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-512714(P2013-512714)
(86)(22)【出願日】2010年6月1日
(65)【公表番号】特表2013-532421(P2013-532421A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】CN2010073442
(87)【国際公開番号】WO2011150553
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2012年12月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512164975
【氏名又は名称】博立▲碼▼杰通▲訊▼(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOLY MEDIA COMMUNICATIONS(SHENZHEN)CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 笑平
【審査官】
木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−546313(JP,A)
【文献】
特開平09−046596(JP,A)
【文献】
特開2001−231003(JP,A)
【文献】
特開2004−215249(JP,A)
【文献】
特表2008−517541(JP,A)
【文献】
特開2002−064751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 − 5/378 ,
H01L 21/339 ,
H01L 27/14 − 27/148 ,
H01L 29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素アレイと読み込み回路を含む感光素子であって、
前記画素アレイでは、二つの隣接画素を接続し、且つ接続された前記二つの隣接画素間の電荷転送を実現する転送ゲートが、少なくとも一部の画素に配置されており、前記転送ゲートは、一個の画素の電荷を隣接する画素の一つに重ね合わせるように構成されていることを特徴とし、
前記読み込み回路が前記画素アレイの中の一個の画素の電荷を読み込み、それぞれの画素は前記読み込み回路に接続されており、前記電荷が、この画素自体の電荷、この画素に隣接する画素からの転送電荷、この画素自体の電荷とその一個又は一個以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、又はこの画素に隣接する二つ又は二つ以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせの少なくとも1種であることを特徴とする感光素子。
【請求項2】
前記少なくとも一部の画素の中の一個の画素に前記転送ゲートによって接続される隣接画素は、前記一個の画素の上下左右四つの方向のそれぞれの隣接画素を含むことを特徴とする請求項1に記載の感光素子。
【請求項3】
前記転送ゲートが、前記画素アレイにおけるそれぞれの二つの隣接画素の間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光素子。
【請求項4】
前記読み込み回路が、接続された画素自体の電荷を読みだしてこの画素自体の電荷をクリアした後、この画素の隣接画素から転送された電荷を読み込むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の感光素子。
【請求項5】
前記読み込み回路が、能動画素読み込み回路、受動画素読み込み回路、又は能動画素と受動画素の複合読み込み回路の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の感光素子。
【請求項6】
前記能動画素が3T、4T、5T、又は6T能動画素を含むことを特徴とする請求項5に記載の感光素子。
【請求項7】
前記読み込み回路の共有方式が、4点共有方式、6点共有方式、又は8点共有方式のいずれかであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の感光素子。
【請求項8】
一個の読み込み回路を共有する一個の画素グループでは、この読み込み回路に接続されない画素からこの読み込み回路に接続される画素までの間の転送の数が4つの画素を超えないことを特徴とする請求項7に記載の感光素子。
【請求項9】
前記画素アレイにおける画素が単色感光、多色感光、又は可視光と赤外光を含むマルチスペクトル感光が要求する予め設定されたパターンに従って繰り返し配列されており、
前記予め設定されたパターンが、ベイヤパターン、ハニカムパターン、単色パターン、CyYeMgXパターンのいずれかであって、CyYeMgXパターンのXが、R、G、Bにおける任意の1種の色彩であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の感光素子。
【請求項10】
感光素子の画素アレイにおける少なくとも一部の画素の間に、二つの隣接画素を接続し、且つ接続された前記二つの隣接画素の間の電荷を転送するステップであって、前記二つの隣接画素の間の電荷の転送が、一個の画素の電荷を隣接する画素の一つに重ね合わせるように構成されていることを特徴とするステップと、
一個の画素からこの画素の電荷を読み込むステップであって、それぞれの画素は読み込み回路に接続されており、読み込まれる前記電荷がこの画素自体の電荷、この画素に隣接する画素からの転送電荷、この画素自体の電荷とその一個又は一個以上の隣接画素から転送された電荷の重ね合わせ、又はこの画素に隣接する2つ又は2つ以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせの少なくとも1種である、読み込みステップと、
を含むことを特徴とする感光素子の読み込み方法。
【請求項11】
一個の前記画素から、この画素に隣接する画素からの転送電荷を読み込むステップが、画素自体の電荷を読みだしてこの画素をクリアした後に行われることを特徴とする請求項10に記載の読み込み方法。
【請求項12】
サンプリング及びサブサンプリングプロセスを含んでおり、
前記サンプリング及びサブサンプリングプロセスが、前記画素アレイにおける隣接する同行異列、異行同列、又は異行異列の画素間でそれぞれ合併とサンプリングを行って第一合併画素のサンプリングデータを取得するための第一合併プロセスと、
前記第一合併プロセスが取得した前記第一合併画素のサンプリングデータに対して合併とサンプリングを行い、第二合併画素のサンプリングデータを取得するための第二合併プロセスと、
を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の読み込み方法。
【請求項13】
前記第二合併プロセスによって取得された前記第二合併画素のサンプリングデータに対して合併とサンプリングを行い、第三合併画素のサンプリングデータを取得するための第三合併プロセスを更に含んでおり、
前記第三合併プロセスの合併とサンプリング方式が、色彩空間変換方式、バックエンドデジタル画像拡大縮小方式のいずれかを含み、
前記色彩空間変換方式が、RGBからCyYeMgX空間への変換、RGBからYUV空間への変換、又はCyYeMgXからYUV空間への変換を含んでおり、CyYeMgXのXが、R、G、Bのいずれか一種類の色彩であることを特徴とする請求項12に記載の読み込み方法。
【請求項14】
前記第一合併プロセス又は前記第二合併プロセスの画素の合併とサンプリングの方式が、同一又は異なる色彩画素間の電荷累積方式又は異なる色彩画素間の信号平均方式であり、その中で、異なる色彩画素間の画素合併方式が色彩空間変換方式に従うことを特徴とする請求項12又は13に記載の読み込み方法。
【請求項15】
前記第一合併プロセス又は前記第二合併プロセスの、色彩に基づく合併とサンプリングの方式が同色合併方式、異色合併方式、複合合併方式、又は余った色彩を選択的に放棄する方式のいずれかを含んでおり、且つ前記第一合併プロセスと前記第二合併プロセスにおいて少なくとも一つの合併プロセスが、同色合併方式ではないことを特徴とする請求項12に記載の読み込み方法。
【請求項16】
前記第一合併プロセス又は第二の合併プロセスで機能する、位置に基づく合併とサンプリングのプロセスの方式が、バスに直接出力される信号自動平均方式、行飛ばし又は列飛ばし方式、及び逐次サンプリング方式の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項12に記載の読み込み方法。
【請求項17】
感光素子の画素アレイにおける画素電荷を読み込むための感光素子の読み込み回路であって、
前記画素アレイでは、隣接画素を接続し、且つ接続された前記隣接画素の間の電荷転送を実現する転送ゲートが、少なくとも一部の画素に配置されており、前記転送ゲートは、一個の画素の電荷を隣接する画素の一つに重ね合わせるように構成されていることを特徴とし、
前記読み込み回路が、前記画素アレイの中の一個の画素の電荷を読み込み、それぞれの画素は前記読み込み回路に接続されており、前記電荷が、この画素自体の電荷、この画素に隣接する画素からの転送電荷、この画素自体の電荷とその一個又は一個以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、またはこの画素に隣接する2つ又は2つ以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、の少なくともいずれか一種であることを特徴とする読み込み回路。
【請求項18】
前記画素アレイにおける少なくとも一部の画素に接続される前記読み込み回路が、能動画素と受動画素の両方の複合読み込み回路であることを特徴とする請求項17に記載の読み込み回路。
【請求項19】
前記読み込み回路には画素のクリア又はリセット信号が配置されており、前記画素に対するクリア又はリセットの機能を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の読み込み回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光素子(光増感素子)と、その読み込み方法と、その読み込み回路に関し、特に、大型アレイ高性能感光チップの感光画素の設計、製造、読み込み方法及びその半導体加工プロセスに関する。本発明は、熟慮された(成熟した)CCD感光チップ技術及び熟慮されたCMOS感光チップ技術を組み合わせて、新たな感光素子を発明した。
【背景技術】
【0002】
