(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透過処理領域が、前記視界領域内において前記仮想カメラから所定の距離を有する直線境界または曲線境界に基づいて決定される、請求項1記載のゲーム・プログラム。
【背景技術】
【0002】
従来のゲーム・プログラムでは、ゲームの進行上、3次元の仮想空間平面上に複数のオブジェクトを配置し、仮想カメラから映した視界画像を生成して画面に出力するものがある。一例として、
図1では、ユーザ操作により、何の建造物も無い土地(平面)にオブジェクトを配置して街づくりを行うようなゲーム・プログラムの従来技術の画面例である。このようなゲームでは、ユーザは、自身の好みに応じて道路や建造物等のオブジェクトを平面上の所与の土地に配置することができる。
【0003】
更にユーザは、仮想空間平面上に配置したオブジェクトの選択を通じて、移動や変更等を含む所定のユーザ作用を行うことが可能である。ここで当該ユーザ作用について、スマートフォンやタブレット端末といったタッチ・ディスプレイを採用した端末を用いるゲームの場合を考慮する。上記のようなゲームでは、タッチ・ディスプレイに表示されるゲーム画像に対し、オブジェクト画像が配置された位置に対応するタッチ・ディスプレイ上の一領域をユーザがタッチすることにより、ユーザによるオブジェクト選択を可能にして、インタラクティブにゲームを進行させるのが一般的である。例えば、ユーザは、タッチ・ディスプレイにおいて、
図1のように表示される特定のオブジェクト(例えば、建物オブジェクトa)が表示された部分上をタッチすることにより、当該オブジェクトを選択できる。
【0004】
しかしながら、オブジェクトの後ろに隣接配置された別のオブジェクト(例えば、建物オブジェクトaに隣接する建物オブジェクトb)を選択したい場合、ユーザは、前方に隣接するオブジェクト(建物オブジェクトa)が表示された部分を避けるようにして、タッチ・ディスプレイをタッチしなければならない。前後の建物オブジェクトの重複領域においては、前方の建物オブジェクトが表示されることになるために、後方の建物オブジェクトは隠れ、視界上出現することはないからである。場合によっては、後方の建物オブジェクトが前方の建物オブジェクトに完全に隠れてしまい、タッチ・ディスプレイのタッチによる選択が不可能となることもあり得る。
【0005】
図1の画面例では、3次元仮想空間の比較的高い位置に配置された仮想カメラから撮影した視界領域を表示するのに対して、
図2の画面例では、仮想カメラの位置を比較的低い位置に下げ、地面に近い高さから撮影した視界領域を表示する。例えば、ユーザ指示により仮想カメラの位置を連続的に操作可能なゲーム、即ち仮想カメラ視線のユーザが3次元仮想空間内を自由に動き回ることができるようなゲームの場合は特に、
図1の視界領域と比較して、
図2の視界領域の方がユーザにより臨場感を与えることができるものと理解されよう。
【0006】
他方、
図2のように仮想カメラ位置を地面近くまで下げた場合、
図1の視界領域と比較して、3次元仮想空間の奥行き方向において視界領域の前後でオブジェクトが重複する相対割合が大きくなることが想定される。即ち、
図2の場合は、タッチ・ディスプレイにおいて後方に配置されたオブジェクトが表示される部分のみ上をユーザに的確にタッチさせるのは困難となる場合がある。これは、ユーザに操作上の煩わしさによる不快感を与えることになる。なお、上記ではタッチ・ディスプレイの例について説明したが、通常のディスプレイにおけるマウス・クリック等においても同様のことが言える。
【0007】
したがって、タッチ操作等のユーザ作用を容易にするために、オブジェクトに対して視覚状の表示制御を行うゲーム・プログラムを提供することは有利である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図2〜
