特許第5767339号(P5767339)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767339
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】寛骨臼を成形するための成形器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20150730BHJP
   A61F 2/34 20060101ALI20150730BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   A61F2/46
   A61F2/34
   A61B17/56
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-543560(P2013-543560)
(86)(22)【出願日】2011年11月23日
(65)【公表番号】特表2014-503269(P2014-503269A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2011005893
(87)【国際公開番号】WO2012079695
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】10210054663.1
(32)【優先日】2010年12月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/491,599
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510340506
【氏名又は名称】ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ヴーエスト エドガー
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06231611(US,B1)
【文献】 特開2004−298638(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02297911(GB,A)
【文献】 特開平11−216153(JP,A)
【文献】 特開平09−047464(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/065672(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0009874(US,A1)
【文献】 米国特許第5755719(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
A61B 17/56
A61F 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲部(11、51)を備える、工寛骨臼を移植するための平滑な骨セメント表面を成形するための成形器具(1、21)であって、前記成形器具(1、21)は、湾曲した基体(2、22)と、前記骨セメントを前記人工寛骨臼の形状に成形するための少なくとも2つの層(3、4、5、6、23、43)を有し、第1の層(3、23、43)は、少なくとも部分的に前記基体(2、22)の前記湾曲部(11)を覆い、取り外し可能に前記基体(2、22)に接続され、第2の層(4、23、43)は、少なくとも部分的に前記第1の層(3、23、43)を覆い、取り外し可能に前記第1の層(3、23、43)に接続される、成形器具(1、21)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの層(3、4、5、6、23、43)は、略均一な厚さを有し、湾曲している、請求項1に記載の成形器具(1、21)。
【請求項3】
前記成形器具(1、21)が、3〜40の層(3、4、5、6、23、43)備え、前記層は、タマネギの皮のように少なくとも部分的に互いを覆い、取り外し可能に互いに接続される、請求項1または2に記載の成形器具(1、21)。
【請求項4】
前記基体(2、22)の前記湾曲部(11、51)および層(3、4、5、6、23、43)は、の直径の3分の1の球状部分に対応する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項5】
前記成形器具(1、21)が、筒形のダプタ(8、28)を備え、前記アダプタ(8、28)は、内側が一方向においてテーパー状になっている管であり、前記管内に医療セメント用のセメントカートリッジまたはセメントカートリッジの取り付け具が差し込まれることができる、請求項1〜のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項6】
管形状の前記アダプタ(8、28)が個別のステップ(9)においてテーパー状になっている、請求項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項7】
前記アダプタ(8、28)が、前記基体(2、22)に配置されるスリーブ(7、27)差し込まれることができる、請求項またはに記載の成形器具(1、21)。
【請求項8】
前記基体(2、22)の前記湾曲部(11)が、35〜50mm直径を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項9】
