特許第5767583号(P5767583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5767583感光性樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルム及び反射防止ハードコートフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767583
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルム及び反射防止ハードコートフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20150730BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20150730BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20150730BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20150730BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   C08F290/06
   C08J7/04 Z
   G02B1/111
   G02B1/14
   B32B27/30 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-524763(P2011-524763)
(86)(22)【出願日】2010年7月26日
(86)【国際出願番号】JP2010062511
(87)【国際公開番号】WO2011013611
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2012年6月18日
(31)【優先権主張番号】特願2009-176524(P2009-176524)
(32)【優先日】2009年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】矢作 悦幸
(72)【発明者】
【氏名】狩野 浩和
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−160755(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/109496(WO,A1)
【文献】 特開2006−306950(JP,A)
【文献】 特開2006−306008(JP,A)
【文献】 特開平10−316860(JP,A)
【文献】 特開2001−049236(JP,A)
【文献】 特開2002−265866(JP,A)
【文献】 特開2004−314468(JP,A)
【文献】 特開2005−089536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
C08F283/01
C08F290/00−290/14
C08F299/00−299/08
C08F301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)であるトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートまたはトリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、平均粒子径が1〜200ナノメートルのナノポーラス構造を有するコロイダルシリカ(B)、分子内に2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン(C)及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有する感光性樹脂組成物であり、(B)成分の含有量が該感光性樹脂組成物の固形分を100重量%とした場合、20〜70重量%であり、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を含有しない感光性樹脂組成物。
【請求項2】
更に、希釈剤(E)を含有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の硬化層を基材フィルム上に低屈折率層として最外層に配する反射防止フィルム。
【請求項4】
基材フィルム上にハードコート剤の硬化層及び請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の硬化層をこの順に有する反射防止ハードコートフィルム。
【請求項5】
ハードコート剤が、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)、平均粒子径1〜200ナノメートルの金属酸化物(F)及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有する感光性樹脂組成物である請求項に記載の反射防止ハードコートフィルム。
【請求項6】
平均粒子径1〜200ナノメートルの金属酸化物(F)が、リンをドーピングした酸化錫である請求項に記載の反射防止ハードコートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、その硬化皮膜を有する反射防止フィルム及び反射防止ハードコートフィルムに関する。更に詳しくは、耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性、透明性に優れ、低屈折率で、反射防止フィルム及び反射防止ハードコートフィルムに使用した場合、反射率が低い感光性樹脂組成物、及び、その硬化皮膜を有する反射防止フィルムや反射防止ハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチックは自動車業界、家電業界、電気電子業界を初めとして種々の産業界で大量に使われている。このようにプラスチックが大量に使われている理由は、その加工性、透明性に優れているのに加えて軽量、安価、光学特性にも優れている等の理由による。しかしながら、ガラス等に比べて柔らかく、表面に傷が付きやすい等の欠点を有している。これらの欠点を改良するために、表面にハードコート剤をコーティングする事が一般的な手段として行われている。このハードコート剤には、シリコーン系塗料、アクリル系塗料、メラミン系塗料等の熱硬化型のハードコート剤が用いられている。この中でも特に、シリコーン系ハードコート剤は、硬度が高く、品質が優れているため多く用いられている。しかしながら、硬化時間が長く、高価であり、連続的に加工するフィルムに設けられるハードコート層には適しているとは言えない。
