特許第5767595号(P5767595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767595
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】脆性材料基板のスクライブ装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/037 20060101AFI20150730BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20150730BHJP
   C03B 33/07 20060101ALN20150730BHJP
【FI】
   C03B33/037
   B28D5/00 Z
   !C03B33/07
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-36934(P2012-36934)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-170115(P2013-170115A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】高松 生芳
(72)【発明者】
【氏名】三浦 善孝
(72)【発明者】
【氏名】富永 圭介
【審査官】 原田 隆興
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−267742(JP,A)
【文献】 特開2007−004116(JP,A)
【文献】 特開平06−102480(JP,A)
【文献】 特開平06−345471(JP,A)
【文献】 米国特許第04471895(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/037
B28D 5/00
C03B 33/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象の脆性材料基板の下側に下部カッターホイールを備え、搬送機構により前記脆性材料基板をY方向に搬送することにより、Y方向と直交するX方向のスクライブ予定ラインの真下に前記カッターホイールの刃先を位置させ、次いで、当該X方向のスクライブ予定ラインに沿ってカッターホイールを圧接させた状態で移動させることにより、X方向のスクライブラインを加工するスクライブ装置であって、
前記脆性材料基板の下面と同一平面を基板基準面として、前記搬送機構による搬送方向先端側で当該搬送機構によって支持されていない位置において、前記基板基準面から基板の少なくとも一部が下部カッターホイール側に変位したときにこれを検知する変位検知機構を設けたことを特徴とするスクライブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の脆性材料基板のスクライブ装置に関する。本発明は、単板のガラス基板だけでなく、2枚のガラス基板を貼り合わせた貼り合わせ基板にも用いられる。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの製造工程では、2枚の大面積ガラスを貼り合わせた貼り合わせ基板(以下マザー基板ともいう)を使用する。このマザー基板には複数の単位表示パネルがパターニングされており、マザー基板に対するスクライブ工程とその後の分断工程で一つ一つの単位表示パネルに分断することにより、製品となる複数の液晶表示パネルが切り出される。
【0003】
一般に、マザー基板から単位表示パネルを切り出す工程では、まず、マザー基板表面に対し、スクライブ予定ラインに沿ってカッターホイール(スクライビングホイールともいう)を圧接させながら相対移動させることにより、互いに直交するX方向並びにY方向のスクライブライン(スクライブ溝)を形成するスクライブ工程を行う。その後、ブレイク装置側に送り、当該スクライブラインに沿ってブレイクバーやローラで外力を印加したり、蒸気を吹き付けて熱的に歪ませたりして、マザー基板を単位表示パネルごとに完全分断するブレイク工程を行う。
【0004】
上記スクライブ工程を、上下二面で同時に行うようにして、大面積の基板を反転させることなく、かつ、効率よく行うようにしたスクライブ機構が、例えば特許文献1並びに特許文献2に開示されている。
【0005】
図6図8は、スクライブ工程を上下二面で同時に行うようにした従来のスクライブ機構を概略的に示すものである。このスクライブ機構11では、図7に示すように、上下一対のカッターホイール12、13をマザー基板Mの上下に配置し、コンベアなどの搬送装置14でマザー基板Mをカッターホイール12、13に向かって移動させることにより、図9(a)に示すようにY方向のスクライブラインS1を加工する。
その後、図8に示すように、カッターホイール12、13の刃先をX方向に変更してカッターホイールをX方向への駆動機構(図示せず)によりX方向に転動させることにより、図9(b)に示すようにX方向のスクライブラインS2を加工するようにしている。
【0006】
なお、カッターホイールの刃先方向の変更は、カッターホイールの刃先を保持するホルダに強制的に刃先方向を変更させる方向切替機構を設けてもよいし、刃先方向が自由に回転するホルダを用いることで、圧接転動するときに刃先が自動的に転動方向にならう「ならい作用」によって刃先方向が切り替わるようにしてもよい。
【0007】