図11を参照して、本発明の実施形態によるゲーム・プログラムについて説明する。図中、同一の構成要素には同一の符号を付している。
まず
図3および
図4を参照して、本発明の実施形態によるゲーム・プログラムを実行させるためのゲーム・システムの基本構成について説明する。
図3および
図4は、ゲーム・システムの主要な構成要素のみを示した概略ブロック図である。
【0013】
図3に示すように、ゲーム・システム100は、ユーザ端末10−1〜10−4(以後、「クライアント端末10」と総称する。)、およびゲーム・サーバ50を備え、これら要素間はネットワーク30を介して通信を行う。
【0014】
ユーザ端末10は、ゲーム・サーバ50で生成されるゲーム画像をブラウザ等のアプリケーションにより表示できる装置であればよく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム用コンソール、ノートPC等を含むが、これらに限定されない。
【0015】
図示のように、ユーザ端末10は、端末表示部11、端末入力部12、端末処理部13、端末通信部14および端末記憶部15等を備え、これらはバスを介して電気的に相互に接続される。
【0016】
端末表示部11は、ゲーム・サーバ50から端末通信部14で受信したゲーム画像を端末記憶部15に一時的に格納し、ブラウザを通じて表示する。端末表示部11は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現することができるが、実施形態においては、特にタッチ・ディスプレイとして構成するのがよい。端末入力部12は、3次元仮想空間に配置される仮想カメラの操作制御をするための命令や、3次元仮想空間に配置された各種オブジェクトに対するユーザ作用(オブジェクトの「選択」、「移動」、「削除」等)をするための命令を入力する。入力手段としては、キーボードや仮想キーボードによる文字入力、マウスによるオブジェクトのクリック、オブジェクト位置に対応するタッチ・ディスプレイ上の位置での指によるタッチ入力やスタイラスによる入力、およびその組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。
【0017】
端末入力部12で受けた入力命令に基づいて、端末処理部13がユーザ命令を作成し、端末通信部14およびネットワーク30を通じてゲーム・サーバ50と通信を行う。そして、ゲーム・サーバ50内において関連のゲーム・プログラムが実行される。端末記憶部15は、ユーザ端末に関連付けられる各種データ、および画像データの表示に必要なブラウザ等のアプリケーションを格納すると共に、ゲーム・サーバ50から受信する画像データ等の各種データも一時的に格納する。
【0018】
一方、ゲーム・サーバ50は、処理部51、メインメモリ52、外部メモリ53、ユーザ・インタフェース54、通信部55、およびディスク・ドライブ56等を備え、これらはバスを介して電気的に相互に接続される。処理部51は、外部メモリ53に格納されたプログラム・モジュール、およびディスク・ドライブ56に格納された各種データ等をメインメモリ52にロードして、順次プログラムを実行することによりゲームの進行を制御する。特に、処理部51は、ユーザ端末10での表示用ゲーム画像を生成して、通信部55を介してユーザ端末10に戻すように構成される。ユーザ・インタフェース54は、ゲーム・サーバ50の管理者によってサーバにアクセスされ、各種サーバ機能設定やネットワーク設定を実施する。
【0019】
なお、上記ゲーム・サーバ50に関する情報処理装置としての様々な機能の全部または一部は、ユーザ端末10が担うように構成してもよい。この場合には、ユーザ端末10単体で情報処理装置を構成するか、またはユーザ端末10およびゲーム・サーバ50全体で情報処理装置が構成される。
【0020】
更に、
図4を参照して、ゲーム・サーバ50内に実装される各機能について説明する。
図4は、
