特許第5767508号(P5767508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767508
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】電磁接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/02 20060101AFI20150730BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H01H50/02 C
   H01H50/54 B
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-112915(P2011-112915)
(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公開番号】特開2012-243591(P2012-243591A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】立川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 優
(72)【発明者】
【氏名】鹿志村 修
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】中 康弘
(72)【発明者】
【氏名】柴 雄二
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−065683(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/132773(WO,A1)
【文献】 特開昭60−041724(JP,A)
【文献】 特開2010−257789(JP,A)
【文献】 特開2010−010056(JP,A)
【文献】 特開平07−254338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/02
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定距離を保って配置された一対の固定接触子と、該一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子とを備えた接点装置と、前記一対の固定接触子の前記可動接触子と接触する接点部以外を覆う絶縁カバーとを備え、
前記一対の固定接触子は、接点収納ケースの天面に所定間隔を保って支持された支持導体部と、該支持導体部の前記接点収納ケース内の端部に連結された上板部と、該上板部の他方の支持導体部とは反対側から下方に延長する中間板部と、該中間板部の前記下端から前記他方の支持導体部側に延長する上面に接点部を形成した下板部とでC字状に形成されたC字状部とを備え、
前記絶縁カバーは、前記一対の固定接触子のC字状部の上板部及び中間板部の内面を覆うL字状部と、該L字状部の側縁から前記C字状部の側面を覆うように延長する側板部と、該側板部の前記支持導電部に対向する上端から内方に延長して前記支持導電部に形成された小径部に嵌合する嵌合部とを備えていることを特徴とする電磁接触器。
【請求項2】
所定距離を保って配置された一対の固定接触子と、該一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子とを備えた接点装置と、前記一対の固定接触子の前記可動接触子と接触する接点部以外を覆う絶縁カバーとを備え、
前記一対の固定接触子は、接点収納ケースの天面に所定間隔を保って支持された支持導体部と、該支持導体部の前記接点収納ケース内の端部に連結された上板部と、該上板部の他方の支持導体部とは反対側から下方に延長する中間板部と、該中間板部の前記下端から前記他方の支持導体部側に延長する上面に接点部を形成した下板部とでC字状に形成されたC字状部とを備え、
前記絶縁カバーは、前記一対の固定接触子のC字状部の上板部及び中間板部の内面を覆うL字状部と、該L字状部の側縁から前記C字状部の側面を覆うように延長する側板部と、該側板部の前記支持導電部に対向する上端から内方に延長して前記支持導電部に形成された小径部に嵌合する嵌合部と、前記C字状部の下板部の下面に結成された突起に係合するスナップフィット部とを備えていることを特徴とする電磁接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔を保って配置された一対の固定接触子と、これら固定接触子に接離可能に配置された可動接触子とを有する電磁接触器に関する。
【背景技術】
【0002】
電流路の開閉を行う電磁接触器として、例えば、ハウジング上面に配設されプリント基板に接触可能な接続片と、この接続片と対向するようにハウジング内に収納された固定接点を有する接触片と、ハウジング横面に配設され接続片と接触片とを連結する連結片にて略C字状形成された複数の端子板を、所定距離離間させて対向配置し、対向する接触片の固定接点にハウジング内に格納される可動枠に形成した可動接点を接触するようにした電磁接触器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−65683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、接触片に形成された固定接点と連結片との距離が離れており、可動接点を固定接点に接触させた後に離間させる際に可動接点及び固定接点間に発生するアークが連結片まで影響することはない。しかしながら、可動接点が固定接点に接触して、電流が流れる投入状態としたときに、流れる電流が大電流である場合に、可動接点及び固定接点部で開極方向の電磁反発力が発生し、可動接点と固定接点との安定した接触を確保できなくなる場合が生じる。
【0005】
このため、接触片の固定接点の近傍に連結片を配置して電磁反発力に抗するローレンツ力を発生して安定した投入状態を確保することが考えられている。
