【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の様相では、生物薬剤を含む医薬製剤が提供され、前記の製剤は、2〜6C原子の骨格を有する少なくとも1つのモノまたはジカルボン酸、または少なくとも1つのその塩をさらに含む。2〜6C原子の骨格を有するモノまたはジカルボン酸、またはその塩は、本発明の文脈中、「緩衝剤」とも呼ばれる。
【0016】
従来技術では、医薬製剤は、生物薬剤、リン酸緩衝液等の非有機緩衝剤またはその塩、または、クエン酸/クエン酸塩等のトリカルボン酸またはその塩のいずれかを含んでいる。後者はトリカルボン酸であり、これは当然有効な緩衝機能を提供する。しかし、本発明者らは、このような緩衝剤が、薬剤凝集が引き起こす問題を生じさせる可能性があることを発見した。
【0017】
本発明者らは、彼らの研究において、驚くべきことに、凝集形成に関して、クエン酸(2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸;C
6H
8O
7)またはクエン酸塩が、モノまたはジカルボン酸またはその塩を含む製剤と比較して、不利であることを発見した(結果参照)。クエン酸は、5C原子の骨格を有する分枝状トリカルボン酸である。いかなる理論にも拘泥しないが、クエン酸の性能が劣る理由は、おそらく、このようなトリカルボン酸の3つのカルボン酸基の、モノクローナル抗体等の荷電タンパク質に対するキレート効果が見込まれるためであろう。
【0018】
「2〜6C原子」という用語は、2、3、4、5、または6C原子の骨格を有する、すべての化合物を開示すると理解されるものとする。
【0019】
本書で使用される場合、「生物薬剤」という用語は、例えば、タンパク質、ペプチド、ワクチン、核酸、免疫グロブリン、多糖類、細胞産物、植物抽出物、動物抽出物、組み換えタンパク質またはこれらの組み合わせである、生物学的または生物工学的起源に由来するか、前記の起源からの産物と同等になるよう化学的に合成された、あらゆる治療的化合物を含むものとする。通常、生物薬剤は、生物医薬品の有効成分である。
【0020】
本書で使用される場合、「安定剤」という用語は、特に冷凍および/または凍結乾燥および/または保存期間に、生物薬剤の構造的完全性の維持に役立つ物質を言うものとする。このような物質は、本発明の文脈において、「凍結防止剤」または「凍結乾燥保護剤」とも呼ばれる。
【0021】
本書で使用される場合、「n C原子の骨格を有するモノまたはジカルボン酸」という用語は、n個のC原子の直鎖アルキルまたはアルキレン骨格を有するモノまたはジカルボン酸を言うものとする。前記の骨格は、もちろん、側鎖(例えばメチル基)を有していてもよいが、これらの側鎖中に含まれる炭素原子は、骨格のC原子として数えない。この定義に従って、例えばアスコルビン酸などの環状糖酸は、直鎖のアルキルまたはアルキレン骨格を有しないため、「n C原子の骨格を有するモノまたはジカルボン酸」と見なされない。
【0022】
本発明の好ましい態様では、前記の製剤は、
a) 水性形態
b) 凍結乾燥形態、および/または
c) 懸濁液
よりなる群から選択される形態である。
【0023】
水性形態では、前記の製剤はそのまま投与出来る。一方、凍結乾燥形態では、前記の製剤は投与前に、例えば、注射用水を加えることによって、液体形態に移行し得るが、この注射用水は、ベンジルアルコール等の保存料、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、レチニルパルミテート、およびセレン等の抗酸化剤、アミノ酸であるシステインおよびメチオニン、クエン酸およびクエン酸ナトリウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベンン等のパラベン類のような合成保存料を含んでもよく、含まなくともよい。
【0024】
本発明の第一の様相の好ましい態様では、前記の製剤により、従来技術から知られる製剤と比較した場合、水溶液中の前記の生物薬剤の凝集が減少する。
【0025】
本書で使用される場合、「タンパク質凝集」という用語は、生物薬剤の所望の規定される種(例えばモノマー)に代わり、オリゴマーまたはマルチマー等の、より分子量の大きいタンパク種が形成することを意味するものとする。従って、タンパク質凝集は、共有結合または非共有相互作用によって形成される、さらに規定されない多量多種のすべての種類の形成についての、普遍的な用語である。
【0026】
タンパク質凝集を定量するため、例えば、以下に記載する通りの動的光散乱(DLS)法によって、多分散指数(PdI)および平均タンパク質半径(Z-Ave)を測定し得る。また、凝集物は、以下に記載する通りのサイズ排除クロマトグラフィー(SE-HPLCまたはSEC)によって測定することもできる。また、凝集物および一般的な粒子は、以下に記載する通りのマイクロフローイメージング(MFI)法によって測定することもできる。
