特許第5767341号(P5767341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767341
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20150730BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20150730BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   A61M5/32
   A61M5/315
   A61M5/24
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-549388(P2013-549388)
(86)(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公表番号】特表2014-505544(P2014-505544A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】SE2012050012
(87)【国際公開番号】WO2012096620
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2013年8月19日
(31)【優先権主張番号】1150012-1
(32)【優先日】2011年1月11日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/431,471
(32)【優先日】2011年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503211493
【氏名又は名称】エス・ホー・エル・グループ・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】SHL GROUP AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルムクビスト,アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ヘレン
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−521482(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0101919(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/035060(WO,A1)
【文献】 特開2005−177503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/24
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する遠位端および近位端を有し、薬剤容器アセンブリを格納するよう適合された、概して細長いハウジング(10;100、102)と、
前記ハウジング内に配置され、薬剤の用量を放出するために前記薬剤容器アセンブリに作用するよう構成された駆動アセンブリと、
前記駆動アセンブリに動作可能に接続され、前記駆動アセンブリを起動させるための作動アセンブリとを含み、前記駆動アセンブリは、ハウジングに対して可動であり、ハウジングの近位端から突出する近位部を有し、前記薬剤容器アセンブリの送達部材をカバーすることが可能なガード部材(12;104)と、前記ハウジングに配置され、ハウジングを通して動作可能であるアクチュエータ部材(44;180)とを含み、
作動アセンブリは、ガード部材(12;104)とアクチュエータ部材(44;180)との間に配置されたロック部材(28;132)をさらに含み、前記ロック部材は、ガード部材が送達部位に押付けられると、ガード部材によって、ロック部材がアクチュエータ部材を阻止している第1のロック位置と、ロック部材がアクチュエータ部材を動作可能にする解除位置との間で動かされるよう構成されており、前記ロック部材はさらに、アクチュエータ部材によって、解除位置と、前記ガード部材が送達部位から取外された後ロック部材がガード部材を阻止している第2のロック位置との間で動かされるよう構成されていることを特徴とする、薬剤送達装置。
【請求項2】
ロック部材は、ガード部材によって、およびアクチュエータ部材によって、ハウジングに対して回転されるよう構成された回転体部材である、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
作動アセンブリは、回転体部材とガード部材との間に配置され、前記ガード部材を近位端に向けて圧迫するための第1の弾性力部材をさらに含む、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
