特許第5767598号(P5767598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5767598車止め用ブロックを基盤に取り付けることを含む方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767598
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】車止め用ブロックを基盤に取り付けることを含む方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/02 20060101AFI20150730BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   E01F13/02 Z
   E04H6/42 A
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-65824(P2012-65824)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194480(P2013-194480A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】592136635
【氏名又は名称】株式会社オーイケ
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100164415
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】大池 悦二
(72)【発明者】
【氏名】大池 康司
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−180083(JP,A)
【文献】 特開平11−159182(JP,A)
【文献】 特開2005−036489(JP,A)
【文献】 特開2000−045213(JP,A)
【文献】 特開2011−231462(JP,A)
【文献】 特開2005−201027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−13/02
E04H 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の車止め用ブロックをアンカーピンにより基盤に取り付けることを含む方法であって、
前記取り付けることは、前記車止め用ブロックの前方に反射用の領域を備えたホルダーおよび前記車止め用ブロックを前記アンカーピンにより貫通することを含み、さらに、
前記車止め用ブロックは、前記基盤に接する底面と、
前記底面と対峙する第1の面と、
前記第1の面に対して傾斜した第2の面と、
前記アンカーピンを挿入するように前記第1の面を貫いて前記底面に向けて延びる挿入孔とを含み、
前記ホルダーは、第1の板状部分と、前記第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを含み、
前記第1の板状部分は、前記アンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、
前記第2の板状部分は、前記反射用の領域を含み、
前記貫通することは、
前記ホルダーの前記第2の板状部分が前記車止め用ブロックの前記第2の面に沿って配置されるように、前記ホルダーの前記第1の板状部分を前記車止め用ブロックの前記第1の面に配置することと、
前記第1の板状部分の前記貫通孔および前記車止め用ブロックの前記挿入孔を介して前記アンカーピンを前記基盤に打ち込み、前記第1の板状部分を前記アンカーピンの頭部で押さえることとを含む、方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の板状部分は、さらに、前記貫通孔の上部開口の周りで前記アンカーピンの頭部を受ける平坦な支持面を含み
前記押さえることは、前記第1の板状部分の前記支持面を前記アンカーピンの前記頭部で押さえることを含む、方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記車止め用ブロックは、タイヤと接する斜面と、
前記斜面に対して前記第2の板状部分が収まる程度に窪んだ斜面凹部とを含み、
前記斜面凹部の底面は前記第2の面を含み、前記斜面凹部の前記底面の左右両端に沿って上方に開いたガイド溝が形成されており、
前記配置することは、前記第2の板状部分の左右両端を前記ガイド溝に沿って上方からスライドさせることを含む、方法。
【請求項4】
コンクリート製の車止め用ブロックと、前記車止め用ブロックの前方に反射用の領域を備えたホルダーとが、前記車止め用ブロックおよび前記ホルダーを貫通するアンカーピンにより基盤に取り付けられている車止めであって、
前記車止め用ブロックは、前記基盤に接する底面と、
前記底面と対峙する第1の面と、
前記第1の面に対して傾斜した第2の面と、
前記アンカーピンを挿入するように前記第1の面を貫いて前記底面に向けて延びる挿入孔とを含み、