【0027】
上記の規定に該当するモノまたはジカルボン酸を、以下の表に記す:
【0028】
特に好ましい態様では、前記のモノまたはジカルボン酸、またはその塩は、4、5、または6C原子の骨格を有する非分枝状ジカルボン酸(即ち、C含有側鎖のないもの)、またはその塩である。
【0029】
特に好ましい態様では、前記のモノまたはジカルボン酸、またはその塩は、2C原子の骨格を有する非分枝状モノカルボン酸、またはその塩である。
【0030】
特に好ましくは、前記のモノまたはジカルボン酸、またはその塩は、
・酢酸、または酢酸塩
・グルタミン酸、またはグルタミン酸塩
・アジピン酸、またはアジピン酸塩
・リンゴ酸、またはリンゴ酸塩
・酒石酸、または酒石酸塩、および/または
・コハク酸、またはコハク酸塩
よりなる群から選択される、少なくとも1つである。
【0031】
これらの中で、酢酸または酢酸塩は、特に好ましいカルボン酸または塩である。好ましくは、酢酸または酢酸塩は唯一のカルボン酸または塩として使用され、さらには、本発明による医薬製剤中の唯一の緩衝剤として使用される。アジピン酸またはアジピン酸塩は、もう1つの特に好ましいカルボン酸または塩である。好ましくは、アジピン酸またはアジピン酸塩は唯一のカルボン酸または塩として使用され、さらには、本発明による医薬製剤中の唯一の緩衝剤として使用される。
【0032】
前記のモノまたはジカルボン酸は、水性形態の医薬製剤中に、≧1と≦100 mMの間、好ましくは≧2と≦50 mMの間、さらにより好ましくは≧5と≦25 mMの間の濃度で存在することが特に好ましい。
【0033】
さらに好ましくは、前記のモノまたはジカルボン酸に加えて、医薬製剤は、リン酸ナトリウム(本書では「NaP」とも記す)および/またはクエン酸またはクエン酸塩を含有してもよい。「リン酸ナトリウム」という用語は、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸一水素二ナトリウム、および全ての考えられるそれらの塩および/または水和物を包含すると理解されるべきである。
【0034】
前記の水性形態の医薬製剤は、好ましくはpHが≧3と≦9の間であり、好ましくは≧4と≦8の間であり、より好ましくは≧5と≦7の間である。
【0035】
さらに別の好ましい態様では、前記のタンパク質凝集は、振とう撹拌、せん断応力、多数回の凍結融解サイクルによって、および/または長期間の保管および/または高温での保管によって引き起こされる。
【0036】
本書で使用される場合、「高温」という用語は、-18℃より高い保管温度を言うこととする。好ましくは、前記の高温は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50°Cよりなる群から選択される温度より高いか、またはさらにより高い。しかし、保管温度の1つの制限は変性温度であり、これは45〜80°C範囲であって、各タンパク質の性質および培地条件に依存する。
【0037】
本書で使用される場合、「長期保管」という用語は、医薬製剤を含む組成物を1ヶ月より長く保管することを言うこととし、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23またはさらに24ヶ月より長く保管することを言うこととする。
【0038】
本発明の別の好ましい態様では、前記の生物薬剤はタンパク質である。前記のタンパク質は、自然発生タンパク質、変性タンパク質(即ち、その自然対応物、また骨格(scaffold)または鋳型とも言うものに関して修飾されたタンパク質)または完全に合成されたタンパク質(即ち、自然対応物を有しないタンパク質)であり得る。
【0039】
前記のタンパク質は、天然生物から単離することができ、または培養生物の発酵によって得ることができる。
【0040】
さらに、前記のタンパク質は、生物から得られたタンパク質に相同または非相同なタンパク質であり得る。
【0041】
前記のタンパク質は、水性形態の医薬組成物中に、≧0.1と≦500 mg ml
-1との間、好ましくは≧20と≦200 mg ml
-1との間の濃度で存在することが特に好ましい。
【0042】
前記のタンパク質は、モノクローナル抗体、またはその断片または誘導体であることが特に好ましい。
【0043】
本書で使用される場合、「モノクローナル抗体(mAb)」という用語は、相同な抗体集団、即ち全免疫グロブリン、またはそれらの断片または誘導体よりなる相同な集団を有する、抗体組成物を言うこととする。特に好ましくは、このような抗体は、IgG、IgD、IgE、IgAおよび/またはIgM、またはそれらの断片または誘導体よりなる群から選択される。
【0044】
本書で使用される場合、「断片」という用語は、ある場合では標的結合能力を保持するような抗体の断片を言うこととし、例えば
