特許第5767476号(P5767476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767476
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】コンディショニングシャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20150730BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20150730BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20150730BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/46
   A61K8/26
   A61Q5/02
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-550140(P2010-550140)
(86)(22)【出願日】2009年3月5日
(65)【公表番号】特表2011-513453(P2011-513453A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】EP2009052598
(87)【国際公開番号】WO2009112420
(87)【国際公開日】20090917
【審査請求日】2012年1月5日
(31)【優先権主張番号】08152752.5
(32)【優先日】2008年3月14日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チユーチヨタイロス,アピルデイー
(72)【発明者】
【氏名】ジヤイルズ,コリン・クリストフアー・デイビツド
(72)【発明者】
【氏名】シンサワツト,アンチヤイ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−307463(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/045568(WO,A1)
【文献】 特開2006−063044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性クレンジング界面活性剤およびコンディショニング・ゲル・ネットワークを含む水性コンディショニングシャンプーであって、
前記コンディショニング・ゲル・ネットワークが、70℃を超える融点を有する粒子およびグリセリルモノステアラートを含み、
前記コンディショニング・ゲル・ネットワークは、前記グリセリルモノステアラートを水に溶融し、前記粒子を添加して、これらが共に溶解するまで溶融することによって形成され、及び
前記粒子が粘土である、
該シャンプー。
【請求項2】
粒子が、75℃を超える融点を有する、請求項1に記載のシャンプー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された安定性を有するコンディショニングシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲルネットワークを含む組成物が当分野において知られており、結晶性材料によって構造化された構造化油性相を含んでいる。通常、これらのゲルネットワークは、水性のクレンジング相に分散し、シャンプーのようなクレンジング組成物においてコンディショニング利益を提供する。こうした開示の典型例は、WO2007/040571(P&G)であり、この文献には、(a)シャンプー組成物に対して約5重量%から約50重量%の1つ以上の洗浄性界面活性剤;(b)シャンプー組成物に対して(i)少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪族両親媒性物質;(ii)少なくとも約0.01重量%の1つ以上の二次界面活性剤;および(iii)水を含む分散したゲルネットワーク相;ならびに(c)シャンプー組成物に対して少なくとも約20重量%の水性キャリアを含むシャンプー組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/040571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術にかかわらず、より安定なコンディショニングシャンプー組成物が必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、第1の態様において、本発明は、クレンジング界面活性剤およびコンディショニング・ゲル・ネットワークを含む水性コンディショニングシャンプーを提供し、このゲルネットワークは、融点が70℃を超える粒子およびグリセリルモノステアラートを含む。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、クレンジング界面活性剤および構造化されたコンディショニングゲル相を含む水性コンディショニングシャンプーを提供し、このゲル相は、融点が70℃を超える粒子およびグリセリルモノステアラートを含む。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、粒子を含むコンディショニングゲル相またはゲルネットワークが、グリセリルモノステアラートの存在下でより安定であることを見出した。