図3に示したゲーム・サーバ50に格納される各種プログラム・モジュールおよび各種データに関する例示の機能ブロック図である。仮想カメラ視界領域決定部50aでは、ユーザ命令にしたがって3次元仮想空間内の仮想カメラの位置を移動させ、仮想カメラの位置からの視界領域を決定する。透過処理オブジェクト決定部50bでは、上記視界領域に含まれる1つ以上のオブジェクトを特定する。また、その内から透過処理を実施するための透過処理対象オブジェクトを決定する。オブジェクト制御部50cでは、透過処理対象オブジェクトに対し、後述する所定のルールに基づく透過処理を実施する。最後に、ゲーム画像生成部50dでは、視界領域の画像および透過処理を実施したオブジェクトの半透明画像を合成して、ユーザ端末10で実際に画面表示されるゲーム画像を生成する。
【0021】
仮想空間データ501は、仮想カメラ視界領域決定部50aで主に用いられ、3次元仮想空間を定義する3次元座標(xyz)データ、およびオブジェクトを配置するための平面上の座標系(xy)を定義するデータを含む。仮想カメラ・データ502は、仮想カメラ視界領域決定部50aで主に用いられ、仮想カメラの3次元位置、方位、視野角度、移動速度、その他仮想カメラに関連付けて定義される任意のデータを含む。視界データ503は、仮想空間データ501および仮想カメラ・データ502に基づいて計算される仮想カメラの視界領域を表すデータを含む。オブジェクト・データ504および透過処理関連データ505は、透過処理オブジェクト決定部50bおよびオブジェクト制御部50cで主に用いられる。オブジェクト・データ504は、オブジェクトの平面座標位置や形状等のデータやオブジェクトに対して設定される各種フラグを含む(
図5として後述)。透過処理関連データ505は、透過処理領域に関係するデータ、透過処理対象オブジェクトの識別情報リスト、および透過処理時の透過率のような動的に計算される透過処理関連情報を含む。最後に、ゲーム画像データ506は、ゲーム画像生成部50dで主に用いられ、上記の各データを用いて生成されるゲーム画像データを含む。
【0022】
各種データ501〜506は、それぞれテーブル形式でディスク・ドライブ56に格納するのがよい。例えば、
図5は、オブジェクト・データ504を収容する例示のオブジェクト・テーブルである。図示のように、オブジェクト・テーブルには、これに限定されないが、ユーザが仮想空間平面に配置したオブジェクト毎に、オブジェクトID、アイコン種別、形状(L,W,H)、仮想空間平面上の配置位置(x,y)、ユーザ作用フラグ、および透過処理対象フラグを含むオブジェクト・データ504が収容される。オブジェクトIDはオブジェクトを一意に識別する識別子である。アイコン種別は、仮想空間平面に配置するオブジェクトのアイコンの種別を示し、例えば、AABBは「銀行」オブジェクトを、YYYYは「コンビニ」オブジェクトを示すといった具合である。形状は、オブジェクトの3次元仮想空間内における奥行き(W)、幅(W)、高さ(H)データである。仮想空間平面上の配置位置は、(x,y)座標系での位置データである。仮想空間平面を格子状して、格子の上に各オブジェクトを配置するようにしてもよく、この場合は、格子番号のようなデータとしてもよい。ユーザ作用フラグは、オブジェクトに対し、ユーザによるタッチ・ディスプレイのタッチ選択といったユーザ作用を可能とするかを初期設定するフラグであり、例えば「1」はユーザ作用「可」を、「0」はユーザ作用「不可」を示すデータである。透過処理対象フラグは、オブジェクトに対し、透過処理の対象とするかを初期設定するフラグであり、例えば「1」は透過処理「可」を、「0」は透過処理「不可」を示すデータである。なお、上記の各種プログラム・モジュールおよび各種データやテーブルは、例示のために用いたに過ぎず、当業者にとって、これらに限定されないことが理解されて然るべきである。
【0023】
次に
図6を参照して、本発明の実施形態によるゲーム・プログラムを用いて実行されるオブジェクト透過処理の基本態様についての一例を示す。