容器アセンブリは、送達部材を有するシリンジを含む、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
容器アセンブリはカートリッジを含み、カートリッジは、送達部材がカートリッジに取付けられることを可能にするために、ガード部材の近位部に対して突出している近位端を有する、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
ガード部材は、前記ガード部材がハウジングに対して手動で回されると、前記ガード部材が第1の弾性力部材によって装置の近位端に向けて押し進められ、それにより送達部材を視界からカバーするように、誘導手段によってハウジングに動作可能に接続されている、請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
ガード部材は、前記ガード部材が送達部位に押付けられると、ガード部材が送達部材を視界からカバーしている伸張された位置と、弾性力部材が圧縮されて送達部材が視界に露出されるようにガード部材がハウジング内に配置される引っ込んだ位置との間で、ハウジングに対して動かされるよう配置されている、請求項5または6に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
圧縮された弾性力部材は、前記ガード部材が送達部位から取外されると、ガード部材を引っ込んだ位置から伸張された位置へと押し進めるよう適合されている、請求項7に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記薬剤送達装置は自動注射器である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は薬剤送達装置に関し、特に、薬剤の用量を送達するための薬剤送達部材の取付を容易にするなどのために薬剤カートリッジを取扱うことができる薬剤送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
薬剤送達装置で使用するための多くの薬は、ストッパが位置付けられたガラス管として通常形成されたいわゆるカートリッジに収容されている。カートリッジの近位端には隔壁または同様の弾性膜が配置されており、それを通して薬剤送達部材の遠位端を押すことができる。
【0003】
装置にはこのため、これらの薬剤容器が位置付けられ得る区画が配置され、また、薬剤送達部材上の対応する取付部材と協働するよう意図された取付部材が設けられたネック部が配置されている。
【0004】
多くの装置については、薬剤送達部材は注射針を構成している。注射針は、患者の注射部位で薬剤の用量を送達するために、薬剤カートリッジ上の対応する取付手段と協働するよう設計された取付部材に配置されてもよい。注射針はまた、シリンジの一部であってもよく、すなわち、薬剤容器と一体化されていてもよい。
【0005】
注射針によって意図せず怪我をするという危険のためだけでなく、たとえば穿通中に針を見たくない患者のために使用前の針をカバーするために、さまざまなカバー、キャップ、および/またはシールドならびにガードが考案されてきた。これらは、装置に対してそれらを異なる方向に圧迫するばね部材と、カバーまたはシールドを異なる位置で保持してロックするための解除可能または解除不能なロック部材とを伴うことが多い。
【0006】
シールドに作用するばねの使用に関し、それらは、薬の送達前、シールドをロックされない状態で近位方向に圧迫するために使用されることが多い。そのような一装置が文献WO2006/057604に開示されており、それは、装置の遠位端で用量設定部材を回す作用により引っ込んだ位置から解除される針シールドを有する。WO2006/057604の装置は、混合、充填、自動穿通、および自動注射などの多くの機能を含んでおり、それを複数の部品で複雑にしている。また、針シールドを解除するには、部品は装置全体を通って用量設定部材から延在する必要がある。用途および使用によっては、装置はそれほど複雑である必要はなく、それほど多くの機能を含む必要もなく、ただ直観的で使いやすければよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の簡単な説明
この発明の目的は、薬剤送達部材を取付けることができる薬剤カートリッジを収容でき、薬剤送達部材ガードを容易に起動できる薬剤送達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立特許請求項の特徴に従った薬剤送達装置によって得られる。この発明の好ましい実施例は、従属特許請求項の主題を形成する。
【0009】