本発明は本発明者による、発明の名称「マルチスペクトル感光素子及びその製造方法」(特許文献1、PCT/CN2007/071262)と、発明の名称「マルチスペクトル感光素子及びその製造方法」(特許文献2、中国特許出願第200810217270.2号)と、「マルチスペクトル感光素子及びそのサンプリング方法」(特許文献3、中国特許出願第200910105948.2号)に続く出願であり、更に具体的な、且つ好適な半導体回路とチップレベル、並びに新たな感光素子に適用される半導体製造技術の提供を旨とする。
【0003】
周知の通り、従来の感光チップ技術は、主に、CCD(charge coupled device)とCMOS(complementary metal−oxide semiconductor)という2種類に分けられる。他の半導体技術、例えばインジウム・カドミウムを用いる半導体技術が赤外光を応答するチップの製造に用いられる(非特許文献1、「Silicon infrared focal plane arrays」 , M.Kimata, in Handbook of Infrared Detection Technologies, edited by M. Henini and M. Razeghi, pp. 352−392, Elsevier Science Ltd., 2002)、しかしながら、それらは 主流には ならない。
【0004】
CCDとCMOSは、本質的には、シリコンを基礎とする半導体技術上に確立されている。それらの間の主な差異は、画素の読み込み方式が異なることである。このように読み込み方式が異なっているため、CCD加工プロセスは従来のCMOS半導体加工プロセスから逸脱しており、半導体技術における特殊な支流(ブランチ)となり、即ち、CCD半導体技術である。
【0005】
CCD感光チップは、主に以下の三種類の画素読み込み方式を用いる。即ち、
図9(a)に示すようなフレーム転送方式(Frame Transfer)、
図9(b)に示すような線間転送方式(インターライン転送、Interline Transfer)及び
図9(c)に示すようなフレーム線間転送方式(フレームインターライン転送、Frame Interline Transfer)である。この三種類の方式は、いずれも感光画素と感光画素との間、又は感光画素と非検出光転送画素(非感光転送画素)との間に電荷を高速、高い忠実度で転送する必要がある、このため、CCD半導体製造プロセスは、以下のような特殊性を有するようになる。(1)高電圧、一般的には正負(±)18V左右、(2)高純度、画素の間の一致性が非常によいことを要求する、(3)高加工精度:画素の 間の大きさ、深度等の指標上では必ず完全一致を要求する。CCD加工工程の複雑さと数の多さに加えて、標準的ではない特性(非通用性)は、CCDデバイスの高コストを導き、感光素子と処理手段(処理デバイス)とを集積しにくくしている。更に、高電圧がCCDデバイスの高電力消費をもたらす。
【0006】
DRAMに類似する、CMOSの中の行選択制御手段(制御手段)と行選択制御手段とは、それぞれの画素電圧を一つずつ直接読み込みバス上におく(入力する、put on)。各画素における信号(画素信号)は、行選択制御信号と行選択制御信号を使用することによって(介して)、順次に読み込まれる。このような感光素子を製造するための半導体加工工程は、標準なCMOS加工工程に非常に近い為に、非常に多くの半導体工場で加工できて、これでコストが低くなる点が遊離である。更に、低電圧で稼働するために、電力消費が少ない。CMOS感光チップ技術の迅速な発展によって、CMOS感光チップ技術が、主な技術指標でCCD技術を超えるようになり、現在もっとも主要な感光チップ技術となっている。
【0007】
これに加えて、CMOS感光チップの画素は、主に受動画素(パッシブ画素、被動画素)と能動画素(アクティブ画素、主動画素)として設計される。能動画素は、より高い信号対雑音比と感度を有する為に、受動画素よりも広く応用される。しかし、読み込みコンデンサFD(読込キャパシタ浮動拡散、Reading Capacitor Floating Diffusion)、及び、3T、4T、更に5T/6Tのサンプリング増幅回路が、感光面積比例因子(Fill factor)を低減させるために、能動画素の中で用られる必要がある。この結果、単位面積上の有効画素の数が、低減されて、信号対雑音比と感度の改良が更に制限される。そのため、最近は、例えば4点によって共有された4点共有4T能動画素のような、共有される(シェアされる)読み込み回路(shared reading circuit)が、開発されている。一般に、共有読み込み回路が使用されるとき、読み込みコンデンサFDもまた使用されるが、このような共有が一定の副作用(不利な点)をもたらす。第1の副作用は、一個の読み込みコンデンサ又は読み込み回路において一個のデバイスが問題を出す(フォルトとなる)と、一群の画素が欠陥画素(dead pixel)となる。また、読み込みコンデンサの共有によって、異なる色彩画素の間の相互干渉(cross talking)が増加し、色彩が十分に鮮やかにならない。
【0008】
CMOS読み込み技術のもう一つの問題は、画素アレイが非常に大きい場合、最適なフレームレートを得るために非常に高周波数のピクセルクロックが必要となる点である。しかし、ピクセルクロックは、AD転換速度のような他の条件に制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際出願PCT/CN2007/071262号
【特許文献2】中国特許出願第200810217270.2号
【特許文献3】中国特許出願第200910105948.2号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Silicon infrared focal plane arrays」 , M.Kimata, in Handbook of Infrared Detection Technologies, edited by M. Henini and M. Razeghi, pp. 352−392, Elsevier Science Ltd., 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このために、CCDの感光チップ技術とCMOSの感光チップ技術のいずれかの改良が望まれている。
【0012】
本発明の目的は、CCD感光素子とCMOS感光素子の特長を併せ持つ新しい感光素子及びその読み込み方法を提供し、それにより、製造加工、読み込み等の方面に利便性を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の技術的解決策は以下を含む。
【0014】
画素アレイと読み込み回路を含む一種の感光素子が開示される。前記画素アレイは、少なくとも一部の指定された画素間に、隣接画素を接続し、そして接続画素間で電荷転送を実現する転送ゲート(転送門)が配置(配置)されている。前記読み込み回路は、画素アレイの中の一個の画素からこの画素の電荷を読み込むことに用いられ、前記電荷はこの画素自体の電荷、この画素に隣接する画素からの転送電荷、この画素自体の電荷とその一個又は一個以上の隣接画素から転送された転送電荷の重ね合わせ(重畳、積み重ね)、この画素の2つ又は2つ以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、のうちの少なくとも一種であることを特徴とする。
【0015】
前記少なくとも一部の指定された画素のなかの一個の画素に前記転送ゲートを経由して接続される前記隣接する隣接画素は、この画素の上下左右4つの方向のそれぞれの隣接画素を含む。
【0016】
前記感光素子によれば、前記転送ゲートが、前記画素アレイにおけるすべての二つの画素の間に配置される。
【0017】
前記感光素子によれば、前記読み込み回路がそれに接続された画素自体の電荷を読みだして、この画素自体の電荷をクリア(リセット)した後、この画素の隣接画素から転送された転送電荷を読む。
【0018】
前記感光素子によれば、前記読み込み回路が能動画素読み込み回路、受動画素読み込み回路、又は能動画素と受動画素の複合(ハイブリッド、混成、混合)読み込み回路のいずれかを含むことができる。
【0019】
前記感光素子によれば、前記能動画素が3T、4T、5T、又は6T能動画素のいずれかを含むことができる。
【0020】
前記感光素子によれば、前記読み込み回路の共有方式が無共有方式、4点共有方式、6点共有方式、8点共有方式、又は任意の数の点を共有する方式のいずれかを含むことができる。
【0021】
前記感光素子によれば、前記読み込み回路の共有方式が4点共有方式、6点共有方式、8点共有方式、又は任意点共有方式である場合に、一個の読み込み回路を共有する一個の画素では、この読み込み回路に接続されない画素からこの読み込み回路に接続される画素までの間の転送距離が4つの画素を超えない。
【0022】
前記感光素子によれば、単面単層、単面二重層、単面多層、両面二重層、両面多層感光素子を含むことができる。
【0023】
前記感光素子の感光方式によれば、正面感光(正面検出)、背面感光(背面検出)、又は両面感光(両面検出)の方式(感光性)の少なくとも一つのものを含むことができる。
【0024】
前記感光素子によれば、前記画素アレイにおける画素が単色感光、多色感光、又は可視光と赤外光を含むマルチスペクトル感光が要求する予め設定されたパターンに従って繰り返し配列される。
【0025】
前記感光素子によれば、前記予め設定されたパターンがベイヤパターン(Bayer pattern,貝葉パターン)、ハニカム状パターン(honeycomb pattern, セルラーパターン)、単色パターン、CyYeMgXパターンを含むことができる。ここで、Xは、R(赤)、G(緑)、B(青)における任意の1種の色彩であってよい。
【0026】
本発明は更に感光素子の読み込み方法を開示する。この方法は、
前記感光素子の画素アレイにおける少なくとも一部の指定された画素の間に、隣接する隣接画素を接続し、且つ接続された画素の間の電荷の転送を実現する転送ゲートを配置するステップと、
画素アレイの中の一個の画素からこの画素の電荷を読み込むステップであって、前記電荷が、この画素自体の電荷、この画素の隣接画素からの転送電荷、この画素自体の電荷とその一個又は一個以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、またはこの画素の2つ又は2つ以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、の中の少なくとも1種であることを特徴とする電荷を読み込むステップを含む。
【0027】
前記読み込み方法によれば、前記画素の隣接画素からの転送電荷を読み込むステップが、画素自体の電荷を読みだして、この画素の電荷をクリア(リセット)した後に行われてもよい。
【0028】