図6は、仮想空間平面(xy平面)上において、仮想カメラ1が点線で示す方向に距離Lだけ直線移動する場合(
図6(a)から
図6(b)に移動する場合)を想定する。そして、仮想カメラ1の視界領域(点線領域)60a,60b内に配置されたユーザ作用可能な2つの固定オブジェクトA,Bに対し、視覚上の処理として透過処理を実施することを示す。
【0024】
図示のとおり、オブジェクトAの後方にオブジェクトBが平面上に配置され、その結果、オブジェクトBは、その一部または全部がオブジェクトAのブラインド領域(斜線領域)70a,70bに配置されることになる。3次元仮想空間の表示画像(例えば
図2を参照。)において、奥行き方向の前後のオブジェクト同士で表示上重複が生じるのは、このようにxy平面上の前方オブジェクト(オブジェクトA)に関連付けられるブラインド領域内に後方オブジェクト(オブジェクトB)が配置される場合である。また、
図6(b)のように仮想カメラ1がオブジェクトAに近づくほどブラインド領域が広範となる。
【0025】
本明細書において、ブラインド領域とは、画面表示上、1のオブジェクトの存在により、他のオブジェクトの少なくとも一部が重複により表示されなくなるような状況に関し、1のオブジェクトに関連付けて定められる領域のことを言う。ブラインド領域は、視界領域内のものであり、視界領域に関連付けられる。つまり、画面表示において上記1のオブジェクトの両端となる部分に対して、
図6のように仮想カメラ1から直線を延ばすことで、視界領域内に形成される閉領域となる。なお、
図6の斜線部において、オブジェクトAの後方の部分のみを特にブラインド領域として規定するのがいい。
【0026】
特に、
図6(b)の場合には、オブジェクトBは、その全体がブラインド領域70bに含まれる。この点、先に説明したように、タッチ・ディスプレイを操作するユーザにとって、後方のオブジェクトBについて画面表示された部分に対し、タッチ・ディスプレイ上の該当領域のみを的確にタッチするのは困難である。
【0027】
そこで、仮想空間平面上の前方オブジェクト(オブジェクトA)に関連付けられるブラインド領域70a,70b内に後方オブジェクト(オブジェクトB)が配置される場合には、当該ブラインド領域70a,70bを透過処理領域として規定する。そして、前方オブジェクト(オブジェクトA)に対して透過処理を実施し、更に前方オブジェクト(オブジェクトA)に対するユーザ作用を不可能に設定する。結果として、背後の後方オブジェクト(オブジェクトB)の全体を表示させ、およびユーザ作用可能とすることができる。即ち、オブジェクトAの全体の画面表示に対応するタッチ・ディスプレイ上の領域をユーザがタッチしてもオブジェクトAは選択不可能である一方、オブジェクトBの全体の画面表示に対応するタッチ・ディスプレイ上の領域をユーザがタッチすることでオブジェクトBが選択可能となる。
【0028】
この際、仮想カメラ1と前方オブジェクト(オブジェククトA)の間の相対的な配置関係に応じて、前方オブジェクト(オブジェクトA)の透過率を動的に決定することができる。例えば、
図6(a)では、カメラに対しオブジェクトAが比較的離れて配置されているため、「オブジェクトAの透過率=30%」に、
図6(b)の例では、オブジェクトAが比較的近くに配置されているため「オブジェクトAの透過率=80%」に設定するといった具合である。なお、仮想カメラ位置とオブジェクト位置が一致し、距離が0となった場合には、透過率を100%に設定してオブジェクトAを画面から消去するのがよい。
【0029】
図6では、2つのオブジェクトA,Bの配置関係、およびこれに関連して決定されるブラインド領域に基づいて透過対象オブジェクト(オブジェクトA)を決定したが、本発明の実施形態によるゲーム・プログラムの実装においてはこれに限定されない。以下に
図7を参照して別の例を示す。
【0030】
