(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767324
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】断熱ガラス・ユニットの製造のための連続ガス充填方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20150730BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
C03C27/06 101E
C03C27/06 101D
E06B3/66
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-518439(P2013-518439)
(86)(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公表番号】特表2013-534901(P2013-534901A)
(43)【公表日】2013年9月9日
(86)【国際出願番号】US2011040538
(87)【国際公開番号】WO2012005906
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】12/824,327
(32)【優先日】2010年6月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392032409
【氏名又は名称】プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】513000919
【氏名又は名称】インテグレイテッド オートメーション システムズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクヒュー、マイケル、パトリック
【審査官】
吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−233029(JP,A)
【文献】
特開昭58−120544(JP,A)
【文献】
特開2001−002453(JP,A)
【文献】
実開昭59−042293(JP,U)
【文献】
特開昭63−002840(JP,A)
【文献】
特開2005−060141(JP,A)
【文献】
実開昭57−200529(JP,U)
【文献】
特開昭59−029884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
E06B 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱ガラス・ユニットの少なくとも1つの窓ガラス間空間に少なくとも2つの断熱ガスを充填する方法において、前記方法は、
第1の供給源から第1の断熱ガスの供給を行う段階と、
第2の供給源から第2の断熱ガスの供給を行う段階と、
前記断熱ガラス・ユニットの第1の窓ガラス間空間に関連付けられたガス充填データを取得する段階であって、前記ガス充填データが、前記第1の窓ガラス間空間を充填する前記第1及び第2の断熱ガスの量を示す、段階と、
第1の充填作業時に、前記ガス充填データに従って、前記第1の窓ガラス間空間に前記第1の断熱ガスを充填する段階と、
第2の充填作業時に、前記ガス充填データに従って、前記第1の窓ガラス間空間に前記第2の断熱ガスを充填する段階であって、前記第2の充填作業は、前記第1の充填作業の完了後に起こる、段階と
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記第1の窓ガラス間空間の中へ挿入可能な第1のガス充填管を介して、前記第1の窓ガラス間空間に前記第1及び第2の断熱ガスを供給する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス充填データが、前記第1の窓ガラス間空間の容積を示すデータである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の断熱ガスが、アルゴン・ガスであり、前記第2の断熱ガスが、クリプトン・ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス充填データが、
前記断熱ガラス・ユニットを識別するユニット識別子と、
前記断熱ガラス・ユニットの前記第1の窓ガラス間空間の長さ、幅、及び厚さと、
前記第1の窓ガラス間空間の容積と、
前記第1及び第2の断熱ガスについてのガスの選択と、
前記第1の窓ガラス間空間を充填する前記第1及び第2の断熱ガスの容積と、
前記第1の窓ガラス間空間の中の前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれについての望ましい濃度と、
前記第1の窓ガラス間空間を充填するための前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれについての望ましいガス流速と、
前記第1の窓ガラス間空間を充填するための前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれについての充填時間と
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記断熱ガラス・ユニットの第2の窓ガラス間空間に関連付けられたガス充填データを取得する段階であって、前記ガス充填データが、前記第2の窓ガラス間空間を充填する前記第1及び第2の断熱ガスの量を示す、段階と、
第3の充填作業時に、前記ガス充填データに従って、前記第2の窓ガラス間空間に前記第1の断熱ガスを充填する段階と、
第4の充填作業時に、前記ガス充填データに従って、前記第2の窓ガラス間空間に前記第2の断熱ガスを充填する段階であって、前記第4の充填作業が、前記第3の充填作業の完了後に起こる、段階と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の断熱ガスで前記第2の窓ガラス間空間を充填するのと同時に、前記第1の窓ガラス間空間が、前記第1及び第2の断熱ガスで充填される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の窓ガラス間空間の中へ挿入可能な第1のガス充填管を介して、前記第1及び第2の断熱ガスが、前記第1の窓ガラス間空間に供給され、前記第2の窓ガラス間空間の中へ挿入可能な第2のガス充填管を介して、前記第1及び第2の断熱ガスが、前記第2の窓ガラス間空間に供給される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の断熱ガスが、アルゴン、クリプトン、キセノン、及び六フッ化硫黄からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の窓ガラス間空間の中へ流れる前記第1及び第2の断熱ガスの容積を監視し、前記第1の窓ガラス間空間への前記第1及び第2の断熱ガスの流れをいつ止めるかを決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記断熱ガラス・ユニットに関連付けられたユニット識別子を提供する段階であって、前記ユニット識別子は、前記ガス充填データを取得するために使用される、段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の断熱ガラス・ユニットの窓ガラス間空間が、前記第1及び第2の断熱ガスで同時に充填され、それぞれの断熱ガラス・ユニットが、それぞれ関連のガス充填データを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の断熱ガスを供給するための前記第1の供給源、及び、前記第2の断熱ガスを供給するための前記第2の供給源のうちの少なくとも1つの重量を監視する段階であって、前記第1及び第2の供給源の前記重量の変化が、前記第1及び第2の供給源によって供給される第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの量を示す、段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
断熱ガラス・ユニットの少なくとも1つの窓ガラス間空間に少なくとも2つの断熱ガスを単一のガス充填作業で充填する方法において、前記方法は、
第1の供給源から第1の断熱ガスを供給する段階と、
第2の供給源から第2の断熱ガスを供給する段階と、
前記断熱ガラス・ユニットの第1の窓ガラス間空間を充填する前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの量を決定するために、制御ユニットにガス充填データを提供する段階と、
前記制御ユニットを使用して、前記第1の窓ガラス間空間の中への前記第1及び第2の断熱ガスの流れを順に制御する段階であって、前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの前記流れが、前記制御ユニットによって制御され、前記ガス充填データに従って、前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの量が提供される、段階と
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の断熱ガスが、それぞれ、アルゴン・ガス及びクリプトン・ガスである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記断熱ガラス・ユニットの第2の窓ガラス間空間を充填する前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの量を決定するために、前記制御ユニットにガス充填データを提供する段階と、
前記制御ユニットを使用して、前記第2の窓ガラス間空間の中への前記第1及び第2の断熱ガスの流れを順に制御する段階であって、前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの前記流れが、前記制御ユニットによって制御され、前記ガス充填データに従って、前記第1及び第2の断熱ガスのそれぞれの量が提供される、段階と
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記制御ユニットが、前記第1及び第2の窓ガラス間空間を前記第1及び第2の断熱ガスで同時に充填する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記制御ユニットが、前記第1の窓ガラス間空間の中へ流れる前記第1及び第2の断熱ガスの容積を監視し、前記第1及び第2の断熱ガスの流れをいつ止めるかを決定する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、第1のガス充填管を介して前記第1の窓ガラス間空間に前記第1及び第2の断熱ガスを供給する段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び第2の断熱ガスが、アルゴン、クリプトン、キセノン、及び六フッ化硫黄からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、断熱ガラス・ユニットの製造に関し、より詳細には、断熱ガラス・ユニットに断熱ガスを充填する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
より高い効率とエネルギーの節約を達成すべく、窓製造業者が製品の熱性能を改善し続けているために、断熱ガラス(IG)ユニット内の空気を、これに限定されないが、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、又は、アルゴンとクリプトンを混合したものを含む、空気よりも重い不活性ガスと入れ替える傾向がある。アルゴン及びクリプトンは、ともに空気よりも密度が高いので、IGユニットの断熱値(insulating value)を上げる断熱ガスとして機能する。空気は、(標準温度及び圧力で)約1.29グラム/リットルの密度を有する。これに対して、アルゴンは(標準温度及び圧力で)約1.78グラム/リットルの密度を有し、現在のところ、価格が1リットル当たり0.02ドルの範囲内である。一方、クリプトンは、(標準温度及び圧力で)約3.74グラム/リットルの密度を有し、現在のところ、価格が1リットル当たり1ドルの範囲内である。アルゴンとクリプトンはどちらもIGユニットの熱性能を改善するが、アルゴンは、通常、幅の広い空隙(12.7mm(1/2インチ)から15.9mm(5/8インチ))で最も効率よく使用され、クリプトンは、通常、幅の狭い空隙(6.4mm(1/4インチ)から9.5mm(3/8インチ))で使用される。
【0003】
アルゴンとクリプトンのいずれの断熱ガスも空気よりも重いため、断熱ガスがIGユニットを底部から満たすにつれ、断熱ガスはより軽い空気ガスをIGユニットの最上部へ押し上げ、IGユニットの囲まれた空隙から押し出す。充填工程のある時点で、IGユニットの底部近くに、大部分(90%超)が空気ガスよりも重い部分(アルゴン、クリプトン、又は、2つのガスの混合)が存在し、IGユニットの最上部近くに、大部分が空気である部分が存在する。断熱ガスの空気との界面では、空気と断熱ガスの両方を混ぜ合わせた混合物が存在する。ガスを混ぜ合わせた混合物は、断熱ガスの対流と、断熱ガスが入れ替わる空気に消散することとによって生じる。このために、IGユニット内の空気の容積を、残っているものに対して10%未満に薄めるためには、150%から500%の断熱ガスを注入することが必要となりうる。充填率90%が、IG製造産業で標準と認められるようになっている。
【0004】
IGユニットを断熱ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、又は、アルゴンとクリプトンの組み合わせ)で充填するのに必要な時間は、以下の影響を受ける。(1)IGユニット内の空隙の容積。(2)注入する断熱ガスの流速。(3)充填工程中の対流(これは、流速に左右される)。(4)充填工程中の消散(これは、ガスが互いにさらされる時間に左右される)。