この発明の主な局面によれば、それは、薬剤送達装置であって、対向する遠位端および近位端を有し、薬剤容器アセンブリを格納するよう適合された、概して細長いハウジングと、前記ハウジング内に配置され、薬剤の用量を放出するために前記薬剤容器アセンブリに作用するよう構成された駆動アセンブリと、前記駆動アセンブリに動作可能に接続され、前記駆動アセンブリを起動させるための作動アセンブリとを含み、前記駆動アセンブリは、ハウジングに対して可動であり、ハウジングの近位端から突出する近位部を有するガード部材と、前記ハウジングに配置され、ハウジングを通して動作可能であるアクチュエータ部材とを含み、作動アセンブリは、ガード部材とアクチュエータ部材との間に配置されたロック部材をさらに含み、前記ロック部材は、ガード部材が送達部位に押付けられると、ガード部材によって、ロック部材がアクチュエータ部材を阻止している第1のロック位置と、ロック部材がアクチュエータ部材を動作可能にする解除位置との間で動かされるよう構成されており、前記ロック部材はさらに、前記ガード部材が送達部位から取外された後、アクチュエータ部材によって、解除位置と、ロック部材がガード部材を阻止している第2のロック位置との間で動かされるよう構成されている、薬剤送達装置によって特徴付けられる。
【0010】
この発明の別の局面によれば、ロック部材は、ガード部材によって、およびアクチュエータ部材によって、ハウジングに対して回転されるよう構成された回転体部材である。
【0011】
この発明のさらなる局面によれば、作動アセンブリは、回転体部材とガード部材との間に配置され、前記ガード部材を近位端に向けて圧迫するための第1の弾性力部材をさらに含む。
【0012】
この発明の別の局面によれば、容器アセンブリは、送達部材を有するシリンジを含む。
この発明のさらなる局面によれば、容器アセンブリはカートリッジを含み、カートリッジは、送達部材がカートリッジに取付けられることを可能にするために、ガード部材の近位部に対して突出している近位端を有する。
【0013】
この発明のさらに別の局面によれば、ガード部材は、前記ガード部材がハウジングに対して手動で回されると、前記ガード部材が第1の弾性力部材によって装置の近位端に向けて押し進められ、それにより送達部材を視界からカバーするように、誘導手段によってハウジングに動作可能に接続されている。
【0014】
この発明のさらに別の局面によれば、ガード部材は、前記ガード部材が送達部位に押付けられると、ガード部材が送達部材を視界からカバーしている伸張された位置と、弾性力部材が圧縮されて送達部材が視界に露出されるようにガード部材がハウジング内に配置される引っ込んだ位置との間で、ハウジングに対して動かされるよう配置されている。
【0015】
この発明の別の局面によれば、圧縮された弾性力部材は、前記ガード部材が送達部位から取外されると、ガード部材を引っ込んだ位置から伸張された位置へと押し進めるよう適合されている。
【0016】
この発明のさらなる局面によれば、前記薬剤送達装置は自動注射器である。
この発明には多くの利点がある。ガード部材とアクチュエータ部材との間に配置されたロック部材の使用により、かなり少ない部品でいくつかの機能を得ることができる。また、薬剤送達部材が位置付けられる装置の近位端のガード部材とアクチュエータ部材との間に機能的連結が作り出されており、装置が送達部位に押付けられるまでアクチュエータ部材を動作させることはできず、それにより装置は作動できないようになっている。
【0017】
ロック部材は、装置の長手方向軸の周りに回転可能であり、かつ部品の動きを防止するかまたは許容することが可能な回転体部材として設計され、配置されてもよい。
【0018】
特に、ガード部材上のガイドと協働する誘導部材と、ロックおよび解除部材とが回転体に配置されている場合、ガード部材は、用量送達前に薬剤送達部材を取付ける場合の引っ込んだ位置、または、薬剤送達部材が注射針である場合に偶発的な針刺しを回避するために薬剤送達部材をカバーするための用量送達後の伸張された位置といった異なる位置でロック可能である。
【0019】
回転体および他の相互作用部品はこのため、少数の部品に一体化され、かつ、異なる動作中に直線的におよび回転により動かされて接触するようになる、および接触しなくなる、ガイド、突起、棚状突起などを含み得る。
【0020】
この発明のこれらのおよび他の局面ならびに利点は、以下の詳細な説明から、および添付図面から明らかとなるであろう。
【0021】
図面の簡単な説明
以下のこの発明の詳細な説明では、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の第1の実施例の部分分解斜視図である。
図2図1の装置に含まれる回転体円筒の詳細図である。
図3】回転体円筒および薬剤送達部材ガードの詳細図である。
図4】回転体円筒および作動部材の詳細図である。
図5】この発明の第2の実施例の斜視図である。
図6図5の装置の部分分解図である。
図7図5の装置のさらなる分解図である。
図8図5の装置の断面図である。
図9図5の装置に含まれる回転体部材の詳細図である。