しかしながら、電磁反発力に抗するローレンツ力を発生するために連結片を接触片の固定接点の近傍に近づけると、投入状態から釈放状態とする際に可動接点及び固定接点間に発生するアークを消弧するために、アーク消弧用永久磁石を配置して、このアーク消弧用永久磁石で発生する磁場でアークを引き伸ばし、遮断電圧を上昇させてアークを消弧するようにしている。
【0006】
ところが、アークを引き伸ばして遮断電圧が上昇たした場合、遮断時間がなくなりアーク端が固定接触子上を動いて電流経路が変化し、アーク消弧用永久磁石により形成される磁場の駆動力を受けずに狙いの方向にアークを伸長することができないという未解決の課題がある。
また、伸長したアークの先端が固定接触子と接触してアークが短絡してアーク電圧が低下し、遮断できなくなるという未解決の課題もある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、アークの発生位置を規制してアークの消弧を確実に行うことが可能な電磁接触器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のの形態に係る電磁接触器は、所定距離を保って配置された一対の固定接触子と、該一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子とを備えた接点装置と、前記一対の固定接触子の前記可動接触子と接触する接点部以外を覆う絶縁カバーとを備え、前記一対の固定接触子は、接点収納ケースの天面に所定間隔を保って支持された支持導体部と、該支持導体部の前記接点収納ケース内の端部に連結された上板部と、該上板部の他方の支持導体部とは反対側から下方に延長する中間板部と、該中間板部の前記下端から前記他方の支持導体部側に延長する上面に接点部を形成した下板部とでC字状に形成されたC字状部とを備え、前記絶縁カバーは、前記一対の固定接触子のC字状部の上板部及び中間板部の内面を覆うL字状部と、該L字状部の側縁から前記C字状部の側面を覆うように延長する側板部と、該側板部の前記支持導電部に対向する上端から内方に延長して前記支持導電部に形成された小径部に嵌合する嵌合部とを備えている。
【0009】
この構成によると、固定接触子がC字状部に形成されているので、接点装置の閉極時に固定接触子及び可動接触子の接点部に電磁反発力が発生したとしても、C字状部で電磁反発力に抗するローレンツ力を発生することができる。その後に、固定接触子から可動接触子が離間する際に、固定接触子及び可動接触子間にアークが発生したときに、絶縁カバーによって接点部のみが露出されているので、アークが固定接触子上を動いて電流経路が変化することを確実に防止することができる。
【0010】
た、絶縁カバーの嵌合部を支持導電部に形成された小径部に嵌合させるだけで、固定接触子に組込むことができ、絶縁カバーの組込みを容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明の他の形態に係る電磁接触器は、所定距離を保って配置された一対の固定接触子と、該一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子とを備えた接点装置と、前記一対の固定接触子の前記可動接触子と接触する接点部以外を覆う絶縁カバーとを備え、前記一対の固定接触子は、接点収納ケースの天面に所定間隔を保って支持された支持導体部と、該支持導体部の前記接点収納ケース内の端部に連結された上板部と、該上板部の他方の支持導体部とは反対側から下方に延長する中間板部と、該中間板部の前記下端から前記他方の支持導体部側に延長する上面に接点部を形成した下板部とでC字状に形成されたC字状部とを備え、前記絶縁カバーが、前記一対の固定接触子のC字状部の上板部及び中間板部の内面を覆うL字状部と、該L字状部の側縁から前記C字状部の側面を覆うように延長する側板部と、該側板部の前記支持導電部に対向する上端から内方に延長して前記支持導電部に形成された小径部に嵌合する嵌合部と、前記C字状部の下板部の下面に結成された突起に係合するスナップフィット部とを備えている。
この構成によると、絶縁カバーの嵌合部を支持導電部に形成された小径部に嵌合させると同時に、スナップフィット部をC字状部の下板部の突起に係合させるだけで、絶縁カバーを固定接触子に組込むことができ、絶縁カバーの組込みを容易確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、L字状部やC字状部を有して、投入状態での電磁反発力に抗するローレンツ力を発生する構成とした場合に、固定接触子の接点部以外が絶縁カバーで覆われているので、投入状態から釈放状態とする際に発生するアークが固定接触子上を動くことを確実に防止することができる。また、アーク先端が固定接触子の接点部以外の部分で短絡することも防止することができる。したがって、遮断電圧が上昇してもアークを安定的に伸長することができ、アークの消弧を確実に行って電流を確実に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る電磁接触器の第1の実施形態を示す断面図である。
図2図1の接点収納ケースを示す分解斜視図である。
図3】接点機構の絶縁カバーを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は装着前の平面図、(c)は装着後の平面図である。
図4】絶縁カバーの装着方法を示す斜視図である。
図5図1のA−A線上の断面図である。
図6】本発明によるアーク消弧用永久磁石によるアーク消弧の説明に供する説明図である。
図7】アーク消弧用永久磁石を絶縁ケースの外側に配置した場合のアーク消弧の説明に供する説明図である。
図8】絶縁カバーの他の例を示す図であって、(a)は装着前の状態を示す斜視図、(b)は装着後の状態を示す斜視図である。
図9】接点装置の他の例を示す断面図である。
図10】接点機構の他の例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