前記ホルダーは、第1の板状部分と、前記第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを含み、
前記第1の板状部分は、前記アンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、
前記第2の板状部分は、前記反射用の領域を含み、
当該車止めは、前記ホルダーの前記第2の板状部分が前記車止め用ブロックの前記第2の面に沿って配置されるように、前記ホルダーの前記第1の板状部分が前記車止め用ブロックの前記第1の面に配置されており、前記第1の板状部分の前記貫通孔および前記車止め用ブロックの前記挿入孔を介して前記基盤に打ち込まれた前記アンカーピンの頭部により、前記第1の板状部分が押さえられている、車止め。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の板状部分は、前記貫通孔の上部開口の周りで前記アンカーピンの頭部を受ける平坦な支持面を含み、前記アンカーピンの前記頭部により、前記第1の板状部分の前記支持面が押さえられている、車止め。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記反射用の領域は、反射部材を取り付ける取付面を含む、車止め。
【請求項7】
反射用の領域を備え、コンクリート製の車止め用ブロックをアンカーピンにより基盤に取り付ける際に、前記アンカーピンが前記車止め用ブロックとともに貫通して前記車止め用ブロックに固定されるホルダーであって、
前記車止め用ブロックの前記基盤に接する底面と対峙する第1の面に配置する第1の板状部分と、
前記車止め用ブロックの前記第1の面に対して傾斜した第2の面に沿って配置されるように、前記第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを有し、
前記第1の板状部分は、前記車止め用ブロックの前記第1の面を貫いて前記底面に向けて延びる挿入孔に挿入されるアンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、
前記第2の板状部分は、前記反射用の領域を含む、ホルダー
【請求項8】
請求項において、さらに、
前記第1の板状部分は、前記貫通孔の上部開口の周りで前記アンカーピンの頭部を受ける平坦な支持面を含む、ホルダー。
【請求項9】
請求項において、
前記第1の板状部分は、前記アンカーピンの前記頭部を囲むように前記支持面に対して突き出た周壁を含む、ホルダー。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかにおいて、
前記第2の板状部分の前記反射用の領域は、反射部材を取り付ける取付面を含む、ホルダー。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかにおいて、
前記車止め用ブロックは、タイヤと接する斜面と、
前記斜面に対して前記第2の板状部分が収まる程度に窪んだ斜面凹部とを含み、
前記斜面凹部の底面は前記第2の面を含み、前記斜面凹部の前記底面の左右両端に沿って上方に開いたガイド溝が形成されており、
前記第2の板状部分は、前記ガイド溝に沿って上方からスライドする左右両端の幅が下端に向けて狭まっている、ホルダー。
【請求項12】
アンカーピンにより基盤に取り付ける際に、前記アンカーピンが反射用の領域を備えたホルダーを貫通して固定されるコンクリート製の車止め用ブロックであって、
前記ホルダーは、第1の板状部分と、前記第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを含み、
前記第1の板状部分は、前記アンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、
前記第2の板状部分は、前記反射用の領域を含み、
当該車止め用ブロックは、前記基盤に接する底面と、
前記ホルダーの前記第1の板状部分を配置する、前記底面と対峙する第1の面と、
前記ホルダーの前記第2の板状部分を配置する、前記第1の面に対して傾斜した第2の面と、
前記アンカーピンを挿入するように前記第1の面を貫いて前記底面に向けて延びる挿入孔とを含む、車止め用ブロック
【請求項13】
請求項12において、
前記車止め用ブロックは、タイヤと接する斜面と、
前記斜面に対して前記第2の板状部分が収まる程度に窪んだ斜面凹部とを含み、
前記斜面凹部の底面は前記第2の面を含み、前記斜面凹部の前記底面の左右両端に沿って上方に開いた前記第2の板状部分の左右両端をガイドするガイド溝が形成されている、車止め用ブロック。
【請求項14】
請求項13において、
前記斜面凹部は、前記第2の板状部分の下端を支持する底溝を含む、車止め用ブロック。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれかにおいて、
前記車止め用ブロックは、前記底面と対峙する上面と、
前記上面に対して前記第1の板状部分が収まる程度に窪んだ上面凹部とを含み、