【0005】
断熱ガスをIGユニットのガラス板(「ガラス・ライト(glass lites)」としても知られている)の間にある空間に注入しやすくするために、2つの隣り合うガラス板を隔てるスペーサーに1つ又は2つの開口部又は穴を設けることが可能である。スペーサーに穴が1つだけあるIGユニットでは、穴がIGユニットの角部に、又は、角部の近くに配置される。ガラス板の間の空間に断熱ガスを注入するために、IGユニットは、通常、縦向きに置かれ、穴をIGユニットの一番高いところに、又は、その近くに位置させる。既存の「シングル・ホール」ガス充填法は、いくつかの異なる形態をとることができ、これには、限定はしないが、(1)真空充填法、(2)高速充填法、及び、(3)低速充填(シングル・ホール)法が含まれる。以下、これらについて記載する。
【0006】
真空充填:真空充填は、IGユニット全体(又は、複数のIGユニット)を真空チャンバーに入れて行う。ある時間にわたって、(所望の充填率によるが)大部分の空気をガラス板の間の空間(すなわち、「窓ガラス間」空間)から抜き、そして、所望の断熱ガスで置き換える。この方法は信頼性が高いが、実施するのに費用がかかる。この点において、真空チャンバーの寸法が一定であるために、様々なサイズのIGユニットに対応するには複数の真空チャンバーが必要である。真空チャンバーがIGユニットに対して大きすぎれば、断熱ガスが、真空チャンバーの内側であるがIGユニットの外側である空間を充填するために、断熱ガスが高い率で無駄になる。真空チャンバーを稼働させるためのエネルギー・コストもまた高い。上記のいくつかの理由のために、真空充填法は、特注サイズのIGユニットの製造、又は、ジャスト・イン・タイム(JIT)生産環境における標準サイズのIGユニットの製造に対しては実用的ではない。
【0007】
高速充填:充填時間を最小にするために(生産能力の増大のみならず、人件費の低減につながる)、高速充填機はプローブを利用する。このプローブは、IGユニットに挿入され、プローブの第1の部分から高速(例えば、毎分6から10リットル)でガスを注入し、一方、プローブの第2の部分で排気ガスを注入速度と実質的に同じ速度で吸い出す。この高速充填法は、対流を引き起こすだけでなく、対流を助長する。ガスは混合されるために、吸引した排気ガスは酸素センサーに通し、この酸素センサーがガス内の酸素濃度を監視する。酸素は空気のおおよそ1/5(20.9%)であるので、高速充填機は、吸引した排気ガスの酸素濃度が予め定められた目標濃度(例えば、IGユニット内で断熱ガス90%を達成するには、約0.9%の酸素)に達したときにガスの注入を止めるようにプログラムすることができる。高速充填法の利点は、人件費を低減し、生産能力を高め、且つ、特注サイズのIGユニットの製造と、ジャスト・イン・タイム(JIT)生産環境における標準サイズのIGユニット製造の両方に適しているという点である。高速充填法の重大な欠点は、かなりの量の断熱ガス(つまり、200%から500%)を無駄にするという点である。このように断熱ガスを無駄にするので、高速充填法は、比較的高価なクリプトン・ガスを注入するには実用的ではない。
【0008】
低速充填(シングル・ホール):低速充填(シングル・ホール)法は、プローブ又は管をIGユニットの最上部にある穴に通して挿入することを伴い、この管は、IGユニットの最も下の部分まで延在する。断熱ガスを低速で注入すれば、対流が最小となり、これにより、無駄になる断熱ガスの量が減る。これは、(クリプトンのような)比較的高価な断熱ガスが使用されている場合には有益である。低速充填(シングル・ホール)法の利点は、断熱ガスの損失が減少することである(通常、毎分3リットルの注入速度で70%、毎分1リットルの注入速度で35%未満である)。低速充填(シングル・ホール)法の欠点は、高い人件費、高い資本費(capital costs)、及び、長い充填時間に起因して大きく下がる生産能力である。
【0009】
2つの穴又は開口部を有するスペーサーを備えたIGユニットを充填するためには、通常、IGユニットを縦向きに置いて、第1の穴をIGユニットの最上部のすぐ近くに配置し、第2の穴をIGユニットの底部のすぐ近くに配置する。既存の「2穴」ガス充填法は、いくつかの異なる形態をとることができ、これには、限定はしないが、以下に記載の方法1と2が含まれる。
【0010】
方法1:第1のプローブをIGユニットの底部の穴に断熱ガスを注入するために挿入する。前述したように、アルゴン及びクリプトンのいずれも空気よりも重いので、これらのガスをIGユニットの底部に注入すると、これらのガスが置き換える空気とのこれらのガスの対流が最小になる。断熱ガスの注入速度は、時間を最小にするために上げることもできるし、無駄を最小にするように下げることもできる。第2のプローブはIGユニットの上部の穴に挿入し、IGユニットからの排気ガスを吸引する。断熱ガスの注入は、吸引した排気ガスの酸素濃度が目的濃度に達したときに止める。
【0011】
方法2:この方法では、プローブを1つだけ使用する。プローブは、IGユニットの底部の穴に挿入する。断熱ガスは、空気よりも重いので、様々な流速で、予測可能な対流及び消散をして空気を追い出す。この方法はタイマーを使用し、このタイマーは、流速、対流、消散、及び、予測可能な無駄に基づいて設定される。この方法は、アルゴンが断熱ガスであるときに向いている。なぜならば、故意に溢れさせても費用がかさまないからである。しかしながら、(クリプトンのような)高価な断熱ガスを使用する場合は、この方法では、高価な断熱ガスの無駄と、IGユニットを定められた最低レベルまで充填する必要性との間でバランスをとる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、断熱ガラス・ユニットを断熱ガスで充填する方法及び装置であって、従来技術の欠点を克服し、追加の利点を与えるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、1つ又は複数の断熱ガラス・ユニットに少なくとも1つの断熱ガスを充填する方法であって、各々の上記断熱ガラス・ユニットが、スペーサーによって隔てられた隣り合うガラス板によって画定された少なくとも1つの窓ガラス間空間を有する、方法において、上記1つ又は複数の断熱ガラス・ユニットの各々の上記窓ガラス間空間にそれぞれのガス充填管を挿入する段階と、上記1つ又は複数の断熱ガラス・ユニットの各窓ガラス間空間に充填する上記断熱ガスの量を決めるためのガス充填データを制御ユニットに与える段階と、上記制御ユニットを使用して、上記ガス充填管への断熱ガスの流れを制御する段階であって、上記断熱ガスの流れが、上記制御ユニットによって、上記ガス充填データに従った上記断熱ガスの量が与えられるように制御される、段階と、上記ガス充填データに従って各々の上記窓ガラス間空間に断熱ガスを充填した後