このようにしてX方向並びにY方向のスクライブラインS1、S2が形成されたマザー基板Mは、ブレイク装置に送られて各スクライブラインから分断されて単位製品M1が取り出され、端縁部の端材領域M2は廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開番号WO2005/087458公報
【特許文献2】特開2010−052995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記スクライブ工程において形成されるスクライブラインは、後のブレイク工程になってから完全分断できるように、スクライブ工程中には完全に分断されるのではなく、貫通しない連結部分を残した溝(垂直クラック)を加工するようにしている。その一方で、形成されたスクライブラインの溝の深さが浅すぎると、ブレイク工程で大きな荷重を加えなければ完全分断できないことになるので、できるだけ深く、それでいて完全分断されない程度のスクライブ溝を形成しなければならない。そのため、基板の個体差や圧接荷重の調整不足等により、スクライブラインを加工した直後に、スクライブラインの一部が誤って完全分断されてしまうことがあった。
【0010】
このような完全分断が、例えばY方向のスクライブラインS1を加工した際に発生すると、図10(a)に示すように、左右のスクライブラインによって分断された中間の基板部分M3が、マザー基板Mの搬送方向後端側端部でクランプ15により把持されていても、Y方向のスクライブ最終地点で反対側端部(搬送方向先端部)が下方に落下して位置ずれしたり、あるいは図10(b)に示すように、上方に跳ね上がって位置ずれしたりすることがある。すると、下方への位置ずれでは下方側のカッターホイールの刃先が落下した基板部分M3に衝突して損傷を受け、上方への位置ずれでは上方側のカッターホイールの刃先が跳ね上がった基板部分M3に衝突して損傷を受けることがある。
【0011】
カッターホイールの刃先が損傷すると切れ味が悪くなり、加工されるマザー基板のスクライブラインの分断面が劣化する。このような分断面の劣化を見過ごすと、製品の品質が低下するとともに、不良品が発生して製品の歩留まりが低下するといった問題点が生じる。
【0012】
また、上記した落下や跳ね上がりが直接カッターホイールの刃先に損傷を与えない場合でも、その状態のままX方向のスクライブ工程に移行したときに、図11(a)及び図11(b)に示すように、跳ね上がりまたは落下によって生じた段差部分にカッターホイール12または13の刃先が衝突し、基板の段差部分にも欠けなどが生じて、やはり製品の歩留まりが悪くなるといった弊害があった。
【0013】
また、マザー基板MのX方向のスクライブ工程において、マザー基板Mの搬送方向先端部でX方向の端材領域M2(図9参照)を区分けするスクライブラインS2を加工する際に上記した分断現象が生じると、図12に示すように、分断された端材領域M2は下方にずれたり落下したりして前記同様に下方側のカッターホイール13の刃先が損傷を受けることがある。加えて、予期しない端材の落下によって、装置の駆動機構部分に落下分散した端材やその破片が混入して、装置の正常な運転に支障を来すといった問題点があった。
【0014】
なお、端材の落下は2枚の基板を貼り合わせたマザー基板だけでなく、単板基板であっても問題となる。
【0015】
そこで本発明は、ブレイク工程ではなく、スクライブ工程の加工中において、完全分断が発生することによって生じる不具合を未然に解消することのできるスクライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明のスクライブ装置は、加工対象の脆性材料基板の下側に下部カッターホイールを備え、搬送機構により前記脆性材料基板をY方向に搬送することにより、Y方向と直交するX方向のスクライブ予定ラインの真下に前記カッターホイールの刃先を位置させ、次いで、当該X方向のスクライブ予定ラインに沿ってカッターホイールを圧接させた状態で移動させることにより、X方向のスクライブラインを加工するスクライブ装置であって、前記脆性材料基板の下面と同一平面を基板基準面として、前記搬送機構による搬送方向先端側で当該搬送機構によって支持されていない位置において、前記基板基準面から基板の少なくとも一部が下部カッターホイール側に変位したときにこれを検知する変位検知機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スクライブライン工程において、一部のスクライブラインが完全分断されてしまうことで基板の一部が基板基準面から下方に位置ずれすると、この変位は変位検知機構によって検出される。これにより、異常を検知するとすぐに対応することができるようになる。その結果、すぐに適正なスクライブラインの加工ができるようにメンテナンス作業を行うことができ、カッターホイールの刃先の損傷を必要なときに確認することができるとともに、製品の品質を維持することができるといった効果がある。
【0018】
前記カッターホイールは、上部カッターホイールと下部カッターホイールとによって構成されるようにしてもよい。
これにより、脆性材料基板のスクライブラインの加工を上下二面で行うことができる。
【0019】
また、前記変位検知機構は、スクライブラインの真下での変位を検知するようにし、カッターホイールが基板表面から離間したときに検出するようにしてもよい。
これにより、X方向のスクライブ予定ライン上での基板の僅かな変位を検知することができるので、カッターホイールの位置ずれした基板への衝突を確実に防ぐことができる。
【0020】
