(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767343
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ビデオカメラ用モニター
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20150730BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20150730BHJP
H04N 5/60 20060101ALI20150730BHJP
H04N 5/57 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
H04N5/225 A
H04N5/222 Z
H04N5/60 101
H04N5/57
H04N5/225 F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-554170(P2013-554170)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2012051268
(87)【国際公開番号】WO2013108405
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2015年1月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170734
【氏名又は名称】株式会社日本ビデオシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】橋口 憲太郎
【審査官】
藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−285438(JP,A)
【文献】
実開平02−039231(JP,U)
【文献】
特許第4907749(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
G03B 13/00 −13/28
G03B 17/18 −17/20
G03B 17/36
H04N 5/57
H04N 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レックランタイムコードを含むビデオカメラ映像信号の入力を受け付けるビデオカメラ映像入力部と、タリー表示を制御するタリー表示制御部とを備え、
前記タリー表示制御部は、前記レックランタイムコードが進んでいるかどうかに基づいてタリー表示を制御するビデオカメラ用モニター。
【請求項2】
前記ビデオカメラ映像信号は、SDI信号である請求項1に記載のビデオカメラ用モニター。
【請求項3】
ピーキングレベル、ブライトレベル及びコントラストレベルを調節する映像表示調節部と、前記映像表示調節部によって調節された状態を記憶する記憶部と、前記記憶部に設定された状態と、初期状態とを切り替える映像表示設定切替部とをさらに備える請求項1又は請求項2に記載のビデオカメラ用モニター。
【請求項4】
前記ビデオカメラ映像信号は、エンベデッドオーディオ信号を含み、
前記ビデオカメラ映像信号からエンベデッドオーディオ信号を分離するオーディオ信号分離部と、前記オーディオ信号分離部が分離したデジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換部と、変換されたアナログ信号を出力するアナログ音声出力部とを備える請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のビデオカメラ用モニター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラからの信号が入力され、その信号に基づく表示を行うビデオカメラ用モニターに関する。ビデオカメラ用モニターとしては、ビデオカメラに装着して使用されるビューファインダーや、ビデオカメラに装着されずに使用されるモニターがある。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビデオカメラには小型のビューファインダーが搭載されている。近年ハイビジョンカメラの高画質化が進み、画面の大きい後付のビデオカメラ用ビューファインダーが接続されることが多い。ビューファインダーには、映像のピント調整、画角確認、録画中である確認することをカメラマンが容易にできる機能が必要である。このような機能があれば、カメラマンは小型ビューファインダーよりも正確に映像を確認することが容易になるからである。このため、放送用のビデオカメラには、一般に、専用ビューファインダーが接続でき、このビューファインダーは、映像表示、及び録画中を表示するタリー表示部分を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外付けのビューファインダーは、カメラから離れた位置に設置されて使用されることがある。このような場合に、ビューファインダーでカメラ映像を確認している者は、現在録画中であるかどうかを知りたい場合がある。カメラ本体には、通常、録画中にのみ点灯するタリーランプが設けられているが、ビューファインダーに設置されているときは、カメラ本体のタリー表示を確認することが困難である。
