(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の表示すべき画像またはフレームに対応して、前記ディスプレイアレイ(1)の個々の行(1za1、1za2)による連続的な発光がなされ、この発光がなされるたびに、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の前記カメラアレイ(2)による受光動作がなされることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の双方向ディスプレイ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、上記従来技術を出発点として、上述の問題を解決し、十分な光学的および/または電気的なカップリングが保証されるような小型の双方向ディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された双方向ディスプレイ、および本願の特許請求の範囲の
請求項15に記載された当該双方向ディスプレイの制御方法によって解決される。本発明の好ましい実施態様が、本願の特許請求の範囲の各従属項に記載されている。本発明の好ましい利用法が
請求項16および請求項17に記載されている。
【0011】
本発明を、まず、種々の好ましい実施例に基づいて説明する。個々の実施例において互いに組み合わせることで実現される本発明の個々の特徴は、それらを当該実施例で示された組み合わせにおいてのみ実現されるのではなく、本願の特許請求の範囲に規定された発明の保護範囲内における別の組み合わせにおいても実現可能である。特定の実施例において示された個々の特徴は、別の実施例において削除され、または当該実施例に取り入れられる。
【0012】
本発明による双方向ディスプレイは、ディスプレイアレイおよびカメラアレイの入れ子状のまたは重ね合わされたアレイ構造、すなわち、像再生および受像の両方を行うアレイ構造にその基礎を置いている。カメラおよびディスプレイの分解能の必要に応じて、1個の受光素子、すなわちカメラピクセルは、例えば、複数の発光画素、すなわち複数のイメージピクセルによって取り囲まれ、あるいは、1個の画素は、例えば、複数のカメラピクセルによって取り囲まれる。カメラピクセルおよびイメージピクセルがディスプレイの行毎に交互に配置されるような構成(カメラピクセルおよびイメージピクセルのチェス盤状パターン)は、発光画素および受光素子の入れ子状の配置の別の態様と考えられ得る。
【0013】
以下において別途言及されない場合には、発光画素の最大放射のスペクトル領域(例えば可視光領域の強度最大値)は、受光素子の最大感度のスペクトル領域(例えば、近赤外線領域)から十分に離れている。そして、この規準により、不十分であるにせよ、確かな光学的デカップリングが実現される。
【0014】
本発明による双方向ディスプレイは、複数個の発光画素を有するディスプレイアレイと、複数個の受光素子を有するカメラアレイを備えている。ディスプレイアレイおよびカメラアレイは、好ましくは行単位で電気的に制御され、また好ましくは、少なくとも1部分毎に、入れ子状に配置される(上記アクティブマトリックスに関する説明を参照されたい)。
【0015】
概ね、ディスプレイアレイおよびカメラアレイは共に2次元のアレイである。しかしながら、ディスプレイアレイおよびカメラアレイのうちの一方(例えばカメラアレイ)のみを、1次元のアレイとして、すなわち、他方アレイの1つの行内、または2つの行の間に入れ子状に配置された単一の行として形成することもできる。
【0016】
本発明によれば、ディスプレイアレイおよびカメラアレイのタイムシーケンシャルな電気的制御が実現される。この場合、ディスプレイアレイおよびカメラアレイの電気的制御は、とりわけ、ディスプレイアレイの1つの行において発光動作がなされる間に、当該ディスプレイアレイの最も近くに位置するカメラアレイの行(選択的には、カメラアレイの当該行とは別の行)による受光動作が停止するように行われる。こうして、双方向ディスプレイの行毎の電気的制御がなされる。すなわち、まず、ディスプレイアレイの1つの選択された行において発光動作が開始し、次いで、当該行における発光動作が終了した後、ディスプレイアレイの当該行の最も近くに位置するカメラアレイの行が起動され、カメラアレイの当該行による像の取り込みがなされる。
【0017】
本発明が、1行毎の電気的制御だけでなく、複数行毎または複数列毎の電気的制御をも含んでいることは言うまでもない。すなわち、アレイの複数行毎または複数列毎の分割は単に定義の問題であり、(アレイを例えば90°回転させた場合に)複数の列は複数の行とみなすことができ、よって、対応するアレイの複数列毎の電気的制御は、本発明によって等しくカバーされている。
【0018】
本発明の別の好ましい実施例によれば、ディスプレイアレイおよびカメラアレイの電気的制御は、ディスプレイアレイの複数の行、好ましくは隣接する複数の行が(同時にまたは互いに時間的にずれて)において発光がなされる間に、ディスプレイアレイの当該行の最も近くに位置する(すなわち、隣接する)カメラアレイの複数の行の受光動作が停止するようになされる。
【0019】
この考え方をさらに進めることによって、電気的制御のより好ましい実施例が導き出される。その実施例では、ディスプレイアレイのいずれかの行において発光動作がなされている間に、カメラアレイによる受光動作がすべて停止する。この場合、ディスプレイアレイの電気的制御とカメラアレイの電気的制御が時間的に完全に分離される。そして、ディスプレイアレイのどこかで発光が生じた場合、カメラアレイの全体が、その光がカメラアレイのどこにおいても受光されないように制御される。