・CDR(相補性決定領域)、
・超可変領域
・可変領域(Fv)
・IgG重鎖(VH、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3領域よりなる)
・IgG軽鎖(VLおよびCL領域よりなる)、および/または
・Fabおよび/またはF(ab)
2
が挙げられる。
【0045】
本書で使用される場合、「誘導体」という用語は、通常の抗体の概念に対して、構造的に異なるが、尚もある構造的な関係性を有する、タンパク質構築物を言うこととし、例えば、scFv、Fabおよび/またはF(ab)
2、並びに2重、3重またはそれ以上の特異性抗体構築物が挙げられる。これらの全ての種目を以下に説明する。
【0046】
当業者に知られている他の抗体誘導体は、二重特異性抗体(Diabody)、カメリド抗体、ドメイン抗体、scFvs、IgAsよりなる2つの鎖(J鎖および分泌成分によって、結合された2つのIgG構造)を有する二価ホモ二量体、サメ抗体、新世界霊長類骨格+非新世界霊長類CDRよりなる抗体、CH3+VL+VHを含む二量化構築物、および抗体複合体(例えば、毒素、サイトカイン、ラジオアイソトープまたは標識に結合する抗体または断片または誘導体)である。
【0047】
キメラ、ヒト化および/またはヒトmAbの製造および/または選択方法は、当業界で知られている。例えば、ジェネンテック(Genentech)による米国特許US6331415号にはキメラ抗体の製造が記載され、一方、医学研究審議会(Medical Research Council)による米国特許US6548640号にはCDR移植法が記載され、セルテック(Celltech)による米国特許US5859205号にはヒト化抗体の製造が記載されている。インビトロの抗体ライブラリは、特に、モルフォシス(MorphoSys)による米国特許US6300064号およびMRC/スクリップス/ストラタジーン(Stratagene)による米国特許US6248516号に開示されている。ファージディスプレイ技術は、例えば、ダイアックス(Dyax)による米国特許US5223409号に開示されている。トランスジェニックの哺乳類基盤(platforms)は、例えば、タコニックアルテミス(TaconicArtemis)による米国特許US200302048621号に記載されている。
【0048】
IgG、scFv、Fabおよび/またはF(ab)
2は、当業者によく知られた抗体フォーマットである。関連する実現技術は各テキストブックから入手可能である。
【0049】
本書で使用される場合、「Fab」という用語は、抗原結合領域を含むIgG断片に関し、前記の断片は、抗体の重鎖および軽鎖にそれぞれ由来する、1つの定常領域および1つの可変領域からなる。
【0050】
本書で使用される場合、「F(ab)
2」という用語は、ジスルフィド結合で互いに連結された2つのFab断片よりなるIgG断片に関する。
【0051】
本書で使用される場合、「scFv」という用語は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域の融合である、一本鎖可変断片であって、通常はセリン(S)またはグリシン(G)である、ショートリンカーによって結合されるものに関する。このキメラ分子は、定常領域を除去し、リンカーペプチドを導入したにもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。
【0052】
変性抗体フォーマットは、例えば二重または三重特異性抗体構築物、抗体による融合タンパク質、免疫抱合体等である。
【0053】
本発明の特に好ましい態様では、前記のタンパク質は、
・ハイブリドーマ由来抗体
・キメラ化抗体
・ヒト化抗体、および/または
・ヒト抗体
よりなる群から選択される、少なくとも1つの抗体、またはその断片または誘導体である。
【0054】
本発明の別の好ましい態様では、前記の抗体、またはその断片または誘導体は、抗TNFα抗体である。
【0055】
抗TNFα抗体の一例は、本出願に同封した配列表によって規定される。そこで、配列番号1は、IgG重鎖のコード化核酸配列を規定し、配列番号2は、IgG軽鎖のコード化核酸配列を規定し、配列番号3および4は、それぞれ、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を規定する。
【0056】
配列番号5、7および9は、軽鎖の相補性決定領域(CDR)(即ち、LC CDR3、LC CDR2およびLC CDR1)のアミノ酸配列を規定する。配列番号6、8および10は、重鎖の相補性決定領域(CDR)(即ち、HC CDR3、HC CDR2およびHC CDR1)のアミノ酸配列を規定する。
【0057】
配列番号1および2、またはそれらの一部は、以下によって、同等に置換され得る:
・配列番号1および2によってコード化される、同一のタンパク質またはタンパク質鎖をコード化する核酸配列であって、遺伝子コードの縮退に耐えられるヌクレオチド置換を有するもの、
・配列番号1および2によってコード化される、タンパク質の断片、変異体、相同体または誘導体、またはタンパク質鎖をコード化する配列、
・所与の発現ホストについてコードを最適化された、核酸配列、および/または
・配列番号1または2と、少なくとも70%、好ましくは95%の配列同一性を有する、核酸分子。
【0058】
配列番号3〜10、またはそれらの一部は、1以上の保存アミノ酸置換、即ち、標的結合親和性、免疫原性、ADCC反応、血中半減期、溶解度等の、重要なタンパク質の性質に影響しない1以上の置換を有するアミノ酸配列によって、同等に置換され得る。
【0059】
他の好ましい抗体は、制限されないが、上記の全てのタンパク質および/または以下の抗原等のタンパク質のうちのいずれか1つまたは組み合わせを認識する抗体である:CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD80 (B7.1)、CD86 (B7.2)、CD147、IL-1a、IL-1、IL-2、IL-3、IL-7、IL-4、IL-5、IL-8、IL-10、IL-2受容体、IL-4受容体、IL-6受容体、IL-13受容体、IL-18受容体サブユニット、PDGF-s、およびそれらのアナログ、PLGF、VEGF、TGF、TGF-s2、TGF-p1、EGF受容体、PLGF受容体、VEGF受容体、肝細胞増殖因子、オステオプロテゲリンリガンド、インターフェロンγ、Bリンパ球刺激因子、補体C5、IgE、腫瘍抗原CA125、腫瘍抗原MUC1、PEM抗原、ErbB2/HER-2、患者の血清中に高レベルで存在する腫瘍関連エピトープ、乳房、大腸、扁平上皮細胞、前立腺、膵臓、肺および/または腎癌細胞上、および/または、黒色腫、グリオーマ、または神経芽腫細胞上に発現される、癌関連エピトープまたはタンパク質、腫瘍の壊死性コア、インテグリンα4β7、インテグリンVLA-4、B2インテグリン、TRAIL受容体1、2、3および4、RANK、RANKリガンド、TNF-α、接着分子VAP-1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞間接着分子-3(ICAM-3)、ロイコインテグリン接着因子、血小板糖タンパク質gp IIb/IIIa、心臓ミオシン重鎖、副甲状腺ホルモン、MHC I、がん胎児性抗原(CEA)、α-フェトプロテイン(AFP)、腫瘍壊死因子(TNF)、Fc-y-1受容体、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、L-セレクチン、およびIFN-γ。
【0060】
特に好ましくは、前記の抗体はIgGである。
【0061】
あるいは、前記の生物薬剤は抗体模倣薬であり、即ち、非免疫グロブリン系の標的結合タンパク質分子である。上記の技術の多くは、これらの分子に同様に適用できる。このような抗体模倣薬は、例えば、アンキリン反復タンパク質、C型レクチン、黄色ブドウ球菌のAドメインタンパク質、トランスフェリン、リポカリン、フィブロネクチン、クニッツドメインプロテアーゼ阻害剤、ユビキチン、システインノットまたはノッチン、チオレドキシンA等に由来し、それぞれの文献から当業者に知られている。
【0062】
また別の場合は、前記の生物薬剤は、上記のタンパク質または実質的に類似のタンパク質を全て含む、組み換え融合タンパク質である。例えば、上記のタンパク質の1つに加えて、ロイシン・ジッパー、コイルドコイル、抗体のFc部分等の多量体化ドメイン、または実質的に類似のタンパク質を含む組み換え融合タンパク質は、本発明の製剤に含まれる構成される生物薬剤であり得る。具体的には、このような組み換え融合タンパク質としては、少なくともTNFRまたはRANKの一部が抗体のFc部分に融合したタンパク質が挙げられる。特に好ましくは、前記の組み換え融合タンパク質は、標的結合領域およびIgG Fc領域(いわゆる-cept分子)を含む。
【0063】
本発明のさらに別の好ましい態様では、製剤は、アミノ酸、糖ポリオール、二糖類および/または多糖類よりなる群から選択される、少なくとも1つの安定剤をさらに含む。
【0064】
好ましくは、前記の二糖類は、スクロース、トレハロース、マルトースおよび/またはラクトースよりなる群から選択される物質である。
【0065】
同様に好ましくは、前記の糖ポリオールは、マンニトールおよび/またはソルビトールよりなる群から選択される物質である。これらの中で、マンニトールは特に好ましい糖ポリオールである。好ましくは、マンニトールは本発明の医薬製剤中、唯一の糖ポリオールとして使用され、さらには唯一の安定剤として使用される。