さらに前記読み込み方法によれば、サンプリング及びサブサンプリングプロセス(下位のサンプリング工程)を含むことができる。前記サンプリング及びサブサンプリングプロセスは、前記画素アレイにおける隣接する同行異列、異行同列、又は異行異列の画素間で、合併とサンプリングを行い、第1合併画素(最初に結合された画素)のサンプリングデータを取得するための第1合併プロセス(第一の結合工程)と、第1合併プロセスが取得した第1合併画素のサンプリングデータに対して合併とサンプリングとを行い、第2合併画素のサンプリングデータを取得するための第2合併プロセス(第二の結合工程)を含むことができる。
【0029】
前記読み込み方法によれば、更に、第2合併プロセスが取得した第2合併画素のサンプリングデータに対して合併とサンプリングとを行い、第3合併画素のサンプリングデータを取得するための第3合併プロセスを含むことができる。
【0030】
前記読み込み方法によれば、前記第1合併プロセス又は第2合併プロセスの画素の合併とサンプリングの方式が、同一又は異なる色彩画素間の電荷累積方式、又は異なる色彩画素間の信号平均方式であることができる。そのうち、異なる色彩画素間の画素合併方式が色彩空間変換の方式に従うことで、色彩の再構築(再建)の要求を満たすことができる。
【0031】
前記読み込み方法によれば、前記第1プロセス又は第2合併プロセスの、色彩に基づく合併とサンプリングの方式を、同色合併方式、異色合併方式、複合合併方式、又は余った色彩を選択的に放棄する方式のいずれかとすることができる。このとき、第1合併プロセスと第2合併プロセスにおいて、少なくとも一個の合併プロセスは、同色合併方式ではない。
【0032】
前記読み込み方法によれば、前記第1合併プロセス又は第2の合併とサンプリングのプロセスの、位置に基づく合併とサンプリングの方式を、バスに直接出力される信号自動平均方式、行飛ばし又は列飛ばし方式、及び逐次サンプリング方式の少なくとも1種を含むとすることができる。
【0033】
前記読み込み方法によれば、前記第3の合併とサンプリングのプロセスにおける合併とサンプリングの方式を、色彩空間変換方式、バックエンドデジタル画像拡大縮小方式のいずれかとすることができる。
【0034】
前記読み込み方法によれば、前記色彩空間変換を、RGBからCyYeMgX空間までの変換、RGBからYUV空間までの変換、又はCyYeMgXからYUV空間までの変換のいずれかとすることができる。その中で、Xは、(赤)、G(緑)、B(青)のいずれか1色である。
【0035】
前記読み込み方法によれば、その全画像(全図)サンプリングの方式を、プログレッシブ走査プログレッシブ読み込み方式、又はプログレッシブ走査インターレース又はインターライン読み込み方式とすることができる。
【0036】
本発明は更に、前記感光素子の画素アレイにおける画素電荷を読み込むための感光素子の読み込み回路を開示する。前記画素アレイでは、少なくとも一部の画素の間に隣接画素を接続し、且つ接続された画素の間の電荷転送を実現する転送ゲートを配置する。前記読み込み回路が読み込む前記画素電荷は、この画素自体の電荷、この画素に隣接する画素からの転送された電荷、この画素自体の電荷とその一個又は一個以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、この画素の2つ又は2つ以上の隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、のうちの少なくとも1種である。
【0037】
前記画素アレイにおける少なくとも一部の画素に接続される前記読み込み回路は、能動画素と受動画素の混合読み込み回路(複合読み込み回路、hybrid reading circuit)である。
【0038】
前記読み込み回路によれば、画素のクリア又はリセット信号が提供され、画素に対するクリア又はリセットの機能を有する。
【発明の効果】
【0039】
技術的効果
本発明の有益な技術効果は以下の通りである。
【0040】
1、本発明の感光素子は、画素アレイの少なくとも一部の画素の間に転送ゲートが配置されることによって、2つの画素の間が相互の電荷転送を行うことができるようになり、読み込み回路が一個の画素からこの画素自体の電荷、この画素の隣接画素からの転送電荷、この画素自体の電荷とその隣接画素からの転送電荷の重ね合わせ、又は2つ以上隣接画素からの転送電荷の重ね合わせを読み込むことができ、これで以下を実現できる。即ち、
【0041】
(1)低い読み込みの電圧のみが要求される。電荷転送が隣接画素の間のみに行われるために、高電圧は必要ない。感光素子の電力消費の低減が達成される。
【0042】
(2)加工工程の簡略化(簡単化、単純化)され、且つ感光感度が改善される。電荷転送が画素の間で行われるために、本発明の感光素子では、読み込みコンデンサを配置する必要がない。読み込みコンデンサの省略は、一方では、感光面積の増加となり、感光感度を向上させる。他方では、読み込みコンデンサの加工を省略できるために、加工プロセスも簡略化される。また、電荷転送が隣接画素間で行われて、画素の間の不一致性が一定の偏差(deviation,偏り)をもたらすが、このような偏差の重畳がそれほど高くなく、このために、画素間の同一性(一致性)の要求を低減して、加工の精度要求を低減した。
【0043】
(3)能動画素若しくは受動画素の選択の柔軟性が提供される。能動画素の特長は信号対雑音比の高さ(High SNR)であり、一方、受動画素の特長は低電力消費である。両者それぞれの特長は、通常両立させにくい。しかし、本発明は、電荷転送によって、サブサンプリング時の電荷の重ね合わせ(重畳)が実現されて、サブサンプリング時の信号が増強され、これにより能動画素と受動画素の特長の両立が実現できる。能動画素の高電力消費は、主にその増幅回路(拡大回路)の配置によるが、本発明では、能動画素が全画像の写真を取る場合のみに使用され、プレビュー又はサブサンプリングの場合に、増幅回路を付けない受動画素を用いる。これで正常に使用する電力消費を低減するとともに、高画素写真を取る時の高信号対雑音比が保証される。これで本発明は、能動画素と受動画素の特長をあわせるようになる。
【0044】
本発明では、隣接画素の概念を提案する。この概念は、読み込み回路共有と画素転送の観点(角度)から提出される。一般的には、画素が空間に分布することにより、いくつかの小さいブロック(グループ、群)に分割され、各ブロックが一個又は複数の読み込み回路を共有する。画素合併は、ブロック内のみに行われる。通常、同一な画素合併ブロックにある組み合わされる画素を、隣接画素として参照する(称する)。
【0045】
本発明では、画素転送は、(水平又は垂直方向に沿って)隣接する2つの画素の間のみで行われる。このため、一個の画素を、隣接しない一個の画素に転送する必要があるとき、更なる伝達転送が必要となる。転送の回数を、「転送距離(転送距離)」と称する。4点画素マトリックス(4点画素配列、4点画素アレイ)を例とすると、電荷をマトリックスにおける左上角の画素に転送することを実現しようとすると、右上角画素の電荷が、一回同行間の転送のみを行う必要があり、これで左上角画素に転送でき、左下角画素の電荷が、一回同列間の転送のみを行う必要があり、左上角画素までに転送できる。即ち、右上角画素、左下角画素から左上角画素までの転送距離がいずれも1である。右下角画素にとって、一回同行間の転送を行う必要があり、まず電荷を左下角画素までに転送し、又は一回同列間の転送を行う必要があり、まず電荷を右上角画素に転送し、そして右上角画素又は左下角画素を介して左上角画素までに転送する。即ち、右下角画素から左上角画素までの転送距離が2である。つまり、一個の画素が転送目的の画素に隣接していないと、この画素の電荷がその隣接画素を仲介して、転送目的の画素までに最終に転送できる。本発明では、転送方向が制限されず、一個の画素がそのいずれかの方向の隣接画素に対して電荷転送を行わない。制御回路が複雑にならないために、転送距離が4つの画素を超えないようにする。
【0046】
上記の説明は、主に二次元の画素転送を目的としたものである。多層感光素子のために、同一の光照射方向にある異なる層の面の感光画素が、類似する画素転送を行なってもよい。
【0047】
読み込み回路が電荷を読み込む時に、一個の画素からこの画素自体の電荷、又はこの画素の隣接画素からの転送された転送電荷を読み込んでよい。通常、転送目的地を意味する転送先の画素のために、その感光信号を失わない場合、まずこの転送先の画素自体の電荷を読み出し、そしてこの画素をリセット(クリア)し、そして隣接画素の電荷をこの転送先の画素の電荷に転送する。このような方式は、主に電荷の単一性を保持するためである。しかし、この単一性が必要ではなく、読み込む時に、同様に電荷重ね合わせ読み込みの方式を用いてもよく、電荷重ね合わせが、転送先の画素自体の電荷とその隣接画素からの転送電荷の重ね合わせでよく、2つ又は2つ以上の転送された画素の電荷が転送先の画素に重ね合わされてもよい。同一色彩の画素にとって、その重ね合わせは要求されない。しかし、異なる色彩の画素に対しては、色彩再構築の要求を満たすために、通常、2種類の色彩の画素のみが重ね合わされる。
【0048】
読み込み回路が、画素間で共有を行わなくてもよい。好ましくは、多点共有方式を用いてもよい。即ち、読み込み回路を転送目的画素上に配置し、この転送目的画素に隣接する隣接画素の電荷が、転送目的画素に転送されることによって、最初に読み込まれる。そしてその後、転送目的画素上に配置された読み込み回路によって、その電荷が読み込みまれる。ここで、一個の読み込み回路を共有する転送目的画素及びその隣接画素を一個の画素群(画素グループ)と称する。
【0049】
本発明の画素は、能動画素と受動画素の特長が組み合わされている。好適には、画素アレイの中の読み込み回路に接続されている各画素にとって、その接続した読み込み回路は、能動画素読み込み回路、受動画素読み込み回路、又は能動画素読み込み回路と受動画素読み込み回路を同時に含んでおり、信号選択方式によってその一個を選択的に接続し、各画素が同時に能動画素と受動画素の読み込み機能を有する回路であってよい。
【0050】
結論として、本発明はCCD感光チップ技術とCMOS感光チップ技術の特長をあわせもっており、物理的に更に優れた方式で、更に進歩した感光素子が実現された。
【0051】
本発明は、画素の間の電荷転送、特に二次元の画素間の電荷転送(2D Pixel Transfer)の画素読み込み方式を初めて開示している。これで、読み込みコンデンサFDを付けない画素を実現し、且つ能動画素と受動画素の混合を実現できる。電荷信号が、読み込みコンデンサFDを用いない前提の下で重畳合併を実現できる。
【0052】
従来のほとんど全てのサブサンプリングでは、合併とサンプリングがほとんど電圧又は電流信号の平均のみで実行されている。このような方式は、N個の点を合併する場合に、最大でも信号対雑音比をN
1/2(√N倍、ルートN倍)増加させる。しかしながら、電荷の重畳の方法を用いることで、信号対雑音比がN×N