【0003】
近年、感光性のアクリル系ハードコート剤が開発され、利用されるようになった(特許文献1参照)。感光性ハードコート剤は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより、直ちに硬化して硬い皮膜を形成するため、加工処理スピードが速く、又、硬度、耐擦傷性等に優れた性能を持ち、トータルコスト的に安価になるため、今やハードコート分野の主流になっている。特に、ポリエステル等のフィルムの連続加工に適している。プラスチックのフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、塩化ビニルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等があるが、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムが種々の優れた特性から最も広く使用されている。ポリエステルフィルムは、ガラスの飛散防止フィルム、あるいは、自動車の遮光フィルム、ホワイトボード用表面フィルム、システムキッチン表面防汚フィルム、電子材料的には、タッチパネル、CRTフラットテレビ、プラズマディスプレイ等の機能性フィルムとして広く用いられている。トリアセチルセルロースフィルムは、液晶ディスプレイの必須材料である偏光板に使用されている。前記のように、これらはいずれもその表面に傷が付かないようにするためにハードコート剤を塗工している。
【0004】
更に、近年におけるハードコート剤をコーティングしたフィルムを設けたPDP(プラズマディスプレイパネル)、LCD(液晶パネル)、CRT(ブラウン管)等の表示体では、反射により表示体画面が見難くなり、目が疲れやすいと言う問題が生ずるため、用途によっては表面に反射防止能のあるハードコート処理が必要となっている。表面反射防止の方法としては、ハードコート用感光性樹脂組成物中に無機フィラーや有機フィラーを分散させたものをフィルム上にコーティングし、表面に凹凸をつけて反射を防止する方法(AG:アンチグレア処理)、フィルム上に屈折率の異なる層を多層に設け、屈折率の差による光の干渉を利用し映り込みを防止する方法(AR:アンチリフレクション処理)、又は上記2つの方法を合わせたAG/AR処理の方法等がある(特許文献2参照)。
【0005】
ここで、AR処理に用いられる低屈折率層にはゾル−ゲル法によるシラン化合物を縮合させたような熱硬化タイプの化合物が用いられている(特許文献3参照)が、硬化に時間が掛かり、生産性が悪いことやハードコート層が加熱により収縮しクラックが入るといった問題がある。
一方、フッ素原子を有する(メタ)アクリレートを用いた活性エネルギー線硬化型樹脂も開発されている(特許文献4参照)が、耐擦傷性が十分ではなかったり、耐薬品性が十分でないという問題がある。
【0006】
前記の生産性や加熱によるクラックの発生等の問題から活性エネルギー線硬化型樹脂を使用した低屈折率ハードコートが求められている。しかし、活性エネルギー線硬化型樹脂は、耐擦傷性が十分ではなかったり、耐薬品性が十分でないというのが実状である。
【0007】
【特許文献1】特開平9−48934号公報
【特許文献2】特開平9−145903号公報
【特許文献3】特許第3776978号公報
【特許文献4】特許第3724144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、容易に硬化し、高硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、マジック拭取り性や指紋拭取り性等の耐汚染性、透明性等に優れた反射防止フィルムの低屈折率層のための感光性樹脂組成物とそれを用いた反射防止フィルムや反射防止ハードコートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、特定の化合物を含有する感光性樹脂組成物を見いだし、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、
(1)分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)、平均粒子径が1〜200ナノメートルのナノポーラス構造を有するコロイダルシリカ(B)、(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン(C)及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有する感光性樹脂組成物;
【0011】
(2)(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン(C)が、分子内に1〜8個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である前記(1)に記載の感光性樹脂組成物;
(3)更に、希釈剤(E)を含有する前記(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物;
(4)前記(1)ないし(3)のいずれか一に記載の感光性樹脂組成物の硬化層を基材フィルム上に低屈折率層として最外層に配する反射防止フィルム;
【0012】
(5)基材フィルム上に、ハードコート剤の硬化層及び前記(1)ないし(3)のいずれか一に記載の感光性樹脂組成物の硬化層をこの順に有する反射防止ハードコートフィルム;