【0020】
しかしながら、他方において、ディスプレイアレイの1つの行(例えば、第1の、最上位の行)において発光動作がなされている間に、ディスプレイアレイの当該行に最も近い位置ではなく、ディスプレイアレイの当該行から十分な距離を隔てた位置にあるカメラアレイの1つの行による受光動作がなされるように、ディスプレイアレイおよびカメラアレイの電気的制御を行うこともできる。そして、とりわけ、ディスプレイアレイの当該行から最も遠い位置にあるカメラアレイの行によって受光動作がなされる構成とすることも可能である。この場合、ディスプレイアレイの発光動作を行っている行から十分な距離を隔てて位置するカメラアレイの複数の行が既に(互いに時間的にずれて、または同時に)受光動作を行っている間、または受光動作を開始したときに、ディスプレイアレイの複数の行が(互いに時間的にずれて、または同時に)発光動作をしているような構成も可能であることは言うまでもない。
【0021】
同様に、電気的制御を、カメラアレイの1つの行、または複数の行、または全ての行による受光動作がなされている間に、ディスプレイアレイの1つまたは複数の行におけるプログラミング、および/またはディスプレイアレイの当該1つまたは複数の行に表示すべきデータの当該行への書き込みがなされるように行うこともできる。この場合、ディスプレイアレイの当該1つまたは複数の行において、単に、プログラミングおよび/またはデータの書き込みはなされるが、光の反射に結合したデータの表示はなされない。
【0022】
また、電気的制御を、カメラアレイが外部光源(特に赤外線光源)によって露光され、および/または、カメラアレイの少なくとも1つの行によって受光がなされている間に、ディスプレイアレイのいずれの行においても発光動作または電気的励起がなされないように行うこともできる。
【0023】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、(ディスプレイアレイの1つまたは複数の行に対して)ディスプレイアレイの行に対するプログラミングの終了、および/または当該行に表示されるデータの当該行への書き込みの終了から、(カメラアレイの1つまたは複数の行による)受光動作の開始までの間に、予め決定された時間間隔Δtが存在する。この時間間隔は、カメラアレイの1つまたは複数の行による受光動作の継続時間Δt
KEの好ましくは少なくとも1/10、好ましくは少なくとも1/5、好ましくは少なくとも1/2である。
【0024】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、ディスプレイアレイの全ての行に対し、発光動作の継続時間は等しい長さに設定される。また、ディスプレイアレイの全ての行に対し、各行の発光動作
の停止および/または電気的励起
の停止および/またはスイッチオフの継続時間t
ADを等しい長さに設定することもできる。
【0025】
カメラアレイの全ての行における受光動作が、同一の時間間隔t
KEでなされ、ディスプレイアレイの個々の行における発光動作が、互いに時間的にずれて、かつ、ディスプレイアレイの全ての行に対して時間間隔t
KEの外側においてなされ得る。
【0026】
同様に、カメラアレイの個々の行における受光動作、およびディスプレイアレイの個々の行における発光動作が、互いに時間的にずれてなされるような構成も可能である。この場合、ディスプレイアレイの全ての行に対し、カメラアレイのその都度最も近くに位置する1行による受光動作が、発光動作の時間間隔の外側においてなされる。
【0027】
本発明によれば、ディスプレイアレイの1つの行における発光動作の概念は、次のように定義される。すなわち、発光動作は、当該行に表示すべきデータの当該行への書き込みおよび/または当該行のプログラミングと、当該行におけるデータの表示と、当該行に既に表示されているデータの消去と、を意味する。この場合、1つの行(または、ディスプレイアレイの全体)における発光動作の概念は、当該行またはディスプレイアレイの全体の電気的動作の全時間間隔を含んでいる。
【0028】
しかしながら、本発明によれば、発光動作は、前記書き込みおよび/またはプログラミングと、前記データの表示のみを意味する(すなわち、それに続く、当該行に既に表示されているデータの消去は含まない)ものと解することもできる。また、発光動作を、前記データの表示および前記データの消去のみを意味するものと解することもできる。さらに、本発明における発光動作が、1つの行(またはディスプレイアレイの全体)における前記データの表示のみを意味するものと解することもできる。
【0029】
本発明による、ディスプレイアレイおよびカメラアレイの電気的な制御方法は、これらの定義に対応し、またはデータの書き込み、および/またはプログラミング、データの表示およびデータの消去に対する対応する時間間隔に従うように適合せしめられねばならない。
【0030】
同様に、カメラアレイの1つの行(または、カメラアレイの全ての行が同時に作動する限りにおいてのカメラアレイの全体)における受光動作は、外部光源から放射されて当該行に入射する光量の積分と、この積分の開始までのスイッチオン遅延(または、その継続時間)と、外部光源からの入射光子の積分によって生じた当該行の信号の読み出しと、を意味する。この定義において、受光動作(または、その継続時間)は、カメラアレイの1つの行(または、カメラアレイの全体)の電気的な動作の全位相を含んでいる。
【0031】