【0008】
好ましい粒子は、融点が75℃を超える粒子を含む。
【0009】
好ましくは、粒子は、プレートレットモルホロジーを有する。または、粒子は疎水性である。好ましい粒子は、疎水変性された粘土を含む。代替物はワックスを含む。
【0010】
グリセリルモノステアラートの総量は、好ましくは総組成物の0.01から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、および最も好ましくは0.5から5重量%である。
【0011】
ゲルネットワークは、水の存在下、グリセリルモノステアラートの融点を超える温度にて成分を組み合わせることによって形成される。好ましい製造方法において、グリセリルモノステアラートを水に溶融し、次いで粒子材料を添加する。より好ましい製造方法において、好ましくは粒子材料の後に四級アンモニウム化合物も添加する。液晶相液滴の分散が通常生じる。実際には、当然のことながらゲルネットワークは別の成分:水を有する。好ましい実施形態において、ゲルネットワークは、25℃においてLβラメラ相分散を含む。
【0012】
ゲルネットワークが四級アンモニウム化合物も含む場合、粒子はまた、この成分よりも高い融点を有する。通常、固体の粒子は、有機基で表面変性されている場合もあるが、無機のコアを有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、粒子は、プレートレットモルホロジーを有し、または疎水性である。
【0014】
「プレートレットモルホロジー」は、粒子が「プレート様」形状を有し、即ち2つの直交方向におけるこれらの長さが、第3の直交方向における長さよりも顕著に長いことを意味すると理解されるべきである。通常、粒子は、この長さおよび幅がそれぞれ独立に、この深さよりも少なくとも10倍大きい;ここで「長さ」、「幅」および「深さ」は、3つの直交方向に関する表現である。
【0015】
プレートレットモルホロジーを有する好適な粒子は、層状構造を有する粘土である。こうした粘土は、アニオン性またはカチオン性であってもよく、即ちこれらはそれぞれ負または正の、粘土表面における正味の電荷を有していてもよい。
【0016】
プレートレットモルホロジーを有する好ましい粒子は、アニオン性粘土、例えばスメクタイト粘土である。
【0017】
典型的なスメクタイト粘土は、一般式Al(Si(OH).nHOを有する化合物、一般式Mg(Si(OH).nHOを有する化合物、およびこれらの誘導体、例えばアルミニウムイオンの一部をマグネシウムイオンで交換し、またはマグネシウムイオンの一部をリチウムイオンで交換し、および/またはヒドロキシルイオンの幾つかをフッ化物イオンで交換する誘導体を含み;この誘導体は、全体の電荷を釣り合わせるためにさらに金属イオンを含んでいてもよい。
【0018】
好適なスメクタイト粘土の特定例は、モンモリロナイト、ボルコンスコナイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライト(beidelite)およびソーコナイト、特にアルカリまたはアルカリ土類金属イオンを結晶性格子構造内に有するものである。好ましいスメクタイト粘土は、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライト、ソーコナイトおよびこれらの混合物である。特に好ましいのは、モンモリロナイト、例えばベントナイトおよびヘクトライトであり、ヘクトライトがとりわけ好ましい。
【0019】
プレートレットモルホロジーを有する特に好ましい粒子は、疎水変性されたアニオン性粘土であり;とりわけ疎水変性されたベントナイト粘土である。
【0020】
疎水変性された粘土は、通常、変性されていない粘土の無機金属イオンの少なくとも一部を置き換える有機カチオンを有する。この目的のための好ましい有機カチオンは、1つ以上のC−C30アルキル基を含む。カチオン性基は、好ましくは四級アンモニウム基である。特に好ましい有機カチオンは、2つのC−C30アルキル基を有し、例えば:
ジステアリルジメチルアンモニウム;
ジセチルジメチルアンモニウム;
ジメチルジ(水素添加タロー)アンモニウム;
ジセチルメチルベンジルアンモニウム;
ジココジメチルアンモニウム;
ジベヘニル/ジアラキジルジメチルアンモニウム;
ヒドロキシプロピルビス−ステアリルアンモニウム;
ジベヘニルジメチルアンモニウム;
ジベヘニルメチルベンジルアンモニウム;および
ジミリスチルジメチルアンモニウムである。
【0021】
プレートレットモルホロジーを有するとりわけ好ましい粒子材料は、クアテルニウム−18ベントナイト、即ちジメチルジ(水素添加タロー)アンモニウムカチオン)によって疎水変性されたベントナイト、および2つの植物誘導脂肪族鎖を有する類縁体材料であるクアテルニウム−90ベントナイトである。こうした粘土の例は、Sud ChemieからのTixogel MP100(商標)およびTixogel MP100V(商標)である。他の同様の材料は、クアテルニウムベンザルコニウムベントナイト、クアテルニウム−18ヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライトおよびジ水素添加タローベンジルモニウムヘクトライトが挙げられる。