ビューファインダーには、タリー入力端子が設けられている場合があり、この場合、タリー入力端子にタリー信号を入力させることによって、カメラが録画中にタリーランプを点灯させることが可能である。但し、小型ビデオカメラにはタリー信号を出力する端子が設けられていない場合があり、この場合、ビデオカメラからタリー信号を取り出すことは困難である。
また、タリー信号出力端子が設けられているビデオカメラであっても、ビューファインダーとビデオカメラとの間の面倒な配線が必要であった。
このような事情は、ビューファインダー以外のビデオカメラ用モニターについてもあてはまる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、面倒な配線を行うこと無く且つビデオカメラがタリー信号出力端子を持たない場合であってもタリーランプを点灯させることが可能なビデオカメラ用モニターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、レックランタイムコードを含むビデオカメラ映像信号の入力を受け付けるカメラ映像入力部と、タリー表示を制御するタリー表示制御部とを備え、前記タリー表示制御部は、前記レックランタイムコードが進んでいるかどうかに基づいてタリー表示を制御するビデオカメラ用モニターが提供される。
【0006】
近年は安価なビデオカメラであっても映像の品質が高く、放送用途に耐える品質の映像を撮影することができるものが出てきた。このようなカメラを放送用途に利用するに際してのネックの一つは、このようなカメラがタリー信号を出力できず、従って、ビデオカメラ用モニターのタリーランプを点灯させることができないことであった。このような状況において本発明者は、タリーランプを点灯させる方法について熟考した結果、ビデオカメラ用モニターに入力される映像信号にはビデオカメラが録画中の場合にのみ進行するレックランタイムコードが含まれていることを発見し、このレックランタイムコードを利用すれば、タリー表示用の配線を別途設けることなく、タリー表示の制御を行うことができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0007】
本発明によれば、従来は外部接続されたビデオカメラ用モニターにタリー表示ができなかった安価なビデオカメラを放送用途に使用することができる。
【0008】
本発明のビデオカメラ用モニターは、ビデオカメラ映像信号出力搭載のカメラだけでなく、アナログのビデオカメラもデジタル信号変換装置を使用することによりタイムコード信号が1本のケーブル上に重畳していれば適用可能であってもよい。本発明のビデオカメラ用モニターは安価なビデオカメラだけでなく、ENGビデオカメラ、スタジオビデオカメラのビデオカメラ用モニターとしても十分適している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のビデオカメラ用モニターとカメラの構成を示す接続図である。
【
図2】本発明の一実施形態のビデオカメラ用モニターを示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態のビデオカメラ用モニターを示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1〜
図3を用いて、本発明の一実施形態のビデオカメラ用モニターについて説明する。以下に示す実施形態は、例示であって、本発明は以下の実施形態には限定されない。
【0011】
図1は、本実施形態のビデオカメラ用モニターとビデオカメラの接続構成を示す図である。ビデオカメラ用モニターAの外観及びコネクタや表示部の配置の一例を
図2及び
図3に示す。
図2及び
図3は、それぞれ、正面図及び裏面図を示す。
【0012】
1.ビデオカメラ用モニターAの内部構成
まず、
図1を用いて、ビデオカメラ用モニターAの内部構成について説明する。
ビデオカメラ用モニターAは、レックランタイムコードを含むビデオカメラ映像信号の入力を受け付けるビデオカメラ映像入力部4と、タリー表示を制御するタリー表示制御部44とを備え、タリー表示制御部44は、レックランタイムコードが進んでいるかどうかに基づいてタリー表示を制御する。本実施形態では、このような構成により、レックランタイムコードを利用することによって、タリー表示を制御することを可能にしている。
【0013】
本明細書において、ビデオカメラ映像信号は、レックランタイムコードを含むものであればよく、SDI信号(例:HD−SDI信号、SD−SDI、3G−SDI信号)、HDMI信号、3D等の何れであってもよい。また、デジタル信号は、ビデオカメラから出力されたものであってもよく、ビデオカメラから出力されたアナログ信号をAD変換して得られたデジタル信号であってもよい。
【0014】
タイムコードには、フリーランタイムコードとレックランタイムコードの2種類があり、前者は、録画中であるかどうかに関わらず進み続けるものであり、通常は、複数台のカメラを同期させるために用いられる。一方、レックランタイムコードは、録画中にのみ進むものである。ビデオカメラ映像信号には、その企画によらず、通常は、タイムコードが含まれており、フリーランタイムコードとレックランタイムコードのどちらが含まれるかはビデオカメラに依存している。本実施形態のビデオカメラ用モニターAにタリー表示させるには、レックランタイムコードがビデオカメラ映像信号に含まれていればよい。ビデオカメラ用モニターAと共に利用されるビデオカメラとしては、レックランタイムコードのみが利用可能なものであってもよく、フリーランタイムコードとレックランタイムコードのどちらかを選択可能なものであってもよい。