図10図5の装置に含まれる薬剤容器ホルダの詳細図である。
図11図5の装置の別の部分分解図である。
図12図5の装置に含まれる回転体部材および作動機構の詳細図である。
図13図5の装置に含まれる作動機構の分解詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本願では、「遠位部/端」という用語を使用する場合、これは、薬剤送達部位から最も遠くに位置する、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。これに応じて、「近位部/端」という用語を使用する場合、これは、薬剤送達部位の最も近くに位置する、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。
【0024】
この発明に従った薬剤送達の例示的な一実施例を、図1〜4に示す。図1は、略管状の細長いハウジング10を含む。ハウジングの近位端には、略管状の針ガード12の形をしたガード部材が、ハウジングに対して摺動可能に配置されている。針ガードの外面には、第1の誘導部材14が配置されている。さらに、ハウジングの近位端の内面には、第2の誘導部材16が配置されている。第1および第2の誘導部材は、以下に説明するように針ガード12の動きを誘導するよう配置されている。図1〜4に示す実施例によれば、第1の誘導部材は隆起18の形をしており、第2の誘導部材は、隆起18に沿って滑ることができる突起16である。針ガードにはさらに、図示された実施例では遠位方向に延在する舌状部22の外面上の突起20であるロック部材が配置されている。突起20は図2のロック用棚状突起24と協働するよう配置され、ロック用棚状突起24は近位方向に向けられた舌状部26の内面上に配置され、舌状部26は略管状の回転体円筒28の形をしたロック部材に取付けられ、回転体円筒28は前記ハウジング10の内部で回転可能に配置されている。回転体円筒28には、図示された実施例では近位方向に向けられた傾斜面30として配置されている第3の誘導部材が配置されている。第3の誘導部材の表面は、図示された実施例では針ガードの舌状部22上に配置された遠位方向に向けられた傾斜面32である第4の誘導部材と協働している。回転体円筒28と針ガード12との間には、後者を装置の近位方向に圧迫するために、ばね部材34が配置されている。また、回転体円筒28は、近位方向に向けられたロックタブ35を含む。図2の回転体円筒28に隣接するロックタブ35の内面の区域37上では、材料が取除かれている。また、区域37の表面とロックタブ35の内面の残りとの間には傾斜遷移部37lが設けられており、その機能を以下に説明する。
【0025】
回転体円筒28の遠位端には、図示された実施例では図4の回転体円筒の遠位方向に向けられた端面36と切欠き38とを含む第2のロックおよび解除部材が配置されており、切欠き38には傾斜側面40が設けられている。また、装置の遠位端には、図示された実施例では遠位端を通って突出する作動ボタン44の形をした作動部材を含む、作動部材42が配置されている。作動ボタン44には、近位方向に向けられた傾斜面48を有する近位方向に向けられた舌状部46が配置されている。
【0026】
第1の実施例に従った装置は、以下のように機能するよう意図されている。装置がユーザに届けられたとき、針ガード12はハウジング内部で引っ込んだ位置にあり、薬剤カートリッジ(図示せず)の近位端部を露出している。針ガード12は、針ガード12の突起20が回転体円筒28の棚状突起24に当接することによって、引っ込んだ位置に保持される。このため、たとえば注射針などの薬剤送達部材を薬剤カートリッジに取付けることは、ユーザにとって容易である。
【0027】
薬剤の用量を送達するために装置を起動させるために、ユーザは針ガード12を回し、それにより突起20は動かされて棚状突起24と接触しなくなる。針ガード12はこのため、ばね34の力によって近位方向に自由に動き、それにより薬剤送達部材をカバーする。針ガード12の動きにより、ハウジング10上の突起16は、針ガード12の隆起18に沿って動くようになる。ある隆起18aは装置の長手方向に対して若干傾斜しており、それにより針ガード12は、針ガード12の舌状部22の傾斜面32が回転体円筒28の近位方向に向けられた傾斜面30に沿って動かされるように、若干回転される。上述の動作中、作動部材42は作動しないようロックされている。なぜなら、舌状部46の近位端が、回転体円筒28の遠位端面36と接触しているためである。
【0028】
次のステップは、用量送達部位で用量送達を行なうことである。ユーザはその場合、針ガード12の近位端を用量送達部位に押付けて、薬剤送達部材が注射針である場合に穿通を引起し、それにより針ガード12はばね34の力に対抗して遠位方向に動かされる。この針ガード12の動きにより、舌状部22の傾斜面32は動かされて回転体円筒28の傾斜面30と接触し、それに対して作用する。この作用により、回転体円筒28は、回転体円筒28の切欠き38の傾斜側面40が、作動部材42の舌状部の傾斜端面48に沿って動かされるように、ある距離回転するようになる。