前記層(3、4、5、6、23、43)の厚さが、0.5〜15mmある、請求項1〜のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項10】
トング(30、50)が、各層(3、4、5、6、23、43)に配置され、前記トング(30、50)の上に配置される全ての層(3、4、5、6、23、43)と共に対応する層(3、4、5、6、23、43)が、前記トング(30、50)の下に配置される前記層(3、4、5、6、23、43)から、および/または前記基体(2、22)から記トング(30、50)を引っ張ることにより、または前記トング(30、50)を持ち上げることにより手動で取り外し可能である、請求項1〜のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項11】
前記層(3、4、5、6、23、43)が、手動で取り外し可能なように前記基体(2、22)におよび互いに接続される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項12】
標識が前記層(3、4、5、6、23、43)の少なくとも1つ配置され、前記標識により、前記湾曲部(11、51)のサイズ読み取ることができ、人工寛骨臼の特定のサイズが各層(3、4、5、6、23、43)に割り当てられ得る、請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項13】
前記層(3、4、5、6、23、43)が、互い内および前記基体(2、22)内に嵌合して配置される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項14】
前記層(3、4、5、6、23、43)が、硬質材料らなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項15】
前記基体(2、22)および前記層(3、4、5、6、23、43)の湾曲した表面が平滑である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【請求項16】
前記基体(2、22)および/または前記層(3、4、5、6、23、43)を構成する材料が、蒸気に曝露することによって破壊できる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の成形器具(1、21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に湾曲部を備える、人工寛骨臼を移植するための平滑なセメント表面を成形するための成形器具に関する。
【背景技術】
【0002】
人工股関節の代わりに人工寛骨臼を挿入することは、通常、例えばクロム−コバルト−モリブデン合金などの合金からなる人工寛骨臼が医療用セメントの使用により患者の臀部に固定されることを含む。この目的のために、骨セメントは最初に寛骨臼の海綿骨内に押される。続いて、均一の厚さの半球セメント層が人工寛骨臼を固定するために生成されなければならない。
【0003】
小型かつ堅固な接続を生成するために、骨セメントを寛骨におけるくぼみ内に押すことは有益である。特許文献1から、骨セメントを寛骨におけるくぼみ内に押すために、圧縮ピストンがフレキシブルな膜に押される、球状の薄いセメント層を生成するための成形器具(「寛骨臼の加圧器」と呼ばれる)が知られている。この手段により、球形がセメント内に生成され、そのセメント内に人工寛骨臼が挿入され得る。
【0004】
骨セメント内の球形の直径は人工寛骨臼の形状と一致しなければならない。骨セメント圧痕(impression)の直径が十分な程度まで人工寛骨臼と一致しない場合、人工寛骨臼に対する骨セメントの接続およびそれによる患者の骨盤における人工寛骨臼の固定が弱くなり得る。
【0005】
人工股関節の製造には、それらの製品ポートフォリオにおいて、この種の成形器具である「寛骨臼の加圧器」が含まれる。前記器具は、使い捨て製品としてそれぞれの寛骨臼の直径に個々に供給されるか、または再滅菌し、それにより再利用するように設計される。この目的のために、製造業者はハンドルを供給し、そのハンドル上に、対応する成形器具が取り付けられることを必要とする。通常、このハンドルは操作前に滅菌することを必要とする。病院は、通常、様々なサイズの5パックまたは10パックとして利用可能である、全ての可能なサイズの成形器具のストックを維持する必要がある。
【0006】
このことは、操作の間に適切なサイズを選択し、提供する必要があるという不都合がある。適切な場合、成形器具の使用準備をするために、ハンドルおよび成形器具自体が滅菌されることを必要としなければならない。いろいろな種類の形状が、利用可能な適切なサイズを常に有するようにいつでもストックに維持される必要がある。このことは、多くの場合、慌ただしい操作プロセスにおいて貴重な時間を妨げ、遅延させる場合がある。