前記上面凹部の底面は前記第1の面を含む、車止め用ブロック。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかにおいて、
前記挿入孔は前記底面を貫いている、車止め用ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車止め用ブロックを基盤に取り付けて、駐車場などに設置される車止めを施工する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車をオーバーランさせることなく確実に停車させる車止めの機能と、広告塔の機能の2つを備えた車止めブロックを提供すること、また、耐久性、安全性、そしてデザイン性に優れ、かつ視認性の高い車止めブロックを提供することが記載されている。そのため、特許文献1には、車両が駐車する場所に設置するゴム製の車止めブロックであって、上端部より下方にタイヤの当接する傾斜部が形成され、前記傾斜部の下部には車両のオーバーランを防止する垂直面が形成されていることを特徴とし、ゴムの使用により、タイヤが車止めブロックに当接したときの衝撃や騒音を最低限に抑えることができ、また、タイヤが当接する傾斜面の下部に垂直面があるため、車両のオーバーランを確実に防止することができることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、反射体が、車止めブロックの斜面部に凹設した凹部に接着等により取り付けられていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−161908号公報(要約)
【特許文献2】特開2008−175038号公報(段落番号0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駐車場などの基盤に固定され、車のライトなどから出射された光を反射して視認性を向上させる車止めを効率よく施工することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の1つは、コンクリート製の車止め用ブロックをアンカーピンにより基盤に取り付けることを含む方法であって、取り付けることは、車止め用ブロックの前方に反射用の領域を備えたホルダーおよび車止め用ブロックをアンカーピンにより貫通することを含む。
【0007】
この方法では、車止め用ブロックを基盤に取り付ける際に、ホルダーを車止め用ブロックに取り付けることができる。このため、車止め用ブロックの基盤への取り付けと、ホルダーの車止め用ブロックへの取り付けとを同時に行うことができる。したがって、ホルダーを予め車止め用ブロックに取り付けておく必要がない。
【0008】
車止め用ブロックは、基盤に接する底面と、底面と対峙する第1の面と、第1の面に対して傾斜した第2の面と、アンカーピンを挿入するように第1の面を貫いて底面に向けて延びる挿入孔とを含み、ホルダーは、第1の板状部分と、第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを含み、第1の板状部分は、アンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、第2の板状部分は、反射用の領域を含む。貫通することは、ホルダーの第2の板状部分が車止め用ブロックの第2の面に沿って配置されるように、ホルダーの第1の板状部分を車止め用ブロックの第1の面に配置することと、第1の板状部分の貫通孔および車止め用ブロックの挿入孔を介してアンカーピンを基盤に打ち込み、第1の板状部分をアンカーピンの頭部で押さえることとを含む
【0009】
この方法では、ホルダーの第2の板状部分を車止め用ブロックの第2の面に沿って配置させた状態で、ホルダーの第1の板状部分を基盤に打ち込まれたアンカーピンの頭部により押さえることができる。したがって、第1の板状部分の支持面をアンカーピンの頭部により押さえることにより、車止め用ブロックを基盤に対して固定する強度と同程度の強度でホルダーを車止め用ブロックに対して強固に固定できる。
【0010】
車止め用ブロックは、タイヤと接する斜面と、斜面に対して第2の板状部分が収まる程度に窪んだ斜面凹部とを含み、斜面凹部の底面は第2の面を含み、斜面凹部の底面の左右両端に沿って上方に開いたガイド溝が形成されており、配置することは、第2の板状部分の左右両端をガイド溝に沿って上方からスライドさせることを含むことが望ましい。第2の板状部分を第2の面に沿って配置させやすい。
【0011】
本発明の異なる態様の1つは、コンクリート製の車止め用ブロックと、車止め用ブロックの前方に反射用の領域を備えたホルダーとが、車止め用ブロックおよびホルダーを貫通するアンカーピンにより基盤に取り付けられている車止めである。
【0012】