【0022】
プレートレットモルホロジーを有する粒子は、好ましくは少なくとも50%、およびより好ましくは少なくとも80%の粒子が、当分野において一般的に使用されるような、90ミクロンのスクリーン、例えばエアシーブを通過できるような粒径を有する。
【0023】
粒子の総量は、総組成物に対して、好ましくは0.005から10重量%、より好ましくは0.01から5重量%、および最も好ましくは0.01から1重量%である。
【0024】
プレートレットモルホロジーを有する粒子と脂肪族エステルとの重量比は、好ましくは1:100から1:2、より好ましくは1:50から1:5、および最も好ましくは1:30から1:10である。
【0025】
長さがC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物は、ゲルネットワークの好ましい成分である。好ましい実施形態において、四級アンモニウム化合物は、長さがC12−C30の炭素鎖を1つだけ有する。通常、長さがC12−C30の1つの炭素鎖は、線状(即ち非分枝)炭化水素鎖である。好ましくは、長さがC12−C30の1つの炭素鎖は飽和している。好ましくは、長さがC12−C30の1つの炭素鎖は、C12−C22の鎖長さを有し、より好ましくはC16−C22の鎖長さを有する。長さがC12−C30の1つの炭素鎖は、ゲルの安定性を向上させるために、ゲルネットワークにさらに存在するC12−C22の脂肪族アルコールの平均鎖長さの、好ましくは4炭素以内、およびより好ましくは2炭素原子以内の平均鎖長さを有する。
【0026】
長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物は、四級窒素原子に結合した3つの他の炭素含有置換基を有する。これらは、通常、C−Cアルキル基であり、好ましくはメチルおよび/またはエチル基であり;最も好ましくはこれらはメチル基である。
【0027】
最も好ましくは、長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物はセチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0028】
存在する場合、長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物の総量は、総組成物の、好ましくは0.005から10重量%、より好ましくは0.01から5重量%、および最も好ましくは0.01から1重量%である。
【0029】
長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物と、プレートレットモルホロジーを有する粒子との重量比は、好ましくは1:10から10:1、より好ましくは1:5から5:1、および最も好ましくは1:2から2:1である。
【0030】
長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物と、グリセリルモノステアラートとのモル比は、好ましくは1:100から5:1、より好ましくは1:50から1:2、および最も好ましくは1:30から1:10である。これらのモル比は、四級アンモニウム化合物が長さC12−C30の炭素鎖を1つだけ有する場合特にあてはまる。
【0031】
本発明に従うシャンプー組成物のために好ましい粘度は、測定速度20rpmにてRVTピン番号5を備えたブルックフィールド粘度計によって測定される場合、30℃にて、3000から9000cP(mPa.s)、より好ましくは5000から7000cP(mPa.s)、および最も好ましくは5500から6500cP(mPa.s)である。
【0032】
好ましくは、組成物は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも75重量%の水を含む。
【0033】
本発明に従うコンディショニングシャンプー組成物は、1つ以上のアニオン性クレンジング界面活性剤を含み、これは化粧品として許容でき、髪に局所適用するのに好適である。
【0034】
好適なアニオン性クレンジング界面活性剤の例は、アルキルスルファート、アルキルエーテルスルファート、アルカリールスルホナート、アルカノイルイセチオナート、アルキルスクシナート、アルキルスルホスクシナート、アルキルエーテルスルホスクシナート、N−アルキルサルコシナート、アルキルホスファート、アルキルエーテルホスファート、およびアルキルエーテルカルボン酸およびこれらの塩、とりわけこれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩である。アルキルおよびアシル基は、一般に8から18、好ましくは10から16個の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。アルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルスルホスクシナート、アルキルエーテルホスファートおよびアルキルエーテルカルボン酸およびこれらの塩は、1分子あたり1から20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有してもよい。