しかしながら、本発明によれば、(ディスプレイアレイおよびカメラアレイの電気的制御における時間制御または個々の継続時間がそれに対応して適合せしめられている場合に)、受光動作は、前記積分と、前記信号の読み出しのみを含む位相を意味するものと解することもできる。また、受光動作を、前記スイッチオン遅延と、前記積分のみを含む時間間隔として、または前記積分の時間間隔として定義することもできる。
【0032】
本発明によれば、発光動作および受光動作が、繰り返し連続して(すなわち、周期的に)、好ましくは周期的な時間間隔で、ディスプレイに表示される個々のディスプレイ画像またはフレームに対応して実行される(この場合、発光動作を生じさせるサイクルがまた受光動作を生じさせ、ディスプレイアレイの個々の行における発光動作と、カメラアレイの個々の行による受光動作との関係が前述の実施例と同様にして実現され得る)。
【0033】
好ましくは、ディスプレイアレイ(または、その個々の発光画素)は可視光を放射するが、赤外線はできるだけ僅かしか、好ましくは全く放射しない。それに対し、カメラアレイ(または、その個々の受光素子)は、好ましくは赤外線(好ましくは、近赤外線)を検出するが、可視光はできるだけ僅かしか、好ましくは全く検出しない。
【0034】
ディスプレイアレイの発光画素またはピクセルは、有機発光ダイオードOLEDから構成され得る。カメラアレイの受光素子またはピクセルは、フォトダイオードまたはフォトトランジスタから構成され得る。この場合、発光画素および受光素子は、分離したまたは入れ子状のマトリックスとして構成され、かつ、CMOS技術を用いて形成されたまたは集積化されたマトリックスとして構成され得る。
【0035】
双方向ディスプレイは、横方向の長さが4μm〜40μmの発光画素、および横方向の長さが4μm〜40μmの受光素子を備えたマイクロディスプレイから構成され得る。
【0036】
上述のように、本発明による発光画素および受光素子の集積化、またはディスプレイアレイおよびカメラアレイの入れ子状の配置は、DE 102006030541 A1に記載されたのと同様にしてなされる。
以下、本発明が、複数の実施例に基づいて説明される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明による、2次元のディスプレイアレイ1と2次元のカメラアレイ2を有する双方向ディスプレイの概略構成を示す図である。
図1において、ディスプレイアレイ1の個々の発光画素1a、1b、・・・の位置は、2次元の正方形格子の交点に一致し、同様に、カメラアレイ2の個々の受光素子2a、2b、・・・の位置は、別の2次元の正方形格子の交点に一致している(この場合、ディスプレイアレイ1の格子の格子サイクルp1は、カメラアレイ2の格子の格子サイクルp2の1/2である)。ディスプレイアレイ1の格子およびカメラアレイ2の格子は、互いにずれて重ね合わされていて、カメラアレイ2の各受光素子2a、2b、・・・が、ディスプレイアレイの各4個の発光画素1a、1b、・・・によって規則的に四隅を取り囲まれている。
【0039】
双方向ディスプレイの第1の行1za1は、ディスプレイアレイ1の第1の行に対応し、双方向ディスプレイの第2の行2zk1は、カメラアレイ2の第1の行に対応し、双方向ディスプレイの第3の行1za2は、ディスプレイアレイ1の第2の行に対応する。また、双方向ディスプレイの第4の行1za3は、ディスプレイアレイ1の第3の行に対応し、双方向ディスプレイの第5の行2zk2は、カメラアレイ2の第2の行に対応する。
【0040】
すなわち、双方向ディスプレイは、それぞれが10個の画素1a、1b、・・・からなる全部で2L=10行から構成されるディスプレイアレイ1と、それぞれが5個の受光素子2a、2b、・・・からなるL=5行から構成されるカメラアレイ2を有している。ディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2は、それぞれ、(互いに独立に)行単位で電気的に制御され、それによって、例えば、行毎のデータがディスプレイアレイ1の個々の行に書き込まれることで、個々の行にディスプレイ表示がなされ、その後、行毎にデータ消去がなされる。同様にして、受光素子2a、2b、・・・によって生成された信号の読み出しが行単位でなされる。ディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2のこのような行単位での制御の電気的な切り替えは、当業者に知られている。
【0041】
ディスプレイアレイ1の第1の行1za1の最も近くに位置するカメラアレイ2の行は、行2zk1である。カメラアレイの行2zk1は、また、ディスプレイアレイ1の第2の行1za2の最も近くに位置する。ディスプレイアレイ1の第3の行1za3の最も近くに位置するカメラアレイ2の行は、カメラアレイ2の第2の行2zk2である。
【0042】
本発明の最も簡単な実施例によれば、電気的制御は、ディスプレイアレイ1の第1の行1za1(および第2の行1za2)における発光動作がなされている間に、最も近くに位置するカメラアレイの行2zk1による受光動作が停止するように行われる(すなわち、この行におけるカメラ受光はスイッチオフされる)。これは、ディスプレイアレイ1のそのほかの行1za3、1za4、・・・についても、対毎に行われ得る。例えば、ディスプレイアレイ1のいずれかの行1zaにおける発光動作がなされている間に、例えばカメラアレイ2の全ての行2zkの受光動作が停止していることは言うまでもない。本発明によるディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の電気的制御の詳細は、以下で説明する。