(6)ハードコート剤が、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)、平均粒子径1〜200ナノメートルの金属酸化物(F)及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有する感光性樹脂組成物である前記(5)に記載の反射防止ハードコートフィルム;
(7)平均粒子径1〜200ナノメートルの金属酸化物(F)が、リンをドーピングした酸化錫である前記(6)に記載の反射防止ハードコートフィルム;
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により活性エネルギー線で容易に硬化し、高硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、透明性、マジック拭取り性や指紋拭取り性等の耐汚染性等に優れ、反射防止フィルムや反射防止ハードコートフィルムに使用した場合、反射率が低い低屈折率層を形成することが可能な特定の化合物を含有する感光性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)、平均粒子径が1〜200ナノメートルのナノポーラス構造を有するコロイダルシリカ(B)、(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン(C)及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有する。
【0016】
分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)としては、分子内に3個〜15個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく、例えば、水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物の反応物である多官能ウレタン(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等のポリエステルアクリレート類、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、これらは、単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。
【0017】
該水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール類、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のメチロール類、ビスフェノールAジエポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。中でも好ましくは、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。これらの水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は単独で用いても、2種以上混合して用いても良い。
【0018】
該ポリイソシアネート化合物としては、鎖状飽和炭化水素、環状飽和炭化水素(脂環式)、芳香族炭化水素を基本構成とするポリイソシアネート化合物が挙げられる。このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状飽和炭化水素ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等の環状飽和炭化水素(脂環式)ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニレンジイソシアネート、6−イソプロピルー1,3−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートを挙げることができる。好ましい例としては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は単独で用いても、2種以上混合して用いても良い。
【0019】
該多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、前記の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物と前記のポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。多官能(メタ)アクリレート化合物中の水酸基1当量に対し、ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基当量として、通常0.1〜50当量の範囲、好ましくは0.1〜10当量の範囲で使用すれば良い。
反応温度は、通常30〜150℃、好ましくは50〜100℃の範囲である。
反応の終点は、残存イソシアネートを過剰のn−ブチルアミンと反応させ、未反応のn−ブチルアミンを1N塩酸にて逆滴定する方法により残存イソシアネート量を算出し、ポリイソシアネート化合物として0.5重量%以下となった時を終了とする。
【0020】
反応時間の短縮を目的として触媒を添加してもよい。この触媒としては、塩基性触媒又は酸性触媒のいずれかが用いられる。塩基性触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類、アンモニア、トリブチルフォスフィンやトリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類を挙げることができる。又、酸性触媒としては、例えば、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリブトキシアルミニウム、トリチタニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等の金属アルコキシド類、塩化アルミニウム等のルイス酸類、2−エチルヘキサンスズ、オクチルスズトリラウレート、ジブチルスズジラウレート、オクチルスズジアセテート等のスズ化合物を挙げることができる。これら触媒の添加量は、ポリイソシアネート100重量%に対して、通常0.1重量%以上、1重量%以下である。
【0021】