【0035】
本発明のシャンプー組成物に使用するための典型的なアニオン性クレンジング界面活性剤としては、ナトリウムオレイルスクシナート、アンモニウムラウリルスルホスクシナート、ナトリウムラウリルスルファート、ナトリウムラウリルエーテルスルファート、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシナート、アンモニウムラウリルスルファート、アンモニウムラウリルエーテルスルファート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホナート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホナート、ナトリウムココイルイセチオナート、ナトリウムラウリルイセチオナート、ラウリルエーテルカルボン酸およびナトリウムN−ラウリルサルコシナートが挙げられる。
【0036】
好ましいアニオン性クレンジング界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルファート、ナトリウムラウリルエーテルスルファート(n)EO(式中、nは1から3である。)、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシナート(n)EO(式中、nは1から3である。)、アンモニウムラウリルスルファート、アンモニウムラウリルエーテルスルファート(n)EO(式中、nは1から3である。)、ナトリウムココイルイセチオナートおよびラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(式中、nは10から20である。)である。
【0037】
前述のアニオン性クレンジング界面活性剤のいずれかの混合物も好適な場合がある。
【0038】
アニオン性クレンジング界面活性剤の総量は、組成物の総重量に対して、好ましくは0.5から45重量%、より好ましくは1から30重量%、および最も好ましくは5から20重量%の範囲である。
【0039】
本発明に従うコンディショニングシャンプー組成物における好ましい追加成分はシリコーン油である。
【0040】
使用される場合、シリコーン油は、通常、4マイクロメートル以下の平均液滴直径(D3,2)を有する乳化された液滴として存在する。好ましくは平均液滴直径(D3,2)は1マイクロメートル以下、より好ましくは0.5マイクロメートル以下、および最も好ましくは0.25マイクロメートル以下である。
【0041】
平均液滴直径(D3,2)を測定する好適な方法は、Malvern Mastersizerのような機器を用いるレーザー光散乱による。
【0042】
好ましくはシリコーン油は不揮発性であり、これは25℃にて1000Pa未満の蒸気圧を有することを意味する。
【0043】
好適なシリコーン油は、ポリジオルガノシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン(ジメチコノール)、およびアミノ官能性ポリジメチルシロキサン(アモジメチコン)である。
【0044】
好適なシリコーンは、好ましくは100,000を超える分子量、およびより好ましくは250,000を超える分子量を有する。
【0045】
好適なシリコーンは、好ましくは50,000cS(mm.s−1)を超える動的粘度、およびより好ましくは500,000cS(mm.s−1)を超える動的粘度を有する。本明細書に言及されるシリコーン油の動的粘度は、25℃にて測定され、Dow Corning Corporate Test Method CTM004(1970年7月20日)にさらに記載されるように、ガラスキャピラリー粘度計によって測定できる。
【0046】
本発明の組成物に使用するのに好適なシリコーンは、Dow CorningおよびGE Siliconesのような供給元からの予め形成されたシリコーンエマルションとして入手可能である。こうした予め形成されたシリコーンエマルションの使用は、シリコーン粒径の処理および制御を容易にするために好ましい。こうした予め形成されたシリコーンエマルションは、通常、好適な乳化剤をさらに含み、化学乳化プロセス、例えば乳化重合または高剪断ミキサを用いる機械的乳化によって調製できる。0.15マイクロメートル未満のSauter平均液滴直径(D3,2)を有する予め形成されたシリコーンエマルションは、一般にマイクロエマルションと呼ばれる。
【0047】
好適な予め形成されたシリコーンエマルションの例としては、すべてDow Corningから入手可能なエマルションDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788、DC−1310、DC−7123およびマイクロエマルションDC2−1865およびDC2−1870が挙げられる。これらはすべて、ジメチコノールのエマルション/マイクロエマルションである。また、DC939(Dow Corningから)およびSME253(GE Siliconesから)のようなアモジメチコンエマルションも好適である。