【特許文献1】英国特許第2297911A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は従来技術の不都合な点を克服することである。特に、本発明は、骨盤骨において人工寛骨臼を固定するための骨セメント層を成形するための使いやすい成形器具を提供することであり、その成形器具は、操作が容易かつ単純であり、人工股関節の挿入に関与する操作プロセスを可能な限りほとんど妨げない。これに関して、使用の容易性により、骨盤骨に対する人工寛骨臼の接続の質に対して悪影響を与えず、可能な限り堅固な接続を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、成形器具が湾曲した基体および少なくとも2つの層を有することにより達成され、第1の層は少なくとも部分的に基体の湾曲部を覆い、取り外し可能に基体に接続され、第2の層は少なくとも部分的に第1の層を覆い、取り外し可能に第1の層に接続される。
【0009】
これに関して、成形器具は、3〜40の層、好ましくは5〜30、特に好ましくは8〜20の層を備えるように提供され得、その層はタマネギの皮のように少なくとも部分的に互いを覆い、取り外し可能に互いに接続される。
【0010】
本発明は、球状である基体の湾曲部および層をさらに提供できる。
【0011】
これに関して、球状部分、好ましくは球の直径の3分の1の球状部分に対応する、基体の湾曲部および層を本発明は提供できる。
【0012】
本発明の有益な改良は、ハンドルまたはアダプタ、好ましくは円筒形のハンドルまたはアダプタを備える成形器具を提供する。
【0013】
これに関して、本発明は、管、特に内側が一方向においてテーパー状になっている管であるアダプタを提供でき、その管内に医療セメント用のセメントカートリッジまたはセメントカートリッジの取り付け具が差し込まれ得る。
【0014】
これに関して、本発明は、個別のステップにおいてテーパー状になっている管形状のアダプタをさらに提供できる。
【0015】
アダプタまたはハンドルが、基体内、好ましくは基体のくぼみ内および/または基体に配置されるスリーブのくぼみ内に差し込まれ得るように、ハンドルまたはアダプタを有する成形器具を提供できる。
【0016】
人工股関節のためのセメント形状を生成できるようにするために、本発明は、35〜50mm、好ましくは40〜48mm、特に好ましくは45mmの直径を有する基体の湾曲部を提供できる。
【0017】
本発明はまた、0.5〜15mm、好ましくは1〜10mm、特に好ましくは2〜7mmである層の厚さを提供できる。
【0018】
成形器具のより容易な操作のために、本発明は、各層に配置されるトング(凸縁(tongue))を提供でき、トングの上に配置される全ての層と共に対応する層が、トングの下に配置される層から、または基体から特にトングを引っ張ることにより、またはトングを持ち上げることにより手動で取り外し可能である。
【0019】
これに関して、本発明は、層の端部に配置されるトングを提供できる。
【0020】
さらに、本発明は、手動で取り外し可能なように基体におよび互いに接続される層を提供できる。
【0021】
成形器具の操作が迅速かつ直観的であることを確実にするために、本発明は、層の少なくとも1つ、特に層のトング、および好ましくは基体に配置される標識を提供でき、その標識により、湾曲部のサイズ、特に直径も読み取ることができ、それにより、人工寛骨臼の特定のサイズが各層に割り当てられ得る。
【0022】
この目的のために、本発明はまた、透明または着色された、好ましくは異なって着色された層を提供できる。
【0023】
本発明の特に有益な改良は、互い内および基体内に嵌合(positive fit)して配置される層を提供する。
【0024】
本発明はまた、硬質材料、好ましくはプラスチック材料から作製される基体を提供できる。
【0025】
さらに、本発明は、硬質材料、好ましくはプラスチック材料、軟質材料、特にシリコーンからなる層を提供できる。
【0026】
医療用途のために、成形器具が、好ましくはガンマ線滅菌またはガス、特にエチレンオキシドに対する曝露により、滅菌用の適切なパッケージ中にパッケージ化され、および/または滅菌されることが特に有益であり得る。滅菌または滅菌可能なパッケージにより、成形器具が迅速に使用され得るか、作製され得、次いで操作の間の後での迅速な使用のために保存され得る。
【0027】
本発明は、平滑である基体および層の湾曲した表面をさらに提供できる。
【0028】
蒸気による滅菌が不適切かつ不完全であることから安全を確保するように、本発明は、基体および/または層が蒸気に対する曝露の際に破壊できるように作製される材料を提供できる。
【0029】
最後に、本発明は、基体および/または層が骨セメントとの化学反応を受けない材料から構成される材料を提供できる。
【0030】
本発明は、成形器具の層状構造により、対応する人工寛骨臼のサイズに適合できるような可変の成形器具を提供できる、驚くべき洞察に基づく。挿入される人工寛骨臼にとって大きすぎる直径を有する層は、簡単に引っ張られ得るか、またはひきはがされ得、除去され得る。
【0031】
本発明の基本となる原理は、全ての一般的な寛骨臼の直径を含む、ただ1つの成形器具または「加圧器」を提供することである。本発明は、全ての寛骨臼のサイズを含む1つのみの製品をストックで維持することを必要とする点で有益である。さらに、アダプタを有する本発明の改良により、通常必要とされるハンドルがなくて済む。成形器具または「加圧器」は、この場合、特に適用する排出口を使用する、ほとんどの市販の骨セメント混合システムに差し込まれ得る。
【0032】
本発明に係る成形器具は、寛骨臼のセメンティングの際に使用される。ここで、セメントは、粉砕機械により事前に曝露されている海綿状寛骨臼骨内に圧力下で押圧される。本発明により、改良されたセメントおよび骨の一体化ならびにより均質なセメントジャケットが、移植される寛骨臼の下で形成され得る。