図11】接点機構の可動接触子の他の例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電磁開閉器の一例を示す断面図、図2は接点収納ケースの分解斜視図である。この図1及び図2において、10は電磁接触器であり、この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置100と、この接点装置100を駆動する電磁石ユニット200とで構成されている。
【0015】
接点装置100は、図1及び図2から明らかなように、接点機構101を収納する接点収納ケース102を有する。この接点収納ケース102は、図2(a)に示すように、金属製の下端部に外方と突出するフランジ部103を有する金属角筒体104と、この金属角筒体104の上端を閉塞する平板状のセラミック絶縁基板で構成される固定接点支持絶縁基板105とを備えている。
【0016】
金属角筒体104は、そのフランジ部103が後述する電磁石ユニット200の上部磁気ヨーク210にシール接合されて固定されている。
また、固定接点支持絶縁基板105には、中央部に後述する一対の固定接触子111及び112を挿通する貫通孔106及び107が所定間隔を保って形成されている。この固定接点支持絶縁基板105の上面側における貫通孔106及び107の周囲及び下面側における角筒体104に接触する位置にメタライズ処理が施されている。そして、固定接点支持絶縁基板105が角筒体104の上面にロウ付けされている。
【0017】
接点機構101は、図6に示すように、接点収納ケース102の固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通されて固定された一対の固定接触子111及び112を備えている。これら固定接触子111及び112のそれぞれは、固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通される上端に外方に突出するフランジ部を有する支持導体部114と、この支持導体部114に連結されて固定接点支持絶縁基板105の下面側に配設され内方側を開放したC字状部115とを備えている。
【0018】
C字状部115は、固定接点支持絶縁基板105の下面に沿って外側に延長する上板部116とこの上板部116の外側端部から下方に延長する中間板部117と、この中間板部117の下端側から上板部116と平行に内方側すなわち固定接触子111及び112の対面方向に延長する下板部118とで中間板部117及び下板部118で形成されるL字状に上板部116を加えたC字状に形成されている。
【0019】
ここで、支持導体部114とC字状部115とは、支持導体部114の下端面に突出形成されたピン114aをC字状部115の上板部116に形成された貫通孔120内に挿通した状態で例えばロウ付けによって固定されている。なお、支持導体部114及びC字状部115の固定は、ロウ付けに限らず、ピン114aを貫通孔120に嵌合させたり、ピン114aに雄ねじを形成し、貫通孔120に雌ねじを形成して両者を螺合させたりしてもよい。
【0020】
また、固定接触子111及び112のC字状部115における中間板部117の内側面を覆うように、平面から見てC字状の磁性体板119が装着されている。このように、中間板部117の内側面を覆うように磁性体板119を配置することにより、中間板部117を流れる電流によって発生する磁場をシールドすることができる。
【0021】
このため、後述するように、固定接触子111,112の接点部118aに可動接触子130の接点部130aが接触している状態から接点部130aが上方に離間する際にアークが発生する場合に、中間板部117に流れる電流による磁場と固定接触子111,112の接点部118a及び可動接触子130の接点部130a間に発生するアークによる磁場とが干渉することを防止することができる。したがって、両磁場が互いに反発し、この電磁反発力によってアークを可動接触子130に沿って内側に移動されてアークの遮断が困難となることを防止できる。この磁性体板119は、中間板部117の周囲を覆うように形成してもよく、中間板部117に流れる電流による磁場をシールドできればよい。
【0022】
そして、固定接触子111及び112のC字状部115にそれぞれ、アークの発生を規制する合成樹脂材製の絶縁カバー121が装着されている。この絶縁カバー121は、図3(a)及び(b)に示すように、C字状部115の上板部116及び中間板部117の内周面を被覆するものである。絶縁カバー121は、上板部116及び中間板部117の内周面に沿うL字状板部122と、このL字状板部122の前後端部からそれぞれ上方及び外方に延長してC字状部115の上板部116及び中間板部117の側面を覆う側板部123及び124と、これら側板部123及び124の上端から内方側に形成された固定接触子111及び112の支持導体部114に形成された小径部114bに嵌合する嵌合部125とを備えている。
【0023】
したがって、絶縁カバー121が、図3(a)及び(b)に示すように、固定接触子111及び112の支持導体部114の小径部114bに嵌合部125を対向させた状態とし、次いで、図3(c)に示すように、絶縁カバー121を押し込むことにより、嵌合部125を支持導体部114の小径部114bに嵌合させる。
実際には、図4(a)に示すように、固定接触子111及び112を取付けた後の接点収納ケース102を、固定接点支持絶縁基板105を下側とした状態で、上方の開口部から絶縁カバー121を図3(a)〜(c)とは上下逆にした状態で、固定接触子111及び112間に挿入する。
【0024】
次いで、図4(b)に示すように、嵌合部125を固定接点支持絶縁基板105に接触させた状態で、図4(c)に示すように、絶縁カバー121を外側に押し込むことにより、嵌合部125を固定接触子111及び112の支持導体部114の小径部114bに係合させて固定する。