【0043】
図2は、
図1に示した、本発明によるディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の第1の電気的制御を説明したものである(
図2の下半分の部分Sを参照)。この構成では、従来技術において知られたディスプレイアレイ(「ディスプレイ」)およびカメラアレイ(「カメラ」)のパラレル駆動P)とは対照的に、ディスプレイアレイ1の電気的制御または電気的励起と、カメラアレイ2の電気的制御または電気的励起とは時間的に完全に独立になされる。
【0044】
図2は、時間間隔Δt
1+Δt
2の画像表示の1サイクルを示したものである(すなわち、ディスプレイ画像の生成は、本発明では、個々の行における発光動作という)。このサイクルの間に、赤外線検出カメラアレイによって、受光素子2a、2b、・・・に入射する赤外線の検出がなされる(すなわち、本発明では、カメラアレイの個々の行による受光動作という)。(図示されない)次のサイクルにおいて、場合によっては変更されたディスプレイ画像の表示がなされる(例えば、
図3の「ディスプレイ画像2」を参照されたい)。
【0045】
パラレル駆動P)は、パラレルな制御方法を示している。この制御方法においては、双方向ディスプレイのアクティブマトリックスの内部のディスプレイアレイ1は、行毎にプログラムされ、ディスプレイアレイ1の個々の行におけるデータの書き込みおよび表示がなされている間に(「ディスプレイデータの書き込み」)、カメラアレイ2における積分およびカメラアレイ2の個々の行におけるカメラデータの読み出しがなされる。P)において書き込まれた全てのプロセスの時間的な基準値は、ピクセルクロック(Pixeltakt)である。新たな像点は、例えばピクセルクロックを用いて、ディスプレイアレイ内にプログラムされる。P)に示されたカメラスタート遅延時間間隔は、カメラ積分時間のサイクル内に適合せしめるための、ダイナミックな時間バッファーとして使用される。作動の間に、高いダイナミックレンジを達成するために、カメラ積分は、受光素子に入射する光量に応じて適合せしめられねばならない。
【0046】
これに対し、
図2の下半分の部分に示した本発明による電気的制御においては、ディスプレイアレイ1(「ディスプレイ」)の電気的な動作(これにはディスプレイアレイの個々の行における発光動作の全体が含まれる)と、カメラアレイ2の電気的な動作は、カメラアレイ2の個々の行による受光動作がなされている間に、互いに完全に分離される。すなわち、第1の時間間隔Δt
1(これは、ほぼサイクルの最初の60%に相当する)において、専らディスプレイアレイ1における電気的な動作がなされ、それに続くサイクルの第2の時間間隔Δt
2(これは、ほぼサイクルの最後の40%に相当する)においては、専らカメラアレイ2における電気的な動作がなされるが、ディスプレイアレイ1の電気的な動作は全くなされない。言い換えれば、Δt
1においては、専らディスプレイアレイ1の制御が行われる一方、Δt
2においては、専らカメラアレイ2の制御が行われる。
【0047】
個々の行におけるディスプレイアレイへのデータの書き込み、当該データの表示および当該データの消去は、ディスプレイアレイにおける発光動作に対応している。カメラアレイ2の個々の行におけるカメラスタートの遅延、信号集積(「カメラ積分」)およびカメラデータの読み出しは、カメラアレイ2の行による受光動作に対応している。カメラスタート、カメラ積分およびカメラデータの読み出しの間に、
図1に示したOLEDディスプレイアレイ1は、完全に消灯されるように切り替えられる。
【0048】
図3は、
図1に示したディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の全部で3つの電気的制御を示したものである(本発明によるこれらの制御またはタイミングは、記号V2、V3、V4によって与えられる)。
図3の縦座標は、ディスプレイアレイ1またはカメラアレイ2の異なる電気的制御を表し、横座標は、ディスプレイアレイ1の個々の行における発光度さおよびカメラアレイ2の個々の行における受光動作の継続時間を表している。ここでは、説明を簡単にするため、ディスプレイアレイ1においては、8つの行1za1〜1za8のみを図示するとともに、カメラアレイ2においては、4つの行2zk1〜2zk4のみを図示している。この場合、「ディスプレイ画像1」は第1のサイクルを示し(
図2参照)、「ディスプレイ画像2」はそれに続く第2のサイクルを示している。
【0049】
縦座標の最も上の部分(「カメラ」)は、最初の行から最後の行までのカメラアレイ2の個々の行2zkの行毎の制御を表している。すなわち、カメラアレイ2の全ての行に対する同一の時間間隔t
KE(この時間間隔Δt
KEは、例えば5マイクロ秒に設定される)においてのみ、カメラアレイ2の図示された行2zk1〜2zk4による同時的な受光動作がなされる(図示の実施例では、一定程度の、場合によっては現在のスイッチオン遅延を含む、カメラ2の個々の行における入射光量の積分がなされている間に、カメラの個々の行における受光動作が時間間隔t
KEに対応する。カメラの個々の行のデータの読み出しは、時間間隔にt
KEに関係づけて時間的にずれてなされる。
【0050】
縦座標の上から2番目の部分(「ディスプレイV1」)は、従来技術において知られたディスプレイおよびカメラのパラレル駆動(
図2のP)参照)の場合の、ディスプレイアレイ1の個々の行1zaにおける発光動作の時間的遷移を示している。このディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の公知の電気的制御V1においては、時間間隔t