【0066】
上記の定義に該当する安定剤を以下の表に記す:
【0067】
前記の安定剤は、水性形態の医薬製剤中に、≧1 mMと≦300 mMとの間、好ましくは≧2 mMと≦200 mMとの間、より好ましくは≧5 mMと≦150 mMと間の濃度で存在することが特に好ましい。
【0068】
本発明のさらに別の好ましい態様では、前記の製剤は、非経口投与に好適な製剤であり、好ましくは静脈内、筋肉内および/または皮下投与に好適な製剤である。
【0069】
本発明のさらに別の好ましい態様では、前記の製剤はさらに、
・ 界面活性剤
・ 等張化剤、および/または
・ 金属イオンキレート剤
よりなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。
【0070】
前記の界面活性剤は、成分の湿潤性を増強し、それら成分の溶解性を支援する。生物薬剤は高濃度(例えば、1〜10 ml中 > 100 mg)で処方されることが多いため、このことは特に重要である。
【0071】
好適な界面活性剤は、例えば、レクチンまたは、ポリソルベート(「ツイーン」)またはポロキサマー等の他の非イオン性界面活性剤である。特に好ましい界面活性剤は、ポリソルベート80(「ツイーン80」)またはポロキサマー188である。
【0072】
前記の等張化剤は、本発明による製剤の浸透圧を、生理学的に許容される値、例えば血液浸透圧に設定するのに役立つ。
【0073】
等張化剤は、生理学的に許容される成分であり、特に限定されない。等張化剤の典型例は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化カルシウム等の無機塩である。これらは単独またはこれらの混合物として使用し得る。
【0074】
前記の金属イオンキレート剤は、本発明による製剤に含まれる生物薬剤を不活性化する可能性がある重金属の複合体形成に役立つ。好ましい前記の金属イオンキレート剤は、EDTAおよび/またはEGTAである。
【0075】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様による製剤として処方される、生物薬剤を提供することである。
【0076】
本発明のさらに別の(第三の)態様では、プレフィルドシリンジまたはペン、バイアルまたは輸液バッグ等の一次包装が提供され、これは本発明の第一の態様による製剤および/または本発明の第二の態様による生物薬剤を含む。
【0077】
プレフィルドシリンジまたはペンは、凍結乾燥形態(その後、投与前に、例えば注射用水で溶解しなければならない)、または水性形態の製剤を含有してもよい。前記のシリンジまたはペンは、一度しか使用しない使い捨て物品であることが多く、0.1〜20 mlの間の容量であってもよい。しかし、シリンジまたはペンは、多重使用または複数回投与のシリンジまたはペンであってもよい。
【0078】
前記のバイアルは、凍結乾燥形態または水性形態の製剤を含んでもよく、単回または複数回使用の装置となり得る。複数回使用の装置として、前記のバイアルはより大容量であってもよい。
【0079】
前記の輸液バッグは通常、水性形態の製剤を含有し、20および5000 mlの間の容量であってもよい。
【0080】
本発明のさらなる(第四の)態様は、
・自己免疫疾患
・感染性疾患
・腫瘍性および/または悪性疾患(癌)、および/または
・神経系疾患
よりなる群から選択される少なくとも1つの病態を治療するための、それぞれ本発明の第一、第二および第三の態様による、医薬製剤および/または前記の生物薬剤および/または前記の一次包装の使用である。
【0081】
好適な自己免疫疾患は、乾癬、クローン病またはリウマチ性関節炎等の関節炎疾患およびリウマチ性疾患である。好適な感染性疾患は、ウイルスおよび/または細菌感染症である。好適な腫瘍性および/または悪性疾患は、肉腫、がん腫、リンパ腫および白血病であり、好ましくは、肺癌、乳癌、卵巣癌、大腸癌、前立腺癌、子宮頸癌等である。好適な神経系疾患は、特に、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ハンチントン病、または筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患である。
【0082】
図面および実験
本発明の目的のさらなる詳細、特性、特徴および有利点を、従属項、および以下の各図面および実施例の説明に開示するが、これらは典型的な本発明の好ましい態様を示す。しかし、これらの図面は決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0083】
以下に記載された実験において、本発明による製剤は、凝集の促進に好適な特別なストレス条件に付した。従って、この実験は、凝集の有効な予防が、本発明の製剤によって影響されることの実証に関係する。