このように、固定接触子111及び112のC字状部115に絶縁カバー121を装着することにより、このC字状部115の内周面では下板部118の上面側のみが露出されて接点部118aとされている。
【0025】
そして、固定接触子111及び112のC字状部115内に両端部を配置するように可動接触子130が配設されている。この可動接触子130は後述する電磁石ユニット200の可動プランジャ215に固定された連結軸131に支持されている。この可動接触子130は、図1及び図5に示すように、中央部の連結軸131の近傍が下方に突出する凹部132が形成され、この凹部132に連結軸131を挿通する貫通孔133が形成されている。
【0026】
連結軸131は、上端に外方に突出するフランジ部131aが形成されている。この連結軸131に下端側から接触スプリング134に挿通し、次いで可動接触子130の貫通孔133を挿通して、接触スプリング134の上端をフランジ部131aに当接させこの接触スプリング134で所定の付勢力を得るように可動接触子130を例えばCリング135によって位置決めする。
【0027】
この可動接触子130は、釈放状態で、両端の接点部130aと固定接触子111及び112のC字状部115の下板部118の接点部118aとが所定間隔を保って離間した状態となる。また、可動接触子130は、投入位置で、両端の接点部が固定接触子111及び112のC字状部115の下板部118の接点部118aに、接触スプリング134による所定の接触圧で接触するように設定されている。
【0028】
さらに、接点収納ケース102の角筒体104の内周面には、図1に示すように、角筒部140aとこの角筒部140aの下面側に形成された底板部140bとで有底角筒状に形成された絶縁筒体140が配設されている。この絶縁筒体140は例えば合成樹脂製で角筒部140a及び底板部140bが一体成形されている。この絶縁筒体140の可動接触子130の側面に対向する位置に磁石収納部としての磁石収納筒体141及び142が一体形成されている。この磁石収納筒体141及び142には、アーク消弧用永久磁石143及び144が挿通されて固定されている。
【0029】
このアーク消弧用永久磁石143及び144は、厚み方向に互いの対向磁極面が同極例えばN極となるように着磁されている。また、アーク消弧用永久磁石143及び144は、左右方向の両端部がそれぞれ、図5に示すように、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部との対向位置より僅かに内側となるよう設定されている。そして、磁石収納筒体141及び142の左右方向すなわち可動接触子の長手方向外側にそれぞれアーク消弧空間145及び146が形成されている。
【0030】
また、磁石収納筒体141及び142の可動接触子130の両端よりの側縁と摺接して可動接触子130の回動を規制する可動接触子ガイド部材148及び149が突出形成されている。
したがって、絶縁筒体140は、磁石収納筒体141及び42によるアーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能と、アークからアーク消弧用永久磁石143及び144を保護する保護機能及び外部の剛性を高める金属性の角筒体104に対するアークの影響を遮断する絶縁機能を備えている。
【0031】
そして、アーク消弧用永久磁石143及び144を絶縁筒体140の内周面側に配置することにより、アーク消弧用永久磁石143及び144を可動接触子130に近接させることができる。このため、両アーク消弧用永久磁石143及び144のN極側から出る磁束φが、図6(a)に示すように、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの対向部を左右方向に内側から外側に大きな磁束密度で横切ることになる。
【0032】
したがって、固定接触子111を電流供給源に接続し、固定接触子112を負荷側に接続するものとすると、投入状態の電流の方向は、図6(b)に示すように、固定接触子111から可動接触子130を通じて固定接触子112に流れることになる。そして、投入状態から可動接触子130を固定接触子111及び112から上方に離間させて釈放状態とする場合に、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間にアークが発生する。
【0033】
このアークは、アーク消弧用永久磁石143及び144からの磁束φにより、アーク消弧用永久磁石143側のアーク消弧空間145側に引き伸ばされる。このとき、アーク消弧空間145及び146はアーク消弧用永久磁石143及び144の厚み分広く形成されているので、長いアーク長をとることができ、アークを確実に消弧することができる。
因みに、アーク消弧用永久磁石143及び144を、図7(a)〜(c)に示すように、絶縁筒体140の外側に配置する場合には、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの対向位置までの距離が長くなり、本実施形態と同一の永久磁石を適用した場合に、アークを横切る磁束密度が少なくなる。
【0034】
このため、投入状態から釈放状態に移行する際に発生するアークに作用するローレンツ力が小さくなり、アークを十分に引き伸ばすことができなくなる。アークの消弧性能を向上させるために、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁力を増加させる必要がある。しかも、アーク消弧用永久磁石143及び144を固定接触子111及び112と可動接触子130の接点部との距離を短くするためには絶縁筒体140の前後方向の奥行きを狭くする必要があり、アークを消弧するための十分なアーク消弧空間を確保することができないという問題点がある。
【0035】
しかしながら、上記実施形態によると、アーク消弧用永久磁石143及び144を絶縁筒体140の内側に配置するので、上述した絶縁筒体140の外側にアーク消弧用永久磁石143及び144を配置する場合の問題点を全て解決することができる。