更に、反応に際しては反応中の重合を防止するために重合禁止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等)を使用することが好ましく、該重合禁止剤の使用量は反応混合物に対して0.01重量%以上、1重量%以下であり、好ましくは0.05重量%以上、0.5重量%以下である。
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物において、前記(A)成分の含有量は該感光性樹脂組成物の固形分を100重量%とした場合、通常5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%である。本発明において固形分とは、組成物が希釈剤、溶剤を含む場合は組成物からそれを除いた残りの成分全体である。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物に含有される平均粒子径が1〜200ナノメートルのナノポーラス構造を有するコロイダルシリカ(B)としては、多孔質シリカや中空シリカが挙げられる。通常のシリカ粒子が屈折率n=1.45程度であるのに対し、内部に屈折率n=1の空気を有する多孔質シリカや中空シリカの屈折率は、n=1.2〜1.45である。これにより本発明の感光性樹脂組成物から好適に低屈折率の層を形成することができる。
【0024】
コロイダルシリカ(B)には、溶媒にコロイダルシリカを分散させたコロイド溶液、又は、分散溶媒を含有しない微粉末のコロイダルシリカがある。溶媒にコロイダルシリカを分散させたコロイド溶液としては、触媒化成工業(株)製のELCOMシリーズ、スルーリアシリーズ等が挙げられる。
【0025】
溶媒にコロイダルシリカを分散させたコロイド溶液の分散溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール類及びその誘導体、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の非極性溶媒、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類又はその他の一般有機溶剤類が使用できる。分散溶媒の量は、コロイダルシリカ100重量%に対し、通常100〜900重量%である。
【0026】
本発明において平均粒子径とは凝集を崩したときの、その粒子が持つ一番小さい粒径を意味し、BET法、動的光散乱法、電子顕微鏡観察等により測定することができる。コロイダルシリカ(B)として、これらの測定法による平均粒子径が1〜200ナノメートルのものを使用することが必要であり、平均粒子径が1〜100ナノメートルのものが好ましく、平均粒子径が1〜80ナノメートルのものが更に好ましい。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物において、(B)成分の含有量は、該感光性樹脂組成物の固形分を100重量%とした場合、通常5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。
【0028】
又、コロイダルシリカの表面をシランカップリング剤等で表面処理し、分散性を向上させることもできる。
【0029】
表面処理方法は、公知の方法で処理すれば良く、乾式法と湿式法がある。乾式法はシリカ粉末に処理する方法で、撹拌機によって高速撹拌しているシリカ粉末にシランカップリング剤の原液又は溶液を均一に分散させて処理する方法である。湿式法は溶剤等にシリカを分散させスラリー化したものにシランカップリング剤を添加・撹拌することで処理する方法である。本発明ではどちらの方法を用いても良い。シランカップリング剤の使用量(g)はシリカ重量(g)×シリカの比表面積(m/g)/シランカップリング剤の最小被覆面積(m/g)から求められる量以下であれば良い。
【0030】
本発明の感光性樹脂組成物に含有される(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン(C)は、シリコーンアクリレート、有機変性シリコーン、有機変性ポリシロキサン、反応結合型有機変性シリコーンアクリレート等と呼ばれることもあり、例えば、直鎖型ジメチルシロキサンの一部をアルキル基やポリエーテル基等で有機変性し、その変性部末端に(メタ)アクリレート基を付与したものが挙げられる。シロキサン主鎖の長さを長くすることにより、表面のスリップ性、離型性、耐ブロッキング性、耐指紋性、マジック拭き取り性、指紋拭き取り性等を付与することができる。又、有機変性率を上げることにより、相溶性、再塗装性(リコート性)、印刷性を向上させることができる。
有機変性部末端に(メタ)アクリロイル基を導入した化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基の導入により重合反応が可能となり、界面へのポリシロキサンの移行性を低減し、生産時のロール及び巻取り時のフィルム背面への移行を低減することも可能で、更には耐薬品性(アルカリ性溶液、有機溶剤等)を向上させることができる。
【0031】
これら(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン(C)としては市販品を使用しても良く、例えば、BYK−UV3500、BYK−UV3570(いずれもビックケミー社製)、TEGO Rad2100、2200N、2250、2500、2600、2700(いずれもデグサ社製)、X−22−2445、X−22−2455、X−22−2457、X−22−2458、X−22−2459、X−22−1602、X−22−1603、X−22−1615、X−22−1616、X−22−1618、X−22−1619、X−22−2404、X−22−2474、X−22−174DX、X−22−8201、X−22−2426、X−22−164A、X−22−164C(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0032】
又、前記(C)成分はフッ素原子を含有するものであっても良い。
【0033】
