(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
湯水を貯湯する貯湯タンクと、貯湯タンクを収容する外装ケースと、貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段とを有した貯湯式給湯装置において、前記外装ケース内の前面側上部を器具内配管および機能部品を配置するよう器具前面側に突出した収容スペースとし、この収容スペースの下端に外部配管と器具内配管とを接続するための複数の継手と継手取付板とからなる配管接続部を設け、配管接続部を器具設置面から900mm〜1300mmの高さとし、前記外装ケースは、前記収容スペースの前面側を覆う前面パネルと、器具側面を覆う側面板と、器具背面を覆う背面板と、器具底面を覆う底面板と、器具上面を覆う上面板と、前記収容スペースよりも下方の器具前面を覆う前面板とを備え、前記収容スペースは前記貯湯タンクを囲繞する成型断熱材と前記前面パネルとの間に形成され、前記前面板の高さ位置において、前記側面板、前記背面板、前記前面板は、それぞれ少なくともその一部を前記成型断熱材と密着して配置されていることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来のものでは、配管接続部に配管を接続する作業を行う際に、作業者がしゃがんだり、上体を深く前屈みにして接続部を覗き込んだりと無理な姿勢での作業を強いられるものであり、施工性に劣っていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、湯水を貯湯する貯湯タンクと、貯湯タンクを収容する外装ケースと、貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段とを有した貯湯式給湯装置において、前記外装ケース内の前面側上部を器具内配管および機能部品を配置するよう器具前面側に突出した収容スペースとし、この収容スペースの下端に外部配管と器具内配管とを接続するための複数の継手と継手取付板とからなる配管接続部を設け、配管接続部を器具設置面から900mm〜1300mmの高さとした。
【0006】
また、前記外装ケースは、
前記収容スペースの前面側を覆う前面パネルと、器具側面を覆う側面板と、器具背面を覆う背面板と、器具底面を覆う底面板と、器具上面を覆う上面板と、
前記収容スペースよりも下方の器具前面を覆う前面板とを備え、
前記収容スペースは
前記貯湯タンクを囲繞する成型断熱材と
前記前面パネルとの間に形成され、
前記前面板の高さ位置において、前記側面板、
前記背面板、
前記前面板は、
それぞれ少なくともその一部を成型断熱材と密着して配置されているものとした。
【0007】
また、前記前面板に外部配管を抑える配管抑え具を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配管接続部を器具設置面から900mm〜1300mmの高さとしたので、配管を接続する作業時に無理の少ない姿勢で作業でき、施工性を向上できると同時に、収容スペースが小さくなるため器具内部配管が短縮され、また、機能部品と制御基板とを接続するリード線も短縮でき製品コストを低減できると共に、貯湯タンクからの放熱によって比較的温度の高い部位に器具内部配管や機能部品が配置されることも相俟って、給湯時の配管からの放熱ロスが減少し省エネとなり、さらには、凍結の危険性も低下する。
【0009】
また、配管接続部を器具設置面から900mm〜1300mmの高さとしたことによって収容スペースの下方の前面板の面積が広くなるため歪みやすくなるが、前面板を成型断熱材と密着させることによって前面板の変形を防止することができる。
【0010】
また、前面板に外部配管を抑える配管抑え具を設け、外部配管が器具下方から立ち上がる際に器具前面側に膨らむのを抑え、規定の位置に外部配管を位置させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
図1は回路図で、1は貯湯タンクユニット、2はヒートポンプユニットよりなる加熱手段、3は給湯栓、4はリモートコントローラ、5は浴槽、6は電源である。