1/2(N×ルートN倍、N×√N倍)増加させることができ、信号の平均方法よりN倍高くなる。つまり、N個の信号を電荷累積の方法で合併し、理論上、N
3の信号を平均する効果を達成できる。これが信号対雑音比を上げる効果的な手段である。
【0053】
本発明によれは、電荷の重ね合わせ(電荷累積、電荷重畳)を主とし、信号平均を従(副)とするサブサンプリング方式を用いることで、任意のM×N因子のサブサンプリングを容易に実現する。
【0054】
本発明によれば、設計最適化の要求に基づいて、読み込みコンデンサFDを省略することにより、共有読み込み回路を、4点共有、8点共有等、N点を共有するN点共有読み込み回路に拡張することができる。
【0055】
本発明は、サブサンプリングを少なくとも2つのプロセスに分ける。即ち前述の第1の合併とサンプリングのプロセスと、第2の合併とサンプリングのプロセスである。第1の合併とサンプリングのプロセスと第2の合併とサンプリングのプロセスが、通常、画素の行の(合併)サンプリングと列の(合併)サンプリングの間に行われる。主にアナログ信号に対し行われ、電荷の重ね合わせ(累積)部分を除いて、通常、第1の合併とサンプリングのプロセスのみに行われる以外に、その順序と内容とを一般に交換してもよい。また、第3の合併とサンプリングのプロセスを含んでよく、第3の合併とサンプリングのプロセスがアナログ−デジタル変換の後に行われ、主にデジタル信号に対して行われる。
【0056】
第1の合併とサンプリングのプロセスでは、画素アレイにおいて2つのすぐ隣に隣接する画素が結合される(合併される)。一方、隣接する画素の合併が完成したとき、合併後に得られた画素を第1合併画素(第一結合画素)として参照する。第1合併画素は、ただ本発明を便宜的に説明するためのものであり、この概念を用いて第1の合併プロセスを行った後の画素を示すもので、物理的には画素アレイに1つの「第1合併画素」が存在することを示すものではない。2つの隣接する画素の合併とサンプリング後のデータを「第1の合併画素のサンプリングデータ」と称する。ここで、隣接とは、2つの画素の間が水平、垂直、又は対角方向から見て近接しており、中間に他の画素がないことをいう。隣接する場合には、同行異列、異行同列、又は異行異列を含む。一般的に、このような合併では、信号が少なくとも2つの画素の信号平均となるが、ノイズがN
1/2(ルートN、Nの正の平方根)低減し、このため、合併後、少なくとも信号対雑音比を N
1/2 (ルートN)倍上げることができる。またこのような合併は、同一な又は異なる色彩の画素の間で行われてもよい。他方、2つの合併する画素の色彩が異なってもよい。即ち色彩の累積(重ね合わせ)又は平均化が行われる。色彩の三原色原理として知られているとおり、2種類の原色の累積がもう1種類の原色の補色であり、つまり、2種類の異なる原色の画素が合併すると、もう1種類の原色の補色を生じる。色彩空間の変換は、原色空間から補色空間への変換(移動)だけが要求される。異なる補色によって色彩の再構築が完成される。即ち、本発明によれば、異なる色彩の画素の合併を実現することができて、信号対雑音比を向上させ、それとともにカラーの再構築を行うことができる。サブサンプリングのプロセス全体もこれによって最適化され、大データ量の画素アレイの高速需要に更に適応する。色彩空間変換のための1つの基本的な要求は、変換後の色彩の組合が、(挿入値等の手段を介する)要求されたRGB(又はYUV、 又はCYMK)色彩を再構築できることである。
【0057】
通常、画素アレイは複数の画素を含んでおり、第1の合併とサンプリングではただ2つの画素を合併するため、合併で形成された第1の合併画素は複数存在する。異なる第1の合併画素にとって、それが用いた色彩合併方式は、同一であってもよく、異なってもよい。第1の合併全体が同一の色彩を持つ画素の間で行われる場合に、それを同色合併方式と称する。第1の合併全体が異なる色彩間で行われる場合に、それを異色合併方式と称する。第1の合併の一部が同一の色彩間で行われ、一部が異なる色彩間で行われる場合に、それを複合合併方式と称する。画素アレイにおける余った色彩を放棄(放棄は選択的なものであり、例えば、これによって色彩の再構築に影響してはいけない)する場合に、このような色彩合併方式を余剰カラー(余剰の色彩)の選択的放棄方式と称する。
【0058】
第2の合併プロセスは、複数の第1の合併画素に対する操作である。同様に、色彩が同一な第1の合併画素を合併してもよく、色彩が異なる第1の合併画素を合併してもよい(この場合に、三原色全部の重ね合わせとなってカラーを再構築できない可能性がある)。
【0059】
上述の同色合併、異色合併、複合合併等の方式は、合併とサンプリングとを色彩に基づいて分類したものである。これに加えて、合併とサンプリングの位置の選択した角度から、第1の合併プロセスと第2の合併プロセスの合併とサンプリングの方式は、同じバスに直接出力する信号自動平均方式、行飛ばし(行スキップ)又は列飛ばし(列スキップ)方式、逐次サンプリング方式(一対一サンプリング方式)、及びこれらの方式の2種又は3種の組み合わせを含む。第1の合併とサンプリングのプロセスのみで行われる電荷累積部分を除き、第1の合併プロセスと第2の合併プロセスは、順序が異なる以外に、その方式は同一であって、交換可能である。
【0060】
バスに直接出力する信号自動平均方式とは、合併する必要がある信号(色彩が同一又は異なる)、データ収集バスに同時に出力し、(電圧)信号の自動平衡によって、合併する必要がある信号の平均値を取得する。行飛ばし又は列飛ばし方式とは、行又は列を飛ばす(スキップする)ことによってデータ量を低減する方式によって、(合併と)サンプリングを実現する。逐次サンプリング方式とは、実際にはいずれの合併も行わずに、これによって元の画素又は第1の合併画素を読み込む。この3つの方式が同時に使用されてもよい。例えば、行飛ばし又は列飛ばし方式がバスに直接出力する信号自動平均方式又は逐次サンプリング方式と同時に使用されてもよい。
【0061】
第3の合併とサンプリングのプロセスのサブサンプリング方式は、色彩空間変換方式、バックエンドデジタル画像拡大縮小方式、及びこの2つの方式の連続した使用を含む。第1と第2合併プロセスは主にアナログ信号で行われるが、第3のサブサンプリングプロセスは主にデジタル信号で行われる。即ちアナログ・デジタル変換の後に行われる。異なる空間位置にある3つ又は4つの色彩画素を、同一な点の値として、また一個の色彩空間に転換する。これにより、水平方向及び(又は)垂直方向においてデータの減少を実現でき、これでサブサンプリングの効果が達成される。デジタル画像拡大縮小方式は、最も直感的に理解できる、一般に利用可能なサブサンプリング方式である。
【0062】
電荷の重ね合わせ(電荷累積)は合併とサンプリングとにおいて効果的な手段である。しかし、それが合併する画素が空間上隣り合う必要がある。従来の、サブサンプリングが行われない原因は、従来のサブサンプリングが単に同一の色彩の画素の間で行われるが、合併される画素の間に他の画素を隔てていると、電荷累積を実現できない。多重層感光素子は、色彩のパターンが非常に豊かであるため、電荷累積の実現がより簡単である。発明者らによる「マルチスペクトル感光素子及びそのサンプリング方法」(中国出願番号:200910105948.2)は、色彩空間変換の方法を用いて、電荷累積のサブサンプリング方式を初めて実現した。しかしながら、多くの場合、この画素合併の方式は、全部又は一部が、異なる色彩を有する画素の間で行われる。さらに、色彩空間変換を用いた後、ある特殊なサブサンプリング因子(M×N)のために、行飛ばしと列飛ばしの方式を更に用いる必要がある。
【0063】
本発明によれば、画素アレイの製造が簡略化される上、読み込み回路が柔軟で簡略化される。特に、サブサンプリングは、電荷累積によって、同一色彩の画素の間で行うことができる。この特徴は、感光素子が弱い光の環境下での性能を向上させるために特別な価値がある。必要であれば、感度は、解像度を犠牲にする方法で、倍増される。例えば、色彩が同一な4つの画素を、電荷累積の方式で合併した後、改善される信号対雑音比の理論的な上限は4×4
1/2=8倍である。一方、従来の信号平均方式を用いて四点合併した後、改善される信号対雑音比の理論的な上限は4
1/2 =2倍である。
【0064】
本分野の技術者にとって、本発明の上述及びそのほかの目的及び特長は、以下に示す好適な、複数の図面を参照する実施例の細部を読んだ後、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1は、CMOS受動画素のための読み込み(サンプリング)回路である。
【
図2】
図2は、CMOS 3T能動画素のための読み込み(サンプリング)回路である。PDが感光ダイオードであり、FDが感光しない読み込み転送コンデンサである。
【
図3】
図3は、CMOS 4T能動画素の読み込み(サンプリング)回路である。
【
図4】
図4(a)は、二相CCDの画素の設計図であって、二相CCDの横断面図である。
図4(b)は、二相CCDの電荷転送工程の模式的な図であって、二相パルスΦ1とΦ2の作用下のチャネル電位(channel potential)である。
【
図5】
図5(a)は、CMOS能動画素の行選択読み込み回路の回路図である。
図5(b)は、CMOS受動画素の行選択読み込み回路の回路図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すCMOS読み込み回路のための、一般的な読み込み回路の抽象的な模式図である。
【
図7】
図7は、実用的なCMOS画素のための典型的な列バッファを有する読み込み(サンプリング)回路の典型的な回路図である。
【
図8】
図8は、CCD画素の読み込み方式(a)とCMOS画素の読み込み方式(b)の比較図である。CCD画素の間の、垂直方向上の一連の伝達する機能が
図8(a)に示されている。
【
図9】
図9は、現在の3種類の主にCCD感光素子に用いられる原理を模式的に示す図である。
図9(a)は、フレーム転送CCD(Frame Transfer CCD,FTCCD)を示している。フレーム転送CCDは、感光領域の画素を、一行一行順次に記憶領域に転送し、そして水平CCDを介して一個の画素ごとに一個ずつ読みだす。このようなCCDは、非常に強い画像スミア(Smear、白飛び)問題を有する。
図9(b)は、線間転送CCD(インターライン転送、Inter−line Transfer CCD,ITCCD)を示している。線間転送CCDは、感光領域の画素を、同時的に列間記憶領域に転送し、そして列間記憶領域の画素が水平CCDを介して一行一行に一個ずつ読みだす。このようなCCDは、画像スミア(Smear)現象を低減するが、大量の列間記憶器を用いる。
図9(C)は、フレーム線転送CCD(Frame Inter−line Transfer CCD,FITCCD)を示している。フレーム線転送CCDは、感光領域の画素を、まず同時に列間記憶領域に転送し、そして列間記憶領域の画素を行ごとフレーム記憶領域に転送し、そこで、行ごとに水平CCDを介して読みだす。このようなCCDは、更に画像スミア(Smear)問題を低減するため、主に専門の高速ビデオカメラに用いられる。