KE内にカメラの個々の行による受光動作がなされている間に、(ディスプレイアレイの行毎に)ディスプレイアレイの行へのディスプレイデータの書き込みの形態、または対応するディスプレイデータの表示または消去の形態(「ディスプレイのプログラミング」)でのディスプレイアレイ1における電気的動作がなされる(これらを総称して「ディスプレイの点灯」という)。このように、従来技術においては、ディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2における電気的な動作は全く分離されていない。
【0051】
縦座標の中央の部分(「ディスプレイV2」)は、縦座標の最も上の部分(「カメラ」)と組み合わせて、以下ではタイミングV2というが、これは、
図1に示したディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の電気的制御のための方法を示している。ディスプレイアレイの1つの行1zaにおける発光動作が、当該行の1つまたは複数の発光画素がデータを表示(すなわち点灯、「ディスプレイ点灯」)している時間間隔として定義されるならば、電気的制御時またはタイミングV2におけるディスプレイアレイの個々の行における発光動作は、カメラアレイ2のいずれの行における受光動作も生じさせない(「カメラオフ」)。
【0052】
ディスプレイアレイの行における発光動作が終了(「ディスプレイオフ」)して初めて、電気的動作が、カメラアレイ2においてタイミングV2で、時間間隔t
KEの間受光動作の形態で行われる(この場合、この受光動作はカメラアレイの全ての行においてなされ、カメラ積分の開始までのスイッチオン遅延およびカメラアレイの個々の行における積分がこの時間間隔に含まれる)。
【0053】
(時間間隔t
KEにおいて)カメラアレイ2による受光動作がなされている間は、ディスプレイアレイ1におけるいかなる発光動作もなされず、ディスプレイアレイ1の少なくとも2つの行のプログラミングのみがなされる(この場合、時間間隔t
KEにおけるカメラアレイ2による受光動作には含まれない、行毎に連続して実行されるカメラの読み出しが、それに続くサイクルの間に生じる)。ディスプレイアレイの行のプログラミングには、当該ディスプレイアレイの行へのデータの書き込み、およびその前に実行される古いデータの消去が含まれる。
【0054】
この場合、ディスプレイアレイ1の電気的制御およびカメラアレイ2の電気的制御の完全な分離はなされない。なぜなら、ディスプレイアレイの最後の2行のプログラミングは、まだカメラの露光がなされている間に実行され、そして、カメラの読み出しは、まだディスプレイが点灯しているときに実行されるからである。
【0055】
このタイミングV2が、ディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の改善された光学的デカップリングをもたらすことは明らかである。しかしながら、本発明によるディスプレイアレイおよびカメラアレイのデカップリングは、(スイッチオン遅延および積分を含む)カメラによる
受光動作(「カメラの露光」)の間に、ディスプレイアレイ1におけるいかなる電気的な動作もなされないようにすることで、さらに改善される。この実施例は、タイミングV3に示されている。タイミングV3は、基本的にタイミングV2と同様に実行される。しかしながら、ディスプレイアレイのプログラミングは、ディスプレイアレイの個々の行に対し、当該行のプログラミングの終了からカメラアレイによる受光動作の開始(時間間隔t
KEの始端)までの間に、少なくとも時間間隔Δt(Δtは例えば5マイクロ秒に設定される)の予め決定された中断が生じるように実行される。すなわち、ディスプレイアレイ1の全ての電気的な動作は、時間間隔t
KEの外側においてなされる。
【0056】
ディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の電気的制御V3では、
図1に示したOLEDベースのディスプレイアレイ1において、点灯継続時間の増大を伴う、ディスプレイ中の行のプログラミングの終了(すなわち、
図3において「ディスプレイの点灯」として示した時間間隔の始端)までの時間経過につれて、ディスプレイの光度が低下する。これは、発光面がパルス駆動され、観察者に対し、平均して、パルスレシオで低下する輝度をもたらすことに起因する。
【0057】
タイミングV3では、(カメラの露光が生じる時間間隔t
KEの間に)ディスプレイアレイの個々の行における発光動作の中断が、ディスプレイアレイ1の個々の行1zaに対して、個々の行のプログラミング(「ディスプレイのプログラミング」)の終了後の異なる時刻においてなされる。それによって、1サイクルにおけるディスプレイアレイの個々の行1zaが、全部合わせて、同一の時間間隔にわたって発光し、または点灯すること(時間間隔t
KEの時間長Δt
KEを除いた、1サイクルにおける行のプログラミング、例えば
図3における「ディスプレイ画像1」の終了から、次のサイクルにおける当該行の次のプログラミング、例えば
図3における「ディスプレイ画像2」の開始までの時間間隔)が保証される。他方、ディスプレイアレイの観察者は、例えば400Hzの高いディスプレイ画像レートまたはフレームレートにより、最終的に、ディスプレイアレイ1の個々の行の前述の時間間隔に1サイクル毎に出力される光度にわたる積分に気づく。個々の行における発光動作の中断が、(行のプログラミングの終了から始まって)異なる時刻になされる場合、前述の積分に基づき観察者によって気づかれる行の輝度に対する、時間経過につれての1サイクル毎の光度の低下によって、異なる結果が生じる。言い換えれば、行のプログラミングの終了後の早い時刻までの時間間隔t