また、本発明のスクライブ装置は、加工対象の脆性材料基板の下側に下部カッターホイールを備え、搬送機構により前記脆性材料基板をY方向に搬送することにより、Y方向と直交するX方向のスクライブ予定ラインの真下に前記カッターホイールの刃先を位置させ、次いで、当該X方向のスクライブ予定ラインに沿ってカッターホイールを圧接させた状態で移動させることにより、X方向のスクライブラインを加工するスクライブ装置であって、前記脆性材料基板の下面と同一平面を基板基準面として、前記搬送機構による搬送方向先端側で当該搬送機構によって支持されていない位置において、前記基板基準面から基板の少なくとも一部が下部カッターホイール側に変位したときにこれを検知する変位検知機構を設けるようにしている。
【0021】
これにより、基板の搬送方向先端部でX方向の領域を区分けするX方向のスクライブラインを加工する際に、スクライブラインに分断現象が生じて分断された領域が基板基準面から下方に落下したりすると、たとえ加工中であっても直ちに検知することができるので、装置のメンテナンス作業を行うことができる。これにより、以後の基板落下による下部カッターホイールの刃先に損傷を軽減することができるとともに、予期しない落下によって、装置の駆動機構部分に落下分散した破片が混入して正常な運転に支障を来すといった不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るスクライブ装置の一例を示す概略的平面図。
図2図1に示すスクライブ装置におけるY方向のスクライブライン加工時の状態を示す概略的正面図。
図3】X方向のスクライブライン加工時の状態を示す図2同様の正面図。
図4】スクライブ装置の別実施例を示す図3同様の正面図。
図5】スクライブ装置のさらに別の実施例を示す図3同様の正面図。
図6】従来のスクライブ装置の一例を示す概略的平面図。
図7】従来のスクライブ装置におけるY方向のスクライブライン加工時の状態を示す概略的正面図。
図8】X方向のスクライブライン加工時の状態を示す図7同様の正面図。
図9】マザー基板の標準的なスクライブラインを加工順に示す平面図。
図10】Y方向のスクライブライン形成時に生じるマザー基板の位置ずれ現象を示す斜視図。
図11】位置ずれ現象が生じた際のカッターホイールのスクライブ動作を示す図。
図12】X方向の端材領域を区分けするX方向のスクライブラインを加工するときの端材の落下を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、本発明のスクライブ装置の詳細を、図1図3に基づいて説明する。
なお、本発明に係るスクライブ装置は、種々の脆性材料基板を加工対象として適用できるものであるが、特にガラス基板を貼り合わせた大面積の液晶表示パネル用のマザー基板を好ましい加工対象としているので、以下、この貼り合わせ液晶表示パネル用マザー基板を例にして説明する。
【0024】
スクライブ装置1は、マザー基板Mの表裏両面に互いに直行するX方向並びにY方向のスクライブラインS1、S2(図9参照)を加工するための上部カッターホイール2並びに下部カッターホイール3を備えている。これら上部カッターホイール2並びに下部ホイール3はスクライブヘッド4に上下移動可能に取り付けられている。また、スクライブヘッド4は、ガイド部材5に沿って移動機構(図示せず)により図1のX方向に往復移動できるように形成されている。
【0025】
スクライブ装置1には、マザー基板Mを図1のY方向に搬送するための搬送装置6が設けられている。この搬送装置6は、図2に示すように、左右に分断された第1コンベア6aと第2コンベア6bとで構成され、両コンベア6a、6bの間の空間Pの上下に前記上部カッターホイール2並びに下部カッターホイール3が配置されている。マザー基板Mをこの搬送装置6上に載置してY方向に移動させるとともに、マザー基板Mの上下面に上部カッターホイール2並びに下部カッターホイール3を当接させて押しつけることにより、Y方向のスクライブラインS1をマザー基板Mの上下両面に同時に加工できるように形成されている。
【0026】
また、X方向のスクライブラインS2は、図3に示すように、上下のカッターホイール2、3の刃先の方向をX方向に変更して、カッターホイール2、3をガイド部材5に沿ってマザー基板Mの表面に押しつけながら転動させることにより、マザー基板Mの表裏両面に同時に加工できるように形成されている。
【0027】
さらに、本発明では、前記搬送装置6に乗せられて加工されるマザー基板Mの上面並びに下面と同一平面をなす水平面を基板基準面R1、R2とし、この基板基準面R1、R2からマザー基板Mの前記空間Pの位置にある部位が、カッターホイール2、3側に変位したとき、すなわち、図10(a)に示すように下方に位置ずれしたり、図10(b)に示すように上方に位置ずれしたりしたときに、これを検知する変位検知機構7が設けられている。そして、この変位検知機構7によって前記変位を検知して装置の稼働を停止するように形成されている。
【0028】
変位検知機構7は、例えば光電センサを用いることができる。光電センサは発光部7aと受光部7bとで形成され、可視光線や赤外線などの光を発光部7aから信号光として送光し、送光した光を基板Mの対岸側に設けた受光部7bで受光し、あるいは基板Mの対岸側に設けた鏡で反射させた光を発光部7aと同じ側に設けた受光部7bで受光して、その出力信号により基板の変位を検出するものである。本実施例において、この変位検知機構7は、左右コンベア6a、6bの間の空間Pの中間部で、前記基板基準面R1、R2を計測できるように配置されている。この変位検知機構7は、空間Pの中間部で上下カッターホイール2、3を結ぶ仮想垂直ラインの線上に配置されており、これによりカッターホイールの加工位置で正確に変位を計測することができる。