図7に示すように、透過処理領域80a,80b(縦線領域)が視界領域60c,60d内に関連付けて規定される。
図7(a)の例では、透過処理領域80aは、仮想空間平面上の視界領域60c内において、仮想カメラ1から所定の距離に設けられた直線境界を用いた閉領域として規定される。ここでは、仮想カメラ1と直線境界の直線とは距離d1を有する。また、透過処理領域80bは、仮想空間平面上の視界領域60内において仮想カメラ1から所定の距離d2の曲線(即ち円弧)境界を用いた閉領域として規定される。
図7(a)の例のように透過処理領域80a内にオブジェクトが存在する(即ち、D1<d1)場合や、
図7(b)の例のように透過処理領域80b内にオブジェクトが存在する(即ち、D2<d2)場合には、(他のオブジェクトとの関係を考慮することなく)当該オブジェクト単体で透過対象オブジェクトとして決定される。そして、距離D1やD2に応じた透過処理が実施される。
【0031】
上記以外にも、例えば、
図5で説明したオブジェクト・データ504の透過処理対象フラグに応じてオブジェクトの透過処理を制御してもよい。即ち、視界領域に含まれるオブジェクトの内、当透過処理対象フラグが予め「1」(即ち、透過処理「可」)と設定されているオブジェクトについては、透過処理対象オブジェクトとして決定し、透過処理を実施するように構成してもよい。
【0032】
透過処理対象オブジェクトを決定する方法については、上記に説明した手法のそれぞれを単独または組み合わせて実装することができる点に留意すべきである。また、上記透過処理は、例えば、当業者にとって通常用いられるアルファ・ブレンドによる透過処理を採用することができ、この場合、アルファ値を適切に選択することにより透過率を決定される点に留意すべきである。
【0033】
次に
図8を参照して、本発明の実施形態によるゲーム・プログラムを実行する際のユーザ端末10とゲーム・サーバ50の間の処理シーケンスの詳細の例について説明する。
まず、ステップS11では、端末入力部12を通じたユーザ入力指示により、3次元仮想空間に配置された仮想カメラを連続的に移動(徘徊)させる(例えば、水平方向の移動)。ステップS11で決定される仮想カメラ位置に応じて、ゲーム・サーバ50では、ステップS51を実施する。即ち、仮想カメラ視界領域決定部50aにより、仮想空間データ501および仮想カメラ・データ502に基づき、当該仮想カメラの位置からの視界データ503を計算して視界領域を決定する。
【0034】
次いで、ステップS52では、透過処理オブジェクト決定部50bにおいて、視界データ503に加えオブジェクト・データ504を用いて、ステップS51で決定した視界領域内に含まれる1つ以上のオブジェクトを特定する。特に、そのオブジェクト・データが有するユーザ作用フラグが「1」(ユーザ作用「可」)である1つ以上のオブジェクトを候補オブジェクトとして特定する。
【0035】
引き続き、ステップS53では、同じく透過処理オブジェクト決定部50bにおいて、ユーザ作用フラグが「1」(ユーザ作用「可」)である1つ以上の候補オブジェクトの内から、実際に透過処理を実施する透過処理対象オブジェクトを決定し、透過処理関連データ505として生成する。透過処理対象オブジェクトの決定については、
図6,
図7等に関連して先に説明したとおりである。
【0036】
そして、ステップS54では、ステップS53で決定した透過処理対象オブジェクトに対し、オブジェクト制御部50cにおいて、仮想カメラと透過処理対象オブジェクトとの配置関係で決定される透過率に応じて透過処理を実施する。ステップS54に併せてステップS55では、オブジェクト制御部50cにおいて、透過処理対象オブジェクトに関連付けられるユーザ作用フラグを「0」(ユーザ作用「不可」)に設定する。これにより、透過処理対象オブジェクトの表示位置上でタッチ・ディスプレイをタッチしてもオブジェクト選択ができなくなる。
【0037】