【
図10】
図10は、現在使用されている、比較に好適な4点共有の4T能動感光画素のための読み込み回路を示している。各画素が平均1.75個のゲートを用いている。
【
図11】
図11は、一個の8点共有4T能動感光画素の読み込み回路を示している。各画素が平均1.375個のゲートを用いる。この8点共有の能動感光画素の読み込み回路は、4点マクロ画素に基づくマトリックス配列の両面二重層感光素子に適応している(「マルチスペクトル感光素子及びその製造方法」を参照。中国出願番号200810217270.2)。即ち一個のマクロ画素においてすべての4つの複合画素の上下両層感光ダイオードが、同一の読み込みコンデンサ(FD)と3T読み込み回路を共有する。
【
図12】
図12は、本発明者らによる「マルチスペクトル感光素子及びそのサンプリング方法」(中国出願番号:200910105948.2)が開示する、画素読み込みとサブサンプリングのための原理的な回路システムのブロック図である。この回路は、画素アレイと、行アドレス復号制御手段と、列アドレス復号制御手段と、サンプリング制御回路と、拡大とアナログ・デジタル変換モジュールと、色彩変換とサブサンプリング及び画像処理のためのモジュールと、出力制御モジュールと、チップ中央制御モジュール(
図12におけるCCモジュール)と、他の利用可能なモジュールを含む。画素の読み込みとサブサンプリングの機能は、主に行アドレス復号制御手段と列アドレス復号制御手段が発生させる、対応する制御信号で達成される。システムの他のモジュールの協調は、主にチップ中央制御モジュールにより達成される。色彩空間変換の手段により、このような読み込み回路が、サンプル信号の電荷累積を初めて実現し、これでサブサンプリング時の画像の信号対雑音比を大幅に向上させる。ここで、Row[i]は、行選択信号であり、RS[i]は行制御ベクトル信号であり、Col[j]は列選択信号であり、T[j]が列制御ベクトル信号である。色彩変換とサブサンプリング及び画像処理モジュールが本発明の第3の合併とサンプリングのプロセスを実現する。
【
図13】
図13(a)は本発明の画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)のための感光画素の原理を模式的に示す図である。このような感光画素は、周辺(少なくとも3つの方向)の他の画素に電荷を転送する機能を有する。簡単に言えば、各画素が周辺の画素の読み込みコンデンサFDの機能を果たすことができる。言い換えれば、CCDの一次元(垂直又は水平)の画素転送機能を、二次元まで拡張しており、即ち垂直と水平方向ともに転送できる。CCDとは異なって、画素(電荷)転送は、非常に隣接する画素の間で行われ、遠くまで転送しない(例えばCCDの一列又は一行の距離)。画素の読み込みは、CMOSの能動行走査と能動列走査の方式を用いる。このようにして、感光画素は、CCDとCMOSの特長をあわせ持つ。即ち、CCDのFDがないという特長と、CMOSのランダム読み込みと低電圧の特長を持つ。各画素に電圧制御信号V[i、j]が接続される(図で表示される、画素の正方形の中間の灰色(陰影が付けられた)正方形部分は、非常に薄い金属電極である)。
図13(b)は、本発明を単純化して説明するために用いられた、画素と転送ゲートの統一された参照番号付けの方式である。即ち、各使用可能な画素(即ち、非エッジ画素(端部ではない画素))の左側及び上方の転送ゲートをこの画素に属するものとみなし、この画素と同一な行アドレスと列アドレス符号[i、j]を用いる。
【
図14】
図14は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)のための感光画素をからなる感光画素アレイを模式的に示す図である。本発明の電荷転送が、異なる色彩の画素の間で行われてもよいことに留意すべきである。
【
図15】
図15は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)のための、感光画素の半導体を実現するための回路の模式図である。
図15と
図2の相違点は、FDがない点である。隣接する画素(PD)が読み込みコンデンサFDとしての機能を果たす。図は、一個の3T(能動画素)読み込み回路のみを描いている。しかし、読み込み回路の共有の情況によって、各画素が一個の読み込み回路を有してもよく、又は複数の画素が一個の読み込み回路を共用してもよい。このような実現形態は、現在のCMOS感光画素と非常に近い。
【
図16】
図16(a)は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)のための感光画素の、他の半導体を実現するための回路の模式図である。感光素子の横断面と、
図4(a)に類似する読み込み回路を示しているが、
図4(a)と異なる点は、4T能動画素の読み込み回路が追加されていることである。
図16(b)は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)のための感光画素の、他の半導体を実現するための電荷転送の時系列(時間順序)の工程の模式図である。
図16(b)は、転送パルスΦ1とΦ2作用下のチャネル電位を示しており、
図4(b)に類似するが、電荷転送が常に一方向(水平)に沿って転送されない。次のクロック周期で、電荷の転送方向が変わる可能性がある(例えば水平から垂直に変わる)。代替的には、次のクロック周期で、画素の読み込みを始めてもよい。同様に、能動画素の読み込み回路を共有しなくてもよく、多点で共有してもしなくともよい。
【
図17】
図17は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素で構成した感光素子の、全画像読み込み方式の模式図である。このような簡単な方式では、第一行目(上一行)の画素を第2行目(下一行)の画素の読み込みコンデンサFDとする。第2行の画素を読み込む前に、まず上一行の対応する画素をクリア(リセット)し、関連するサンプリング(零電位)を行う。その後、下一行の画素を上一行に転送して感光電荷(電圧)のサンプリングを行う。図において数字1、2、3、4は、転送読み込みの順序を示す。簡単な変化として、左(既に用いた画素)を右の画素の読み込みコンデンサとしてもよいことは明らかである。転送の瞬間に、上一行の画素が依然として感光しているが、時間が非常に短かいため、生じた色彩の干渉を無視してもよい。
【
図18】
図18は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素を用いて構成した感光素子の、一種のサブサンプリングと読み込みの方式の模式図である。このようなサブサンプリング読み込みの方式は、最初に同じ列方向の画素の電荷累積(重畳)を実現し、そして行飛ばしの方式によって、行方向のサブサンプリングを実現する。図には両方の列の累積の情況を示す。累積のプロセスには、4つのステップがある。まず上一行(第一行目)のクリア(リセット)を行う。第1ステップ:G1とG2画素が上一行の位置X1とX2にそれぞれ転送される。第2ステップ:B1とB2がG2の位置に転送され、X1とX2が同時にX3の位置に転送される。第3ステップ:G3とG4画素がそれぞれ上一行の位置B1とB2の位置に転送される。この時、G1とG2の和、及びB1とB2の和が、既に読み出されることができる。第4ステップ:B1とB2の位置のG3とG4画素電荷がG2に同時に転送され、R1とR2がG3に同時に転送される。そして、G2の位置からG3+G4を読み出し、G3の位置からR1+R2を読み出す。このように後の画素までに循環する。類似の例として、3列の合併が、電荷の累積(重ね合わせ、重畳)の方式で完成してもよい。4列の合併がまず累積され、そして平均の2つのステップを分解してもよい。1列と2列の累積、3列と4列の累積、そして累積後の信号をバスまでに同時に出力して第1、2列の和と第3、4列の和の信号平均を実現する。行方向について、簡単な行飛ばし方式を用いてサブサンプリングを行ってもよい。
【
図19】
図19は、本発明による、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素を用いて構成した感光素子の、異なる色彩を合併するサブサンプリング読み込み方式の模式図である。このようなサブサンプリングの方式は、まず第1行と第2行の画素を、垂直を順次に累積(重畳)し、Ye(黄)Cy(青)YeCy・・・の色彩を取得する。具体的には、第2行の画素を、読み込む前に第1行の同一の列位置における画素に転送して合併し、そしてすぐに読みだす。第1行と第2行の画素を全部処理した後、第3と第4行の合併とサンプリングを行う。色彩の再構築の要求のため、第1行と第2行がYe(黄)とCy(青)とを取得した場合に、第3行と第4行が交差して合併を行うべきである。即ちGとGを合併してGを取得し、BとRを合併してMg(マゼンダ、紫)を取得する。電荷累積の交差合併を達成するためには、更に複雑な電荷転送を制御するための時間順序(タイムシーケンス)を必要とする。例えば、
図19に示すように、G5とG6を重ね合わせるために、まずB3をG3(第2ステップ)に転送し、そしてG5とG6をB3(第3ステップ)に同時に転送し、これにより電荷累積を実現する。第3ステップで、更にG3がR1(第3ステップ)を転送し、最後にR3とG5とを重ね合わせる(第4ステップ)。
図18と
図19と、は新規な感光画素の感光素子を用いた本発明者の発明(「マルチスペクトル感光素子及びそのサンプリング方法」、中国特許出願番号:200910105948.2)に開示された第1合併プロセスと第2合併プロセスを実現した例である。
【
図20】
図20は、任意の数の点によって共有された共有読み込み回路を例示した図である。従来の共有読み込み回路は、共有読み込みコンデンサに基づいて形成されている。つまり、N個の点が一個の読み込みコンデンサFDを共有すると、N個の点が一個の読み込み回路を共有する。即ち、一個の読み込みコンデンサFDが、一個の読み込み回路に対応する。隣接する点のみが、一個の読み込みコンデンサFDを共有するため、その前の読み込み回路共有が、少数の幾つかの点に行われる。例えば単層の2点、3点、4点、及び二重層の4点、6点、及び8点の共有が挙げられる。しかしながら、本発明の画素間の転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素が、読み込みコンデンサFDを要求しないため、容易に共有読み込み回路の点数を、N点まで任意で拡張できる。当然なことだが、数多くの点によって読み込み回路を共有することが、固定パターンのノイズ(Fixed Pattern Noise)を抑える効果を達成することができる。従って、Nの大きさは、チップノイズの実際の情況に応じて決定される。しかしながら、回路の実装によって(図に示すように)、任意の数の点による共有は非常に容易である。