なお、この場合、スクライブラインの加工中はカッターホイールが計測の邪魔をするので、スクライブライン加工後でカッターホイール2、3が基板M表面から離間したときに変位検出機構7が動作するように設定されている。そして予め設定した閾値(判定値)よりも大きい変位が検出されると、装置の稼働が停止される。
【0029】
なお、変位検出機構7は、図4に示すように、前記上下のカッターホイール2、3によって光路が邪魔されない位置に設置してもよい。この場合は、カッターホイールの加工位置での正確な基板表面の位置は把握できないが、スクライブライン加工中に基板の変位が生じるとリアルタイムで検出することができる。したがって、変位検知後、直ちに装置の稼働を停止させることができる。ただし、メンテナンスの便宜上、カッターホイール2、3が基板表面から離間してから装置の稼働を停止するように、例えば付帯の制御用コンピュータにプログラムするなどして設定するのが好ましい。
【0030】
上記の構成において、まず、図2に示すように、マザー基板Mを搬送装置6上に載置し、上部カッターホイール2並びに下部カッターホイール3をマザー基板Mの表面に押しつけた状態でマザー基板MをY方向に移動させることにより、Y方向のスクライブラインS1を順次加工する。次いで、図3に示すように、上下のカッターホイール2、3の刃先の方向をX方向に変更してカッターホイールをガイド部材5に沿ってマザー基板Mの表面に押しつけながら転動させることにより、X方向のスクライブラインS2を順次加工する。
【0031】
このY方向のスクライブライン工程において、一部のスクライブラインが完全分断されて、図10に示すように、分断された中間の基板部分M3が基板基準面R1、R2から下方に位置ずれしたり、上方に位置ずれしたりすると、この変位はカッターホイールがマザー基板表面から離間したのち変位検知機構7によって検出され、装置の稼働が停止する。さらに必要に応じて、アラーム音等が警告ランプ等で異常を知らせる動作を行うようにしてもよい。
これにより、カッターホイールの押しつけ力や搬送装置の送り速度などを修正して、適正にスクライブラインが加工できるようにするメンテナンス作業を行い、また、刃先の異常を確認し、必要に応じて、カッターホイールを新品に交換する作業を、位置ずれ発生後、直ちに行うことができる。
【0032】
また、同様に、続いて行われるマザー基板のX方向のスクライブ工程において、マザー基板の搬送方向先端部でX方向の端材領域M2(図9参照)を区分けするスクライブラインS2を加工する際に、上記した分断現象が生じて端材領域M1が基板基準面R2から下方に位置ずれしたり、落下したりすると、この変位は変位検知機構7によって検出され、装置の稼働が停止される。
これにより、装置のメンテナンス作業を上記同様に不具合発生後、間をおかずに行うことができる。
【0033】
上記実施例では、加工対象のマザー基板Mの上面にスクライブラインを加工するための上部カッターホイール2と、マザー基板Mの下面にスクライブラインを加工するための下部カッターホイール3とを設けてマザー基板Mの表裏両面に同時にスクライブラインを加工する例を示したが、上部並びに下部カッターホイール2、3の何れか一方を省略して形成してもよい。
【0034】
また、上記実施例に代えて、単板基板等では、図5に示すように、上部カッターホイール2をなくして、下部カッターホイール3のみで形成することも可能である(また、逆に上部カッターホイール2のみで形成してもよい)。
この場合は、マザー基板のX方向のスクライブ工程において、マザー基板Mの搬送方向先端部でX方向の端材領域M2を区分けするスクライブラインS2を加工する際の端材の脱落の検出に特に有効である。すなわち、X方向のスクライブラインS2に分断現象が生じると、下方にはコンベアなどの支持部がないので、分断された端材領域M2が基板基準面R2から下方に位置ずれしたり、落下したりする。この現象は前記した変位検知機構7によって検出され、装置の稼働が停止される。特に、図5のようにカッターホイール3より少し離れた位置に変位検知機構7を設ければ、落下と同時に異常を検出することができる。
これにより、落下の発生後、間をおかずに装置のメンテナンスや修正を行うことができ、下部カッターホイール3を用いている場合にはその刃先に損傷を受けることを軽減することができるとともに、予期しない端材の落下によって、装置の駆動機構部分に落下して分散した端材の破片が混入して正常な運転に支障を来すといった不具合を未然に防止することができる。
【0035】
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施例構造のみに特定されるものではなく、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ガラス基板等の脆性材料基板にスクライブラインを加工するスクライブ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
M マザー基板
M2 マザー基板の端材領域
S1 Y方向のスクライブライン
S2 X方向のスクライブライン
R1、R2 基板基準面
1 スクライブ装置
2 上部カッターホイール
3 下部カッターホイール
6 搬送装置
7 変位検出機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12