車止め用ブロックは、基盤に接する底面と、底面と対峙する第1の面と、第1の面に対して傾斜した第2の面と、アンカーピンを挿入するように第1の面を貫いて底面に向けて延びる挿入孔とを含み、ホルダーは、第1の板状部分と、第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを含み、第1の板状部分は、アンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、第2の板状部分は、反射用の領域を含み、当該車止めは、ホルダーの第2の板状部分が車止め用ブロックの第2の面に沿って配置されるように、ホルダーの第1の板状部分が車止め用ブロックの第1の面に配置されており、第1の板状部分の貫通孔および車止め用ブロックの挿入孔を介して基盤に打ち込まれたアンカーピンの頭部により、第1の板状部分が押さえられている
【0013】
本発明のさらに異なる態様の1つは、反射用の領域を備え、コンクリート製の車止め用ブロックをアンカーピンにより基盤に取り付ける際に、アンカーピンが車止め用ブロックとともに貫通して車止め用ブロックに固定されるホルダーである。
【0014】
このホルダーは、さらに、車止め用ブロックの基盤に接する底面と対峙する第1の面に配置する第1の板状部分と、車止め用ブロックの第1の面に対して傾斜した第2の面に沿って配置されるように、第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを有し、第1の板状部分は、車止め用ブロックの第1の面を貫いて底面に向けて延びる挿入孔に挿入されるアンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、第2の板状部分は、反射用の領域を含む
【0015】
第1の板状部分は、アンカーピンの頭部を囲むように支持面に対して突き出た周壁を含むことが望ましい。アンカーピンを外観上目立ちにくくしやすい。
【0016】
車止め用ブロックは、タイヤと接する斜面と、斜面に対して第2の板状部分が収まる程度に窪んだ斜面凹部とを含み、斜面凹部の底面は第2の面を含み、斜面凹部の底面の左右両端に沿って上方に開いたガイド溝が形成されており、第2の板状部分は、ガイド溝に沿って上方からスライドする左右両端の幅が下端に向けて狭まっていることが望ましい。
【0017】
本発明のさらに異なる態様の1つは、アンカーピンにより基盤に取り付ける際に、アンカーピンが反射用の領域を備えたホルダーを貫通して固定されるコンクリート製の車止め用ブロックである。
【0018】
ホルダーは、第1の板状部分と、第1の板状部分に対して折れ曲がった第2の板状部分とを含み、第1の板状部分は、アンカーピンの胴部が通る程度の貫通孔を含み、第2の板状部分は、反射用の領域を含み、当該車止め用ブロックは、基盤に接する底面と、ホルダーの第1の板状部分を配置する、底面と対峙する第1の面と、ホルダーの第2の板状部分を配置する、第1の面に対して傾斜した第2の面と、アンカーピンを挿入するように第1の面を貫いて底面に向けて延びる挿入孔とを含む
【0019】
車止め用ブロックは、タイヤと接する斜面と、斜面に対して第2の板状部分が収まる程度に窪んだ斜面凹部とを含み、斜面凹部の底面は第2の面を含み、斜面凹部の底面の左右両端に沿って上方に開いた第2の板状部分の左右両端をガイドするガイド溝が形成されていることが望ましい。車止め用ブロックは、底面と対峙する上面と、上面に対して第1の板状部分が収まる程度に窪んだ上面凹部とを含み、上面凹部の底面は第1の面を含むことが望ましい。斜面凹部は、第2の板状部分の下端を支持する底溝を含むことが望ましい。挿入孔は底面を貫いているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る車止めの概要を示す斜視図。
図2】車止めを、車止めを構成する主なパーツに展開して示す図。
図3】車止めを施工する方法を示す図であり、ホルダーを車止め用ブロックに配置する様子を示す断面図。
図4】車止めを施工する方法を示す図であり、アンカーピンを基盤に打ち込む様子を示す断面図。
図5】車止めを施工する方法を示す図であり、アンカーピンを基盤に打ち込んだ様子を示す断面図。
図6】車止めを各方向から見た図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は右側面図。
図7】ホルダーを各方向から見た図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は右側面図。
図8】車止め用ブロックを各方向から見た図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明に係る車止めの概要を斜視図により示している。車止め1は、基盤(路面)99に置かれたコンクリート製で全体が片台形柱状の車止め用ブロック50と、車止め用ブロック50の上面51および斜面52に設けられた窪み60に取り付けられた樹脂製(ポリプロピレン製)で全体がくの字形に折れ曲がった板状のホルダー10とを有する。なお、基盤99は、舗装がされた路面であってもよく、舗装がされていない路面であってもよい。
【0022】