【
図21】
図21は、同時に能動画素と受動画素機能とを有する混合読み込み回路の模式図である。スイッチTsをオンにする時に、能動出力線から能動画素の信号を取得できる。スイッチTsをオフにする場合に、受動出力線から受動画素の信号を取得できる。このような混合の読み込み回路を用いると、非常に少ないライン(線)と空間の増加によって、顕著な柔軟性、電力消費の低減、及び動的範囲(ダイナミックレンジ)の拡張が得られる。説明したように、共有読み込み回路の画素の点数をそれほど多くすることはできないが、そうしないと、固定パターンのノイズ(Fixed Pattern Noise)を抑える効果を達成できない。能動画素がもたらした問題は、電力消費の増加と信号エネルギーの総向上である。電力消費の増加がもたらしたひとつの問題は温度上昇であり、このため、温度に敏感なKTCノイズを増加させる。高照度の場合に、信号エネルギーの全体としての向上が、飽和現象を容易に発生させて、動的範囲を改善しない。受動画素の特徴は電力消費が低く、信号エネルギーが低いが、固定パターンのノイズが比較に大きいことであり、プレビューとサブサンプリング、及び高照度の場合の情況に非常に適応する。このため、使用者は応用する情況によって、能動画素読み込み又は受動画素読み込みを随意に切り替えることができ、これでチップ電力消費と温度の低減、動的範囲の拡大、感光信号の信号対雑音比の向上効果を達成する。
【
図22】
図22は、
図13、
図20、
図21を組み合わせた状態を示す図である。即ち、画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素を基本画素とし、N点を共有する能動画素と受動画素の機能を混合した読み込み回路を用いる一般化した情況である。
図22において[i、j]は一個の典型的な画素の行位置と列位置の下付き記号を表しており、[k、l]は第[k、l]番目の読み込み回路を表しており、[m、n]は異なる行と列の画素が同一な読み込み回路を表している。マトリックス配列の感光素子にとって、好ましくは、M×N個の点が同一な読み込み回路を共用するようにさせる。図に示すように、各画素P[i、j]がいずれも4つの制御信号に関連づけられる。即ち、V[i、j]、Tg[i、j]、 Th[i、j]、及びTv[i、j]である。V[I、j]がバイアス電圧(付勢電圧)信号であり、クリア、画素転送の制御及び読み込みに用いられる。Tgが読み込み制御信号であり、Thが水平転送制御信号であり、Tvが垂直転送制御信号であり、Tsが能動画素読み込み又は受動画素読み込みの選択スイッチである。V、Tg、Th、及びTv4つの信号が行選択信号Row[i]と行選択信号Col[j]と同期する必要があることは明らかである。この4つの信号のゲート回路の実現形態が
図23に示されている。
【
図23】
図23は、V、Tg、Th、及びTvの4つの信号を実現するゲート回路である。ここで、Row[i]は行選択信号であり、Col[j]は行選択信号であり、THとTVは、それぞれデバイス全体が共用する行と列転送制御信号である。RC[i、j]は画素選択信号を表しており、Vrは読み込み用の電圧である。Vrが通常は休止(suspend)しており、読み込みデータする場合にハイレベル(高水準)となり、クリアする場合にローレベル(低水準)となる。
図23と
図22には、各画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素が7個のゲートに関連づけられており、且つ共有読み込み回路の一部を共有している状態が示される。多数(高い数字)に見えるが、実際には、共有読み込み方式を用いてのと同様に、
図23における波線で囲まれたゲート回路(又はその等価回路)が必要なものである。このため、各画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素が3つの通常のロジックゲートを用いる。また、ThとTvとも簡単な転送ゲートである。130ナノ以下の半導体処理技術においては、読み込みコンデンサFDに比べて、ロジックゲートが占める空間は非常に小さい。
【
図24】
図24は、
図22における読み込み回路が、4×4の基本画素に共有されている場合に、リセット信号Rst[k、l]と読み込みモジュールが信号Sel[k、l]とを実現している形態を示す図である。このような簡略化された実施形態では、Rst[k、l]とSel[k、l]とも行選択信号Row[i]のみに依存し、行選択信号Col[j]には依存しない。Rst[k]とSel[k]とを発生させるために必要なゲートの数を無視してもよいために、それらの符号もRst[k]とSel[k]と簡略化できる。。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明は新規な感光素子、読み込み方法、及び読み込み回路を含む。
【0067】
本発明の開示する一側面によれば、例示的な感光素子では、その感光画素が画素転送、特に二次元画素転送機能を有する。この感光素子では、全部読み込みコンデンサは廃止されている。その代わりに、画素アレイにおける一部の画素又は全部の画素の間に、接続する隣接画素(二次元における上下左右各方向でよく、更に多層感光素子には、例えば両面二重層感光素子に、有画素アレイを配置する基層の頂面と底面の感光画素にとって、画素転送を行うことができ、この場合に、頂面感光画素と底面感光画素が光照射方向の異なる層面に位置するため、画素転送が三次元の転送と思われる)のための転送ゲートが配置されており、画素自体の電荷が、適当な制御信号の時間順序で作用する。そして転送ゲートを介して隣接画素への転送を実現する。ここでは、画素自身の感光が取得(検出)した電荷を、画素自体の電荷と称し、その隣接画素が転送した電荷をこの画素の転送電荷と称する。即ち、画素Aと画素Bとが隣接画素であると、画素B自体の電荷が画素Aに転送されると、画素B自体の電荷が画素Aで画素Aの転送電荷と称される。一般的には、画素A自体の電荷を読みだした後、画素B自体の電荷を画素Aに転送する。しかしながら、画素B自体の電荷を画素Aに転送した後、画素Aから画素A自体の電荷と転送電荷の重ね合わせた合計値を読みだすことも可能である。これが画素Aと画素Bの電荷累積を実現する。特に、画素Aの転送電荷が一個の隣接画素のみからではなく、例えば画素Bの外に、隣接画素C、Dを含むことができる。このような場合に、画素Aから電荷を読み込み、そして転送可能な電荷を重ね合わせて、例えばB+C、B+D、C+D、B+C+Dの累積を実現することができる。電荷累積は、画素A自体の電荷と複数の転送電荷の重ね合わせでよく、例えばA+B+C、A+B+D、A+B+C+D等が挙げられる。画素が、同色の電荷累積を含む場合、電荷累積される画素の数は制限されないが、異なる色彩の画素の場合、色彩の再構築の要件に適合するために、電荷累積に用いられる画素の色彩は2種類の色彩を超えてはならない。本発明では、画素間電荷転送(2D Pixel Transfer)方式を用いることで、隣接画素を読み込みコンデンサ(FD)として用いることを実現し、これにより感光素子で読み込みコンデンサを省略することを可能とした。画素の読み込みは、行と列とを走査する読み込み方式を用いている。行列走査の具体的な時間順序制御について、後で詳しく説明する。
【0068】
本発明の他の側面によれば、
図21に示すように、本発明が示した感光素子の例示的な読み込み回路は、能動画素と受動画素が組み込まれた新規な読み込み回路を用いる。受動画素があまり大きな空間を占めず、且つ能動画素の読み込み回路が多点共有可能であるため、それらを組み合わせて選択的に使用することで、よりよい効果を達成する。
図21に示したものは、ひとつの簡単な例である。能動画素に多くの種類があり、多点共有の形式の多くの形式がある。このため、ひとつの例で能動画素と受動画素の混合の基本原理を説明する。
図21に示すように、スイッチTsをオンにする場合に、能動画素の読み込み回路が作用する。スイッチTsをオフにする場合に、受動画素の読み込み回路が作用する。
【0069】
上述したように、画素間の電荷転送によって、本発明の更なる側面として、隣接しない画素の間の同一又は異なる色彩の電荷累積合併を実現した。画素間の電荷転送を介して、合併されるべき画素(の電荷)を、同様の既に用いられてクリア(リセット)されたばかりの隣接する画素に転送することができる。
図18又は
図19に示すように、このような合併は、非常に厳格で正確な時間順序の制御と画素転送方向の制御とに従う必要がある。例えば、
図18においてG1とG2を合併するための電荷転送の時間順序の制御によって、まずG1とG2をX1とX2にそれぞれ転送し、そしてX1とX2における電荷をX3に同時に転送する。
【0070】
上述した画素間転送機能を有しており、及び/又は能動画素と受動画素の混合読み込み方式の感光画素を基本感光画素としており、各基本感光画素が感光時間制御回路(クリアリセットを含む)、画素転送制御、及び画素読み込み回路に接続されているような感光画素で構成した画素アレイが更によい性能を有する。
【0071】
前記基本感光画素の読み込み回路は、受動画素の読み込み回路(例えば
図1)、能動画素の読み込み回路(例えば
図2と
図3)、又は受動と能動画素の複合読み込み回路(例えば
図21)を含む。
【0072】
前記基本感光画素を以下に述べる方式で配列し、新たな感光素子を構成できる。前記基本感光画素を、カラー(複合色)、単色、又はマルチスペクトル(可視光と赤外を含む)等の需要によって予め規定された配列パターンによって繰り返し配列する。
【0073】
感光素子の色彩の予め規定された配列パターンは、ベイヤパターン、ハニカムパターン、単色パターン、CyYeMgXパターン等を含む。ここで、XがR(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの色彩であってよい。
【0074】
上述した感光素子は、単面単層、単面二重層、単面多層(単面多重層)、両面二重層、及び両面多層(両面多重層)等の異なるタイプの感光素子で構成することが可能である。
【0075】
上述感光素子の感光方式は、正面感光、背面感光、及び双向感光等の多種多様な方式を含む。
【0076】
本発明の例示的な感光素子では、サンプリングとサブサンプリングは、そのサンプリングとサブサンプリングの方式は、同一又は異なる色彩の画素間の信号平均方式、電荷累積方式、又は複合信号平均方式又は複合電荷累積方式を含む。複合信号平均方式又は複合電荷累積方式では、一部の合併される画素の色彩は同一であり、また、他の合併される画素の色彩が異なる。
【0077】
異なる色彩の画素では、感光素子のサブサンプリング方式が、色彩空間変換によって実現される。
【0078】