【0015】
タリー表示制御部44は、ビデオカメラ映像信号中のレックランタイムコードを分析し、タイムコードが進んでいると判断した場合には、ビデオカメラが録画中であると判断して、タリー表示部11,17を点灯させる。これによって、レックランタイムコードが進んでいるかどうかに基づいてタリー表示を制御することが可能になる。
【0016】
また、ビデオカメラ用モニター装置Aは、ピーキングレベル、ブライトレベル及びコントラストレベルを調節する映像表示調節部8と、映像表示調節部8によって調節された状態を記憶する記憶部7と、記憶部7に設定された状態と、初期状態とを切り替える映像表示設定切替部45とをさらに備えることが好ましい。この構成によって、カメラマンが自分の好みの映像表示設定を記憶部7に保存することができ、保存した設定をいつでも呼び出すことができるので、別の人が映像表示の調節を行っても、容易に自分の好みの設定に戻すことができる。
【0017】
ビデオカメラ映像信号(例:SDI映像信号)は、エンベデッドオーディオ信号を含むことができ、このビデオカメラ映像信号からエンベデッドオーディオ信号を分離するオーディオ信号分離部9と、前記分離部が分離したデジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換部41と、変換されたアナログ信号を出力するアナログ音声出力部42とを備えることが好ましい。従来のビデオカメラ用モニターは音声出力がなく、現場のカメラマンがリターン音声やオンエアーの音声を聞く為に別のケーブルを配線しなければならなかった。本実施形態の構成によれば、このような別のケーブルを配線しなくても、リターン音声やオンエアーの音声を聞くことができる。
【0018】
また、ビデオカメラ用モニター装置Aは、ビデオカメラ映像入力部4に入力されたビデオカメラ映像信号を出力するビデオカメラ映像出力部を備えてもよい。ビデオカメラ映像出力部から出力されたビデオカメラ映像信号は、スイッチャーなどの外部機器に入力することができる。
【0019】
2.ビデオカメラ用モニター装置Aの正面側の外観及びコネクタや表示部の配置
次に、ビデオカメラ用モニター装置Aの正面側の外観及びコネクタや表示部の配置について説明する。
ビデオカメラ用モニター装置Aの正面側には、
図2に示すように、箱状の本体部10に、液晶表示部12と、タリー表示部11と、ブライト調整機能15と、コントラスト調整機能14と、ピーキング調整機能13と、オーディオ調整ボリューム16が設けられている。
【0020】
本体部10には、
図1中の各機能ブロックが収容されている。液晶表示部12には、映像選択部5が選択した映像が、映像表示調節部8によって定められたピーキングレベル、ブライトレベル及びコントラストレベルの条件で、表示制御部6の制御下で表示される。タリー表示部11は、タリー表示制御部44の制御下で発光する。
【0021】
ブライト調整機能15、コントラスト調整機能14、及びピーキング調整機能13は、映像表示調節機能と総称することができ、それぞれ、ブライトレベル、コントラストレベル、及びピーキングレベル(以下、「映像表示レベル」と称する)の調節に利用される。これらの調節機能のボリュームを回転させると、符号29、30、31で指し示すように液晶表示部12の中に各映像表示レベルが数字で数秒間表示される。このレベル表示はユーザーモード時に任意で設定できる。また、これらの調節機能のボリュームを押すことにより、LED26、LED27、LED28が消灯しプリセットモード(固定された標準設定レベル)に変わる。映像表示調節部8は、これらの映像表示調節機能からの入力に基づいて、映像表示レベルを調節する。本実施形態のビデオカメラ用モニター装置Aではこのような方法で映像表示レベルの調整を行うので、ビデオカメラのメーカーや機種を問わずに映像表示レベルを正確に調整して、映像をモニターすることができる。また、現場によりビデオカメラが変わっても適格に映像を表示することが可能になる。オーディオ調整ボリューム16は、音声出力部42から出力される音声のボリュームを調整する。
【0022】
3.ビデオカメラ用モニター装置Aの裏面側の外観及びコネクタや表示部の配置
次に、ビデオカメラ用モニター装置Aの裏面側の外観及びコネクタや表示部の配置について説明する。
【0023】
ビデオカメラ用モニター装置Aの裏面側には、
図3に示すように、タリー表示部17と、カメラ映像入力コネクタ18と、オーディオ出力端子24、オーディオ出力端子25が設けられている。
【0024】
タリー表示部17は、タリー表示制御部44の制御下で発光する。カメラ映像入力コネクタ18は、ビデオカメラからのビデオカメラ映像信号を入力するためのコネクタであり、このコネクタを介してビデオカメラ映像信号がビデオカメラ映像入力部4に入力される。
【0025】
A ビデオカメラ用モニター装置
4 ビデオカメラ映像入力部
6 表示制御部
7 記憶部
8 映像表示調節部
9 オーディオ信号分離部
10 本体部
11 タリー表示部
12 液晶表示部
13 ピーキング調整機能
14 コントラスト調整機能
15 ブライト調整機能
16 オーディオ出力調整ボリューム
17 後部タリー表示部
18 カメラ映像信号入力コネクタ
24、25 オーディオ出力コネクタ
26、27、28 LED
29 ブライトレベル表示
30 コントラストレベル表示
31 ピーキングレベル表示
41 DA変換部
42 音声出力部
42 アナログ音声出力部
44 タリー表示制御部