前記(C)成分は、分子内に1〜8個の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、より好ましい(メタ)アクリロイル基の数は、2〜6個である。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物において、前記(C)成分の含有量は、該感光性樹脂組成物の固形分を100重量%とした場合、通常0.1〜50重量%であり、好ましくは1〜20重量%である。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物に含有される光ラジカル重合開始剤(D)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。又、市場より、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュア907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)プロパン−1−オン)、BASF社製ルシリンTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)等を容易に入手出来る。又、これらは、単独で使用しても、又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0036】
本発明の感光性樹脂組成物において、(D)成分の含有量は、該感光性樹脂組成物の固形分を100重量%とした場合、通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物には、更に必要に応じて、増感剤を併用することができる。
使用しうる増感剤としては、例えば、アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ(メトキシエトキシ)アントラセン、フルオレン、ピレン、スチルベン、4'−ニトロベンジル−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、4'−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、4'−ニトロベンジル−9,10−ジプロポキシアントラセン−2−スルホネート等が挙げられるが、溶解性及び感光性樹脂組成物への相溶性の点で特に2−エチル−9,10−ジ(メトキシエトキシ)アントラセンが好ましい。
【0038】
これら増感剤を用いる場合、その使用量は光ラジカル重合開始剤(D)100重量%に対して1〜200重量%、好ましくは5〜150重量%である。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物には、希釈剤(E)を使用しても良い。該希釈剤(E)としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;ジオキサン、1,2−ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系アルコール類、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル等のハイドロフルオロエーテル類等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物において前記(E)成分の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物中0〜99重量%である。
【0041】
更に、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じてレベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、消泡剤等を添加し、それぞれ目的とする機能性を付与することも可能である。
レベリング剤としてはフッ素系化合物、シリコーン系化合物、アクリル系化合物等が、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物等が、光安定化剤としてはヒンダードアミン系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び、必要に応じて(E)成分及びその他の成分を任意の順序で混合することにより得ることができる。
こうして得られた本発明の感光性樹脂組成物は、経時的に安定である。
【0043】
本発明の反射防止フィルムは、基材フィルム(ベースフィルム)上に前記感光性樹脂組成物の硬化層を設けることにより得られる。基材フィルム上に本発明の感光性樹脂組成物を乾燥後膜厚が0.05〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.3μm(反射率の最小値を示す波長が500〜700nm、好ましくは520〜650nmになるように膜厚を設定するのが好ましい)になるように塗布し、乾燥後、活性エネルギー線を照射して硬化皮膜を形成させることにより得ることができる。
【0044】
又、基材フィルム(ベースフィルム)と本発明の感光性樹脂組成物の硬化層との間に、印刷層、密着性向上のためのアンカーコート層、基材フィルム(ベースフィルム)の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層等の層を設けても良い。
高屈折率層を設ける際には、高屈折率コート剤を乾燥後の膜厚が0.05〜5μm、好ましくは0.05〜3μm(反射率の最大値を示す波長が500〜700nm、好ましくは520〜650nmになるように膜厚を設定するのが好ましい)になるように塗布し、乾燥後、活性エネルギー線を照射して硬化皮膜を形成させる。
【0045】
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、基材フィルム(ベースフィルム)上にハードコート層及び本発明の感光性樹脂組成物層をこの順に設けることにより得られる。まず、基材フィルム上にハードコート剤を乾燥後膜厚が1〜30μm、好ましくは3〜20μmになるように塗布し、乾燥後、活性エネルギー線を照射して硬化皮膜を形成させる。次いで、形成されたハードコート層の上に、本発明の感光性樹脂組成物を乾燥後膜厚が0.05〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.3μm(反射率の最小値を示す波長が500〜700nm、好ましくは520〜650nmになるように膜厚を設定するのが好ましい)になるように塗布し、乾燥後、活性エネルギー線を照射して硬化皮膜を形成させることにより得ることができる。