【0029】
次のステップは、用量送達を行なうことである。ユーザはその場合、作動ボタン44を近位方向に押す。これはプランジャロッドを近位方向に動くよう押し進め、それにより、薬剤カートリッジのストッパも近位方向に動かされ、薬剤の用量が薬剤送達部材を通して放出されるようになる。近位方向への作動ボタン44の動きにより、傾斜面40、48は、回転体円筒28がある距離回転されるように協働するようになる。回転体円筒の回転により、突起20は区域37と接触し、その上を動くようになる。
【0030】
装置がここで注射部位から取外されると、針ガード12はばね34によって再度近位方向に自由に動き、それにより、針ガード12の突起20は区域37から遷移部37lを越えて、図1のロックタブ35の近位端面を通過する。この位置で、針ガード12は伸張された位置でロックされ、薬剤送達部材を保護し、それにより、薬剤送達部材が注射針である場合に意図しない針刺しを回避する。
【0031】
図5〜13は、この発明の第2の例示的な実施例を示す。それは、略管状の細長い遠位ハウジング部100を含む。遠位ハウジング部は、略管状の近位ハウジング部102に接続されている。近位ハウジング102の近位端には、薬剤送達部材ガード104の形をしたガード部材が配置されている。薬剤送達部材ガード104には、外向きに向けられた突起106が配置され、突起106は、近位ハウジング部102の細長い溝108に嵌まって、薬剤送達部材ガードの長手方向の摺動を可能にするものの、回転をロックするようになっている。薬剤送達部材ガードの近位端には、その外面上に螺旋状の溝110が配置され、溝110は、保護キャップ114の内面上の螺旋状に延在する隆起112と協働するよう配置されている。薬剤送達部材ガードの遠位端には、遠位方向に向けられた2つの舌状部116が配置され、各舌状部には、遠位方向に向けられた傾斜面118が配置されている。
【0032】
近位ハウジング部102にはさらに、図示された実施例では近位ハウジング部102と一体化された薬剤容器ホルダ120が配置されている。薬剤容器ホルダは、図示された実施例では注射針の形をした薬剤送達部材124が設けられたシリンジである薬剤容器122を受けるよう適合されている。しかしながら、マウスピースまたはノーズピース、ノズル、吸入器などの他のタイプの薬剤送達部材が利用可能であることが理解されるべきである。薬剤容器ホルダ120の近位端面128(図8)と、薬剤送達部材ガード104の内部の遠位方向に向けられた面との間には、圧縮ばね126が配置されている。また、薬剤容器ホルダおよび近位ハウジング部の双方には、薬剤容器122が見えるように開口部または窓130が配置されており、薬剤容器122は好ましくは透明の材料で作られているため、薬剤容器122の中身がユーザに見える。
【0033】
薬剤容器ホルダ120を包囲しているのは、回転体円筒132の形をしたロック部材であり、回転体円筒132は、回転可能に配置されているものの、回転体円筒の外面上の周方向に延在する溝134が、近位ハウジング部に配置されたフレキシブルアーム136上の内向きに延在する突起と協働するため、直線運動しないようロックされる(図11)。回転体円筒にはさらに、近位方向に向けられた舌状部138が配置され(図11)、舌状部138には、針ガードの舌状部の傾斜面118と協働するよう意図された傾斜面140が配置されている。回転体円筒の近位端面には、舌状部138の傾斜面140とほぼ対応する傾斜方向を有する、近位方向に延在するフレキシブルアーム142が、さらに取付けられている。フレキシブルアーム142の近位端には、周方向に延在するアーム部144が取付けられている。アーム部144の端には、遠位方向に向けられた棚状突起146が取付けられるかまたは一体化され、遠位方向の棚状突起146は、回転体円筒132の切欠きに位置付けられる(図11)。回転体円筒132の遠位端には、切欠き148が設けられ、各切欠き148には、傾斜側面150が配置されている。また、回転体円筒の遠位方向に向けられた端面には、周方向に延在するフレキシブルアーム152が配置され(図12)、それらのアーム152には、遠位方向に向けられた楔形の突起154が配置されている。突起154は、近位ハウジング部102の内部の近位壁面上の対応する楔形のラチェット156(図10)と協働するよう意図されている。
【0034】