【0013】
前記貯湯タンクユニット1は、湯水を貯湯する貯湯タンク7と、貯湯タンク7の上部に接続された出湯管8と、貯湯タンク7の下部に接続された給水管9と、出湯管8からの高温水と給水管9から分岐された給水バイパス管10からの低温水とを混合するミキシング弁11と、ミキシング弁11の下流に接続された給湯管12と、給湯管12に設けられた給湯温度センサ13と、給水管9に設けられた給水温度センサ14と、給湯管12に設けられた給湯流量センサ15と、給湯管12から分岐され浴槽5に接続された湯張り管16と、この湯張り管16の開閉を行う湯張り弁17と、湯張り管16を流れる流量を積算する湯張り流量センサ18と、出湯管8から分岐して接続された貯湯タンク7の過圧を逃す過圧逃し弁19と、給水管8に設けられた給水圧を減圧する減圧弁20と、貯湯タンク7の側面上下方向に複数設けられた貯湯温度センサ21と、この貯湯タンクユニット1の制御を行うマイクロコンピュータを主に構成される給湯制御部22とを備えている。
【0014】
また、前記貯湯タンクユニット1は、貯湯タンク7の底部と加熱手段2の入口とを接続する加熱往き管23aと貯湯タンク7の上部と加熱手段2の出口とを接続する加熱戻り管23bよりなり湯水を循環させる加熱循環回路23と、加熱戻り管23b途中から分岐されて減圧弁20よりも下流の給水管9に接続された加熱バイパス管24と、加熱手段2で沸き上げられた湯を貯湯タンク7上部に戻すか加熱バイパス管24を介して貯湯タンク7下部に戻すかを切り換える加熱切換弁25とを備えて構成されている。
【0015】
前記加熱手段2は、二酸化炭素冷媒を圧縮するコンプレッサー26と、凝縮器としての冷媒−水熱交換器27と、減圧器28と、蒸発器としての空気熱交換器29よりなるヒートポンプ回路30と、空気熱交換器29に送風する送風機31と、加熱往き管23a途中に設けられた能力可変の循環ポンプ32と、加熱往き管23aの冷媒−水熱交換器27入口近傍に設けられ、冷媒−水熱交換器27に流入する湯水の温度を検出する熱交入口温度センサ33と、加熱戻り管23bの冷媒−水熱交換器27出口近傍に設けられ、冷媒−水熱交換器27から流出する湯水の温度を検出する熱交出口温度センサ34と、外気温度を検出する外気温度センサ35と、この加熱手段2の制御を行うマイクロコンピュータを主に構成される加熱制御部36とを備えて構成されている。
【0016】
前記リモートコントローラ4には、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ37、浴槽5への湯張りを指示する湯張りスイッチ38等とを有した操作部39と、ドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部40と、これら操作部39および表示部40を制御すると共に、前記給湯制御部22と通信を行うマイクロコンピュータを主に構成されたリモコン制御部41を備えており、通常運転時は表示部40に操作部39で設定された給湯設定温度や時刻情報および貯湯温度センサ21で検知する残り貯湯量等が表示されるものである。
【0017】
ここで、前記電源6は時間帯別電灯であり、夜間(ここでは23時から翌7時まで)が割安な電力料金設定となっているもので、この割安な夜間電力を用いて夜間に一日に必要な貯湯熱量を沸かし上げて使用するものであり、また、この時間帯別電灯では昼間(7時から23時まで)にも電力は供給され、残湯量が少なくなったときに追加の沸き増しが行われるものである。なお、前記電源6は給湯制御部22に接続され、この給湯制御部22からリモートコントローラ4および加熱制御部36(ヒートポンプ回路30の駆動に必要な電力を含む)に有線にて通信信号が重畳されて電力供給されるものである。
【0018】
そして、夜間時間帯になると給湯制御部22が翌日に必要な貯湯熱量を演算し、この目標となる貯湯熱量を夜間時間帯の終了時までに沸き上げるよう加熱制御部36に指示してヒートポンプ回路30を作動させ、加熱循環回路23の循環ポンプ32を駆動開始する。そして、循環ポンプ32の駆動により貯湯タンク7下部から取り出された湯水が加熱部2の冷媒−水熱交換器26に流入して加熱され、加熱循環回路23を介して貯湯タンク7の上部に戻されることにより高温の湯が貯湯される。