感光素子のサンプリングとサブサンプリングの回路は、画素アレイ、行アドレス復号制御手段、列アドレス復号制御手段、サンプリング制御回路、拡大縮小とアナログ・デジタル変換モジュール、色彩変換とサブサンプリング及び画像処理モジュール、出力制御モジュール、チップ中央制御モジュール、及び他の実装可能なモジュールを含む。
【0079】
前記行アドレス復号制御手段の出力信号は、行選択信号と行制御ベクトル信号を含み、前記列アドレス復号制御手段の出力信号は、列選択信号と列制御ベクトル信号を含む。
【0080】
上述した様に、既にサブサンプリングプロセスを、第1の合併とサンプリングのプロセス、第2の合併とサンプリングのプロセス、及び選択可能な第3の合併とサンプリングのプロセスに分けた。これらプロセスに対応して、それぞれ第1の合併ユニット、第2の合併ユニット及び第3の合併ユニットを用いて上述の合併とサンプリングのプロセスを実現することができる。これらユニットは、ただその実現する機能面からデバイスに対してモジュールに区分されており、物理デバイスの角度からは、これら機能ユニットがひとつの物理上のモジュールでその機能を実現してもよい。又は複数の物理上のモジュールを合わせてその機能を実現してもよく、又はこれら機能ユニットをひとつの物理のモジュールに集積してもよい。明細書中の第1の合併ユニット、第2の合併ユニット及び第3の合併ユニットの説明は、ただその機能上の説明であり、その物理上の実現方式を具体的に制限するものではない。
【0081】
具体的には、
図12に示す例のように、行アドレス復号制御手段と列アドレス復号制御手段によって必要なサブサンプリング機能を実現する。行アドレス復号制御手段は、2種類の信号を出力する。即ち、行選択信号Row[i] (それぞれの行に対する一本の線)と行制御ベクトル信号RS[i] (それぞれの行に対する一本又は複数本の線)を出力する。ここで、iが行の符号である。類似して、列アドレス復号制御手段が2種類の信号を出力する。即ち行選択信号Col[j] (それぞれの行に対する一本の線)と列制御ベクトル信号T[j] (それぞれの行に対する一本又は複数本の線)、ここで、jは列の符号である。
【0082】
行選択信号Row[i]は、行の選択のために用いられ、行選択信号Col[j]は列の選択のために用いられる。これは2つのグループ(セット)のための相対的な標準信号である。行制御ベクトル信号RS[i]は、存在しているCMOSの行制御信号の拡張(それぞれの行に対する一本の線がそれぞれの行に対する複数本の線に拡張する)である。列制御ベクトル信号T[j]には、CMOS感光素子が存在しないか、あっても、一列に一個のみある。
【0083】
以下、
図22から
図24の一つの具体的な実施形態によって、Row[i]、Col[j]、RS[i]、及びT[j]の内容と作用、及びこれら制御信号による全画像サンプリングとサブサンプリングにおける時間順序を説明する。
【0084】
図22は
図13、
図20、及び
図21を組み合わせた一つの実現形態である。即ち画素間転送読み込み(2D Pixel Transfer)感光画素を基本画素とし、N点を共有する能動画素機能と受動画素機能を持つ複合読み込み回路の一般化された事例である。図において[i、j]は、一個の典型的な画素の行位置と列位置の下付き記号を代表しており、[k、l]が第[k、l]番目の読み込み回路をマークしており、[m、n]が異なる行と列の画素が同一な読み込み回路を共用している。図に示すように、各画素P[i、j]がいずれも4つの制御信号に関連している。即ち、V[i、j]、Tg[i、j]、 Th[i、j]、及びTv[i、j]である。Tgが読み込み制御信号であり、Thが水平転送制御信号であり、Tvが垂直転送制御信号であり、Tsが能動画素読み込み又は受動画素読み込みの選択スイッチである。
図23は、Tg、Th、及びTvからなる3つの信号の一つの実現形態である。
図24は、
図22のRst[k、l]とSel[k、l]の簡略化された実現形態を示している。即ちRst[k、l]とSel[k、l]がCol[j]に依存せず、Rst[k]とSel[k]に縮退している。
【0085】
この実現形態では、Row[i]とCol[j]の外に、Reset、SEL、TH、TV、TG、Vr、 Tsの7個の全局制御信号を有する。Tsは、チップ中央制御モジュールCCにより制御される。Reset、SEL、TVはRS[i]に属しており、Vr、TH、とTGは、T[j]に属している。ただしこのような分類が唯一の分類ではない。
【0086】
全画像サンプリングの場合、信号の読み込みには、2種類の方式がある。1種類目は、上一行の画素を読み込みコンデンサとして用いる。また他の種類では左(又は右)の、既に読み込みを行った画素を、読み込みコンデンサとして用いる。1種類目の場合、時間順序(タイミングシーケンス)の制御が簡単である。この方式の操作フローを簡単に説明する。
図17に示すように、R1の位置行列アドレスを[i、j]とした場合、読み込みR1の制御信号の時間順序は、以下のとおりである。
【0087】
1.時間t0:R1上方の画素G1がクリア(リセット)される。この時間の開始時点(立ち上がりエッジ)に、Row[i−1]とCol[j]を配置してG1のアドレスを選択するようにセットされる。この時、Rst[i−1]を零にする。次の時刻でRst [i−1]を高レベルとする。この時間の終了時点(立ち下がりエッジ)で、G1のゼロ値が維持されて、コヒーレントサンプリング(coherent sampling)が機能するために、読み出しが維持される。即ち、この時、SELのスイッチがオフにされて、G1上の電荷が読み込まれる。
【0088】
2.時間t1:R1上の電荷がG1に転送されて同時に読み込まれる。この時間の開始時点で、Row[i]とCol[j]は、R1のアドレスを選択するようにセットされる。TVは高レベルに引き上げられる。この時間の終了時点で、Row[i−1]とCol[j]は、G1のアドレスを選択するようにセットされる。SELのスイッチがオフにされて、G1上の電荷が読み込まれる。
【0089】
このように繰り返し他の画素を読み込む。好ましくは、全画像読み込みの場合に、能動画素の読み込みをするためにTsをオフにしてもよい。
【0090】
サブサンプリングの場合には、サンプリング因子M×Nの情況と選択した画素合併方法及び単層又は二重層感光画素のパターン分布によって、信号の時間順序を制御することが非常に複雑となる可能性がある。しかしながら、デジタル回路は、一個のチップが幾つかの情況を処理すればよいため、全ての場合について対応が可能である。以下に、二つの例を上げて、画素転送を用いて画素合併を実現する原理を説明する。この二つの例では、各制御信号の間の関係が、
図22から24のような実現方式を用いる。これら実現方式は唯一ではなく、ただ例として説明する。
【0091】
図18に示すように、インターレース(飛び越し走査)方式の画素を合併する場合、G1の行列のアドレスが[i、j]であるとき、G1とG2の合併が以下のような時間順序の制御信号で達成される。
【0092】
1.時間(クロック)0:X1、X2、X3がクリア(リセット)される。この時刻の開始時点(立ち上がりエッジ,rising edge)で、Row[i−1]とCol[j]、Col[j+1]、及びCol[j+2]を配置して、X1、X3、X2のアドレスを選択する。この時、Rst[i−1]を零にする。そして次の時刻でRst [i−1]を高レベルに設定する。
【0093】
2.時間 t1:G1とG2が、X1とX2に転送される。この時刻の開始時点(立ち上がりエッジ)で、Row[i]と、Col[j]及びCol[j+2]を配置して、G1とG2のアドレスを選択し、そしてTVを高レベルに設定する。
【0094】
3.時間 t2:X1とX2とが、X3に転送される。この時刻の開始時点で、まずRow[i−1]とCol[j]を選択し、そしてVrを高レベルに設定する。この時、X3が電荷転送を受ける状態にある。この時刻の終点(falling edge,立ち下がり)で、Row[i−1]とCol[j+1]及びCol[j+2]が配置されてX3とX2のアドレスを選択し、そしてTHを高レベルに設定する。X1の電荷が右のX3に転送され、X2の電荷が左のX3に転送される。
【0095】
4.時間 t3:X3の信号を読み出す。この時刻の開始時点で、Row[i−1]とCol[j+1]を配置し、そしてTGを高レベルに設定する(この時Vrが依然として高電位にある)。
【0096】
G2が読み出された後、B1とB2の読み出しは非常に簡単である。
【0097】
5.時間 t2:B1とB2がG2に転送される。この時間の開始時点で、まずRow[i]とCol[j+2]を選択してそしてVrを高く伸びる。この時G2が電荷転送を受ける状態にある。この時刻の終点で、Row[i]とCol[j+2]及びCol[j+3]を配置してG2とB2のアドレスを選択し、そしてTHを高レベルに設定する。B1の電荷が右へG2に転送され、B2の電荷が左へG2に転送される。
【0098】
6.時間 t3又はt4:G2の信号を読み出す。この時刻の開始時点で、Row[i]とCol[j+2]を選択し、そしてTGを高レベルに設定する(この時Vrが依然として高電位にある)。もし信号が時刻t3で読み出される場合には、素子が2つのデータを同時に読み込む能力が必要となる。即ち素子は、2つの増幅回路とアナログ・デジタル転換回路とが必要となる。
【0099】
図19に示す両行合併と交差合併の情況では、G1行とR1行の合併が一個の時間内で同時に完成できる。即ちR1行の画素を、上一行に同時に転送する。このような情況は簡単であり、制御信号の時間順序の詳細な記載はここで不要である。G5の位置行列アドレスを[i、j]とした場合、G5とG6の合併、及びB3とR3の合併が、以下の制御信号の時間順序で完成できる。
【0100】
1.時刻 t0:R1、G3がクリア(リセット)される。この時刻の開始時点で、Row[i−1]とCol[j]及びCol[j+1]を配置してR1とG3のアドレスを選択し、この時、Rst[i−1]を零にする。次の時刻でRst [i−1]を高レベルに設定する。
【0101】
2.時刻 t1:B3がG3に転送される。この時刻の開始時点で、Row[i]とCol[j+1]を配置してB3のアドレスを選択し、そしてTVを高レベルに設定する。
【0102】
3.時刻 t2:G5とG6がB3に転送され、G3がR1に転送される。この時刻の開始時点、まずRow[i]とCol[j+1]を選択し、そしてVrとTHを高レベルに設定する。この時B3が電荷転送を受ける状態にあり、且つG5が左へB3に転送される。この時刻の終点で、Row[i−1]とCol[j+1]を選択し、そしてTVを高レベルに設定する。この時G5が上のB3に転送される。
【0103】
4.時刻 t3:B3の信号(元G5+G6)を読み出し、そしてR1とR3をG5に転送する。この時刻の開始時点で、Row[i]とCol[j+1]を配置し、そしてTGを高レベルに設定する(この時Vrが依然として高い)。この時B3が読み出される。この時刻の終点で、Row[i]及びRow[i+1]とCol[j]を配置し、そしてTVを高レベルに設定する。この時R1が下方のG5へ、そしてR3が上方のG5へ転送される。