車止め用ブロック50は、路面99に接する平坦な底面53と、底面53と対峙するように底面53に対して平行に配置された上面51と、タイヤと接するように上面51に対して前後方向(第1の方向)101の前方向101aに下り傾斜した斜面52と、上面51に対して斜面52とは反対側の後方向101bに下り傾斜した背面54と、底面53の前端(前辺)53aから斜面52に連なる前面55と、底面53の後端(後辺)53bから背面54に連なる後面56と、底面53の左右両端(左右両辺)53cおよび53dから上面51、斜面52および背面54に連なる一組の側面57(57c、57d)とを含む。斜面52の中央には、ネームシールなどを取り付けるために斜面52に対して僅かに窪んだ凹部52aが設けられている。
【0023】
車止め用ブロック50は、さらに、上面51および斜面52の境界59の近傍に設けられた一対の窪み60を含む。それぞれの窪み60は、上面51に対して半円柱状に窪んだ上面凹部61と、斜面52に対して三角柱状に窪んだ斜面凹部62とを含む。一対の窪み60は、車止め用ブロック50の左右方向(第2の方向)102に対称な位置にそれぞれ配置されている。なお、第1の方向101および第2の方向102は直交する。
【0024】
窪み60に取り付けられたホルダー10は、上面凹部61に配置された半円板状の第1の板状部分(ベース部)11と、第1の板状部分11に対して折れ曲がり(垂れ下がり)斜面凹部62に配置された平板状の第2の板状部分(前垂れ部)12と、ベース部11および前垂れ部12に挟まれた屈曲部13とを含む。前垂れ部12は、車のライトなどから出射された光を反射する反射用の領域95を含む。本例の反射用の領域95には、反射板(反射部材)90が取り付けられている。
【0025】
ホルダー10のベース部11は、ベース部11の表面11aが上面51と段差なく面一となるように上面凹部61に嵌め込まれている。前垂れ部12は、前垂れ部12の表面12aが斜面52に対して突出しないように(はみ出ないように)斜面凹部62に収容されている。このため、反射板90がタイヤなどと接触して損傷したり、脱落したりすることを抑制できる。このホルダー10は、ベース部11を上下方向(第3の方向)103に貫く貫通孔(孔)21と、車止め用ブロック50を上下方向103に貫く挿入孔85とを介して路面99に打ち込まれたアンカーピン80により窪み60に取り付けられている。なお、第3の方向103は、第1の方向101および第2の方向102とそれぞれ直交する。
【0026】
図2に、車止め1を、車止め1を構成する主なパーツに展開して示している。なお、図2においては、車止め用ブロック50の左方向102aの窪み60に取り付けられたホルダー10を省略して示している。ホルダー10のベース部11は、アンカーピン80の胴部81が通る程度の貫通孔21と、貫通孔21の上部開口21aの周りでアンカーピン80の胴部81よりも太い頭部82を受ける平坦な支持面22とを含む。本例のベース部11は、支持面22および表面11aに上下方向103の高低差がなく、支持面22が表面11aの一部を兼ねている。
【0027】
ベース部11は、さらに、アンカーピン80の頭部82を囲むように支持面22に対して突き出た周壁23を含む。周壁23は、全体が貫通孔21を中心としたカルデラ状(盆地状)であり、支持面22に対して平行に配置された頂面23aと、支持面22に対して上方向(垂直方向)103aに起立して頂面23aに連なる内側面23bと、頂面23aから表面11aに向けて下り傾斜した外側面23cとを含む。
【0028】
ホルダー10の前垂れ部12は、反射板90を取り付けるために表面12aに対して僅かに窪んだ取付部24を含む。取付部24は、支持面22に対して傾斜した取付部24の後背部24bを構成する取付面25を含む。取付面25は、反射板90の背面90bと接触し、反射板90の表面90aの向きを規定する。前垂れ部12は、前方視逆台形状であり、左右両端12cおよび12dの幅wが屈曲部13の側から下端12bに向けて狭まっている。
【0029】
本例の反射板90は、樹脂製(アクリル製)であり、背面90bには光を乱反射させる加工、たとえばダイヤモンドカット加工が施されている。なお、反射板90は、アクリル製に限らず、ガラス製やポリカーボネート製などであってもよい。アクリル樹脂は、高硬度で成形しやすく着色しやすい点で反射板90に適している。また、反射部材90は、取付面25に貼り付けられた反射テープなどであってもよい。本例の反射用の領域95は、ホルダー10の取付面25に別体の反射板90が取り付けられているが、ホルダー10と反射板90とは同質の材料、たとえばプラスチックなどにより一体に成形されていてもよい。
【0030】
車止め用ブロック50の窪み60は、上面51に対してベース部11が収まる程度に窪んだ上面凹部61と、斜面52に対して前垂れ部12が収まる程度に窪んだ斜面凹部62とを含む。上面凹部61の底部(底面)61bは、底面53と対峙するように底面53に対して平行に配置された第1の面71と、第1の面71の周縁71bから上面51に向けて上り傾斜した側面73とを含む。車止め用ブロック50は、さらに、第1の面71のほぼ中央と底面53とを上下方向103に貫通する挿入孔85を含む。
【0031】