【0048】
例えばWO03/094874において記載されるように、高分子量を有する界面活性ブロックコポリマーの特定の種類がシリコーンエマルション液滴とブレンドされているシリコーンエマルションも好適である。
【0049】
上述のシリコーンエマルションのいずれかの混合物も使用してもよい。
【0050】
本発明の組成物におけるシリコーン油の総量は、好適には、組成物の0.05から10重量%、特に0.2から8重量%、およびとりわけ0.5から5重量%の範囲であってもよい。
【0051】
本発明の組成物に使用されてもよいさらなる成分は、炭化水素油またはエステル油である。シリコーン油と同様に、これらの材料は、本発明の組成物で見出されるコンディショニング利益を向上できる。
【0052】
好適な炭化水素油は、少なくとも12個の炭素原子を有し、パラフィン油、鉱油、飽和および不飽和ドデカン、飽和および不飽和トリデカン、飽和および不飽和テトラデカン、飽和および不飽和ペンタデカン、飽和および不飽和ヘキサデカン、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物の分枝鎖異性体、ならびにより長い鎖の炭化水素も使用できる。ポリイソブチレンのようなC2−6アルケニルモノマーのポリマー炭化水素も好適である。
【0053】
好適なエステル油は、少なくとも10個の炭素原子を有し、脂肪酸またはアルコールから誘導されるヒドロカルビル鎖を有するエステルを含む。典型的なエステル油は、式R’COORであり、式中、R’およびRは独立に、アルキルまたはアルケニルラジカルを示し、R’およびRの炭素原子の合計は、少なくとも10、好ましくは少なくとも20である。カルボン酸のジ−およびトリアルキルおよびアルケニルエステルも使用できる。
【0054】
好ましい脂肪族油は、モノ、ジ−およびトリグリセリドであり、より具体的にはグリセロールと長鎖カルボン酸、例えばC1−22カルボン酸とのモノ−、ジ−、およびトリ−エステルである。こうした材料の例としては、ココアバター、パームステアリン、ヒマワリ油、大豆油、およびココナッツ油が挙げられる。
【0055】
上述の炭化水素/エステル油のいずれかの混合物も使用できる。
【0056】
本発明の組成物中の炭化水素油およびエステル油の合わせた総量は、好適には組成物の0.05から10重量%、特に0.2から5重量%、およびとりわけ0.5から3重量%の範囲であってもよい。
【0057】
本発明に従うコンディショニングシャンプー組成物における好ましい追加成分は、カチオン性ポリマーである。こうした成分は、コンディショニング剤の送達を向上させ、それにより得られるコンディショニング利益を改善することができる。
【0058】
カチオン性ポリマーは、通常、四級アンモニウムまたはプロトン化アミノ基のようなカチオン性窒素含有基を含有する。カチオン性プロトン化アミンは、一級、二級または三級アミン(好ましくは二級または三級)であることができる。カチオン性ポリマーの平均分子量は、好ましくは5,000から1000万である。カチオン性ポリマーは、好ましくは0.2meq/gmから7meq/gmのカチオン性電荷密度を有する。
【0059】
カチオン性ポリマーのカチオン性窒素含有部分は、一般に、これらの繰り返し単位のすべて、またはより典型的にはこの一部にて置換基として存在する。カチオン性ポリマーは、場合により非カチオン性繰り返し単位と組み合わせて、四級アンモニウムまたはカチオン性アミン置換された繰り返し単位のホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。こうしたポリマーの非限定例は、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary,第6版,Wenninger,JA and McEwen Jr,GN編(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,1995)に記載されている。組成物に使用するために特に好適なカチオン性ポリマーとしては、多糖ポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性糖が挙げられる。
【0060】
カチオン性セルロース誘導体の例は、産業界(CTFA)ではポリクアテルニウム10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩である。カチオン性セルロース誘導体のさらなる例は、ヒドロキシエチルセルロースおよびラウリルジメチルアンモニウム−置換されたエポキシドから調製され、産業界(CTFA)ではポリクアテルニウム24と呼ばれる。
【0061】
とりわけ好ましいカチオン性ポリマーは、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドであり、この具体例としては、Rhodia Corp.から市販されているJAGUARシリーズ(例えば、JAGUAR C17またはJAGUAR C13S)が挙げられる。
【0062】
他の好適なカチオン性ポリマーとしては、四級窒素含有セルロースエーテルが挙げられ、この例は、US3,962,418に記載されている。他の好適なカチオン性ポリマーとしては、エーテル化セルロース、グアーおよびデンプンの誘導体が挙げられ、この一部の例は、US3,958,581に記載されている。