KEの間、発光動作が中断するディスプレイアレイの行と、行のプログラミングの終了後の遅れた時刻までの時間間隔t
KEの間、発光動作が中断する、観察者にとっては暗黒(黒色)の行とが生じる。しかしながら、これは望ましいことではない。
【0058】
この問題は、電気的制御V4、または対応するタイミングにおいて次のように解決される。すなわち、タイミングV3の場合と同様に、カメラアレイの全ての行2zkにおいて、同一の時間間隔t
KEの間に、受光動作がなされる。さらに、ディスプレイアレイの異なる行1zaにおける発光動作が時間的にずれてなされ(その都度、対応する行のプログラミングの終了でもって始まり、この場合、時間間隔t
KEの外側、さらにカメラアレイ2の行2zkの受光動作の外側において行1za毎に発光動作がなされる)、そして、ディスプレイアレイの行1zaのそれぞれに対し、発光動作の継続時間t
AE(対応するディスプレイアレイのプログラミングの終了でもって始まる当該行におけるディ
スプレイデータの表示を含む「ディスプレイの点灯」)は同じ長さである。言い換えれば、全ての行1zaに対して、発光動作の継続時間t
AEは同等である。ディスプレイアレイの個々の行1zaの発光動作が停止している時間間隔t
AD(すなわち、1つのサイクルにおける1つの行の発光動作の終了から次のサイクルにおける当該行の発光動作の開始までの時間間隔)は、ディスプレイアレイ1の全ての行に対して同じ長さである。それによって、ディスプレイアレイ1のそれぞれの行1zaに対し、カメラの露光の時間間隔が一定の時間間隔に収まることが保証される。そして、この時間間隔において、ディスプレイアレイ1の対応する行がスイッチオフされ、ディスプレイアレイのスイッチオフの継続時間とディスプレイアレイによる発光動作の継続時間の割合が等しくなる。それによって、タイミングV3の前記問題が、タイミングV4によるディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の電気的制御において生じる。
【0059】
図1に示したディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2のさらに別の電気的制御(以下においてタイミングV5と呼ばれる)が、前述のタイミングV4と対比して
図4に示してある(この図において、カメラアレイ2の電気的制御の時間経過が、ディスプレイアレイ1の電気的制御の時間経過に重ねあわせて表示されている。ここでは、カメラアレイ2の4つの行2zkと、ディスプレイアレイ1の8つの行1zaだけが再び表示されている)。
【0060】
前述のタイミングV4では、カメラアレイの全ての行2zkによる受光動作が同一の時間(時間間隔t
KE)になされ(カメラアレイの個々の行2zkの読み出しの時刻だけが対応してずらされ、すなわち、時間間隔t
KEの経過後時間的にずらされる)るが、これは、もはや、タイミングV5においては現実ではない。タイミングV5においては、時間間隔t
AEが時間的に互いにずらされる間に、ディスプレイアレイ1の個々の行1zaにおける発光動作がなされるのみならず、時間間隔t
ADの間にカメラアレイの個々の行2zkにおける受光動作もまたなされ、また、この時間間隔t
ADの間に、ディスプレイアレイ1の対応する行1zaは、その都度停止またはスイッチオフされる。
【0061】
言い換えれば、タイミングV5における1つのサイクルは、ディスプレイアレイの個々の行1za(例えば行1za1)およびその最も近くに位置するカメラアレイの行2zk(例えばディスプレイアレイの行1za1の最も近くに位置する行としての2zk1)に対し、次のように経過する。すなわち、ディスプレイアレイの行1zaのプログラミング、(時間間隔t
AEの間の)ディスプレイアレイの行1zaの発光動作、ディスプレイアレイの行1zaの発光動作の終了(ディスプレイアレイの行1zaは時間間隔t
ADにわたってスイッチオフされた状態にある)、カメラアレイの対応する行2zkにおける電気的な動作、すなわち、カメラアレイの当該行の受光動作の開始(受光動作は時間間隔t
LEの間生じる)、時間間隔t
AKの間のカメラアレイの当該行の読み出し、および、カメラの読み出しt
AKの経過後に続く、次のサイクルの開始またはディスプレイアレイの対応する行1zaの新たなプログラミング。
【0062】
図4の縦座標「ディスプレイV5」に示したように、この場合、カメラアレイの最初の行2zk1における電気的な動作または受光動作が、(当該行2zk1の最も近くに位置するディスプレイアレイ1の行1za1のスイッチオフの後)当該行2zk1から最も遠い位置にあるディスプレイアレイ1の行、すなわちディスプレイアレイ1の最後の行1za(2L)がまだ発光動作をしているときに開始する。こうして、ディスプレイアレイ1の最後の行の、カメラアレイの最初の行2zk1、2zk2、・・・からの距離が十分に大きくなり、それによって、ディスプレイアレイ1の最後の行によって放射された光の、カメラアレイ2の最初の行の受光素子2における
クロストークが無視し得るほど小さくなることが保証される。
【0063】
図4に示したタイミングV5は、タイミングV4に比べて、受光動作の際の時間的ずれによる、カメラアレイ2の行毎に許容される受光動作のための時間間隔t
LEの長さが、タイミングV4(この場合、カメラアレイの全ての行における受光動作が同時になされる)における時間間隔t