ステップS56では、透過処理を実施した透過処理対象オブジェクトの透過画像(半透明画像)を視界データ503による画像と合成して、端末表示部11に表示するためのゲーム画像を生成する。そして、ステップS57で、このように生成したゲーム画像を、通信部55およびネットワーク30を通じてユーザ端末10に送信する。
【0038】
ゲーム画像を受信したユーザ端末10の端末処理部13は、端末記憶部15に受信データを一時的に格納し、ステップS12でブラウザ等のアプリケーションを用いて端末表示部11にゲーム画像を表示する。
【0039】
上記ステップS11、S51〜S57、S12は、仮想カメラを連続的に移動させている間は繰り返される。
このようにしてタッチ・ディスプレイ(端末表示部11)に表示されたゲーム画像について、ステップ13では、ユーザは、透過処理が実施されていないオブジェクトの内、特にユーザ作用フラグが「1」(ユーザ作用「可」)である1つのオブジェクトに対してユーザ作用を行うことができる。即ち、ユーザはタッチ・ディスプレイ(端末表示部11)および端末入力部12を通じたタッチ操作によって、当該オブジェクトの選択命令をサーバ50に通信することができる。そして、ステップ58では、ゲーム・サーバ50の処理部51によってオブジェクト選択動作用のプログラムが実施される。
【0040】
これより、
図9の概略平面図、および
図10の画面例を参照して、具体的なゲームの進行の一例について説明する。これに先立ち、
図2を再度参照する。
図2の画面例は、本発明の実施形態のゲーム・プログラムを実行することにより生成される画面イメージである。画面イメージの視界領域において、3次元仮想空間内の平面上に、様々な建物、車両、木等のオブジェクトが配置される。なお、これらのオブジェクトには、
図5に関連して説明したオブジェクト・テーブルに格納される各種データが関連付けられる。ユーザは、タッチ・ディスプレイ上で例えばスワイプ動作を行うことにより、所定の速度でx,y水平方向に仮想カメラを連続移動させることができる。
【0041】
図9は、
図2に示した3次元仮想空間の視野に対応する概略平面図である。図示のように、仮想カメラ1はy軸方向を向いており、スワイプ動作によるユーザ入力指示によりy軸に沿って(点線矢印方向に)移動する。また、仮想空間平面上に配置される各種オブジェクトは、x軸に沿って設けられた第1列〜第5列上に整列される。即ち、第1列にはオブジェクト1a〜1d(木)、第2列にはオブジェクト2a(車両)、第3列にはオブジェクト3a(コンビニ)および3b(カジノ)、第4列にはオブジェクト4a(コンビニ)、4b(ホテル)および4c(美術館)、並びに第5列にはオブジェクト5a(旅館)および5b(ホテル)が整列される。
【0042】
なお、第1列上の「木」オブジェクト1a〜1d、および第2列上の「車両」オブジェクト2aにそれぞれ関連付けられるユーザ作用フラグは、「0」(即ち、ユーザ作用「不可」)に初期設定されている。このため、ユーザはこれらオブジェクトに対し、タッチ・ディスプレイ上でのタッチのようなユーザ作用を行うことはできず、また以降の透過処理対象オブジェクトにもならない。
【0043】
仮想カメラ1が点線の矢印に沿って水平方向に連続的に移動する間、
図8に関連して説明した処理シーケンスが随時実施される。特に透過処理に関する処理として、ここでは
図7(b)に示した態様の透過処理が随時実施される。即ち、仮想カメラ1から第1列〜第5列までの各距離(D2)が所定の距離(d2)未満となった場合に、該当する列上に配置されたユーザ作用可能な各オブジェクトに対し、順次透過処理が実施される。
【0044】
図10(a)〜(d)は、
図2の画面例から仮想カメラ1が連続的に奥行き方向(
図9のy方向)移動するのに伴い、列上に整列したオブジェクトに対して順次透過処理が実施される様子を表した画面例である。具体的には、
図10(a)では、仮想カメラと第3列の距離が所定の距離d2未満であるため、第3列上に整列したオブジェクト3a,3bに対して、透過率30%程度の透過処理が実施される。引き続き、