【0046】
又、ハードコート層と本発明の感光性樹脂組成物の硬化層との間に、ハードコート層の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層を設けても良い。その際には、高屈折率コート剤を乾燥後膜厚が0.05〜5μm、好ましくは0.05〜3μm(反射率の最大値を示す波長が500〜700nm、好ましくは520〜650nmになるように膜厚を設定するのが好ましい)になるように塗布し、乾燥後、活性エネルギー線を照射して硬化皮膜を形成させる。
【0047】
基材フィルムとしては、前記の様に、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィン系ポリマー等が挙げられる。フィルムはある程度厚いシート状のものであっても良い。使用するフィルムは、着色したものや易接着層を設けたもの、コロナ処理等の表面処理をしたものであっても良い。
【0048】
前記の感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、マイクログラビア塗工、リバースマイクログラビア塗工、ダイコーター塗工、バキュームダイ塗工、ディップ塗工、スピンコート塗工等が挙げられる。
【0049】
硬化のために照射する活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線等が挙げられる。紫外線により硬化させる場合、光源としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置等が調整される。高圧水銀灯を使用する場合、80〜240W/cmのエネルギーを有するランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
【0050】
又、不活性ガス置換をした環境下で活性エネルギー線を照射し、硬化させることがより好ましい。酸素濃度としては1体積%以下が好ましく、0.5体積%以下がより好ましい。該不活性ガスとしては窒素ガスを使用することが好ましい。
【0051】
本発明の反射防止ハードコートフィルムの1層目に使用するハードコート剤としては、市販されているハードコート剤をそのまま用いても良いし、先に述べた3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)と光ラジカル重合開始剤(D)、必要に応じて希釈剤(E)やその他の添加剤を配合した感光性樹脂組成物を使用しても良い。
【0052】
又、ハードコート層の屈折率を向上させる目的やハードコート層に帯電防止性を付与する目的で、平均粒子径が1〜200ナノメートルの金属酸化物(F)を使用することが好ましい。該金属酸化物(F)としては、屈折率を向上させる金属酸化物である、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化インジウム錫(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アンチモン酸亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、錫ドープアンチモン酸亜鉛、リンドープ酸化錫等が挙げられ、中でも帯電防止性を付与する金属酸化物である、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アンチモン酸亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、リンドープ酸化錫等が好ましく、価格、安定性、分散性等からアンチモン酸亜鉛、リンドープ酸化錫が特に好ましく、透明性の観点からリンドープ酸化錫が殊更に好ましい。
これらは微粉末若しくは有機溶剤に分散させた分散液として入手することができる。
【0053】
分散液に使用しうる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の非極性溶媒等が挙げられる。有機溶剤の量は、金属酸化物100重量%に対して、通常70〜900重量%である。
【0054】
なお、平均粒子径とは凝集を崩したときのその粒子が持つ一番小さい粒径を意味し、BET法、動的光散乱法、電子顕微鏡観察等により金属酸化物(F)の平均粒子径を測定することができる。
【0055】
これらハードコート剤において(F)成分の含有量は、ハードコート剤の固形分を100重量%とした場合、通常5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%である。
【0056】
又、ハードコート層の硬度を向上させる目的で平均粒子径が1nm以上、200nm以下のコロイダルシリカ(G)を添加することができる。使用する平均粒子径が1nm以上、200nm以下のコロイダルシリカ(G)は、溶媒にコロイダルシリカを分散させたコロイド溶液として、又は、分散溶媒を含有しない微粉末のコロイダルシリカとして用いることができる。
【0057】
コロイダルシリカ(G)の分散溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類及びその誘導体、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の非極性溶媒、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリレート類、ジメチルアセトアミド又はその他の一般有機溶剤類が使用できる。分散溶媒の量は、コロイダルシリカ100重量%に対して、通常100重量%以上、900重量%以下である。
【0058】