斜面凹部62の底部(底面)62bは、底面53と対峙するように底面53に対して平行に配置された底面74と、第1の面71の前端(前辺)71aから傾斜した前方視逆台形状の第2の面72と、底面74の左右両端(左右両辺)74cおよび74dから斜面52に連なる一組の側面75(75c、75d)とを含む。斜面凹部62は、さらに、それぞれの側面75cおよび75dに対して僅かに窪み、底部62bの左右両端に沿って上方に開いた、前垂れ部12の左右両端12cおよび12dをガイドするガイド溝76と、底面74に対して僅かに窪んだ、前垂れ部12の下端12bを支持する底溝77とを含む。
【0032】
図3図5に、車止め用ブロック50およびホルダー10により車止め1を施工する方法について示しており、図3はホルダー10を車止め用ブロック50に配置する様子を示す断面図、図4はアンカーピン80を路面99に打ち込む様子を示す断面図、図5はアンカーピン80を路面99に打ち込んだ様子を示す断面図である。
【0033】
まず、図3に示すように、ホルダー10の前垂れ部12が車止め用ブロック50の第2の面72に沿って配置されるように、ホルダー10のベース部11を車止め用ブロック50の第1の面71に配置する(載せる)。この方法では、前垂れ部12の左右両端12cおよび12dを斜面凹部62のガイド溝76に沿って上方向103aからスライドさせることにより、前垂れ部12の下端12bを斜面凹部62の底溝77に向けてスムーズに導くことができる。
【0034】
次に、図4に示すように、ホルダー10および車止め用ブロック50をアンカーピン80により貫通することにより、車止め用ブロック50をアンカーピン80により路面99に取り付ける。すなわち、この方法では、第1の面71に配置されたベース部11の貫通孔21と、車止め用ブロック50の挿入孔85とを介して、アンカーピン80をハンマーなどで路面99に打ち込み、ベース部11の支持面22をアンカーピン80の頭部82で押さえる(押圧する)。このため、ホルダー10の前垂れ部12を車止め用ブロック50の第2の面72に沿って配置させた状態で、ホルダー10のベース部11を路面99に打ち込まれたアンカーピン80の頭部82により押さえることができる。これにより、図5に示すように、車止め用ブロック50が路面99に固定されると同時に、ホルダー10が車止め用ブロック50に取り付けられた車止め1を施工できる。
【0035】
この方法では、車止め用ブロック50の路面99への固定と、ホルダー10の車止め用ブロック50への取り付けとを同時に(同一工程で)行うことができる。このため、車止め用ブロック50を路面99に固定する前後において、ホルダー10を車止め用ブロック50に取り付ける工程を削除(省略)できる。したがって、車止め1の施工効率を向上させやすい。
【0036】
さらに、ベース部11の支持面22をアンカーピン80の頭部82により押さえるので、車止め用ブロック50を路面99に対して固定する強度と同程度の強度でホルダー10を車止め用ブロック50に対して強固に固定できる。このため、ホルダー10が難接着性のポリプロピレン製であっても、シリコンなどで粘着させることなく車止め用ブロック50に強固に固定できる。したがって、ホルダー10の脱落(剥落)を防止できる。
【0037】
さらに、このホルダー10の前垂れ部12には、反射板90が取り付けられているので、ホルダー10を車止め用ブロック50に取り付けることにより、接着剤などを用いることなく反射板90を取り付けた車止め1を施工できる。このため、このホルダー10を用いることにより、雨天などの悪天候時であっても車止め1を施工できるので、施工効率を向上させやすい。
【0038】
本例では、図3に示すように、ホルダー10のベース部11および前垂れ部12に挟まれた角度(内角)θxと、車止め用ブロック50の第1の面71および第2の面72に挟まれた角度(内角)θyとはほぼ等しく、いずれも110度程度である。角度θxおよびθyは、直角または直角よりも大きい鈍角であることが好ましい。反射板90の表面90aの向きを路面99に対して仰角に設定でき、反射効率を向上させやすい。本例のホルダー10はポリプロピレン製であり、熱可塑性により角度θyがθxよりも大きくなる可能性があるため、角度θxはθyよりも僅かに小さくすることが好ましい。角度θxがθyよりも僅かに小さい程度であれば、アンカーピン80の頭部82がベース部11の支持面22を押さえる際に、角度θxが徐々に大きくなり、ベース部11と第1の面71との密着性を向上させやすい点で好ましい。
【0039】
さらに、ベース部11が支持面22に対して突き出た周壁23を含むので、アンカーピン80の頭部82をハンマーなどで叩く際に周壁23がクッション(緩衝部)としての機能を果たし、表面11aおよび第1の面71に損傷を与えることを抑制できる。本例のホルダー10はポリプロピレン製であり、衝撃吸収性に優れているため、車止め用ブロック50への損傷を抑制しやすい点で好ましい。この車止め1においては、図4に示すように、周壁23の内側面23bの上下方向103の高さ(距離)h1が、アンカーピン80の頭部82の厚み(高さ)h2に対してほぼ同じか僅かに大きくなるように設計されている。このため、図5に示すように、アンカーピン80の頭部82が周壁23に対して上方向103aに突出すること(はみ出ること)を抑制でき、アンカーピン80を外観上目立ちにくくできる。なお、ホルダー10は、ポリプロピレン製に限らず、ポリアセタール製などであってもよい。