図10(b)では、仮想カメラが更に進行して第3列に更に接近したため、同じくオブジェクト3a,3bに対して、透過率を増やして80%程度として透過処理が実施される。
【0045】
次いで、
図10(c)では、仮想カメラが第3列上まで進行し、仮想カメラと第3列の距離が0になったため、オブジェクト3a,3bに対して、透過率100%程度の透過処理が実施される。即ち、オブジェクト3a,3bを画面上から消去して非表示にする。
【0046】
そして、
図10(d)では、仮想カメラは第3列を越えて第4列に接近し、第4列との距離が所定の距離d2未満となったため、第4列上に整列したオブジェクト4b,4cに対して、透過率30%程度の透過処理が実施される。(なお、第4列上に整列したオブジェクト4aは既に仮想カメラの視界の外にあるため表示されていない。)なお、第5列は、最終列であり、透過処理を実施する必要がないことから、第5列のオブジェクトに対しては、透過処理対象フラグを「0」(透過処理「不可」)と初期設定し、仮想カメラがどんなに近づいても透過処理を実施しない。
【0047】
先に述べたように、
図9の例では、第1列上の「木」オブジェクト1a〜1dおよび第2列上の「車両」オブジェクト2aに対し、ユーザ作用フラグを「0」(ユーザ作用不可)と初期設定していた。しかしながら、仮にユーザ作用フラグが「1」(ユーザ作用可)に設定されていた場合であっても、次の
図11に関する説明のようにして透過処理対象から除外することもできる。
【0048】
図11は、本発明の実施形態のゲーム・プログラムにより実装される一例の3次元仮想空間についての概略側面図である。図示のように、仮想カメラ1と「ホテル」オブジェクトの間には、「人」オブジェクトX、「木」オブジェクトY、および「車両」オブジェクトZが配置される。オブジェクトX,Y,Zに関連付けられる各オブジェクト・データ(
図5を参照のこと。)における高さデータは、仮想カメラ1の垂直方向の高さHの値と比較して低い。このため、仮に背後にオブジェクトが隣接して配置されていても、これら隣接オブジェクトは十分に画面表示可能であるものと考えられる。この点、仮想カメラ1の高さHの値よりも小さい高さデータを有するオブジェクトについては、透過処理対象オブジェクトから除外するよう決定し、高さHの値よりも大きい高さデータを有するオブジェクトについてのみ透過処理対象オブジェクトとして決定することができる。または、これらオブジェクトX,Y,Zの高さデータが所定の高さデータ(絶対値)よりも小さい場合には、透過処理対象オブジェクトから除外するよう決定することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態による、仮想空間平面上に配置したオブジェクトを表示制御するゲーム・プログラムについて説明した。上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【課題】ユーザに対し、端末操作上の煩わしさを与えることなく、仮想空間内の各種オブジェクトへのユーザ作用を容易かつ円滑に実現できるゲーム・プログラムを提供すること。
【解決手段】仮想空間平面上に配置したオブジェクトを表示制御するゲーム・プログラムを提供する。ゲーム・プログラムは、ユーザ入力によって仮想空間内を移動可能な仮想カメラからの視界領域を決定する視界領域決定部、視界領域と関連付けて定められる透過処理領域内に配置され、ユーザ作用が可能に設定されたオブジェクトの内の少なくとも1つを透過処理対象オブジェクトとして決定するオブジェクト決定部、該決定された透過処理対象オブジェクトに対し、仮想カメラとの配置関係で決定される透過率に応じて透過処理を実施すると共に、ユーザ作用を不可能に設定するオブジェクト制御部、表示部に出力するために、透過処理対象オブジェクトの透過画像を用いて視界領域に基づくゲーム画像を生成する画像生成部、としてコンピュータを機能させる。