電磁石ユニット200は、図1に示すように、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク201を有し、この磁気ヨーク201の底板部202の中央部に円筒状補助ヨーク203が固定されている。この円筒状補助ヨーク203の外側にスプール204が配置されている。
【0036】
このスプール204は、円筒状補助ヨーク203を挿通する中央円筒部205と、この中央円筒部205の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部206と、中央円筒部205の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部207とで構成されている。そして、中央円筒部205、下フランジ部206及び上フランジ部207で構成される収納空間に励磁コイル208が巻装されている。
【0037】
そして、磁気ヨーク201の開放端となる上端間に上部磁気ヨーク210が固定されている。この上部磁気ヨーク210は、中央部にスプール204の中央円筒部205に対向する貫通孔210aが形成されている。
そして、スプール204の中央円筒部205内に、底部と磁気ヨーク201の底板部202との間に復帰スプリング214を配設した可動プランジャ215が上下に摺動可能に配設されている。この可動プランジャ215には、上部磁気ヨーク210から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部216が形成されている。
【0038】
また、上部磁気ヨーク210の上面に、例えば外形が方形で円形の中心開口221を有して環状に形成された永久磁石220が可動プランジャ215の周鍔部216を囲むように固定されている。この永久磁石220は上下方向すなわち厚み方向に上端側を例えばN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。なお、永久磁石220の中心開口221の形状は周鍔部216の形状に合わせた形状とし、外周面の形状は円形、方形等の任意の形状とすることができる。
【0039】
そして、永久磁石220の上端面に、永久磁石220と同一外形で可動プランジャ215の周鍔部216の外径より小さい内径の貫通孔224を有する補助ヨーク225が固定されている。この補助ヨーク225の下面に可動プランジャ215の周鍔部216が当接されている。
また、可動プランジャ215の上端面には可動接触子130を支持する連結軸131が螺着されている。
【0040】
そして、可動プランジャ215が非磁性体製で有底筒状に形成されたキャップ230で覆われ、このキャップ230の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部231が上部磁気ヨーク210の下面にシール接合されている。これによって、消弧室102及びキャップ230が上部磁気ヨーク210の貫通孔210aを介して連通される密封容器が形成されている。そして、消弧室102及びキャップ230で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF6等のガスが封入されている。
【0041】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、固定接触子111が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子112が負荷に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット200における励磁コイル208が非励磁状態にあって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。この釈放状態では、可動プランジャ215が復帰スプリング214によって、上部磁気ヨーク210から離れる上方向に付勢される。これと同時に、永久磁石220の磁力による吸引力が補助ヨーク225に作用されて、可動プランジャ215の周鍔部216が吸引される。このため、可動プランジャ215の周鍔部216の上面が補助ヨーク225の下面に当接している。
【0042】
このため、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている接点機構101の可動接触子130の接点部130aが固定接触子111及び112の接点部118aから上方に所定距離だけ離間している。このため、固定接触子111及び112間の電流路が遮断状態にあり、接点機構101が開極状態となっている。
このように、釈放状態では、可動プランジャ215に復帰スプリング214による付勢力と環状永久磁石220による吸引力との双方が作用しているので、可動プランジャ215が外部からの振動や衝撃等によって不用意に下降することがなく、誤動作を確実に防止することができる。
【0043】
この釈放状態から、電磁石ユニット200の励磁コイル208を励磁すると、この電磁石ユニット200で励磁力を発生させて、可動プランジャ215を復帰スプリング214の付勢力及び環状永久磁石220の吸引力に抗して下方に押し下げる。
そして、可動プランジャ215が復帰スプリング214の付勢力及び環状永久磁石220の吸引力に抗して速やかに下降する。これにより、可動プランジャ215の下降が、周鍔部216の下面が上部磁気ヨーク210の上面に当接することにより停止される。
【0044】
このように、可動プランジャ215が下降することにより、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている可動接触子130も下降し、その接点部130aが固定接触子111及び112の接点部118aに接触スプリング134の接触圧で接触する。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子111、可動接触子130、及び固定接触子112を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