【0033】
アダプタにより、操作の間に単に使用されるカートリッジが、成形器具のためのハンドルとして使用できる。この目的のために、カートリッジはアダプタ内に単に差し込まれることだけを必要とする。この目的のために、カートリッジが埋め込まれるまで、カートリッジの分配管またはカートリッジ自体が、内側がテーパー状になっている管状のアダプタ内に差し込まれる。(ステップにおいて)連続または個別に設けられ得るテーパー状により、異なるカートリッジにも使用できる。
【0034】
これに関して、アダプタは、円形断面を有する管状であるように本発明に従って設計され得る。アダプタのための想定可能な材料には、所定の位置に挿入されたカートリッジを固定するためのフレキシブルな弾性プラスチック材料が含まれる。アダプタは、基体にしっかりと接続され得るか、または基体における腕木(ブラケット(bracketing))内に差し込まれ得る。基体におけるスリーブまたはくぼみが腕木として設けられてもよく、その腕木内にアダプタが差し込まれてもよい。
【0035】
本発明によれば、層は、取り外し可能な接着剤または結合剤により互いにおよび基体に接続され得る。本発明に係る可変の成形器具は、人工寛骨臼を挿入するための骨セメントを予備成形するために使用され得る。
【0036】
本発明の例示的な実施形態を6つの概略的な図面に基づいて以下に例示するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】セメント層を成形するための本発明に係る多層成形器具の概略斜視図を示す。
図2】セメント層を成形するための本発明に係る第2の多層成形器具の概略斜視図を示す。
図3】本発明に係る成形器具のための基体の概略斜視図を示す。
図4】本発明に係る成形器具のためのアダプタの概略斜視図を示す。
図5】挿入したアダプタを有する本発明に係る成形器具のための基体の概略斜視図を示す。
図6】より小さな直径を有する本発明に係る成形器具のための取り外し可能な層の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、骨セメント層を成形するための本発明に係る多層成形器具1の概略的な斜視図を示す。成形器具1は、図1において観察者の方を向いている水平面を有する基体2を備える。観察者から離れた方向を向いている基体2の側で、基体2は、図1の観察者から離れた方向を向いている球形セグメントの形態の湾曲部を有する。基体2は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンなどの比較的硬質のプラスチック材料から製造される。
【0039】
基体2の湾曲部は、均一の厚さを有する第1の層3により完全に覆われる。同様に、第1の層3は第2の層4により完全に覆われる。第2の層4は、第3の層5により完全に覆われ、次いで第3の層5は第4の層6により完全に覆われる。層3、4、5、6は、例えばシリコーンなどのフレキシブルなプラスチック材料から製造される。層3、4、5、6は互いにおよび基体2に接着する。
【0040】
円筒状管部分の形態のスリーブ7は基体2の水平面における中心位置に配置される。管の形態のアダプタ8はスリーブ7に差し込まれる。アダプタ8の内径は、全体にわたって一定ではなく、個別のステップ9において基体2の方向においてテーパー状になっている。アダプタ8の内径は、基体2のより近くに配置される各ステップ9と共に減少する。各ステップ9内のアダプタ8の内径は一定である。
【0041】
人工股関節の挿入のための操作の間、骨セメントがカートリッジを用いて寛骨臼の海綿骨内に適用されると、ちょうど使用されているカートリッジまたはカートリッジ先端がアダプタ8内に差し込まれ得る。カートリッジ先端と適合するアダプタ8の内径に到達するとすぐに、カートリッジまたはカートリッジ先端は、アダプタ8内にきつく詰め込まれ、成形器具1のためのハンドルとして使用され得る。
【0042】
成形器具1の球状湾曲部の適合サイズは、大きすぎる全ての層3、4、5、6を手動で除去することによって挿入される人工寛骨臼のサイズに応じて選択され、設定される。層3、4、5、6、すなわち湾曲部の寸法の正確なサイズを容易に認識するために、標識(図示せず)が、対応する層3、4、5、6の直径を示すように層3、4、5、6の平坦な後側または湾曲部自体に与えられてもよい。あるいはまたはさらに、色識別が使用されてもよく、適用の間の誤りを防止するために層3、4、5、6の異なるサイズが湾曲部の特定の寸法に割り当てられる。
【0043】
基体2は45mmの直径を有するのに対して、第1の層3は48mmの直径を有し、第2の層4は52mmの直径を有し、第3の層5は58mmの直径を有し、第4の層は65mmの直径を有する。基体2および円板3、4、5、6の寸法は、基体2または円板3、4、5、6の球状部分または湾曲部の最大の円の直径を意味すると理解される。
【0044】
層3、4、5、6および基体2の表面は、骨セメントがそれらに付着するのを防ぐために滑らかである。層3、4、5、6および基体2の材料は骨セメントに対して化学的に耐性があるべきである。
【0045】