【0104】
5.時刻 t4:G5の信号(元B3+R3)を読み出す。この時刻の開始時点で、Row[i]とCol[j]を配置し、そしてTGを高レベルに設定する(この時Vrが依然として高い)。この時G5が読み出される。交差合併の工程が面倒であるが、大きな問題ではない。
【0105】
サブサンプリングする場合に、各々がサポートしているM×Nサンプリング因子(1行がM倍に縮小、1列がN倍に縮小)に対し、行アドレス復号制御手段と列アドレス復号制御手段が、M×Nサンプリング因子と画像区域要求によって、各出力行に対応し、合併必要がある行に対応するすべてのRow[i]とRS[i]値を高又は低に同時に設定し、そして各出力列に同時に対応し、そして合併必要がある列のすべてのCol[j]とT[j]の値を高又は低に設定し、すべての合併必要がある画素(電荷/電圧)値を、他の画素を順次に転送にさせ、電荷合併の後、読み込み順序(読み書き回路を通す)によって出力バスまでに出力される。同時に、必要な場合に、行アドレス復号制御手段と列アドレス復号制御手段がM×Nサンプリング因子と画像区域要求によって、必要な行飛ばしと列飛ばしの操作又は余った色彩の放棄を行う。
【0106】
異なるM×Nサンプリング因子には、出力バスが異なる時間で異なる色彩を取得する可能性がある。相応に、他のシステム機能モジュール、例えば拡大とアナログ・デジタル変換モジュール、色彩変換とサブサンプリング及び画像処理モジュール、並びに出力制御モジュールがいずれも相応の協調動作を行う。このシステムの総制御が、チップ中央制御モジュール(
図12におけるCCモジュール)により完成される。拡大とアナログ・デジタル変換モジュールと画素アレイ以外、他のモジュールが、主にデジタル処理回路であるため、デバイス周辺でより簡単に実現でき、これで感光素子の配線を簡単にする。
【0107】
本発明では、同時に幾つかの行を同時に選択すること、同時に幾つかの列を選択することが可能であり、更に幾つかの行と幾つかの列を同時に選択すること、のうちのいずれの場合も可能性がある。従来のいくつかの技術では(例えば米国特許第6,801,258号、米国特許第6,693,670号、米国特許第7,091、466号、米国特許第7,319,218B2等)、同様に幾つかの行若しくは幾つかの列が同時に選択される可能性があるが、合併とサンプリングの方式が異なるため、行選択信号と行選択信号の時間系列と波型とが完全に異なる。例えば、
図18における第2の合併とサンプリングを行う場合であって、第1行の第1列と第3列とが同時に選択される場合に、この両方の列のデータがすぐに出力バスに置かれず、上一行の第1列と第3列の画素(感光しない不要画素)に同時に転送される。このような場合は、従来のサブサンプリング方法では発生することがない。
【0108】
更に具体的には、いずれかのM×N因子(M≧2、N≧2)のサブサンプリングをする場合に、まず両方の行(両行)、両方の列(両列)、又は両方の列及び両方の両行について合併とサンプリングとを行う第1の合併とサンプリングのプロセスを行い、そして第1の合併とサンプリングの工程に基づいたM行×N列のサブサンプリングを完成する。
【0109】
第1の合併とサンプリングの後のサブサンプリング(主にM×N因子のサブサンプリング)には、即ち第2の合併とサンプリングのプロセスが、以下の様々な方式で単独又は組み合わせて実行することができる。即ち、バスに直接出力する信号自動平均方式、行飛ばし又は列飛ばし方式、及び逐次サンプリング方式を単独で又は組み合わせて実行しても良い。第3の合併とサンプリングのプロセスがある場合は、アレイば、以下の2種の方式を単独又は合わせて実行できる。即ち、色彩空間変換方式とバックエンドデジタル画像拡大縮小方式である。
【0110】
一個の画素アレイには、相当に多い感光画素が含まれ、特に二重層又は多層感光素子にとって、色彩の種類及び幾何分布情況が非常に豊かである。第1の合併とサンプリングのプロセスは、複数の第1合併された画素に対応する(第1の合併とサンプリングのプロセスの間、合併を行う画素。この概念は、第1合併を行った後に得られた画素を示す。例えば、第1合併プロセスには、画素B自体の電荷が画素Aに転送され、この時、画素Aに画素A自体の電荷と画素Bが転送した転送電荷が存在し、この時、第1合併画素の概念で画素Aにおける重ね合わせのサンプリングデータA+Bを表示する。これは、物理上、画素アレイに一個の「第1合併画素」を存在することを表さない)、このため、第1の合併とサンプリングのプロセスを行う場合に、これら第1合併画素が画素の色彩合併角度から言えば、合併するための色彩選択が様々であり、同色合併の方式、異色合併の方式、複合合併方式(一部の画素の色彩が同一、一部が異なる)、又は余った色彩を選択的に放棄する方式を用いてもよい。
【0111】
色彩空間の変換は、RGBからCyYeMgX(XがR、G、Bのいずれかの1種)への空間の変換、CyYeMgXからYUVへの空間の変換、及びRGBからYUVへの空間の変換を含む。
【0112】
RGBからCyYeMgG空間までの変換は、アナログ信号空間で完成してもよく、デジタル空間で完成してもよい。このため、それが第1合併プロセス、第2合併プロセス、又は第3の合併とサンプリングのプロセスにおけるいずれかのプロセスで完成してもよい。しかし、CyYeMgGからYUV空間への変換及びRGBからYUV空間への変換は、デジタル信号空間のみで完成する。つまり第3の合併とサンプリングのプロセスで完成する。
【0113】
更に具体的には、画素アレイの一部分は、複数のマトリックスで配列された2つ、3つ又は4つの基本画素の1グループのマクロ画素から組成される。ここで、マクロ画素における基本画素が受動画素から組成されてもよく、FDを付けない3T、4T、5T、6T能動画素(「CMOS/CCD Sensor and Camera Systems」 Gerald C. Holst and Terrence S. Lomheim、 JCD Publishing、 ISBN: 980970774934、 2007、 pp. 99−101参照)から組成されてもよい。各基本画素可が単面単層、単面二重層、両面二重層、又は両面多層の複合画素であってよい。即ち一個の基本画素には一個又は複数の基本画素ユニットが含まれ、基本画素ユニットが光照射方向に沿って分層配置され、そして感光画素を配置する基層の頂面及び/又は底面に分布してもよい。
【0114】
前記能動画素から構成される基本的な感光画素の読み込み回路は、従来の共有を行わない方式、4点共有方式、6点共有方式、及び8点共有方式を用いる外に、任意のN点共有方式(例えば
図20)を用いてもよい。
【0115】
二重層又は多層感光素子にとって、第1の合併とサンプリングのプロセスの色彩選択が更に色彩豊かにする。この外に、そのサンプリング回路共有と色彩合併の方式も更に豊かであり、且つ第1行と第1列の合併とサンプリングの場合に、様々なパターンが電荷累積の方式(「マルチスペクトル感光素子及びそのサンプリング方法」、中国出願番号:200910105948.2を参照)を容易に用いる。
【0116】
N個の信号が電荷累積の方式を用いて合併する場合に、信号対雑音比の改良される上限はN×N
1/2倍であるが、N個の信号が信号平均の方式を用いて合併する場合には、信号対雑音比の改善される上限は、N
1/2倍(√N倍)である。このため、電荷累積は、少なくともサブサンプリングにおいて最適な方式の一つである。
【0117】
感光画素のデジタル信号をキャッシュ(バッファ)に保存して、色彩変換とサブサンプリング及び図象処理モジュールを介して、更に処理を行う。全画像サンプリングをする場合、大型アレイ画像感光素子のために、サブサンプリングは行わず、一般に色彩変換を行わない。このため、このモード下で、チップ中央制御モジュールCCが相応の制御を行い、感光画素のデジタル信号が、色彩変換とサブサンプリングモジュールを飛ばして(スキップして)、画像処理モジュールに直接に入力される。感光素子に含まれる画像処理の後、出力モジュールにより感光素子の対外インターフェースに出力される。
【0118】
サブサンプリングをする場合には、情況が複雑になる。しかしながら、少数のサブサンプリング因子M×Nのみが、具体的な感光素子に対する支持を行う。従って、チップ中央制御モジュールCC、行アドレス復号制御手段、及び列アドレス復号制御手段は、サポートするM×Nサブサンプリング因子のみを考えてよい。例えば、一個の5百万画素の感光素子は、2×2、2×1、4×4、8×8の4種類の場合のみを考える。
【0119】
第2の合併とサンプリングのプロセスは通常、電荷累積に関与しない。このため、通常、以下のような3種類の方式が適用される。即ち、バスに直接出力する信号自動平均方式、行飛ばし又は列飛ばし方式、逐次サンプリング方式である。この3つの方式は伝統的な方式であり、簡単であり、本分野の技術者に詳しく、詳細な記載はここでは不要である。第3の合併とサンプリングのプロセスはデジタル画像空間で完成され、相対的な標準であるデジタル画像拡大縮小技術を用いる。
【0120】
チップ中央制御モジュールCCは、サンプリングの間の異なる時間に、読み込んでいる画素の色彩を算出できる。そしてそれに対して対応する処理を行う。選定された画素サンプリングの順序に従って、チップ中央制御モジュールCCは、異なる色彩を、異なる増幅回路を介して、色彩変換と、サブサンプリングと、画像処理とのモジュールに転送するために、拡大縮小とアナログ・デジタル変換モジュールを制御する。同様に、異なる色彩に異なる処理を行うために、出力制御モジュールを制御する。更に詳細な説明は本発明の範疇を超えている。
【0121】
従来のサブサンプリング方式は、主に同一な色彩の画素間で行われ、且つ主に画素平均及び行飛ばし又は列飛ばしの方式を用いる。これらの方法は、色彩豊かな二重層又は多層感光素子では機能しない可能性がある。本発明が開示したサブサンプリング方法は、色彩空間変換の方式によって、同一な色彩間で行われてもよく、異なる色彩間で行われてもよく、混合で行われてもよい(即ち一部が同一な色彩間で行われ、一部が異なる色彩間で行われる)。また、本発明が提出した電荷累積の信号合併方式は、n個の信号を合併し、N
3に近づく信号重畳の効果を達成できる。このため、本発明のサブサンプリング方法は従来のサブサンプリング方法に比べて、よりよい画像品質があり、特に、本発明を二重層又は多層感光素子に用いる場合に、数え切れない、簡単な且つ優れたサブサンプリング方式を生じる。
【0122】
以上、単層と二重層の感光素子、及びいくつかの実施形態で本発明の精神と内容を説明した。これらの具体的な条件は、本発明の請求範囲を限定することを意図したものではない。逆に、本発明を更に複雑な設計に用いた場合、例えば5T/6T能動画素、又は多層感光素子に用いた場合には、その効果は更に明らかになる。