このとき、固定接触子111及び112と可動接触子130との間に可動接触子130を開極させる方向の電磁反発力が発生する。
【0045】
しかしながら、固定接触子111及び112は、図1に示すように、上板部116、中間板部117及び下板部118によってC字状部115が形成されているので、上板部116及び下板部118とこれに対向する可動接触子130とで逆方向の電流が流れることになる。このため、固定接触子111及び112の下板部118が形成する磁界と可動接触子130に流れる電流の関係からフレミング左手の法則により可動接触子130を固定接触子111及び112の接点部118aに押し付けるローレンツ力を発生することができる。
【0046】
このローレンツ力によって、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130a間に発生する開極方向の電磁反発力に抗することが可能となり、可動接触子130の接点部130aが開極することを確実に防止することができる。このため、可動接触子130を支持する接触スプリング134の押圧力を小さくすることができ、これに応じて励磁コイル208で発生する推力も小さくすることができ、電磁接触器全体の構成を小型化することができる。
【0047】
この接点機構01の閉極状態から、負荷への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット200の励磁コイル208の励磁を停止する。
これによって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ215が復帰スプリング214の付勢力によって上昇し、周鍔部216が補助ヨーク225に近づくに従って環状永久磁石220の吸引力が増加する。
【0048】
この可動プランジャ215が上昇することにより、連結軸131を介して連結された可動接触子130が上昇する。これに応じて接触スプリング134で接触圧を与えている間は可動接触子130が固定接触子111及び112に接触している。その後、接触スプリング134の接触圧がなくなった時点で可動接触子130が固定接触子111及び112から上方に離間する開極開始状態となる。
【0049】
この開極開始状態となると、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間にアークが発生し、このアークによって電流の通電状態が継続される。このとき、固定接触子111及び112のC字状部115の上板部116及び中間板部117を覆う絶縁カバー121が装着されているので、アークが固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間のみに発生させることができる。このため、アークが固定接触子111及び112のC字状部115上を動くことを確実に防止してアークの発生状態を安定させることができ、消弧性能を向上させることができる。しかも、固定接触子111及び112の両側面も絶縁カバー121で覆われているので、アークの先端が短絡することも確実に防止することができる。
【0050】
また、C字状部115の上板部116及び中間板部117が絶縁カバー121で覆われているので、可動接触子130の両端部とC字状部115の上板部116及び中間板部117の間の絶縁カバー121によって絶縁距離を確保することができ、可動接触子130の可動方向の高さを短縮することができる。したがって、接点装置100を小型化することができる。
さらに、絶縁カバー121は、嵌合部125を、固定接触子111及び112の小径部114bに嵌合させるだけで、固定接触子111及び112に装着することができ、固定接触子111及び112への装着を容易に行うことができる。
【0051】
また、固定接触子111,112の中間板部117の内側面には磁性体板119によって覆われているので、この中間板部117を流れる電流によって発生する磁場が磁性体板119によってシールドされる。このため、固定接触子111,112の接点部118a及び可動接触子130の接点部130a間に発生するアークによる磁場と中間板部117を流れる電流によって発生する磁場とが干渉することはなく、中間板部117を流れる電流によって発生する磁場にアークが影響されることを防止できる。
【0052】
一方、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面がN極であり、その外側がS極であるので、このN極から出た磁束が、平面から見て図6(a)に示すように、各アーク消弧用永久磁石143及び144固定接触子111の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの対向部のアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。同様に、固定接触子112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aのアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。
【0053】
したがって、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁束がともに固定接触子111の接点部118a及び可動接触子130の接点部130a間と、固定接触子112の接点部118a及び可動接触子130の接点部130a間を可動接触子130の長手方向で互いに逆方向に横切ることになる。
このため、固定接触子111の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間では、図6(b)に示すように、電流Iが固定接触子111側から可動接触子130側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、図6(c)に示すように、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子111の接点部118aと可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