一旦、適合していない層3、4、5、6が除去されると、すなわち例えば抜かれるかまたは取られると、成形器具1は、付与される圧力によって骨セメントを凝固しないように、および望ましくない含まれる気泡を絞り出すためだけでなく、骨セメントを予備成形するように、ハンドルとしてカートリッジを使用して骨セメント内に押すことができ、それにより、人工寛骨臼が予備成形された骨セメントに適合するように配置され得る。人工寛骨臼の形状と適合する骨セメントの形状に起因して、2つの接続、およびそれによる、人工関節の接着に悪影響を与える可能性のある気泡は骨セメントと人工寛骨臼との間にほとんどまたは全く存在しない。したがって、成形器具1はセメントを成形するためのスタンプと非常に似て使用される。薄いセメント層がこのプロセスにおいて成形され得る。
【0046】
上記の原理はまた、他の関節に適用するように一般化されてもよく、同様に成形器具1はまた、骨セメントが成形されるかまたは人工関節が挿入される他の操作に使用されてもよい。
【0047】
成形器具1が組み立てられる個々の構成要素を図3、4、5および6に示す。
【0048】
図2は、本発明に係る代替の成形器具21の概略断面図を示す。成形器具21はセメントを成形するための湾曲した表面(図2の左側)を有する基体22を備える。基体の湾曲部のサイズは直面する最小の股関節または他の関節と一致する。通常、その基体の湾曲部はセメントで固めることを必要とする最小の部分と適合する。
【0049】
多層23がタマネギの皮のように基体22の湾曲部の上に配置される。7つの層23の各々により、湾曲部の直径が増加する。これにより、層23の各々は、挿入される特定のサイズの部分(例えば人口寛骨臼)と適合する。最外層23は、直面され得るセメントで固められる最大部分および/または挿入される最大の人口寛骨臼に対応する。
【0050】
基体22は、その中心に、くぼみおよび前記くぼみに延びるスリーブ27を備える。アダプタ28は、前記くぼみおよびスリーブ27に差し込まれ、ハンドル、カートリッジまたはカートリッジ先端を取り付ける機能をする。アダプタ28の内径は基体22に対してテーパー状になっている。アダプタは変形可能であるが弾性の材料から作製され、差し込まれたハンドルまたは差し込まれたカートリッジもしくはカートリッジ先端がアダプタにしっかりと埋め込まれる。ハンドルまたはハンドルとして使用されるカートリッジは、セメントを簡便に成形するように成形器具21を使用するために使用され得る。
【0051】
層23をより容易に引き抜くことができるように、または互いおよび基体22から分離できるように、トング(凸縁(tongue))30が各層に設けられ、そのトング30により層23が把持され得る。トング30を引っ張ることにより、適合した湾曲部の成形器具21を提供するように、各層23は簡便かつ迅速に除去することができる。
【0052】
図3は本発明に係る成形器具についての基体2の概略斜視図を示す。基体2は、その平らな側において、円筒スリーブ7を有し、その円筒スリーブ7内にハンドルまたはアダプタが差し込まれ得る。基体2は円周に剛性の円筒トング10を有し、そのトング10は、適切に設計される場合、基体2の上により良く配置される層を維持するのに役立つ。図3は、セメント内に圧痕を配置するために液体セメント内に押され得る基体2の湾曲部11を明確に示す。
【0053】
図4は、図3に係る基体2のスリーブ7内に挿入するのに適した円筒形外部ジャケットを有する管状アダプタ8の概略斜視図を示す。5つのステップ9がアダプタ8の内側に配置されることが見られ得る。ステップ9の各々は、片側の方に、より小さな直径を有するようにアダプタ8に影響を与える。アダプタ8により、寸法の異なる種々のカートリッジおよびハンドルが、本発明に係る成形器具のためのハンドルとして使用されることを可能にする。ハンドルとしてカートリッジを使用することにより、カートリッジのサイズが、本発明に係る成形器具が容易かつ力強くの両方で扱われ得ることを確実にする。さらに、成形器具自体は、より小さな直径を有するように設計されてもよく、それにより、保存の間に空間が節約され得、成形器具は製造コストがより安くなる。
【0054】
図5は、挿入されるアダプタ8を有する本発明に係る成形器具についての基体2の概略斜視図を示す。アダプタ8の円筒形の外側形状は基体2のスリーブ7に正確に適合し、それによりアダプタは圧入形式でスリーブ7に差し込まれる。最大の直径を有するステップ9が基体から離れた方向(図5において図面の平面から外の方向)を向くように、アダプタ8はスリーブ7内に差し込まれた。
【0055】
図6は、本発明に係る成形器具の(例えば図3に示すような)基体の湾曲表面上に配置され得る湾曲層43の概略斜視図を示す。層43は、層が存在すると、別の層からまたは基体から層43を引っ張るために使用され得るそのリムにフレキシブルな円周トング50を有する。層43の湾曲部51を、さらなる手段を有さずに例示目的のみのために与えた湾曲層の内部の線により図6に示す。湾曲部の膨らみは図6の図面の平面内に延びる。
【0056】
上述の説明、特許請求の範囲、図面、および例示した実施形態において開示した本発明の特徴は、単独および任意の組み合わせの両方で本発明の種々の実施形態を実施するのに本質的であり得る。
【符号の説明】
【0057】
1、21 成形器具
2、22 基体
3、23、43 層
4、5、6 層
7、27 スリーブ
8、28 アダプタ
9 ステップ
10、30、50 トング
11、51 湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6