また、装置のハウジングの内部には、薬剤容器122の内部に配置された可動ストッパ160と接触する近位端を有する細長いプランジャロッド158(図8)が配置されている。プランジャロッドは、遠位ハウジング部100に位置付けられた誘導部材162の管状区画の内部に延在している。コイル状の圧縮ばねの形をした駆動ばね164が、その近位端がプランジャロッドの近位端に取付けられた周方向の棚状突起166と接触し、その遠位端が誘導部材162の端壁168と接触した状態で、プランジャロッドを包囲して配置されている(図8)。遠位端は、誘導部材162の端壁168の中央通路を通ってさらに延在している。プランジャロッドの遠位端には、周方向の棚状突起170がさらに設けられている。ロック手段172が、プランジャロッドの遠位端を包囲している。ロック手段は、複数のスリット174を有する略管状の形状を含んでおり、それによりフレキシブルアーム176を形成する。アームの端には、内向きに向けられた突起178が設けられ、それらは、プランジャロッド158の周方向の棚状突起170と協働してそれを所定の位置にロックする。ロック手段172の近位端面は、誘導部材162の遠位端面と当接している。
【0035】
また、装置の遠位端には、アクチュエータ部材180が配置されている。それは、装置の遠位端を通って突出する作動ボタン182を含む。作動ボタン182の近位端は、略管状に設計されている。作動部材の作動ボタンは、略管状の形状を有するロック/解除部材184に取付けられている。ロック/解除部材184は、ロック部材172を包囲してそれと接触しており、そのフレキシブルアーム176が径方向外側に曲がることを防止する。ロック/解除部材184には、回転体円筒の遠位端面に隣接する近位端面188を有する近位方向に延在するアーム186がさらに配置されている(図13)。
【0036】
装置は、以下のように機能するよう意図されている。装置は好ましくは、薬剤容器122が内部に搭載された状態で届けられる。用量を送達する際、保護キャップ114が取外される。薬剤送達部材ガード104はばね126によって近位方向に圧迫され、それにより薬剤送達部材をカバーする。アーム186の近位端面188が回転体円筒132の遠位端面と接触しているため、作動ボタン182を押すことはできず、作動部材180のいかなる動きも防止する。
【0037】
患者は次に、たとえば注射部位などの用量送達部位に装置の近位端を押付ける。すると薬剤送達部材ガード104が遠位方向に押され、薬剤送達部材124を露出する。薬剤送達部材ガード104は、溝108内で摺動する突起106により、直線的にしか動くことができない。薬剤送達部材ガード104の遠位方向の動きにより、その傾斜面118は、回転体円筒132の傾斜面140と接触するようになり、回転体円筒132の回転を引起す。薬剤送達部材124が注射針である場合に、薬剤送達部材ガード104が遠位方向に、たとえば穿通深さに対応するある距離だけ押されると、回転体円筒132は、回転体円筒132の遠位端の切欠き148が、ロック/解除部材184のアーム186に沿うように回転する。
【0038】
ここで患者が作動ボタン182を近位方向に押すと、ロック/解除部材184も、ロック/解除部材184の遠位端面がロック手段172の近位端面を通過するまで、近位方向に、かつ静止したロック部材172に対して動かされる。次に、ロック手段172のアーム176が径方向外側に自由に曲がり、それによりプランジャロッド158を解除する。プランジャロッド158はここで駆動ばね164によって近位方向に押し進められ、それによりプランジャロッド158はストッパ160を近位方向に押し、薬剤の用量が薬剤送達部材124を通って送達される。
【0039】
また、作動ボタン182を押すことにより、アーム186は、回転体円筒132の切欠き148の傾斜側面150に作用して、回転体円筒がさらなる距離回転されるようにする。回転体円筒132の回転により、フレキシブルアーム142は動かされて、針ガード104の遠位方向に向けられた舌状部116の側面と接触し、周方向に曲がるようになる。回転体円筒132の遠位端上のフレキシブルアーム152は、ハウジングのラチェット156と協働して、回転体円筒132のいかなる復帰運動も防止する。
【0040】
用量送達後、装置は用量送達部位から取外され、それにより薬剤送達部材ガード104は、ばね126の作用によって近位方向に押される。薬剤送達部材ガード104の近位方向の動きにより、その遠位方向に向けられた舌状部116が動かされてフレキシブルアーム142と接触しなくなり、それにより、後者は、それらの近位端面が針ガード104の舌状部116の遠位端面に沿うように周方向に自由に動く。それにより、針ガード104は遠位方向に押されないようになり、それにより針ガードは薬剤送達部材を包囲して保護し、それは、注射針である場合、使用済みの汚れた注射針に対する意図しない針刺しを防止する。装置はここで廃棄可能である。
【0041】
上に説明され図面に示された実施例はこの発明の単なる例示的な実施例として見なされるべきであるということ、および、それは特許請求項の範囲内で多くの方法で変更されてもよいということが理解されるべきである。
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