【0040】
この車止め1においては、車止め用ブロック50と、ホルダー10とが、車止め用ブロック50およびホルダー10を貫通するアンカーピン80により路面99に取り付けられ、ホルダー10が車止め用ブロック50の窪み60に収まった状態で固定されている。このため、ホルダー10が自動車のタイヤと接触して脱落することを抑制できる。
【0041】
さらに、このホルダー10は、ベース部11の支持面22がアンカーピン80の頭部82により押さえられ、路面99に固定された車止め用ブロック50と一体となっている。このため、車止め用ブロック50が路面99に対して脱落しない程度の衝撃力の範囲において、ホルダー10がバイクや自転車などのタイヤと接触して脱落することを防止できる。したがって、ホルダー10の紛失や盗難も抑制しやすい。さらに、前垂れ部12の左右両端12c(12d)および下端12bが、斜面凹部62のガイド溝76および底溝77により支持されているため、ホルダー10のズレやガタつきも抑制できる。また、ホルダー10を車止め用ブロック50の窪み60に収めることができるので、全体としてすっきりとした一体感のある外観の車止め1を提供できる。
【0042】
なお、本例の挿入孔85は、第1の面71から底面53に向けて貫通状に形成されているが、非貫通状であってもよく、その場合、車止め用ブロック50は、非貫通の挿入孔をアンカーピン80で底面53に向けて打ち抜くことにより路面99に打ち込まれる。非貫通状の場合、挿入孔85は、底面53に向けて底面53から1cm程度離れた位置(手前の位置)まで延びていることが望ましく、アンカーピン80を路面99に打ち込みやすい。
【0043】
図6に、車止め1を各方向から見た図により示しており、(a)は上方向103aから見た平面図、(b)は下方向103bから見た底面図、(c)は前方向101aから見た正面図、(d)は後方向101bから見た背面図、(e)は右方向102bから見た右側面図である。なお、この車止め1の左方向102aから見た左側面図は(e)と対称に表れる。
【0044】
この車止め1は、ホルダー10の前垂れ部12が車止め用ブロック50の第2の面72に沿って配置されるように、ホルダー10のベース部11が車止め用ブロック50の第1の面71に配置されており、ベース部11の貫通孔21および車止め用ブロック50の挿入孔85を介して路面99に打ち込まれたアンカーピン80の頭部82により、ベース部11の支持面22が押さえられている。車止め1のサイズの一例は、左右方向(長手方向)102の距離d1が65cm、底面53の前後方向(短手方向)101の距離d2が19cm、上下方向103の距離(高さ)hが10cmである。
【0045】
図7に、ホルダー10を各方向から見た図により示しており、(a)は上方向103aから見た平面図、(b)は下方向103bから見た底面図、(c)は前方向101aから見た正面図、(d)は後方向101bから見た背面図、(e)は右方向102bから見た右側面図である。なお、このホルダー10の左方向102aから見た左側面図は(e)と対称に表れる。
【0046】
図8に、車止め用ブロック50を各方向から見た図により示しており、(a)は上方向103aから見た平面図、(b)は下方向103bから見た底面図、(c)は前方向101aから見た正面図、(d)は後方向101bから見た背面図、(e)は右方向102bから見た右側面図である。なお、この車止め用ブロック50の左方向102aから見た左側面図は(e)と対称に表れる。
【0047】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定されたものを含む。また、反射板90は、本例のようにホルダー10を車止め用ブロック50に取り付ける前に取付面25に取り付けられていてもよいが、ホルダー10を車止め用ブロック50に取り付けた後に取付面25に接着剤などにより貼り付けてもよく、コンクリート釘などにより取り付けてもよい。また、ホルダー10の孔21は、本例のようにベース部11を上下方向103に貫いていてもよいが、非貫通状、たとえばアンカーピン80により打ち抜き可能な薄肉状であってもよく、その場合、ホルダー10は、ベース部11の薄肉状の部分(薄肉部)をアンカーピン80で打ち抜くことにより車止め用ブロック50に取り付けられる。さらに、ベース部11の薄肉部には打ち抜き部を示す目印(マーク)などが取り付けられて(記載されて)いることが好ましい。また、挿入孔85は2か所に限定されず、1か所でもよく、3か所以上設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 車止め
10 ホルダー
50 車止め用ブロック
図1
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図6
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図8