に、上記それぞれのガス充填管を各々の上記窓ガラス間空間から外す段階と、上記1つ又は複数の断熱ガラス・ユニットの、各々の上記窓ガラス間空間を密封する段階とを含む方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、1つ又は複数の断熱ガラス・ユニットを少なくとも1つの断熱ガスで充填する装置であって、各々の上記断熱ガラス・ユニットが、スペーサーによって隔てられた隣り合うガラス板によって画定された少なくとも1つの窓ガラス間空間を有する、装置において、それぞれの断熱ガラス・ユニットを保持するための複数の保持位置を有する保持用ラックと、1つ又は複数の断熱ガスの供給源と、上記1つ又は複数の断熱ガスの供給源と流体連通できる複数のガス充填管であって、各保持位置と1つ又は複数のガス充填管が関連付けられている、ガス充填管と、上記断熱ガラス・ユニットの上記窓ガラス間空間の各々を充填する量の上記断熱ガスを上記複数のガス充填管に供給するようにプログラムされた制御ユニットであって、ガス充填データを使用して、上記断熱ガラス・ユニットの各々の上記窓ガラス間空間を充填する上記断熱ガスの量を決める、制御ユニットとを備える装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点は、断熱ガラス・ユニットにガスを充填する方法及び装置であって、断熱ガラス・ユニット製造工程の効率を改善する方法及び装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、断熱ガスの無駄を減らし、これにより、断熱ガラス・ユニットの製造コストを下げることができる方法及び装置を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、IG生産と統合された連続工程を提供することにより、断熱ガラス・ユニットを製造するのに必要な総時間を減らす方法及び装置を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、断熱ガラス・ユニットに断熱ガスを充填するのに必要な労働力を減らすことができる方法及び装置を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、ガス充填工程の自動化及び生産能力を高めることができる方法及び装置を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、ガス充填工程の監視及び確認を改善できる方法及び装置を提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、断熱ガラス・ユニットの製造に必要とされる空間を効率よく利用できる方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、断熱ガラス・ユニットの複数の空隙を同時に充填できる方法及び装置を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の利点は、断熱ガラス・ユニットを充填する方法及び装置であって、手動及び自動の製造工程のいずれにも適用できる方法及び装置を提供することである。
【0024】
これらの利点及び他の利点は、以下の好ましい実施例の記載を添付図面及び添付した特許請求の範囲とともに参照することにより明らかになるであろう。
【0025】
本発明は、特定の部品及び部品の配列で物理的な形態をとることがあり、この物理的な形態の好ましい実施例を明細書に詳細に記載し、且つ、明細書の一部を構成する添付図面に図示する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】断熱ガラス・ユニットを製造するためのシステムを図示するブロック図である。
【
図2】本発明の実施例によるガス充填・密封ステーションの構成要素を図示する模式図である。
【
図3】本発明の実施例によるガス充填・密封ステーションの支持組立体の斜視図である。
【
図6】本発明との関連で使用される断熱ガラス・ユニットの一部の拡大斜視図である。
【
図7】本発明の代替実施例によるガス充填・密封ステーションの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施例を説明する目的だけに示されており、本発明を限定することが目的で示しているのではない図面を参照すると、
図1は、断熱ガラス・ユニット(IGU)の製造に使用するシステム9を示している。システム9は、限定はしないが、中央コンピューター10、ガラス切断ステーション12、ガラス洗浄ステーション14、スペーサー組立ステーション16、加熱ローラー加圧ステーション18、及び、ガス充填・密封ステーション20を含む。システム9が、IGUの製造に使用されるものとして当業者に公知の数多くの異なるシステムの1つを図示するということは言うまでもない。
図9は、説明目的のためだけに示されており、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0028】
中央コンピューター10は、ステーション12、14、16、18及び20に設置されたコンピューターと通信をしており、IGUの生産を計画するスケジュール管理ソフトを有するプラント情報システム(Plant Information System)を含むことが可能である。スケジュール管理ソフトは、IGU製造のスケジュールを作成するのに使用され、様々な製造段階でIGUの経過を追っている。ステーション12、14、16、18及び20の各々において、コンピューター・モニター又は他の表示装置(不図示)が、現在製造されているIGUと、現在のIGUの前後にあるいくつかのIGUとを含む生産スケジュールの一部を示す。中央コンピューター10は、有線又は無線のネットワークを介して、ステーション12、14、16、18及び20の1つ又は複数に設置されているコンピューターと通信する。
【0029】
ガラス切断ステーション12は、公知の方法で稼働され、ガラスの使用を最適化して、各ガラスシートが最大限利用されるようにする。ガラス切断装置(不図示)が、所与のガラスシートの切断図を生成し、この切断図、又は、関連する情報を中央コンピューター10に提供する。中央コンピューター10は、ガラスシートから断片を取る順番を決め、これに従ってIGUを生産する順番を設定する。
【0030】
搬送システム(不図示)が、切断したガラス片(ガラス板、又は、ガラス・ライトという)をガラス洗浄ステーション14へ運ぶことが可能である。搬送システムの経路の途中で、ガラス板は、印刷されたラベルを貼り付ける装置、又は、レーザーで印を付ける装置のような識別情報マーキングシステム(不図示)を通過する。識別情報マーキングシステムは、各ガラス板に、1つ又は2つ以上のユニット識別子(例えば、2次元の、又は、データ・マトリックスのバーコード)を付ける。ユニット識別子は、シリアルナンバー及び/又は顧客番号のような情報を提供してもよい。視覚システム(例えば、バーコード・リーダー又はスキャナー)と併用すれば、ガラス板のユニット識別子により、ガラス板と関連するIGUとをIG製造工程の至る所で追跡することが可能になる。