【0063】
合成のカチオン性ポリマーも使用されてもよい。例としては、カチオン性プロトン化アミンまたは四級アンモニウム官能性を有するビニルモノマーの水溶性のスペーサー繰り返し単位、通常アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルおよびN,N−ジアルキルアクリルアミドおよびメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、ビニルアセタート/アルコールのようなモノマーから誘導される単位とのコポリマーが挙げられる。他のスペーサー繰り返し単位は、無水マレイン酸、プロピレングリコール、またはエチレングリコールから誘導されてもよい。
【0064】
他の好適な合成のカチオン性ポリマーとしては、産業界(CTFA)ではポリクアテルニウム−16と呼ばれるl−ビニル−2−ピロリドンおよびl−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、クロリド塩)のコポリマー;産業界(CTFA)ではポリクアテルニウム−11と呼ばれるl−ビニル−2−ピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー;カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー(例えば、産業界(CTFA)ではそれぞれポリクアテルニウム−6およびポリクアテルニウム−7と呼ばれる、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含む。);および3から5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノアルキルエステルの無機酸塩が挙げられる。
【0065】
組成物中のカチオン性ポリマーの総量は、組成物の、好ましくは0.05重量%から2重量%、およびより好ましくは0.1から0.5重量%である。
【0066】
両親媒性界面活性剤は、本発明の組成物中の好ましい追加成分である。好適な両親媒性界面活性剤は、ベタイン、例えば一般式R(CHCHCOを有するものであり、式中、Rはアルキルまたはアルキルアミドアルキル基であり、アルキル基は好ましくは10から16個の炭素原子を有する。特に好適なベタインは、オレイルベタイン、カプリルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、イソステアリルアミドプロピルベタイン、およびココアミドプロピルベタインである。
【0067】
他の好適なベタイン両親媒性界面活性剤はスルホベタイン、例えば一般式R’(CHCHCH(OH)CHSOを有するものであり、式中、R’はアルキルまたはアルキルアミドアルキル基であり、アルキル基は好ましくは10から16個の炭素原子を有する。特に好適なスルホベタインは、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタインおよびココアミドプロピルヒドロキシスルタインである。
【0068】
他の好適な両親媒性界面活性剤は、脂肪族アミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシドである。
【0069】
含まれる場合、両親媒性界面活性剤の総レベルは、組成物の、好ましくは0.1重量%から20重量%、より好ましくは1重量%から10重量%、および最も好ましくは1重量%から5重量%である。
【0070】
カルボマーは、本発明の特定の実施形態に使用されるのが有利な場合がある。カルボマーは、ペンタエリスリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである。こうした材料は懸濁剤として作用し得る。
【0071】
含まれる場合、カルボマーの総レベルは、組成物の、好ましくは0.01重量%から10重量%、より好ましくは0.1重量%から5重量%、および最も好ましくは0.25重量%から1重量%である。
【0072】
本発明に従う組成物は、ヘアクレンジングおよびコンディショニング組成物に好適な他の成分を含有してもよい。こうした成分としては、芳香剤、懸濁剤、アミノ酸およびタンパク質誘導体、粘度調整剤、防腐剤、着色剤および真珠光沢剤(pearliser)が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例1】
【0073】
表1は、本発明に従う2つのシャンプー組成物を示す。
【0074】
【表1】
【実施例2】
【0075】
表2は、表1に従う組成物1を製造するのに必要な処理工程を示す。
【0076】
【表2】
【実施例3】
【0077】
表3は、表1に従う組成物2を製造するために従う処理工程を示す。
【0078】
【表3】
【実施例4】
【0079】
表4は、種々の異なる脂肪族材料を有する表1に従う組成物の転移温度を示す。結果は、DSC走査による転移温度を示し、故に高温での組成物の安定性を示す。表は、GMSが、脂肪族アルコールまたは脂肪酸よりも高温の安定性を有する組成物を与えることを示す。
【0080】
【表4】