【0019】
そして、貯湯タンク7の側面に設けられた貯湯温度センサ21が所定の量の高温水が貯湯されたことを検出するか、または、熱交入口温度センサ33が所定温度以上を検出すると、給湯制御部22が加熱制御部36へ加熱動作の停止を指令し、ヒートポンプ回路30と循環ポンプ32の作動が停止され、夜間時間帯の終了時までに貯湯動作を終了するものである。
【0020】
なお、ここで、貯湯タンク7内に貯湯される熱量は給湯制御部22により過去数日分の給湯負荷から適切と思われる熱量を目標貯湯熱量として算出されるもので、貯湯される湯水の温度は季節(最下部の貯湯温度センサ21で検出する給水温度)および目標貯湯熱量の大小によって60℃〜90℃の範囲で変動するものである。
【0021】
次に、給湯栓3を開くと、給水管9からの給水圧により貯湯タンク7上部の高温水が出湯管8に押し出され、給湯制御部22により制御されるミキシング弁11にて給水バイパス管10の低温水と給湯温度センサ13の検出する温度がリモートコントローラ4の操作部39で設定された給湯設定温度になるように混合されて給湯管12を介して給湯されるものである。
【0022】
もしも給湯量が通常よりも多くなってしまい、昼間電力時間帯にて貯湯温度センサ21で検出する残り貯湯量が少なくなったことを給湯制御部22が検知し、貯湯タンク7内に貯湯された湯の湯切れが予想される場合は、その時点にて昼間電力を利用して必要な熱量の沸き増しが行われるものである。
【0023】
次に、浴槽5に湯張りを行う際は、リモートコントローラ4の湯張りスイッチ38が操作されると、給湯制御部22が湯張り弁17を開いて湯張りを開始し、湯張りを開始してからの積算流量が湯張り量に達したことを検出すると湯張り弁17を閉じて湯張りを完了するものである。
【0024】
冬期等に外気温度が凍結防止運転の開始温度以下まで低下したことを外気温度センサ35を介して検知すると、給湯制御部22は、加熱切換弁25を加熱バイパス管24側に切り換えると共に、加熱制御部36に対して循環ポンプ32のみの駆動を指示する。そして、循環ポンプ32の駆動によって加熱循環回路23内の湯水は、冷媒−水熱交換器27、加熱戻り管23b、加熱切換弁25、加熱バイパス管24、給水管9、貯湯タンク7、加熱往き管23aの順で循環し、流動することによって凍結防止運転が行われる。
【0025】
次に、前記貯湯タンクユニット1の構造について
図2〜
図4に基づいて説明する。貯湯タンク7を収容する貯湯タンクユニット1は、外装ケース42の内部に、出湯管8、給水管9、給水バイパス管10、湯張り管16、加熱循環回路23、加熱バイパス管24等の器具内部配管や、ミキシング弁11、湯張り弁17、加熱切換弁25等の電動アクチュエータ類や、給湯温度センサ13、給水温度センサ14、給湯流量センサ15、湯張り流量センサ18、貯湯温度センサ21等のセンサ類や、圧力逃し弁19、減圧弁20等の弁類や、給湯制御部22等の機能部品が収容されて構成され、そして、貯湯タンク7は外装ケース42内に放熱を減ずるための成型断熱材43に囲繞され、タンク支持脚44によって支えられて自立するよう構成されている。
【0026】
外装ケース42は前面パネル45、背面板46、左右の側面板47、48、上面板49、前面板50、および底板51より構成され、器具上部の成型断熱材43の前面側と前面パネル45の間に器具内配管および機能部品を配置するよう器具前面側に突出した収容スペース52が形成され、この収容スペース52の下端に継手取付板53が設けられ、前記継手取付板53には、内部配管と外部配管とを各々接続する複数の継手54が設けられて配管接続部55を構成しているものである。
【0027】
この配管接続部55の複数の継手54を介して器具内部の給水管9、給湯管12、湯張り管16、加熱循環路23の加熱往き管23a、加熱戻り管23b等を器具外部の配管と接続するようにしていると共に、電源6からの電源線56、給湯制御部22と加熱制御部36を接続する電源通信線57、給湯制御部22とリモコン制御部41と接続するリモコン線57を継手取付板53に開口した配線用穴部59に通しているもので、給湯制御部22には、電子回路基板60と、電源6が接続される漏電ブレーカ61と、ヒートポンプ端子接続台62と、リモコン端子接続台63とが設けられている。