【0031】
洗浄したガラス板は、スペーサー組立ステーション16に供給される。スペーサー組立ステーション16では、2つ又は3つのガラス板を適当な大きさのスペーサーと組み合わせ、それぞれ、1つ又は2つの窓ガラス間空間(interpane space)を有する断熱ガラス組立体を形成する。このガラス組立体は、次に、加熱ローラー加圧ステーション18に供給され、この加熱ローラー加圧ステーション18は、ガラス板を密封してIGUにする。非対称な3枚ガラスのIGUでは、中央の窓ガラスと第1窓ガラスとの間の窓ガラス間空間(例えば、幅12.7mm(1/2インチ)から15.9mm(5/8インチ))が中央の窓ガラスと第2窓ガラスとの間の窓ガラス間空間(例えば、幅6.4mm(1/4インチ)から9.5mm(3/8インチ))よりも大きくなるように、2つのスペーサーが異なる寸法を有する。本発明が、後述するように、2つ以上の窓ガラスから構成されるIGU(例えば、二重窓ガラス、三重窓ガラス、及び、四重窓ガラス)の製造に関連する用途に適するということは言うまでもない。
【0032】
図6は、第1窓ガラス102、中央窓ガラス104、及び、第2窓ガラス106から構成される3枚ガラスのIGU100を示している。第1スペーサー103が、第1窓ガラス102と中央窓ガラス104との間に設置され、第1窓ガラス間空間を画定しており、第2スペーサー105が、中央窓ガラス104と第2窓ガラス106との間に設置され、第2窓ガラス間空間を画定している。第1及び第2のスペーサー103、105は、以下に説明するように、それぞれの窓ガラス間空間に断熱ガスを注入するためのそれぞれの穴103a、105aを有する。ユニット識別子108が、第2窓ガラス106に示されている。
【0033】
搬送システム(不図示)が、組み立てたIGUをガス充填・密封ステーション20まで運んでもよい。ガス充填・密封ステーション20では、IGUの各窓ガラス間空間内の空気が、IGUの熱特性を改善するために、アルゴン及び/又はクリプトンのような断熱ガスと入れ替えられる。窓ガラス間空間にアクセスできるようにするスペーサーの穴又は開口部は、IGUを断熱ガスで充填した後に閉じられ、これにより窓ガラス間空間を密封する。本発明は、ガス充填作業及び密封作業を実行するための改良された方法及び装置に関するものであり、以下に詳述する。
【0034】
窓に関連して使用されるIGUの製造を参照しながら本発明を説明するが、本発明に係る方法及び装置を使用して製造されたIGUは、他の種類の明かり取り(fenestration)システムに関連して使用されてもよく、このような明かり取りシステムには、限定はしないが、ドア、天窓等が含まれるということが考えられる。さらに、本明細書では、本発明の一実施例を説明するために、本発明をアルゴン及びクリプトン・ガスについて記載したが、IGUの製造において、当業者に公知の他のガス(例えば、キセノン(Xe)及び六フッ化硫黄)が、空気と置換されてもよいということは言うまでもない。したがって、本発明は、アルゴン及びクリプトン・ガスのみでの使用に限定されず、IGUでの使用に適した他のガスとの関連で使用されてもよい。
【0035】
次に
図2を参照すると、
図2には、本発明の実施例によるガス充填・密封ステーション20の模式図が示されている。図示の実施例において、ステーション20は、充填工程コントローラー30、アルゴン供給源46、クリプトン供給源48、メイン・マニホルド62、複数のガス分配システム70(ユニット1〜8)、及び、支持構造体又は組立体110を含んでいる。
【0036】
図示の実施例では、クリプトン供給源48が通常の電子重量計38に設置されており、電子重量計38は、クリプトン供給源48の重量を監視し、重量データをコントローラー30に通知する。アルゴン供給源46は、アルゴン・ガスの供給源、又は、アルゴン・ガスを生成するために気化させる液体アルゴンの供給源であることが可能である。図示の実施例では、クリプトン供給源48と付随する重量計38、メイン・マニホルド62、及び、ガス分配システム70が、後述するように、支持組立体110に取り付けられている。
【0037】
充填工程コントローラー30は、ステーション20の後述する構成要素と通信をするコントロールユニットである。図示の実施例では、制御装置30は、中央コンピューター10とも(例えば、無線通信リンクによって)通信をしている。充填工程コントローラー30は、通常のプログラム可能論理制御装置(PLC)又はパーソナル・コンピューターという形態をとってもよい。電力供給源31は、コントローラー30に電力を供給する。ユーザー・インターフェイス32により、ステーション20にいるオペレーターは、コントローラー30と通信をすることができる。この点において、ユーザー・インターフェイス32は、入力装置(例えば、キーボード、マウス、又は、タッチスクリーン)と、出力装置(例えば、表示モニター)とを含んでいてもよい。スキャナー34もまた、コントローラー30に接続されていることがあり、以下に詳述するように、IGU、位置、及び、他のデータを特定する符号化されたデータ(例えば、バーコード等)を読み取る。
【0038】
アルゴン供給源46及びクリプトン供給源48は、それぞれの流入導管52及び54を介してメイン・マニホルド62と流体連通している。メイン・マニホルド62は、アルゴン・ガス及びクリプトン・ガスを複数の流出導管64a、64bの組を通してそれぞれ分配する。流出導管64a、64bの各対は、それぞれのガス分配システム70と流体連通している。
図2に示されている実施例では、8つの別個のガス分配システム70(ユニット1〜8)がある。本発明の実施例を簡潔に図示するために、第1のガス分配システム70(ユニット1)のみを詳細に示した。
【0039】
各ガス分配システム70は、サブ・マニホルド72、複数の弁76a、76bの対、及び、複数の流量制御ユニット80a、80bの対から構成されている。図示の実施例では、各ガス分配システム70が、3セットの弁76a、76bの対(弁A〜B、C〜D、及び、E〜Fとして特定されている)と、3セットの流量制御ユニット80a、80bの対(流量制御ユニットA〜B、C〜D、及び、E〜Fとして特定される)とを有する。弁76a及び76bは、それぞれの流出導管74a及び74bを介して、サブ・マニホルド72と流体連通している。弁76a、76bは、アルゴン・ガス又はクリプトン・ガスを流量制御ユニット80a、80bに流入導管78a、78bを介して供給するか否かを選択するために、コントローラー30によって制御されている。弁76a、76bは、好ましくは電磁弁である。
【0040】
流量制御ユニット80aは、流入導管78aを介して、弁76aと流体連通している。同様に、流量制御ユニット80bは、流入導管78bを介して、弁76bと流体連通している。流量制御ユニット80a、80bは、通常の流量調節弁及び流量計から構成されている。流量調節弁は、アルゴン・ガス又はクリプトン・ガスの流量又は圧力をコントローラー30から受信した信号に従って調節し、また、流量計によって生成され、測定したガス流量を示すフィードバック信号に反応する。コントローラー30は、信号を流量調節弁へ送信して、所望のガス流速(例えば、1リットル/分)を達成する。