これらコロイダルシリカ(G)は、周知の方法で製造可能であり、市販されているものを用いることもできる。例えば、日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾル:MEK−ST等が挙げられる。平均粒子径が1nm以上、200nm以下のものを使用することが必要であり、好ましくは5nm以上、100nm以下、より好ましくは10nm以上、50nm以下である。1nm以上、100nm以下では透明性が確保でき、1nm以上、50nm以下では透明性、ヘイズともに十分に良好な結果が得られる。
【0059】
なお、平均粒子径とは凝集を崩したときのその粒子が持つ一番小さい粒径を意味し、BET法、動的光散乱法、電子顕微鏡観察等によりコロイダルシリカ(G)の平均粒子径を測定することができる。
【0060】
これらハードコート剤に(G)成分を含有する場合、その含有量は、ハードコート剤の固形分を100重量%として、通常10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%である。
【0061】
前記のハードコート剤に使用する(A)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分は、任意の順序で配合・混合すれば良く、更に必要に応じてレベリング剤、消泡剤等やその他の添加剤を添加しても良い。
【0062】
基材フィルム(ベースフィルム)と本発明の感光性樹脂組成物の硬化層との間に、基材フィルム(ベースフィルム)の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層等の層を設ける場合の高屈折率コート剤、及び、基材フィルム上のハードコート層と本発明の感光性樹脂組成物の硬化層との間に、ハードコート層の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層を設ける場合の高屈折率コート剤についても、前記(A)成分、(D)成分、必要に応じて(E)成分、(F)成分及びその他の添加剤を配合して使用することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。又、実施例中、特に断りがない限り、部は重量%を示す。
【0064】
製造例1
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとペンタアクリレートとの混合物(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA)37.5部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学(株)製、ビスコート#150)2.5部、イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.5部、イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1部、セルナックスCX−Z603M−F2(日産化学工業(株)製、アンチモン酸亜鉛のメタノール分散ゾル、固形分60%、平均粒子径15〜20nm)12.5部、メタノール8部、プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5部、ジアセトンアルコール2.5部、メチルエチルケトン27部を混合し、固形分50%のハードコート剤を得た。
得られたハードコート剤をけん化処理前の厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタオプト製)に膜厚が約5μmになるように塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させた。塗布、硬化後のフィルムの透過率は89%、ヘイズは0.7%、鉛筆硬度(荷重500g)は3Hであり、硬化膜の密着性も良好であった。
【0065】
製造例2
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとペンタアクリレートとの混合物(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA)24部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学(株)製、ビスコート#150)3部、イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.8部、イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.2部、セルナックスCX−S505M(日産化学工業(株)製、酸化錫のメタノール分散ゾル、固形分50%、平均粒子径10〜40nm)40部、1−プロパノール25部、ジアセトンアルコール5部を混合し、固形分50%のハードコート剤を得た。
得られたハードコート剤をけん化処理前の厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタオプト製)に膜厚が約5μmになるように塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させた。塗布、硬化後のフィルムの透過率は91%、ヘイズは0.5%、鉛筆硬度(荷重500g)は3Hであり、硬化膜の密着性も良好であった。
【0066】
実施例1〜2、比較例1〜2
表1に示す材料を配合した感光性樹脂組成物を調製した。
【表1】
【0067】
(注)
DPHA:日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートの混合物)((A)成分)
ELCOM:日揮触媒化成工業(株)製、ナノポーラスシリカのMIBK分散液(固形分20%、平均粒径:40〜60ナノメートル)((B)成分)
TEGO:ダデグサ社製、TEGO Rad 2600(アクリレート官能基数:6)((C)成分)
X−22:信越化学工業(株)製、X−22−2445(アクリレート官能基数:2)((C)成分)
US270:東亞合成(株)製、ポリシロキサングラフトポリマー(固形分30%)((C)成分との比較用)
ST103PA:東レ・ダウコーニング(株)製、ポリシロキサン((C)成分との比較用)
開始剤1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン((D)成分)