【0028】
そして、器具から突出した収容スペース52の下方に外部配管を接続するスペースを大きく確保しているもので、継手取付板53は器具の最下面の設置面から1000mmの高さ位置に設けられており、作業者は無理の少ない姿勢で容易に配管作業を行うことができると共に、外部配管を真っ直ぐ確実に接続することができ、継手54での液漏れを防ぐことができる。さらには、継手取付板53の配線用穴部59と漏電ブレーカ61、ヒートポンプ端子接続台62、リモコン端子接続台63との距離も短いため、電源線56、電源通信線57、リモコン線58の接続作業も容易となり、耐ノイズ性も向上できる。
【0029】
ここで、収容スペース52より下方の前面板50は、継手取付板53の位置を高くしたことから歪みが生じやすくなるが、
図4に示すように、前面板50を成型断熱材43と密着させることによって強度を稼ぎ、前面板50の変形を防止している。
【0030】
そして、
図5に示すように、前面板50の中程の高さ位置には、外部配管を抑える配管抑え具64が設けられ、継手取付板53の位置を高くしたことによる外部配管の器具前面側および側面側への膨らみを抑えるようにしている。この配管抑え具64は、左右端部を前面板50に固定され、左右端部を除いて前面板50から浮くようにして器具前面の左右に架け渡すように構成されている。外部配管が架橋ポリ管等の材質であった場合に、特に器具背面側から底板51と設置面との間のスペースを通して外部配管を器具前面側に引き回すレイアウトでは、外部配管が器具前面側に膨らみやすいが、この配管抑え具64によって外部配管が規定の位置に収容されるため、外部配管の取付スペースを覆う配管カバー65を適切に取り付けることが可能となる。なお配管カバー65は、継手取付板53と配管抑え具64とにねじ止め等によって取り付けられ、外部配管を隠蔽すると共に、タンク支持脚44も隠蔽可能とし、貯湯タンクユニット1の美観を向上させるものである。
【0031】
このように、収容スペース52が小さいために器具内部の配管を短くでき、さらには電動アクチュエータ類やセンサ類と給湯制御部22とを接続するリード線も短くできるため製品コストを抑制することができると共に、出湯管8、給湯管12、湯張り管16、加熱戻り管23b等の温水が流通する配管も短くなるため放熱ロスが減少して省エネとなり、その分沸き上げ熱量や沸き増し熱量も減らすこともでき一層の省エネとなる。
【0032】
また、収容スペース52が器具内部の上部に配置されることによって、高温の湯が貯湯されている時間が多い貯湯タンク7からの放熱によって比較的温度の高い部位に内部配管や機能部品が位置することになるので、凍結の恐れも低下する。
【0033】
さらには、高い位置にある収容スペース52内で加熱バイパス管24が給水管9に接続されるため、加熱循環回路23の凍結防止運転時に給水管9の大部分を同時に凍結防止運転することができ、給水管9に添設される凍結防止ヒータの使用個数を少なくすることができる。
【0034】
なお、継手取付板53の器具設置面からの高さは900mm以上1300mm以下の高さが好ましく、900mm以下となると作業者がしゃがんだり、上体を深く前屈みにして接続部を覗き込んだりと無理な姿勢での作業を強いられるものであり、施工性に劣り、1300mm以上となると、継手取付板53が高すぎて作業性に劣ると共に、収容スペース52が小さくなりすぎてしまう。より好ましくは950mm以上1150mm以下の高さに継手取付板53を設けると、作業性と収容性を両立することができる。
【0035】
なお、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、例えば加熱手段として貯湯タンク7内に配した電熱ヒータを採用してもよく、また、背面板46、側面板47、48は一枚ずつ独立した板材としたり、一枚の板材を曲げ加工したものとしたり、二枚の板材で背面板46と側面板47、48を構成するようにしてもよい。また、配管抑え具64も
図5では一つであるが、上下に複数本設けるようにしてもよい。