【0041】
それぞれの充填管90a及び90bが、流量制御ユニット80a及び80bの出口に流体連通されている。充填管90a、90bは、ガスを分配するために、充填管90a、90bの遠位端にノズル92a、92bをそれぞれ含んでいる。
【0042】
当然のことながら、ガス分配システム70の数は、望ましい生産能力に応じて様々でありうる。同様に、各ガス分配システム70を構成する弁及び流量制御ユニットの数も、望ましい生産能力に応じて様々でありうる。さらに、本発明の代替実施例では、メイン・マニホルド62を直接弁76a、76bの対に接続するように修正し、これにより、サブ・マニホルド72の必要性をなくしてもよいとも考えられる。
【0043】
図3〜5に示した本発明の実施例では、支持組立体110が、固定台座112、回すことができる回転台座140、中央組立体160、及び、複数の保持用ラック170からおおむね構成されている。
【0044】
固定台座112は、1対の横向きクロス梁114A、114B、縦支柱122、及び、横支柱126を含む。高さ調整可能な脚部116が、床からの固定台座112の高さを調整するために、クロス梁114A、114Bの下部から延在している。縦支柱122は、クロス梁114Aから上方へ延在している。筐体124は、電力供給源31を含んでおり、図示の実施例では、縦支柱122に取り付けられている。内側を向いている横支柱126は、縦支柱122の上端から延在している。横支柱126の自由端又は遠位端は、概して固定台座112の中心の上に配置されている。図示の実施例では、メイン・マニホルド62が横支柱126の遠位端に取り付けられている。回転式ガス接続具128が、離れたところに設置されたアルゴン供給源46からの流入導管52を受け入れるために、横支柱126の遠位端に設置されている。アルゴン供給源46は、アルゴン・ガス、又は、気化されて気体のアルゴンを形成する液体アルゴンを含有する円筒の形態をしていてもよい。
【0045】
回転台座140は、固定台座112にベアリング118で取り付けられており、ベアリング118により、回転台座140は、軸線の周りに、固定台座112に対して回転することができる。図示の実施例では、回転台座140が複数の外側フレーム部材142を含み、この外側フレーム部材142は、八角形状の枠体を形成している。
【0046】
モーター40が、伝動装置(不図示)を介して回転台座140を回転させる。例えば、伝動装置は、ギアボックス、チェーン、及び、スプロケットから構成されていてもよい。本発明の一実施例では、回転台座140にスリップ・リングを介して力が伝動される。モーター40は、コントローラー30と通信を行うモーター駆動装置36によって制御される。モーター駆動装置36は、回転台座140を様々な速度で回すことができる可変周波数モーター駆動装置という形態をしていてもよい。コントローラー30は、回転台座140についての所望の回転速度を示す信号を、モーター駆動装置に送信する。電力供給源31は、モーター40及びモーター駆動装置36に電力を供給する。
【0047】
図示の実施例において、回転台座140は、クリプトン供給源48も支持している。したがって、クリプトン供給源48は、回転台座140とともに回転する。クリプトン供給源48は、重量データをコントローラー30へ送信する電子式重量計38上に設置されてもよい。図示の実施例において、クリプトン供給源48は、ガスボンベの形態をしている。当然のことながら、アルゴン供給源46及び/又はクリプトン供給源48は、回転台座140に設置されてもよい。
【0048】
中央組立体160は、回転台座140に取り付けられており、複数の、上方へ延在する中央支柱162と、中央支柱162の上端に設置された上側フレーム164とから構成されている。充填工程コントローラー30を収めるために、筐体168を中央組立体に取り付けてもよい。
【0049】
複数の保持用ラック170もまた、回転台座140に取り付けられている。図示のように、各保持用ラック170は、床板188、上方に延在する縦フレーム部材172、横フレーム部材174、及び、横フレーム部材174と、中央組立体160の上側フレーム164との間に延在する接続アーム178を含む。図示の実施例では、複数の筐体84が接続アーム178に取り付けられている。各筐体84には、前述したガス分配システム70が収められている。各保持用ラック170はまた、複数の縦ロッド182を含み、この縦ロッド182は、横フレーム部材174と外側フレーム部材142との間に延在している。縦ロッド182及び縦フレーム部材172は、複数のスロット186を画定し、このスロット186は、ガス充填作業のためにIGU100を受け入れるような寸法に作られている。したがって、スロット186は、IGU100の保持位置としての役割を果たす。床板188は、スロット186に挿入されたIGU100のための支持面となる。各スロット186は、二重窓ガラスIGU(1つの窓ガラス間空間)又は三重窓ガラスIGU(2つの窓ガラス間空間)の窓ガラス間空間を同時に充填するための関連する2つの充填管90a、90bを有する。位置識別子148を各々のスロット186に関連付け、保持している場所、つまり、保持用ラック170の具体的なスロット186の位置を一意に特定できるようにしてもよい。図示の実施例では、位置識別子148が外側フレーム142に設けられている。
【0050】
当然のことながら、保持用ラック170は、示した形態とは別の形態であってもよい。したがって、図示の保持用ラック170は、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0051】
電気・電子部品の間を相互につなぐ配線にとって便利な通り道を提供するために、支持組立体110を構成する構造部品の内部に配線導管を設けてもよい。
【0052】
図3〜5に図示した本発明の実施例では、支持組立体110は、最大生産能力が24個のIGU100となるように構成されている。しかしながら、支持組立体110の寸法は、最大生産能力を増やしたり、減らしたりするように修正できると考えられる。
【0053】
以下、本発明の実施例によるガス充填・密封工程を
図2〜6を参照しながら記載する。IGU100を組み立てた後、IGU100を、ガス充填・密封ステーション20に移す(
図1)。同じオペレーターが、IGU100を支持組立体110に置き、そして、ガス充填管をIGU100に挿入することができ、これにより、ガス充填作業に必要なオペレーターの人数を最小限にすることができると考えられる。
【0054】
ステーション20では、オペレーターがスキャナー34を使ってIGU100に関連付けられたユニット識別子コード108を走査する。オペレーターは、保持用ラック170のスロット186を選び、選んだスロット186に関連付けられた位置識別子148を走査する。次に、オペレーターは、IGU100を選んだスロット186に設置する。したがって、コントローラー30には、支持組立体110においてIGU100が保持されている具体的な保持位置を示すデータが与えられる。