開始剤2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン((D)成分)
MEK:メチルエチルケトン((E)成分)
DAA:ジアセトンアルコール((E)成分)
【0068】
実施例3
製造例1で得たハードコート層を形成したTACフィルム上に、実施例1で得られた本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させて反射防止ハードコートフィルムを得た。この時、反射率の最小値が520〜650nmの波長領域になるように膜厚を約0.1μmに調整した。
【0069】
実施例4
製造例2で得たハードコート層を形成したTACフィルム上に、実施例1で得られた本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させて反射防止ハードコートフィルムを得た。この時、反射率の最小値が520〜650nmの波長領域になるように膜厚を約0.1μmに調整した。
【0070】
実施例5
製造例2で得たハードコート層を形成したTACフィルム上に、実施例1で得られた本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、80℃で乾燥後、酸素濃度が0.1体積%の窒素雰囲気下にて、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させて反射防止ハードコートフィルムを得た。この時、反射率の最小値が520〜650nmの波長領域になるように膜厚を約0.1μmに調整した。
【0071】
実施例6
製造例2で得たハードコート層を形成したTACフィルム上に、実施例2で得られた本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させて反射防止ハードコートフィルムを得た。この時、反射率の最小値が520〜650nmの波長領域になるように膜厚を約0.1μmに調整した。
【0072】
比較例3
製造例2で得たハードコート層を形成したTACフィルム上に、比較例1で得られた本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させて反射防止ハードコートフィルムを得た。この時、反射率の最小値が520〜650nmの波長領域になるように膜厚を約0.1μmに調整した。
【0073】
比較例4
製造例2で得たハードコート層を形成したTACフィルム上に、比較例2で得られた本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、80℃で乾燥後、紫外線照射機には高圧水銀灯を使用し、160W/cmのエネルギー、搬送速度5m/分の照射条件で硬化させて反射防止ハードコートフィルムを得た。この時、反射率の最小値が520〜650nmの波長領域になるように膜厚を約0.1μmに調整した。
【0074】
実施例3〜6、比較例3及び4で得られた反射防止ハードコートフィルムにつき、下記項目を評価しその結果を表2に示した。
【0075】
(鉛筆硬度)
JIS K 5600に従い、鉛筆引っかき試験機を用いて、前記組成の塗工フィルムの鉛筆硬度を測定した。詳しくは、測定する硬化皮膜を有するフィルム上に、鉛筆を45度の角度で、上から500gの荷重を掛け5mm程度引っかき、5回中、4回以上傷の付かなかった鉛筆の硬さで表した。
【0076】
(耐擦傷性)
スチールウール#0000上に500g/cmの荷重を掛けて10往復させ、傷の状況を目視で判定した。
評価 5級:傷なし
4級:1〜10本の傷発生
3級:10〜30本の傷発生
2級:30本以上の傷発生
1級:全面に傷、又は剥れが生じる
【0077】
(密着性)
JIS K5600に従い、測定する硬化皮膜を有するフィルムの表面に2mm間隔で縦、横6本の切れ目を入れて25個の碁盤目を作る。セロハンテープをその表面に密着させた後、一気に剥がしたときに剥離せずに残存したマス目の個数を示した。
【0078】
(最低反射率)
紫外・可視・赤外分光光度計 (株)島津製作所製UV−3150を使用し測定。
【0079】
(マジック拭取性)
マジックインキの黒/赤を使用して、塗工面に文字を書き、キムワイプにて拭取りを行ない、拭取性を目視で判定した。
評価 A:同じ場所で10回以上拭取り可能
B:同じ場所で5〜9回拭取り可能
C:同じ場所で1〜4回拭取り可能
【0080】
(全光線透過率)
ヘイズメーター 東京電色(株)製、TC−H3DPKを使用し測定。(単位:%)
【0081】
(ヘイズ)
ヘイズメーター 東京電色(株)製、TC−H3DPKを使用し測定。(単位:%)
【0082】
(表面抵抗率)
抵抗率計 三菱化学(株)製、HIRESTA IPを使用し測定。(単位:Ω/□)
【0083】
(耐アルカリ性)
1%及び3%NaOH水溶液を作製。塗膜表面に液を滴下し、30分放置後の塗膜表面状態を観察。
評価 A:変化なし
B:変色が生じる
C:膜が剥離する
【0084】
前記評価結果を表2に示した。
【0085】
【表2】
【0086】
表2から明らかなように、実施例3〜6の反射防止ハードコートフィルムは鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性、マジック拭取性及び耐アルカリ性ついて良好な結果を示した。比較例3は(C)成分をポリシロキサンのグラフトポリマーに変更した結果、耐擦傷性が低下し、マジック拭取り性及び耐アルカリ性が劣る結果となった。比較例4は(C)成分をアクリロイル基を含有しないポリシロキサンに変更した結果、耐擦傷性が低下し、透明性、マジック拭取り性及び耐アルカリ性が劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の感光性樹脂組成物で得られた硬化皮膜は、硬度、耐擦傷性、透明性、耐薬品性及びマジック拭取り性等の耐汚染性に優れている。又、ハードコート層の上に塗工し硬化させることにより反射率の低い反射防止ハードコートフィルムを製造するのに適している。この様な本発明の反射防止ハードコートフィルムは、LCDやPDPといったフラットパネルディスプレイ用の反射防止フィルム、プラスチック光学部品、タッチパネル、携帯電話、フィルム液晶素子等反射防止機能を必要とする分野に好適である。