KEに基づき自由に用いられる時間Δt
KEよりも長くなるという効果をもたらす(最大受光動作継続時間の最適化、すなわち、カメラアレイの行の最大積分時間の最適化)。
【0064】
こうして、本発明によれば、(例えばタイミングV2〜V5にわたって)ディスプレイアレイおよびカメラアレイの異なる行毎のシーケンシャルな制御が可能になり、この場合、(例えばタイミングV4に示すように)ディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2における電気的制御または電気的な動作は、殆ど完全にまたは完全に互いに分離してなされる。
【0065】
(双方向OLEDマイクロディスプレイの形態の)HMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)の分野における本発明の双方向ディスプレイおよびその電気的制御を最適に利用可能にするため、システムコンポーネントの設計およびその制御の方法が、本発明に基づき以下において提案される。
図6は、本発明による双方向OLEDマイクロディスプレイにその基礎を置いたHMDにおける視線検出への依存性を示したものである。
【0066】
人間の目は、赤外線放射源3によって、法律に従って決定された制限値までの光子の照射を受けることができる。この制限値は、なかんずく、赤外線放射源3の配置に依存する。制限値は、ランプおよびランプシステムの光線生物学的安全性に関する規格DIN EN 62471、および、レーザー装置の安全性に関する規格DIN EN 60825−1において定められている。光子の一部は目によって反射されて、双方向光学系を透過する。次の信号処理において、再び光子の一部がOLED積層体を透過し、その後、フォトダイオード2a、2b、・・・またはカメラアレイ2の内部において光電流I
phに変換される。カメラ−ピクセル回路は、光電流を電圧U
dioに変換する(
図5(t=時間)を参照されたい)。アナログ−ディジタル変換器は、電圧信号U
dioをディジタル化し、ソフトウェア−視線追跡−アルゴリズムの使用に供する。
【0067】
目の像を確実に検出するには、一般に、カメラアレイ2のピクセルまたは受光素子2a、2b、・・・の大きな電圧上昇が必要とされる。
図6に示したシステムの内部において、この電圧上昇U
dioは、次式に従って計算される。
【0068】
【数1】
(U
dio=フォトダイオードの電圧、U
sperr=カメラピクセルの駆動電圧、I
ph=光電流、I
s=フォトダイオードのカットオフ電流、C
rlz=フォトダイオードの体積電荷容量)
【0069】
光電流I
phの大きさは、法律に従って定められた人間の目に対する最大照射強度H
ir_max、および
図6に示したシステムの内部の反射および透過損失に間接的に依存する。光電流I
phは、集積された受光素子2a、2b、・・・のスペクトル感度に直接的に依存する。
【0070】
システム内部における期待すべき最小の光電流I
ph_min(以下を参照されたい)が確認された後、設定可能なまたは許容し得る最大の積分時間T
intが決定される(T
intは、実質上、すなわち、場合によっては、個々の行におけるカメラスイッチオン遅延時間を除いて、タイミングV4の時間間隔t
KE、またはタイミングV5の時間t
LEに対応する)。システム内部において決定された最大積分時間T
intが長すぎる場合には、ピクセルパルス周波数が増大し、それに伴って電力消費量も増大する。
【0071】
システムの全体を、目の像の確実な検出および最適の入力に関してチューニングするために、設定可能な最大の積分時間(または、フレームまたはディスプレイ画像が表示されている間のカメラアレイの行2zkによる受光動作に関する最大の時間)の確認のための次の手法が採用され得る。
【0072】
・OLED積層体の透過特性、またはディスプレイアレイおよびカメラアレイからなるアクティブマトリックスの入射光の波長λに関する依存性を、例えば、専門家によく知られた転移行列法(この方法については、ゼルネリウス(Sernelius)、Bo E.「金属表面からの反射」、リンケーピング(Linkoeping)大学、講義集、2010年を参照されたい)を用いて計算すること。
・本発明による双方向OLEDディスプレイ内に集積された受光素子、またはフォトダイオード、またはフォトトランジスタの波長λに依存するスペクトル感度をシミュレートしまたは測定すること。
・アクティブマトリックスまたはOLED積層体の光透過曲線、および受光素子のスペクトル感度曲線を加えることによって達成可能な最大スペクトル感度を確認すること。
・数値範囲、800nm<λ<1,000nmから、赤外線照射源3の最大の波長λを選択し、それによって、OLED積層体またはアクティブマトリックス、および受光素子またはフォトダイオードにおいて高いスペクトル感度が達成されるようにすること。
・DIN EN 62471およびDIN EN 60825−1に従って、人間の目に対する許容される最大の照射光強度を計算すること。
・双方向ディスプレイにおけるカメラアレイの光透過特性を計算すること。
・人間の目に関する達成可能な最小の反射量を評価すること。
【0073】
上記計算または評価に基づいて、カメラピクセル内部または受光素子内部における達成可能な最小の光電流I
ph_minが決定され、あるいは見積もられる。この値I
ph_minに基づき、上記式1に従って、カメラピクセル内部のU
dio?U
SPERRに対する設定可能な最大の積分時間T
int(または、タイミングV4またはV5におけるt