【0055】
中央コンピューター10にはデーターベースがあり、このデーターベースは、限定はしないが、以下の項目のガス充填データのうちの1つ又は複数を含みうる。
a.各IGU100のユニット識別子108
b.各IGU100の長さ、幅、及び、窓ガラス間空間の厚さ
c.各IGU100の窓ガラス間空間の容積
d.各IGU100の各窓ガラス間空間についてのガスの選択及びガス充填手順(例えば、アルゴン・ガスのみを充填、クリプトン・ガスのみを充填、又は、アルゴン・ガスを充填してからクリプトン・ガスを充填)
e.各IGU100の窓ガラス間空間を充填するのに使用するアルゴン及び/又はクリプトン・ガスの容量
f.各IGU100の窓ガラス間空間について望ましいアルゴン及び/又はクリプトン・ガスの濃度
g.アルゴン及び/又はクリプトン・ガスの望ましいガス流速、及び
h.各IGU100の窓ガラス間空間についてのアルゴン及び/又はクリプトン・ガスの充填時間
【0056】
図示の実施例では、中央コンピューター10が、コントローラー30に、各IGU100の窓ガラス間空間を所望量のアルゴン及び/又はクリプトン・ガスで充填するのに必要なガス充填データを与える。例えば、コントローラー30が、中央コンピューター10に、スキャナー34を使用して走査したIGU100のユニット識別子108を送信する。次に、中央コンピューター10は、コントローラー30に、受信したユニット識別子108に対応するIGU100に関する以下のガス充填データを与える。すなわち、IGU100の長さ、幅、及び、窓ガラス間空間の厚さ;IGU100の窓ガラス間空間についてのガスの選択及び充填手順;並びに、各ガスの望ましいガス流速である。コントローラー30は、長さ、幅、及び、窓ガラス間空間の厚さを使用してIGU100の窓ガラス間空間の容積を決め、ガス流速及び決めた容積を使用してガス充填時間を決める。コントローラー30は、タイマーを使用して、決めたガス充填時間に従い、ガス充填作業がいつ完了するかを決める。
【0057】
次に、
図2、3及び6を参照して、ガス充填工程を、ユニット1のガス分配システム70に関連付けられたスロット186の中に設置されたIGU100について詳述する(
図3)。前述したように、ガス分配システム70は、サブ・マニホルド72と、弁76a(弁A)、76b(弁B)と、流量制御ユニット80a(流量制御装置A)、80b(流量制御装置B)とを含む。オペレーターは、充填管90aを穴103aに通して挿入し(
図6)、ノズル92aを、第1窓ガラス間空間101aの下端のすぐ近くに、
図2に示すように配置する。同様に、オペレーターは、充填管90bを穴105aに通して挿入し(
図6)、ノズル92bを、第2窓ガラス間空間101bの下端のすぐ近くに、
図2に示すように配置する。図示の実施例では、穴103a、105aの直径が、充填管90a、90bの直径よりも大きい。したがって、窓ガラス間空間101a及び101bの内部で置き換えられる空気は、穴103a、105bを通って流出する。IGU100のスペーサー103及び105が、窓ガラス間空間101a及び101bから、空気を除去するための吸引装置(不図示)の吸引管を受け入れるための追加の穴を有してもよいということは言うまでもない。
【0058】
充填管90a、90bをそれぞれの窓ガラス間空間101a、101bに挿入した後、オペレーターは、ユーザー・インターフェイス32を使用して、コントローラー30に、ガス充填を開始するように命令する。IGU100を支持組立体110に積み込み、且つ、ガス充填管90a、90bをそれぞれの窓ガラス間空間101a、101bに挿入した後は、オペレーターは、ガス充填に注意を払う必要がない。この点において、コントローラー30が受信したガス充填データは、各IGU100の窓ガラス間空間についての望ましいガスの選択及び充填手順を示す。各窓ガラス間空間は、アルゴンのみ、クリプトンのみ、又は、アルゴンとクリプトンの組み合わせで充填してもよい。アルゴンとクリプトンを組み合わせて使用する場合、窓ガラス間空間をアルゴンで最初に充填し(「先充填」)、そして、その後にクリプトンで充填する(「後充填」)。これに関しては、コントローラー30が弁76a、76bに信号を送信して、流量制御装置80a、80bを所望のガス供給源46(アルゴン)及び48(クリプトン)に流体連通させる。窓ガラス間空間をアルゴン・ガスとクリプトン・ガスの両方で充填する場合、コントローラー30は、弁76a、76bに信号を適当な時間に送信して、弁76a、76bのアルゴン供給源46との流体連通を切断し、弁76a、76bをクリプトン供給源48と流体連通させる。
【0059】
コントローラー30は、ユニット識別子108、位置識別子148、及び、中央コンピューター10から受信したガス充填データを使用して、弁76a、76bを操作し、アルゴン又はクリプトン・ガスを選択する。コントローラー30は、ガス充填データに従い、流量制御ユニット80a、80bの流量調節弁及び流量計を使用して、ガスの流れを調節する。この点で、コントローラー30は、流量制御ユニット80a、80bに信号を送信して、所望のガス流速(例えば、1リットル/分)を達成する。先に指摘したように、コントローラー30は、アルゴン又はクリプトン・ガスの充填時間を監視するためのタイマーを含んでいてもよい。例えば、コントローラー30は、タイマーと、既知のガス流速(リットル/分)を使用して、適切な量のガスがIGU100の窓ガラス間空間に分配された時間を決定してもよい。
【0060】
窓ガラス間空間101a、101b内のガス濃度を決める又は確認するために、通常の酸素センサー(不図示)を使用して、ガス充填作業中にIGU100の窓ガラス間空間から追い出された空気の酸素濃度を監視してもよい。IGU100の窓ガラス間空間内のガス濃度はまた、ガス充填作業を終了した後に、窓ガラス間空間内のガスを「サンプリング」することによって決める又は確認してもよい。この点で、ガスは、熱伝導率センサー(不図示)、光学的ガス検出装置、又は、他の公知のガスセンサーのようなガス濃度検出装置を使用してサンプリングされる。具体的に特定されたIGU100のガスのサンプルを取るように、コントローラー30がオペレーターに対して指示を定期的に表示することによって、サンプリング作業が開始されてもよい。
【0061】
図示の実施例では、窓ガラス間空間101a、101bに同時にガスを充填する。さらに、複数のIGU100が支持組立体110に積み込まれている場合には、各IGU100のそれぞれの窓ガラス間空間に、全て同時にガスを充填してもよいということが考えられる。このようにして、IGU100がスロット186内で保持され、回転台座140が回っている間に、複数のIGU100の窓ガラス間空間に、アルゴン及び/又はクリプトン・ガスを同時に充填してもよい。
【0062】