【0054】
このローレンツ力Fによって、固定接触子111の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間に発生したアークが、固定接触子111の接点部118aの側面からアーク消弧空間145内を通って可動接触子130の上面側に達するように大きく引き伸ばされて消弧される。
また、アーク消弧空間145では、その下方側及び上方側で、固定接触子111の接点部118a及び可動接触子130の接点部130a間の磁束の向きに対して下方側に及び上方側に磁束が傾くことになる。このため、傾いた磁束によってアーク消弧空間145に引き伸ばされたアークがアーク消弧空間145の隅の方向へさらに引き伸ばされ、アーク長を長くすることができ、良好な遮断性能を得ることができる。
【0055】
一方、固定接触子112の接点部118aと可動接触子130との間では、図6(b)に示すように、電流Iが可動接触子130側から固定接触子112側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう右方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子112の接点部118aと可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
【0056】
このローレンツ力Fによって、固定接触子112の接点部118aと可動接触子130との間に発生したアークが、可動接触子130の上面側からアーク消弧空間145内を通って固定接触子112の側面側に達するように大きく引き伸ばされて消弧される。
また、アーク消弧空間145では、上述したように、その下方側及び上方側で、固定接触子112の接点部118a及び可動接触子130の接点部130a間の磁束の向きに対して下方側及び上方側に磁束が傾くことになる。このため、傾いた磁束によってアーク消弧空間145に引き伸ばされたアークがアーク消弧空間145の隅の方向へさらに引き伸ばされ、アーク長を長くすることができ、良好な遮断性能を得ることができる。
【0057】
一方、電磁接触器10の投入状態で、負荷側から直流電源側に回生電流が流れている状態で、釈放状態とする場合には、前述した図6(b)における電流の方向が逆となることから、ローレンツ力Fがアーク消弧空間146側に作用し、アークがアーク消弧空間146側に引き伸ばされることを除いては同様の消弧機能が発揮される。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144は絶縁筒体140に形成された磁石収納筒体141及び142内に配置されているので、アークが直接アーク消弧用永久磁石143及び144に接触することがない。このため、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁気特性を安定して維持することができ、遮断性能を安定化させることができる。
【0058】
また、絶縁筒体140によって、金属製の角筒体104の内周面を覆って絶縁できるので、電流遮断時のアークの短絡がなく、確実に電流遮断を行うことができる。
さらに、絶縁機能、アーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能、アーク消弧用永久磁石143及び144のアークからの保護機能及び外部の金属製の角筒体104にアークが届くことを遮断する絶縁機能を1つの絶縁筒体140で行うことができるので、製造コストを低減させることができる。
【0059】
また、可動接触子130の側縁と、絶縁ケース140の内周面との距離をアーク消弧用永久磁石143及び144の厚み分、長くすることができるので、十分なアーク消弧空間145及び146を設けることができ、アークの消弧を確実に行うことができる。
さらに、アーク消弧用永久磁石143及び144を収納する磁石収納筒体141及び142の可動接触子130と対向する位置に可動接触子の側縁に摺接する可動接触子ガイド部材148及び149が突出形成されているので、可動接触子130の回動を確実に防止することができる。
【0060】
なお、上記実施形態においては、絶縁カバー121を、嵌合部125を固定接触子111及び112の支持導体部114に形成した小径部114bに嵌合させることにより、固定接触子111及び112に取付けた場合について説明した。しかしながら、上記に限定されるものではなく、図8(a)及び(b)に示すように、絶縁カバー121のL字状板部122の下面側に固定接触子111及び112のC字状部115の下板部118を覆うスナップフィット部126を形成するようにしてもよい。
【0061】
このスナップフィット部126は、固定接触子111及び112におけるC字状部115の下板部118の下面に形成した突起118bに係合して抜け出しを防止するものである。すなわち、スナップフィット部126はL字状部122の前後方向の端面側から下板部118を覆うように延長する一対のL字状の覆い部126a及び126bを有する。これら覆い部126a及び126bの下端側の対向面には、図8(a),(b)で見て内方側から外方側に向かうに従い対向距離が徐々に増加するテーパー溝部126cが形成されている。一方、固定接触子111及び112のC字状部115における下板部118に形成した突起118bは、内方側から外方側に向かって徐々に高くなる傾斜面118cと、この傾斜面118cの下端から下板部118と平行に僅かに外方に延長する平坦面118dと、この平坦面118dの外方側端面から下板部118の下面に向かう係止面118eとから構成されている。
【0062】