KEまたはt
AD)が計算によって決定される(あるいは、そのために、T
intがまたアナログシミュレーションによって決定される)。
【0074】
得られた積分時間T
intは、双方向OLEDマイクロディスプレイの最適制御の設計、すなわち、
図3および
図4に示した、本発明によるディスプレイアレイ1およびカメラアレイ2の制御における時間間隔の選択のための基礎として使用される。
【0075】
従来技術において知られたパラレル駆動P)(
図2の上側部分を参照されたい)では、ディスプレイアレイ1がデータを連続的に表示し、ディスプレイアレイ1の間に入れ子状に配置されたカメラアレイ2がそれと同時に使用者の視線を連続的に検出する一方、本発明に基づいて制御された双方向ディスプレイによれば、発光素子1a、1b、・・・および受光素子2a、2b、・・・の間の光学的および/または電気的クロストークは、最小限に抑えられ、またはほぼ完全に発生しなくなる。これは、ディスプレイアレイ1の輝度が高いとき、それにもかかわらず、カメラアレイ2によって取得されたカメラ画像が視線の向きの測定のために使用可能であるという効果をもたらす。本発明による、ディスプレイアレイの点灯時間と、カメラアレイによるカメラ画像の取得の分離は、このことに対して本質的である。
【0076】
上述のように、
図2は、従来技術において知られたパラレルな制御法と、本発明によるシーケンシャルな制御法とを対比したものである。本発明によるシーケンシャルな制御法によれば、まず、ディスプレイにデータが書き込まれる。この位相において、OLEDが点灯する。画像の行毎に時間的に同一の輝度で表示するために、各行のデータが、データの書き込みの場合と同じ順序で消去される。次いで、OLEDが消灯され、積分時間間隔T
intがカメラアレイ2を伴って開始する。続いて、カメラアレイ2のデータの読み出しがなされる。必要なピクセルクロック周波数f
pixelが、次のようにして、本発明に基づくシーケンシャルな制御方法に対し、前もって計算された最大積分時間T
int、およびディスプレイおよびカメラの解像度も考慮して、次式(式2)に従って計算される。
【0078】
N
ein_d?N
losch_d?ディスプレイの行数、ディスプレイの列数
N
dar_d?点灯位相の間のピクセルクロックの個数
N
aus_k?カメラの行数、カメラの列数、および
【0080】
本発明のタイミングV2において、ディスプレイのプログラミングの間に、カメラ露光の継続のために、OLEDは完全に消灯される。すなわち、タイミングV2において、ディスプレイコントローラがまだデータの書き込みを行
っている間に、ディスプレイアレイ1は、一定の時間窓に対してスイッチオフされる。本発明のタイミングV3は、露光時間の間およびディスプレイプログラミング位相後における、ディスプレイマトリックスの高速プログラミングおよびディスプレイのスイッチオフを記述する。タイミングV3においては、ディ
スプレイアレイ1は、ディスプレイコントローラが全てのデータの書き込みを終了した後に、一定の時間窓に対してスイッチオフされる。
【0081】
本発明のタイミングV4は、純粋なシーケンシャル駆動を記述しており(
図2のSを参照されたい)、この場合、ディスプレイアレイが行毎にプログラミングされ、一定の点灯時間の経過後、行毎にデータを消去される。ディスプレイアレイの最後の行のデータ消去が終了した後、カメラの露光がなされる。本発明のタイミングV4は、ディスプレイの調光のためにも使用可能である(輝度をパルス幅にわたって、より正確には、対応するディスプレイアレイがスイッチオフされている時間間隔t
ADにわって調整すること。
図4を参照されたい)。すなわち、本発明による双方向ディスプレイの全輝度は、ディスプレイアレイの各行に対する点灯時間の変更によって制御され得る。タイミングV4においては、ディスプレイアレイの個々の行は、段階的にスイッチオフされ、その後、ディスプレイアレイが完全にスイッチオフされる。システム内部の設定可能な輝度が変更されると、より高い輝度となった場合には、ディスプレイアレイの各行または画像の各行に対する点灯時間がより長くなるように制御がなされる。
【0082】
本発明による双方向ディスプレイは、入れ子状に形成されたアクティブマトリックスを備えたOLEDマイクロディスプレイから構成され得る。しかしながら、CMOS回路上のディスプレイアレイおよびカメラアレイの分離がまた重要となる。本発明によってまた提案されたデータの読み出しに対する方法により、赤外線照射源は、双方向OLEDマイクロディスプレイのカメラピクセルの内部に、可能な最大の光電流I
phを生じさせる。この光電流の定義により、式1を用いて、必要な最小の積分時間T
intが決定され得る。最適ではない、大きすぎる積分時間は、回路設計の労力を増大させ、システム周波数および電力消費量を増大させ、その高い周波数に起因してシステムの信頼性を低下させる。
【0083】
最適化された積分時間の使用下に、本発明のシーケンシャルな電気制御が導入され、それによって、OLEDピクセルおよびカメラピクセル間の光学的および/電気的クロストークによる干渉が回避される。その結果、本発明によるディスプレイに基づいて実現されたHMDシステムは、最適化された電力消費量でもって作動し、そして、干渉を受けることなく画像を取得する。さらには、本発明のシーケンシャルな電気制御によって、輝度の制御がまた可能である。
【0084】
こうして、非常に小型化された視線追跡型HMDは、高い信頼性を伴って作動する。ディスプレイの輝度がまた、カソード電圧調節器のような外部回路コンポーネントを備えずとも、変更可能に設定され得る。