本発明の一実施例では、コントローラー30が、モーター駆動装置36を操作して、回転台座140を(例えば、毎分約1回転の回転速度で)連続的に回転させる。当然のことながら、回転台座140の回転速度は、所望の処理速度に合うように変えられてもよい。これに関し、回転台座140の回転速度は、IGU製造ラインの速度に合うように選択されてもよい。
【0063】
ガス充填作業が終了した後、ガス充填管を窓ガラス間空間から外し、スペーサーの穴を当業者に公知の方法で閉じて、窓ガラス間空間を気密に密封する。ガス充填作業の間に回転台座140を回転させることにより、IGU100が、ガス充填作業の終了時に、窓ガラス間空間からガス充填管を外すオペレーターのすぐ近くに配置される。この同じオペレーターが、スペーサーの穴を閉じて窓ガラス間空間を密封し、ガス充填済みIGUを支持組立体110から外し、ガス充填済みIGUを保持用ラック(例えば、通常のハープ・ラック(harp rack)等)に、さらに処理、保管又は出荷のために積み込む。
【0064】
前述したように、本発明の一実施例では、クリプトン供給源48の重量が電子重量計38で監視される。電子重量計38は、重量データをコントローラー30に送信する。この重量データは、コントローラー30及び/又は中央コンピューター10が、クリプトン・ガスの実際の使用量を決めること、生産損失を決めること、及び、漏れを監視することに使用することができる。この点で、クリプトン・ガスの実測消費量(W
c)は、(1)クリプトン供給源38でのクリプトン・ガスの初期重量(W
i)と、(2)クリプトン供給源38でのクリプトン・ガスの、操業時間(operating shift)(例えば、毎日の操業)の終わりにおける重量(W
e)との間の差を計算して決める。実測消費量(W
c)はまた、理論消費値と比較して、システム効率を評価したり、システムの不正常な動作を特定したりすることもできる。コントローラー30は、数回の操業時間について実測消費量(W
c)を保存して、データ報告書を作成してもよい。
【0065】
実際の生産損失は、クリプトン・ガスの実測消費量(W
c)をある操業時間内に製造したIGUの数と比較することにより決めてもよい。さらに、ガス漏れは、第1期間(例えば、第1操業時間)の終了時のクリプトン供給源38でのクリプトン・ガスの重量を、第2期間(例えば、その次の第2操業時間)の開始時のクリプトン供給源38でのクリプトン・ガスの重量と比較することにより決められる。
【0066】
さらに、コントローラー30は、特定のIGUに挿入されたガスの実測量を示すデータを保存してもよいということも考えられる。このようなデータは、統計的工程管理(SPC)品質プログラム、又は、保証プログラム(certification program)の一部として使用し、顧客に、IGUの窓が、公表した断熱値を満たすことを保証してもよい。
【0067】
上述した実施例では、ユニット識別子108及び位置識別子148が、コントローラー30に、スキャナー34を使用した自動処理で入力される。しかし、ユニット識別子108及び位置識別子148をコントローラー30に手動処理で入力しうるということも考えられる。この点において、オペレーターは、キーボード又はタッチスクリーンを使用して、ユニット及び位置の識別情報をコントローラー30に入力する。ユニット識別情報は、印刷された予定表、又は、ビデオモニターに表示された予定表で、オペレーターに提供される。場所情報は、印刷したラベルでオペレーターに提供される。
【0068】
さらに、本発明は、別の構成にして、コントローラー30(及び関連する構成要素)が、中央コンピューター10から独立した「スタンドアローン」システムとして動作するようにしてもよい(例えば、中央コンピューター10は省略してもよい)ということも考えられる。この実施例では、中央コンピューター10に保存するガス充填データをコントローラー30に保存してもよい。或いは、オペレーターが、ガス充填データをコントローラー30に「手動」処理で直接入力してもよい。例えば、各IGU100について、オペレーターが、コントローラー30に、長さ、幅、及び、窓ガラス間空間の厚さ、ガスの選定及び充填手順、並びに、ガス流速を直接入力してもよい。前述したように、コントローラー30は、先のガス充填データを使用して、窓ガラス間空間の容積、及び、ガス充填時間を決める。オペレーターは、ガス充填データをコントローラー30に、タッチスクリーン、キーボード、携帯型記憶装置(例えば、フラッシュ・ドライブ)、バーコード・スキャナー等の装置を使用することにより、直接入力してもよい。
【0069】
次に
図7を参照すると、本発明の代替実施例が示されている。この代替実施例の構成要素であって、前述した実施例の構成要素と同様のものには、同じ参照番号が付与されている。代替実施例は、1つ又は複数の固定支持組立体210を含む。支持組立体210は、台座212、複数の縦支柱214、上側フレーム216、及び、ほぼ平坦な棚板218からおおむね構成されている。台座212は、床にボルト締めされていてもよい。筐体84は、上側フレーム216に取り付けられており、前述したようにガス分配システム70が収められる。ガス分配システム70は、コントローラー30に、前述したのと同様の方法で操作可能に接続されている。当然のことながら、2つ以上のガス分配システム70を提供できるように、2つ以上の筐体84を上側フレーム216に取り付けてもよい。これにより、多数のIGU100に同時にガスを充填することができる。
【0070】
アルゴン供給源46及びクリプトン供給源48は、棚板218によって支持されている。本発明の第1実施例に関連して記載したように、クリプトン供給源48は、コントローラー30に重量データを提供する電子重量計38上に配置されてもよい。図示の実施例において、アルゴン供給源46及びクリプトン供給源48は、ガスボンベの形態をとっている。通常の可動式ハープ・ラック230のような保持用ラック等を使用して、IGU100をガス充填作業中に保持する。ハープ・ラック230は、ハープ・ラック230を所望の場所に都合よく動かせるように、複数の車輪232を含む。ハープ・ラック230はまた、位置識別子148を含んでいてもよく、この位置識別子148は、保持位置としての役割を果たすスロット196に関連付けられている。ガス充填作業時には、ハープ・ラック230は、支持組立体210のすぐ近くに移動させられる。ガス充填作業が終了した後、ガス充填管を窓ガラス間空間から外し、スペーサーの穴を閉じて、窓ガラス間空間を気密に密封する。
【0071】
当然のことながら、前述した自動制御装置を使用することにより、且つ、アルゴン・ガスとクリプトン・ガスを組み合わせて使用するガス充填作業中の充填管の交換をなくすことにより、(従来のクリプトン90%及び空気10%に合うように)所望のクリプトン充填率を達成しながら、クリプトンの無駄を0%から10%にすることができる。このように、本発明は、ガス及び労働の両方のコストを著しく減らすことができる。
【0072】
本明細書を読み、理解することにより、他の修正及び変更を思いつくであろう。特許請求された本発明の範囲に入る限り、又は、その均等物である限り、このような修正及び変更の全てが含まれるということが意図されている。