そして、前述したように、絶縁カバー121を、その係合部125を固定接触子111及び112の支持導体部114の小径部114bに嵌合させる際に、L字状の覆い部126a及び126b内に固定接触子111及び112のC字状部115の下板部118を挿通する。これにより、覆い部126a及び126b間のテーパー溝部126cが突起118bの傾斜面118cに係合して下方(図8(b)で上方)に撓み、その後、平坦面118dに係合してから図8(b)に示すように平坦面118dの外側の係止面118eに達する。このため、覆い部126a及び16bの撓みが復帰して覆い部126a及び126bの内側端面が突起118bの係止面118eに接触して絶縁カバー121の内側への移動が規制される。したがって、スナップフィット部126によって、絶縁カバー121が固定接触子111及び112の接点部118aを有する下板部118に正確に位置決めされることになり、接点部118aが絶縁カバー121の一部で覆われることなく、可動接触子130との接触を確実に行うことができる。
【0063】
また、上記実施形態においては、接点装置100の消弧室102を角筒体104及び固定接点支持絶縁基板105で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の構成とすることができる。例えば、図9及び図2(b)に示すように、セラミックスや合成樹脂材によって角筒部301とその上端を閉塞する天面板部302とを一体成形して桶状体303を形成し、この桶状体303の開放端面側にメタライズ処理して金属箔を形成し、この金属箔に金属製の接続部材304をシール接合して消弧室102を形成するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面をN極とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面をS極とするようにしても、磁束のアーク横切り方向及びローレンツ力の方向が逆方向となることを除いては上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、上記実施形態においては、固定接触子111及び112にC字状部115を形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図10(a)及び(b)に示すように、支持導体部114にC字状部115における上板部116を省略した形状となるL字状部160を連結するようにしてもよい。この場合には、支持導体部114の下面と中間板部117を覆うように絶縁カバー121を装着する。
【0066】
この場合でも、固定接触子111及び112に可動接触子130を接触させた閉極状態で、L字状部160の垂直板部を流れる電流によって生じる磁束を固定接触子111及び112と可動接触子130との接触部に作用させることができる。このため、固定接触子111及び112と可動接触子130との接触部における磁束密度を高めて電磁反発力に抗するローレンツ力を発生させることができる。また、絶縁カバー121によって、アークが固定接触子上を動くことを確実に防止することができるとともに、アーク先端が固定接触子の接点部以外の部分で短絡することも防止することができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、可動接触子130が中央部に凹部132を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図11(a)及び(b)に示すように、凹部132を省略して平板状に形成するようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、可動プランジャ215に連結軸131を螺合させる場合について説明したが、可動プランジャ215と連結軸131とを一体に形成するようにしてもよい。
【0068】
また、連結軸131と可動接触子130との連結が、連結軸131の先端部にフランジ部131aを形成し、接触スプリング134及び可動接触子130を挿通してから可動接触子130の下端をCリングで固定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、連結軸131のCリング位置に半径方向に突出する位置決め大径部を形成し、これに可動接触子130を当接させてから接触スプリング134を配置し、この接触スプリング134の上端をCリングによって固定するようにしてもよい。
【0069】
また、電磁石装置200の構成は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、任意の構成を適用することができる。
また、上記実施形態においては、接点収納ケース102及びキャップ230で密封容器を構成し、この密封容器内にガスを封入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、遮断する電流が低い場合にはガス封入を省略するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…電磁接触器、11…外装絶縁容器、100…接点装置、101…接点機構、102…接点収納ケース、104…角筒体、105…固定接点支持絶縁基板、111,112…固定接触子、114…支持導体部、115…C字状部、116…上板部、117…中間板部、118…下板部、118a…接点部、121…絶縁カバー、122…L字状板部、123,124…側板部、125…スナップフィット部、130…可動接触子、130a…接点部、131…連結軸、132…凹部、134…接触スプリング、140…絶縁筒体、141,142…磁石収納ポケット、143,144…アーク消弧用永久磁石、145,146…アーク消弧空間、160…L字状部、200…電磁石ユニット、201…磁気ヨーク、203…円筒状補助ヨーク、204…スプール、208…励磁コイル、210…上部磁気ヨーク、214…復帰スプリング、215…可動プランジャ、216…周鍔部、220…永久磁石、225…補助ヨーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11